JP3067659B2 - 誘導電動機の制御方法 - Google Patents

誘導電動機の制御方法

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JP3067659B2
JP3067659B2 JP8298411A JP29841196A JP3067659B2 JP 3067659 B2 JP3067659 B2 JP 3067659B2 JP 8298411 A JP8298411 A JP 8298411A JP 29841196 A JP29841196 A JP 29841196A JP 3067659 B2 JP3067659 B2 JP 3067659B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、誘導電動機の速度
制御方法に係り、特に、高性能な速度制御を行うために
好適な誘導電動機の制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】速度センサを使用しないベクトル制御に
よる誘導電動機の速度制御方法に関する従来技術とし
て、例えば電気学会論文誌D,107巻2号第191頁
〜第198頁(昭62)に記載されたものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術では、電
動機定数の変動、特に誘導電動機の一次抵抗の変動によ
り、主に低周波数運転において、速度及びトルクの制御
特性が劣化するという問題があった。
【0004】本発明の目的は電動機定数の変動の影響を
補償できる誘導電動機の制御方法を提供することにあ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成する第
1の発明の特徴は、電圧指令信号に応じて出力電圧が制
御されるインバータにより誘導電動機の速度を制御する
方法において、前記誘導電動機の一次電流のd軸成分
(励磁電流相当)とq軸成分(トルク電流相当)を検出
し、前記d軸成分の基準値からの変動に応じて、電動機
定数を同定し、この同定値に基づいて前記インバータの
出力電圧を修正することにある。
【0006】
【発明の実施の形態】前述したように電動機定数の変
動、特に、誘導電動機(以下、適宜電動機と略す)の温
度変化等に起因する一次抵抗の変動によって制御特性は
劣化する。特に、低周波数運転においては、誘導電動機
の誘導起電力に対して、一次抵抗の変動による電圧降下
の割合が増大し、制御特性への影響が大きい。
【0007】従って、電動機特性の変動による影響を補
償してやれば、広い速度範囲にわたり、速度及びトルク
の更に高精度な制御が可能となる。具体的には、誘導電
動機の一次電流のd軸成分(励磁電流成分)とq軸成分
(トルク電流成分)を検出し、その基準値からの変動に
応じて、誘導電動機の一次抵抗の変動による電圧降下及
び漏れリアクタンスの変動による電圧降下を同定し、こ
れにより周波数変換装置の出力電圧の大きさと位相を修
正すれば良い。
【0008】すなわち、誘導電動機の一次抵抗変動によ
る電圧降下及び漏れリアクタンスの変動による電圧降下
の同定信号に基づいて、誘導電動機を駆動制御する周波
数変換装置の出力電圧を修正することにより、誘導電動
機の一次抵抗及び漏れインダクタンスの変動の影響を補
償することが可能となり、高精度の電動機制御を行うこ
とが可能となる。
【0009】以下、図面を用いて本発明の実施例を詳細
に述べる。
【0010】(実施例1)本発明の好適な一実施例であ
る誘導電動機の制御装置を図1および図2を用いて説明
する。
【0011】図1において、電圧形PWM制御インバー
タ1は、誘導電動機2を駆動制御し、電圧指令Vu*,
v*,Vw* に比例して、その出力電圧の基本波成分
の瞬時値が制御される。位相角演算器(積分器)3は、
周波数指令ω1**を積分し、回転磁界座標の位相角度
θ*を演算出力し、電流検出器(座標変換器)4は、誘
導電動機電流iu,iv,iw を位相角度θ*を用いて、
回転磁界座標量のd軸成分である励磁電流成分i1dとq
軸成分である電流成分i1qとに変換する。すべり演算器
50は、前述のトルク電流成分i1qから誘導電動機のす
べり周波数ωs を推定する演算を行い、減算器206
は、周波数指令ω1** と推定された誘導電動機のすべ
り周波数ωs とから、誘導電動機の回転速度の推定値ω
r を求める。速度調節器(ASR)207は、速度指令
ωr*と回転速度の推定値ωrとの偏差を増幅し、q軸電
流指令すなわちトルク電流指令i1q*を演算出力する。
電流調整器(ACR)208は、この電流指令i1q
と、トルク電流成分i1qとの偏差を増幅し、周波数指令
ω1* を出力する。微分器219は、トルク電流成分i
1qを微分し、その出力を周波数指令ω1* に減算するこ
とにより、過渡時における誘導電動機磁束の変動を防止
する。係数器210〜212は、誘導電動機2の抵抗と
インダクタンス値を設定するものであり、係数器21
0,212からは一次抵抗降下(基準値)に比例した量
が、また、係数器211からは漏れリアクタンス降下
(基準値)に比例した量が出力される。また、乗算器2
13は、係数器211の出力に周波数指令ω1* を乗算
した値を出力し、乗算器214は誘導起電力指令値を出
力する。同定器215は、一次抵抗の変動による電圧降
下及び漏れリアクタンスの変動による電圧降下を同定す
る。加算器216は、係数器210,乗算器213及び同定
器215の出力信号を加算して、d軸電圧指令V1d*を
出力し、加算器217は、係数器212,乗算器214
及び同定器215の出力信号を加算して、q軸電圧指令
1q*を出力する。3相電圧指令演算部(座標変換器)
7は、前記d軸電圧指令V1d*,q軸電圧指令V1q*及
び位相角度θ*を用いて、固定子座標量を演算し、3相
電圧指令Vu*,Vv*,Vw* を出力する。同定器21
5の構成を示す図2において、減算器151は、励磁電
流の指令値i1d*と検出値i1dとの差を出力する。状態
判別器152は、周波数指令ω1*が所定値以下あるい
はq軸電流i1qが所定値以下の場合に「H」信号を出力
して、スイッチ153を「閉」に制御し、逆に、周波数
指令ω1* が所定値以上でかつq軸電流i1qが所定値以
上の場合に「L」信号を出力して、スイッチ154を
「閉」に制御する。積分器155は、スイッチ153が
「閉」のときに、減算器151の出力を積分し、一次抵
抗の変動分Δr1 に相当する信号を出力し、スイッチ1
53が「開」のときには、スイッチ153が「閉」の間
に演算した信号Δr1 を保持する。積分器156は、ス
イッチ154が「閉」のときに、減算器151の出力の
極性反転信号を積分し、誘導電動機2の巻線の漏れイン
ダクタンスの変動分Δ(l1+l2′)に相当する信号を演
算出力し、スイッチ154が「開」のときには、スイッチ
154が「閉」の間に演算した信号を保持する。乗算器
157,158は、一次抵抗の変動分Δr1 と励磁電流
成分i1dあるいはトルク電流成分i1qとをそれぞれに乗
算し、d軸及びq軸の抵抗の変動による電圧降下を演算
する。また、乗算器160,161は、積分器156の
出力である漏れインダクタンスの変動分Δ(l1
2′)と周波数指令ω1*とを乗算器159により乗算
した信号であるΔ(l1+l21* と、励磁電流成分i
1dあるいはトルク電流成分i1qとをそれぞれに乗算し、
d軸及びq軸のリアクタンスの変動による電圧降下を演
算する。加算器162,163は、前述の電圧降下を加
算し、漏れインピーダンス降下の変動分の同定信号を出
力する。
【0012】次に、前述した本実施例の動作を説明す
る。座標変換器7に対するインバータ出力電圧指令値V
1d*,V1q*は、前述した制御構成により次式に従って
演算される。
【0013】
【数1】
【0014】(数1)において、r1*i1,ω1*(l1
*+l2′*)i1は一次抵抗の変動による電圧降下及び
漏れリアクタンスの変動による電圧降下の推定値、ω1
*φ1dは誘導起電力の指令値、ΔVd ,ΔVq は、同定
器215の出力値であり、係数器210〜212の設定
値が誘導電動機2の電気定数に一致し、また、φ1d*=
(M+l1)i1d*の関係にφ1d*及びi1d*が設定され
ていれば、その出力値ΔVd ,ΔVq は、定常時におい
て零となる。
【0015】前述のようにして演算された出力電圧指令
値V1d*,V1q*は、座標変換器7において、3相電圧
指令Vu*,Vv*,Vw* に変換される。この3相電圧
指令は、120度ずつ位相が異なるものであるから、代
表してU相指令Vu* についていえば、次に示す(数
2)により算出することができる。
【0016】
【数2】
【0017】電圧形PWMインバータ1においては、正
弦波の電圧指令Vu*,Vv*,Vw*と搬送波信号とを比
較して得られるパルス幅変調信号に従い、各相の出力電
圧が制御されるので、その基本波成分瞬時値は、これら
の電圧指令に比例して制御される。その結果、インバー
タ1の出力電圧ベクトルは、d軸及びq軸の出力電圧指
令値V1d*,V1q*及び位相角度θ*に応じて制御され
ることになる。このとき、係数器210〜212等を用
いて推定された漏れインピーダンス降下が、実際値と一
致していれば、誘導電動機2の誘導起電力の大きさは、
この指令値(=ω1*φ1d*)に一致する。この条件にお
いて、位相角演算器(積分器)3から出力される位相角
度θ*は、電動機磁束ベクトルの固定子U相軸からの回
転角θを表わすものとなる。このとき、座標変換器4に
おいて、誘導電動機電流iu,iv,iwから(数3)に従
い演算検出されるd軸電流成分i1d,q軸電流成分i1q
は、夫々、誘導電動機2の励磁電流及びトルク電流と比
例する。
【0018】
【数3】
【0019】前述したように、q軸電流成分i1qは、誘
導電動機トルク電流に比例するので、すべり演算器50
は、このi1qに基づいて誘導電動機のすべり周波数ωs
を推定することができ、さらに、減算器206におい
て、インバータ周波数指令ω1**から前記推定された
すべり周波数ωsを減算することにより、誘導電動機の
回転速度の推定値ωr として推定することができる。速
度調節器207は、速度指令値ωr*と推定値ωrの速度
偏差値(ωr*−ωr)に応じて電流指令i1q*を出力
し、さらに、電流調節器208は、この電流指令i1q
とq軸電流成分i1qとの電流偏差(i1q*−i1q)に応
じて周波数指令ω1* を出力する。誘導電動機2のすべ
り周波数は、この周波数指令ω1* の変化に応じて制御
されることになり、座標変換器4の出力であるq軸すな
わちトルク電流成分i1qは、前述の電流指令i1q*に一
致するように制御される。誘導電動機のトルクは、トル
ク電流成分i1qに比例するため、前述のような制御によ
り、トルクが速度偏差に応じて制御できることとなり、
回転速度が、速度指令値に一致するように制御できるこ
とになる。
【0020】前述した動作が、本発明の図1に示す実施
例の基本動作であるが、次に、電動機定数が変動した場
合の動作を説明する。
【0021】係数器210〜212に設定される値が、
誘導電動機内部の温度変動等によって、電動機定数の実
際値と一致しなくなった場合、これに基づいて演算され
る誘導電動機の一次抵抗の変動による電圧降下及び漏れ
インダクタンスの変動による電圧降下の推定値は、実際
値と一致しなくなる。この結果、誘導起電力の実際値
は、その指令値に一致しなくなる。このとき、誘導電動
機磁束が基準値から変動し、ωs/i1q のゲインが変動
するため、すべり演算器50により推定されるすべり周
波数ωs に誤差を生じ、その結果、回転速度の推定値ω
r にも誤差を生じて、誘導電動機の速度精度が劣化す
る。また、磁束変動によりトルク/i1qの値も変動して
低下する。この傾向は、特に、運転周波数が低く、一次
抵抗の変動による電圧降下の影響が大きくなる場合に顕
著となる。
【0022】図1に示す本実施例においては、前述のよ
うな影響を、次のようにして防止することができる。
【0023】すなわち、インバータ1の出力電圧は、前
述した(数1)に従って制御されるが、一方において、
誘導電動機電圧は、定常時においては次に示す(数4)
で示すことができる。
【0024】
【数4】
【0025】但し、φ1d=(M+l1)i1dである。
【0026】インバータ1の出力電圧は、インバータ1
の出力電圧の飽和や非線形歪を無視すれば、誘導電動機
電圧に一致することになり、電動機定数の変動によるd
軸(励磁電流成分)電圧の変動分ΔVd 及びq軸(二次
電流成分)電圧の変動分ΔVq は、次に示す(数5)に
より表わされる。
【0027】
【数5】
【0028】但し、Δr1=r1−r1*、Δ(l1
2′)=(l1+l2′)−(l1*+l2′*)である。
【0029】すなわち、r1及びl1+l2′の基準値か
らの変動Δr1,Δ(l1+l2′)に関係して、電圧指令
1d*,V1q*に対して、ΔVd,ΔVqの補償が必要で
ある。そこで、図1に示す本発明の実施例は、同定器2
15を備え、この同定器215を用いて前述の変動分Δ
d,ΔVqを同定し、その結果を電圧指令V1d*,V1q
に与えて補償を行っている。この同定器215の動作を
次に説明する。
【0030】前述の変動分ΔVd を補償しない場合、座
標変換器4の出力i1dが基準値から変動するため、逆に
その変動からΔVd を推定することが可能である。しか
し、(数5)に示すように、その変動分には、Δr1
Δ(l1+l2′)の影響が混在しており、また、夫々で、
ΔVd とΔVq に関係する極性が異なっているため、抵
抗の変動による電圧降下とリアクタンスの変動による電
圧降下とは、分離して同定する必要がある。
【0031】ところで、(数5)から理解できるよう
に、ω1 あるいはi1qが小さい場合には、Δ(l1
2′)の影響は小さくΔr1 が支配的である。従って、
このような条件においては、i1dの変動は、Δr1 より
生じるとみなすことができる。また、逆に、ω1 が大き
くかつi1qが大きい場合には、Δ(l1+l2′)の影響が
支配的であり、このような条件においては、i1dの変動
は、Δ(l1+l2′)により生じるとみなすことができ
る。
【0032】そこで、同定器215には、前述の条件を
判別する状態判別器152が設けられている。状態判別
器152は、前者の条件において、スイッチ153を閉
じ、同定器215は、これにより、積分器155の出力
と、励磁電流成分i1d,トルク電流成分i1qを乗算して
得られた抵抗の変動による電圧降下の同定信号を用い
て、d軸電圧指令V1d*,q軸電圧指令V1q*を修正
し、夫々の電圧の変動分ΔVd,ΔVqを補償する。この
とき、積分器155の出力は、一次抵抗の変動分Δr1
に相当するものとなっている。次に、後者の条件におい
て、同定器215は、スイッチ154が状態判別器15
2により閉じられ、積分器156の出力にω1* を乗算
し、さらに、i1d,i1qを乗算して得られたリアクタン
スの変動による電圧降下の同定信号を用いて、ΔVd
ΔVqを補償する。このとき、積分器156の出力は、
インダクタンスの変動分Δ(l1+l2′)に相当するもの
となっている。前述において、スイッチ153が「開」
の場合、積分器155の出力は、スイッチ153が
「開」となる直前の値を保持しており、スイッチ154
が「開」の場合、積分器156の出力は、スイッチ15
4が「開」となる直前の値を保持している。
【0033】本実施例は、前述の条件が交互に変化する
間に、一次抵抗の変動分Δr1 、及びリアクタンスの変
動分Δ(l1+l2′)を正しく同定することができ、これ
により、d軸電圧の変動分ΔVd ,q軸電圧の変動分Δ
q の補償を高精度に行うことが可能となり、誘導電動
機2の誘導起電力(磁束)の変動等の不都合なく、誘導
電動機2を精密に速度制御することができる。
【0034】特開昭62−126894号公報にはインピーダン
スによる電圧降下分を演算し、それに基づいてインバー
タの出力電圧を決定することが記載されている。しか
し、前記演算では予め設定された設定値である抵抗、及
びインダクタンスを用いて電圧降下を演算しているた
め、抵抗、及びインダクタンス自身が変動した場合に生
じる電圧降下を補償することはできない。それに対して
本実施例は上述したように抵抗、及びインダクタンス自
身の変動分を求め、それに伴う電圧の変動を補償するも
のである。
【0035】(実施例2)本発明の他の実施例である誘
導電動機の制御装置を図3、及び図4を用いて説明す
る。5は周波数制御部、21はすべり演算器、22は微
分器、6は電圧指令演算部、25,30,36は係数
器、23,26,32,38は加算器、27,31,3
4,37は乗算器、28は係数器、29,33,35は
関数器であり、他の符号は図1,図2の場合と同一であ
る。
【0036】図3に示す実施例において、周波数制御部
5は、速度指令ωr* と、すべり演算器21の出力と、
トルク電流成分i1qの安定制御のための微分器22の出
力とを加算器23により加算し、周波数指令ω1* を出
力する。電圧指令演算部6は、前記周波数制御部5から
の周波数指令ω1* 及びトルク電流成分i1q等に基づい
て、インバータ出力電圧、すなわち誘導電動機電圧の絶
対値指令V1a*及び誘導電動機内部相差角指令δ*を演
算出力する。
【0037】なお、図3において、同定器の記載が省略
されているが、図1と同様に、図3に示す実施例も同定
器が備えられており、その出力が乗算器27,31,3
7及び係数器28に印加されている。この実施例に用い
る同定器は、r1 及び(l1+l2′)を同定できればよ
く、抵抗の変動による電圧降下やリアクタンスの変動に
よる電圧降下を演算する必要がないので、図2における
乗算器157〜161が不要となり、図4に示すような
構成にすることができる。
【0038】図3の実施例の動作は、本発明に関係する
電圧指令演算部についてみれば、図1で示した実施例と
同様である。すなわち、この電圧指令演算部は、図1に
示す実施例の演算形式の直交形式を極形式に変換したも
のであって、等価なためである。従って、この演算に用
いられる定数r1 ,(l1+l2′)を図4に示すような
同定器を用いて修正すれば、この実施例においても、図
1に示す実施例と同様な効果を得ることができる。
【0039】なお、誘導電動機の一次抵抗r1 と二次抵
抗r2 は、一般に、一次及び二次巻線が近接して存在す
るため、それらの温度上昇及びそれに伴う抵抗変化は、
略比例関係にある。従って、前述のようにして同定した
Δr1 を用いて、次式によりΔr2 を推定することがで
きる。
【0040】
【数6】
【0041】(数6)において、r1*,r2*は、一
次,二次抵抗の基準値である。Δr2を用いて前述の実
施例におけるすべり演算器のゲイン(r2 に比例)を修
正することにより、二次抵抗変化によるすべり周波数の
推定誤差及び速度制御誤差の発生を防止できる。
【0042】また、同定器の出力である一次抵抗の変動
分が所定値以上となった場合に、誘導電動機の過熱,断
線等の異常が生じたと判定することができ、これにより
誘導電動機の保護を行うようにすることができる。
【0043】(実施例3)本発明の他の実施例である誘
導電動機の制御方法について図5を用いて説明する。1
〜4は前述の実施例と同一物である。周波数制御部5′
は、速度指令ωr* とすべり演算器21の出力、及び電
流i1qの安定制御のための微分器22′の出力、さらに、
過負荷時に動作し誘導電動機の過電流を防止するための
電流リミッタ80の出力を加算器23で加算し、周波数
指令ω1* を出力する。電圧指令演算部6′は、ω1
及びi1qなどに基づいてインバータの出力電圧の絶対値
指令V1a*及び誘導電動機内部相差角指令δ*を演算し
出力する。その演算内容を表現する式は、次式となる。
【0044】
【数7】
【0045】但し、r1=r1*+Δr11+l2′=(l1*+l2′*)+Δ(l1+l2′) 係数器25は二次鎖交磁束φ2d*とω1* の積を出力
し、加算器26において、係数器61からの出力r1
1qと乗算器62からの出力ω1*(l1+l2′)i1dが加
算され、V1*の演算式におけるcosδ*の係数が求ま
る。一方、係数器64の出力r11dと乗算器63の出
力ω1*(l1+l2′)i1qが、減算器65で引かれ、V
1a*の演算式におけるsinδ* の係数が求まる。割算器
28では、加算器26の出力と減算器65の出力の割り
算が行われ、その結果から関数器29は、内部相差角指
令δ*を出力する。
【0046】次に、関数器33及び乗算器34によりV
1a*の右辺第1項が演算され、また関数器35と乗算器
66により同第2項が演算される。そして、加算器38
からV1a*が出力される。以上のV1a*及びδ*を使っ
て各相の電圧指令が座標変換器4において演算され、イ
ンバータ1の出力電圧が制御される。
【0047】ところで、一次抵抗r1 は、誘導電動機の
運転状態によって変わる誘導電動機内部の温度の影響を
大きく受け、その値は大きく、変動する。この変動によ
って、誘導電動機の出力特性、例えばトルク/i1qの値
は非常に変化する。この傾向は、特に運転周波数が低い
場合に顕著である。従って、以下の様にして、一次抵抗
変動の影響を除去している。すなわち、低周波検出器7
0は、周波数指令ω1* が入力され、その指令値の絶対
値が、所定の値以下の時に動作信号を出力し、その値以
上の時には動作信号を出力しない。スイッチ71は、動
作信号が入力した時に「閉」の状態となり、減算器73
からの出力(i1d*−i1d)を定数同定器72へ送る。
定数同定器72は、入力信号に基づいて定数変動量Δr
1 を同定するが、入力が無い場合は、値を保持し続け
る。同定した値は係数器61と64に送られ、係数の値
が調整される。なお、すべり演算器21の係数は、二次
抵抗値に比例しており、また、誘導電動機内部では、一
次抵抗と二次抵抗はほぼ同様な変化をする。そこで、同
定値は、すべり演算器21にも送られ、係数値の調整に
使われる。その際、係数器75を信号が通り、そこで、
一次抵抗変動量Δr1 は二次抵抗変動量Δr2 に変換さ
れる。
【0048】ところで、高速運転域では、一次抵抗変動
の影響よりは、漏れリアクタンス変動の影響の方が大き
い。しかし、漏れリアクタンス変動が、運転特性に及ぼ
す悪影響は、高速運転域では大きくなく問題にしなくて
も実用上さしつかえない。従って、低速運転時のみ一次
抵抗を修正すれば十分である。
【0049】以上説明したように、図1〜図5の実施例
によれば、誘導電動機の電動機定数の変動の影響を補償
することができ、誘導起動力(磁束)の変動と、それに
伴う速度制御精度の劣化やトルク低下を防止することが
できる。
【0050】
【発明の効果】本発明によれば、誘導電動機の電動機定
数の変動の影響を補償することができ、誘導起電力(磁
束)の変動と、それに伴う速度制御精度の劣化や、トル
ク低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好適な一実施例である誘導電動機の制
御装置の構成図である。
【図2】図1に示された同定器215の構成図である。
【図3】本発明の他の実施例である誘導電動機の制御装
置の構成図である。
【図4】図3に用いることができる同定器の構成図であ
る。
【図5】本発明の他の実施例である誘導電動機の制御装
置の構成図である。
【符号の説明】
1…電圧形PWMインバータ、2…誘導電動機、3…積
分器、4…電流検出器、5,5′…周波数制御部、6,
6′…電圧指令演算部、7…3相電圧指令部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松井 孝行 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社 日立製作所 日立研究所内 (72)発明者 久保田 譲 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社 日立製作所 日立研究所内 (72)発明者 藤井 洋 千葉県習志野市東習志野7丁目1番1号 株式会社 日立製作所 習志野工場内 (56)参考文献 特開 平1−136596(JP,A) 特開 昭62−126894(JP,A) 特開 昭61−92185(JP,A) 特開 昭61−62392(JP,A) 特開 昭60−183953(JP,A) 電気学会論文誌D(産業応用)、107 巻、2号、昭和62年2月、奥山、藤本、 松井、久保田、「誘導電動機の速度・電 圧センサレス・ベクトル制御法」、p 191−198 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H02P 5/408 - 5/412 H02P 7/628 - 7/632 H02P 21/00

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電圧指令信号に応じて出力電圧が制御され
    るインバータにより誘導電動機の速度を制御する誘導電
    動機の制御方法において、 前記誘導電動機の一次電流のd軸成分とq軸成分を検出
    し、 前記d軸成分の基準値からの変動に応じて電動機定数を
    同定し、この同定値に基づいて前記インバータの出力電
    圧を修正し、 前記電動機定数を、周波数指令値及び前記q軸成分の少
    なくとも一方が所定値以下の場合には一次抵抗とし、前
    記周波数指令値及び前記q軸成分がともに所定値以上の
    場合には漏れインダクタンスとすること を特徴とする誘
    導電動機の制御方法。
  2. 【請求項2】電圧指令信号に応じて出力電圧が制御され
    るインバータにより誘導電動機の速度を制御する誘導電
    動機の制御方法において、 前記誘導電動機の一次電流のd軸成分とq軸成分を検出
    し、 周波数指令値が所定値以下の場合に、前記d軸成分の基
    準値からの変動に応じて一次抵抗を同定し、この同定値
    に基づいて前記インバータの出力電圧を修正することを
    特徴とする誘導電動機の制御方法。
  3. 【請求項3】請求項1又は2において、前記一次抵抗の
    同定値に基づいて二次抵抗の推定値を演算することを特
    徴とする誘導電動機の制御方法。
  4. 【請求項4】電圧指令信号に応じて出力電圧が制御され
    るインバータにより誘導電動機の速度を制御する誘導電
    動機の制御方法において、 前記誘導電動機の一次電流のd軸成分とq軸成分を検出
    し、 周波数指令値及び前記q軸成分の少なくとも一方が所定
    値以下の場合には、前記d軸成分の基準値からの変動に
    応じて、一次抵抗を同定し、 前記一次抵抗の同定値に基づいて前記誘導電動機の異常
    を判定することを特徴とする誘導電動機の制御方法。
  5. 【請求項5】電圧指令信号に応じて出力電圧が制御され
    るインバータにより誘導電動機の速度を制御する誘導電
    動機の制御方法において、 前記誘導電動機の一次電流のd軸成分とq軸成分を検出
    し、 周波数指令値が所定値以下の場合に、前記d軸成分の基
    準値からの変動に応じて一次抵抗を同定し、 前記一次抵抗の同定値に基づいて前記誘導電動機の異常
    を判定することを特徴とする誘導電動機の制御方法。
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