JP3039706B2 - 天然香料の劣化防止方 - Google Patents
天然香料の劣化防止方Info
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Description
に関し、更に詳しくは、天然物由来の香料成分にクロロ
ゲン酸を含有せしめることによって該天然香料の香気香
味の変化、異味異臭の発生等の不都合なフレーバー劣化
を効果的に抑制する方法に関する。
回収香及びこれらを水溶性に加工したエッセンス等の天
然香料(以下、これらをまとめて単に天然香料と称す
る)は比較的不安定で、例えば光、酸素及び熱などによ
って容易に香りが変化し、更に着色あるいは退色又は粘
度増加などを伴った劣化が観察される。
れており、例えばパーヒューム(perfumes)に
イオノール、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブ
チルヒドロキシアニソール(BHA)及びジイソオイゲ
ノール等のフェノール類とクエン酸を添加してそれらの
劣化を防止する方法が提案されている(ソビエト特許2
24741号公報、1968年)。天然精油などの酸化
防止剤として従来から、例えばBHA、BHT、没食子
酸プロピル及びdl−α−トコフェロール等が一般的に
使用されている。しかしながら近年に至って、合成の酸
化防止剤には人間の健康にとって好ましくないといわれ
るようになり、これら化学合成品に代わる天然の酸化防
止剤が求められている。
に関しては幾つかの提案がなされており、例えば、クロ
ロゲン酸、カフェー酸等の抗酸化性を利用したアントシ
アニン系色素の褪色防止剤(特公平1−22872号公
報)、アントシアニン系色素含有飲食物(特開平1−1
32344号公報)、パプリカ色素の褪色防止方法(特
公昭59−50265号公報)等が開示されている。ま
た、カフェー酸、フェルラ酸、クロロゲン酸等による糖
類の褐変防止方法(特開昭57−115147号公
報)、糖類の褐変防止効果を利用した褐変のないキャン
ディーの製造法(特公昭58−32855号公報)等も
提案されている。また、これらクロロゲン酸、カフェー
酸、フェルラ酸等の抗酸化性を示す物質はコーヒー豆な
どに含有されていることが知られており、それらの抗酸
化性物質の抽出方法に関しても幾つかの提案がある(特
開昭58−138347号公報及び特開昭62−111
671号公報)。
極めて不安定な化合物の集合からなっており、保存中の
熱、光、空気、酵素等の作用を受け易く、それによって
変質し、品質の低下を招くことはよく知られている。該
天然香料の変質を起こす反応は酸化、還元、脱水素、加
水分解、重合、閉環、開環、エステル化、脱炭酸、二重
結合の移動など数多くの反応が関与している。従って、
従来既知の酸化防止剤の全てが必ずしも天然香料の劣化
防止に有効であるとはいえない。
酸化成分は、通常それぞれの天然物原料由来の特有の香
気香味を随伴しているため、油脂類或いは一般の油脂含
有飲食品等の複合組成物に配合することは可能であって
も、香気香味それ自体を目的とするフレーバー組成物ま
たは天然香料に対しては、該抗酸化成分が異味異臭の原
因となり、たとえ酸化防止効果があるとしても、それを
添加したフレーバーや天然香料の品質を低下させるとい
う重大な課題があった。本発明者らは、天然香料に配合
した場合に、天然香料そのものの香気香味に悪影響を与
えることなく且つ充分な劣化防止効果を有し、尚且つ安
全性に問題のない天然由来の抽出物による劣化防止方法
を鋭意研究した。
のフレーバー劣化防止方法」(特願平2−131413
号)を提案した。該提案においては飲食品にクロロゲン
酸、カフェー酸、フェルラ酸よりなる群から選ばれた少
なくとも1種及びビタミンC、ルチン、ケルセチンより
なる群から選ばれた少なくとも1種を含有せしめること
によって該飲食品の加工乃至保存間における香気香味の
減少乃至変化、異味異臭の発生等の不都合なフレーバー
劣化を効果的に抑制することができることを明らかにし
た。本発明者らは、上記の提案を基に天然香料そのもの
にクロロゲン酸を添加したところ、意外なことにも該香
料が天然原料のもつナチュラル感、豊潤さなどの好まし
い特徴を長期間にわたって保持することができ、且つ天
然香料の香気香味に全く影響を与えることがなく安全性
の高い劣化防止剤となり得ることを見いだした。
物をスチレン・ジビニルベンゼン系又はメタクリル酸エ
ステル系多孔性重合樹脂と接触処理し、次いで該樹脂を
含水アルコールで処理して得られる精製クロロゲン酸、
またはコーヒー生豆の水性溶媒抽出物を強酸性陽イオン
交換樹脂と接触処理してカフェインを該樹脂に吸着除去
して得られる精製クロロゲン酸等の天然物由来の精製ク
ロロゲン酸が、上記合成クロロゲン酸と同様の効果を有
することがわかった。従って本発明の目的は、天然物由
来の香料組成物にクロロゲン酸、殊にコーヒー豆等の天
然原料由来の精製クロロゲン酸を含有せしめることによ
り、香気香味の変質、着色又は褪色などのトータルな変
質・劣化を防止する方法を提供するにある。
説明する。本発明において対象とする天然香料として
は、例えば植物の葉、花、樹皮、根、小枝、果実、果
皮、種実などの植物原料を圧搾、水蒸気蒸留などを行っ
て得られる天然精油;またこれらの原料を有機溶媒で抽
出して得られるエキストラクト類;更にこの抽出液から
溶媒を除去して得られるオレオレジン、レジノイド類;
果汁その他の搾汁液、醗酵乳製品、その他の醗酵飲食品
を濃縮、水蒸気蒸留などを行う際に得られる回収香及び
例えば、柑橘油等を含水アルコールで抽出して得られる
エッセンス類等を挙げることができる。本発明において
は所望により、上記の如き天然香料に加えて例えば、化
学合成又は他の天然物由来の着香料、例えば低分子量の
アルコール類、エーテル類、エステル類、アルデヒド
類、ケトン類、メルカプタン類及びスルフィド類等の含
硫化合物、揮発性有機酸類等の香気を有する化合物及び
これらを適宜に混合して得られる香料組成物等を配合
し、該天然香料の香気特性を強調、変更することもでき
る。更に所望により前記香料組成物のほかに着色料、酸
味料、甘味料等の他の添加剤を配合することもできる。
酸(3−カフェイルキナ酸)としては、例えば化学合成
品であってもよいが、天然物起源の天然クロロゲン酸を
好ましく挙げることができる。かかる天然クロロゲン酸
は、例えばコーヒー豆中にクロロゲン酸カリウムカフェ
イン等の形で含有され、微量にはタバコ葉、サツマイ
モ、ナシ葉、リンゴ果肉その他広く植物中に分布する。
本発明で利用するクロロゲン酸は必ずしも純品である必
要はないが、少なくとも添加しようとする天然香料の香
気香味に変調を来さない程度にまで精製されているもの
が好ましい。
えば本発明と同一出願人の出願による「精製クロロゲン
酸の製法」(特願平2−265201号)及び「精製ク
ロロゲン酸の製造方法」(特願平2−265202号)
に詳細に開示されているが、その概要を示せば、例えば
前者の方法はコーヒー生豆を含水率約5重量%以上、好
ましくは含水率約5〜約90重量%のメタノール、エタ
ノール、2−プロパノール、アセトン、メチルエチルケ
トン等の含水水混和性有機溶媒を、コーヒー生豆粉砕物
1重量部に対して約2〜約50重量部を使用し、温度約20
〜約80℃にて抽出し、得られた抽出液を水抽出の場合は
そのまま、また含水水混和性有機溶媒抽出液の場合は、
蒸留などの手段によって該有機溶媒の含有量を、例えば
約5重量%以下とした後、例えばスチレン・ジビニルベ
ンゼン系多孔性重合樹脂又はメチアクリル酸系合成吸着
剤と接触処理することによってコーヒー生豆抽出液中の
クロロゲン酸及びその同族体、カフェイン及びトリゴネ
リン等の抽出成分を該吸着剤に吸着せしめ、次いで、該
合成樹脂吸着剤を稀アルカリ水溶液で脱着処理するとに
より、クロロゲン酸及びその同族体を選択的に溶出せし
め、カフェイン等の不要な成分を排除した純度の高いク
ロロゲン酸を得ることができる。
て得られたコーヒー生豆の抽出液を陽イオン交換樹脂と
接触処理することによってコーヒー生豆抽出液中のカフ
ェインがほぼ完全に該樹脂に吸着除去され、高純度のク
ロロゲン酸を含有する抽出液を得ることができる。
天然香料中の香気成分の含有量又は濃度或いは溶媒の含
有量等によって適宜選択することができるが、一般的に
は天然香料に対して約0.001〜10重量%程度の範
囲がしばしば採用される。また所望によりクロロゲン酸
に加えて従来既知の劣化防止剤、協力剤又は還元剤、例
えばカフェー酸、フェルラ酸、L−アスコルビン酸、ル
チン、ケルセチン等を配合することもできるが、その場
合の添加量も総量で上記と同程度である。以下、参考
例、実施例により本発明の天然香料のフレーバー劣化防
止方法を更に詳しく説明する。
ノール2400gを加えて65℃で3時間撹拌抽出し
た。冷却後固・液分離を行い、抽出液を減圧濃縮してメ
タノールを除去した。得られた濃縮物に食塩100g及
び水を加えて総量1000gに調整した。この溶液を、
合成吸着剤(SP−207)400mlを充填したカラム
にSV=1.0で通液して抽出物を吸着させた。引き続
きカラムに水を流して洗浄後、60%エタノール水溶液
800gをSV=1.0で流しクロロゲン酸類を溶離さ
せた。得られた溶出液を減圧乾燥して精製クロロゲン酸
33gを得た。
1000gを加え、75℃で3時間撹拌抽出した。冷却
後、固・液分離を行い、分離した抽出液を陽イオン交換
樹脂(SK−1B)250mlを充填したカラムにSV
=1.0で通液してカフェインを吸着除去した。溶出液
を減圧乾固して本発明の精製クロロゲン酸28gを得
た。
タノール500gを加え、室温下で10分間撹拌した後
静置し、上層のテルペン層を除去し、下層のエタノール
層を濾紙濾過してレモンフレーバー495gを得た(比
較品1)。
フレーバーに、参考例1で得た精製クロロゲン酸を0.
05重量%添加溶解し、本発明のレモンフレーバーを調
製した(本発明品1)。
を水蒸気蒸留釜に仕込み、常圧下に水蒸気蒸留し凝縮液
(回収香)200gをバニラフレーバーとして採取した
(比較品2)。
ラフレーバーに参考例2で得た精製クロロゲン酸を0.
04重量%添加溶解し、本発明のバニラフレーバーを調
製した(本発明品2)。
L値20)100gを水蒸気蒸留釜に仕込み、常圧下に
水蒸気蒸留し、凝縮液(回収香)200gを採取しコー
ヒーフレーバーとした(比較品3)。
ヒーフレーバーに、参考例2で得た精製クロロゲン酸を
2重量%添加溶解し、本発明のコーヒーフレーバーを調
製した(本発明品3)。
レーバーを温度37℃で3週間及び2カ月間保存した
後、4℃の冷蔵庫に保存しておいた試料を標準としてそ
れに対する変質劣化の程度を、よく訓練された10名の
パネルにより官能評価を行った。その結果を表1(3週
間後及び2カ月後)に示す。
名のパネルの平均値) 評価点 5 大変優れている。 4 優れている。 3 普通 2 劣っている。 1 大変劣っている。
バニラフレーバー及びコーヒーフレーバーを実施例4と
同様に温度37℃で3週間及び2カ月間保存した後、4
℃の冷蔵庫に保存しておいた試料を標準としてそれに対
する変質劣化の程度を、よく訓練された10名のパネル
により官能評価を行った。その結果を表2(3週間後)
及び表3(2カ月後)に示す。
たバニラフレーバーを調整した。 バニラエキスブルボン 800g バニリン 15g バニラオレオレジン 10g エタノール 110g 水 65g 参考例1の精製クロロゲン酸 0.4g
たコーヒーフレーバーを調整した。 酢酸エチル 3g ジアセチル 2g 酢酸 1g フルフラール 10g フルフリルメルカプタン1% 3g コーヒーエキス 600g エタノール 231g 水 150g 参考例2の精製クロロゲン酸 0.4g
キストラクト類、オレオレジン、レジノイド、回収香及
びエッセンス類などの天然香料類に精製クロロゲン酸を
含有せしめることによって、天然香料類の香気香味に何
らの悪影響を与えることなしに該天然香料類の保存間に
おける香気香味の減少乃至変化、着色乃至退色及び異味
異臭の発生等の不都合な劣化を効果的に抑制することが
できる。
Claims (1)
- 【請求項1】 天然物由来の香料組成物にクロロゲン酸
を含有せしめることを特徴とする天然香料の劣化防止方
法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP3146593A JP3039706B2 (ja) | 1991-05-23 | 1991-05-23 | 天然香料の劣化防止方 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3146593A JP3039706B2 (ja) | 1991-05-23 | 1991-05-23 | 天然香料の劣化防止方 |
Publications (2)
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---|---|
JPH04345693A JPH04345693A (ja) | 1992-12-01 |
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Family
ID=15411229
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3146593A Expired - Lifetime JP3039706B2 (ja) | 1991-05-23 | 1991-05-23 | 天然香料の劣化防止方 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3039706B2 (ja) |
Families Citing this family (7)
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FR3118419A1 (fr) * | 2020-12-30 | 2022-07-01 | L'oreal | Composition cosmétique parfumée comprenant un acide organique, un colorant anthocyani(di)ne naturel et une matière parfumante, et procédé de traitement de matière kératinique et/ou de vêtement mettant en œuvre la composition |
-
1991
- 1991-05-23 JP JP3146593A patent/JP3039706B2/ja not_active Expired - Lifetime
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