JP3053652B2 - ダイヤモンド含有燒結材料 - Google Patents

ダイヤモンド含有燒結材料

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JP3053652B2
JP3053652B2 JP3002336A JP233691A JP3053652B2 JP 3053652 B2 JP3053652 B2 JP 3053652B2 JP 3002336 A JP3002336 A JP 3002336A JP 233691 A JP233691 A JP 233691A JP 3053652 B2 JP3053652 B2 JP 3053652B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はダイヤモンド含有燒結材
料に関し、さらに詳しく言うと、基材である燒結体とそ
の表面を被覆するダイヤモンド膜との密着性に優れ、高
い切削性能および研磨性能に優れたダイヤモンド含有燒
結材料に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、切削工具、ダイス等の高い硬度や
耐摩耗性の要求される工具類を製造するのに、金属、超
硬合金、セラミックス等からなる硬質材料の表面に気相
法によりダイヤモンドを被覆する技術が多く提案されて
いる。しかしながら、かかる技術を利用して製造される
工具類においては、硬質材料とダイヤモンド膜との密着
性が十分でないという欠点がある。すなわち、前記工具
を使用すると短時間の内にダイヤモンド膜が剥離してし
まって、工具寿命が短いのである。
【0003】一方、工具基材として、ダイヤモンド粉末
と燒結助剤とを燒結してなるダイヤモンド燒結体の表面
に、気相法によりダイヤモンド膜を被覆する技術も提案
されている。ところがダイヤモンド燒結体は、一般に高
価であり、しかも靭性が十分でなく欠損し易いと言う問
題点がある。このような状況の下で、ダイヤモンド燒結
体へのダイヤモンド膜の被覆に関して以下のような技術
が提案されている。
【0004】すなわち、特開昭60−90884号公報
には、その特許請求の範囲に、『ダイヤモンド基燒結材
料の表面に、気相合成法によるダイヤモンド被覆層を
0.2〜20μmの平均膜厚で形成してなる切削工具お
よび耐摩耗工具用表面被覆ダイヤモンド基燒結材料』が
記載されている。
【0005】特開昭62−297299号公報には、そ
の特許請求の範囲に、『ダイヤモンド含有燒結体の表面
にダイヤモンド薄膜を形成したものであることを特徴と
するダイヤモンド放熱体』が記載されている。
【0006】特開昭63−69971号公報には、その
特許請求の範囲に、『鉄属金属とダイヤモンドとを含有
した燒結体の表面から少なくとも2μmの深さまで存在
している鉄族金属を除去後、もしくは該鉄族金属を除去
した部分に鉄族金属以外の物質を埋設後、前記燒結体の
表面に気相合成法によりダイヤモンド被覆層を形成させ
ることを特徴とするダイヤモンド被覆燒結体の製造方
法』が記載されている。
【0007】特開昭63−185859号公報には、そ
の特許請求の範囲に、『燒結ダイヤモンドを収納し真空
にした容器内に炭化水素ガスと水素ガスを導入しつつ、
前記容器内を排気して該容器内の圧力を維持すると共
に、前記燒結ダイヤモンドを加熱して該燒結ダイヤモン
ドの表面にダイヤモンドを析出させ被膜形成することを
特徴とする燒結ダイヤモンドにおけるダイヤモンド被膜
形成方法』および『燒結ダイヤモンドにダイヤモンドを
被膜してなることを特徴とするダイヤモンド被膜燒結ダ
イヤモンド』が記載されている。
【0008】しかしながら、これらの公報に記載されて
いるダイヤモンド燒結体は、いずれもダイヤモンドを5
0容量%以上の割合で含有しているダイヤモンドを主成
分とする燒結体である。しかも、これら公報に記載の技
術は、基材としてのダイヤモンド燒結体の改良に関し、
また、ダイヤモンド燒結体の表面の微視的な表面凹凸や
ひび発生部を、気相合成によるダイヤモンドで被覆する
ことにより平滑化することに関するものであることか
ら、ダイヤモンド燒結体の有する問題点の本質的な解決
法ではない。
【0009】さらに、これらに開示されている基材とし
てのダイヤモンド燒結体は、燒結助剤として、Co、N
i、Feなど鉄族金属を一般に用いたものであり、被覆
ダイヤモンド膜との密着性が悪く、例えば前記特開昭6
3−69971号公報に記載の前処理を必要とする問題
点を有している。
【0010】したがって、前記公報に記載の技術による
ダイヤモンド燒結体は、耐摩耗性には優れてはいるが、
その靭性は十分ではなく、切削時のチッピング摩耗を生
じ易く、工具としての安定した使用を保証することがで
きない、と言う問題点を有している。
【0011】本発明は、前記事情を改善するためになさ
れたものである。
【0012】本発明の目的は、基材として高硬度、高靭
性の燒結体を用い、燒結体と気相合成法で形成されたダ
イヤモンド膜あるいはダイヤモンド粒子との密着性が高
く、高性能で耐久性に優れた、たとえば、切削工具、研
磨工具等の超硬工具、耐摩耗性部材等として使用するこ
とのできる寿命の長い高強度燒結材料を提供することに
ある。
【0013】
【課題を解決するための手段】前記目的をを達成するた
めの請求項1に記載の本発明は、ダイヤモンド粉を40
容量%以下の割合で含有する燒結体の表面に、気相合成
法で形成されたダイヤモンドを有することを特徴とする
ダイヤモンド含有燒結材料であり、また請求項2に記載
の本発明は、前記ダイヤモンドが膜状に形成されてなる
前記請求項1に記載のダイヤモンド含有燒結材料であ
り、また請求項3に記載の本発明は、前記燒結体が40
容量%以下のダイヤモンド粉と、60容量%を越える割
合の、金属、ケイ素、およびホウ素、ならびにこれらの
炭化物、酸化物、窒化物、および硼化物よりなる群から
選択される少なくとも一種の粉末とを含有する燒結体で
ある前記請求項1に記載のダイヤモンド含有燒結材料で
ある。
【0014】以下、本発明について詳細に説明する。
【0015】−燒結体− (1)ダイヤモンド粉 本発明においては、本発明のダイヤモンド含有燒結材料
の基材に用いられる燒結体におけるダイヤモンドの含有
割合は、40容量%以下、好ましくは35〜1容量%、
さらに好ましくは30〜2容量%の範囲にある。
【0016】ダイヤモンド粉が40容量%を超える割合
で燒結体中に含有されていると、燒結体の主成分が著し
く高い硬さを有するダイヤモンドで構成されているため
に、それ自体を切削工具として使用した場合、優れた耐
摩耗性を示すものの、十分な靭性を備えることができな
くなる。したがって、かかる燒結体を利用してダイヤモ
ンド膜を表面に被覆した工具にあっても、この靭性不足
が原因になって切削時に工具にチッピング摩耗を起こし
易く、この結果、ダイヤモンドが本来具備している優れ
た耐摩耗性を十分に発揮することができなくなることが
ある。
【0017】本発明のダイヤモンド含有燒結材料に用い
られる燒結体の原料となる前記ダイヤモンド粉の粒子径
は通常、0.1〜50μm、好ましくは0.2〜20μ
m、さらに好ましくは0.2〜10μmである。
【0018】本発明においては、ダイヤモンド粉の配合
量およびその粒径は燒結体の表面に気相合成法により析
出するダイヤモンドの状態に影響を与える。蓋然的に言
うと、(1)ダイヤモンド粉の粒径が大きく、配合量が
少ないときには、燒結体の表面に露出するダイヤモンド
粉の分布密度が小さいので、そのような表面に、気相合
成されるダイヤモンドが点状に析出することになる傾向
があり、また、(2)ダイヤモンド粉の粒径が小さくそ
の配合量が多いときには燒結体表面に露出するダイヤモ
ンド粉の分布密度が大きく、析出核発生点が多くなるの
で、そのような表面には、気相合成されるダイヤモンド
が膜状に析出することになる傾向がある。あるいは、
(3)ダイヤモンド粉の粒径分布が大きくなるときに
は、燒結体表面には、気相合成されるダイヤモンドが凹
凸のある膜状に析出することになる傾向がある。このよ
うに、ダイヤモンド粉の粒径とその配合量とによって燒
結体の表面に析出するダイヤモンドの状態が相違するの
で、ダイヤモンド含有燒結材料は、ダイヤモンドの析出
状態に応じた用途に供せられる。たとえば、前記(1)
および(3) の場合は、ダイヤモンド燒結材料は、研磨
材としての用途があり、前記(2)の場合には、ダイヤ
モンド燒結材料は、切削工具や耐摩耗部品などとしての
用途がある。
【0019】本発明における燒結体中に含有されるダイ
ヤモンド粉は、天然のダイヤモンドであっても合成ダイ
ヤモンドであっても制限なく使用することができる。人
工ダイヤモンドは、公知の方法により製造することがで
きる。
【0020】好ましいその製造方法を挙げると、たとえ
ば、高圧合成法、低圧合成法等がある。
【0021】(2)他の組成原料 本発明においては、本発明のダイヤモンド含有燒結材料
に用いられる燒結体は、60容量%を越える割合の、好
ましくは70〜99容量%の割合の、金属、ケイ素、お
よびホウ素、ならびにこれらの炭化物、酸化物、窒化
物、および硼化物よりなる群から選択される少なくとも
一種の粉末を含有する。
【0022】前記金属としては、周期律表のIII aまた
はIII b族に属する金属例えばY、Al、IVa族の金属
例えばTi、Zr、Hf、Va族金属例えばV、Nb、
Ta、およびVIa属の金属例えばCr、Mo、Wを挙げ
ることができる。好ましい前記金属の具体例としては、
Al、Y、Ti、Ta、Mo、W等を挙げることができ
る。
【0023】前記金属やケイ素およびホウ素の炭化物、
酸化物、窒化物、硼化物、そして複合物の具体例として
は、Al23 、Y23 、Si34 、SiC、W
C、タングステン酸化物、TaC、TiC、VC、Hf
C、NbC、NbN、TiN、VN、RaN、ZrN、
c−BN、h−BN、サイアロンなどを挙げることがで
きる。
【0024】なお、本発明における燒結体においては、
必要により、上記以外のほかの成分を添加することもで
きる。たとえば、熱膨張係数が2.5X10-6/℃以下
のセラミックス、具体的には、β−ユークリプタイト、
β−スポジューメン、コージュライトなどがあり、これ
ら成分の添加によって燒結対の熱膨張係数をダイヤモン
ドに近似させることができる。周期律表のIII a、III
b族、IVa族、Va族、およびVIa属の金属やケイ素の
炭化物、窒化物または硼化物は燒結時に粒界拡散を促進
させて強固な粒子間結合を形成するとともに、それ自体
が燒結性に優れたものであるため、緻密な組織を形成し
て靭性を向上させる作用がある。
【0025】また、いずれもそれ自身高融点および高硬
度を有し、かつダイヤモンドに比し高温における耐酸化
性にも優れた成分である。
【0026】また、酸化物はいずれも高融点、高硬度を
有し、しかもダイヤモンドおよび炭化物、窒化物に比し
て著しく優れた高温酸化性(耐熱性)を有する。
【0027】本発明に用いられるダイヤモンド含有燒結
体の原料としては、鉄族金属、例えばニッケル、コバル
ト、鉄等を必要により含有させることもできるが含有量
を少なくするか、望ましくは含有しないほうがよい。
【0028】上記これらの金属やケイ素、ホウ素の炭化
物、酸化物、窒化物および硼化物、そしてそれらの複合
物は、その一種以上を燒結体の原料として使用すること
ができる。
【0029】そしてこの含有量が60容量%未満では、
前記作用に所望の効果が得られないばかりでなく、それ
自体のもつ特性を材料に十分付与することができない。
【0030】上記金属やケイ素の炭化物、酸化物、窒化
物、硼化物、そして複合物等の粒子径は、微細であるの
が好ましく、通常0.01〜10μm、好ましくは2μ
m以下である。上記範囲の微粉は優れた燒結性を有し、
低温燒結のため好ましい。
【0031】(3)成形および燒結方法 この発明のダイヤモンド含有の燒結体は粉末冶金法やホ
ットプレス、HIP、ガス圧燒結法等の公知の方法によ
り製造することができる。
【0032】例えば、通常の粉末冶金法により、公知の
超高圧超高温発生装置を使用して製造することができ
る。
【0033】すなわち、原料粉末としてダイヤモンド粉
末および他の成分を所定割合に配合し、この配合粉末を
鉄製ボ−ルミルなどの混合機において長時間混合して均
質な混合粉末とし、次いでこの混合粉末を例えば特公昭
36−23464号公報に記載されたような超高圧高温
発生装置における銅製あるいは高融点金属性の容器内に
封入し、圧力および温度を上昇させ、最高圧力54〜7
0kb、最高温度1,200〜1,800℃の範囲内の
圧力および温度に数分〜数10分保持した後、冷却し、
最終的に圧力を解放することからなる基本的工程によっ
て、ダイヤモンド含有の燒結体を製造することができ
る。
【0034】なお、燒結条件としては、ダイヤモンドの
熱力学的安定または準安定領域で行なうことが好まし
い。なお、ダイヤモンドの準安定領域、すなわち準安定
な圧力・温度の燒結条件としては、特開平2−3023
67号公報に記載されている条件を例示できる。
【0035】なお、ホットプレス、HIP、ガス圧燒結
法等を採用するときには、公知の圧力および温度等を適
宜に採用すれば良い。
【0036】−気相法ダイヤモンドの合成− 本発明における前記ダイヤモンド含有燒結材料は、燒結
体の表面に気相合成法によりダイヤモンドを一面の膜状
に、あるいは粒分散状に被覆してなるものである。
【0037】本発明のダイヤモンド含有燒結材料におい
て、膜状のダイヤモンドの厚みは、一面の膜状のダイヤ
モンド(以下、ダイヤモンド膜と呼ぶ)と燒結体との明
確な境界面を決めることが困難である等の理由によっ
て、厳密に規定することができないのであるが、通常、
切削工具の場合0.5〜500μm程度、好ましくは、
2〜200μm程度である。このダイヤモンド膜があま
り薄いと、燒結体の表面を充分に被覆することができな
いことがあり、一方、ダイヤモンド膜の厚みがあまり大
きいと、燒結体からダイヤモンド膜が剥離することがあ
る。
【0038】なお、本発明においては、ダイヤモンド膜
と言うとき、それはダイヤモンドの他に、ダイヤモンド
状炭素を一部において含有するダイヤモンドおよびダイ
ヤモンド状炭素を含むものである。
【0039】前記ダイヤモンドの析出方法としては、気
相合成法を用いる限り、公知の方法が適用可能である
が、通常は、以下に示す方法を好適に使用することがで
きる。
【0040】すなわち、次に示す方法によって、前記燒
結体上に所望のダイヤモンドを膜状にあるいは粒分散状
に析出させることができる。
【0041】ダイヤモンドは公知のダイヤモンド合成法
により形成することができ、中でも、炭素源ガスを励起
して得られるプラズマガスを燒結体表面に接触させる気
相法ダイヤモンド合成法が好ましい。
【0042】具体的に説明すると、炭素源ガスを含有す
る原料ガスを励起して得られるガスを前記ダイヤモンド
含有の燒結体表面に、反応室内で接触させることによ
り、前記ダイヤモンド含有燒結体上にダイヤモンド膜を
形成する方法が好ましい。
【0043】なお、ダイヤモンド膜の被覆形成に先立
ち、ダイヤモンド燒結体表面は研磨処理、あるいは洗浄
を施しても良い。
【0044】前記原料ガスは、少なくとも炭素源ガスを
含有するものであればよいが、炭素原子と水素原子とを
含むガスが好ましい。
【0045】具体的には、前記原料ガスとして、たとえ
ば炭素源ガスと水素ガスとの混合ガスを挙げることがで
きる。
【0046】また、所望により、前記原料ガスととも
に、不活性ガス等のキャリヤーガスを用いることもでき
る。
【0047】前記炭素源ガスとしては、各種炭化水素、
含ハロゲン化合物、含酸素化合物、含窒素化合物等のガ
ス、あるいはグラファイトなどの炭素をガス化したもの
を使用することができる。
【0048】炭化水素化合物としては、例えばメタン、
エタン、プロパン、ブタン等のパラフィン系炭化水素;
エチレン、プロピレン、ブチレン等のオレフィン系炭化
水素;アセチレン、アリレン等のアセチレン系炭化水
素;ブタジエン等のジオレフィン系炭化水素;シクロプ
ロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサ
ン等の脂環式炭化水素;シクロブタジエン、ベンゼン、
トルエン、キシレン、ナフタレン等の芳香族炭化水素な
どを挙げることができる。
【0049】含ハロゲン化合物としては、たとえば、ハ
ロゲン化メタン、ハロゲン化エタン、ハロゲン化ベンゼ
ン等の含ハロゲン化炭化水素、四塩化炭素等を挙げるこ
とができる。
【0050】含酸素化合物としては、例えばメタノー
ル、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコ
ール類;メチルエーテル、エチルエーテル、エチルメチ
ルエーテル、メチルプロピルエーテル、エチルプロピル
エーテル、フェノールエーテル、アセタール、環式エー
テル(ジオキサン、エチレンオキシド等)のエーテル
類;アセトン、ジエチルケトン、ピナコリン、芳香族ケ
トン(アセトフェノン、ベンゾフェノン等)、ジケト
ン、環式ケトン等のケトン類;ホルムアルデヒド、アセ
トアルデヒド、ブチルアルデヒド、ベンズアルデヒド等
のアルデヒド類;ギ酸、酢酸、プロピオン酸、コハク
酸、酪酸、シュウ酸、酒石酸、ステアリン酸等の有機酸
類;酢酸メチル、酢酸エチル等の酸エステル類;エチレ
ングリコール、ジエチレングリコール等の二価アルコー
ル類;一酸化炭素、二酸化炭素等を挙げることができ
る。
【0051】含窒素化合物としては、例えばトリメチル
アミン、トリエチルアミンなどのアミン類等を挙げるこ
とができる。
【0052】これらの炭素源ガスの中でも、常温で気体
または蒸気圧の高いメタン、エタン、プロパン等のパラ
フィン系炭化水素;あるいはアセトン、ベンゾフェノン
等のケトン類、メタノール、エタノール等のアルコール
類、一酸化炭素、二酸化炭素ガス等の含酸素化合物が好
ましく、一酸化炭素は特に好ましい。
【0053】前記炭素源ガスの全ガス中における濃度
は、通常0.1〜80容量%である。
【0054】前記原料ガスを構成する水素は、励起され
ると原子状水素を形成する。
【0055】この原子状水素は、詳細なメカニズムは不
明であるが、ダイヤモンド形成反応を活性化する触媒的
作用をするものと考えられる。さらにはダイヤモンドの
析出と同時に析出するグラファイトやアモルファスカー
ボン等の非ダイヤモンド成分を除去する作用を有する。
【0056】前記原料ガスを励起する手段としては、た
とえばマイクロ波プラズマCVD法、RFプラズマCV
D法、DCプラズマCVD法、有磁場プラズマCVD法
(ECR条件を含む)、熱フィラメント法、熱プラズマ
CVD法、光CVD法、レーザー誘起CVD法、燃焼炎
法、スパッタリング法、イオンビーム法、クラスターイ
オンビーム法、イオンプレーティング法などを挙げるこ
とができる。
【0057】これらの中でも、好ましいのは各種CVD
法であり、より好ましいはプラズマCVD法である。
【0058】上述した各原料ガスと各励起手段との組み
合わせにおいて、本発明の目的に特に好ましいのは、一
酸化炭素ガスと水素ガスとの混合ガスおよびマイクロ波
プラズマCVD法(有磁場CVD法を含む)である。
【0059】前記気相法において、ダイヤモンド膜を被
覆する際の前記部材の温度は、前記原料ガスの励起方法
により異なるので、一概に決定することはできないが、
通常、300〜1, 200℃、好ましくは500〜1,
100℃である。
【0060】前記の温度が300℃より低いと、ダイヤ
モンドの析出速度が遅くなったり、析出物の結晶性が失
われることがある。
【0061】一方、1, 200℃より高くしても、それ
に見合った効果は奏されず、エネルギー効率の点で不利
になるとともに、被覆されたダイヤモンドがエッチング
されてしまうことがある。
【0062】また、ダイヤモンド膜を被覆する際の反応
圧力は、通常、10-6〜103 torr、好ましくは1
-5〜800torrである。反応圧力が10-6tor
rよりも低い場合には、ダイヤモンドの析出速度が遅く
なったり、それが析出しなくなったりする。一方、10
3 torrより高い場合にはグラファイトの発生量が多
くなる。
【0063】反応時間は、前記部材の表面温度、反応圧
力、必要とする膜厚などにより相違するので一概に決定
することはできず、適宜に決定すればよい。
【0064】このようにして形成される前記ダイヤモン
ド膜の厚みについては、ダイヤモンド膜を被覆してなる
燒結材料の用途により種々変化するので特に制約はない
が、通常は0.3μm以上、好ましくは0.5〜500
μmより好ましくは1〜200μmである。
【0065】以上のようにして本発明のダイヤモンド含
有燒結材料を製造することができる。
【0066】本発明のダイヤモンド含有燒結材料は、セ
ラミックス系基材や超硬合金基材上にダイヤモンド膜を
形成して得られる従来のダイヤモンド被覆部材と比べ
て、特に膜状あるいは粒分散状に析出したダイヤモンド
と基材である燒結体との密着性が著しく優れており、た
とえば、切削工具など硬度や耐摩耗性を要求される研磨
工具等の各種工具類等の部材として実用に供した際に、
高い性能と優れた耐久性を発揮することができ、特に、
厳しい条件で使用される切削工具として用いた際にも、
その切削寿命を大幅に延長させることができる。
【0067】したがって、本発明のダイヤモンド含有燒
結材料は、たとえばバイト、エンドミル、ドリル、カッ
ターなどの切削工具、ダイス、線引きダイス、ゲージ、
ボンディングツールのヘッド等の超硬工具や耐摩耗性工
具、耐摩耗性部材等として、あるいは電子材料等のダイ
ヤモンド膜の特性もしくは機能を活用する各種の機能性
材料などとして好適に利用することができる。
【0068】
【実施例】次に本発明の実施例を示す。
【0069】(実施例1)ダイヤモンド粒子(粒径1〜
5μm)を20容量%、窒化ケイ素超微粉(平均粒子径
0.08μm)を65容量%およびアルミナ粉末(平均
粒子径0.2μm)を15容量%の割合で湿式混合した
のち、ホットプレス燒結法により窒素雰囲気中、燒結温
度1, 200℃、プレス圧力300kg/cm2 で焼結
をおこなった。
【0070】この燒結体についてアルキメデス法により
燒結密度を測定したところ、理論密度の99%であっ
た。
【0071】この燒結体チップを基材としてマイクロ波
プラズマCVD法によりダイヤモンドコ−ティングを実
施した。基材をマイクロ波プラズマCVD装置の反応容
器内に設置し、基材温度1,000℃、圧力40tor
rの条件下で、反応容器への原料ガス流量を一酸化炭素
ガス15sccm、水素ガス85sccmに設定し、マ
イクロ波(周波数2.45GHz) の出力を400W設
定して、反応を5時間行って、前記の基材上に厚み約 1
0μmのダイヤモンドを被覆した。
【0072】この気相合成燒結ダイヤモンドを超硬合金
スロ−アウェイチップ基体上にロウ付けしてダイヤモン
ド工具を作成した。
【0073】次に、こうして得られたダイヤモンド工具
を用いて下記の条件で湿式の切削テスト(JISW2
種)を行なった。
【0074】被削材 :18重量%ケイ素含有アルミニ
ウム合金 A390 切削速度:285m/min 送り :f=0.15mm/rev 切り込み:0.25mm/rev 加工液 :水性エマルジョン油 その結果、切削距離20,000mの切削試験後も逃げ
面摩耗幅は0.03mm以下であった。
【0075】(実施例2)ダイヤモンド粒子(粒径1〜
5μm)を20容量%、窒化ケイ素超微粉(平均粒子径
0.48μm)を65容量%、アルミナ粉末(平均粒子
径0.2μm)を13容量%およびニッケル粉末(平均
粒子径0.2μm)を2容量%の割合で湿式混合したの
ち、ホットプレス燒結を実施した。燒結条件は実施例1
と同様に行なった。
【0076】この燒結体についてアルキメデス法により
燒結密度を測定したところ、理論密度の98%であっ
た。
【0077】この燒結体チップを基材として実施例1と
同様に成膜、工具製造、切削試験を行なった。
【0078】その結果、切削距離20,000mの切削
試験後も逃げ面摩耗幅は0.03mm以下であった。
【0079】(実施例3)ダイヤモンド粒子(粒径1〜
5μm)を28容量%、アルミナ粉末(平均粒子径0.
2μm)を70容量%およびコバルト粉末を2容量%の
割合で湿式混合したのち、ホットプレス燒結を実施し
た。燒結条件は実施例1と同様に行なった。
【0080】この燒結体についてアルキメデス法により
燒結密度を測定したところ、理論密度の99.5%であ
った。
【0081】この燒結体チップを基材としてア−ク放電
プラズマジェットCVD法により50μmのダイヤモン
ド膜を合成し、気相合成燒結ダイヤモンドを製造し、超
硬合金製スロ−アウェイチップ基体上にロウ付けしてダ
イヤモンド工具を作製した。
【0082】この工具を用いて実施例1と同様に成膜、
工具製造、切削試験を行なった。
【0083】その結果、切削距離20,000mの切削
試験後も逃げ面摩耗幅は0.03mm以下であった。
【0084】(実施例4)実施例1で作成した気相合成
燒結ダイヤモンドを超硬合金製リ−マにロウ付けし、ダ
イヤモンドリ−マを作製した。
【0085】このダイヤモンドリ−マを次の条件でガジ
ョンピン穴(Al−Si18%合金;A390)加工に
使用した。
【0086】V :63m/min 送り :0.2mm/rev 切り込み:0.8mm/φ 湿式(JISW2種)の加工条件で350,000個加
工しても、仕上げ面粗さが 1.5Sであった。
【0087】(実施例5)実施例3で作製した気相合成
燒結ダイヤモンドを用いて、10mm角のボンディング
ツ−ルを作製した。
【0088】このボンディングツ−ルを用いて、ツール
温度500℃、圧力80/バンプ、時間0.05sec
の条件にて、実装試験を行なっても40g/バンプ以上
の強固な接合が得られ、破断モードもリード破断で問題
はなかった。
【0089】(実施例6)ダイヤモンド粒子(粒径1μ
m以下)を15容量%、窒化ケイ素超微粉(平均粒子径
(0.48μm)を65容量%、アルミナ粉末(平均粒
子径0.2μm)を18容量%およびニッケル粉末(平
均粒子径0.2μm)を2容量%の割合で湿式混合した
のち、プレス成形、CIP成形を実施した。
【0090】その後ガス圧燒結を行なった。燒結条件は
窒素雰囲気中、燒結温度1, 200℃、ガス圧9.5k
g/cm2 で焼結をおこなった。
【0091】この燒結体についてアルキメデス法により
燒結密度を測定したところ、理論密度の98.5%であ
った。
【0092】その後、実施例1と同様の方法でダイヤモ
ンド工具を作製し、この工具を用いて実施例1と同様に
成膜、工具製造、切削試験を行なった。
【0093】その結果、切削距離20,000mの切削
試験後の逃げ面摩耗幅は0.03mm以下であった。
【0094】(実施例7)ダイヤモンド粒子(平均径7
μm)を10容量%、アルミナ粉末(平均粒子径0.2
μm)を90容量%からなる原料をCIP(4t/cm
2 )で成形後、1,400℃で4時間燒結した燒結体
に、実施例 1に準じてダイヤモンドを合成した。このも
のは部分的に凸状にダイヤモンドが形成されていた。
【0095】(実施例8)ダイヤモンド粒子(粒径1〜
5μm)20容量%、アルミナ粉末(平均粒径0.2μ
m)40容量%、タングステンカーバイド30容量%、
コージュライト8容量%、イットリア2容量%からなる
原料を湿式混合した後、実施例1に準じて燒結体を得
た。
【0096】次いで、同様にしてダイヤモンドの被覆、
切削テストを行なった。その結果、切削距離20,00
0mの切削テスト後も、逃げ面摩耗は、0.03mm以
下であった。
【0097】
【発明の効果】本発明によると、高硬度、高靭性の燒結
体の表面に、気相合成法による膜状もしくは粒分散状の
ダイヤモンドを析出することにより、ダイヤモンド膜類
と燒結体との密着性が高く、切削性能および研磨性能に
優れた高強度燒結材料を提供することができる。
【0098】また、本発明によると燒結体に用いるダイ
ヤモンド粉の使用量が少量で、かつ燒結体の表面に形成
されるダイヤモンドの形状を制御することができるの
で、用途に応じた高品質のダイヤモンド含有燒結材料を
安価に製造することができる。
【0099】また、ダイヤモンド粉末がダイヤモンド析
出の核となるので傷付処理による核発生と異なり、プラ
ズマ等により消失するおそれがないため、気相合法とし
てDCプラズマ法など幅広く採用できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 徳光 一郎 東京都千代田区丸の内三丁目1番1号 出光石油化学株式会社内 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C04B 41/80 - 41/91

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ダイヤモンド粉を40容量%以下の割合
    で含有する燒結体の表面に、気相合成法で形成されたダ
    イヤモンドを有することを特徴とするダイヤモンド含有
    燒結材料。
  2. 【請求項2】 前記ダイヤモンドが膜状に形成されてな
    る前記請求項1に記載のダイヤモンド含有燒結材料。
  3. 【請求項3】 前記燒結体が、40容量%以下の割合の
    ダイヤモンド粉と、60容量%を越える割合の、金属、
    ケイ素、およびホウ素、ならびにこれらの炭化物、酸化
    物、窒化物、および硼化物よりなる群から選択される少
    なくとも一種の粉末とを含有する燒結体である前記請求
    項1に記載のダイヤモンド含有燒結材料。
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