JP3042280B2 - ショックアブソーバ油温推定装置およびそれを用いた減衰力制御装置 - Google Patents

ショックアブソーバ油温推定装置およびそれを用いた減衰力制御装置

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JP3042280B2
JP3042280B2 JP5270830A JP27083093A JP3042280B2 JP 3042280 B2 JP3042280 B2 JP 3042280B2 JP 5270830 A JP5270830 A JP 5270830A JP 27083093 A JP27083093 A JP 27083093A JP 3042280 B2 JP3042280 B2 JP 3042280B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はショックアブソーバ内の
作動油の温度を求める装置及びそれを用いた減衰力制御
装置に関するものであり、特に、温度センサなしで作動
油の温度を求める技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ショックアブソーバ内の作動油の温度は
外気温度や走行履歴等によって変化し、温度が低いほど
作動油の粘性が高くなる。このような温度による作動油
の粘度変化は種々の不都合を生じさせるため、作動油の
温度を求めたいという要望がある。そして、実開昭63
−3536号公報には、作動油の温度を求める技術とし
て、温度センサを用いて油温を検出する技術が記載され
ている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、温度センサを
用いることなく油温を求めたいという要望がある。
【0004】さらに次のような要望もある。ショックア
ブソーバの減衰力特性をアクチュエータを介して制御す
ることが可能な装置においては、油温が低温であるか否
かを問わず減衰力制御を行うと、油温が低温である場合
に次のような不都合が生ずる。すなわち、例えば、作動
油の粘性が高くショックアブソーバの摺動抵抗が増加す
るためにアクチュエータが予定通りには作動せず、正常
な減衰力制御が実現されないという不都合や、たとえア
クチュエータが予定通りに作動しても、作動油の粘性が
予定より高いためにショックアブソーバの減衰力が予定
より大きすぎてしまい、正常な減衰力制御が実現されな
いという不都合が生ずるのである。また、アクチュエー
タがステップモータである場合には、油温が低温(例え
ば、約−20〜−10℃以下)である状況下でステップ
モータに駆動信号を供給すると、ステップモータにより
発生させ得る駆動トルクがショックアブソーバの摺動抵
抗との関係において不足し、いわゆるステップモータの
脱調という不都合も生ずる。したがって、油温が低温で
あることを検出して正常でない減衰力制御を防止したい
という要望もあるのである。
【0005】これらの事情に鑑み、請求項1ないし7の
発明は、温度センサなしで作動油の温度を求めることを
課題としてなされたものである。
【0006】また、請求項8ないし13の発明は、それ
ら請求項1ないし7の発明を利用し、油温が低温である
ことに起因する正常でない減衰力制御を防止することを
課題としてなされたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、ショ
ックアブソーバ油温推定装置を、図26に示すように、
(a) 車両のばね上部材の上下加速度の実際値を検出する
ばね上加速度検出手段1と、(b) 少なくともそのばね上
加速度検出手段1によって検出された実ばね上加速度に
基づき、車両のばね上部材とばね下部材とを互いに連結
するサスペンション装置におけるショックアブソーバ内
の作動油の温度を推定する油温推定手段2とを含むもの
とすることにより、課題を解決する。
【0008】ここにおける「ショックアブソーバ」は減
衰力特性が固定のものでも可変のものでもよい。
【0009】この請求項1の発明は例えば次のような装
置において使用することができる。それは、 油温の
高さが設定値以下である場合には減衰力制御を禁止する
減衰力制御装置や、 油温の高さに基づいてショック
アブソーバ内の作動油の通路の実効流路面積を変化させ
ることによって減衰力特性が油温によって変化しないよ
うに温度補償を行う減衰力制御装置や、 油温の高さ
に基づき、実ばね上加速度,車速,操舵角等の入力信号
とアクチュエータに供給する駆動信号との関係を制御す
ることによって減衰力特性が油温によって変化しないよ
うに温度補償を行う減衰力制御装置などである。また、
この請求項1の発明は、温度による作動油の粘性増加に
起因する不都合を回避する目的以外の目的に使用するこ
とも可能である。
【0010】この請求項1の発明における「油温推定手
段」は、油温を連続値として推定する態様で実施するこ
とは可能であるが、段階的に推定する態様で実施するこ
とも可能である。油温を低温と高温との2段階で判定す
る態様や、極低温と低温と高温との3段階で判定する態
様などで実施することが可能なのである。
【0011】油温を2段階で判定する態様は、例えば、
油温が低温であると判定した場合には、その後、これま
でと同じ規則に従って油温判定を再開する態様とした
り、先の規則とは異なる規則に従って油温判定を再開す
る態様とすることができる。「異なる規則」とは、例え
ば、油温を上昇させる原因が生じたか否かを判定し、そ
の原因が生じたと判定したときに油温が高温になったと
判定する規則である。
【0012】油温を2段階で判定する態様はまた、油温
が高温であると判定した場合には、油温判定を終了する
態様としたり、先の規則と同じ規則に従って油温判定を
再開する態様としたり、先の規則とは異なる規則に従っ
て油温判定を再開する態様とすることもできる。「異な
る規則」とは、例えば、油温を低下させる原因が生じた
か否かを判定し、その原因が生じたと判定したときには
油温が低温である可能性があると判定する態様である。
【0013】一方、油温を3段階で判定する態様は、例
えば、油温が極低温であると判定した場合には、その後
もその判定におけると同じ規則に従って油温判定を再開
し、油温が高温であると判定した場合には、油温判定を
終了し、油温が低温であると判定した場合には、油温判
定を終了し、その後に油温を上昇させる原因が生じたか
否かを判定し、その原因が生じたと判定したときに油温
が高温になったと判定する態様とすることができる。
【0014】請求項2の発明は、その請求項1の発明
を、図27に示すように、さらに、ばね上部材とばね下
部材との車両上下方向における相対変位を検出する相対
変位検出手段3を含み、かつ、前記油温推定手段2が、
油温が基準値である場合にショックアブソーバにつ
いて成立する減衰力と相対変位の変化速度である相対速
度との間の関係を予め記憶し、 相対変位検出手段3
によって検出された相対変位に基づいて相対速度を検出
し、 予め記憶した関係に従い、検出した相対速度に
対応する減衰力を基準減衰力に決定し、 決定した基
準減衰力と検出された相対変位とが同時に発生する状況
下においてばね上部材に発生すると予想される上下加速
度を基準ばね上加速度に決定し、 それら実ばね上加
速度と基準ばね上加速度相互の関係に基づいて油温を推
定する相対的推定型であるものとすることにより、課題
を解決する。
【0015】以下、この請求項2の発明における「油温
推定手段」の望ましい態様をいくつか例示する。望まし
い一態様は、各時期におけるばね上加速度の実際値と基
準値とを比較し、両者の値の関係によって油温を推定す
る単一値比較型である。この態様の望ましい具体例は、
ばね上加速度の実際値と基準値とについてそれぞれ絶対
値処理と平滑化処理(例えば、ローパスフィルタ処理)
とを順に行い、ばね上加速度の実際値と基準値相互の関
係に基づいて油温を推定するものである。
【0016】望ましい別の態様は、一定時間内における
ばね上加速度の実際値の変化傾向と基準値の変化傾向と
を比較し、両者の変化傾向の関係によって油温を推定す
る傾向比較型である。
【0017】この傾向比較型の具体例の一つは、ばね上
加速度の実際値と基準値とについてそれぞれ絶対値処理
と平滑化処理とを順に行い、一定時間内に、ばね上加速
度の実際値が基準値を超えた回数に基づいて油温を推定
するものである。別の具体例は、ばね上加速度の実際値
と基準値とについてそれぞれ絶対値処理と平滑化処理と
を順に行い、ばね上加速度の実際値と基準値とについて
それぞれ、一定時間内における複数の値の平均値を求
め、ばね上加速度の実際値の平均値および基準値の平均
値相互の関係に基づいて油温を推定するものである。
【0018】この請求項2の発明における「油温の基準
値」は普通、油温の推定値の使用目的を考慮して設定さ
れる。例えば、前記のように、作動油の粘性増加による
アクチュエータの異常を回避することを目的として使用
する場合には、「油温の基準値」が例えば、油温の理想
値、すなわち、アクチュエータの正常作動を阻害するほ
どには作動油の粘性が高くない温度に設定される。そし
て、この場合には、「油温推定手段」を例えば、ばね上
加速度の実際値が理想値より大きい場合には、油温がア
クチュエータの正常作動範囲との関係において低温であ
ると判定し、そうでない場合には高温であると判定する
態様としたり、ばね上加速度の実際値が理想値より第一
の基準値以上大きい場合にはアクチュエータの正常作動
範囲との関係において極低温であると判定し、その第一
の基準値以上には大きくないがそれより小さい第二の基
準値以上には大きい場合には低温であると判定し、いず
れでもない場合には高温であると判定する態様とするこ
とができる。
【0019】請求項3の発明は、請求項1の発明を、図
28に示すように、さらに、前記相対変位検出手段3を
含み、かつ、前記油温推定手段2が、 相対変位検出
手段3によって検出された相対変位に基づき、それの変
化速度である相対速度を検出し、 相対変位検出手段
3によって検出された相対変位とばね上加速度検出手段
1によって検出された実ばね上加速度とに基づいてショ
ックアブソーバの減衰力の実際値を推定し、 そのシ
ョックアブソーバについて成立する相対速度と減衰力と
油温との間の関係を予め記憶し、 検出した相対速度
と推定した実減衰力との双方に基づき、予め記憶した関
係に従って油温を推定する絶対的推定型であるものとす
ることにより、課題を解決する。
【0020】請求項4の発明は、請求項1の発明を、図
29に示すように、さらに、車両の走行状態がその車両
の振動周波数が設定値より低い低周波路走行状態と設定
値より高い高周波路走行状態とのうち予め定められた一
方の走行状態であるか否かを判定する走行状態判定手段
4を含み、かつ、前記油温推定手段2が、その走行状態
判定手段4によって車両が予め定められた一方の走行状
態にあると判定されている間に前記ばね上加速度検出手
段1によって検出された実ばね上加速度と、その走行状
態の下において油温が基準値である場合に前記ばね上部
材に発生すると予想される上下加速度との関係に基づい
て油温を推定する簡易推定型であるものとすることによ
り、課題を解決する。
【0021】ここにおける「油温推定手段」の望ましい
態様は例えば、車両が予め定められた一方の走行状態に
ある間に検出された実ばね上加速度が、その走行状態の
下において油温が基準値である場合にばね上部材に発生
すると予想される上下加速度の最大値より大きい場合に
は、油温が低温であると判定するものである。
【0022】「走行状態判定手段」は例えば、「予め定
められた一方の走行状態」として高周波路走行状態が選
択され、車両がその高周波路走行状態にあるか否かを判
定する高周波路走行判定手段である。この高周波路走行
判定手段の望ましい態様は、例えば、実ばね上加速度の
時間的推移を表す信号から、周波数が設定値以上である
高周波成分のみを抽出する高周波成分抽出処理(例え
ば、ハイパスフィルタ処理)を行い、さらに、絶対値処
理および平滑化処理(例えば、ローパスフィルタ処理)
を順に行い、高周波信号の強度が基準値より大きい場合
には、高周波路走行状態にあると判定するものである。
【0023】請求項5の発明は、請求項1ないし3のい
ずれかの発明を、図30に示すように、さらに、車両の
走行状態がその車両の振動周波数が設定値より低い低周
波路走行状態であるか否かを判定する低周波路走行判定
手段5を含み、かつ、前記油温推定手段2が、その低周
波路走行判定手段5によって車両が低周波路走行状態に
あると判定されている間に限り、油温の推定を許可する
推定許可手段6を含むものとすることにより、課題を解
決する。
【0024】ここにおける「低周波路走行判定手段」の
望ましい態様の一つは、実ばね上加速度の時間的推移を
表す信号から、周波数が設定値以下である低周波成分の
みを抽出する低周波成分抽出処理(例えば、ローパスフ
ィルタ処理)を行い、さらに、絶対値処理および平滑化
処理(例えば、ローパスフィルタ処理)を順に行い、そ
の結果値が基準値より大きい場合には、低周波路走行状
態にあると判定するものである。
【0025】別の態様は、実ばね上加速度の時間的推移
を表す信号から、周波数が設定値以下である低周波成分
のみを抽出する低周波成分抽出処理を行い、さらに、絶
対値処理および平滑化処理を順に行い、一方、実ばね上
加速度の時間的推移を表す信号から、周波数が設定値以
上である高周波成分のみを抽出する高周波成分抽出処理
(例えば、ハイパスフィルタ処理)を行い、さらに、絶
対値処理および平滑化処理を順に行い、低周波信号の強
度が基準値より大きく、かつ高周波信号の強度が基準値
より小さい場合には、低周波路走行状態にあると判定す
るものである。
【0026】請求項6の発明は、請求項1ないし5のい
ずれかの発明を減衰力特性がアクチュエータによって変
化させられるショックアブソーバについて適用する場合
において、それら請求項1ないし5のいずれかの発明
を、図31に示すように、前記油温推定手段2が、油温
推定時には、アクチュエータ7の実際の作動位置が必ず
予定位置にあることを保証する位置保証手段8を含むも
のとすることにより、課題を解決する。
【0027】ここに「アクチュエータ」は例えば、ステ
ップモータでもソレノイド型でもピエゾ型でもよく、ま
た、ロータリ駆動式でもリニア駆動式でもよい。
【0028】「油温推定時」の具体例は、油温が低温で
ある可能性がある時であって、例えば、 車両のイグ
ニションスイッチがON状態に操作された直後や、
油温が低温であると判定された直後や、 高温である
と判定された後に油温を低下させる原因が生じた直後で
ある。
【0029】請求項7の発明は、減衰力制御装置を、図
32に示すように、(a) 車両のばね上部材の上下加速度
の実際値を検出するばね上加速度検出手段1と、(b) 外
部から供給される駆動信号に応じて、車両のばね上部材
とばね下部材とを互いに連結するサスペンション装置に
おけるショックアブソーバの減衰力特性を変化させるア
クチュエータ7と、(c) そのアクチュエータ7に駆動信
号を供給し、それを制御することによってショックアブ
ソーバの減衰力特性を制御するコントローラ9であっ
て、 少なくともばね上加速度検出手段1により検出
された実ばね上加速度に基づいてショックアブソーバ内
の作動油の温度を推定し、 その推定した油温が設定
値以下である状況が生じた場合には、減衰力制御を禁止
するものとを含むものとすることにより、課題を解決す
る。
【0030】ここにおける「減衰力制御」の具体例は、
実ばね上加速度,車速,操舵角等の入力に基づき、
車体のバウンシング,ローリング,ピッチング等が軽減
されるようにアクチュエータに供給する駆動信号を制御
するものや、 運転者からの指令に応じ、運転者の好
みに応じた減衰力特性が実現されるようにアクチュエー
タに供給する駆動信号を制御するものである。
【0031】請求項8の発明は、その請求項7の発明
を、前記コントローラ9が、推定した油温が設定値以下
である限り、油温推定を続行するとともに減衰力制御を
禁止し、推定した油温が設定値より大きくなったときに
減衰力制御を許可するものとすることにより、課題を解
決する。
【0032】請求項9の発明は、請求項7の発明を、前
記コントローラ9が、推定した油温が設定値以下である
状況、すなわち低温である状況が初めて生じたときに、
油温推定を終了するとともに減衰力制御を禁止し、その
後、油温を上昇させる原因が生じたか否かを判定し、そ
の原因が生じたと判定したときに減衰力制御を許可する
ものとすることにより、課題を解決する。
【0033】ここにおける「油温を上昇させる原因」の
具体例は、 油温が低温であると判定された後におけ
る車両の走行時間(車速が0でない時間)の累積値が基
準値を超えることや、 油温が低温であると判定され
た後におけるショックアブソーバの、一定速度を超えた
ピストンの作動時間の累積値が基準値を超えることや、
油温が低温であると判定された後におけるショック
アブソーバのピストン速度の絶対値の累積値が基準値を
超えることである。
【0034】請求項10の発明は、その請求項9の発明
を、図33に示すように、前記コントローラ9が、推定
した油温に基づき、油温を上昇させる原因が生じたか否
かの判定における基準値を変更する基準値変更手段10
を含むものとすることにより、課題を解決する。
【0035】ここにおける「基準値変更手段」の望まし
い態様は、例えば、前述の、車両の走行時間累積値,一
定速度を超えたピストンの作動時間の累積値,ピストン
速度の絶対値の累積値がそれぞれ比較されるべき「基準
値」を、ばね上加速度の実際値が基準値から外れる傾向
が強いほど大きくなるように設定するものである。
【0036】請求項11の発明は、請求項8ないし10
のいずれかの発明を、前記コントローラ9が、減衰力制
御を許可したときに油温推定を終了し、その後、油温を
低下させる原因が生じたか否かを判定し、その原因が生
じたと判定したときに油温推定を再開するものとするこ
とにより、課題を解決する。
【0037】請求項12の発明は、請求項7ないし11
のいずれかの発明をアクチュエータが外部から周期的に
供給される駆動信号に応じて作動する形式の減衰力制御
装置に適用する場合において、それら請求項7ないし1
1のいずれかの発明を、図34に示すように、前記コン
トローラ9が、さらに、減衰力制御を許可した後、減衰
力制御の実行に先立ち、その減衰力制御における周期よ
り長い周期で駆動信号をアクチュエータ7に供給するこ
とによってアクチュエータを複数回作動させる事前駆動
手段11を含むものとすることにより、課題を解決す
る。
【0038】請求項13の発明は、減衰力制御装置を、
図35に示すように、(a) 車両のばね上部材の上下加速
度の実際値を検出するばね上加速度検出手段1と、(b)
外部から周期的に供給される駆動信号に応じて作動する
ことにより、車両のばね上部材とばね下部材とを互いに
連結するサスペンション装置におけるショックアブソー
バの減衰力特性を変化させるアクチュエータ7と、(c)
そのアクチュエータ7に駆動信号を供給し、それを制御
することによってショックアブソーバの減衰力特性を制
御するコントローラ12であって、 少なくともばね
上加速度検出手段1により検出された実ばね上加速度に
基づいてショックアブソーバ内の作動油の温度を推定
し、 その推定した油温が低い場合において高い場合
におけるより長い周期で駆動信号をアクチュエータ7に
供給することによって減衰力制御を行うものとを含むも
のとすることにより、課題を解決する。
【0039】
【作用】請求項1〜6の各発明に係るショックアブソー
バ油温推定装置においては、少なくとも実ばね上加速度
に基づいてショックアブソーバの油温が推定される。シ
ョックアブソーバについては油温と減衰力と相対速度と
の間に一定の関係が成立する。さらに、ばね上部材とシ
ョックアブソーバおよびスプリングを含むサスペンショ
ン装置とばね下部材とから構成される運動系について運
動方程式が成立し、ばね上加速度と減衰力と相対変位と
の間にも一定の関係が成立する。本発明においては、そ
れらの関係を利用することにより、少なくとも実ばね上
加速度に基づいて油温が推定されるのである。
【0040】特に、請求項2の発明においては、ばね上
加速度の実際値と基準値相互の関係に基づいて油温が相
対的に推定される。具体的には、相対速度が検出され、
油温が基準値である場合にショックアブソーバについて
成立する減衰力と相対速度との間の関係に従い、その相
対速度の下にショックアブソーバに発生すると予想され
る減衰力が基準減衰力に決定され、サスペンション装置
に係る運動方程式に従い、その基準減衰力に対応するば
ね上加速度が基準ばね上加速度に決定され、この基準ば
ね上加速度と検出された実ばね上加速度相互の関係か
ら、油温が推定されるのである。例えば、ばね上加速度
の実際値が基準値に対して相対的に大きい場合には、シ
ョックアブソーバに基準値より大きな減衰力が発生し、
これはショックアブソーバの作動油の粘性が基準状態よ
り高いことを意味するから、油温が基準値より低いと推
定される。
【0041】また、特に、請求項3の発明においては、
実ばね上加速度に基づき、サスペンション装置に係る運
動方程式を用いて実減衰力が決定され、この実減衰力と
検出した相対速度との双方に基づき、ショックアブソー
バについて成立する油温と減衰力と相対速度との間の関
係に従って油温が推定される。
【0042】また、特に、請求項4の発明においては、
車両が低周波路走行状態および高周波路走行状態のうち
予め定められた一方にある状況下における実ばね上加速
度と、その状況と同じ状況下において油温が基準値であ
る場合にばね上部材に発生すると予想される上下加速度
相互の関係に基づいて油温が推定される。車両の走行状
態が同じであればばね上加速度と油温との間に一定の関
係が成立するから、この関係を利用すれば相対変位およ
び相対速度を用いなくても油温を推定することができる
のである。
【0043】また、特に、請求項5の発明においては、
車両が低周波路走行状態にあるときに限って、油温推定
が許可される。高周波路走行状態において低周波路走行
状態におけるより、車両の振動等のレベルが高く、相対
変位検出手段等を始めとする各種検出手段の検出精度が
低下し、ひいては、油温の推定精度が低下する傾向が強
い。したがって、高周波路走行状態においては油温推定
が行われないようにして油温の推定精度を確保するので
ある。
【0044】また、特に、請求項6の発明においては、
ショックアブソーバの減衰力特性がアクチュエータによ
って変化させられる場合において、油温推定時にアクチ
ュエータの実際の作動位置が予定位置にあることを保証
される。油温推定時には、ショックアブソーバ内におけ
る作動油の流れ易さ(例えば、オリフィス径,流路面積
等であるが、以下、流通特性という)が事前に判明して
いる必要がある。作動油の流通特性が変わればそれに伴
ってショックアブソーバの減衰力特性も変わるからであ
る。そこで、本発明においては、油温推定時には、アク
チュエータの実際の作動位置が予定位置にあることを保
証され、これにより、油温の推定精度が確保される。
【0045】この請求項6の発明における「位置保証手
段」の望ましいいくつかの態様を、「油温推定時」が車
両のイグニションスイッチがON状態に操作された直後
である場合を例にとり、説明する。
【0046】その態様の一つは、各回の走行終了時にア
クチュエータを予定位置に位置決めする態様である。走
行終了時には普通、油温が低温ではなくなっていて、確
実にアクチュエータを作動させることができ、しかも、
前回の走行終了時から今回の走行開始時までの間アクチ
ュエータの作動位置は変化しないからである。そして、
この態様においては例えば、各回の走行終了時は必ず車
速が0であるという事実に着目し、車速が0であれば走
行終了時であると判定することができる。
【0047】別の態様は、各回の走行開始時に、本来の
周期(例えば、減衰力制御における周期)より長い周期
で駆動信号をアクチュエータに供給することによってア
クチュエータを予定位置に位置決めする態様である。駆
動信号の供給を本来の周期より長い周期で行えば、通常
より大きな駆動力・トルクがアクチュエータに発生し
得、油温が低くても確実にアクチュエータを予定位置に
位置決めすることができるからである。
【0048】なお、この請求項6の発明は、請求項1〜
5のいずれかの発明をショックアブソーバの減衰力特性
を変化させるアクチュエータの作動位置を直接に検出す
る作動位置検出手段を有しない場合に適用する場合を想
定してなされたものであるが、作動位置検出手段を有す
る場合においてそれら請求項1〜5の発明を実施するこ
とができるのはもちろんである。そして、この場合に
は、それら各発明を例えば、油温推定に先立って作動位
置検出手段によってアクチュエータの実際の作動位置を
検出し、それが予定位置に一致したときに、油温推定を
行う態様で実施したり、油温と減衰力と相対速度との間
の関係をアクチュエータの各作動位置に関連付けて予め
記憶し、検出した作動位置と減衰力と相対速度とに基づ
き、予め記憶した関係に従って油温を推定する態様で実
施することもできる。
【0049】請求項7〜12の各発明に係る減衰力制御
装置においては、請求項1ないし6の発明の場合と同様
にして油温が推定され、その推定値が設定値以下である
状況が生じた場合には、減衰力制御が禁止される。これ
により、油温の推定値が設定値以下であることに起因す
る正常でない減衰力制御が防止される。
【0050】特に、請求項8の発明においては、推定し
た油温が設定値以下である限り、油温推定が続行される
とともに減衰力制御が禁止され、推定した油温が設定値
より大きくなったときに減衰力制御が許可される。油温
の推定値が設定値より大きくならない限り、同じ規則に
従って油温が推定されるとともに、油温の推定値が設定
値より低い場合には減衰力制御が実行されないようにさ
れているのである。
【0051】また、特に、請求項9の発明においては、
推定した油温が設定値以下である状況が初めて生じたと
きに、油温推定が終了されるとともに減衰力制御が禁止
され、その後、油温を上昇させる原因が生じたか否かが
判定され、その原因が生じたと判定されたときに減衰力
制御が許可される。すなわち、油温の推定値が設定値以
下である状況が一度も生じない間に行われる油温推定
は、油温が低下することによって生ずる結果、すなわち
ショックアブソーバの減衰力の増加という現象を利用し
て行われるのに対し、油温の推定値が一旦設定値以下と
なった後は、油温を上昇させる原因の有無が判定され、
それを考慮して油温が推定されるようになっているので
ある。したがって、油温の推定値が一旦設定値以下とな
った後は、油温が上昇したか否かの判定をアクチュエー
タの実際の作動位置とは無関係に行うことが可能とな
る。
【0052】また、特に、請求項10の発明において
は、油温の推定値に基づき、油温を上昇させる原因が生
じたか否かを判定する際に使用する基準値が変更され
る。油温が上昇させる原因が生じたと判定されると減衰
力制御が許可されるから、その基準値を固定値としたの
では、実際には未だ油温が十分に上昇していないにもか
かわらず減衰力制御が開始されてしまうことや、既に油
温が十分に上昇しているにもかかわらず減衰力制御が開
始されないことが起こり得るのであるが、本発明によれ
ば、油温が上昇したとの判定の精度が向上し、減衰力制
御の開始時期が早すぎることも遅すぎることもなくなる
のである。
【0053】また、特に、請求項11の発明において
は、減衰力制御を許可したときに油温推定が終了される
が、その後、油温を低下させる原因が生じたか否かが判
定され、生じたと判定されたときには、油温推定が再開
される。ここに「油温を低下させる原因」の具体例に
は、高温であると判定した後に車両が連続して停止して
いる時間が基準値を超えることが考えられる。油温が一
旦上昇しても、外気温度が低い状況下で長時間停車させ
られた場合には、油温が低下することがあるから、この
ような場合にも確実に、正常でない減衰力制御が禁止さ
れるようにするのである。
【0054】また、特に、請求項12の発明において
は、減衰力制御が許可されれば直ちに減衰力制御が開始
されるわけではなく、それに先立って、アクチュエータ
が複数回作動させられる。アクチュエータが事前に駆動
されるのであり、これにより、ショックアブソーバ内の
摺動面のなじみが達成される。また、このようなアクチ
ュエータの事前駆動は、アクチュエータに本来の周期、
すなわち減衰力制御における駆動信号の周期より長い周
期で駆動信号を供給することによって行われる。減衰力
制御におけるより大きな駆動力・トルクが発生し得るよ
うにし、確実に事前駆動が行われるようにするためであ
る。
【0055】請求項13の発明に係る減衰力制御装置に
おいては、請求項1ないし6の発明の場合と同様に油温
が推定され、その推定値が低い場合において高い場合に
おけるより、アクチュエータに供給される駆動信号の周
期が長くされている。
【0056】油温が低い場合であっても、通常の周期よ
り長い周期で駆動信号をアクチュエータに供給し、より
大きな駆動力・トルクが発生し得るようにすれば、アク
チュエータを確実に作動させることが可能である。した
がって、油温が低温であるか否かを問わず一律に、通常
の周期より長い周期で駆動信号をアクチュエータに供給
することによって減衰力制御を行う対策が考えられる。
しかし、この場合には、油温が高温である状況下におい
て次のような不都合が生ずる場合がある。すなわち、例
えば、アクチュエータがステップモータである場合に
は、油温が高温である状況下において駆動信号の周期が
必要以上に長くなるため、ステップモータのロータの動
きが振動的になり、滑らかでなくなって、異音,車体シ
ョック等の原因となるという不都合が生ずるのである。
そこで、本発明においては、油温が低い場合と高い場合
とで駆動信号の周期が異ならせられ、かつ、低温時に高
温時より長くされることにより、低温時にも高温時にも
支障を来さないようにされているのである。
【0057】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、請求項
1〜13の各発明によれば、温度センサなしで油温の取
得が可能になる効果が得られる。したがって、それら発
明を例えば、検出手段として少なくともばね上加速度検
出手段を有する減衰力制御装置において使用する場合に
は、そのばね上加速度検出手段を流用することによって
油温を推定することができるから、あえて温度センサを
追加する必要がなくなり、余分なコスト,スペース等の
発生が防止される効果が得られる。
【0058】特に、請求項4の発明によれば、相対変位
の検出も相対速度の検出もなしで油温の推定が簡易に推
定される効果が得られる。
【0059】また、特に、請求項5の発明によれば、低
周波路走行状態においてのみ油温推定が許可されるか
ら、精度の高い入力信号に基づいて油温推定が行われる
こととなって、油温の推定精度が向上する効果が得られ
る。
【0060】また、特に、請求項6の発明によれば、減
衰力特性が可変のショックアブソーバについて請求項1
ないし5の発明を適用する際に、アクチュエータが予定
位置にある状態での油温推定が保証されるから、油温の
推定精度が向上する効果が得られる。
【0061】また、特に、請求項7〜12の各発明によ
れば、油温が低温である場合には減衰力制御が禁止され
るから、油温が低温であることに起因する異常な減衰力
制御が防止される効果が得られる。
【0062】また、特に、請求項9の発明によれば、請
求項7の発明を減衰力制御を禁止した後にはもはや油温
推定を行わない態様で実施する場合において、その後に
油温が上昇すれば減衰力制御が許可されるから、減衰力
制御が無駄に禁止されずに済む効果が得られる。
【0063】また、特に、請求項10の発明によれば、
油温が低温であると判定した後に油温が上昇したか否か
を判定する際に使用する基準値がその油温が低温である
と判定した際における油温の高さに応じて適正に変更さ
れるから、異常な減衰力制御が行われることも減衰力制
御が無駄に禁止されることも抑制される効果が得られ
る。
【0064】また、特に、請求項11の発明によれば、
請求項8〜10の各発明を減衰力制御を許可した後には
もはや油温推定を行わない態様で実施する場合におい
て、その後に油温が低下している可能性があれば油温の
推定が再開され、実際に低下していれば減衰力制御が禁
止されるから、異常な減衰力制御が一層確実に防止され
る効果が得られる。
【0065】また、特に、請求項12の発明によれば、
減衰力制御に先立ち、ショックアブソーバ内の摺動面の
なじみが達成されるから、減衰力制御当初からショック
アブソーバの正規作動が保証される効果が得られる。
【0066】また、特に、請求項13の発明によれば、
アクチュエータに発生し得る駆動力・トルクが油温、す
なわち作動油の粘性抵抗との関係において適正に制御さ
れるから、減衰力制御が低温時に行われる場合にも高温
時に行われる場合にも支障を来さない効果が得られる。
【0067】
【実施例】以下、それら各請求項の発明を図示したいく
つかの実施例に基づいて具体的に説明する。
【0068】まず、図1〜図9に示す一実施例に基づい
て説明する。本実施例は4輪車両用のショックアブソー
バ油温推定装置を含む減衰力制御装置である。減衰力制
御装置は図1に示すように、少なくとも、車両のばね上
部材の上下加速度(以下、ばね上加速度という)αに基
づき、車両のばね上部材とばね下部材とを連結するサス
ペンション装置におけるショックアブソーバの減衰力特
性を制御するものである。
【0069】ショックアブソーバは周知のように、シリ
ンダにピストンが摺動可能に嵌合されて構成されてい
る。ピストンによってシリンダ内の油室がシリンダ上室
とシリンダ下室とに仕切られており、これら両室間にお
ける作動油の流通はピストン等に形成された狭い通路に
より許されている。ピストンからはロッドが同心的に延
び出させられており、図2にこれらピストン20および
ロッド22のみを取り出して断面図で表す。本実施例に
おいては、図示の通路26の実効流路面積が弁装置によ
り変化させられることによって、減衰力fと相対速度v
S との関係である減衰力特性が変化させられる。ここに
「相対速度vS 」とは、ばね上部材とばね下部材との車
両上下方向における相対変位δS の変化速度を意味す
る。弁装置は、アクチュエータの運動が運動伝達機構を
経て伝達されることによって作動させらせれる。本実施
例においては、これら弁装置,運動伝達機構およびアク
チュエータがいずれもロッド22内の空間に収容されて
いる。
【0070】弁装置の一例は図示のスプール弁装置30
である。スプール弁装置30は、前記通路26の途中に
配置されており、ハウジングとして機能するロッド22
の一部にスプール32が摺動可能に嵌合されて構成され
ている。スプール32は、それの軸方向位置に応じて、
通路26の流路面積を変化させる。アクチュエータの一
例は図示のステップモータ40である。ステップモータ
40は、ロータ42とステータ44とを含み、かつロー
タ42には永久磁石46、スタータ44には電磁石48
がそれぞれ固定されて構成されている。運動伝達機構の
一例はステップモータ40の回転運動をスプール32の
直線運動に変換する運動変換機構であり、この運動変換
機構の一例は図示のボールねじ機構50である。ボール
ねじ機構50は、ロータ42と共に回転するめねじ部材
52と、これに複数のボールを介して螺合されたおねじ
部材54と、このおねじ部材54を回転阻止状態で軸方
向摺動可能に支持する支持部材56とを含み、めねじ部
材52の回転運動をおねじ部材54の直線運動に変換す
るように構成されている。
【0071】ステップモータ40は図1に示すように、
コントローラ60に接続されており、コントローラ60
によりステップモータ40を介してショックアブソーバ
の減衰力特性が制御される。コントローラ60は、CP
U70,ROM72およびRAM74を含むコンピュー
タを主体として構成されており、それの出力側にステッ
プモータ40が接続され、入力側にばね上加速度センサ
80,相対変位センサ82および車速センサ84が接続
されている。ばね上加速度センサ80は、各車輪ごとに
ばね上部材に設けられてそれのばね上加速度αを検出す
るものである。相対変位センサ82は、各車輪ごとにば
ね上部材とばね下部材とに連携させられてそれらの相対
変位δS を検出するものである。各相対変位センサ82
はまた、各微分回路86を経ても入力側に接続されてお
り、結局、相対変位δS の微分値、すなわち相対速度v
S も検出されるようになっている。車速センサ84は、
車両の走行速度Vを検出するものである。
【0072】ROM72およびRAM74の構成をそれ
ぞれ図3および図4に概念的に示す。ROM72には、
図3に示すように、油温判定ルーチン(図5参照)およ
び減衰力制御ルーチン(図6参照)を初めとする各種プ
ログラムが予め記憶されている。ROM72にはまた、
各種マップも記憶されている。一方、RAM74には、
図4に示すように、各種センサから供給されたデータを
記憶するためのメモリ等が設けられている。実ばね上加
速度メモリ,相対変位メモリ,相対速度メモリ,車速メ
モリ等が設けられているのである。RAM74にはま
た、各種フラグを記憶するためのメモリも設けられてい
る。コントローラ60は、CPU70がRAM74を利
用しつつROM72のプログラムを実行することによ
り、各車輪ごとにステップモータ40を介してショック
アブソーバの減衰力特性を制御する。
【0073】ショックアブソーバの作動油が低温(例え
ば約−20〜−10℃以下)である場合には、作動油の
粘性が高いため、ステップモータ40に駆動信号を供給
しても(励磁しても)、ロータ42がその作動油の抵抗
に打ち勝って回転することができず、脱調が生じるおそ
れがある。そこで、本実施例においては、油温判定ルー
チンにより、油温が低温であるか否かが判定され、低温
であると判定された場合には、減衰力制御ルーチンによ
り、ステップモータ40への駆動信号の供給、すなわち
減衰力制御が禁止される。
【0074】油温判定は以下の事実を利用して行われ
る。 油温が低温であるのは一般に、車両のイグニション
スイッチをON状態に操作した当初、すなわち、各回の
走行開始直後に限られる。 油温と相対速度vS と減衰力fとの間に一定の関係
が成立する。それは、相対速度vS が大きいほど減衰力
fが大きくなり、かつ、油温が低いほど減衰力fが大き
くなる関係である。 ばね上加速度αと減衰力fと相対変位δS との間に
一定の関係が成立する。すなわち、ばね上部材,サスペ
ンション装置およびばね下部材から構成される運動系は
図7に示すようにモデル化することができ、このモデル
においては、ばね上部材の運動を次の方程式で記述する
ことができるからである。 mα=−(cvS +kδS )=−(f+kδS ) ただし、 m:1/4車両のばね上部材の質量(固定値) c:ショックアブソーバの減衰係数 k:サスペンションスプリングのばね定数(固定値)
【0075】それらの事実を利用して油温判定が行われ
るのであるが、本実施例においては、ショックアブソー
バの減衰力特性が可変であって、通路26の流路面積を
変化させるステップモータ40の作動位置が常に固定さ
れているわけではない。一方、本実施例においては、ス
テップモータ40の作動位置を検出するセンサはないた
め、実際の作動位置を常に正確に把握することができな
い。ステップモータ40に供給した駆動信号の内容から
作動位置を推定することは可能なのであるが、ステップ
モータ40に脱調が生じた場合には、駆動信号と作動位
置とが正しく対応せず、作動位置を正しく把握すること
ができないのである。
【0076】そこで、本実施例においては、各回の走行
開始直後が油温判定の期間とされ、その期間には必ず、
ステップモータ40の実際の作動位置が予定位置にある
ことが保証されるようになっている。詳細は後述する
が、前回の走行終了直後に必ずステップモータ40の原
点復帰が機械的に行われるようにすることにより、次回
の走行開始直後には必ずステップモータ40が予定位置
としての原位置にあるようにされているのである。
【0077】それらの事情を前提とし、油温判定は次の
ような方式で行われる。すなわち、油温が理想値(例え
ば、約20〜30℃)である場合(以下、高温である場
合ともいう)にばね上部材に発生すると予想されるばね
上加速度αを理想値として決定し、ばね上加速度αの実
際値がその理想値に対して相対的に大きい傾向が強い場
合に、油温が低温であると判定する相対的推定方式で行
われるのである。この方式を採用するため、ROM72
には予め、油温の高さが理想的である場合にショックア
ブソーバについて成立する相対速度vS と減衰力fとの
関係が記憶されている。この関係の一例を図8にグラフ
で表す。
【0078】以下、この方式の概略を経時的に説明す
る。まず、上記関係に従い、相対速度vS の現在値から
減衰力fが決定される。油温の高さが理想的であると仮
定した場合にショックアブソーバに発生すると予想され
る減衰力fが理想減衰力fR として決定されるのであ
る。次に、この理想減衰力fR と相対変位δS の現在値
とに基づき、前記運動方程式を利用することにより、ば
ね上加速度αの現在値が演算される。油温の高さが理想
的であると仮定した場合にばね上部材に発生すると予想
されるばね上加速度αが理想ばね上加速度αR として演
算されるのである。続いて、実ばね上加速度αA が理想
ばね上加速度αR より大きい傾向が強いか否かが判定さ
れる。スプール32が原位置にあるにもかかわらず油温
が低温であるために実際には予定より大きな減衰力fが
発生し、その結果、予定より大きな実ばね上加速度αA
が発生しているか否かが判定されるのである。
【0079】以上説明した油温判定は低温判定ルーチン
により行われ、以下、この低温判定ルーチンの内容を図
5を参照して具体的に説明する。本ルーチンは、車両の
イグニションスイッチがON状態に操作されたならば直
ちに実行が開始される。まず、ステップS11(以下、
単にS11という。他のステップについても同じ)にお
いて、初期設定が行われ、後に詳述するカウンタCN
T,計測時間tMおよび低温フラグがそれぞれ、0,0
および1とされる。次に、S12において、各種センサ
から実ばね上加速度αA ,相対変位δS および相対速度
S が読み込まれ、RAM74に記憶される。続いて、
S13において、ROM72に記憶されているvS −f
マップを用いることにより、相対速度vS の現在値に対
応する理想減衰力fR が決定される。その後、S14に
おいて、理想減衰力fR および相対変位δS のそれぞれ
の現在値に基づき、前記運動方程式に従って理想ばね上
加速度αR の現在値が演算される。
【0080】続いて、S15〜21において、ばね上加
速度αの実際値が理想値に対して相対的に大きい傾向が
強いか否かが判定される。すなわち、これらS15〜2
1はばね上加速度αの実際値と理想値とを比較するステ
ップ群なのである。実ばね上加速度αA と理想ばね上加
速度αR とはいずれも、正の値のみならず負の値もと
り、しかも、細かく振動する。そのため、両者を単純に
比較したのでは、実ばね上加速度αA の誤差,理想ばね
上加速度αR の誤差等に起因し、常に正しく比較ができ
るとは限らない。そこで、本実施例においては、実ばね
上加速度αA と理想ばね上加速度αR とについてそれぞ
れ絶対値処理が行われ、その後、それら絶対値に対して
それぞれ平滑化処理の一例であるローパスフィルタ処理
が行われ、それら平滑化後の値相互の比較結果に基づい
て低温判定が行われるようになっている。例えば、図9
に実線のグラフで表す実ばね上加速度αA および理想ば
ね上加速度αR のそれぞれの生信号について、まず、破
線のグラフで表す絶対値信号|αA |,|αR |が生成
され、続いて、一点鎖線で表す平滑化値信号|α
A LP,|αR LPが生成され、結局、生のばね上加速
度αがそれの絶対値のピーク点を時間軸に沿って滑らか
に結んだ線上の値に変換され、それら変換後の値同士が
比較されて油温が判定されるのである。
【0081】平滑化後の実ばね上加速度αA が理想ばね
上加速度αR より一度でも大きくなれば、直ちに実ばね
上加速度αA が理想ばね上加速度αR より大きい傾向が
強いと判定することは可能である。しかし、平滑化後の
値同士を比較するとはいえ、ただ一回の比較結果により
最終的な判定を下したのでは信頼性に欠けるおそれがあ
る。そこで、本実施例においては、判定周期TM が経過
する間に実ばね上加速度αA と理想ばね上加速度αR
の差が基準値Aより大きくなった回数がカウンタCNT
の値として取得され、その値が基準値Nより大きくなっ
たときに、実ばね上加速度αA と理想ばね上加速度αR
とが大きく異なる傾向が強いと判定され、油温が低温で
あると判定される。しかも、次回も油温が低温である可
能性が高いことから、続いて、実ばね上加速度αA と理
想ばね上加速度αR との比較が再開される。一方、判定
周期TM におけるカウンタCNTの最終値が基準値Nよ
り大きくない場合には、油温が高温であるとして、本ル
ーチンの実行が終了し、以後、イグニションスイッチが
OFF状態に操作されて後再びON状態に操作されるま
で、実行が中止される。本実施例においては、油温が高
温となった後に低温になることはないとの前提が採用さ
れているからである。
【0082】以上の内容を具体的に説明すると、まず、
S15において、実ばね上加速度α A および理想ばね上
加速度αR に対してそれぞれ絶対値処理が行われ、絶対
値|αA |および|αR |が取得される。次に、S16
において、絶対値|αA |および|αR |に対してそれ
ぞれローパスフィルタ処理が行われる。例えば、絶対値
|αA |については、 |αA LP=a・|αA |+(1−a)・|αA LP なる式を用いて平滑化値|αA LPが演算され、一方、
絶対値|αR |についても同様に、 |αR LP=a・|αR |+(1−a)・|αR LP なる式を用いて平滑化値|αR LPが演算される。
【0083】その後、S17において、平滑化値|αA
LPから平滑化値|αR LPを引いた値が基準値Aより
大きいか否かが判定される。大きければ、判定がYES
となり、S18において、カウンタCNTの値が1だけ
増加させられるが、大きくなければ、判定がNOとな
り、S18がスキップされる。いずれの場合にも、S1
9において、計測時間tM が一定増分ΔtM だけ増加さ
せられ、その後、S20において、計測時間tM の現在
値が判定周期TM 以上となったか否かが判定される。そ
うでなければ判定がNOとなり、S12に戻るが、そう
であれば判定がYESとなり、S21において、カウン
タCNTの最終値が基準値Nより大きいか否かが判定さ
れる。大きい場合には、判定がYESとなり、油温が低
温であると判定され、S22において、カウンタCNT
および計測時間tM の値がそれぞれ0に初期化された
後、S12に戻る。改めて実ばね上加速度αA と理想ば
ね上加速度αR との比較が行われるのである。一方、カ
ウンタCNTの最終値が基準値Nより大きくはない場合
には、S21の判定がNOとなり、油温が低温ではない
と判定され、S23に移行し、低温フラグが0とされ
る。以上で本ルーチンの実行が終了し、今回の走行が終
了するまで、実行が中止される。本ルーチンは各車輪ご
とに実行され、低温フラグ等は各車輪に関連付けてRA
M74に記憶される。
【0084】なお、本実施例においては、前記運動方程
式におけるばね上部材の質量mが固定値とされていた
が、これは、ばね上加速度αの実際値と理想値との関係
が車体重量の変動の影響をほとんど受けないことが実験
的に確認されたからである。
【0085】また、本実施例においては、ステップモー
タ40の予定位置がそれの原位置、すなわちスプール3
2が通路26を全開させる軸方向位置に対応する作動位
置に設定されている。減衰力特性が最もソフトな特性に
なる位置、すなわち作動油が通路26を流れる量が最も
多くなる位置に設定されているのであり、これにより、
作動油の粘性の影響がばね上加速度αの実際値と理想値
との差に強く現れて油温の判定精度が向上するようにさ
れている。
【0086】一方、減衰力制御ルーチンは、少なくとも
実ばね上加速度αA を入力とし、ショックアブソーバの
減衰力特性を自動的に制御する減衰力制御を行うもので
ある。例えば、スカイフック理論に基づき、減衰力制御
を行うものとすることができる。
【0087】この減衰力制御ルーチンは、油温が低温で
あると判定されている場合には、減衰力制御を行わない
ようにされている。油温が低温であるにもかかわらずス
テップモータ40に駆動信号を供給する場合には、ステ
ップモータ40に脱調が生じ、減衰力特性が予定通りに
制御されないおそれがあるからである。ただし、油温が
低温ではないと判定されている場合であっても、車速V
が0である場合には、減衰力制御が行われず、これに代
えて、ステップモータ40の原点復帰が行われる。これ
は、 前記低温判定ルーチンが各回の走行開始直後に
ステップモータ40が原位置にあることを前提として実
行されるように設計されていること、 前回の走行終
了直後に原点復帰を行えば次回の走行開始直後には必ず
原位置にあること、 走行終了直後には必ず車速Vが
0であることに基づくものである。すなわち、本ルーチ
ンにおいて車速Vが0であるか否かの判定は、走行終了
時であるか否かの判定の一態様なのである。
【0088】ステップモータ40のロータ42等の回転
部材とステータ44等の固定部材とにはそれぞれストッ
パが設けられている。これらストッパはロータ42が原
位置にあるときに互いに当接し、この状態からロータ4
2がスプール32の開度を増加させる向きに回転するこ
とを阻止する。そして、原点復帰の際には、ロータ42
がいずれの回転位置にある場合でも必ずこれのストッパ
をステータ44のストッパに当接させる内容の駆動信号
がステップモータ40に供給される。
【0089】以下、減衰力制御ルーチンを図6を参照し
つつ具体的に説明する。本ルーチンは、イグニションス
イッチがON状態に操作されたならば直ちに実行が開始
され、OFF状態に操作されるまで、実行が継続され
る。まず、S41において、RAM74から低温フラグ
が読み込まれ、次に、S42において、低温フラグが1
であるか否か、すなわち、油温が低温であると判定され
ているか否かが判定される。今回は1ではないと仮定す
れば、判定がYESとなり、S43以下のステップに移
行する。このS43においては、車速センサ84から車
速Vの現在値が読み込まれ、続いて、S44において、
車速Vの現在値が0であるか否かが判定される。今回は
そうではないと仮定すれば、判定がNOとなり、S45
において、減衰力制御のための駆動信号がステップモー
タ40に供給される。その後、S41に戻る。
【0090】これに対し、低温フラグが1、すなわち、
油温が低温であると判定されている場合には、S42の
判定がYESとなり、直ちにS41に戻り、S43以下
のステップがスキップされる。減衰力制御が禁止される
のである。また、低温フラグが1ではないが、車速Vが
0である場合には、S42の判定がNO、S44の判定
がYESとなり、S46において、原点復帰のための駆
動信号がステップモータ40に供給される。その後、S
41に戻る。
【0091】なお、本実施例においては、各車輪ごとに
低温フラグが設けられて各車輪ごとに減衰力制御が適宜
禁止されるようになっていたが、全車輪のいずれかでも
低温フラグが1であれば、全車輪について一律に減衰力
制御が禁止されるようにしたり、実ばね上加速度αA
理想ばね上加速度αR とについてそれぞれ全車輪間の平
均値を求め、両者の関係から全車輪について一律に減衰
力制御が禁止されるようにすることもできる。
【0092】以上の説明から明らかなように、本実施例
においては、ばね上加速度センサ80が請求項1,2,
6,7,8の各発明における「ばね上加速度検出手段」
の一例を構成し、相対変位センサ82が請求項2の発明
における「相対変位検出手段」の一例を構成し、コント
ローラ60の低温判定ルーチンを実行する部分が請求項
1,2,6の各発明における「油温推定手段」の一例を
構成し、図6のS43,44および46を実行する部分
が請求項6の発明における「位置保証手段」の一例を構
成し、コントローラ60が請求項7,8の各発明におけ
る「コントローラ」の一例を構成しているのである。
【0093】次に、別の実施例に基づいて各請求項の発
明を説明する。ただし、先の実施例と共通する部分につ
いては図示および文章による説明を省略する。ROM7
2には、図10に示すように、低温判定ルーチン,判定
許可ルーチンおよび減衰力制御ルーチンを初めとする各
種プログラムや各種マップ等が記憶されている。また、
RAM74には、図11に示すように、さらに判定許可
フラグメモリも設けられている。路面の凹凸が激しく、
車体が上下に激しく振動する場合、すなわち、路面から
車両に入力される振動の周波数が高い高周波路走行状態
にある場合には、例えば相対変位センサ82の検出結果
に大きな誤差が生じるおそれがある。そのため、車両が
高周波路走行状態にあるか否かを問わず低温判定を行っ
たのでは、常に信頼性が高い判定結果が得られるとは限
らない。そこで、本実施例においては、車両が高周波路
走行状態にではなく低周波路走行状態にあるか否かが判
定され、低周波路走行状態にあれば低温判定が許可され
るがそうでなければ禁止されるようになっている。
【0094】低温判定ルーチンは、図12に示されてい
るが、基本的には図5のものと同じであり、異なるのは
S62が追加されていることである。このS62は、R
AM74から判定許可フラグを読み込んでそれが1であ
るか否か、すなわち、判定許可ルーチンにより低温判定
が許可されているか否かを判定するものである。低温判
定が許可されていれば、判定がYESとなり、S63以
下のステップに移行して図5のルーチンにおけると同様
に低温判定が実行されるが、低温判定が許可されていな
ければ、判定がNOとなり、本ステップの実行が繰り返
される。低温判定が許可されるのが待たれるのである。
【0095】一方、判定許可ルーチンは、ばね上加速度
センサ80を流用し、それにより検出された実ばね上加
速度αA に基づいて低周波路走行状態にあるか否かを判
定する。実ばね上加速度αA の時間的推移を表す信号か
ら低周波成分のみを抽出し、それの強度が大きければ低
周波成分の方が高周波成分より強いと判定し、車両は現
在、低周波路走行状態にあると判定するのである。低周
波路走行状態にあると判定した場合には低温判定を許可
し、低周波路走行状態にはないと判定した場合には低温
判定を禁止する。
【0096】以下、判定許可ルーチンを図13を参照し
て具体的に説明する。本ルーチンはイグニションスイッ
チがON状態に操作されたならば直ちに実行が開始され
る。まず、S81において、RAM74から低温フラグ
が読み込まれてそれが1であるか否かが判定される。油
温が低温であると判定されている場合に限って本ルーチ
ンが実行されるのである。今回はそうであると仮定すれ
ば、判定がYESとなり、S82において、判定許可フ
ラグが0、すなわち低温判定を許可しない指令がRAM
74に記憶される。判定許可フラグは常に0か1にして
おく必要があり、一方、未だ本ルーチンの実質的な内容
が実行されていない段階で低温判定を許可することは望
ましくない。そのため、予め判定許可フラグが0とさ
れ、低温判定が禁止されるようになっているのである。
【0097】その後、S83において、ばね上加速度セ
ンサ80から実ばね上加速度αA が読み込まれ、S84
において、その実ばね上加速度αA に対してローパスフ
ィルタ処理が行われ、実ばね上加速度αA を表す信号か
ら低周波信号αALのみが抽出される。フィルタ特性は例
えば、カットオフ周波数が1〔Hz〕程度のものとされ
る(図14の破線グラフ参照)。続いて、S85におい
て、その低周波信号α ALに対して絶対値処理が行われ、
絶対値|αAL|が取得される。その後、S86におい
て、信号平滑化のため、絶対値|αAL|に対してローパ
スフィルタ処理が行われ、平滑化値|αALLPが取得さ
れる。
【0098】その後、S87において、その平滑化値|
αALLPが基準値Bより大きいか否か、すなわち、低周
波路走行状態にあるか否かが判定される。今回は大きい
と仮定すれば、判定がYESとなり、S88において、
低温判定を許可するために判定許可フラグが1とされ
る。その後、S83に戻る。これに対し、平滑化値|α
ALLPが基準値Bより大きくはないと仮定すれば、判定
がNOとなり、S89において、低温判定を禁止するた
めに判定許可フラグが0とされ、その後、S83に戻
る。減衰力制御ルーチンは図6のものと同様であるた
め、説明を省略する。
【0099】なお付言すれば、本実施例においては、ば
ね上加速度センサ80を流用して低周波路走行判定が行
われるため、それに専用のセンサが不要となって、その
分のコスト上昇等が回避されるという特有の効果が得ら
れる。
【0100】以上の説明から明らかなように、本実施例
においては、ばね上加速度センサ80が請求項1,2,
5,6,7,8の各発明における「ばね上加速度検出手
段」の一例を構成し、相対変位センサ82が請求項2の
発明における「相対変位検出手段」の一例を構成し、コ
ントローラ60の低温判定ルーチンを実行する部分が請
求項1,2,6の各発明における「油温推定手段」の一
例を構成し、判定許可ルーチンを実行する部分が請求項
5の発明における「低周波路走行判定手段」の一例を構
成し、図12のS62および図13のS88および89
を実行する部分が請求項5の発明における「推定許可手
段」の一例を構成し、図6のS43,44および46を
実行する部分が請求項6の発明における「位置保証手
段」の一例を構成し、コントローラ60が請求項7,8
の各発明における「コントローラ」の一例を構成してい
るのである。
【0101】さらに別の実施例に基づいて各請求項の発
明を説明する。本実施例においては、低温判定ルーチン
としては図12のもの、減衰力制御ルーチンとしては図
6のもの、判定許可ルーチンとしては図15のものがそ
れぞれ使用されている。判定許可ルーチンは、実ばね上
加速度αA の時間的推移を表す信号のうちの低周波信号
αALを用いて低周波路走行状態にあるか否かを判定する
点で図13のものと共通するが、実ばね上加速度αA
時間的推移を表す信号のうちの高周波信号αAHをも用い
て低周波路走行状態にあるか否かを判定する点では相違
する。すなわち、この判定許可ルーチンは、低周波信号
αALの強度が基準値Bより大きいのみならず、高周波信
号αAHの強度が基準値Cより小さい場合に初めて、低周
波路走行状態にあると判定して低温判定を許可し、それ
以外の場合に、高周波路走行状態にあると判定して低温
判定を禁止する。
【0102】以下、判定許可ルーチンを図15を参照し
て具体的に説明する。S91〜94が図13のS81〜
84と同様にして実行され、その後、S95において、
実ばね上加速度αA に対してハイパスフィルタ処理が行
われる。実ばね上加速度αA を表す信号から高周波信号
αAHのみを抽出するためである。フィルタ特性は例え
ば、カットオフ周波数が5〔Hz〕程度のものとされる
(図14の実線グラフ参照)。続いて、S96におい
て、低周波信号αALおよび高周波信号αAHに対して絶対
値処理が行われ、絶対値|αAL|および|αAH|が取得
される。その後、S97において、信号平滑化のため、
絶対値|αAL|および|αAH|に対してローパスフィル
タ処理が行われる。その後、S98において、平滑化値
|αALLPが基準値Bより大きく、かつ平滑化値|αAH
LPが基準値Cより小さいか否かが判定される。今回は
そうであると仮定すれば、判定がYESとなり、車両は
現在、低周波路走行状態にあると判定され、S99にお
いて、判定許可フラグが1とされ、その後、S93に戻
る。これに対し、平滑化値|αALLPが基準値Bより大
きくはないか、または平滑化値|αAHLPが基準値Cよ
り小さくはないと仮定すれば、判定がNOとなり、車両
は現在、高周波路走行状態にあると判定され、S100
において、判定許可フラグが0とされ、その後、S93
に戻る。
【0103】以上の説明から明らかなように、本実施例
においては、ばね上加速度センサ80が請求項1,2,
5,6,7,8の各発明における「ばね上加速度検出手
段」の一例を構成し、相対変位センサ82が請求項2の
発明における「相対変位検出手段」の一例を構成し、コ
ントローラ60の低温判定ルーチンを実行する部分が請
求項1,2,5,6の各発明における「油温推定手段」
の一例を構成し、図15の判定許可ルーチンを実行する
部分が請求項5の発明における「低周波路走行判定手
段」の一例を構成し、図12のS62,図15のS99
および100を実行する部分が請求項5の発明における
「推定許可手段」の一例を構成し、図6のS43,44
および46を実行する部分が請求項6の発明における
「位置保証手段」の一例を構成し、コントローラ60が
請求項7,8の各発明における「コントローラ」の一例
を構成しているのである。
【0104】さらに別の実施例に基づいて各請求項の発
明を説明する。ROM72には、図16の低温判定ルー
チンおよび図6の減衰力制御ルーチンを始めとする各種
プログラムや各種マップ等が記憶されている。ただし、
判定許可ルーチンは記憶されていない。低温判定ルーチ
ンは、基本的には図12のものと同様である。ただし、
図12のルーチンにおいては、油温が低温であると初め
て判定された後、それまでと同じ規則に従って低温判定
が再開されるのに対し、本実施例においては、油温が低
温であると初めて判定された後、それまでとは異なる規
則に従って低温判定が再開される。具体的には、車両の
走行に伴ってショックアブソーバ内の作動油に流れが生
じ、作動油自身の摩擦や摺動部品同士の摩擦等によって
油温が上昇するという事実に着目し、油温が低温である
と初めて判定された後には、油温を適当な温度まで上昇
させる原因が発生するのが待たれ、その原因が発生した
ならば油温が低温ではないと判定されるようになってい
る。すなわち、本ルーチンには、本来の規則に従って油
温が低温であると初めて判定された後には、上記油温上
昇の原因の発生の有無を判定し、発生したならば、油温
が低温であるとの判定を解除する低温判定解除手段が設
けられているのである。そして、本実施例においては、
「油温を上昇させる原因」の一例として、車速Vが一定
値V0 より大きい走行状態の継続時間である走行時間t
R が選ばれており、それが基準値TR0を超えたときに、
油温が上昇して低温ではなくなったと判定されるように
なっている。また、本実施例においては、基準値TR0
固定値ではなく可変値とされている。図17にグラフで
表すように、前記カウンタCNTの最終値が基準値Nか
ら増加するにつれて増加する可変値とされているのであ
る。カウンタCNTの最終値が大きいほど油温の実際値
の理想値からの低下量が大きく、油温が理想値まで上昇
するのに必要な走行時間tR が長いと考えられるからで
ある。
【0105】以下、低温判定ルーチンの内容を図16を
参照して具体的に説明する。ただし、図5のルーチンと
異なる部分についてのみ詳細に説明する。まず、S10
1において、カウンタCNT,計測時間tM および走行
時間tRをそれぞれ0とするとともに低温フラグを1に
する初期設定が行われる。その後、S102〜111に
おいて、図5のルーチンにおけると同様にして、ばね上
加速度αの実際値と理想値との比較が行われる。カウン
タCNTの最終値が基準値Nより小さい場合には、油温
が低温ではないと判定され、S111の判定がNOとな
り、S115において、低温フラグが0とされる。以上
で本ルーチンの実行が終了し、今回の走行が終了するま
でその実行が中止される。
【0106】これに対し、カウンタCNTの最終値が基
準値Nより大きい場合には、油温が低温であると判定さ
れ、S111の判定がYESとなり、S112におい
て、車速Vの現在値が読み込まれるとともにそれが一定
値V0 より大きいか否かが判定される。今回は一定値V
0 より大きいと仮定すれば、判定がYESとなり、S1
13において、走行時間tR が一定増分ΔtR だけ増加
させられる。その後、S114において、カウンタCN
Tの最終値、すなわちばね上加速度αの実際値と理想値
との差に応じて基準値TR0が設定され、走行時間tR
現在値がその設定された基準値TR0を超えたか否かが判
定され、超えた場合には、判定がYESとなり、油温が
低温ではなくなったと判定され、S115に移行し、低
温フラグが0とされる。これに対し、走行時間tR の現
在値が基準値TR0を超えない場合には、S114の判定
がNOとなり、S112に戻る。また、車速Vが基準値
0より大きくない場合には、S112の判定がNOと
なり、S113および114がスキップされる。
【0107】以上の説明から明らかなように、本実施例
においては、ばね上加速度センサ80が請求項1,2,
6,7,9,10の各発明における「ばね上加速度検出
手段」の一例を構成し、相対変位センサ82が請求項2
の発明における「相対変位検出手段」の一例を構成し、
コントローラ60の低温判定ルーチンを実行する部分が
請求項1,2,6の各発明における「油温推定手段」の
一例を構成し、図6のS43,44および46を実行す
る部分が請求項6の発明における「位置保証手段」の一
例を構成し、図16のS114を実行する部分が請求項
10の発明における「基準値変更手段」の一例を構成
し、コントローラ60が請求項7,9,10の各発明に
おける「コントローラ」の一例を構成しているのであ
る。
【0108】さらに別の実施例に基づいて各請求項の発
明を説明する。本実施例においては、図18の低温判定
ルーチンおよび図6の減衰力制御ルーチンを始めとする
各種プログラムが記憶されている。その低温判定ルーチ
ンも図16のルーチンと同様に低温判定解除手段を有す
るが、その具体的な内容は異なっている。すなわち、図
16のルーチンにおいては、油温を上昇させる原因とし
て車両の走行時間tR が選ばれていたが、本実施例にお
いては、ショックアブソーバのピストン20がある程度
素早い速度で変位している時間の累積値である変位時間
S が選ばれているのである。
【0109】以下、低温判定ルーチンの内容を図18を
参照して具体的に説明する。ただし、図16のルーチン
と異なる部分についてのみ詳細に説明する。S121〜
S130が図16のルーチンにおけると同様にして実行
され、S130の判定がYESとなった場合には、S1
31において、カウンタCNTの最終値が基準値Nより
大きいか否かが判定される。今回は大きいと仮定すれ
ば、判定がYESとなり、S132において、RAM7
4から変位速度vS の現在値が読み込まれるとともにそ
れの絶対値が一定値vS0より大きいか否かが判定され
る。今回は一定値vS0より大きいと仮定すれば、判定が
YESとなり、S133において、変位時間tS が一定
増分ΔtS だけ増加させられる。その後、S134にお
いて、基準値TS0が図16における基準値TR0と同様
に、図19にグラフで表すように、カウンタCNTの最
終値が大きいほど大きくなるように設定される。さら
に、変位時間tS の現在値がその設定された基準値TS0
を超えたか否かが判定され、超えた場合には、判定がY
ESとなり、油温が低温ではなくなったと判定され、S
135に移行し、低温フラグが0とされる。これに対
し、変位時間tS の現在値が基準値TS0を超えない場合
には、S134の判定がNOとなり、S132に戻る。
また、変位速度vS が基準値vS0より大きくない場合に
もS132に戻る。
【0110】以上の説明から明らかなように、本実施例
においては、ばね上加速度センサ80が請求項1,2,
6,7,9,10の各発明における「ばね上加速度検出
手段」の一例を構成し、相対変位センサ82が請求項2
の発明における「相対変位検出手段」の一例を構成し、
コントローラ60の低温判定ルーチンを実行する部分が
請求項1,2,6の各発明における「油温推定手段」の
一例を構成し、図6のS43,44および46を実行す
る部分が請求項6の発明における「位置保証手段」の一
例を構成し、図18のS134を実行する部分が請求項
10の発明における「基準値変更手段」の一例を構成
し、コントローラ60が請求項7,9,10の各発明に
おける「コントローラ」の一例を構成しているのであ
る。
【0111】さらに別の実施例に基づいて各請求項の発
明を説明する。ROM72には、図20に示すように、
図5の低温判定ルーチン,図6の減衰力制御ルーチンお
よび図21の判定再開ルーチンを始めとする各種プログ
ラムや各種マップが記憶されている。低温判定ルーチン
および減衰力制御ルーチンは既に詳細に説明したため、
ここでは説明を省略する。したがって、以下、判定再開
ルーチンのみについて詳細に説明する。
【0112】これまでに説明した実施例においてはいず
れも、油温が高温であるとの判定が行われた後には、油
温が低下することはないとの前提が採用されていた。し
かし、油温が高温であると判定された後でも、例えば、
外気温度がかなり低い状況下において車両がやや長い時
間停止し続けられた場合には、油温が低下するおそれが
ある。したがって、油温が高温であると判定された後に
油温が低下した可能性があるか否かを判定し、その可能
性がある場合には低温判定を再開することが望ましい。
そこで、本実施例においては、油温が高温であると判定
された後に車両が連続して停止する時間tS が計測さ
れ、それが基準値TS0を超えたときに油温が低下した可
能性があると判定され、その可能性がある場合には低温
判定ルーチンの実行が再開されるようになっている。
【0113】そして、低温判定の再開の必要性を判定す
るために上記判定再開ルーチンが設けられており、以
下、図21を参照して具体的に説明する。まず、S15
1において、RAM74から低温フラグが読み込まれて
これが0であるか否かが判定される。本ステップの初回
の実行時には図5のS11の実行により低温フラグが1
とされているため、判定はNOとなり、S152におい
て、停止時間tS が0とされる。その後、S151に戻
る。S151および152の実行が繰り返されるうちに
低温フラグが0となれば、S151の判定がYESとな
り、S153において、RAM74から車速Vの現在値
が読み込まれてこれが0であるか否かが判定される。0
ではない場合には判定がNOとなり、S152に移行
し、停止時間tS が0に初期化され、一方、0である場
合には、判定がYESとなり、S154において、停止
時間tS の現在値が一定増分ΔtS だけ増加させられ
る。この場合には、その後、S155において、停止時
間tS の現在値が基準値TS0を超えたか否かが判定され
る。
【0114】停止時間tS の現在値が基準値TS0を超え
ない場合は、判定がNOとなり、S151に戻るが、超
えた場合には、判定がYESとなり、S156におい
て、判定再開指令が前記低温判定ルーチンに対して出さ
れる。
【0115】以上の説明から明らかなように、本実施例
においては、ばね上加速度センサ80が請求項1,2,
6,7,9の各発明における「ばね上加速度検出手段」
の一例を構成し、相対変位センサ82が請求項2の発明
における「相対変位検出手段」の一例を構成し、コント
ローラ60の低温判定ルーチンを実行する部分が請求項
1,2,6の各発明における「油温推定手段」の一例を
構成し、図6のS42,44および46を実行する部分
が「位置保証手段」の一例を構成し、コントローラ60
が請求項7,9の各発明における「コントローラ」の一
例を構成しているのである。
【0116】さらに別の実施例に基づいて各請求項の発
明を説明する。本実施例においては、低温判定ルーチン
としては図5のものが、減衰力制御ルーチンとしては図
22のものがそれぞれ使用されている。これまでに説明
した実施例においてはいずれも、油温が低温ではないと
判定され、かつ、車速Vが0ではないと判定された場合
には、直ちに減衰力制御が行われるようになっていた。
しかし、油温が低温でないと判定されたからといって直
ちに減衰力制御を開始したのでは、ステップモータ40
に脱調が生ずるおそれがある。ショックアブソーバ内の
摺動面のなじみが十分でないなどの理由により減衰力制
御の開始当初において通常より大きな摺動抵抗が発生
し、油温が高温であるとはいえ脱調のおそれが皆無とは
言えないからである。そこで、本実施例においては、油
温が低温ではないと判定された後、減衰力制御に先立っ
て、ステップモータ40を複数回作動させる事前駆動が
行われるようになっている。
【0117】この事前駆動は例えば、ステップモータ4
0の作動回数が一定値に達するか、または作動時間が一
定値に達するまで行われる。また、この事前駆動が確実
に行われるようにするために例えば、事前駆動のための
駆動信号の供給を本来の周期、すなわち減衰力制御にお
ける周期より長い周期で行うことが望ましい。ステップ
モータ40に通常より大きな駆動トルクが発生し得るよ
うにするためである。
【0118】以下、減衰力制御ルーチンを図22を参照
して具体的に説明する。ただし、本ルーチンは図6のル
ーチンと共通する部分が多いため、異なる部分について
のみ詳細に説明する。まず、S171において、後に詳
述する初期フラグが1に初期化される。次に、S172
において、RAM74から低温フラグが読み込まれ、S
173において、これが1であるか否かが判定される。
1であればS172に戻り、減衰力制御が禁止され、一
方、1でなければS174において、RAM74から車
速Vが読み込まれ、S175において、これが0である
か否かが判定される。0であればS176においてステ
ップモータ40の原点復帰が行われ、その後S172に
戻り、一方、0でない場合には、S177において、初
期フラグが1であるか否かが判定される。イグニション
スイッチがON状態に操作されてから最初に実行される
減衰力制御において後述のS179の実行が最初である
か否かが判定されるのである。今回は初期フラグが1で
あるから、判定がYESとなり、S178において、ス
プール32の一定複数回の往復運動のための駆動信号の
供給が本来の周期より長い周期で行われる。ショックア
ブソーバの事前駆動が行われるのである。これにより、
ショックアブソーバ内の摺動面のなじみ(例えば、Oリ
ングとシリンダボアとのなじみ)が実現される。その
後、S179において、初期フラグが0とされ、続い
て、S180において、減衰力制御が実行される。その
後、S172に戻る。
【0119】以上の説明から明らかなように、本実施例
においては、ばね上加速度センサ80が請求項1,2,
6,7,8,12の各発明における「ばね上加速度検出
手段」の一例を構成し、相対変位センサ82が請求項2
の発明における「相対変位検出手段」の一例を構成し、
コントローラ60の低温判定ルーチンを実行する部分が
請求項1,2,6の各発明における「油温推定手段」の
一例を構成し、図22のS174,175および176
を実行する部分が請求項6の発明における「位置保証手
段」の一例を構成し、図21のS177および178を
実行する部分が請求項12の発明における「事前駆動手
段」の一例を構成し、コントローラ60が請求項7,
8,12の各発明における「コントローラ」の一例を構
成しているのである。
【0120】さらに別の実施例に基づいて各請求項の発
明を説明する。本実施例においては、低温判定ルーチン
としては図23のもの、減衰力制御ルーチンとしては図
24のものがそれぞれ使用されている。これまでに説明
した実施例においてはいずれも、油温が低温と高温との
2段階で判定されるようになっていたが、本実施例にお
いては、極低温と低温と高温との3段階で判断される。
そして、極低温時には、脱調防止のために減衰力制御が
禁止される。低温時または高温時には、減衰力制御が許
可されるが、高温時には、ステップモータ40への駆動
信号の供給が本来の周期で行われるのに対し、低温時に
は、それより長い周期で行われる。低温時には脱調の可
能性が皆無とはいえないからである。
【0121】以上の内容を実現するために低温判定ルー
チンおよび減衰力制御ルーチンが設計されており、以
下、各内容を図23および図24を参照して具体的に説
明する。ただし、いずれのルーチンについても、これま
でに説明した実施例におけると共通する部分が多いた
め、異なる部分についてのみ詳細に説明する。
【0122】図23の低温判定ルーチンは、基本的には
図5のルーチンと共通する。まず、S301において、
計測時間tM ,合計実ばね上加速度ΣA および合計理想
ばね上加速度ΣR がそれぞれ0に初期化されるととも
に、極低温フラグが1、低温フラグが0に初期化され
る。脱調防止を優先させるため、本ルーチンの実行当初
には油温が極低温であると仮定されているのである。次
に、S302〜306において、図5のルーチンにおけ
ると同様に、実ばね上加速度αA の取得等が行われる。
その後、S307において、計測時間tM の現在値が判
定周期TM を超えたか否かが判定される。計測時間tM
は現在0であるから、判定がNOとなり、S308にお
いて、計測時間tM の現在値が一定増分ΔtM だけ増加
させられる。その後、S309において、合計実ばね上
加速度ΣA の現在値が平滑化値|αA LP だけ増加さ
せられるとともに、合計理想ばね上加速度ΣR の現在値
が平滑化値|αR LP だけ増加させられる。その後、
S302に戻る。
【0123】S302〜309の実行が繰り返されるこ
とによって計測時間tM の現在値が判定周期TM を超え
た場合には、S307の判定がYESとなり、S310
において、合計実ばね上加速度ΣA の最終値と前記増分
ΔtM との積を判定周期TMで割ることによって平均実
ばね上加速度MA が演算される。さらに、それと同様に
して、平均理想ばね上加速度MR も演算される。その
後、S311において、平均実ばね上加速度MA から平
均理想ばね上加速度MR を引いた値が一定値Fより大き
いか否かが判定される。今回はそうであると仮定すれ
ば、判定がYESとなり、油温が現在、極低温であると
判定されて、S312において、計測時間tM ,合計実
ばね上加速度ΣA および合計理想ばね上加速度ΣR がそ
れぞれ0に初期化された後、S302に戻る。したがっ
て、今回は極低温フラグが1、低温フラグが0である状
態が維持されることになる。一方、平均実ばね上加速度
A から平均理想ばね上加速度MR を引いた値が一定値
Fより大きくはないと仮定すれば、S311の判定がN
Oとなり、S313において、平均実ばね上加速度MA
から平均理想ばね上加速度MR を引いた値が一定値G
(上記Fより小さい)より大きいか否かが判定される。
今回は大きいと仮定すれば、判定がYESとなり、油温
が低温であると判定されて、S314において、極低温
フラグが0とされ、S315において、低温フラグが1
とされる。油温が低温であると判定されるのである。
【0124】油温が低温であると判定された場合には、
その後に油温を上昇させる原因が生じることが待たれ
る。油温を上昇させる原因が生じたと判定された場合に
は、S316の判定がYESとなり、S317におい
て、低温フラグが0とされる。油温が高温であると判定
されるのである。
【0125】これに対し、平均実ばね上加速度MA から
平均理想ばね上加速度MR を引いた値が一定値Fよりも
一定値Gよりも小さい場合には、S311の判定もS3
13の判定もNOとなり、油温が極低温でも低温でもな
いと判定されて、S318において、極低温フラグが0
とされる。現在低温フラグは0であるから、結局、極低
温フラグも低温フラグも0となる。
【0126】一方、図24の減衰力制御ルーチンにおい
ては、まず、S401において、極低温フラグが0にな
ること、すなわち、油温が極低温ではなくなることが待
たれる。油温が極低温であると判定されている間は、S
402以下のステップの実行が省略され、減衰力制御が
禁止されるようになっているのである。
【0127】極低温フラグが0でなくなった場合には、
S401の判定がYESとなり、S402において、車
速Vが0であるか否かが判定される。今回は0であると
仮定すれば、S403において、低温フラグが1である
か否か、すなわち、油温が現在低温であると判定されて
いるか否かが判定され、低温であれば判定がYESとな
り、S404において、本来の周期より長い周期でステ
ップモータ40の原点復帰が行われる。一方、低温では
なく、高温である場合には、S403の判定がNOとな
り、S405において、本来の周期でステップモータ4
0の原点復帰が行われる。いずれの場合にもその後、S
402に戻る。
【0128】これに対し、車速Vが0でない場合には、
S402の判定がNOとなり、S406以下のステップ
に移行する。S406においては、低温フラグが1であ
るか否かが判定され、1であると仮定すれば、判定がY
ESとなり、S407において、本来の周期より長い周
期で減衰力制御が行われ、一方、低温フラグが1ではな
い場合には、S406の判定がNOとなり、S408に
おいて、本来の周期で減衰力制御が行われる。いずれの
場合にもその後、S402に戻る。
【0129】以上の説明から明らかなように、本実施例
においては、ばね上加速度センサ80が請求項1,2,
6,7,9,13の各発明における「ばね上加速度検出
手段」の一例を構成し、相対変位センサ82が請求項2
の発明における「相対変位検出手段」の一例を構成し、
コントローラ60の低温判定ルーチンを実行する部分が
請求項1,2,6の各発明における「油温推定手段」の
一例を構成し、図24のS402,404および405
を実行する部分が請求項6の発明における「位置保証手
段」の一例を構成し、コントローラ60が請求項7,
9,13の各発明における「コントローラ」の一例を構
成しているのである。
【0130】なお、本実施例においては、減衰力制御が
許可された場合には、作動油が低温であるか高温である
かを問わず、車両の振動状況(例えば、相対速度vS
相対変位δS ,ばね上部材の加速度・速度等)が同じで
あればショックアブソーバの流通抵抗要素(例えば、実
効流路面積)も同じになるように駆動信号が決定される
ようになっていた。しかし、低温であるか高温であるか
によって作動油の粘性が異なり、ひいては実際の減衰力
特性も異なる。そこで、より高精度に減衰力制御を行う
ためには、例えば、油温の推定値に基づき、車両の振動
状況の実際値と駆動信号、すなわちショックアブソーバ
の流通抵抗要素との関係を、油温が低いほどショックア
ブソーバの流通抵抗が低下する如く、異ならせることに
よって、油温の高さとは無関係に常に理想の減衰力特性
が実現されるようにすることが望ましい。
【0131】なお、ここに「車両の振動状況と駆動信号
との関係」は例えば、振動状況とショックアブソーバの
アクチュエータの作動位置との関係(例えば、振動状況
がとり得る範囲全体について、低温の場合において高温
の場合におけるより、ショックアブソーバの流通抵抗が
小さくなる関係),振動状況とスカイフックダンパの振
動方程式における制御ゲインとの関係,振動状況とアク
チュエータの作動位置の変化範囲の限界値との関係(例
えば、流通抵抗の最大値のみ、低温の場合において高温
の場合におけるより小さくなる関係)等として把握する
ことができる。
【0132】さらに別の実施例に基づいて各請求項の発
明を説明する。本実施例においては、低温判定ルーチン
としては図25のもの、減衰力制御ルーチンとしては図
6のものがそれぞれ使用されている。これまでに説明し
た実施例においてはいずれも、相対変位δS の検出値を
用いて油温判定が行われるようになっていたが、そのよ
うにすることは油温判定に不可欠なことではない。そこ
で、本実施例においては、相対変位δS の検出値を用い
ることなく簡易に油温判定が行われるようになってい
る。
【0133】この簡易な油温判定を行うのが図25の低
温判定ルーチンである。まず、その概略を説明する。シ
ョックアブソーバの流路面積が同じである場合には、作
動油が低温である場合において高温である場合より、実
減衰力fA が大きいという関係が常に成立する。しか
し、実減衰力fA と実ばね上加速度αA との間に常に同
じ関係が成立するわけではなく、例えば、ばね上部材の
振動周波数が約2〔Hz〕以下の走行状態では、実減衰
力fA が大きいほど実ばね上加速度αA が減少するのに
対し、約2〔Hz〕より大きい走行状態では、実減衰力
A が大きいほど実ばね上加速度αA が増加する。すな
わち、振動周波数が約2〔Hz〕以下の走行状態では、
油温が低いほど実減衰力fA が大きくなり、かつ実減衰
力fA が大きいほど実ばね上加速度αA が小さくなる関
係が成立するのに対し、振動周波数が約2〔Hz〕より
大きい走行状態では、油温が低いほど実減衰力fA が大
きくなり、かつ、実減衰力fA が大きいほど実ばね上加
速度αA が大きくなる関係が成立するのである。そこ
で、本実施例においては、振動周波数が約2〔Hz〕よ
り大きい走行状態が高周波路走行状態に選ばれ、車両が
この高周波路走行状態にあるときに限って低温判定が行
われ、かつ、実ばね上加速度αA が基準値より大きい場
合に油温が低温であると判定されるように設計されてい
る。
【0134】以下、この低温判定ルーチンを図25を参
照して具体的に説明する。まず、S501において、カ
ウンタCNTおよび計測時間tM が0、低温フラグが1
にそれぞれ初期化される。次に、S502〜506にお
いて、実ばね上加速度αA に基づき、車両が現在、高周
波路走行状態にあるか否かが判定される。具体的には、
まず、S502において、ばね上加速度センサから実ば
ね上加速度αA が読み込まれ、続いて、S503におい
て、実ばね上加速度αA に対してハイパスフィルタ処理
が行われ、実ばね上加速度αA の時間的推移を表す信号
から高周波信号αAHが抽出される。その後、S504に
おいて、高周波信号αAHに対して絶対値処理が行われ、
絶対値|αAH|が取得される。続いて、S505におい
て、絶対値|αAH|に対してローパスフィルタ処理が行
われ、平滑化値|α AHLPが取得される。その後、S5
06において、平滑化値|αAHLPが基準値Dより大き
いか否かが判定される。高周波信号αAHの強度が大き
く、車両が現在、高周波路走行状態にあるか否かが判定
されるのである。今回は平滑化値|αAHLPが基準値D
より大きくはないと仮定すれば、判定がNOとなり、直
ちに、S502に戻る。すなわち、今回は低温判定が省
略されるのである。
【0135】これに対し、今回は平滑化値|αAHLP
基準値Dより大きいと仮定すれば、S506の判定がY
ESとなり、S507以下のステップが実行される。ス
テップモータ40が原位置にあり、かつ、車両が高周波
路走行状態にある状態において、実ばね上加速度αA
絶対値が、油温が高温であると仮定した場合にとり得な
い値である基準値Eより大きい傾向が強いか否かが判定
されるのである。具体的には、まず、S507におい
て、実ばね上加速度αA に対して絶対値処理が行われ、
続いて、S508において、絶対値|αA |に対してロ
ーパスフィルタ処理が行われ、平滑化値|αA LPが取
得される。その後、S509において、その平滑化値|
αA LPが基準値Eより大きいか否かが判定される。大
きい場合には、S510において、カウンタCNTの値
が1だけ増加させられるが、大きくはない場合には、S
510がスキップされる。いずれの場合にも、S511
において、計測時間tM が一定増分ΔtM だけ増加させ
られ、その後、S512において、計測時間tM の現在
値が判定周期TM 以上となったか否かが判定される。判
定周期TM 以上とはならない場合には、S502に戻
る。
【0136】その後、S502〜512の実行が何回も
繰り返されるうちに計測時間tM の現在値が判定周期T
M 以上となったと仮定すれば、S512の判定がYES
となり、S513において、カウンタCNTの現在値
(今回の判定周期における最終値)が基準値Nを超えた
か否かが判定される。基準値Nを超えた場合には、S5
13の判定がYESとなり、低温フラグが1のままとさ
れ、S514において、次回の低温判定に備えてカウン
タCNTおよび計測時間tM がそれぞれ0に初期化され
る。その後、S502に戻る。これに対し、カウンタC
NTの最終値が基準値Nを超えない場合には、S513
の判定がNOとなり、油温が低温ではないと推定される
から、S515において、低温フラグが0とされる。以
上で本ルーチンの実行が終了し、その後、イグニション
スイッチがOFF状態に操作されるまで、実行が中止さ
れる。
【0137】なお付言すれば、本実施例においては、ば
ね上加速度センサ80を流用して高周波路走行判定が行
われるため、それに専用のセンサが不要となって、その
分のコスト上昇等が回避されるという特有の効果が得ら
れる。
【0138】以上の説明から明らかなように、本実施例
においては、ばね上加速度センサ80が請求項1,4,
6,7,8の各発明における「ばね上加速度検出手段」
の一例を構成し、コントローラ60の低温判定ルーチン
を実行する部分が請求項1,4,6の各発明における
「油温推定手段」の一例を構成し、図5のS42,44
および46を実行する部分が請求項6の発明における
「位置保証手段」の一例を構成し、図25のS502〜
506を実行する部分が請求項4の発明における「走行
状態判定手段」の一例を構成し、コントローラ60が請
求項7,8の各発明における「コントローラ」の一例を
構成しているのである。
【0139】以上、各請求項の発明をいくつかの実施例
に基づいて具体的に説明したが、特許請求の範囲を逸脱
することなく、当業者の知識に基づいて種々の変形,改
良を加えた態様でそれら各請求項の発明を実施すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】各請求項の発明の一実施例であるショックアブ
ソーバ油温推定装置を含む減衰力制御装置の電気的な構
成を示すシステム図である。
【図2】そのショックアブソーバ油温推定装置により油
温が推定されるショックアブソーバにおけるピストンお
よびロッドの部分縦断面図である。
【図3】図1におけるROM72の構成を概念的に示す
図である。
【図4】図1におけるRAM74の構成を概念的に示す
図である。
【図5】図3における低温判定ルーチンを示すフローチ
ャートである。
【図6】図3における減衰力制御ルーチンを示すフロー
チャートである。
【図7】サスペンション装置の振動モデルを示す図であ
る。
【図8】図3におけるROM72に記憶されている相対
速度vS と減衰力fの理想値との間の関係を示すグラフ
である。
【図9】図5の低温判定ルーチンにおける信号処理を説
明するためのグラフである。
【図10】別の実施例装置におけるコントローラ60の
ROM72の構成を概念的に示す図である。
【図11】その実施例装置におけるコントローラ60の
RAM74の構成を概念的に示す図である。
【図12】図10における低温判定ルーチンを示すフロ
ーチャートである。
【図13】図10における判定許可ルーチンを示すフロ
ーチャートである。
【図14】実施例装置におけるローパスフィルタ処理お
よびハイパスフィルタ処理の特性を説明するためのグラ
フである。
【図15】さらに別の実施例装置における判定許可ルー
チンを示すフローチャートである。
【図16】さらに別の実施例装置における低温判定ルー
チンを示すフローチャートである。
【図17】図16の低温判定ルーチンにおいて使用され
る基準値TR0がカウンタCNTの値と共に変化する様子
を説明するためのグラフである。
【図18】さらに別の実施例装置における低温判定ルー
チンを示すフローチャートである。
【図19】図18の低温判定ルーチンにおいて使用され
る基準値TS0がカウンタCNTの値と共に変化する様子
を説明するためのグラフである。
【図20】さらに別の実施例装置におけるコントローラ
60のROM72の構成を概念的に示す図である。
【図21】図20における判定再開ルーチンを示すフロ
ーチャートである。
【図22】さらに別の実施例装置における減衰力制御ル
ーチンを示すフローチャートである。
【図23】さらに別の実施例装置における低温判定ルー
チンを示すフローチャートである。
【図24】さらに別の実施例装置における減衰力制御ル
ーチンを示すフローチャートである。
【図25】さらに別の実施例装置における低温判定ルー
チンを示すフローチャートである。
【図26】請求項1の発明の構成を概念的に示す図であ
る。
【図27】請求項2の発明の構成を概念的に示す図であ
る。
【図28】請求項3の発明の構成を概念的に示す図であ
る。
【図29】請求項4の発明の構成を概念的に示す図であ
る。
【図30】請求項5の発明の構成を概念的に示す図であ
る。
【図31】請求項6の発明の構成を概念的に示す図であ
る。
【図32】請求項7,8,9,11の各発明の構成を概
念的に示す図である。
【図33】請求項10の発明の構成を概念的に示す図で
ある。
【図34】請求項12の発明の構成を概念的に示す図で
ある。
【図35】請求項13の発明の構成を概念的に示す図で
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−186414(JP,A) 特開 平4−243611(JP,A) 特開 平7−164850(JP,A) 実開 昭63−3536(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60G 17/015

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両のばね上部材の上下加速度の実際値
    を検出するばね上加速度検出手段と、 少なくとも検出された実ばね上加速度に基づき、前記車
    両のばね上部材とばね下部材とを互いに連結するサスペ
    ンション装置におけるショックアブソーバ内の作動油の
    温度を推定する油温推定手段とを含むことを特徴とする
    ショックアブソーバ油温推定装置。
  2. 【請求項2】 さらに、前記ばね上部材とばね下部材と
    の車両上下方向における相対変位を検出する相対変位検
    出手段を含み、かつ、 前記油温推定手段が、 前記油温が基準値である場合に前記ショックアブソーバ
    について成立する減衰力と前記相対変位の変化速度であ
    る相対速度との間の関係を予め記憶し、 前記相対変位検出手段によって検出された相対変位に基
    づいて相対速度を検出し、 前記予め記憶した関係に従い、検出した相対速度に対応
    する減衰力を基準減衰力に決定し、 決定した基準減衰力と検出された相対変位とが同時に発
    生する状況下において前記ばね上部材に発生すると予想
    される上下加速度を基準ばね上加速度に決定し、 それら実ばね上加速度と基準ばね上加速度相互の関係に
    基づき、前記油温を推定する相対的推定型である請求項
    1記載のショックアブソーバ油温推定装置。
  3. 【請求項3】 さらに、前記ばね上部材とばね下部材と
    の車両上下方向における相対変位を検出する相対変位検
    出手段を含み、かつ、 前記油温推定手段が、 前記相対変位検出手段によって検出された相対変位に基
    づき、それの変化速度である相対速度を検出し、 前記検出された相対変位と実ばね上加速度とに基づいて
    前記ショックアブソーバの減衰力の実際値を推定し、 そのショックアブソーバについて成立する相対速度と減
    衰力と油温との間の関係を予め記憶し、 検出した相対速度と推定した実減衰力との双方に基づ
    き、前記予め記憶した関係に従って前記油温を推定する
    絶対的推定型である請求項1記載のショックアブソーバ
    油温推定装置。
  4. 【請求項4】 さらに、前記車両の走行状態がその車両
    の振動周波数が設定値より低い低周波路走行状態と設定
    値より高い高周波路走行状態とのうち予め定められた一
    方の走行状態であるか否かを判定する走行状態判定手段
    を含み、かつ、 前記油温推定手段が、その走行状態判定手段によって前
    記車両が前記予め定められた一方の走行状態にあると判
    定されている間に前記ばね上加速度検出手段によって検
    出された実ばね上加速度と、その走行状態の下において
    前記油温が基準値である場合に前記ばね上部材に発生す
    ると予想される上下加速度との関係に基づいて前記油温
    を推定する簡易推定型である請求項1記載のショックア
    ブソーバ油温推定装置。
  5. 【請求項5】 さらに、前記車両の走行状態がその車両
    の振動周波数が設定値より低い低周波路走行状態である
    か否かを判定する低周波路走行判定手段を含み、かつ、 前記油温推定手段が、その低周波路走行判定手段によっ
    て前記車両が低周波路走行状態にあると判定されている
    間に限り、前記油温の推定を許可する推定許可手段を含
    む請求項1ないし3のいずれかに記載のショックアブソ
    ーバ油温推定装置。
  6. 【請求項6】 前記ショックアブソーバが、それの減衰
    力特性がアクチュエータによって変化させられるもので
    あり、かつ、 前記油温推定手段が、油温推定時には、前記アクチュエ
    ータの実際の作動位置が必ず予定位置にあることを保証
    する位置保証手段を含む請求項1ないし5のいずれかに
    記載のショックアブソーバ油温推定装置。
  7. 【請求項7】 車両のばね上部材の上下加速度の実際値
    を検出するばね上加速度検出手段と、 外部から供給される駆動信号に応じて、前記車両のばね
    上部材とばね下部材とを互いに連結するサスペンション
    装置におけるショックアブソーバの減衰力特性を変化さ
    せるアクチュエータと、 そのアクチュエータに駆動信号を供給し、それを制御す
    ることによって前記ショックアブソーバの減衰力特性を
    制御するコントローラであって、 少なくとも前記ばね上加速度検出手段により検出された
    実ばね上加速度に基づいて前記ショックアブソーバ内の
    作動油の温度を推定し、 その推定した油温が設定値以下である状況が生じた場合
    には、前記減衰力制御を禁止するものとを含むことを特
    徴とする減衰力制御装置。
  8. 【請求項8】 前記コントローラが、推定した油温が設
    定値以下である限り、油温推定を続行するとともに前記
    減衰力制御を禁止し、推定した油温が設定値より大きく
    なったときに減衰力制御を許可するものである請求項7
    記載の減衰力制御装置。
  9. 【請求項9】 前記コントローラが、推定した油温が設
    定値以下である状況が初めて生じたときに、油温推定を
    終了するとともに前記減衰力制御を禁止し、その後、油
    温を上昇させる原因が生じたか否かを判定し、その原因
    が生じたと判定したときに減衰力制御を許可するもので
    ある請求項7記載の減衰力制御装置。
  10. 【請求項10】 前記コントローラが、推定した油温に
    基づき、油温を上昇させる原因が生じたか否かを判定す
    る際に使用する基準値を変更する基準値変更手段を含む
    請求項9記載の減衰力制御装置。
  11. 【請求項11】 前記コントローラが、前記減衰力制御
    を許可したときに油温推定を終了し、その後、油温を低
    下させる原因が生じたか否かを判定し、その原因が生じ
    たと判定したときに油温推定を再開するものである請求
    項8ないし10のいずれかに記載の減衰力制御装置。
  12. 【請求項12】 前記アクチュエータが、外部から周期
    的に供給される駆動信号に応じて作動するものであり、
    かつ、 前記コントローラが、前記減衰力制御を許可した後、そ
    の減衰力制御の実行に先立ち、その減衰力制御における
    周期より長い周期で駆動信号を前記アクチュエータに供
    給することによってアクチュエータを複数回作動させる
    事前駆動手段を含む請求項7ないし11のいずれかに記
    載の減衰力制御装置。
  13. 【請求項13】 車両のばね上部材の上下加速度の実際
    値を検出するばね上加速度検出手段と、 外部から周期的に供給される駆動信号に応じて作動する
    ことにより、前記車両のばね上部材とばね下部材とを互
    いに連結するサスペンション装置におけるショックアブ
    ソーバの減衰力特性を変化させるアクチュエータと、 そのアクチュエータに駆動信号を供給し、それを制御す
    ることによって前記ショックアブソーバの減衰力特性を
    制御するコントローラであって、 少なくとも前記ばね上加速度検出手段により検出された
    実ばね上加速度に基づいて前記ショックアブソーバ内の
    作動油の温度を推定し、 その推定した油温が低い場合において高い場合における
    より長い周期で駆動信号を前記アクチュエータに供給す
    ることによって減衰力制御を行うものとを含むことを特
    徴とする減衰力制御装置。
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