JP3092765U - 床暖房用の畳 - Google Patents

床暖房用の畳

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JP3092765U JP2002005826U JP2002005826U JP3092765U JP 3092765 U JP3092765 U JP 3092765U JP 2002005826 U JP2002005826 U JP 2002005826U JP 2002005826 U JP2002005826 U JP 2002005826U JP 3092765 U JP3092765 U JP 3092765U
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弘郷 渡辺
純也 円尾
康人 赤木
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萩原株式会社
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本考案は、床を暖房している場所で使用する畳
であって通気性の良い材料の選択およびその加工方法に
より速く熱源からの熱を上部の畳表に伝えるもので熱伝
達の方法である対流及び放射を利用するものである。 【解決手段】畳床部の芯材である板状圧縮繊維部を如何
に硬く丈夫なものしても通気性が確保されていること
と、通気性のある材料で構成し、熱の対流による伝達を
高めると共に微粉炭やカーボンブラックを入れた吸放熱
クロスシートを採用することで下からの熱をより速く吸
収し上部に放射することになり、放射による熱の伝達と
の相乗効果を期待するものである。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
床暖房された上で使用する畳であって、下からの熱伝達を高めたことを特徴とす る畳に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
床暖房用の畳としては多くの文献があり、その目的とするところは畳の持ってい る風合い、感触(上から触れた時の弾力性、適度な硬さと使用時での安定性など )を維持しながら熱源である床面の熱を畳表面に効率良く、如何に早く伝えるか にあると思われる。そこでこれらの要件を整理すると次のようになる。
【0003】 要件1、熱の伝達を早め熱の効率を良くする方法。要件2、畳としての品質的な 条件。要件3、安全で環境にやさしい等である。
【0004】 要件1の熱の伝達を早め熱の効率を良くする方法では(イ)、畳の厚みを薄くす る方法があるこれは参考文献中、大部分なので例示しないがその多くは3〜25 mm程度にしようとするものである。
【0005】 次に(ロ)、畳の芯材になるものに穴を穿つものとしては実公告昭47‐155 03、公開実用昭56‐118234、公開実用平3‐35141など多くの提 案があるが下から上への縦穴を設け、熱の伝達を早めようというものである。
【0006】 次に(ハ)、芯材に穿った縦穴に熱伝導性の良い金属粉を充填、または熱伝導の 良い金属板を使用する方法として公開実用昭52‐83514、特開平6‐29 4201、特開平7‐13963などがある。
【0007】 続いて(ニ)、フェルトなど通気性のある素材を芯材に使用する例としては公開 実用昭55‐101246があるが畳と言うよりは腰の無い裏付上敷、即ち柔ら かいウスベリ畳に近いものである。
【0008】 要件1の方法の(イ)、では熱が掛かる畳であるために薄くすると畳表と芯材で ある畳床などとの伸縮性が問題となり、それぞれの材料を接着または縫着してい るために反りや弛み、捩れなどに対する新たな対策が必要となる。(問題点1)
【0009】 次に要件1の方法の(ロ)、では芯材の素材にもよるが穴を穿った部分の通気性 は改善されるが他の部分には通気性はない。芯材の厚みも5〜15mm程度と薄 くなるので穴での保温力は望めない。(問題点2)
【0010】 また、要件1の方法の(ハ)、は金属粉の充填では熱の伝導性は改善されるかも しれないが逆に通気性は無くなるので空気の対流による熱の伝達は減少する。( 問題点3)
【0011】 要件1の方法の(ニ)、では畳の硬さは望めない。(問題点4)
【0012】 要件2の畳としての品質的な条件としては伸縮性対策や硬さと安定性対策が必要 である。
【0013】 要件3の安全で環境にやさしいでは使用されている時点での安全性は勿論のこと 廃棄される時点においても環境に対し問題にならない材料の選択が必要である。
【0014】 従来の畳の床部は稲藁やインシュレーションボード、発泡スチロール、ベニヤ合 板、発泡ポリエチレンシート、アルミニウム、銅等の金属板、ポリエチレンクロ スシート、防虫シート、プラスチック段ボール、穴開きボード、多孔板などの材 料を単体または何種類かを組合せて積層された構成になっている。従ってこれら の素材の中には透湿性や通気性が全く無いものや透湿性はあっても通気性に欠け るもの、薄過ぎて硬さも無く畳としての体をなさないもの、安全性や処分の際に 問題が予測されそうなものなど従来技術の問題点である、要件1の問題点1〜問 題点4や要件2の畳としての品質条件及び要件3の安全性や環境などの問題点を 指摘するものである。
【0015】
【考案が解決しようとする課題】
従って藺草の畳表など、表層部以外の畳の構成材料としては通気性を妨げるよう な材料や硬さが無く安定性の悪いもの、廃棄またはリサイクルに適さない材料を 使用することは好ましくないのである。そのためにこれらを克服する材料と手法 が必要と考えたのが本考案である。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本考案は、この欠点を克服する材料として、畳床部(中芯材)においては繊維を 選択し、板状圧縮繊維部とした、但しここで言う板状圧縮繊維部とは通常繊維板 として一般に言われている軟質繊維板(インシュレーションボード)、半硬質ま たは硬質繊維板など木材や植物質を繊維化し抄造方法により板状にしたボードで はなく、太さ0.01〜1.00mm長さ20〜90mmの天然または化合繊の 短繊維を1〜3種類程度、太さの異なる繊維や長さの異なる繊維をブレンドし、 バインダーとなる低融点の熱可塑性の綿またはバインダーとなる熱可塑性樹脂や 熱硬化性樹脂を混合、加温圧縮し板状にしたものである。
【0017】 次にこの板状圧縮繊維部を中心に挟むように上下に繊維または紙製の通気性のあ るクッション材を配し、下部には通気性のある紙貼りされたポリオレフィン系の クロスシートを積層し、畳床製造機で縫い上げたものであり徹底して通気性のあ る畳床(畳の中芯材)と成すべくその素材の選択及び加工、仕上げ方法の選択を 成したのである。
【0018】 通常の繊維板では軟質〜硬質の製造方法により違いはあるが透湿性はあっても通 気性までは望み難い、それは通気性があるところまで軟質にすると必要な腰や硬 さが出ず、何らかの補強が必要となる。補強すればその補強材の通気性対策が要 ることになるのである。また半硬質、硬質繊維板では通気性の確保は難しくなる 。
【0019】 本考案では熱の移動、即ち熱の伝達においてその伝わり方に周知の伝導、対流、 放射があり繊維は本来、保温材としての役割が大きく従って熱の伝導性は良くな いものが多い。熱効率を考える時、保温性は当然必要条件であるがここでは初期 の早期熱伝達を考えると先ず対流のための通気性確保に重点を置いたのである。
【0020】 畳床材としての条件である硬さや腰は選択する繊維の条件、即ち素材である繊維 の太さ、硬さ、性質などの物性に寄ってブレンドの割合を調整することとバイン ダーとなる樹脂綿の材質及び特性と同じくバインダーの役割をする熱可塑性及び 熱硬化性樹脂の選択、あるいはそれらを混合する時の割合を調整することなどに より畳床芯材として必要とされる硬さや強度を保持させながら、圧縮された繊維 間に空隙部を形成し、空気の対流に必要な通気性を確保したのである。
【0021】 さらに本考案の特徴は板状圧縮繊維部の縦方向(長さ方向)に横穴を設けている 。これは空気の対流をより効果的に促進すると共に温度の平均化を図っておりし かも蓄熱部の役割を果たし、熱効率を高めている。
【0022】 また、要件2の畳としての品質的な条件の項では熱による畳の伸縮防止及び捩じ れ防止の役割を果たしているのである。この板状圧縮繊維部では常に空気の対流 が行われており、外部と通気されていて空気が密閉される部分が無く、膨張や伸 縮等が発生せず、反りや捩じれ現象などを起こしにくいのである。しかもこの板 状圧縮繊維部の成形時にバインダーとして熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂を併用し ているために熱による伸縮性が非常に少なくなっているのである。
【0023】 また、積層されている、異なる素材間においてもそれぞれに通気性があり、加工 仕上げ方法も接着剤等を使わない縫着仕上げにしてあるため多少の伸縮があった としても互いに吸収しあえる構造(縫着仕上げ)となっているため、問題となら ないのである。
【0024】 次に本考案の特徴は畳下部の保護用のクロスシートにある。本来このシートの役 割は畳の裏面保護と防湿及びクロスと融着してある紙に防虫機能などを持たせた 防湿、防虫、保護機能であるがもう一つの熱伝達の方法である放射機能を持たせ ようとするものである。 クロスシートの材料であるポリオレフィン系フラットヤーン(延伸テープ)に0 .015〜100μm 程度のカーボンブラックまたは微細粉炭を単独または併 用して混入成形し、放射伝熱における熱の放射、吸収の理想体といわれる黒体に 近い吸収放射物性のクロスシートとすることで熱源である下からの熱をいち早く 吸収し上部に放射をさせ、畳床内部の空気中に存在する水蒸気や炭酸ガスなどに 吸収させ、再放射させる放射伝熱(輻射伝熱)の機能を付加したのである。
【0025】 クッション材は通気性のある再生紙、和紙などの紙類や不織布などで良く、1〜 3mm程度の弾力性のあるもので廃棄の際にリサイクル可能なものあるいは環境 にやさしいものが望ましい。
【0026】 また、畳床材を構成する板状圧縮繊維部、上下のクッション材及び保護用クロス シートまたは吸放熱クロスシートを一緒に畳床製造機で縫い合わせることで約1 mm〜1.5mmの貫通した針穴ができている、この針穴は下からの熱を対流に より直接上面に伝えることになる。しかもこの針穴は3分の2以上が縦方向(長 さ方向)に設けられた横穴を貫通しているので横穴中に蓄熱され温められた空気 がこの針穴からも下からの熱を上部面にまで対流により熱伝達することを促進す る役割を果たしているのである。
【0027】 本考案は従来の畳で成しえなかった熱伝達速度及び熱効率の非常に高い、床暖房 がされている場所やホットカーペットなどの上で使用する床暖房用の畳としたの である。
【0028】
【考案の実施の形態】 次に、本考案の実施の形態について図面に基づいて詳しく説明をする。 図1の上から1は畳表、2は畳縁、4はクッション材、3は板状圧縮繊維部、4 はクッション材、5は紙貼りクロスシートまたは紙貼り吸放熱クロスシートの構 成になっている、いずれの構成材料も通気性の良いものを選択し、空気の対流に よる効率の良い熱の伝達を目的としている。
【0029】 実施形態としては先ず、図2に示す畳床部の制作を行い、続いて畳床部と畳表部 の縫着を行う。この時、畳縁を使用する方法と縁を使わないで畳表を折り曲げて 仕上げる方法があり、任意に選択すれば良い。図1では畳縁を使用する場合の例 である。
【0030】 畳床部の製作について図2の上から順に説明をする。先ず4のクッション材とし ては特許第2933824号の再生紙に防ダニ防カビ加工を施したものを選択し た、通気性が良いことと表面の柔らかさがクッション材として適している。紙お むつや生理用ナプキンの不良品を再生したものでパルプが主体のリサイクル品で ある。適度の弾力性と復元力が畳としての品質条件にも適しているのである。尚 これは素材として限定するものでは無く、不織布など通気性があってクッション 性があり、安価で丈夫なものであれば良い。
【0031】 図2の3の板状圧縮繊維部については腰の強いケナフ繊維を選択し、その繊維綿 と接着用バインダー繊維として低融点のポリプロピレン繊維綿及びバインダー樹 脂を7対3の割合でブレンドして乾式不織布の製造方法で約15mmのフェルト 状にした。続いてそれを図3のように2枚を上下に配置して150〜240度の 予備加熱炉を通過させ、次に熱圧縮ロール、冷却風、冷却ロール、冷却風の順に 通して板状の圧縮繊維部とした。この時熱圧縮ロールの手前約10cmから冷却 ロールの後、約5cmのところまでステンレス製の細い棒、(直径約4mm)を 針状にして針台部の横に連ねた櫛状部を設け、予備加熱炉で温められた厚さ約1 5cmのフェルト状繊維層が上下から櫛部を挟むように加熱圧縮ロール、冷却ロ −ルを通過し冷却ロールの後、約5cmのところで繊維部から櫛部が抜け横穴と なる。圧縮された板状繊維部は各ロールの間隙設定により約7mmの板状とした 。これらはロールの間隙設定を変更調整することにより繊維部の厚さや硬さを変 えることができる。
【0032】 櫛部の針の間隔は約3mmとし、幅方向の左右の両端、約数cm程は針の無い状 態とした、従って幅方向の左右の両端、約数cm程は穴が無く中央部には約3m m間隔の穴が開いた 状態となった。端部に穴の無い部分を設けるのはその部分の強度を増すためであ り、またその部分は寸法により裁断されるところでもあるので穴が無い方が都合 が良いのである。
【0033】 また穴の位置については並列状でも良いが針の設定を一つ置きに上下に少しずら せば穴と穴の間隔が同じ3mmでも多くの穴が設定できるし、板状圧縮繊維部の 曲げに対する強度が増すことになる。この方法で仕上げた板状圧縮繊維部は非常 に硬く、弾力性はほとんど無い、しかしながら繊維と繊維の間に空隙部が保持さ れており、煙草の煙がすぐ反対側に抜ける程の通気性がある。また繊維の太いも のと細いものや繊維長の異なるものを繊維綿状体の時に混ぜ合わせることで緻密 さが増し、曲げ強度、加圧強度などがさらに強化され、しかも通気性は確保され ているのである。
【0034】 ここで選択した繊維綿はケナフであるが材質をこれに限る物ではなく、次のよう な材質の物も適している。例えば比較的太く腰があるものとしては麻類やココナ ッツ椰子などのパーム繊維があり、細いものとしては木綿、ウール、レーヨンな どがある。またその他の天然繊維や合成繊維、ナイロン、ポリエステル、アクリ ル、ポリオレフィン系の繊維など化学繊維やそれらの再生繊維を利用したもので も良い。但し繊維によっては加工方法や成形温度などに工夫を必要とするものも ある。 これらの繊維を単独または任意に組合せて強度、硬度、通気性などを求めれば良 い。
【0035】 尚これらの製造方法においても限定するものではなく特開平1‐239149の フェルト状の製作方法や特開2000−37578(P2000‐37578A )、特開2001‐96517(P2001‐96517A)、特開2002‐ 144306(P2002‐144306A)のような製造方法の応用や組合せ でも通気性のある板状繊維部は可能である。特公昭55‐36504などに見ら れるような湿式繊維板製造方法、いわゆる抄造法では薄く柔らかい物では通気性 はあっても腰がなくなる、板状に硬くすると通気性の確保が難しくなるので本考 案では好ましくない。
【0036】 図2の5である補強用の紙貼りクロスシートはポリエチレンまたはポリプロピレ ンのクロスに再生紙などの通気性の良い紙に防ダニ、防カビのなどの処理をし、 融着したものでも良いが本考案請求項4のカーボンブラックまたは微細粉炭ある いはそれらの併用によるポリエチレンまたはポリプロピレンのクロスを熱セット して使用するか再生紙などの通気性の良いものと融着したものを使用すれば熱の 対流による伝達だけでなく放射による熱伝達が加わるのでより効果的である。
【0037】 以上の3、4、5の素材を図2のように積層し、建材畳床製造機(ケミペット・ 極東産機(株)製)で縫い上げ周囲を切断し幅91cm×長さ182cm×厚さ 12〜13mm、重量約7.5kgの畳床部とした。さらにこれを最終的に必要 なサイズに切断して長さ方向の横穴の開いている部分にクラフトテープなど紙製 の粘着テープを貼って穴の出入り口を封鎖し熱が横穴の両サイドから逃げないよ うにする。これは本考案の中で蓄熱部の保温効果を高め、熱効率向上及び捩じれ 防止のための重要なポイントの一つである。
【0038】 続いて1図のように藺草の畳表を畳床部に載せ、二方に畳縁のある畳に縫着機で 仕上げた。(畳縫着機で仕上げることの詳細即ち、使用する縫着機の種類、仕上 げ方法はJIS A5902に基づくものであり、以下畳縫着機仕上げとする。)一 畳サイズまたはこの半分の半畳サイズなどができる。畳は同じ一畳でも地域性、 用途により大ささが異なるので需要に合わせたサイズのものが必要となる。従っ て需要の大きさや要求される熱源に合わせた規格のものを提供することになる。
【0039】 次に実施例の一部及び比較例を表1、2に示し、同実施例および比較例の熱伝達 状況の試験結果を表3、畳床部において使用した吸放熱クロスシートと保護用ク ロスシートとの熱伝達試験の結果を表4、床芯材となるボード部の熱伝達試験の 結果を表5に示す。尚、表3〜5の試験条件は室温22℃、熱源は線ヒーターを 内蔵したホットカーペットにて平均温度を40℃に設定し、初期温度、2分後〜 30分後までの表記の時間で測定をした。測定場所は図5のように1〜5の地点 を測定、その平均値をそれぞれの表に記した。測定に使用した温度計は放射温度 計HT−11D(MINOLTA)で測定した。
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【0040】 表内部で使用している簡易表記文字の説明を表6に示す。
【表6】
【0041】
【実施例1】 畳床部の中心芯材となる板状圧縮繊維部の素材としてケナフ繊維を選択し、接着 用綿と接着用樹脂としてそれぞれ低融点ポリプロピレン繊維綿と熱硬化性樹脂及 び熱可塑性樹脂の混合体を選択し、それぞれ70対15対15の比率でブレンド をした。フェルトの生産と同様に積層、圧縮し厚さ12〜15mm、繊推量を平 米当たり約1.5kg〜約2.0kg程度に設定してフェルト状とした。
【0042】 これを図3のように2枚をセットし、下側になるフェルト層の上に接着用の綿及 び樹脂を2〜10%載せ、加熱、圧縮、冷却工程を経て厚さ7mmの板状圧縮繊 維部とした。その時、圧縮用の熱ロールの手前から冷却ロールの直後まで針台部 が設けられているので針を挟んでの熱圧縮及び圧縮冷却がなされることとなり針 穴が固定され、幅方向の両端数cmを残し、2〜3mm間隔で約3.5〜4mm の穴が開いた状態で平米当りの重量が約4kgの板状圧縮繊維部を造った。
【0043】 続いて図2のように板状繊維部、クッション材、紙貼りされた吸放熱用クロスシ ートを積層し、建材畳床製造機(ケミペット・極東産機(株)製)にて畳床縫着 針間隔を約4cmにして縫い上げ周囲を切断し幅91cm×長さ182cm×厚 さ約13mm、重量約7.5kgの畳床部とした、畳に必要な寸法に裁断後、横 穴を接着用のクラフトテープで封鎖した。
【0044】 引き続き図1のように藺草の畳表を畳床部に載せ、畳縫着機で二方に縁のある床 暖房用の畳に仕上げた。
【0045】
【実施例2】 畳床部の中心芯材となる板状圧縮繊維部の素材としてケナフ繊維を選択し、接着 用綿と接着用樹脂としてそれぞれ低融点ポリプロピレン繊維綿と熱硬化性樹脂及 び熱可塑性樹脂の混合体を選択し、それぞれ70対15対15の比率でブレンド をした。
【0046】 次に特開2002‐144306のように熱加圧装置に繊維層を上、中、下の三 層とし、それぞれの間に横穴成形用のバーを設け、加圧温度120〜280度の 間で調整セットされた上下の加圧板で圧縮し、引さ続き冷却して成形用のバーを 抜き取り、周囲を切断し横穴を設けた板状圧縮繊維部とした。厚さ7mm、硬さ 、重量等は実施例1と同程度にした。
【0047】 また、穴の大きさは約4mm、幅方向の両端、約4cm程を残して上下にセット したバーにより、その設定位置が異なるため一つ置きに少し上下にずれた形の横 穴を設けることができた。
【0048】 続いて図2のように板状繊維部、クッション材、紙貼りされた吸放熱用クロスシ ートを積層し、建材畳床製造機(ケミペット・極東産機(株)製)にて針間隔を 約4cmにして縫い上げ周囲を切断し幅91cm×長さ182cm×厚さ約13 mm、重量約7.6kgの畳床部とした、畳に必要な寸法に裁断後、横穴を接着 用のクラフトテープで封鎖した。 引き続き図1のように藺草の畳表を畳床部に載せ、畳縫着機で二方に縁のある床 暖房用の畳に仕上げた。
【0049】
【実施例3】 実施例1と比較のため、最下部のクロスを紙貼りポリエチレン製のフラットヤー ンのものにし、クッション材を不織布としているがその他の条件は実施例1と同 じであるので説明を割愛する。
【0050】
【実施例4】 実施例2との比較のため、板状圧縮繊維部の素材を麻混即ち、麻繊維40%、木 綿繊維20%、ウール繊維10%、接着用綿15%、接着用樹脂15%のものに 置き換えたものであり他の条件は全て実施例2と同じであるので説明を割愛する 。
【0051】
【実施例5】 板状圧縮繊維部の素材が麻合繊即ち、麻繊維40%、ポリエステル繊維30%、 接着用の綿及び樹脂は各々15%であり、クッション材は再生紙、クロスは紙貼 りのポリエチレン製のフラットヤーンクロスとしたもので製造方法は実施例1と 同じであるので説明を割愛する。
【0052】 比較例1、床暖房用畳の比較例として公開実用昭56‐118234の畳を再現 した。畳床部の芯材として藁材、発泡プラスチック床、硬質繊維板が提案されて いるのでここでは硬質繊維板を選択し、小孔を多数となっているが耐久性や強度 を考慮して約7mmの穴を10cmの間隔で貫通させ、畳表と共に畳縫着機で縫 い上げ畳とした。比較がし易いように畳の厚さも実施例とほぼ同じである12〜 15mmとした。
【0053】 比較例2、床暖房用畳の比較例として公開実用昭56‐118234の畳を再現 した。畳床部の芯材として藁材、発泡プラスチック床、硬質繊維板が提案されて いるのでここでは発泡プラスチック床を選択し、小孔を多数となっているが耐久 性や強度を考慮して約7mmの穴を10cmの間隔で貫通させ、畳表と共に畳縫 着機で縫い上げ畳とした。比較がし易いように畳の厚さも実施例とほぼ同じであ る12〜15mmとした。尚、ここで採用した発泡プラスチック床は発泡スチロ ール板である。
【0054】 比較例3、床暖房用畳の比較例としてすでに販売されているもの(暖房用都畳) を購入し、比較例3とした。但し、この商品は補強の意味と思われるベニヤ板が 使用されており、畳の厚さが約2.7〜3.0mm程度、他の実施例や比較例よ り厚くなっている。中芯材である軟質繊維板(インシュレーションボード)とベ ニヤ板に約5〜5.5mmの間隔で直径5mm穴が開いているがそれぞれが別々 の位置にあり、二枚が貫通した穴では無いようである。再生紙、クロス、フェル ト等と表層部の畳表との構成になっている。
【0055】 以上、実施例及び比較例のテスト結果を表3にまとめたがこれを見て判るように 実施例1〜5においてはいずれも熱伝達は比較例よりも良く、特に実施例1、実 施例2、実施例4、の吸放熱クロスシートを使用しているものに好結果が出てい る。従来技術または市販品である比較例を上回っている。また、比較例ではある 温度に達すると熱源のオン、オフによる温度差はあるが横線で一定化してくる、 そしてその伝達温度は実施例よりも低い。これはその原因一つとして畳の素材ま たは構成によるところも大きいと思われるがもう一つの原因として捩れにより畳 の中央部が浮くか、それぞれの端部が反り熱源に接地しなくなるために起きるも のと推察され、熱の伝達が悪くなるためと考えられる。また、観測室の室温が2 2℃〜23℃に設定されており熱源の平均温度が40℃に設定されているために 室温に冷やされ一定の温度に達すると上昇しなくなると思われるのである。吸放 熱クロスシートの効果については表3にも出ているが表4の畳床部の比較試験で も好結果となっている。表での温度差はそんなに大きいとは言えないが室温によ り畳の表面が冷やされていることもあり、畳の上に乗っての体感温度は表4に示 された温度差以上のものを感じるのである。
【0056】 また、畳床部の芯材となる素材のみの熱の伝達試験結果を表5に示す。この試験 結果を見ても素材の違いによる差が出ている。尚、実施例の中で畳表としては天 然藺草のものを使用した例になっているがそれ以外に化学表と言われる中空成形 線状体による畳表やフラットヤーンの熱収束体による畳表、あるいはパルプより 成形された線状体や紙を筒撚りした線状体など人工藺草と言われるもので造った 畳表でも良い。また、熱源との関係において床暖房がされているフローリング等 ではそのまま上に敷いて使えば良いがホットカーペットなどのような独立した熱 源と一緒に使用する場合は熱が下に逃げない工夫が必要であり、例えばアルミ泊 等で熱や遠赤外線を反射する部分を備えたクッション材やシート類等と併用する 即ち下から順に反射シート等、ホットカーペット等熱源、本考案の暖房用畳をセ ットにして使用すれば熱効率が一段と良くなる。
【0057】
【考案の効果】
本考案の床暖房をしている場所で使用する畳は上記実施例と比較例との試験デー タが示すように従来の床暖房用の畳と比較して下からの熱を畳表の表面に伝達す る速さが一段と向上している、さらに板状圧縮繊維部の長手方向の両端を封鎖さ れた横穴により、熱の効率が良くなっている。但し板状圧縮繊維部そのものに通 気性があるので中の空気が遮蔽されている状態ではない。
【0058】 クロスシートにおいても吸放熱クロスシートの効果が出ており、各種材料の選択 及び構成、加工方法による通気性の確保が対流による熱の伝達を成し、また吸放 熱クロスシートによる放射による熱の伝達が相乗効果として、熱の伝導性の良く ない素材類の欠点をカバーして余りあるものにしているのである。
【0059】 また本考案で使用している熱伝導性の良くない素材類は逆に言えば保温性の良い 素材であり、これは熱効率を良くすることに寄与していると思われる。また、畳 表部、畳床部の合成においての品質的な問題点となるそれぞれの素材の伸縮等に よる捩じれ、反りなどが本考案の暖房用の畳では素材の選択とその加工方法によ り圧縮繊維部における通気性の確保および縫着による仕上げの方法を取っている ために発生しにくいのである。これは常に通気性の良さが確保され遮蔽されてい る部分がほとんど無く熱による膨張や伸縮が起きにくいと考えられるのである。 このように本考案は品質の安定性、目的とする熱の伝達性能および熱の効率を高 めたものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の実施例1の畳の斜視図
【図2】本考案の実施例1の畳床部の切り欠け斜視図
【図3】本考案の板状圧縮繊維部の連続生産の一部平面
【図4】本考案の図3で使用する横穴形成用の針台部の
平面図
【図5】本考案の熱伝達試験の温度測定点の図
【符号の説明】
1 藺草の畳表 2 畳の縁 3 板状圧縮繊維部 4 クッション材 5 紙貼りの吸放熱クロスシートまたは紙貼りの補強用
クロスシート 6 畳床製造機による縫い目 7 横穴封鎖テープ 8 点線の丸は封鎖された横穴 9 紙貼りクロスシートのクロス部 10 横穴 11 圧縮熱ロール 12 圧縮冷却ロール 13 予備加熱用の熱風炉 14 圧縮用ネット 15 横穴形成用の針台部 16 横穴形成用の針 17 冷却エアー吹き出し口 18 積層された混合繊維綿またはフェルト状 19 畳表部 20 畳床部 21 切断前の板状圧縮繊維部
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成14年10月11日(2002.10.
11)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】考案の名称
【補正方法】追加
【補正内容】
【考案の名称】 床暖房用の畳

Claims (6)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】床暖房されている場所で使用される畳であ
    って、下からの熱伝達を良くするために通気性のある材
    料のみで構成されている畳、即ち構成材料としてクッシ
    ョン材である通気性の良い繊維シート、通気性の良い板
    状圧縮繊維部、通気性の良い再生紙貼りクロスシートと
    畳表で構成され、積層縫着されてなる床暖房用の畳。
  2. 【請求項2】床暖房されている場所で使用される畳であ
    って、畳床部には繊維を圧縮し、長さ方向に横穴の通気
    孔を設け、穴の開いている部分の両端を封鎖することで
    蓄熱部とし、熱効率を改善し、発熱部の負担を軽減する
    ことを特徴とする床暖房用の畳。
  3. 【請求項3】床暖房されている場所で使用される畳であ
    って、畳床部すなわち畳の芯材部分で使用される繊維の
    太さにおいて、0.01〜1.0mmの太さの異なるも
    のを任意に組み合わせることで成形時に硬く圧縮されて
    も通気性が充分保持され、下からの熱を対流により効率
    良く上部に伝達することを可能にした床暖房用の畳。
  4. 【請求項4】床暖房用の畳の裏側(一番下になる部分に
    使用されるクロスシート)にカーボンブラックまたは微
    粉炭及びそれらの併用で0.015〜100μmのもの
    を0.5〜25W%程度を混入し成形されたフラットヤ
    ーンで織られた吸放熱クロスシートを使用することによ
    り、下からの熱を遠赤外線に変換し、放射により上部に
    効率良く伝達することを特徴とする床暖房用の畳。
  5. 【請求項5】畳床部の繊維が椰子、ケナフ、竹、麻、木
    綿、ウール、紙等天然繊維で構成されている請求項1、
    2、3及び4の床暖房用の畳。
  6. 【請求項6】畳床部の繊維がアクリル、ポリエステル、
    ナイロン、ビニロン、レーヨン、アセテート等化学、合
    成繊維で構成されている請求項1、2、3及び4の床暖
    房用の畳。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6152926B1 (ja) * 2017-01-20 2017-06-28 日本遮熱株式会社 輻射熱反射構造

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