JP3072716B2 - 内燃エンジンの燃料制御装置 - Google Patents

内燃エンジンの燃料制御装置

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JP3072716B2
JP3072716B2 JP08225723A JP22572396A JP3072716B2 JP 3072716 B2 JP3072716 B2 JP 3072716B2 JP 08225723 A JP08225723 A JP 08225723A JP 22572396 A JP22572396 A JP 22572396A JP 3072716 B2 JP3072716 B2 JP 3072716B2
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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃エンジンの燃
料制御装置に係り、詳しくは、内燃エンジンの始動時に
おける燃料制御技術に関する。
【0002】
【関連する背景技術】内燃エンジンでは、始動直後にお
いては燃料の周囲温度が低く、燃料が気化し難くなって
いる。従って、通常、内燃エンジンの始動直後にあって
は、燃料噴射弁から噴射する燃料噴射量を一時的に増量
するようにし、これにより、燃焼に寄与する燃料量を充
分に確保するようにしている。
【0003】そして、燃焼が完爆状態となったところか
ら燃焼が安定するまで、一時的に増加した燃料量を徐々
に減量させ、最終的に燃料量を内燃エンジンの運転状態
に応じた基準燃料量に戻すようにしている。これによ
り、内燃エンジンの始動性が良好なものとされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、近年では、
有害排出ガス成分の低減や燃費の向上等を図るため、旧
来の吸気管噴射型に代えて燃焼室に直接燃料を噴射する
筒内噴射型のガソリンエンジンが種々提案されている。
筒内噴射型のガソリンエンジンでは、吸気行程のみなら
ず圧縮行程でも燃料を噴射することが可能とされている
ことから、燃料の燃圧を低圧のみならず高圧にして燃料
噴射弁に供給可能とされている。
【0005】そして、このようなガソリンエンジンで
も、上記のように、始動直後において、燃料量を一時的
に増量し、この増量した燃料量を完爆状態となったとこ
ろで徐々に減少させるようにすることが好ましい。とこ
ろが、このように、燃圧を低圧のみならず高圧にできる
ようなガソリンエンジンでは、始動開始時点では低圧と
されているのであるが、完爆状態となり、増量した燃料
量が未だ基準燃料量にまで戻っていないうちに運転状態
等に応じて燃圧が高圧に切り換えられる場合がある。
【0006】このように、燃料量が増量した状態のまま
に燃圧が高圧とされてしまうと、燃料の特性として、高
圧になるほど粒径が小さくなり霧化が進むため、燃料の
燃焼への寄与の度合が大きくされ、増量している分の燃
料が余剰燃料となる虞がある。そして、この余剰燃料に
よって空燃比がオーバリッチとなり、エンジンの始動性
が悪化することになり得、好ましいことではない。
【0007】本発明は、上述した事情に基づきなされた
もので、その目的とするところは、燃圧を低圧または高
圧として燃焼室に向け噴射可能な内燃エンジンにおいて
も、常に良好な始動性を確保可能な内燃エンジンの燃料
制御装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
め、請求項1の発明では、燃料噴射弁に低圧または高圧
の燃圧にして燃料を供給可能な燃料供給手段と、前記燃
料供給手段により供給される燃料の燃圧を内燃エンジン
の作動開始時には低圧とする一方、前記作動開始後には
運転状態に応じて高圧に切換可能な燃圧切換手段と、前
記燃料供給手段から前記燃料噴射弁に供給される燃料量
を前記内燃エンジンの作動開始時に基準量に対し増量す
る燃料増量手段と、前記内燃エンジンの作動開始後の完
爆状態を検出する完爆状態検出手段と、前記完爆状態検
出手段により前記完爆状態が検出されたとき、前記増量
された燃料量を補正する燃料量補正手段と、前記燃圧切
換手段により前記燃料供給手段から供給される燃料の燃
圧が低圧から高圧に切換えられたとき、前記燃料量補正
手段による補正量を変更する燃料補正量変更手段とを備
えたことを特徴としている。
【0009】従って、内燃エンジンの作動開始時には燃
料量が基準量に対して増量されることになるが、この増
量された燃料量は、完爆状態が検出されたときには燃料
量補正手段によって補正される。さらに、燃料供給手段
から供給される燃料の燃圧が燃圧切換手段により低圧か
ら高圧に切換えられたときには、燃料量補正手段による
補正量が燃料補正量変更手段によって変更される。
【0010】これにより、燃圧が低圧から高圧に切換え
られると、燃料の霧化が進んで燃焼に寄与する燃料が増
加することから燃料過剰となりオーバリッチ状態となる
傾向にあるのであるが、このようなオーバリッチ状態が
防止可能とされ、内燃エンジンの始動性が向上する。ま
た、請求項2の発明では、燃料噴射弁に低圧から高圧ま
で燃圧を調節可能にして燃料を供給する燃料供給手段
と、前記燃料供給手段により供給される燃料の燃圧を内
燃エンジンの作動開始時には低圧とする一方、前記作動
開始後には運転状態に応じて高圧まで連続的に可変制御
可能な燃圧制御手段と、前記燃料供給手段により供給さ
れる燃料の燃圧を検出する燃圧検出手段と、前記燃料供
給手段から前記燃料噴射弁に供給される燃料量を前記内
燃エンジンの作動開始時に基準量に対し増量する燃料増
量手段と、前記内燃エンジンの作動開始後の完爆状態を
検出する完爆状態検出手段と、前記完爆状態検出手段に
より前記完爆状態が検出されたとき、前記増量された燃
料量を補正する燃料量補正手段と、前記燃圧検出手段に
より検出される燃圧が所定の高圧となったとき、前記燃
料量補正手段による補正量を変更する燃料補正量変更手
段とを備えたことを特徴としている。
【0011】従って、内燃エンジンの作動開始時には燃
料量が基準量に対して増量されることになるが、この増
量された燃料量は、完爆状態が検出されたときには燃料
量補正手段によって補正される。さらに、燃料供給手段
から供給される燃料の燃圧が低圧から所定の高圧になっ
たことが燃圧検出手段により検出されたときには、燃料
量補正手段による補正量が燃料補正量変更手段によって
変更される。
【0012】これにより、燃圧が低圧から高圧とされる
と、燃料の霧化が進んで燃焼に寄与する燃料が増加する
ことから燃料過剰となりオーバリッチ状態となる傾向に
あるのであるが、このようなオーバリッチ状態が防止可
能とされ、内燃エンジンの始動性が向上する。また、請
求項3の発明では、前記燃料量補正手段は、前記完爆状
態検出手段により前記完爆状態が検出されると、前記増
量された燃料量を前記基準量まで徐々に減量補正するこ
とを特徴としている。
【0013】従って、内燃エンジンの作動開始時には燃
料量が基準量に対して増量されることになるが、この増
量された燃料量は、完爆状態が検出されたときには燃料
量補正手段によって基準量まで徐々に良好に減量補正さ
れる。また、請求項4の発明では、前記燃料補正量変更
手段は、前記燃料量補正手段によって補正される燃料量
の補正度合をさらに大きく変更して補正を継続すること
を特徴としている。
【0014】従って、燃料供給手段から供給される燃料
の燃圧が低圧から高圧になったときには、燃料量補正手
段による補正量が燃料補正量変更手段によってさらに大
きく変更される。これにより、燃圧が低圧から高圧とさ
れると、燃料の霧化が進んで燃焼に寄与する燃料が増加
することから燃料過剰となりオーバリッチ状態となる傾
向にあるのであるが、このようなオーバリッチ状態が好
適に防止され、内燃エンジンの始動性が向上する。
【0015】また、請求項5の発明では、前記燃料補正
量変更手段は、前記燃料量補正手段によって補正される
燃料量を一定量減算して補正を継続することを特徴とし
ている。従って、燃料供給手段から供給される燃料の燃
圧が低圧から高圧になったときには、燃料量補正手段に
よって補正される燃料量が燃料補正量変更手段によって
一定量減算される。
【0016】これにより、燃圧が低圧から高圧とされる
と、燃料の霧化が進んで燃焼に寄与する燃料が増加する
ことから燃料過剰となりオーバリッチ状態となる傾向に
あるのであるが、このようなオーバリッチ状態がより好
適に防止され、内燃エンジンの始動性が向上する。ま
た、請求項6の発明では、前記燃料量補正手段は、第1
の燃料量補正手段とこの第1の燃料量補正手段よりも燃
料量を全体的に小さく補正可能な第2の燃料量補正手段
とを有し、前記完爆状態検出手段により前記完爆状態が
検出されたときには前記第1の燃料量補正手段を選択し
て前記増量された燃料を補正するものであって、前記燃
料補正量変更手段は、前記第2の燃料量補正手段を選択
して補正を継続することを特徴としている。
【0017】従って、燃料供給手段から供給される燃料
の燃圧が低圧から高圧になったときには、第1の燃料量
補正手段よりも燃料量を全体的に小さく補正可能な第2
の燃料量補正手段に基づいて燃料量が補正される。これ
により、燃圧が低圧から高圧とされると、燃料の霧化が
進んで燃焼に寄与する燃料が増加することから燃料過剰
となりオーバリッチ状態となる傾向にあるのであるが、
このようなオーバリッチ状態がより好適に防止され、内
燃エンジンの始動性が向上する。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、本発明の
一実施形態を詳細に説明する。図1は、車両に搭載され
た本発明に係る内燃エンジンの燃料制御装置の一実施形
態を示す概略構成図である。以下、同図に基づき、内燃
エンジン及びその燃料制御装置の構成について説明す
る。
【0019】エンジン1としては、燃焼室に直接燃料を
噴射する方式のものであって、吸気行程での燃料噴射
(前期噴射モード)とともに圧縮行程での燃料噴射(後
期噴射モード)を実施可能な筒内噴射型直列4気筒ガソ
リンエンジンが適用される。この筒内噴射型のエンジン
1では、さらに、希薄空燃比、即ちリーン空燃比での燃
焼が可能とされている。従って、このエンジン1では、
燃焼室を始め吸気装置や排ガス再循環(EGR)を行う
EGR装置(排ガス再循環装置)等が筒内噴射専用に設
計されており、容易にしてリッチ空燃比、理論空燃比
(ストイキオ)AFS、リーン空燃比での運転が実現可
能とされている。
【0020】エンジン1のシリンダヘッド2には、各気
筒毎に点火プラグ3とともに電磁式の燃料噴射弁4も取
り付けられており、これにより、燃焼室5内に燃料が直
接噴射されるようにされている。また、シリンダ6に上
下摺動自在に保持されたピストン7の頂面には、圧縮行
程後期に燃料噴射弁4からの燃料噴霧が到達する位置
に、半球状の窪み、即ちキャビティ8が形成されてい
る。また、このエンジン1の圧縮比は、吸気管噴射型の
ものに比べ高く(例えば、12程度)設定されている。
動弁機構としてはDOHC4弁式が採用されており、シ
リンダヘッド2の上部には、吸排気弁9,10をそれぞ
れ駆動すべく、吸気側カムシャフト11と排気側カムシ
ャフト12とが回転自在に支持されている。
【0021】シリンダヘッド2には、両カムシャフト1
1,12の間を抜けるようにして、略直立方向に吸気ポ
ート13が形成されており、この吸気ポート13を通過
した吸気流は燃焼室5内において、通常のタンブル流と
は逆方向の逆タンブル流を発生可能とされている。一
方、排気ポート14については、通常のエンジンと同様
に略水平方向に形成されているが、斜め下方に向け大径
の排ガス再循環ポート、即ちEGRポート15が分岐し
ている。
【0022】図中、符号16は冷却水温Twを検出する
水温センサである。また、符号17は各気筒の所定のク
ランク位置(例えば、5°BTDCおよび75°BTDC)でク
ランク角信号SGTを出力するベーン型のクランク角セン
サであり、このクランク角センサ17はクランク角信号
SGTに基づきエンジン回転速度Neを検出可能とされて
いる。符号19は点火プラグ3に高電圧を出力する点火
コイルである。なお、クランクシャフトの半分の回転数
で回転するカムシャフトには、気筒判別信号SGCを出力
する気筒判別センサ(図示せず)が設けられており、こ
れにより、上記クランク角信号SGTがどの気筒のものか
判別可能とされている。
【0023】吸気ポート13には、サージタンク20を
有する吸気マニホールド21を介して、スロットルボデ
ィ23、吸気量補正手段として機能するステッパモータ
式の#1ABV(第1エアバイパスバルブ)24、エア
フローセンサ32及びエアクリーナ22を備えた吸気管
25が接続されている。吸気管25には、スロットルボ
ディ23を迂回して吸気マニホールド21に吸気を行う
大径のエアバイパスパイプ26が併設されており、その
管路にはリニアソレノイド式で大型の#2ABV(第2
エアバイパスバルブ)27が設けられている。なお、エ
アバイパスパイプ26は、吸気管25に準ずる流路面積
を有しており、#2ABV27の全開時にはエンジン1
の低中速域で要求される量の吸気が可能とされている。
【0024】また、スロットルボディ23には、流路を
開閉するバタフライ式のスロットルバルブ28ととも
に、スロットルバルブ28の開度、即ちスロットル開度
θthを検出するスロットル弁開度センサとしてのスロッ
トルポジションセンサ(以下、TPSという)29と、
スロットルバルブ28の全閉状態を検出してエンジン1
のアイドリング状態を検出するアイドルスイッチ30と
が備えられている。なお、実際には、TPS29から
は、スロットル開度θthに応じたスロットル電圧Vthが
出力され、このスロットル電圧Vthに基づいてスロット
ル開度θthが認識される。
【0025】上記エアフローセンサ32は、吸入空気量
Qaを検出するものであって、例えば、カルマン渦式フ
ローセンサが使用される。一方、排気ポート14には、
実際の空燃比(実A/F)を検出可能なO2センサ40
が取付けられた排気マニホールド41を介して、三元触
媒42や図示しないマフラー等を備えた排気管43が接
続されている。また、上述のEGRポート15は、大径
のEGRパイプ44を介して、吸気マニホールド21の
上流に接続されており、その管路にはステッパモータ式
のEGRバルブ45が設けられている。
【0026】燃料タンク50は、車両の図示しない車体
後部に設置されている。燃料タンク50に貯留された燃
料は、電動式の低圧燃料ポンプ(燃料供給手段)51に
吸い上げられ、低圧フィードパイプ52を介してエンジ
ン1側に送給される。低圧フィードパイプ52内の燃圧
は、リターンパイプ53の管路に介装された第1燃圧レ
ギュレータ54により、比較的低圧(低燃圧)に調圧さ
れる。エンジン1側に送給された燃料は、シリンダヘッ
ド2に取り付けられた高圧燃料ポンプ(燃料供給手段)
55により、高圧フィードパイプ56とデリバリパイプ
57とを介して、各燃料噴射弁4に送給される。
【0027】高圧燃料ポンプ55は、例えば斜板アキシ
ャルピストン式であり、カムシャフト12により駆動さ
れ、エンジン1のアイドル運転時においても5MPa〜
7MPa以上の吐出圧を発生可能とされている。そし
て、デリバリパイプ57内の燃圧は、リターンパイプ5
8の管路に介装された第2燃圧レギュレータ59によ
り、比較的高圧(高燃圧)に調圧される。
【0028】図中、符号60は第2燃圧レギュレータ5
9に取付けられた電磁式の燃圧切換弁である(燃圧切換
手段)。この燃圧切換弁60は、オン状態で燃料をリリ
ーフし、これによりデリバリパイプ57内の燃圧を低燃
圧に低下させることが可能である。また、符号61は高
圧燃料ポンプ55の潤滑や冷却等に利用された一部の燃
料を燃料タンク50に還流させるリターンパイプであ
る。
【0029】車両の車室内には、入出力装置、制御プロ
グラムや制御マップ等の記憶に供される記憶装置(RO
M,RAM,BURAM等)、中央処理装置(CP
U)、タイマカウンタ等を備えたECU(電子制御ユニ
ット)70が設置されており、このECU70によっ
て、エンジン1の総合的な制御が実施される。ECU7
0の入力側には、上述した各種センサ類が接続されてお
り、これら各種センサ類からの検出情報が入力する。E
CU70は、これらの検出情報に基づき、燃料噴射モー
ドを始めとして、燃料噴射量、点火時期、EGRガスの
導入量等を決定し、燃料噴射弁4や点火コイル19、E
GRバルブ45等を駆動制御する。なお、ECU70の
入力側には、説明を省略するが、上記各種センサ類の
他、図示しない多数のスイッチやセンサ類が接続されて
おり、一方、出力側にも図示しない各種警告灯や機器類
等が接続されている。
【0030】次に、上記のように構成されたエンジン1
の燃料制御装置におけるエンジン始動時の作用、即ち、
本発明に係るエンジン始動時の燃料増量制御について説
明する。エンジン1が停止し冷機状態にあるときには、
運転者がイグニッションキーをオン操作すると、ECU
70は、低圧燃料ポンプ51と燃圧切換弁60をオンに
して、燃料噴射弁4に低燃圧の燃料を供給する。
【0031】そして、運転者がイグニッションキーをス
タート操作すると、図示しないセルモータによりエンジ
ン1がクランキングされて始動状態とされる、同時にE
CU70により燃料制御を含む燃焼制御が開始される。
このとき、ECU70は、前期噴射モード(即ち、吸気
行程噴射モード)を選択するとともに、比較的リッチな
空燃比となるように燃料を増量して噴射する。つまり、
ECU70は燃料増量制御を実施する。これは、冷機時
には燃料の気化率が低いことに基づいている。即ち、燃
料を増量することで、燃焼に寄与する燃料を充分に確保
するのである。なお、ECU70は、このような始動時
においては#2ABV27を閉鎖する。従って、この場
合、燃焼室5への吸気はスロットルバルブ28の隙間や
#1ABV24を介して行われる。
【0032】以下、ECU70が実施する燃料増量制御
の制御手順について説明する。なお、ここでは、燃料増
量制御として実施例1乃至実施例3の3つの実施形態に
ついて説明する。先ず、実施例1について説明する。図
2を参照すると、実施例1の燃料増量制御ルーチンを示
すフローチャートが示されており、以下、図2に基づき
説明する。
【0033】ステップS10では、エンジン1がクラン
キングされて作動開始され、始動中であるか否か、即
ち、燃料への着火が確実となる完爆状態に至るまでの初
爆、連爆状態であるか否かを判別する。この完爆状態
は、例えば、クランク角センサ17からの情報に基づく
エンジン回転速度Neが所定値Ne2となったか否かによ
って判別される(完爆状態検出手段)。判別結果が真
(Yes)で、エンジン1が始動中と判定された場合に
は、次にステップS12に進む。
【0034】ステップS12では、燃料噴射量Fを始動
時燃料量F0とする。つまり、比較的リッチな空燃比と
なるように燃料を増量して噴射する(燃料増量手段)。
この場合、始動時燃料量F0は、水温センサ16からの
冷却水温情報Tw等に基づいて設定される。そして、次
のステップS14では、この始動時燃料量F0に応じた
燃料増量係数KSTを燃料増量係数KSTの初期値として設
定する。この燃料増量係数KSTは、後述する基準燃料噴
射量FBの場合を基準値1として設定される燃料の増量
比である。
【0035】燃焼が完爆状態となって始動中でなくなる
と、ステップS10の判別結果は偽(No)と判別さ
れ、次にステップS16に進む。ステップS16では、
始動解除状態であるか否かを判別する。始動解除状態と
は、つまり、エンジン1のクランキングが良好に解除さ
れた状態をいう。例えば、エンジン1のクランキングが
解除されたときにエンジン1が完爆状態にないような場
合には、ステップS16の判別結果は偽と判別される。
このような場合には、エンジンストールの発生等が予測
されることから、次にステップS18に進み、燃料噴射
量Fを値0として燃料噴射を停止する。一方、ステップ
S16の判別結果が真で、エンジン1のクランキングが
良好に解除されていると判定された場合には、次にステ
ップS20に進む。
【0036】ステップS20では、燃圧が低燃圧状態で
あるか否かを判別する。通常、エンジン1の作動開始直
後には、低圧燃料ポンプ51と燃圧切換弁60はオン状
態とされ、さらに第1燃圧レギュレータ54によって燃
圧は低燃圧とされる。そして、その後、燃焼が完爆状態
となってエンジン回転速度Neが上昇し、例えば所定値
Ne1(例えば、1200rpm)となると、燃圧切換弁6
0がオフ状態とされ、これにより、燃圧は第2燃圧レギ
ュレータ59により高燃圧に調圧される。
【0037】つまり、このステップS20では、エンジ
ン回転速度Neに応じて燃圧切換弁60がオン状態に保
持され、燃圧が低燃圧とされているか否かを判別する。
ステップS20の判別結果が真で、燃圧が低燃圧と判定
された場合には、次にステップS22に進む。ステップ
S22では、上記のように初期値に設定した燃料増量係
数KSTを次式(1)により減量補正する(燃料量補正手
段)。
【0038】KST=KST−α …(1) ここに、αは定数であって、燃料増量係数KSTの初期値
よりも充分小さく設定されている。そして、次のステッ
プS26において、燃料噴射量Fを次式(2)から算出す
る。
【0039】F=FB・KST・K1+K2 …(2) ここに、K1、K2は各種燃料補正係数であり、FBは、
エンジン回転速度Neとエンジン負荷とに基づいて設定
された基準燃料噴射量である。つまり、ここでは、上記
ステップS12において始動時燃料量F0とされた燃料
噴射量Fが、燃料増量係数KSTの減少に応じて減量され
て新たな燃料噴射量Fに更新される。
【0040】このようにして燃料噴射量Fが更新された
ら、次にステップS28において、燃料増量係数KSTが
基準値1であるか否かを判別する。燃料増量係数KSTが
基準値1である場合とは、つまり、式(2)から明らかな
ように、燃料噴射量Fが基準燃料噴射量FBとなった場
合を意味している。ステップS28の判別結果が偽で、
燃料増量係数KSTが未だ基準値1に達していない場合に
は、当該ルーチンを繰り返し実行する。そして、ステッ
プS10,S16を経てステップS20の判別結果が真
と判別されている間は、ステップS22を実行し、上記
式(1)により燃料増量係数KSTを減算し続ける。これに
より、一旦増量された燃料噴射量Fは、エンジン回転速
度Neの上昇とともに徐々に良好に通常の基準燃料噴射
量FBに戻されることになる。
【0041】そして、エンジン回転速度Neが上昇して
所定値Ne1となり、燃圧切換弁60がオフ状態とされる
と、燃圧は高燃圧とされるため、ステップS20の判別
結果は偽となり、この場合には、次にステップS24に
進む。ステップS24では、次式(3)により燃料増量係
数KSTを減量補正する(燃料補正量変更手段)。
【0042】KST=KST−β …(3) ここに、βは上記定数αと同様の定数であるが、この定
数βは定数αよりも大きな値に設定されている(β>
α)。つまり、式(3)では、燃料増量係数KSTの減少率
が大きくされている。そして、上記同様にして、ステッ
プS26において燃料噴射量Fが算出され、ステップS
28において、燃料増量係数KSTが基準値1であるか否
かを判別する。
【0043】通常、燃圧が高燃圧とされると、エンジン
1が運転状態にある限りは高燃圧の状態に保持されるた
め、一旦ステップS20の判別結果が偽とされ、その後
当該ルーチンが繰り返し実行されると、ステップS24
において燃料増量係数KSTが定数βで減算され続ける。
そして、燃料増量係数KSTが基準値1にまで減算され、
ステップS28の判別結果が真とされると、燃料噴射量
Fは通常の基準燃料噴射量FBとされ、当該ルーチンは
終了する。これにより、始動時の燃料制御が完了する。
【0044】ここで、図5を参照すると、エンジン1の
始動時における燃料増量係数KSTの時間変化のタイムチ
ャートが示されており、上記当該実施例1の場合の燃料
増量係数KSTの燃圧切換わり後の時間変化が二点鎖線で
示してある。同図には、燃圧が切換わった後も従来のよ
うに上記式(1)で算出し続けた場合の燃料増量係数KST
の時間変化を合わせて実線で示してあるが、同図から明
らかなように、実施例1の場合にあっては、一旦燃料噴
射量Fが始動時燃料量F0とされて比較的大きな値とさ
れた燃料増量係数KSTは、燃圧が低燃圧から高燃圧に切
換わったときには、実線よりも大きな勾配、つまり低燃
圧時よりも大きなテーリング速度を有して速やかに基準
値1に向けて減少している。即ち、燃料噴射量Fが速や
かに基準燃料噴射量FBに向けて減少している。
【0045】従って、燃圧が低燃圧から高燃圧に切換わ
ると、燃料粒径が小さくなることから燃料の霧化が進ん
で燃焼に寄与する燃料が多くなり、故に燃料噴射量Fを
基準燃料噴射量FBよりも大きくした状態のままに高燃
圧とすると、余剰燃料が多く発生し、空燃比がオーバリ
ッチ気味となって燃焼悪化が発生する虞があるのである
が、このようなオーバリッチ状態が好適に防止されるこ
とになり、エンジン1の始動性が向上することになる。
また、燃料噴射量Fが低減されることで、未燃燃料の排
出が抑えられるとともに、燃費が向上することにもな
る。
【0046】なお、図5中の一点鎖線は実施例2の場
合、破線は実施例3の場合を示しており、これらについ
ては後述する。次に実施例2について説明する。図3を
参照すると、実施例2の燃料増量制御ルーチンを示すフ
ローチャートが示されており、以下、図3に基づき説明
する。
【0047】なお、図3中のステップS110乃至ステ
ップS118については上記実施例1における図2中の
ステップS10乃至ステップS18と同様であるため、
ここでは説明を省略し、ステップS120以降について
説明する。但し、この実施例2では、後述するように燃
料増量係数(第1の燃料量補正手段)KST1と燃料増量
係数(第2の燃料量補正手段)KST2の2つの燃料増量
係数を算出している。従って、ステップS114におい
ては、始動時燃料量F0に応じて、これら燃料増量係数
KST1と燃料増量係数KST2のそれぞれについて初期値を
設定するようにする(但し、KST1>KST2)。
【0048】ステップS120では、上記図2中のステ
ップS20と同様にして、燃圧が低燃圧状態であるか否
かを判別する。ステップS120の判別結果が真で、燃
圧が低燃圧と判定された場合には、次にステップS12
2に進む。ステップS122では、実際に使用する燃料
増量係数KSTを次式(4)により求める。
【0049】KST=KST1 …(4) つまり、燃圧が低燃圧状態である場合には、燃料増量係
数KSTとして燃料増量係数KST1を選択するのである。
そして、次のステップS126において、上記実施例1
のステップS26の場合と同様に燃料噴射量Fを次式
(5)から算出する。
【0050】F=FB・KST・K1+K2 …(5) 次のステップS128では、燃料増量係数KST1を次式
(6)により減量補正する(燃料量補正手段)。 KST1=KST1−α …(6) この式(6)は、上記実施例1の場合の式(1)と同様のもの
である。但し、定数αについては、式(1)のものと必ず
しも一致していなくてもよい。
【0051】そして、ステップS130では、今度は燃
料増量係数KST2を次式(7)により上記式(6)と同様に減
量補正する。 KST2=KST2−α …(7) この式(7)においても、定数αについては、式(1)のもの
と必ずしも一致していなくてもよい。また、この定数α
は上記式(6)中の定数αと異なっていてもよい。
【0052】さらに、ステップS132において、上記
図2中のステップS28と同様にして、燃料増量係数K
STが基準値1であるか否かを判別する。判別結果が偽
で、燃料増量係数KSTが未だ基準値1に達していない場
合には、当該ルーチンを繰り返し実行する。そして、ス
テップS110,S116を経てステップS120の判
別結果が真と判別されている間は、ステップS122を
実行し、上記式(4)により燃料増量係数KSTを燃料増量
係数KST1のままとする。
【0053】そして、エンジン回転速度Neが上昇して
所定値Ne1となり、燃圧切換弁60がオフ状態とされる
と、燃圧は高燃圧とされるため、ステップS120の判
別結果は偽となり、この場合には、次にステップS12
4に進む。ステップS124では、実際に使用する燃料
増量係数KSTを次式(8)により求める(燃料補正量変更
手段)。
【0054】KST=KST2 …(8) つまり、燃圧が高燃圧状態である場合には、燃料増量係
数KSTとして燃料増量係数KST1よりも小さい燃料増量
係数KST2を選択するのである。そして、上記同様にし
て、ステップS126において燃料噴射量Fが算出さ
れ、ステップS128,S130において、燃料増量係
数KST1,KST2が減算され、ステップS132において
燃料増量係数KSTが基準値1であるか否かが判別され
る。
【0055】燃料増量係数KSTが基準値1にまで減算さ
れ、ステップS132の判別結果が真とされると、燃料
噴射量Fは通常の基準燃料噴射量FBとされ、当該ルー
チンは終了される。ここで、再び図5を参照すると、当
該実施例2の場合の燃料増量係数KST1の時間変化が実
線(上記従来の場合に同じ)で、また、燃料増量係数K
ST2の時間変化が一点鎖線で示されている。このよう
に、実施例2の場合にあっては、一旦燃料噴射量が始動
時燃料量F0とされ、大きな値とされた燃料増量係数KS
Tは、燃圧が低燃圧から高燃圧に切換わったときには、
燃料増量係数KST1から燃料増量係数KST2(KST1>KS
T2)に切換えられている。つまり、燃料増量係数KST
は、燃圧が低燃圧から高燃圧に切換わった時点で大きく
減少されているのである。これにより、上記実施例1の
場合と同様に、燃料噴射量Fが速やかに基準燃料噴射量
FBとされ、実施例1の場合と同様の効果を奏すること
になる。
【0056】なお、この実施例2では、実施例1の場合
と異なり、燃圧が低燃圧から高燃圧に切換わった瞬間に
燃料増量係数KSTが減少させられている。従って、この
場合には、極めて速やかにオーバリッチ状態となること
が防止されることになり、エンジン1の始動性がより向
上する。次に実施例3について説明する。
【0057】図4を参照すると、実施例3の燃料増量制
御ルーチンを示すフローチャートが示されており、以
下、図4に基づき説明する。なお、図4中のステップS
210乃至ステップS218についてはやはり実施例1
における図2中のステップS10乃至ステップS18と
同様であるため、ここでは説明を省略し、ステップS2
20以降について説明する。
【0058】ステップS220では、上記図2中のステ
ップS20と同様にして、燃圧が低燃圧状態であるか否
かを判別する。ステップS220の判別結果が真で、燃
圧が低燃圧と判定された場合には、次にステップS22
2に進む。ステップS222では、実施例1の場合と同
様にして燃料増量係数KSTを次式(9)により減量補正す
る(燃料量補正手段)。
【0059】KST=KST−α …(9) そして、次のステップS230において、上記実施例
1,2の場合と同様に燃料噴射量Fを次式(10)から算出
する。 F=FB・KST・K1+K2 …(10) さらに、ステップS232において、上記図2中のステ
ップS28と同様にして、燃料増量係数KSTが基準値1
であるか否かを判別する。判別結果が偽で、燃料増量係
数KSTが未だ基準値1に達していない場合には、当該ル
ーチンを繰り返し実行する。そして、ステップS21
0,S216を経てステップS220の判別結果が真と
判別されている間は、ステップS222を実行し、上記
式(9)により燃料増量係数KSTを減算し続ける。
【0060】そして、エンジン回転速度Neが上昇して
所定値Ne1となり、燃圧切換弁60がオフ状態とされる
と、燃圧は高燃圧とされるため、ステップS220の判
別結果は偽となり、この場合には、次にステップS22
4に進む。ステップS224では、燃圧が高燃圧に切換
えられた直後であるか否かを判別する。判別結果が真
で、燃圧が高燃圧に切換えられた直後である場合には、
次にステップS226に進む。
【0061】ステップS226では、燃料増量係数KST
を所定値(一定量)γだけ減算する(燃料補正量変更手
段)。この所定値γは上記定数αよりも充分に大きな値
とされる。そして、ステップS230,S232を経て
当該ルーチンが繰り返し実行され、次にステップS22
4が実行されたときには、もはや燃圧が高燃圧に切換え
られた直後ではない。従って、この場合には、ステップ
S224の判別結果は偽であり、次にステップS228
に進む。
【0062】ステップS228では、燃料増量係数KST
を次式(11)により減量補正する。 KST=KST−α …(11) この式(11)は上記式(9)と同様のものであるが、定数α
については必ずしも一致していなくてもよい。そして、
上記同様にして、ステップS230において燃料噴射量
Fが算出され、ステップS232において燃料増量係数
KSTが基準値1であるか否かが判別される。燃料増量係
数KSTが基準値1にまで減算されてステップS232の
判別結果が真とされると、燃料噴射量Fは通常の基準燃
料噴射量FBとされ、当該ルーチンは終了される。
【0063】ここで、改めて図5を参照すると、当該実
施例3の場合の燃料増量係数KSTの高燃圧切換後の時間
変化が破線で示されている。このように、実施例3の場
合にあっては、一旦始動時燃料量F0とされ、大きな値
とされた燃料増量係数KSTは、燃圧が低燃圧から高燃圧
に切換わったときには、所定値γだけ大きく減算されて
いる。これにより、上記実施例1,2の場合と同様に、
燃料噴射量Fが速やかに基準燃料噴射量FBとされるこ
とになり、上記同様の効果を奏することになる。
【0064】なお、この実施例3においても、上記実施
例2の場合と同様、燃圧が低燃圧から高燃圧に切換わっ
た瞬間に燃料増量係数KSTが減少させられている。従っ
て、この実施例3の場合にも、極めて速やかにオーバリ
ッチ状態となることが防止されることになり、エンジン
1の始動性が実施例1の場合よりも向上する。以上、実
施例1乃至実施例3に基づき詳細に説明したように、本
発明の内燃エンジンの燃料制御装置では、燃料増量制御
を実行することで、エンジン1の始動時に増量している
燃料噴射量Fを徐々に通常の基準燃料噴射量FBに戻す
べく燃料噴射量Fに対応する燃料増量係数KSTをテーリ
ングさせるようにしており、さらに、燃圧が低燃圧から
高燃圧に切換わったときには、燃料増量係数KSTの補正
量を減少量が増加する側に変更するようにしている。
【0065】従って、燃圧が低燃圧から高燃圧に切換わ
ると、燃料粒径が小さくなることから燃料の霧化が進ん
で燃焼に寄与する燃料が多くなり、故に燃料噴射量Fを
基準燃料噴射量FBよりも大きく増量した状態のままに
高燃圧とすると、余剰燃料が多く発生し、空燃比がオー
バリッチ気味となって燃焼悪化が発生する虞があるので
あるが、このようなオーバリッチ状態が好適に防止され
ることになり、エンジン1の始動性が向上することにな
る。
【0066】さらには、燃料噴射量Fが低減されること
で、未燃燃料の排出が抑えられ、燃費も向上する。な
お、上記実施形態では、エンジン回転速度Neに基づい
て燃圧切換弁60をオフ操作することで燃圧を低燃圧か
ら高燃圧に切換え、この切換えに基づいて燃料増量係数
KSTを変更するようにしたが、例えば、エンジン回転速
度Ne等の運転情報に基づいて燃圧を低燃圧から高燃圧
まで連続的に可変制御可能な燃料制御装置にあっては、
燃圧検出手段を設けて燃圧が所定の高燃圧となったとき
に燃料増量係数KSTを変更させるようにしてもよい。
【0067】図6を参照すると、燃圧と燃料粒径との関
係を示すグラフが示されており、同図に示すように、燃
料粒径は燃圧の上昇とともに小さくされるのであるが、
例えば、このように燃料粒径が小さくなって略一定値に
安定したときの燃圧を所定の高燃圧P1(例えば、3M
Pa)に設定し、燃圧がこの所定の高燃圧P1となったこ
とによって低燃圧から高燃圧への切換わりを判別し燃料
増量係数KSTの補正量を変更するようにしてもよい。
【0068】これにより、燃料粒径が最小になり燃料の
霧化が良好になった好適なタイミングで燃料増量係数K
STを変更することが可能となり、やはり、エンジン1の
始動時において空燃比がオーバリッチ状態となることが
防止され、エンジン1の始動性が向上する。また、上記
実施形態では、エンジン1が完爆状態となってから燃圧
が高燃圧に切換えられるまでの低燃圧の間は、例えば実
施例1における式(1)に基づき燃料増量係数KSTを直線
的に一様に減少させるようにしている。しかしながら、
始動時燃料量F0は多い方が良い一方、完爆状態となっ
た後には速やかに燃料噴射量Fを所定量まで減少させる
のが良いとされる。従って、図5中に示すように、始動
時燃料量F0をさらに多くする一方、完爆状態となった
後所定の燃料増量係数値KSTXとなるまでの間は、燃料
増量係数を燃料増量係数KST’に基づき急勾配で変化さ
せるようにしてもよい。これにより、エンジン1の始動
性がより一層向上することとなり効果的である。
【0069】また、上記実施形態では、燃料を燃焼室に
直接噴射可能な筒内噴射型の内燃エンジンに燃料制御装
置を適用するようにしたが、これに限られず、燃圧を低
圧と高圧間で切換制御可能な吸気管噴射型の内燃エンジ
ンに適用するようにしてもよい。
【0070】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、請求項1
の内燃エンジンの燃料制御装置によれば、内燃エンジン
の作動開始時には燃料量が基準量に対して増量されるこ
とになるが、完爆状態が検出されたときには、この増量
された燃料量を燃料量補正手段によって良好に補正する
ことができる。さらに、燃料供給手段から供給される燃
料の燃圧が燃圧切換手段により低圧から高圧に切換えら
れたときには、燃料量補正手段による補正量を燃料補正
量変更手段によって好適に変更するようにできる。
【0071】従って、燃圧が低圧から高圧に切換えられ
ると、燃料の霧化が進んで燃焼に寄与する燃料が増加す
ることから燃料過剰となりオーバリッチ状態となる傾向
にあるのであるが、このようなオーバリッチ状態を防止
可能となり、内燃エンジンの始動性を向上させることが
可能となる。また、請求項2の内燃エンジンの燃料制御
装置によれば、内燃エンジンの作動開始時には燃料量が
基準量に対して増量されることになるが、完爆状態が検
出されたときには、この増量された燃料量を燃料量補正
手段によって良好に補正することができる。さらに、燃
料供給手段から供給される燃料の燃圧が低圧から所定の
高圧になったことが燃圧検出手段により検出されたとき
には、燃料量補正手段による補正量を燃料補正量変更手
段によって好適に変更するようにできる。
【0072】従って、燃圧が低圧から高圧とされると、
燃料の霧化が進んで燃焼に寄与する燃料が増加すること
から燃料過剰となりオーバリッチ状態となる傾向にある
のであるが、このようなオーバリッチ状態を防止可能と
なり、内燃エンジンの始動性を向上させることが可能と
なる。また、請求項3の内燃エンジンの燃料制御装置に
よれば、内燃エンジンの作動開始時には燃料量が基準量
に対して増量されることになるが、完爆状態が検出され
たときには、この増量された燃料量を燃料量補正手段に
よって基準量まで徐々に減量補正することができる。つ
まり、増量された燃料量を良好に基準量に戻すようにで
きる。
【0073】また、請求項4の内燃エンジンの燃料制御
装置によれば、燃料供給手段から供給される燃料の燃圧
が低圧から高圧になったときには、燃料量補正手段によ
る補正量を燃料補正量変更手段によってさらに大きく変
更するようにできる。従って、燃圧が低圧から高圧とさ
れたときのオーバリッチ状態を好適に防止することがで
き、内燃エンジンの始動性を向上させることができる。
【0074】また、請求項5の内燃エンジンの燃料制御
装置によれば、燃料供給手段から供給される燃料の燃圧
が低圧から高圧になったときには、燃料量補正手段によ
って補正される燃料量を燃料補正量変更手段によって一
定量減算するようにできる。従って、燃圧が低圧から高
圧とされたときのオーバリッチ状態をより好適に防止す
ることができ、内燃エンジンの始動性を向上させること
ができる。
【0075】また、請求項6の内燃エンジンの燃料制御
装置によれば、燃料供給手段から供給される燃料の燃圧
が低圧から高圧になったときには、第1の燃料量補正手
段よりも燃料量を全体的に小さく補正可能な第2の燃料
量補正手段に基づいて燃料量を補正するようにできる。
従って、燃圧が低圧から高圧とされたときのオーバリッ
チ状態をより好適に防止することができ、内燃エンジン
の始動性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】内燃エンジン及びその燃料制御装置を示す概略
構成図である。
【図2】本発明に係る、実施例1の燃料増量制御ルーチ
ンを示すフローチャートである。
【図3】本発明に係る、実施例2の燃料増量制御ルーチ
ンを示すフローチャートである。
【図4】本発明に係る、実施例3の燃料増量制御ルーチ
ンを示すフローチャートである。
【図5】始動時における燃料増量係数KSTの時間変化を
示すタイムチャートである。
【図6】燃圧と燃料粒径との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 エンジン 4 燃料噴射弁 17 クランク角センサ(完爆状態検出手段) 51 低圧燃料ポンプ(燃料供給手段) 52 低圧フィードパイプ 54 第1燃圧レギュレータ 55 高圧燃料ポンプ(燃料供給手段) 59 第2燃圧レギュレータ 60 燃圧切換弁(燃圧切換手段) 70 電子制御ユニット(ECU)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田村 宏記 東京都港区芝五丁目33番8号 三菱自動 車工業株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−339152(JP,A) 特開 平2−23250(JP,A) 特開 平4−103850(JP,A) 特開 平7−189792(JP,A) 実開 平2−141646(JP,U) 実開 平1−166738(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F02D 41/02 301 F02D 41/06 330 F02D 41/32

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 燃料噴射弁に低圧または高圧の燃圧にし
    て燃料を供給可能な燃料供給手段と、 前記燃料供給手段により供給される燃料の燃圧を内燃エ
    ンジンの作動開始時には低圧とする一方、前記作動開始
    後には運転状態に応じて高圧に切換可能な燃圧切換手段
    と、 前記燃料供給手段から前記燃料噴射弁に供給される燃料
    量を前記内燃エンジンの作動開始時に基準量に対し増量
    する燃料増量手段と、 前記内燃エンジンの作動開始後の完爆状態を検出する完
    爆状態検出手段と、 前記完爆状態検出手段により前記完爆状態が検出された
    とき、前記増量された燃料量を補正する燃料量補正手段
    と、 前記燃圧切換手段により前記燃料供給手段から供給され
    る燃料の燃圧が低圧から高圧に切換えられたとき、前記
    燃料量補正手段による補正量を変更する燃料補正量変更
    手段と、 を備えたことを特徴とする内燃エンジンの燃料制御装
    置。
  2. 【請求項2】 燃料噴射弁に低圧から高圧まで燃圧を調
    節可能にして燃料を供給する燃料供給手段と、 前記燃料供給手段により供給される燃料の燃圧を内燃エ
    ンジンの作動開始時には低圧とする一方、前記作動開始
    後には運転状態に応じて高圧まで連続的に可変制御可能
    な燃圧制御手段と、 前記燃料供給手段により供給される燃料の燃圧を検出す
    る燃圧検出手段と、 前記燃料供給手段から前記燃料噴射弁に供給される燃料
    量を前記内燃エンジンの作動開始時に基準量に対し増量
    する燃料増量手段と、 前記内燃エンジンの作動開始後の完爆状態を検出する完
    爆状態検出手段と、 前記完爆状態検出手段により前記完爆状態が検出された
    とき、前記増量された燃料量を補正する燃料量補正手段
    と、 前記燃圧検出手段により検出される燃圧が所定の高圧と
    なったとき、前記燃料量補正手段による補正量を変更す
    る燃料補正量変更手段と、 を備えたことを特徴とする内燃エンジンの燃料制御装
    置。
  3. 【請求項3】 前記燃料量補正手段は、前記完爆状態検
    出手段により前記完爆状態が検出されると、前記増量さ
    れた燃料量を前記基準量まで徐々に減量補正することを
    特徴とする、請求項1または2記載の内燃エンジンの燃
    料制御装置。
  4. 【請求項4】 前記燃料補正量変更手段は、前記燃料量
    補正手段によって補正される燃料量の補正度合をさらに
    大きく変更して補正を継続することを特徴とする、請求
    項1乃至3のいずれか記載の内燃エンジンの燃料制御装
    置。
  5. 【請求項5】 前記燃料補正量変更手段は、前記燃料量
    補正手段によって補正される燃料量を一定量減算して補
    正を継続することを特徴とする、請求項1乃至3のいず
    れか記載の内燃エンジンの燃料制御装置。
  6. 【請求項6】 前記燃料量補正手段は、第1の燃料量補
    正手段とこの第1の燃料量補正手段よりも燃料量を全体
    的に小さく補正可能な第2の燃料量補正手段とを有し、
    前記完爆状態検出手段により前記完爆状態が検出された
    ときには前記第1の燃料量補正手段を選択して前記増量
    された燃料を補正するものであって、 前記燃料補正量変更手段は、前記第2の燃料量補正手段
    を選択して補正を継続することを特徴とする、請求項1
    乃至3のいずれか記載の内燃エンジンの燃料制御装置。
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