JP3077433B2 - 浸炭歯車の加工−熱処理法 - Google Patents

浸炭歯車の加工−熱処理法

Info

Publication number
JP3077433B2
JP3077433B2 JP05005117A JP511793A JP3077433B2 JP 3077433 B2 JP3077433 B2 JP 3077433B2 JP 05005117 A JP05005117 A JP 05005117A JP 511793 A JP511793 A JP 511793A JP 3077433 B2 JP3077433 B2 JP 3077433B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
machining
steel
normalizing
cold forging
heat treatment
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP05005117A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH06212272A (ja
Inventor
隆 松本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nissan Motor Co Ltd filed Critical Nissan Motor Co Ltd
Priority to JP05005117A priority Critical patent/JP3077433B2/ja
Publication of JPH06212272A publication Critical patent/JPH06212272A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3077433B2 publication Critical patent/JP3077433B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Heat Treatment Of Steel (AREA)
  • Heat Treatment Of Articles (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、浸炭歯車の加工−熱
処理法に関し、とくに機械加工性の低下や成品品質の劣
化を招くことなしに、生産能率の有利な向上を図ろうと
するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、高強度歯車などの機械構造用高強
度鋼の製造に際しては、熱間鍛造や温間鍛造が利用され
てきた(例えば特開昭61−195725号公報及び特開昭62-2
3930号公報等)。しかしながら、成形精度の点では、熱
間鍛造や温間鍛造よりも冷間鍛造の方が優れていること
から、最近では冷間鍛造が多用される傾向にある。この
冷間鍛造工程は、一般に、球状化焼鈍−冷間鍛造−焼準
−機械加工−浸炭焼入れの各工程からなる。ここに球状
化焼鈍処理は、加工性を向上させて、冷間鍛造を容易な
らしめるために施し、また焼準処理は、機械加工を容易
にすると共に、浸炭処理中に結晶粒が粗大化して成品強
度が低下するのを防止するために施されるものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の焼準処
理には1〜5時間もの長時間を要し、生産性が阻害され
るだけでなく、多大なエネルギーを必要とするところに
問題を残していた。とはいえ、焼準処理を省略すると、
機械加工時、とくに旋削加工時における切屑処理性が低
下するだけでなく、後続の浸炭処理時に結晶粒が粗大化
して成品強度の劣化を招く。
【0004】この発明は、上記の問題を有利に解決する
もので、従来不可欠とされた焼準処理を省略しても、切
削性の低下や成品強度の劣化を招くことのない、新規な
浸炭歯車の加工−熱処理法を提案することを目的とす
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】さて発明者らは、上記の
目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、冷間鍛造用鋼
素材中にVを少量添加することが、所期した目的の達成
に関し、極めて有用であることの知見を得た。この発明
は、上記の知見に立脚するものである。
【0006】すなわちこの発明は、0.05wt%(以下単に
%で示す)以上のVを含有させた冷間鍛造用鋼素材に、
球状化焼鈍処理を施し、この球状化焼鈍の際にV炭化物
を析出させたのち、冷間鍛造により予備成形し、ついで
焼準処理を施すことなしに、機械加工を施して所定の歯
車形状に仕上げ、しかるのち浸炭焼入れ処理を施すこと
からなる浸炭歯車の加工−熱処理法である。
【0007】
【作用】この発明に従えば、球状化焼鈍段階でV炭化物
が析出しているので、このV炭化物と球状化組織の軟ら
かさとにより、とくに焼準処理を施さなくても、旋削時
における切削処理性が向上する。また、このV炭化物が
結晶粒界の移動を阻止するので、その後の浸炭処理にお
ける結晶粒の粗大化も有利に回避できる。ここに上記の
効果を得るためには少なくとも0.05%のVの添加が必要
であるので、この発明では、冷間鍛造用鋼素材中に含有
させるべきV量につき、0.05%以上に限定した。しかし
ながら、あまりに多量のV添加は、切削性低下の不利を
招くので、0.5%以下程度とすることが好ましい。
【0008】ここに冷間鍛造用鋼素材としては、機械構
造用鋼であればいずれもが適合するが、とくに好適な鋼
種は次のとおりである。 ・Cr鋼:SCr 415, SCr 420など。 ・Cr−Mo鋼:SCM 415, SCM 420, SCM 421 など。 ・Ni−Cr鋼:SNC 415, SNC 815など。 ・Ni−Cr−Mo鋼:SNCM 220, SNCM 415, SNCM 420など。
【0009】
【実施例】表1に、供試鋼の成分組成を示す。
【表1】 供試鋼は、SCM420を基本組成とし、これにVを種々の量
添加したものであり、鋼及び鋼がVを適量含む発明
鋼である。
【0010】表2に、処理工程を示す。
【表2】 工程Iは、焼準工程を含む従来の工程、工程IIは、焼準
工程を省略したこの発明に従う工程である。なお図1
(a),(b)および(c)にそれぞれ、球状化焼鈍、
焼準および浸炭焼入れ・焼戻し条件を示し、また図2
(a),(b)には、冷間鍛造前後における試験片形状
を示す。
【0011】さて、表3に、基本組成であるSCM420を工
程I及びIIで、またVを添加した鋼,及びについ
ては工程IIで処理したときの、球状化焼鈍後、冷間鍛造
後及び焼準後の硬さについて調べた結果を示す。
【表3】 同表より明らかなように、焼準処理を施したSCM420−I
は、硬さが低下しているが、その他のものはいずれもか
なり高い硬度を呈している。
【0012】次に図3に、上記の焼準材または冷間鍛造
材に、旋削加工を施したときの、切削本数とフランク摩
耗との関係について調べた結果をに示す。なお歯車諸元
は表4に示すとおりである。
【表4】 図3より明らかなように、焼準処理を省略しても、Vを
少量添加することによって、SCM420の焼準材と同程度の
切削性が得られている。この理由は、V炭化物によって
切屑が短く分断され、その結果、切削性が向上するため
である。
【0013】次に図4に、旋削加工後、各鋼材に浸炭焼
入れ処理を施したのちの、V含有量と浸炭層平均結晶粒
径との関係について調べた結果を示す。同図より明らか
なように、焼準処理を省略した工程IIでは、V含有量が
0.05%に満たないと浸炭層の平均結晶粒径が30μm を超
えて粗大化する。これに対し、0.05%以上のVを含有さ
せると、焼準処理を省略しても、結晶粒は30μm 以下の
微細粒に維持される。この理由は、V炭化物が浸炭中
に、粒界をピン止めし、結晶粒の粗大化を効果的に阻止
するためである。
【0014】次に図5に、かくして得られた各歯車の疲
労強度について調べた結果を、サイクル数と歯元応力と
の関係で示す。同図より明らかなように、Vを0.05%以
上含有する鋼及びは、焼準処理を省略した場合であ
っても、従来の焼準材よりも一層優れた疲労強度が得ら
れている。
【0015】
【発明の効果】かくしてこの発明によれば、従来、冷間
鍛造を利用した浸炭歯車の製造において不可避とされ
た、機械加工前の焼準処理を省略したとしても、旋削時
における切削性の劣化を招くことがなく、また浸炭処理
時に結晶粒が粗大化することもないので、工具寿命の低
下や成品強度の劣化を招くことなしに、生産能率の大幅
な向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a),(b)及び(c)はそれぞれ、球状化
焼鈍工程、焼準工程及び浸炭焼入れ・焼戻し工程におけ
る処理条件を示した図である。
【図2】冷間鍛造の前後における試験片形状を示した図
である。
【図3】旋削加工時における切削本数とフランク摩耗と
の関係を示した図である。
【図4】V含有量と浸炭層平均結晶粒径との関係を示し
た図である。
【図5】各歯車のサイクル数と歯元応力との関係を示し
た図である。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 0.05wt%以上のVを含有させた冷間鍛造
    用鋼素材に、球状化焼鈍処理を施し、この球状化焼鈍の
    際にV炭化物を析出させたのち、冷間鍛造により予備成
    形し、ついで焼準処理を施すことなしに、機械加工を施
    して所定の歯車形状に仕上げ、しかるのち浸炭焼入れ処
    理を施すことを特徴とする浸炭歯車の加工−熱処理法。
JP05005117A 1993-01-14 1993-01-14 浸炭歯車の加工−熱処理法 Expired - Fee Related JP3077433B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP05005117A JP3077433B2 (ja) 1993-01-14 1993-01-14 浸炭歯車の加工−熱処理法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP05005117A JP3077433B2 (ja) 1993-01-14 1993-01-14 浸炭歯車の加工−熱処理法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH06212272A JPH06212272A (ja) 1994-08-02
JP3077433B2 true JP3077433B2 (ja) 2000-08-14

Family

ID=11602388

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP05005117A Expired - Fee Related JP3077433B2 (ja) 1993-01-14 1993-01-14 浸炭歯車の加工−熱処理法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3077433B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN101775478B (zh) * 2010-03-30 2011-11-30 青岛奔达汽车配件有限公司 齿圈氮气保护连续式正火工艺

Also Published As

Publication number Publication date
JPH06212272A (ja) 1994-08-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5260460B2 (ja) 肌焼鋼部品およびその製造方法
US4119443A (en) Method for manufacturing hardened machined parts
JPH10219392A (ja) 高周波焼入用部品およびその製造方法
JPH02153018A (ja) 鋼部材の製造方法
JP4266341B2 (ja) 冷間鍛造性及び肌焼処理時の耐粗粒化特性に優れた球状化焼鈍省略肌焼用鋼及びその製造方法
JP3915710B2 (ja) 耐低サイクル衝撃疲労特性に優れた浸炭差動歯車
JP3550886B2 (ja) 被削性および疲労強度に優れた高周波焼入用の歯車用鋼材の製造方法
JPS6127460B2 (ja)
JPH1171654A (ja) 浸炭歯車
JP3077433B2 (ja) 浸炭歯車の加工−熱処理法
JPS6223930A (ja) 高強度平歯車の製造方法
JPH08170146A (ja) 窒化非調質鍛造用鋼および窒化非調質鍛造品
JP3623313B2 (ja) 浸炭歯車部品
JPH0688166A (ja) 耐ヒートクラック性にすぐれる熱間加工用金型
JPH04154936A (ja) 析出硬化型窒化用鋼
JP3629851B2 (ja) プラズマ浸炭用冷間工具鋼
JP3240627B2 (ja) 等速ジョイント部品の製造方法
JP2011094203A (ja) クランクシャフトの製造方法及びクランクシャフト
JPH05339676A (ja) 冷間加工性の優れた機械構造用鋼材およびその製造方法
JP2674644B2 (ja) 機械構造用部品の製造方法
JP3109146B2 (ja) 低歪高強度部材の製造方法
JP3075139B2 (ja) 耐粗粒化肌焼鋼および強度と靱性に優れた表面硬化部品並びにその製造方法
WO2016121371A1 (ja) 肌焼鋼
JPH03111551A (ja) 歯車の製造方法
JP2000087177A (ja) 被削性に優れた冷間工具鋼鋳鋼品とその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees