JP3087519B2 - サスペンション制御装置 - Google Patents

サスペンション制御装置

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JP3087519B2
JP3087519B2 JP05129764A JP12976493A JP3087519B2 JP 3087519 B2 JP3087519 B2 JP 3087519B2 JP 05129764 A JP05129764 A JP 05129764A JP 12976493 A JP12976493 A JP 12976493A JP 3087519 B2 JP3087519 B2 JP 3087519B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車体の変位速度及び車
体と車輪間の相対速度に基づいてサスペンションの制御
特性を制御するようにした所謂セミ・アクティブ制御等
の制御を行うサスペンション制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のサスペンション制御装置として
は、例えば本出願人が先に提案した特開昭61−360
13号公報に記載されているものがある。この従来例
は、駆動モータによって減衰力を高,中,低の3段階に
切換え可能な減衰力可変ショックアブソーバを使用し
て、その駆動モータを車高検出器、路面状態検出器等の
走行状態及び路面状態検出手段の検出信号に基づいて制
御することにより、車体の姿勢変化を抑制するように構
成され、各種センサの異常や制御系統の異常によるシス
テム異常が発生したときに、減衰力可変ショックアブソ
ーバを中間減衰力に制御して、異常警告ランプを点灯さ
せることにより、減衰力制御を中止するようにしてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のサスペンション制御装置にあっては、センサの異常
等のシステム異常が発生したときには、減衰力制御を中
止して減衰力可変ショックアブソーバの減衰力を中間減
衰力に固定するようにしているため、例えば悪路等を走
行している場合のように、車体の姿勢変化が大きいと
き、或いは砂利道等を走行している場合のように路面か
らの振動入力が大きいときに、急に減衰力制御が中止さ
れると、車体の姿勢が変化して操縦安定性が低下すると
共に、乗心地も悪化するという未解決の課題がある。
【0004】そこで、本発明は、上記従来例の未解決の
課題に着目してなされたものであり、車体及び車輪間の
相対変位を検出する相対変位検出手段に異常が発生した
ときに、制御態様を変更することにより、サスペンショ
ン装置の姿勢変化抑制制御を継続させることができるサ
スペンション制御装置を提供することを目的としてい
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明に係るサスペンション制御装置は、図1の基
本構成図に示すように、車体側部材及び車輪側部材間に
介装された入力される制御信号に応じて車体姿勢変化抑
制特性を変化させることが可能なサスペンション装置
と、車体の前記サスペンション装置位置での上下加速度
を検出する上下加速度検出手段と、車体側部材及び車輪
側部材の相対変位を検出する相対変位検出手段と、前記
上下加速度検出手段の上下加速度検出値及び相対変位検
出値に基づいて車体の姿勢変化を抑制する前記制御信号
を形成して出力する制御手段とを備えたサスペンション
制御装置において、前記制御手段で制御信号を出力して
から前記サスペンション装置で車体姿勢変化抑制特性が
変化する迄のシステム遅れを検出するシステム遅れ検出
手段と、該システム遅れ検出手段で検出したシステム遅
れが設定値以上となったときに、前記制御手段による制
御態様を上下加速度検出値のみに基づいて制御信号を形
成するように変更する制御変更手段とを備えていること
を特徴としている。
【0006】
【作用】本発明においては、制御系が正常であって、制
御手段で制御信号を出力してからサスペンション装置の
姿勢変化抑制特性が変更されるまでのシステム遅れが小
さい状態では、上下加速度検出値及び相対変位検出値に
基づいて制御信号を形成して、サスペンション装置を制
御することにより、例えばスカイフック制御を行って車
体の姿勢変化を抑制すると共に、路面からの振動入力を
遮断するが、制御系に耐久劣化が生じた時や冷寒時等に
大きなシステム遅れを生じたときには、スカイフック制
御での目標値と実際値との差が大きくなることに起因す
る制振性の悪化を、上下加速度検出値のみに基づいて制
御信号を形成するスカイフック近似制御を行うことによ
り抑制して、良好な制振効果を発揮する。
【0007】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図2は、本発明の一実施例を示す概略構成図であ
って、各車輪1FL〜1RRと車体2との間に夫々サスペン
ション装置を構成する減衰力可変ショックアブソーバ3
FL〜3RRが配設され、これら減衰力可変ショックアブソ
ーバ3FL〜3RRの減衰力を切換えるステップモータ41
FL〜41RRが後述するコントローラ4からの制御信号に
よって制御される。
【0008】減衰力可変ショックアブソーバ3FL〜3RR
は、図3〜図7に示すように、外筒5と内筒6とで構成
されるシリンダチューブ7を有するツインチューブ式ガ
ス入りストラット型に構成され、内筒6内がこれに摺接
するピストン8によって上下圧力室9U,9Lに画成さ
れている。ピストン8は、図4〜図7で特に明らかなよ
うに、外周面に内筒6と摺接するシール部材9がモール
ドされ内周面に中心開孔10を有する円筒状の下部半体
11と、この下部半体11に内嵌された上部半体12と
で構成されている。
【0009】下部半体11には、上下に貫通して穿設さ
れた伸側油流路13と、上面側から下方にシール部材9
の下側まで延長して穿設された前記伸側油流路13より
大径の孔部14a及び円筒体11の外周面から孔部14
aの底部に連通して穿設された孔部14bで構成される
圧側油流路14と、中心開孔10の上下開口端に形成さ
れた円環状溝15U,15Lと、上面側に形成され円環
状溝15Uと前記伸側油流路13とに夫々連通する長溝
16と、下面側に形成され円環状溝15Lと連通する長
溝17とが形成され、伸側油流路13の下端側及び長溝
17が伸側ディスクバルブ18によって閉塞され、圧側
油流路14の上端側が圧側ディスクバルブ19によって
閉塞されている。
【0010】また、上部半体12は、下部半体11の中
心開孔10内に嵌挿された小径軸部21と、この軸部2
1の上端に一体に形成された内筒6の内径より小径の大
径軸部22とで構成され、これら小径軸部21及び大径
軸部22の中心位置に、小径軸部21の下端面側から大
径軸部22の中間部まで達する孔部23aと、この孔部
23aの上端側に連通してこれより小径の孔部23b
と、この孔部23bの上端側に連通するこれより大径の
孔部23cとで構成される貫通孔23が形成され、小径
軸部21の円環状溝15U及び15Lに対向する位置に
夫々半径方向に内周面側に貫通する一対の貫通孔24
a,24b及び25a,25bが穿設され、且つ大径軸
部22の孔部23aの上端側にこれと連通する弧状溝2
6が形成されていると共に、この弧状溝26と下端面と
を連通するL字状の圧側油流路27が形成され、この圧
側油流路27の下端面開口部が圧側ディスクバルブ28
によって閉塞されている。
【0011】そして、下部半体11と上部半体12と
が、下部半体11の中心開孔10内に小径軸部21を嵌
挿した状態で、小径軸部21の下部半体11より下方に
突出した下端部にナット29を螺合させてナット締めす
ることにより、一体に連結されている。さらに、上部半
体12の孔部23a内に可変絞りを構成する上端部が閉
塞された円筒状の弁体31が回動自在に配設されてい
る。この弁体31には、図4に示すように、上部半体1
2における大径軸部22の弧状溝26に対向する位置に
半径方向に内周面に達する貫通孔32が形成されている
と共に、図5〜図7に示すように上部半体12の小径軸
部21の貫通孔24a及び25a間に対応する外周面に
これらを連通する連通溝33が形成され、さらに図6に
示すように上部半体12の小径軸部21の貫通孔24b
及び25b間に対応する外周面にこれらを内周面側に連
通させる軸方向に延長する長孔34が形成されている。
そして、貫通孔32、連通溝33及び長孔34の位置関
係が、図8に示す弁体31の回転角即ち後述するステッ
プモータ41FL〜41RRのステップ角に対する減衰力特
性が得られるように選定されている。
【0012】すなわち、例えば時計方向の最大回転角位
置である図8のA位置では、図4に示すように、貫通孔
32のみが弧状溝26に連通しており、したがって、ピ
ストン8が下降する圧側移動に対しては、下圧力室9L
から圧側油流路14を通り、その開口端と圧側ディスク
バルブ19とで形成されるオリフィスを通って上圧力室
9Uに向かう破線図示の圧側流路C1と、下圧力室9L
から弁体31の内周面を通り、貫通孔32、弧状溝2
6、圧側油流路27を通り、その開口端と圧側ディスク
バルブ28とで形成されるオリフィスを通って上圧力室
9Uに向かう破線図示の圧側流路C2とが形成され、且
つピストン8が上昇する伸側移動に対しては、上圧力室
9Uから長溝16、伸側流路13を通り、その開口端と
伸側ディスクバルブ18とで形成されるオリフィスを通
って下圧力室9Lに向かう破線図示の伸側流路T1のみ
が形成され、伸側に対してはピストン速度の増加に応じ
て急増する高減衰力を発生させて、圧側に対してはピス
トン速度の増加に応じて微増する低減衰力を発生させ
る。
【0013】このA位置から弁体31を反時計方向に回
動させることにより、図5に示すように、弁体31の連
通溝33と小径軸部21の貫通孔24a,25aとが連
通状態となり、回動角の増加に応じて連通溝33と貫通
孔24a,25aとの開口面積が徐々に増加する。この
ため、ピストン8の伸側移動に対しては、図5(a)に
示すように、流路T1と並列に長溝16、円環状溝15
U、貫通孔24a、連通溝33、貫通孔25a、円環状
溝15L、長溝17を通り、長溝17と圧側ディスクバ
ルブ18とで形成されるオリフィスを通って下圧力室9
Lに向かう流路T2が形成されことになり、減衰力の最
大値が図8に示すように、連通溝33と小径軸部21の
貫通孔24a,25aとの開口面積の増加に応じて徐々
に減少し、伸側移動に対しては、図5(b)に示すよう
に、流路C1及びC2が形成されている状態を維持する
ため、最小減衰力状態を維持する。
【0014】さらに、弁体31を反時計方向に回動させ
て位置B近傍となると、図6に示すように、弁体31の
貫通孔24b,25b間が長孔34によって連通される
状態となる。このため、ピストン8の伸側移動に対して
は、図6(a)に示すように、流路T1及びT2と並列
に長溝16、円環状溝15U、貫通孔24a、長孔3
4、孔部23aを通って下圧力室9Lに向かう流路T3
が形成されることになり、伸側減衰力が最小減衰力状態
となると共に、ピストン8の圧側移動に対しては、流路
C1及びC2に加えて孔部23a、長孔34、貫通孔2
4b、円環状溝15Uを通って長溝16に達する流路C
3及び孔部23a、長孔34、貫通孔25b、円環状溝
15L、貫通孔25a、連通溝33、貫通孔24a、円
環状溝15Uを通って長溝16に達する流路C4が形成
されるが、図8に示すように、最小減衰力状態を維持す
る。
【0015】さらに、弁体31を反時計方向に回動させ
ると、長孔34と貫通孔24b及び25bとの間の開口
面積が小さくなり、回動角θB2で長孔34と貫通孔24
b及び25bとの間が図7に示すように遮断状態となる
が、貫通孔32と弧状溝26との間の開口面積は回動角
θB2から徐々に小さくなる。このため、回動角θB2から
反時計方向の最大回動角θC 迄の間では、ピストン8の
伸側移動に対しては、流路T1及びT2が併存すること
から最小減衰力状態を維持し、逆にピストン8の圧側移
動に対しては、貫通孔32と弧状溝26との間の開口面
積が徐々に減少することにより、最大減衰力が徐々に増
加し、弁体31が位置Cに到達したときに図7に示すよ
うに、貫通孔32と弧状溝26との間が遮断状態となる
ことにより、ピストンの圧側移動に対して、下圧力室9
Lから上圧力室9Uに達する流路が流路C1のみとな
り、圧側高減衰力状態となる。
【0016】一方、上部半体12の孔部23cには、円
筒状のピストンロッド35が嵌着され、このピストンロ
ッド35の上端が、図3に示すように、シリンダチュー
ブ7より上方に突出され、その上端側が車体側部材36
に取付けられたブラケット37にゴムブッシュ38U及
び38Lを介してナット39によって固定されていると
共に、ピストンロッド35の上端にブラケット40を介
してステップモータ41FL〜41RRがその回転軸41a
を下方に突出した関係で固定され、この回転軸41aと
前述した弁体31とがピストンロッド35内に緩挿され
た連結杆42によって連結されている。なお、43はバ
ンパーラバーである。また、シリンダチューブ7の下端
は車輪側部材(図示せず)に連結されている。さらに、
各ステップモータ41FL〜41RRの回転軸41aの連結
杆42とは反対側の端部にはステップモータ41FL〜4
1RRのステップ角に応じたアナログ電圧をステップ角検
出値θPFL 〜θPRR として出力するロータリポテンショ
メータ44FL〜44RRが連結されている。
【0017】コントローラ4には、その入力側に、図9
に示すように、前述したロータリポテンショメータ44
FL〜44RRと、各車輪位置に対応する車体側に設けられ
た上下加速度に応じて、上向きで正となり下向きで負と
なるアナログ電圧でなる上下加速度検出値X2FL ″〜X
2RR ″を出力する上下加速度検出手段としての上下加速
度センサ51FL〜51RRと、各例えば減衰力可変ショッ
クアブソーバ3FL〜3RRのカバーに内蔵されて車体側部
材と車輪側部材との相対変位に応じたインダクタンス変
化によってアナログ電圧でなる相対変位検出値X
DFL (=X2FL −X1F L )〜XDRR (=X2RR
1RR )を出力する相対変位検出手段としてのストロー
クセンサ52FL〜52RRと、車速を検出して車速に応じ
た車速検出値Vを出力する車速センサ53とが接続さ
れ、出力側に各減衰力可変ショックアブソーバ3FL〜3
RRの減衰力を制御するステップモータ41FL〜41RRが
接続されている。
【0018】そして、コントローラ4は、入力インタフ
ェース回路56a、出力インタフェース回路56b、演
算処理装置56c及び記憶装置56dを少なくとも有す
るマイクロコンピュータ56と、ロータリポテンショメ
ータ44FL〜44RRのステップ角検出値θPFL 〜θPRR
をディジタル値に変換して入力インタフェース回路56
aに供給するA/D変換器55FL〜55RRと、上下加速
度センサ51FL〜51RRの上下加速度検出値X2FL ″〜
2RR ″をディジタル値に変換して入力インタフェース
回路56aに供給するA/D変換器57FL〜57RRと、
ストロークセンサ51FL〜51RRの相対変位検出値X
DFL 〜XDRR をディジタル値に変換して入力インタフェ
ース回路56aに供給するA/D変換器58FL〜58RR
と、出力インタフェース回路56bから出力される各ス
テップモータ41FL〜41RRに対するステップ制御信号
が入力され、これをステップパルスに変換して各ステッ
プモータ41FL〜41RRを駆動するモータ駆動回路59
FL〜59RRとを備えている。
【0019】ここで、マイクロコンピュータ56の演算
処理装置56cは、所定時例えば停車時にポテンショメ
ータ44FL〜44RRのステップ角検出値θPFL 〜θPRR
を監視して、所定のステップ制御量に応じたステップ制
御信号を出力した時点からステップモータ41FL〜41
RRが該当するステップ量に達する迄のシステム遅れ時間
ΔτM を検出し、検出したシステム遅れ時間ΔτM が予
め設定した基準値τS未満である正常時には上下加速度
センサ51FL〜51RRから入力される車体の上下加速度
検出値X2FL ″〜X2RR ″を積分した車体上下速度X
2FL ′〜X2RR ′とストロークセンサ52FL〜52RRか
ら入力される車輪及び車体間の相対変位検出値X
DFL (=X2FL −X1FL )〜XDRR (=X2RR
1RR )を微分した相対速度XDFL ′〜XDRR ′とに基
づいてスカイフック制御を行うための減衰力係数Cを決
定し、決定された減衰係数Cに対応するステップモータ
41FL〜41RRの目標ステップ角θT を算出し、この目
標ステップ角θT と現在のステップ角θPとの差値を算
出して、これに応じたステップ制御量をモータ駆動回路
59FL〜59RRに出力し、システム遅れ時間ΔτM が基
準値τS 以上である異常時には上下加速度検出値X2j
のみに基づいてスカイフック制御に近似したスカイフッ
ク近似制御を行うための減衰係数Cを算出し、これに応
じたステップ制御量をモータ駆動回路59FL〜59RRに
出力する。また、記憶装置56dは、演算処理装置56
cの演算処理に必要なプログラムを予め記憶していると
共に、演算処理過程での必要な値及び演算結果を逐次記
憶する。
【0020】次に、上記実施例の動作をマイクロコンピ
ュータ56の演算処理装置56cの処理手順の一例を示
す図10及び図11を伴って説明する。すなわち、図1
0の処理は所定時間(例えば10msec)毎にタイマ割込
処理として実行され、先ずステップS1で車速センサ5
3の車速検出値Vを読込み、次いでステップS2に移行
して、車速検出値Vが零である停車状態であるか否かを
判定する。ここで、V=0である停車状態であるときに
は、ステップS3に移行してシステム遅れ判断処理を実
行してからステップS5に移行し、V≠0である走行状
態であるときにはステップS4に移行して、システム遅
れ判断処理における後述する制御フラグF1を“0”に
クリアすると共に、システム遅れ時間Δτ 1 〜ΔτN
びΔτM をクリアしてからステップS5に移行する。
【0021】ステップS5では、各上下加速度センサ5
1i(i=FL,FR,RL及びRR)からの各上下加速度検出
値X2i″を読込み、次いでステップS6に移行して各相
対変位検出値XDiを読込み、次いでステップS7に移行
して、ステップS5で読込んだ上下加速度検出値X2i
を例えばローパスフィルタ処理することにより積分して
車体上下速度X2i′を算出し、これらを記憶装置56d
の所定記憶領域に一時記憶し、次いでステップS8に移
行してステップS2で読込んだ相対変位検出値XDiを例
えばハイパスフィルタ処理することにより微分して相対
速度XDi′を算出し、これらを記憶装置56dの所定記
憶領域に一時記憶してからステップS9に移行する。
【0022】このステップS9では、後述するシステム
遅れ判断処理で設定された異常フラグFAが“1”にセ
ットされているか否かを判定し、異常フラグFAが
“0”にリセットされているときにはシステム遅れが少
ない正常であると判断し、異常フラグFAが“1”にセ
ットされているときにはシステム遅れが大きい異常であ
ると判断する。
【0023】そして、ステップS9の判定結果がFA=
“0”であるときには、ステップS10に移行して、前
記ステップS7及びS8で算出した車体上下速度X2i
及び相対速度XDi′に基づいて下記(1)式の演算を行
ってスカイフック制御を行うための減衰係数Cを算出す
る。 C=CS ・X2i′/XDi′ …………(1) ここで、CS は予め設定されたダンパ減衰係数である。
【0024】次いで、ステップS11に移行して、上記
ステップS10で算出した減衰係数Cが予め設定された
減衰力可変ショックアブソーバ3iでの最小減衰力C
MIN 以下であるか否かを判定し、C>CMIN であるとき
には、ステップS12に移行して車体上下速度X2i′が
正であるか否かを判定し、X2i′>0であるときには、
ステップS13に移行して、前記ステップS10で算出
した減衰係数Cを伸側で設定するように、第8図に対応
する制御マップのθA 〜θB1の領域を参照して目標ステ
ップ角θTiを算出してからステップS14に移行する。
【0025】このステップS14では、ポテンショメー
タ44iのステップ各検出値θPiを読込み、次いでステ
ップS15に移行して読込んだステップ角θPiと目標ス
テップ角θTiとの偏差を算出し、これをステップ制御量
Sとして記憶装置56dの所定記憶領域に更新記憶し、
次いで、ステップS16に移行して、記憶装置56dの
所定記憶領域に格納されているステップ制御量Sをモー
タ駆動回路59iに出力してからタイマ割込処理を終了
して所定のメインプログラムに復帰する。
【0026】また、ステップS12の判定結果がX2i
<0であるときには、ステップS17に移行して、前記
ステップS10で算出した減衰係数Cを圧側で設定する
ように、第8図に対応する制御マップのθB2〜θC の領
域を参照して目標ステップ角θTiを算出してから前記ス
テップS14に移行する。さらに、ステップS11の判
定結果が、C≦CMIN であるときには、ステップS18
に移行して、第8図に対応する制御マップのθB1〜θB2
の領域を参照して目標ステップ角θTiを算出してから前
記ステップS14に移行する。
【0027】一方、ステップS9の判定結果がF=
“1”である異常状態であるものであるときには、ステ
ップS19に移行して、前記ステップS7で算出した車
体上下速度X2i′のみに基づいて下記(2)式の演算を
行ってスカイフック近似制御を行うための減衰係数Cを
算出してから前記ステップS8に移行する。 C=α・X2i′ …………(2) ここで、αは制御ゲインであり、減衰力可変ショックア
ブソーバ3iの減衰力の制御幅と減衰力可変ショックア
ブソーバ3iを搭載する車両の特性に応じて任意に設定
することができ、操縦性を重視する車両では制御ゲイン
を比較的大きな値に設定し、乗心地を重視する車両では
制御ゲインを比較的小さい値に設定する。
【0028】また、ステップS3のシステム遅れ判断処
理は、図11に示すように、先ずステップS3aでシス
テム遅れ時間算出処理を行うか否かを表す制御フラグF
1が“1”であるか否かを判定し、制御フラグF1が
“1”であるときにはそのままシステム遅れ判断処理を
終了して前述したステップS5に移行し、制御フラグF
1が“0”であるときには、ステップS3bに移行す
る。
【0029】このステップS3bでは、各ポテンショメ
ータ44iのステップ角検出値θPiを読込み、次いでス
テップS3cに移行して、読込んだステップ角検出値θ
Piが予め設定したシステム遅れ判断開始ステップ角θST
(例えば圧側が高減衰力となる圧側最大ステップ角
θC )に一致しているか否かを判定し、θPi≠θSTであ
るときには、現在のステップ角θPiがステップ角θA
りであると判断してステップS3dに移行し、ステップ
モータ41iを反時計方向に回転させるステップパルス
出力指令をモータ駆動回路59iに出力してからステッ
プS3bに戻り、ステップS3cの判定結果が、θPi
θSTであるときには、ステップS3eに移行する。
【0030】このステップS3eでは、モータ駆動回路
59iに対してステップパルス出力停止指令を送出し、
ステップモータ41iの駆動を停止させ、次いでステッ
プS3fに移行して、新たにステップモータ41iを時
計方向に回転させるステップパルス出力指令をモータ駆
動回路59iに送出して、ステップモータ41iを時計
方向に駆動開始させる。
【0031】次いで、ステップS3gに移行して、別途
設定されたソフトウェアタイマをセットして計時を開始
させ、次いで、ステップS3hに移行して、再度ステッ
プ角検出値θPiを読込み、次いでステップS3iに移行
してステップ角検出値θPiがシステム遅れを判断するに
十分なステップ量となる停止ステップ角θEDに達したか
否かを判定し、θPi≠θEDであるときには停止ステップ
角θEDに達していないものと判断して前記ステップS3
hに戻り、θPi=θEDとなったら停止ステップ角θED
達したものと判断してステップS3jに移行して、ソフ
トウェアタイマを停止させて、その計時時間をシステム
遅れ時間Δτとして記憶装置56dの所定記憶領域に記
憶し、次いでステップS3kに移行して、モータ駆動回
路59iに対してステップパルス出力停止指令を送出
し、ステップモータ41iの駆動を停止させ、次いでス
テップS3mに移行して、遅れ時間算出回数を表すカウ
ント値Nを“1”だけインクリメントしてからステップ
S3nに移行する。
【0032】このステップS3nでは、カウント値Nが
予め設定した設定値NS に達したか否かを判定し、N<
S であるときには、前記ステップS3bに戻り、N=
Sであるときには、ステップS3oに移行する。この
ステップS3oでは、カウント値Nを零にクリアし、次
いでステップS3pに移行して、制御フラグF1を
“1”にセットしてからステップS3qに移行する。
【0033】このステップS3qでは、記憶装置56d
に記憶されている所定数Nのシステム遅れ時間Δτを読
出し、これらの平均システム遅れ時間ΔτM を算出し、
次いでステップS3rに移行して、算出した平均システ
ム遅れ時間ΔτM が予め設定した設定遅れ時間τS 以上
であるか否かを判定し、ΔτM <τS であるときには、
システム遅れが少ないと判断してステップS3sに移行
し異常フラグFAを“0”にリセットしてからシステム
遅れ判断処理を終了してステップS5に移行し、ΔτM
≧τS であるときにはシステム遅れが大きいと判断して
ステップS3tに移行し異常フラグFAを“1”にセッ
トしてからシステム遅れ判断処理を終了してステップS
5に移行する。
【0034】なお、図10及び図11の処理において、
ステップS1〜ステップS4の処理及び図11の処理が
システム遅れ検出手段に対応し、ステップS5〜S8,
S10〜S18の処理が制御手段に対応し、ステップS
9及びS19の処理が制御変更手段に対応している。し
たがって、今、車両がエンジンを停止して停車状態にあ
るものとし、この状態からイグニッションスイッチをオ
ン状態としてエンジンを始動させると、記憶装置56d
に記憶されているシステム遅れ時間Δτ、回数N、フラ
グF1,FA等をクリアする所定の初期化が行われた
後、所定時間毎に図10及び図11の処理が実行開始さ
れる。
【0035】このとき、車両が停車状態であるので、ス
テップS1で読込んだ車速検出値Vは零であるため、ス
テップS2からステップS3に移行してシステム遅れ判
断処理を実行する。このシステム遅れ判断処理では、ポ
テンショメータ44iのステップ角検出値θPiを読込ん
で、これが予め設定された判断開始ステップ角θSTに一
致しているか否かを判定し、両者が不一致であるときに
は、ステップS3dに移行してステップモータ41iを
反時計方向に駆動するステップパルス出力指令をモータ
駆動回路59iに出力する。これに応じて、モータ駆動
回路59iからステップモータ41iを反時計方向に回
転駆動するステップパルスがステップモータ41iに出
力されて、このステップモータ41iが反時計方向に回
転駆動される。
【0036】そして、ステップ角検出値θPiが判断開始
ステップ角θSTに一致すると、ステップS3cからステ
ップS3eに移行して、ステップパルス出力停止指令が
モータ駆動回路59iに出力されることにより、このモ
ータ駆動回路59iからステップモータ41iに出力さ
れるステップパルスが停止され、これによってステップ
モータ41iの回転が停止される。
【0037】その後、ステップS3fで、システム遅れ
判断を行うために時計方向ステップパルス送出指令をモ
ータ駆動回路59iに送出し、これによってモータ41
iが時計方向に回転を開始すると共に、この時点でタイ
マをセットして計時を開始する。次いで、ステップ角検
出値θPiが判断終了ステップ角θEDに達するまで待機
し、ステップ角検出値θPiが判断終了ステップ角θED
達すると、ステップS3jに移行して、タイマを停止さ
せると共に、そのときのカウント値をシステム遅れ時間
Δτとして記憶装置56dの所定記憶領域に格納し、次
いでステップS3kでステップパルス出力停止指令をモ
ータ駆動回路59iに送出して、ステップモータ41i
の回転を停止させてからステップS3mに移行して判断
回数Nを“1”だけインクリメントし、次いでステップ
S3nで判断回数Nが設定回数NSに達したか否かを判
定し、N<NS であるときには、ステップS3bに戻
り、N=NS であるときには所定個数のシステム遅れ時
間Δτの採取が完了したものと判断して、判断回数Nを
“0”にクリアすると共に、制御フラグF1を“1”に
セットしてから、ステップS3qで所定個数のシステム
遅れ時間Δτを所定個数で割り算して平均システム遅れ
時間ΔτM を算出する。
【0038】そして、算出された平均システム遅れ時間
ΔτM が設定値τS 以上であるか否かを判定し、ΔτM
<τS であるときには、システム遅れが小さく正常状態
であるものと判断してステップS3sに移行し、異常フ
ラグFAを“0”にリセットしてからシステム遅れ判断
処理を終了してステップS5に移行し、ΔτM ≧τS
あるときには、システム遅れが大きく正常な制御状態を
継続することが困難であるものと判断してステップS3
tに移行し、異常フラグFAを“1”にセットしてから
システム遅れ判断処理を終了してステップS5に移行す
る。
【0039】ここで、停車中に一度システム遅れ判断を
行うと、制御フラグF1が“1”にセットされることか
ら、次回以降のシステム遅れ判断処理では、ステップS
3aからそのままシステム遅れ判断処理を終了すること
になり、システム遅れ判断のためにステップモータ41
iを駆動することによる不必要な減衰係数の変化を防止
して乗心地を向上させることができる。
【0040】このシステム遅れ判断処理で、正常である
と判断されたときには、異常フラグFAが“0”にリセ
ットされるので、図10の処理が実行されたときにステ
ップS9からステップS10に移行する。したがって、
車両が停車中であって、乗員の乗降がないときには、車
体の上下動がないと共に、車体及び車輪間の相対変位も
生じないので、ステップS7及びステップS8で算出さ
れる車体上下速度X2i′及び相対速度XDi′が共に零を
維持しており、ステップS10で算出される減衰係数C
は略零となることにより、ステップS18に移行して、
減衰力可変ショックアブソーバ3iの伸側及び圧側の双
方で最小減衰係数CnMIN及びCaMINに設定する目標ステ
ップ角θTi(θB1〜θB2)を算出し、これと現在のステ
ップ角θPiとからステップ制御量Sを算出し、これをモ
ータ駆動回路59iに出力することにより、ステップモ
ータ41iを目標ステップ角θTiに一致するように駆動
して、減衰力可変ショックアブソーバ3iの減衰力を最
小状態に維持する。
【0041】この停車状態で、乗員の乗降があって、車
体が上下動すると共に、車体及び車輪間に相対変位を生
じると、これに応じた車体上下速度X2i′及び相対速度
Di′が算出されるので、ステップS10でこれらを抑
制するスカイフック制御用減衰係数Cが算出され、車体
上下速度X2i′の向きによって車体の上下動を抑制する
目標ステップ角θTiを算出して、これに対応するステッ
プ角にステップモータ41iを回転駆動して、車体の上
下動を抑制する減衰力を発生させて、制振効果を発揮さ
せる。
【0042】その後、車両が平坦な良路を直線走行する
状態となると、この場合にも車体の上下動が殆どないの
で、ステップS7及びステップS8で算出される車体上
下速度X2i′及び相対速度XDi′も略零となり、前述し
た乗員の乗降のない停車時と同様に伸側及び圧側最小減
衰係数CnMIN及びCaMINとなるステップ角θB1〜θB2
範囲内のステップ角を目標ステップ角θT として設定
し、このステップモータ41iのステップ角が目標ステ
ップ角θT に一致するように駆動される。このため、減
衰力可変ショックアブソーバ3FL〜3RRの弁体31が図
6に示す位置Bにセットされ、これによって、ピストン
8の伸側及び圧側の減衰係数Cが夫々最小減衰係数C
nMIN及びCaMINに設定される。したがって、この状態
で、車輪に路面の細かな凹凸による振動が入力されて
も、これが減衰力可変ショックアブソーバ3iで吸収さ
れて車体に伝達されず、良好な乗心地を確保することが
できる。
【0043】この良路走行状態で、例えば前上がりの段
差等の一過性の段部を通過するときには、この段部通過
によって車体が上下動しないときには、車体上下速度X
2i′が零を維持するので、最小減衰係数CaMIN及びC
nMIN状態を維持するため、車輪が段部に乗り上げたとき
の突き上げ力を吸収することができるが、比較的大きな
段部に乗り上げて、その突き上げ力を吸収しきれないと
きには、車体も上方に変位されることになり、このため
車体上下速度X2i′が正方向に増加することになる。こ
のように、車体上下速度X2i′が正方向に増加すると、
ステップS13に移行して、図8のステップ角θA 〜θ
B1の領域で減衰係数Cに応じた目標ステップ角θTiが算
出されるので、減衰力可変ショックアブソーバ3iの弁
体31が図5に示すように切換制御される。この結果、
段部乗り上げによって相対速度XDi′が負即ち車体側の
変位速度X2i′に対して車輪側の変位速度X1i′が速く
てピストン8が圧側に移動するときには、圧側の最小減
衰係数CaMINを維持しているので、車輪側への振動入力
を吸収することができ、この状態から段部を乗り越える
ことにより車輪側の上昇速度が車体側の上昇速度より小
さくなると相対速度X DFL ′〜XDRR ′が正となってピ
ストン8が伸側に移動することになる。このときには、
減衰係数Cが大きな値となるので、車体の上昇を抑制す
る制振効果を発揮し、その後車体の上昇が停止すると、
車体上下速度X2i′が零となることにより、前述したよ
うにステップモータ41iが反時計方向に回動されて位
置Bに復帰され、これによって圧側及び伸側が共に最小
減衰係数CaMIN及びCnMINに制御され、次いで車体が下
降を開始すると、これに応じて車体上下速度X2i′が負
方向に増加することにより、ステップS12からステッ
プS17に移行して、図8の制御マップを参照してステ
ップ角θB2〜θC の範囲で減衰係数Cに応じた目標ステ
ップ角θT を算出することにより、弁体31がさらに反
時計方向に回動されて、図7に示す回動位置に回動され
る。このため、車体が下降し、且つ相対速度XDi′が負
となってピストン8が圧側に移動する状態では、減衰力
が大きくなることにより、大きな制振効果が発揮され
る。
【0044】逆に車輪が前下がりの段差を通過するとき
には、先ず車輪がリバウンドすることにより、相対速度
Di′が正方向に増加するが、このときには車体は上下
動しないので、車体上下速度X2i′は零であるので、減
衰力可変ショックアブソーバ3iの減衰係数は最小減衰
係数CaMIN及びCnMINを維持し、車輪の下降を許容し、
その後、車体が下降を開始すると、車体上下速度X2i
が負方向に増加すると、減衰係数Cが大きな値となっ
て、ステップ角θB2〜θC の範囲の目標ステップ角θTi
が算出されることになり、弁体31が図7に示す位置に
回動されるため、ピストン8の圧側の移動に対しては大
きな減衰力を与えて大きな制振効果を発揮することがで
き、その後車体上下速度X2i′が小さくなって減衰係数
Cが小さくなるに応じて、弁体31が時計方向に回動さ
れて位置B側に戻り、車体上下速度X2i′が零となる
と、弁体31が位置Bとなって、最小減衰係数CaMIN
びCnM INとなる。その後、車体が揺り戻しによって上昇
を開始すると、車体上下速度X 2i′が正方向に増加する
と共に、相対速度XDi′が正方向となることにより、減
衰係数Cの増加に伴ってステップ角θA 側となる目標ス
テップ角θTiが算出されて、弁体31が時計方向に回動
されて図5に示す位置となることにより、ピストン8の
伸側の移動に対しては大きな減衰力を与えて制振効果を
発揮することができる。
【0045】このように、良路を走行している状態で一
過性の段差を通過する場合には、スカイフック制御によ
って良好な制振効果を発揮することができ、悪路を走行
する場合にも、車体上下速度X2FL ′〜X2RR ′の正
(又は負)によってステップ角θA 側(又はステップ角
θC 側)の目標ステップ角θTiが算出されることによ
り、車体が上昇して相対速度XDFL ′〜XDRR ′が負及
び車体が下降して相対速度XDFL ′〜XDRR ′が正とな
る加振方向であるときに減衰係数Cを最小減衰係数C
aMIN及びCnMINに制御し、逆に車体が上昇して相対速度
DFL ′〜XDRR ′が正及び車体が下降して相対速度X
DFL ′〜XDRR ′が負となる制振方向であるときに減衰
係数Cを上下速度度X2FL ′〜X2RR ′及び相対速度X
DFL ′〜XDRR′に応じた最適な減衰係数に制御して、
良好な乗心地を確保することができる。
【0046】また、悪路を走行する状態でも、上記段差
通過時と同様に、車体が上昇して相対速度XDFL ′〜X
DRR ′が負及び車体が下降して相対速度XDFL ′〜X
DRR ′が正となる加振方向であるときに減衰係数Cを最
小減衰係数CaMIN及びCnMINに制御し、逆に車体が上昇
して相対速度XDFL ′〜XDRR ′が正及び車体が下降し
て相対速度XDFL ′〜XDRR ′が負となる制振方向であ
るときに減衰係数Cを上下速度度X2FL ′〜X2RR ′及
び相対速度XDFL ′〜XDRR ′に応じた最適な減衰係数
に制御されて、良好な乗心地を確保することができる。
【0047】一方、寒冷地での停止状態のように、減衰
力可変ショックアブソーバ3iに封入されている作動油
の粘性が高くなって、システム遅れを生じる場合や、シ
ステムの耐久劣化によってシステム遅れが生じる場合に
は、車両の停車中に図10及び図11の処理が実行され
たときに、そのシステム遅れ判断処理で、システム遅れ
が大きく正常なスカイフック制御が困難であると判断さ
れることになり、異常フラグFAが“1”にセットされ
るので、ステップS9からステップS19に移行するの
で、制御態様が車体上下速度X2i′及び相対速度XDi
に基づくスカイフック制御から車体上下速度X2iのみに
基づくスカイフック近似制御に変更される。
【0048】このスカイフック近似制御では、車体上下
速度X2i′が正即ち車体が上昇する方向にあるときに
は、前記(2)式で算出した減衰係数Cをもとにステッ
プ角θ A 側の目標ステップ角θTiを算出し、車体上下速
度X2i′が負即ち車体が下降する方向にあるときには、
算出した減衰係数Cをもとにステップ角θC 側の目標ス
テップ角θTiを算出することになるため、弁体31の切
換領域としては、前述したスカイフック制御の場合と全
く同じ領域となり、減衰係数Cが車体上下速度X 2i′及
び相対速度XDi′に基づいて算出される代わりに車体上
下速度X2i′にのみ基づいて算出される点が異なる。
【0049】しかしながら、減衰力可変ショックアブソ
ーバ3iの圧側又は伸側の最小減衰力制御は、弁体31
の切換位置によって圧側及び伸側の流路が異なることに
より機械的に自動的に行われので、最小減衰力制御につ
いてもスカイフック制御時と全く変化がなく、制御態様
としては略同一の制御を継続することができる。しか
も、スカイフック近似制御によると、減衰係数Cが
(2)式に従って車体上下加速度検出値X2i″を積分し
た車体上下速度X2i′にのみ基づいて算出されることに
なり、車体上下振動の周波数即ちばね上振動周波数は1
〜2Hz程度とばね下振動周波数の10Hz程度に比較して
十分低いので、システム遅れ時間Δτが大きい場合で
も、図12に示すように、一点鎖線図示の目標係数Cob
に対して破線図示のスカイフック近似制御による減衰係
数Cu の追従性が良く、目標係数Cobに対するはみ出し
面積が小さいので良好な制振効果を発揮することができ
る。
【0050】因みに、システム遅れ時間Δτが大きい状
態で、前述した(1)式に従って減衰係数Cを算出し、
これに基づいてスカイフック制御を行う場合には、図1
2で実線図示のように、目標減衰係数Cobとの差が大き
くなってはみ出し面積が大きくなり、制振性が悪化する
ことになる。このように、上記実施例によると、寒冷地
やシステム耐久劣化等によってシステム遅れ時間Δτが
設定値より大きくなったときに、正常時の車体上下速度
2i′及び相対速度XDi′に基づいて減衰係数Cを算出
するスカイフック制御から車体上下速度X2i′のみに基
づいて減衰係数Cを算出するスカイフック近似制御に切
換えるようにしたので、システム遅れの影響を最小限に
抑制して、制振制御状態を継続することができるので、
制振制御を中止する場合のように制御態様の大きな変化
による操縦安定性や乗心地に大きな影響を与えることを
確実に回避することができる。
【0051】なお、上記実施例においては、車両の停車
時にシステム遅れ時間Δτを計測してシステム遅れ判断
を行うようにした場合について説明したが、これに限定
されるものではなく、車両の走行中に予め設定したシス
テム遅れ測定範囲に一致するステップ角の制御状態が生
じたときに、システム遅れ時間Δτを計測してシステム
遅れ判断を行うようにしてもよく、ステップ角の計測範
囲も任意に設定することができる。
【0052】また、上記実施例においては、システム遅
れ時間Δτを所定回数計測して、その平均値でシステム
遅れ判断を行う場合について説明したが、これに限定さ
れるものではなく、一回の計測値に基づいてシステム遅
れを判断するようにしてもよく、さらには、システム遅
れ時間Δτを数回計測して、このシステム遅れ時間Δτ
が設定値τS を連続して所定回数越えたときにシステム
遅れが大きいと判断するようにしてもよい。
【0053】さらに、上記実施例においては、減衰力可
変ショックアブソーバとして、図8の減衰特性を有する
減衰力可変ショックアブソーバを適用した場合について
説明したが、これに限らず伸側及び圧側の固定オリフィ
スと、これら固定オリフィスをバイパスする開口面積を
電動アキュムレータで変化可能な可変オリフィスとを設
けた減衰力可変ショックアブソーバを適用することもで
き、この場合には、車体上下速度X2i′の方向と、相対
速度XDi′の方向とから制振方向か加振方向であるかを
判断し、X2i′・XDi′>0のときに制振方向と判断し
てスカイフック制御用減衰係数Ck 又はスカイフック近
似制御用減衰係数Cu に制御し、X2i′・XDi′≦0の
ときに加振方向と判断して最小減衰力CMIN に制御す
る。
【0054】さらにまた、上記実施例においては、ステ
ップモータのステップ角をロータリポテンショメータで
検出する場合について説明したが、これに限定されるも
のではなく、ロータリエンコーダ等の任意の回転角検出
手段を適用し得る。なおさらに、上記実施例において
は、サスペンション装置として減衰力可変ショックアブ
ソーバを適用した場合について説明したが、これに限定
されるものはなく、ばね定数を変化可能な空気ばねを適
用することもできる。
【0055】また、上記実施例においては、減衰力を制
御する弁体31をロータリ形に構成した場合について説
明したが、これに限定されるものではなく、スプール形
に構成して、圧側と伸側とで異なる流路を形成するよう
にしてもよく、この場合にはステップモータ41FL〜4
1RRの回転軸41aにピニオンを連結し、このピニオン
に噛合するラックを連結杆42に取り付けるか又は電磁
ソレノイドを適用して弁体31の摺動位置を制御すれば
よい。
【0056】さらに、上記実施例においては、路面から
の振動入力による車体の姿勢変化を抑制する場合につい
て説明したが、これに限らず車両の旋回状態、制動状態
等の走行状態を検出して、これによる車体の姿勢変化を
抑制する制御を併せて行うようにしてもよい。さらにま
た、上記実施例においては、コントローラをマイクロコ
ンピュータ56を適用して構成する場合について説明し
たが、これに限定されるものではなく、図11に示すよ
うに、上下加速度センサ51iの出力を積分して車体上
下速度X2i′を算出する積分器、ストロークセンサ52
iの出力を微分して相対速度X Di′を算出する微分回
路、システム遅れ時間を計数するカウンタ、そのカウン
ト値を設定値と比較する比較器、車体上下速度X2i′及
び相対速度XDi′に基づいて前記(1)式の演算を行う
演算回路、車体上下速度X2i′に基づいて前記(2)式
の演算を行う演算回路、比較器の比較出力に基づいて演
算回路の出力を選択する選択回路、この選択回路の選択
出力に基づいてステップモータを駆動するモータ駆動回
路等の電子回路を組み合わせて構成するようにしてもよ
い。
【0057】なおさらに、上記実施例においては、スト
ロークセンサとしてポテンショメータを適用した場合に
ついて説明したが、これに限定されるものではなく、車
体と路面との相対距離を検出する超音波距離センサ、検
出コイルを使用してインピーダンス変化又はインダクタ
ンス変化によって変位を検出する変位センサ等の任意の
相対変位検出手段を適用し得る。
【0058】また、上記実施例においては、車体2の各
車輪1FL〜1RR位置に上下加速度センサ51FL〜51RR
を設けた場合について説明したが、何れか1つの上下加
速度センサを省略して、省略した位置の上下加速度を他
の上下加速度センサの値から推定するようにしてもよ
い。
【0059】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係るサス
ペンション制御装置によれば、車体側部材及び車輪側部
材間に介装された入力される制御信号に応じて車体姿勢
変化抑制特性を変化させることが可能なサスペンション
装置と、車体の前記サスペンション装置位置での上下加
速度を検出する上下加速度検出手段と、車体側部材及び
車輪側部材の相対変位を検出する相対変位検出手段と、
前記上下加速度検出手段の上下加速度検出値及び相対変
位検出値に基づいて車体の姿勢変化を抑制する前記制御
信号を形成して出力する制御手段とを備えたサスペンシ
ョン制御装置において、前記制御手段で制御信号を出力
してから前記サスペンション装置で車体姿勢変化抑制特
性が変化する迄のシステム遅れを検出するシステム遅れ
検出手段と、該システム遅れ検出手段で検出したシステ
ム遅れが設定値以上となったときに、前記制御手段によ
る制御態様を上下加速度検出値のみに基づいて制御信号
を形成するように変更する制御変更手段とを備えた構成
としたので、寒冷地やシステムの耐久劣化によってシス
テム遅れ時間が大きくなったときに、上下加速度検出値
のみに基づいてサスペンション特性制御を継続すること
ができるので、システム遅れ時間が大きくなったときに
サスペンション特性制御を中止する場合のように、サス
ペンション特性の変化が操縦安定性や乗心地に大きな影
響を与えることを確実に防止することができるという効
果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基本構成を示す概略構成図である。
【図2】本発明の一実施例を示す概略構成図である。
【図3】減衰力可変ショックアブソーバの一例を示す一
部を断面とした正面図である。
【図4】車体上昇時の最大減衰力状態での減衰力調整機
構を示す拡大断面図である。
【図5】車体上昇時の中間減衰力状態での減衰力調整機
構を示す拡大断面図であり、(a)は伸側、(b)は圧
側の作動油経路を夫々示している。
【図6】車体無変動時の減衰力調整機構を示す拡大断面
図であり、(a)は伸側、(b)は圧側の作動油経路を
夫々示している。
【図7】車体下降時の最大減衰力状態での減衰力調整機
構を示す拡大断面図であり、(a)は伸側、(b)は圧
側の作動油経路を夫々示している。
【図8】減衰力可変ショックアブソーバのステップ角に
対する減衰力特性を示す説明図である。
【図9】コントローラの一例を示すブロック図である。
【図10】コントローラの処理手順の一例を示すフロー
チャートである。
【図11】図10のシステム遅れ判断処理のサブルーチ
ンを示すフローチャートである。
【図12】目標減衰係数変化とスカイフック近似制御及
びスカイフック制御における実減衰係数変化との関係を
示す特性線図である。
【符号の説明】
1FL〜1RR 車輪 2 車体 3FL〜3RR 減衰力可変ショックアブソーバ 4 コントローラ 8 ピストン 11 下部半体 12 上部半体 13 伸側油流路 14 圧側油流路 18 伸側ディスクバルブ 19 圧側ディスクバルブ 28 圧側ディスクバルブ 31 弁体 32 貫通孔 33 連通溝 34 長孔 35 ピストンロッド T1〜T3 伸側流路 C1〜C4 圧側流路 41FL〜41RR ステップモータ 44FL〜44RR ポテンショメータ 51FL〜51RR 上下加速度センサ 52FL〜52RR ストロークセンサ 56 マイクロコンピュータ 59FL〜59RR モータ駆動回路

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車体側部材及び車輪側部材間に介装され
    た入力される制御信号に応じて車体姿勢変化抑制特性を
    変化させることが可能なサスペンション装置と、車体の
    前記サスペンション装置位置での上下加速度を検出する
    上下加速度検出手段と、車体側部材及び車輪側部材の相
    対変位を検出する相対変位検出手段と、前記上下加速度
    検出手段の上下加速度検出値及び相対変位検出値に基づ
    いて車体の姿勢変化を抑制する前記制御信号を形成して
    出力する制御手段とを備えたサスペンション制御装置に
    おいて、前記制御手段で制御信号を出力してから前記サ
    スペンション装置で車体姿勢変化抑制特性が変化する迄
    のシステム遅れを検出するシステム遅れ検出手段と、該
    システム遅れ検出手段で検出したシステム遅れが設定値
    以上となったときに、前記制御手段による制御態様を上
    下加速度検出値のみに基づいて制御信号を形成するよう
    に変更する制御変更手段とを備えていることを特徴とす
    るサスペンション制御装置。
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