JP3079224B2 - コバルト錯体触媒を用いるアルカンの酸化生成物の製造方法 - Google Patents

コバルト錯体触媒を用いるアルカンの酸化生成物の製造方法

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JP3079224B2
JP3079224B2 JP10082978A JP8297898A JP3079224B2 JP 3079224 B2 JP3079224 B2 JP 3079224B2 JP 10082978 A JP10082978 A JP 10082978A JP 8297898 A JP8297898 A JP 8297898A JP 3079224 B2 JP3079224 B2 JP 3079224B2
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    • C07ORGANIC CHEMISTRY
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    • C07C45/27Preparation of compounds having >C = O groups bound only to carbon or hydrogen atoms; Preparation of chelates of such compounds by oxidation
    • C07C45/32Preparation of compounds having >C = O groups bound only to carbon or hydrogen atoms; Preparation of chelates of such compounds by oxidation with molecular oxygen
    • C07C45/33Preparation of compounds having >C = O groups bound only to carbon or hydrogen atoms; Preparation of chelates of such compounds by oxidation with molecular oxygen of CHx-moieties

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  • Organic Chemistry (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はコバルト錯体触媒の
存在下、酸素とアルデヒドの作用によってアルカンを酸
化し、アルキルケトン、アルキルアルコール類を合成す
る反応に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、アルキルアルコール及びアルキル
ケトン類は空気中の酸素と固体触媒を高温高圧下で反応
させることにより合成されているが、高い温度で酸素と
反応させることを必要とするため、多くの廃熱を発生
し、安全管理にコストがかかる上、収率も良くなかっ
た。触媒存在下、アルデヒドと酸素を混合することによ
って活性な酸化剤を溶液内に事りだして種々の酸化反応
を行う例がいくつか知られている。金属錯体触媒の存在
下、アルデヒドと酸素から生成する過酸中間体を経てア
ルカンを酸化する反応の例が知られている。これらの反
応における生成物分布は触媒によって変化するが、基本
的な反応中間体が過酸そのものである限りにおいて、ラ
ジカル反応による生成物の分解が速く、生成物の選択性
はよくなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、常温、常圧
付近という温和な条件下での反応により、アルキルアル
コール及びアルキルケトン類を高い収率と優れた選択性
で製造する方法を提供することをその目的とする。本発
明によって常温、常圧付近で種々のアルカンからケトン
ないしはアルコールを酸素酸化によって収率よく製造す
ることが可能となる。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、アルデヒド存在下
において、アルキル炭素化合物を効率よく酸化すること
のできるコバルト金属錯体触媒を含む反応系を見いだし
た。
【0005】本発明で用いられるアルキル炭素化合物
は、環状・非環状を問わず、また、分子内にアリール部
を持つことができる。これらを具体的に例示すると、n
−ヘキサン、シクロヘキサン、シクロオクタン、アダマ
ンタン、インダン等が挙げられる。
【0006】本発明において上記のアルキル炭素化合物
と共存させるアルデヒドは、R−CHOで表され、ここ
でRは長鎖・分岐脂肪族及び芳香族炭化水素を表す。こ
れらを具体的に例示すると、アセトアルデヒド、イソブ
チルアルデヒド、イソバレルアルデヒド、ベンズアルデ
ヒド等である。
【0007】本発明において上記のアルキル炭素化合物
とアルデヒドとの反応は、通常両者のモル比で1:1〜
1:100の範囲で好ましくは1:1〜1:5の範囲で
行われる。
【0008】本発明で触媒として用いられるコバルト金
属錯体は、式
【化3】 (式中、R1及びR2は互いに同一でも異なってもよいア
ルキル基、フェニル基、メチルベンジル基、ベンジル基
又は水素原子を示し、Mは2価のコバルトイオンを示
す)で表される、キノリル基を持つマロンアミド配位子
を有するコバルト錯体である。ここでアルキル基を具体
的に例示すると、n−ブチル、メチル等の低級アルキル
基等が挙げられる。上記触媒の配位子の置換基のうち、
R=n−ブチルのものを用いた場合、分子内のアルキル
基の水酸化が並行しておこり、その生成物は触媒活性を
持たないCo(III)錯体となる。このためRとしてベ
ンジル基や修飾ベンジル基を用いることが収率向上の上
でより望ましい。
【0009】本発明でこれらコバルト金属錯体の量はい
わゆる触媒量でよく、アルキル炭素化合物に対するモル
比で0.00001:1〜0.5:1の範囲で、好まし
くは0.000025:1〜0.1:1の範囲で用いら
れる。
【0010】本発明においては、上記触媒反応に関係し
ない溶媒を用いることができる。例えばハロゲン化アル
キル等が好ましい。しかし、溶媒の使用は必要に応じて
用いられるもので、必要不可欠なものではない。
【0011】本発明において反応は0℃以下でも進行す
るが、好ましい反応速度を達成するためには100℃ま
での温度に加熱することもできる。一般的に好ましい反
応温度は0から70℃の範囲である。
【0012】本発明においては反応中アルデヒドより生
成するカルボン酸を除去するため物質を共存させること
によって収率、選択率の向上を図っている。これらの除
去方法として、具体的にはモレキュラーシーブのような
カルボン酸を吸着する固体や、中和反応によってカルボ
ン酸を系外へと除去する炭酸ナトリウム等の添加があ
る。
【0013】反応により生成するアルコール、又はケト
ン類は、一般に、濾過、蒸留、再結晶、クロマトグラフ
ィー等の有機化学的に通常用いられる手段により、容易
に反応系から分離される。
【0014】本発明において見いだされた酸化反応はア
ルカン一般に対して有効であり、多くの場合種々の生成
物を与える。この反応の有効性を示すためには種々のア
ルカンについて一定温度、一定反応時間での転換率と生
成物の分布を示す。ここでは本発明の特徴を表すため
に、以下に示す化式3から5までの左辺の反応物に注目
し、右辺に示す生成物の分布について調べた結果を示
す。なお、これらの式に示されている生成物は生成物の
すべてではないが、これまでに同定が行われた溶液中の
主要な生成物である。なお本発明の有効な範囲はこれら
実施例に限定されるものではない。
【0015】
【化4】
【0016】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明
するが、本発明はこれらに限定されるのものではない。
【0017】実施例1 配位子2,2−ビス〔N,N’−(6−キノリル)カル
バモイル〕−1,3−ジ(4−メチルフェニル)プロ
ンの合成 この配位子の合成法についてはほぼ文献記載の方法を用
いた(T.Hirose,K.Hiratani,K.
Kasuga,K.Saito,T.Koike,E.
Kimura,Y.Nagawa,H.Nakanis
hi.,J.Chem.Soc.,Dalton Tr
ans.,1992,2679)。ビス(p−メチルベ
ンジル)マロン酸8mmolとチオニルクロライド5m
lを60℃4時間撹拌する。減圧下過剰のチオニルクロ
ライドを除去した後、残査を減圧乾燥する。この残査を
ベンゼン20mlに溶かし、8−アミノキノリン20m
molを加え、1時間撹拌する。これにトリエチルアミ
ン3mlを加え、60℃一晩撹拌した後、溶液を水で洗
浄する。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、硫酸マ
グネシウムを濾過し取り除き、溶液留去する。残査をシ
リカゲル200gを充填剤とし、展開液をクロロホルム
を用いてカラムクロマトクラフィーを行うことにより、
目的物を得た。再結晶はシクロヘキサンで行った。収率
67%FT−IR(KBr):ν(NH)3300、ν
(C=O:1675cm-1
【化5】
【0018】実施例2 配位子5,5−ビス〔N,N−(8−キノリル)カルバ
モイル〕ノナンの合成 この配位子の合成についてもほぼ文献記載の方法を用い
た(T.Hirose,K.Hiratani,K.K
asuga,K.Saito,T.Koike,E.K
imura,Y.Nagawa,H.Nakanish
i.,J.Chem.Soc.,Dalton Tra
ns.,1992,2679)。ジブチルマロン酸8m
molとチオニクロライド5mlを60℃4時間撹拌す
る。減圧下過剰のチオニルクロライドを除去した後、残
査を減圧乾燥する。この残査をベンゼン20mlに溶か
し、8−アミノキノリン20mmolを加え、1時間撹
拌する。これにトリエチルアミン3mlを加え、60℃
一晩撹拌した後、溶液を水で洗浄する。残査をシリカゲ
ル200gを充填剤とし、展開液をクロロホルムを用い
てカラムクロマトクラフィーを行うことにより、目的物
を得た。シクロヘキサン中での再結晶により精製を行
い、文献同様の分析結果を確認した。収率81%。FT
−IR(KBr):3300(νNH)、1680cm-1
(νco)
【化6】
【0019】実施例3 コバルト(II)2,2−ビス〔N,N−(8−キノリ
ル)カルバモイル〕−1,3−ジ(4−メチルフェニ
ル)プロパン錯体の合成(化3)
【化7】 前記生成物1mmolと酢酸コバルト4水和物1mmo
lを窒素雰囲気下、エタノール100ml中撹拌し、水
酸化カリウム2mmol加え、8時間還流する。室温ま
で冷却後、窒素雰囲気下、生成した錯体を濾過し、減圧
乾燥する。収率69%元素分析測定値(C373(N4
2Coとしての計算値) C:71.41(71.49)、H:5.03(4.8
6)、N:8.52(9.01) FAB−MS:m/z622(M+1)。FAB−M
S:m/z622(M+1)。FT−IR(KBr):
1609(νco)、1566、1520、1500、1
262、1386、1319、1288、825、78
7、754cm-1
【0020】実施例4 コバルト(II)5,5−ビス〔N,N−(8−キノリ
ル)カルバモイル〕ノナン錯体の合成(化3)
【化8】 前記生成物1mmolと酢酸コバルト4水和物1mmo
lを窒素雰囲気下、エタノール100ml中撹拌し、水
酸化カリウム2mmol加え、8時間還流する。室温ま
で冷却後、窒素雰囲気下、生成した錯体を濾過し、減圧
乾燥する。収率92% 元素分析測定値(C293CN42Co・0.5H2Oと
しての計算値) C:65.21(65.16)H:5.66(5.8
5)、N:10.35(10.48)FAB−MS:m
/z526(M+1)。FT−IR(KBr):159
9(νco)、1566、1500、1464、139
0、1315、1280、823、785、752cm
-1
【0021】これらのコバルト錯体は、アルデヒド共存
下、アルカンを酸化する能力を有する。以下の実施例に
おいては前記2種類の錯体を触媒として用いた領化反応
について示す。
【0022】試験例1 コバルト(II)2,2−ビス〔N,N−(8−キノリ
ル)カルバモイル〕−1,3−ジ(4−メチルフェニ
ル)プロパン錯体5μmol、シクロヘキサン20mm
ol及びアセトアルデヒド20mmolを含むジクロロ
メタン溶液10mlを酸素下室温で5日間撹拌した。溶
液をガスクロマトクラフィーで分析したところ、変換率
100%で、シクロヘキサノン、シクロヘキサノール
が、用いたシクロヘキサンに対し、それぞれ13%、7
%の収率で得られた。
【0023】試験例2 コバルト(II)2,2−ビス〔N,N−(8−キノリ
ル)カルバモイル〕−1,3−ジ(4−メチルフェニ
ル)プロパン錯体5μmol、シクロヘキサン20mm
ol及びアセトアルデヒド20mmolを含むジクロロ
メタン溶液10mlに、100℃で一晩減圧乾燥したモ
レキュラーシーブ4A2gを加え、酸素下室温で2日間
撹拌した。濾過し、モレキュラーシーブを取り除いた溶
液をガスクロマトクラフィーで分析したところ、変換率
99%で、シクロヘキサノンが用いたシクロヘキサンに
対し、38%の収率で得られた。
【0024】試験例2と同様の方法を用い、錯体、反応
基質及びアルデヒドの種類を変えた種々の条件における
試験例を表1に挙げた。
【0025】この錯体においては分子内酸化反応が進み
やすく、反応後の錯体は触媒として機能しないため、触
媒反応は速やかに失活する。
【0026】アルデヒドと酸素とを触媒の存在下、混合
することによって強い酸化力を有する過酸が生ずること
が知られている(例えば実験化学講座を参照)。またこ
の過酸はある種の金属、金属塩の触媒存在下、アルカン
を酸化する能力があることも知られている(同文献)。
しかしながら過酸の反応中にはラジカル的な中間体が不
可避的に含まれる場合が多く、また過酸そのものの分解
反応も連鎖反応的に進む場合があることから制御が困難
であった。
【0027】前項で述べた過酸を経由すると思われる反
応に金属、金属塩を加えることによって比較的収率良く
穏やかに反応を進ませる能力を持つ触媒系の一例が村橋
らによって見いだされている。(Journal of
Molecular Catalysis, 177
(1997)21−37)この反応例において用いられ
ていた金属錯体は銅錯体、ルテニウム塩、金属鉄など、
様々な種類のものがあるが、ここでの触媒の働きの多く
はラジカル濃度を低く押さえ、生成物分布を偏らせるこ
とにあった。しかしながらこれらの系においては生成物
分布の幅はさほど狭くはできず、また転換率をあげるほ
ど、選択率が下がる傾向が見いだされる。比較のため、
シクロヘキサンを基質として用いたケースについて掲載
されているシクロヘキサノンの収率を挙げると、最高で
仕込んだシクロヘキサンに対して7.8%というデータ
が記載されている。
【0028】本発明における錯体触媒系は酸素とアルデ
ヒドと触媒が共存するという点において、村橋らの反応
系と似ているが、収率、選択率、条件の穏やかさにおい
て明らかに上回る性能を示している。
【0029】本発明における錯体触媒系は、コバルトと
アニオン配位子との組み合わせによって、酸素とアルデ
ヒドから活性酸素を生み出すという点で、向山らの錯体
触媒を用いた酸化反応の系(Bull.Chem.So
c.,Jpr,68,17−35(1995)にも似る
が、本発明における反応系においてはアルカンを酸化で
きるという点では全く異なる反応性を示す。
【0030】アルカンの酸化は一般に困難であり、ほと
んどすべての知られている反応においてラジカルなど、
強い酸化剤を反応サイクル中に想定することができる。
【0031】しかしながら反応速度的考察から、コバル
ト錯体と酸素を含む系においては酸素はまず最初コバル
ト錯体と反応していることが期待される。このときコバ
ルト(II)イオンから酸素分子への分子内電子移動によ
ってCo(III)−O2(・−)のようなスーパーオキシ
ドラジカル様状態が成立することが一般に信じられてい
る。本発明において用いられた錯体触媒は、アミドアニ
オンという高い吸核性を有する配位子であるため、錯体
と酸素との反応は極めて速やかにおこる。
【0032】このスーパーオキシドイオンはコバルトか
ら脱離することはほとんどなく、脱離える場合は酸素と
して脱離するか、他の分子からもう一電子を奪って過酸
化物イオン(ペルオキシドイオン)となるかのいずれか
である。
【0033】配位したペルオキシドイオンないしはスー
パーオキシドイオンはアルデヒドに対する吸核性が酸素
分子そのものよりも高くなっており、これが配位したま
ま過酸中間体の生成を促進する可能性が高い。
【化9】
【0034】村橋らの過酸+触媒系(金属、金属塩を含
む)、向山らのアルデヒド+酸素+錯体触媒系(コバル
ト、ニッケル、マンガンがそれぞれの特徴をもつ)、本
発明における錯体触媒系のいずれにおいても、金属に配
位した過酸ないしは金属から脱離した過酸が反応を引き
起こしている可能性があるものと思われる。しかしなが
ら向山らの系においてはアルケンやケトんなどの官能基
の周囲だけが反応を起こしており、アルカンの酸化が事
実上見いだされていない。また村橋らの系においてはア
ルカンの酸化は見られるものの例えばアダマンタンの反
応における生成物分布は本反応と全く異なっている。
(表3)
【0035】酸素の代わりに、過酸化物を酸化剤として
用い、金属錯体触媒を用いる反応も多数試みられている
が、例えば山口らの反応(文献)においてはやはり本反
応系とは全く異なる生成物分布を示す。(表3)
【0036】本発明における錯体触媒系を用いた反応の
ひとつの問題点は、少なくとも生成物と要じ量だけ生ず
るカルボン酸が、触媒の失格を招いたり、選択率の低下
を招いたりすることであった。この触媒失格の主な原因
はカルボン酸の配位によって安定で触媒不活性なCo
(III)錯体が生成することによると考えられる。
【化10】
【0037】本発明において、失格後の反応溶液中に、
カルボン酸が配位したCo(III)錯体が存在することが
明らかとなった。そこで生成するカルボン酸を系外に除
去する目的でモレキュラーシーブや塩基を添加したとこ
ろ、触媒の寿命が延びると同時に反応の生成物分布にお
ける選択性が向上することが明らかとなった。この事実
から、少なくとも錯体が初期構造を維持している間に関
しては、触媒反応が錯体のこく近傍で、ある程度決まっ
た遷移状態を通って起こりやすいことを示唆する。従っ
てもし過酸中間体が酸化作用を示す主たる中間体である
場合でも、金属に配位した状態で働いていることが想定
される。ひとつ想定しうるの中間体として、過酸がキレ
ート配位した図のような構造が考えられる。この錯体が
cis−配位構造をとりうることは同じ配位子のCo
(III)錯体の結晶構造解析結果からも支持される。(学
会発表)
【化11】
【化12】
【0038】現在までに反応機構の全貌は明らかになっ
ていないが、以上の考察から、ラジカル中間体が反応経
路中に関与している可能性は否定できないものの、収
率、生成物分布に従来の錯体触媒を用いた反応例と比較
した際の、本発明における錯体触媒系の個性が明らかに
現れており、とくに収率、生成物布の選択性において、
本発明における錯体触媒系は優れた性能をもつことが明
らかとなった。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
【表3】
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C07C 49/403 C07C 49/403 A 49/413 49/413 49/423 49/423 49/443 49/443 // B01J 31/22 B01J 31/22 X C07B 61/00 300 C07B 61/00 300 (72)発明者 神林 秀 茨城県つくば市東1丁目1番 工業技術 院物質工学工業技術研究所内 (72)発明者 高橋 利和 茨城県つくば市東1丁目1番 工業技術 院物質工学工業技術研究所内 (72)発明者 春日 和行 茨城県つくば市東1丁目1番 工業技術 院物質工学工業技術研究所内 (72)発明者 足立 貴義 大阪府大阪市西区靭本町二丁目4番11号 大陽東洋酸素株式会社内 (72)発明者 内野 誠 大阪府大阪市西区靭本町二丁目4番11号 大陽東洋酸素株式会社内 (72)発明者 市田 泰三 大阪府大阪市西区靭本町二丁目4番11号 大陽東洋酸素株式会社内 (72)発明者 中辻 利一 東京都港区西新橋一丁目16番7号 日本 酸素株式会社内 (72)発明者 岡本 歩 東京都港区西新橋一丁目16番7号 日本 酸素株式会社内 (72)発明者 仲山 一郎 東京都港区西新橋一丁目16番7号 日本 酸素株式会社内 (72)発明者 伊東 延義 東京都港区西新橋一丁目16番7号 日本 酸素株式会社内 審査官 藤原 浩子 (56)参考文献 特開 平5−246914(JP,A) 特開 昭60−45538(JP,A) 特開 平9−87216(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07C 27/12 310 C07C 29/50 C07C 45/33 C07C 49/385 - 49/483 CAPLUS(STN) REGISTRY(STN)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 R−H(ただし、Rは飽和炭化水素基で
    あるが、反応部位以外に芳香族部がある場合はいとわな
    い)で表される有機化合物を、金属錯体を触媒とし、酸
    素とアルデヒド類の作用のもと、R=OまたはR−OH
    (ただし、Rは前記と同じ意味をもつ)へと変換し、ケ
    トンないしはアルコールを製造する方法において、該金
    属錯体が下記一般式で表される、キノリル基を持つマロ
    ンアミド配位子を有するコバルト錯体であることを特徴
    とする上記方法。 【化1】 (式中、R1及びR2は互いに同一でも異なってもよいア
    ルキル基、フェニル基、メチルベンジル基、ベンジル基
    又は水素原子を示し、Mは2価のコバルトイオンを示
    す)
  2. 【請求項2】 該キノリル基を持つマロンアミド配位子
    が、2,2−ビス[N,N’−(8−キノリル)カルバ
    モイル]−1,3−ジ(4−メチルフェニル)プロパン
    である請求項1の方法。
  3. 【請求項3】 該キノリル基を持つマロンアミド配位子
    が、5,5−ビス[N,N’−(8−キノリル)カルバ
    モイル]ノナンである請求項1の方法。
  4. 【請求項4】 コバルト錯体触媒の寿命を延ばし、触媒
    性能(収率、選択率)を長時間維持する目的で、副生す
    るカルボン酸の除去剤を系中に共存させる請求項1〜3
    のいずれかの方法。
  5. 【請求項5】 副生するカルボン酸の除去剤としてモレ
    キュララーシーブまたはアルカリ金属の炭酸塩を用いる
    請求項4の方法。
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JPH11263738A (ja) 1999-09-28

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