JP3044136B2 - 車両の操舵装置 - Google Patents

車両の操舵装置

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JP3044136B2
JP3044136B2 JP23743792A JP23743792A JP3044136B2 JP 3044136 B2 JP3044136 B2 JP 3044136B2 JP 23743792 A JP23743792 A JP 23743792A JP 23743792 A JP23743792 A JP 23743792A JP 3044136 B2 JP3044136 B2 JP 3044136B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両のステアリング操
舵状態に応じて後輪又は前輪を強制的に操舵制御して、
車両の運転性や安定性を高めるようにした車両の操舵装
置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の車両の操舵装置して、ス
テアリング操作量に対応する前輪の操舵角に対して、後
輪の転舵比を車速に応じて決定し、該転舵比で後輪を転
舵制御するものが知られているが、このものでは、如何
なる車速でも運転者の意思に合致した操舵性能を得るこ
とが可能である反面、運転者がステアリングを操作した
当初の初期状態では、前輪と後輪とが同相になる場合が
多いため、該初期状態での車両の回頭性が低い憾みがあ
った。
【0003】そのため、従来、例えば特開平1−262
268号公報に開示されるものでは、運転者のステアリ
ング操舵量に基いて車両の制御目標ヨーレイトを演算す
ると共に、車両のヨーレイトを実測し、このヨーレイト
の実測値と制御目標値との偏差に応じたフィードバック
制御量を演算し、該フィードバック制御量でもって後輪
の操舵角をフィードバック制御することにより、ステア
リング操作当初の初期状態でもヨーレイトを素早く発生
させて、この初期状態での車両の回頭性を高めている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のフィードバック制御では、ヨーレイトの実測値と制
御目標値との偏差のみに応じてフィードバック制御量を
演算して、後輪を転舵制御している関係上、実際ヨーレ
イトを制御目標値に精度良く制御するにも限界がある。
【0005】そこで、例えば、上記のフィードバック制
御に代えて、状態フィードバック制御を採用することが
考えられる。この状態フィードバック制御は、ヨーレイ
トの他、車両の複数の状態変数,例えば車輪の横滑り
角、前輪及び後輪のコーナリングフォース等を推定して
車両の運動状態を把握し、これ等複数の状態変数を用い
て制御対象を制御するものであるので、上記車両の複数
の状態変数を用いて車両に発生するヨーレイトを制御目
標値にするよう、前輪又は後輪の操舵角をフィードバッ
ク制御すれば、常に車両に目標のヨーレイトを発生させ
ることができ、ステアリング操作時当初の車両の回頭性
を向上できる等、車両の運転性及び安定性に最適な制御
が可能となる。
【0006】その場合、状態フィードバック制御は、状
態方程式として線形方程式を用い、該線形方程式に基い
て車両の複数の状態量を推定している関係上、車両の運
動特性が路面状態の変化等に起因して線形方程式から外
れた非線形の運動となった車両の動特性の変化時には、
上記推定する複数の状態量が最適値からずれを生じ、そ
の結果、車両には制御目標ヨーレイトが精度良くは発生
せず、不安定になる憾みが生じる。
【0007】本発明は斯かる点に鑑みてなされたもので
あり、その目的は、上記の通り前輪又は後輪の操舵制御
に状態フィードバック制御を用いる場合に、車両の動特
性が線形領域から非線形領域に移行した際にも、車両の
安定性を良好に確保することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明では、状態フィードバック制御とは別途に、
非線形領域で本質的に安定な第2の制御則を用いた第2
の制御手段を設け、非線形領域で該第2の制御則を使用
することとする。
【0009】つまり、請求項1記載の発明の具体的な解
決手段は、図1に示すように、前輪又は後輪をステアリ
ングとは別途に操舵する操舵手段20を備えるととも
に、車輪の横滑り角に対して車輪のコーナリングフォー
スが比例的に変化する線形領域にあるか非線形領域にあ
るかを判別する領域判別手段34と、少くとも車両の実
際ヨーレイト及び車輪の推定横滑り角に基いて前輪又は
後輪操舵に対する目標制御量を演算し、車両の実際ヨー
レイトを制御目標ヨーレイトに状態フィードバック制御
する状態フィードバック制御手段30と、上記非線形領
域において安定して前輪又は後輪を操舵制御できる第2
の制御手段31と、上記領域判別手段34の出力を受
け、車輪のコーナリングフォースが線形領域にあるとき
上記状態フィードバック制御手段30により上記操舵手
段20を制御し、車輪のコーナリングフォースが非線形
領域にあるとき上記第2の制御手段31により操舵手段
20を制御するよう前輪又は後輪の操舵制御を切換える
制御切換手段32とを設ける構成としている。
【0010】また、請求項2記載の発明では、上記請求
項1記載の発明の領域判別手段34を特定し、該領域判
別手段34を、前輪の操舵速度を検出し、該前輪の操舵
速度が設定速度未満のとき線形領域にあり、前輪の操舵
速度が設定速度以上のとき非線形領域にあると判別する
もので構成する。
【0011】更に、請求項3記載の発明では、上記領域
判別手段34を他のものに特定し、車両の実際ヨーレイ
トと制御目標ヨーレイトとの偏差を演算し、該偏差が設
定値未満のとき線形領域にあり、上記偏差が設定値以上
のとき非線形領域にあると判別するもので構成する。
【0012】加えて、請求項4記載の発明では、領域判
別手段34を、車両の実際ヨーレイトと制御目標ヨーレ
イトとの偏差の変化速度を演算し、該偏差の変化速度が
設定値未満のとき線形領域にあり、上記偏差の変化速度
が設定値以上のとき非線形領域にあると判別するもので
構成する。
【0013】また、請求項5記載の発明では、領域判別
手段34を、車両の実際ヨーレイトを検出し、該実際の
ヨーレイトが設定値未満のとき線形領域にあり、実際の
ヨーレイトが設定値以上のとき非線形領域にあると判別
するもので構成する。
【0014】更に、請求項6記載の発明では、領域判別
手段34を、車両に作用する横加速度を検出し、該横加
速度が設定値未満のとき線形領域にあり、上記横加速度
が設定値以上のとき非線形領域にあると判別するもので
構成している。
【0015】
【作用】以上の構成により、請求項1記載の発明では、
線形領域では状態フィードバック制御手段30が制御切
換手段32により選択されて、操作手段20により前輪
又は後輪の操舵角が状態フィードバック制御されるの
で、車両に作用するヨーレイトが常に制御目標値に精度
良く一致して、制御の狙い通りの良好な車両の運動特性
が得られる。
【0016】一方、非線形領域では、状態フィードバッ
ク制御手段30に代えて、第2の制御手段31が制御切
換手段32により選択される。その結果、前輪又は後輪
の操舵角が第2の制御手段31の第2の制御則に基いて
安定して制御されるので、車両の運動が安定する。
【0017】また、請求項2記載の発明では、前輪の操
舵速度が設定値未満の遅い場合には、運転者は車両を所
望通りに旋回させるように要求する場合等であって、こ
の場合には状態フィードバック制御手段30により前輪
又は後輪の操舵角が制御されるので、車両に発生するヨ
ーレイトが精度良く制御目標値に制御されて、車両は運
転者の所望通りに運動して、運転者の要求に合致する。
【0018】これに対し、前輪の操舵速度が設定値以上
に速い場合には、第2の制御手段31により前輪又は後
輪の操舵角が制御されるので、車両の運動は安定する。
この場合、車両に発生するヨーレイトは状態フィードバ
ック制御に比べて、目標値に精度良くは一致しないもの
の、運転者は車両の方向転換を主目的としていると考え
られるので、支障はない。
【0019】更に、請求項3及び請求項4記載の発明で
は、運転者によるステアリングの素早い操作のほか、外
乱に起因してヨーレイトの実測値と制御目標値との偏差
が設定値以上に増大した際には、状態フィードバック制
御手段30では外乱に起因して上記ヨーレイトの偏差の
急激な変化に伴い制御が不安定になり易いものの、この
状態フィードバック制御手段30に代えて第2の制御手
段31が選択されるので、前輪又は後輪の操舵角は第2
の制御則に基いて安定して制御され、車両の運動が安定
する。
【0020】加えて、請求項5及び請求項6記載の発明
では、車両のヨーレイトや横加速度を用いて線形領域及
び非線形領域を判別しているので、これ等領域の判別が
正確に行われる。
【0021】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1記載の発
明の車両の操舵装置よれば、線形領域で状態フィードバ
ック制御を選択して使用し、非線形領域では安定な第2
の制御手段を選択して使用したので、状態フィードバッ
ク制御による狙い通りの車両の運動特性を実現して、車
両の走行性能の向上を図りつつ、車輪のコーナリングフ
ォースが非線形領域に移行した際にも車両を良好に安定
させることができ、車両の安定性の向上を図ることがで
きる。
【0022】また、請求項2記載の発明によれば、前輪
の操舵速度に基いて車輪のコーナリングフォースの線形
領域,非線形領域を判別したので、運転者がステアリン
グを緩かに操作している線形領域では、所望の車両運動
特性を正確に実現して、運転者の要求に応え得ると共
に、運転者がステアリングを素早く操作して非線形領域
に移行した際には、車両の方向転換を安定して行うこと
ができる。
【0023】更に、請求項3及び請求項4記載の発明に
よれば、各々、車両の実際ヨーレイトとその制御目標値
との偏差、及びその偏差の変化速度に基いて車輪のコー
ナリングフォースの線形領域,非線形領域を判別したの
で、外乱に起因して非線形領域に移行した際にも、第2
の制御則の使用により車両の運動を安定させることがで
きる。
【0024】加えて、請求項5及び請求項6記載の発明
によれば、各々、車両の実際ヨーレイト及び車両に作用
する横加速度に基いて車輪のコーナリングフォースの線
形領域,非線形領域を判別したので、線形領域か非線形
領域かの判別を正確に行うことができる。
【0025】
【実施例】以下、本発明の実施例を図2以下の図面に基
いて説明する。
【0026】図2は本発明に係る車両の操舵装置の概略
平面図を示し、1はステアリング、2は左右の前輪、3
は左右の後輪、10は上記ステアリング1の操作により
左右の前輪2、2を操舵する前輪操舵装置、20は該前
輪操舵装置10による前輪2、2の転舵に応じて左右の
後輪3、3を操舵する操舵手段としての後輪操舵装置で
ある。
【0027】上記前輪操舵装置10は、車体幅方向に配
置されたリレーロッド11を有し、該ロッド11の両端
部は各々タイロッド12、12及びナックルアーム1
3、13を介して左右の前輪2、2に連結されている。
該リレーロッド11には、ハンドル1の操作に連動して
該リレーロッド11を左右に移動させるラック・アンド
・ピニオン機構14が配置され、ステアリング1の操作
時にその操作量に応じた角度だけ左右の前輪2、2を操
舵する構成である。
【0028】一方、後輪操舵装置20は、上記と同様に
車体幅方向に配置されたリレーロッド21を有し、該ロ
ッド21の両端部は各々タイロッド22、22及びナッ
クルアーム23、23を介して左右の後輪3、3に連結
されている。該リレーロッド21には、該ロッド21を
中立位置に付勢するセンタリングバネ22が配置されて
いると共に、ラック・アンド・ピニオン機構23が配置
され、該機構23には、クラッチ24、減速機構25、
及びモータ26が連携されていて、クラッチ24の締結
時にモータ26の回転駆動によりラック・アンド・ピニ
オン機構23を介してリレーロッド21を車幅方向に移
動させて、後輪3,3をモータ26の回転量に応じた角
度だけ操舵する構成である。
【0029】上記モータ26はコントロールユニット2
9に駆動制御される。該コントロールユニット29は、
図3に示すように、内部に、モータ26により後輪3の
舵角を、車両の状態が推定できる少くとも実際ヨーレイ
ト及び車輪の横滑り角に基いて状態フィードバック制御
(以下、LQG制御という)する状態フィードバック制
御手段としてのLQG制御手段30と、第2の制御手段
としての車速感応MAP制御手段31と、上記LQG制
御手段30によるLQG制御と車速感応MAP制御手段
31によるMAP制御とを選択的に切換える制御切換手
段32とを有する。上記車速感応MAP制御手段31
は、予め記憶したマップに基いて後輪3の制御すべき目
標舵角を車速及び前輪操舵角に応じて制御が安定するよ
うに一義的に決定して、該目標舵角に後輪3の舵角をモ
ータ26により制御するものであり、従って、図5に示
すように車輪の横滑り角βに対するコーナリングフォー
ス特性において、コーナリングフォースの変化が横滑り
角βに比例しない非線形領域でも制御が安定するもので
ある。
【0030】また、上記コントロールユニット29に
は、車両に作用する横加速度を検出する横加速度センサ
35と、車両に作用するヨーレイトを検出するヨーレイ
トセンサ36と、後輪3の舵角を検出する後輪舵角セン
サ37と、前輪2の操舵角を検出する前輪操舵角センサ
38と、車速を検出する車速センサ39とが各々入力さ
れている。
【0031】次に、上記コントロールユニット29によ
るモータ26の駆動制御を図4の制御フローに従って説
明する。同図において、ステップS1で設定周期毎の制
御タイミングになると、ステップS2で上記各センサ3
6〜39の検出信号に基いて車速Vs、前輪操舵角Fs
tg、後輪舵角Rstg、車両に発生しているヨーレイ
トdψ/dt、及び車両に作用する横加速度Ygの各車
両運動状態量を計測する。
【0032】そして、ステップS3において下記式に基
いて車両の制御目標ヨーレイトyrtを算出する。
【0033】 ここに、Aはスタビリティーファクター、Lは車両のホ
イールベースである。その後は、ステップS4で前輪操
舵角センサ38により検出した前輪操舵角Fstgの前
回値と今回値とに基いて前輪操舵速度dfを下記式より
演算する。
【0034】 df={Fstg(n)−Fstg(n−1)}*k (kは比例定数である) 続いて、ステップS5においてヨーレイトセンサ36に
より検出した実測ヨーレイトdψ/dtと上記算出した
制御目標ヨーレイトyrtとの偏差enを演算すると共
に、この偏差enの今回値en(n)と前回値en(n
−1)との偏差,即ちヨーレイト偏差の変化速度Δen
(=en(n)−en(n−1))を演算する。
【0035】そして、ステップS6〜S10で後輪3の
操舵角をLQG制御するか車速感応MAP制御するかを
選択する。即ち、ステップS6では上記演算したヨーレ
イト偏差の変化速度の絶対値|Δen|の大きさを判別
し、該ヨーレイト偏差の変化速度|Δen|が設定値Δ
eno以上に大きく拡大した(|Δen|≧Δeno)
YESの場合には、図5に示すように、車輪の横滑り角
βに対する車輪のコーナリングフォースが略比例関係に
ある線形領域から、比例関係が崩れた非線形領域に移行
したと判断して、ステップS15及びS16に進んで車
速感応MAP制御を選択する。また、ステップS7では
ヨーレイト偏差の絶対値|en|の大きさを判別し、該
ヨーレイト偏差|en|が設定値en1以上に拡大した
(|en|≧en1)場合には、図5の線形領域から非
線形領域に移行したと判断して、車速感応MAP制御を
選択し、更にステップS8では前輪操舵速度の絶対値|
df|の大きさを判別し、該前輪操舵速度|df|が設
定値dfo以上に速い(df≧dfo)場合に、線形領
域から非線形領域に移行したと判断して車速感応MAP
制御を選択する。加えて、ステップS9では実測ヨーレ
イトdψ/dtの大きさを判別し、該実測ヨーレイトd
ψ/dtが設定値α以上(dψ/dt≧α)のとき線形
領域から非線形領域に移行したと判断して車速感応MA
P制御を選択する。また、ステップS10では車両の横
加速度Ygの大きさを判別し、該横加速度Ygが設定値
Ygo以上(Yg≧Ygo)の急旋回時等のとき車速感
応MAP制御を選択する。一方、上記ステップS6〜S
10での判断が全てNOの場合には、車輪のコーナリン
グフォースは図5の線形領域にあると判断して、ステッ
プS11〜S14に進んでLQG制御を選択する。
【0036】上記の判断の結果によりLQG制御が選択
された場合は、先ずステップS11でオブザーバー(状
態観測器)により車両の複数の状態量を演算推定する。
ここに、車両の状態量としては、車輪の横滑り角β、後
輪の舵角の変化速度dRstg/dt、前輪のコーナリ
ングフォースCff、及び後輪のコーナリングフォース
Cfrの4種を推定する。この推定は、車両の推定状態
量をxobとして、下記の状態方程式に基づく演算によ
り行う。
【0037】dxob/dt=Aob*xob+Bob
*y+Job*RFB(n−1) ここに、Aob、Bob及びJobは各々オブザーバー
ゲイン、RFBはLQG制御量であり、yは実測ヨーレ
イトdψ/dt及びLQG制御量RFB値である。
【0038】続いて、下記の出力方程式に基いて出力と
しての車両の推定観測量yobを演算する。ここに、推
定観測量としては、上記4種の推定状態量の出力に、後
輪の舵角Rstg、及び車両に作用するヨーレイトdψ
/dtを加えた6種を演算する。但し、後輪の舵角Rs
tg及びヨーレイトdψ/dtは実測値を用いる。
【0039】yob=Cob*xob+Dob*y ここに、Cob及びDobはオブザーバーゲインであ
る。
【0040】その後は、ステップS12でLQG制御量
RFBを演算する。この演算は、先ず実測ヨーレイトd
ψ/dtと制御目標ヨーレイトyrtとの偏差(dψ/
dt−yrt)の積分値Sigを式 Sig(n)=Sig(n−1)+(dψ/dt−yr
t) に基いて算出した後、LQG制御量RFBを上記積分値
Sig及び推定観測量yobを用いて下式 RFB=−F*yob−F1*Sig にて演算する。ここに、F,F1は制御ゲインである。
【0041】そして、上記の如くLQG制御量RFBが
求まると、ステップS13でモータ26への制御量Rを
上記LQG制御量RFBに設定して(R=RFB)、ス
テップS14でこの制御量Rでもってモータ26を駆動
制御し、左右の後輪3,3を操舵制御する。
【0042】一方、車速感応MAP制御が選択された場
合には、ステップS15で同ステップに示す車速Vsに
対応するマップ上の比例定数rを算出した後、該算出し
た比例定数rに前輪操舵角Fstgを乗算してMAP制
御量RMAPを求める。そして、ステップS16でモー
タ26への制御量Rを上記MAP制御量RMAPに設定
して(R=RMAP)、ステップS14でこの制御量R
でもてモータ26を駆動制御し、左右の後輪3,3を操
舵制御する。
【0043】よって、上記図4の制御フローにおいて、
ステップS4〜S10により、車輪の横滑り角βに対し
て車輪のコーナリングフォースが比例的に変化する線形
領域にあるか非線形領域にあるかを判別する領域判別手
段34を構成している。
【0044】したがって、上記実施例においては、前輪
の操舵速度|df|が設定値dfo未満で遅い(|df
|<dfo)場合には、車輪のコーナリングフォースは
線形領域にあって、後輪3,3の操舵角がLQG制御手
段30によりLQG制御される。この場合、車両の動特
性は上記の状態方程式を満すので、オブザーバーによる
車両の状態量xob及び車両の観測量yobは正確に推
定され、従って車両のヨーレイトは制御目標値yrtに
精度良く制御されて、狙い通りの車両運動特性が得ら
れ、車両の運転性能の向上が図られる。
【0045】これに対し、前輪の操舵速度|df|が設
定値dfo以上で速い(|df|≧dfo)場合には、
車輪の横滑り角は図5の非線形領域にある。この場合、
LQG制御では、車両の動特性が上記状態方程式を満さ
ず、オブザーバーによる車両状態量xob等に誤差が生
じ易く、このため制御が不安定となって、車両の運動が
不安定になる場合がある。しかし、この非線形領域で
は、制御切換手段32がこの非線形領域で本来的に安定
している第2の制御手段31による車速感応MAP制御
を選択し、後輪3,3の操舵角が車速Vs及び前輪操舵
角Fstgに応じた制御量RMAPでもって制御される
ので、車両の走行安定性が良好に確保される.しかも、
前輪の操舵速度dfが設定値dfo未満で遅い場合に
は、運転者が車両を所望の方向に正確に導きたいと要求
する場合であって、この場合には上記の通り後輪3のL
QG制御によって車両に発生するヨーレイトが制御目標
値yrtに精度良く一致するので、車両は運転者の要求
通りに方向転換して、車両の運転性能の一層の向上を図
ることができる。
【0046】一方、前輪の操舵速度dfが設定値dfo
以上に速い場合には、上記の通り後輪3の車速感応MA
P制御によって車両のヨーレイトが安定して発生するの
で、車両の安定性が向上する。この場合、発生するヨー
レイトはLQG制御の場合に比して制御目標値yrtに
精度良くは一致しなくなるが、運転者はさほど車両の方
向転換角度の正確さを要求していないので、支障はな
い。
【0047】更に、LQG制御と車速感応MAP制御と
の選択切換えは、ヨーレイト偏差の変化速度|Δen|
にも基いて行われるので、外乱に起因して実測ヨーレイ
トと制御目標値との偏差enが急に増大した際には、L
QG制御では制御量RFBが大きく変化して後輪3の操
舵角も大きく変化するが、車速感応MAP制御の選択に
より後輪3の操舵角が外乱とは無関係に制御されるの
で、車両の安定性は良好に確保される。
【0048】加えて、上記LQG制御と車速感応MAP
制御との選択切換え,即ち図5の線形領域と非線形領域
との判別は、ヨーレイトの制御目標値に対する偏差e
n、実測ヨーレイトdψ/dt、及び車両に作用する横
加速度Ygにも基いて行われるので、その領域の判別を
正確で素早く行うことができる。
【0049】図6は他の実施例を示し、上記実施例では
後輪3,3を後輪操舵装置20を用いて操舵制御したの
に代え、前輪2,2をステアリングとは別途に電気的に
操舵制御するものに適用したものである。
【0050】すなわち、図6の操舵装置では、上記図2
に示す後輪操舵装置20を備えず、前輪操舵装置10と
並列に、リレーロッド11に配置したラック・アンド・
ピニオン機構40と、該機構40を駆動するモータ41
とを設け、該モータ41をコントロールユニット29に
より駆動制御する構成である。その他の構成は、上記実
施例と同様であるが、前輪を操舵する関係上、上記実施
例の後輪操舵で後輪を前輪と逆位相に操舵制御する場合
には本実施例では前輪の操舵角を増す側に操舵制御し、
上記実施例で後輪を同位相に操舵制御する場合には本実
施例では前輪の操舵角を減す側に操舵制御すればよい。
【0051】尚、以上の説明では、LQG制御におい
て、車両の推定観測量として6種、即ち車輪の横滑り角
β、後輪の舵角の変化速度dRstg/dt、前輪及び
後輪ののコーナリングフォースCff、Cfr、後輪の
舵角Rstg、並びに車両に作用するヨーレイトdψ/
dtを用いて車両の状態を正確に観測したが、車両の状
態を観測するには、少くとも車両の実際ヨーレイト及び
車輪の推定横滑り角の2種を観測すれば足りる。
【0052】また、以上の説明では、第2の制御手段3
1での制御則として車速感応MAP制御を使用したが、
この第2の制御則は、要はコーナリングフォースが比例
的に変化しない非線形領域で安定して後輪3,3を制御
し得るものであれば良く、例えばMAP制御以外のフィ
ードフォワード制御、ファジィ制御、フィードバック制
御等でも良いものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1記載の発明のブロック構成図である。
【図2】車両の後輪をも操舵する操舵装置の全体構成を
示す図である。
【図3】後輪の操舵制御のブロック構成を示す図であ
る。
【図4】後輪の操舵制御の制御フローを示す図である。
【図5】車輪の横滑り角に対するコーナリングフォース
特性を示す図である。
【図6】他の実施例としての前輪を操舵する操舵装置の
全体構成を示す図である。
【符号の説明】
1 ステアリング 3 後輪(車輪) 20 後輪操舵装置 26 モータ 29 コントロールユニット 30 LQG制御手段(状態フィードバッ
ク制御手段) 31 車速感応MAP制御手段(第2の制
御手段) 32 制御切換手段 34 領域判別手段 35 横加速度センサ 36 ヨーレイトセンサ 37 後輪舵角センサ 38 前輪操舵角センサ 39 車速センサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI B62D 117:00 137:00 (56)参考文献 特開 平3−239673(JP,A) 特開 平3−193558(JP,A) 特開 平6−24251(JP,A) 特開 平2−77360(JP,A) 特開 平1−262268(JP,A) 特開 平2−85073(JP,A) 特開 平4−293671(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B62D 6/00 B62D 7/14

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 前輪又は後輪をステアリングとは別途に
    操舵する操舵手段を備えるとともに、車輪の横滑り角に
    対して車輪のコーナリングフォースが比例的に変化する
    線形領域にあるか非線形領域にあるかを判別する領域判
    別手段と、少くとも車両の実際ヨーレイト及び車輪の推
    定横滑り角に基いて前輪又は後輪操舵に対する目標制御
    量を演算し、車両の実際ヨーレイトを制御目標ヨーレイ
    トに状態フィードバック制御する状態フィードバック制
    御手段と、上記非線形領域において安定して前輪又は後
    輪を操舵制御できる第2の制御手段と、上記領域判別手
    段の出力を受け、車輪のコーナリングフォースが線形領
    域にあるとき上記状態フィードバック制御手段により上
    記操舵手段を制御し、車輪のコーナリングフォースが非
    線形領域にあるとき上記第2の制御手段により操舵手段
    を制御するよう前輪又は後輪の操舵制御を切換える制御
    切換手段とを備えたことを特徴とする車両の操舵装置。
  2. 【請求項2】 領域判別手段は、前輪の操舵速度を検出
    し、該前輪の操舵速度が設定速度未満のとき線形領域に
    あり、前輪の操舵速度が設定速度以上のとき非線形領域
    にあると判別するものであることを特徴とする請求項1
    記載の車両の操舵装置。
  3. 【請求項3】 領域判別手段は、車両の実際ヨーレイト
    と制御目標ヨーレイトとの偏差を演算し、該偏差が設定
    値未満のとき線形領域にあり、上記偏差が設定値以上の
    とき非線形領域にあると判別するものであることを特徴
    とする請求項1記載の車両の操舵装置。
  4. 【請求項4】 領域判別手段は、車両の実際ヨーレイト
    と制御目標ヨーレイトとの偏差の変化速度を演算し、該
    偏差の変化速度が設定値未満のとき線形領域にあり、上
    記偏差の変化速度が設定値以上のとき非線形領域にある
    と判別するものであることを特徴とする請求項1記載の
    車両の操舵装置。
  5. 【請求項5】 領域判別手段は、車両の実際ヨーレイト
    を検出し、該実際のヨーレイトが設定値未満のとき線形
    領域にあり、実際のヨーレイトが設定値以上のとき非線
    形領域にあると判別するものであることを特徴とする請
    求項1記載の車両の操舵装置。
  6. 【請求項6】 領域判別手段は、車両に作用する横加速
    度を検出し、該横加速度が設定値未満のとき線形領域に
    あり、上記横加速度が設定値以上のとき非線形領域にあ
    ると判別するものであることを特徴とする請求項1記載
    の車両の操舵装置。
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