JP3058231U - 園芸用トレイ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 育苗ポットによる苗の栽培が終了するまでの
間、育苗ポットの移し替えをせずして良質の苗を収穫す
ることのできる園芸用トレイを提供する。 【構成】 育苗ポットが嵌合される収納ポケット３を外
枠２の内側で縦横に連ねる。収納ポケット３は円形の上
面開口部１１をもつ逆円錐台形であり、各々その上端開
口縁１４が縦リブ４と横リブ５を介して接続される。そ
して、各収納ポケット３の間で縦リブ４と横リブ５によ
り囲まれる領域を各収納ポケット３を隔てる離隔スペー
ス６とし、縦リブ４と横リブ５には溝部９および通気口
１０を形成する。また、外枠２の上面には苗の種類など
を記した立札を装着し得るスリット１５を形成する。こ
のような園芸用トレイ１によれば、各収納ポケット３に
収容した育苗ポットで苗を栽培するとき、これが成長し
ても過密にならず良質な苗を収穫できる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、野菜や草花などの苗をポット栽培する際に用いて好適な園芸用トレ イに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

野菜や草花などの苗を栽培する場合、合成樹脂製の軟質な育苗ポットが一般に 広く利用されているが、苗の生産者などは生産効率を向上させるべく、多数の育 苗ポットを園芸用トレイに整列して収容し、その状態で各育苗ポットへの土入れ や播種作業などを行っている。

【０００３】 ここで、その種の園芸用トレイとして、従来より多種多様なものが知られてい るが、その殆どは内部に育苗ポットが嵌合されるテーパ状の収納ポケットを其の 上端開口縁で接続して縦横に連ねた構造である。

【０００４】 その好適な一例を図７に示して説明すれば、Ｐは合成樹脂製の軟質な育苗ポッ ト、Ｗは園芸用トレイの上面を成す格子枠、Ｓはその格子枠Ｗの縦リブＲ１と横 リブＲ２で区分される領域を上面開口部Ｈとして内部に育苗ポットＰが嵌合され る収納ポケットであり、それら各収納ポケットＳは各々その上端開口縁を成す縦 リブＲ１と横リブＲ２で縦横に接続される。

【０００５】 そして、このような園芸用トレイによれば、各収納ポケットＳに育苗ポットＰ を個別に収容し、その状態にして各育苗ポットＰへの土入れをはじめ、苗の栽培 や運搬を効率よく行うことができることから主に苗の生産者に賞用されてきた。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、上記従来の園芸用トレイによれば、収納ポケットがその上面開 口部を縦リブと横リブで区分されて格子状に配列しているので、それら各収納ポ ケットに収容される育苗ポットが互いに近接して密集し、苗が成長したときには これが過密状態となってしまう。

【０００７】 その結果、苗の間で通気が損なわれ、黴や病害虫が繁殖するなどして苗の成育 に悪影響が及び、しかも苗が互いに絡み合うなどして品質が低下してしまうとい う問題があった。

【０００８】 そこで、一般には苗の成長に合わせて育苗ポットを別のトレイに移し替えるよ うにしているが、そのような作業は非常に煩わしく多くの時間と労力を要して効 率が悪く、しかも移し替えの際に近接する苗を傷めてしまうことがあった。

【０００９】 本考案はそのような事情に鑑みて成されたものであり、その目的とするところ は苗の栽培が終了するまでの間、育苗ポットの移し替えをせずして良質の苗を収 穫することのできる園芸用トレイを提供することにある。

【００１０】

【課題を解決するための手段】

本考案は上述の目的を達成するため、育苗ポットが嵌合される収納ポケットを 縦横に連ねた園芸用トレイであって、前記収納ポケットが円形の上面開口部をも つ逆円錐台形を呈して各々その上端開口縁を縦リブと横リブで接続されて成るこ とを特徴とする園芸用トレイを提供するものである。

【００１１】 また、請求項２の考案では、円形の上面開口部を有して内部に育苗ポットが嵌 合される逆円錐台形の収納ポケットを、方形状の外枠の内側で縦リブと横リブを 介して縦横に連ね、その縦リブ及び横リブで囲まれる領域を各収納ポケットを所 定の間隔だけ隔てる離隔スペースとして形成したことを特徴とする園芸用トレイ を提供するものである。

【００１２】 特に、請求項３の考案では縦リブと横リブに通気口を施し、その通気口から苗 の間に外気を導入できるようにしている。

【００１３】 更に、請求項４の考案では縦リブと横リブに、両端が隣接する２つの収納ポケ ットに通じる溝部を形成し、その溝部の位置で育苗ポットの上端縁を摘んで収納 ポケットから育苗ポットを容易に抜き取れるようにしている。

【００１４】 また、請求項５の考案では外枠の上面にスリットを形成し、そのスリットに苗 の種類などを記した立札を装着できるようにしている。

【００１５】

【考案の実施の形態】

以下、本考案の適用例を図面に基づいて詳細に説明する。図１は本考案に係る 園芸用トレイの好適な一例を示した平面図であり、図２には同園芸用トレイを部 分的に破断した斜視図を示す。ここで、図示する園芸用トレイ１は、例えばポリ プロピレンなどを射出成形して成る合成樹脂製であり、２はその上面を成す方形 状の外枠、３はその外枠２の内側で縦横に連ねられる収納ポケットである。

【００１６】 このうち、外枠２は外側に配列する収納ポケット３と部分的に接続され、その 各収納ポケット３は縦リブ４と横リブ５を介して接続されている。そして、それ ら縦リブ４と横リブ５とで囲まれる領域は、各収納ポケット３を所定の間隔だけ 隔てる離隔スペース６として形成され、その離隔スペース６にはそれぞれ補強リ ブ７で区分される２つの通気口８が施される。

【００１７】 なお、補強リブ７は縦リブ４に平行してその相互間に存在し、両端がそれぞれ 横リブ５の中央部に直交して接続されている。また、縦リブ４と横リブ５には両 端が隣接する２つの収納ポケット３，３に通じる溝部９が形成されており、その 溝部９の位置でそれら縦リブ４と横リブ５にも通気口１０が施されている。

【００１８】 ここで、収納ポケット３は円形の上面開口部１１をもつ逆円錐台形を呈し、そ の内部に同形の育苗ポットＰが嵌合されるようになっている。特に、図２で明ら かにするように、収納ポケット３は円形の上面開口部１１、この上面開口部１１ より斜め下方に向けて延びる４つの支持脚１２、及びそれら支持脚１２が周縁に 接続して水平状に支持される底板１３とにより構成される。

【００１９】 そして、外枠２が外側に配列する収納ポケット３の上端開口縁１４と部分的に 接続されているとともに、それら各収納ポケット３が外枠２の内側にあって上端 開口縁１４を縦リブ４と横リブ５で接続されている。なお、その縦リブ４と横リ ブ５は収納ポケット３の配列方向中央部にあって各収納ポケット３の上端開口縁 １４を接続している。

【００２０】 また、図１及び図２において、１５は外枠２の上面に形成した所定の長さをも つスリットである。図示するように、そのスリット１５は外枠２の長手方向両側 に施されており、それらスリット１５に園芸用トレイ１で栽培される野菜や花の 名前などを記した立札を装着できるようにしてある。なお、その立札は例えば合 成樹脂板であり、スリット１５に挿入される下部は該スリットの長さに対応して 凸字状に形成される。

【００２１】 次に、図３は収納ポケットの一つを拡大して示した平面図である。この図で明 確にしているように、収納ポケット３の周壁を成す支持脚１２は、それぞれ縦リ ブ４と横リブ５による接続部分に設けられている。また、底板１３は上面開口部 １１より小径なリング状の枠１３Ａと、該枠の内側に形成される十字形のリブ１ ３Ｂで成り、その枠１３Ａとリブ１３Ｂとの間が通水兼通気口１６として形成さ れている。

【００２２】 次に、図４に図１におけるＡ−Ａ線断面、図５に図１におけるＢ−Ｂ線断面を 示す。これらの図で明らかなように、各収納ポケット３は上面開口部１１より下 方に向けてテーパ状に突出し、それぞれ縦リブ４及び横リブ５により離隔されて いる。そして、それら各収納ポケット３には、図４に示すように育苗ポットＰが 個別に収容される。特に、隣接する育苗ポットＰは、縦リブ４及び横リブ５に形 成される溝部９の位置でその上端縁を摘んで収納ポケット３から容易に抜き取る ことができる。

【００２３】 なお、育苗ポットＰはポリエチレンなどから形成される逆円錐台形の軟質な合 成樹脂製であり、その底部中央には図６に示すように円形の排水口１７が施され ている。

【００２４】 ここで、上述のように構成される園芸用トレイ１の作用を説明する。先ず、野 菜や草花などの苗を栽培するにあたり、各収納ポケット３に空の育苗ポットＰを 装填する。そして、その園芸用トレイ１を土入れ機にセットするなどして各収納 ポケット３に栽培用土を充填し、次いでそれら各収納ポケット３に対して播種又 は苗の移植を行う。

【００２５】 その後、その園芸用トレイ１をハウス内に配置するなどして苗を育てるのであ るが、各収納ポケット３の間に縦リブ４と横リブ５による隔離スペース６が形成 されていることにより、苗が成長してもこれが過密にならない。しかも、その隔 離スペース６に形成される通気口８や、縦リブ４及び横リブ５に形成される通気 口１０により苗の相互間への通気が促されるため、黴や病害虫が繁殖することが なく、苗の成長に合わせて育苗ポットを交互に別のトレイに移し替えるなどの作 業をせずして、苗を良好に育てることができる。

【００２６】 また、各収納ポケット３の底板１３に通水兼通気口１６が形成されていること から、育苗ポットＰの排水口１７より円滑に排水が行われる上、その排水口１７ を通じて苗の根にも外気を供給することができるので、根腐れを防止することが できる。

【００２７】 更に、園芸用トレイ１による植物の栽培中にあって、外枠２に形成したスリッ ト１５に植物名を記した立札を立てることにより、栽培管理が適正に行える上、 出荷時や販売時において購入者に苗の種類を明示することができる。

【００２８】 以上、本考案の適用例を図面に基づいて詳細に説明したが、本考案に係る園芸 用トレイは上述のような構成に限るものではない。例えば、図には収納ポケット を縦３列、横５列の合計１５個設けた例を示しているが、その個数を１５以上又 は１５以下にしたり、縦横同列にして全体を正方形にすることもできる。

【００２９】

【考案の効果】

以上の説明で明らかなように、本考案によれば育苗ポットが嵌合される逆円錐 台形の収納ポケットをその上端開口縁で縦リブと横リブを介して接続したことに より、各収納ポケットが密集せず所定の間隔をあけて存在するため、それら各収 納ポケットに収容した育苗ポットで栽培される苗は成長しても過密状態にならな い。従って、苗の間で外気が良好に流通して黴や病害虫の繁殖が防止される上、 苗が互い絡み合うことなどによって品質を損なうこともなく、更に苗の成長に合 わせて育苗ポットを別のトレイに移し替える必要がなくなるので作業効率が大幅 に向上する。

【００３０】 また、縦リブと横リブに通気口が施されていることから、その通気口により苗 の間における通気が一層向上し、以て苗に対して常に新鮮な空気が供給されるの で、その品質を上げることができる。しかも、縦リブと横リブに両端が隣接する ２つの収納ポケットに通じる溝部を形成していることから、その溝部の位置で育 苗ポットの上端縁を摘んでその抜き取りを容易に行うことができる。

【００３１】 更に、外枠の上面にスリットを形成したため、そのスリットに植物名などを記 した立札を装着して栽培中の苗の種類を容易に識別することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る園芸用トレイの好適な一例を示し
た平面図

【図２】同園芸用トレイを部分的に破断して示した斜視
図

【図３】収納ポケットを拡大して示した平面図

【図４】図１におけるＡ−Ａ線断面図

【図５】図１におけるＢ−Ｂ線断面図

【図６】育苗ポットを示した斜視図

【図７】従来の園芸用トレイを示した斜視図

【符号の説明】

１ 園芸用トレイ ２ 外枠 ３ 収納ポケット ４ 縦リブ ５ 横リブ ６ 離隔スペース ９ 溝部 １０ 通気口 １１ 上面開口部 １２ 支持脚 １３ 底板 １４ 上端開口縁 １５ スリット

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (73)実用新案権者 598136057 拔井和彦 埼玉県志木市下宗岡２−21−16 (73)実用新案権者 598136068 奥冨良雄 埼玉県川越市今福906 (72)考案者 荒居克巳 群馬県桐生市東５丁目７番39号 有限会社 アライ・サンズ内 (72)考案者 押田十三代 埼玉県富士見市上南畑2554 (72)考案者 山下徳弥 埼玉県川越市上松原323 (72)考案者 石田定弘 埼玉県川越市中福764 (72)考案者 拔井和彦 埼玉県志木市下宗岡２−21−16 (72)考案者 奥冨良雄 埼玉県川越市今福906

Claims (5)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 育苗ポットが嵌合される収納ポケットを
   縦横に連ねた園芸用トレイであって、前記収納ポケット
   が円形の上面開口部をもつ逆円錐台形を呈して各々その
   上端開口縁を縦リブと横リブで接続されて成ることを特
   徴とする園芸用トレイ。
2. 【請求項２】 円形の上面開口部を有して内部に育苗ポ
   ットが嵌合される逆円錐台形の収納ポケットを、方形状
   の外枠の内側で縦リブと横リブを介して縦横に連ね、そ
   の縦リブ及び横リブで囲まれる領域を各収納ポケットを
   所定の間隔だけ隔てる離隔スペースとして形成したこと
   を特徴とする園芸用トレイ。
3. 【請求項３】 縦リブと横リブに通気口が施されている
   請求項１、又は２に記載の園芸用トレイ。
4. 【請求項４】 縦リブと横リブに、両端が隣接する２つ
   の収納ポケットに通じる溝部を形成した請求項１、２、
   又は３に記載の園芸用トレイ。
5. 【請求項５】 外枠の上面にスリットが形成されている
   請求項２に記載の園芸用トレイ。