JP3038585B2 - カルダン形自在軸継手 - Google Patents

カルダン形自在軸継手

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Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明はカルダン形軸継手の改良
に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】カルダン形不等速自在軸継手は特開平３
−７４６３２号などにより公知である。その公知軸継手
は、回転軸に固定する継手本体の円筒形のハブと２本の
ヨークを一体の部品として形成し、ヨークの先端部に直
径方向に貫通する軸受孔を設け、その軸受孔にオイレス
メタルのスリーブを圧入して固定し、柱状のこまの側面
にピン孔を十字状にあけ、ピンをヨークのスリーブに摺
動自在に通してピン孔に圧入することにより十字形金具
を形成すると共に、その十字形金具を介して一対の継手
本体を連結したものである。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】公知のカルダン形軸継
手は回転軸間の偏角及び偏心を吸収することは可能であ
るが、ハブと回転軸の間に軸方向の逃げがないため、軸
方向の荷重を受けて軸方向に偏位する回転軸の軸継手に
は適さないという問題があった。本発明はこの問題を解
決しようとするものであり、その目的とするところは、
軸方向荷重を受けたときに、軸方向に偏位する回転軸に
も使用可能なカルダン形不等速自在継手を提供すること
にある。
【０００４】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明が採用する手段は、ハブに軸交差方向の逃げ
溝を設けたことにある。逃げ溝の中心角は１８０度以上
とし、逃げ溝を２個以上設ける場合は、交互に相反する
方向から逃げ溝を切り込む。一対の継手本体を同形にす
ると、両側の逃げ溝の位相差は９０度になるが、両側の
継手本体を逃げ溝の位相のみが９０度異なるものにする
と、両側の逃げ溝の位相差は１８０度になる。ハブを別
体にしてもよいが、ヨークとハブを一体の部品とすると
部品数を少なくすることができる。ヨークとハブを別体
にしてもよい。ハブの逃げ溝の外側の軸固定部に直径方
法の割り溝を設け、回転軸をハブに締め付け固定しても
よい。
【０００５】
【作用】継手本体と一体のハブは、軸方向交差の逃げ溝
を有するから、ほぼ軸方向に弾性変形する。したがっ
て、軸方向荷重による回転軸の軸方向偏位はハブの軸方
向弾性変形によって吸収される。又、両側の回転軸の偏
角と偏心もハブの弾性変形によってある程度吸収される
から、この逃げ溝がないものに比べると、軸継手の偏角
及び偏心の許容範囲も拡大する。このばね効果は、ハブ
に設ける逃げ溝の数が多い程大きく、又、両側の逃げ溝
の位相差は１８０度のものが９０度のものよりも大き
い。回転軸を割り溝を介してハブに締め付け固定するも
のは、回転軸にキー溝等を設ける必要がなく、又、固定
ねじ等によって回転軸が傷付くおそれもない。
【０００６】
【実施例】本発明の自在継手を図面に示す実施例に基づ
いて説明する。図１ないし図３に示すように、左右一対
の継手本体11は、左右の回転軸10を挿入して固定する中
空円筒状のハブ12と、そのハブの相対する端面において
直径方向に相対する位置から相手側に突出する二つのヨ
ーク13からなり、ハブ12とヨーク13は焼結、ダイキャス
ト、鍛造等により一体に形成される。ヨーク13には直径
方向に貫通する軸受孔19が設けられ、その軸受孔にはオ
イレスメタルのスリーブ14が圧入される。十字形金具15
は円筒状のこま16とそのこまの側周面に十字状に植設し
た４本のピン17からなる。こま16とピン17は別体であ
り、こま16の周側面にはピン17を圧入するためのピン穴
18が十字状にあけられる。
【０００７】ハブ12には軸方向に直交し、中心角が270
度の逃げ溝20を設ける。ハブ12の逃げ溝20の外側の軸固
定部21には軸孔22よりも深い直径方向の割り溝23を入れ
る。割り溝23によって分けられた軸固定部21の一方にボ
ルト座24とボルト通し孔25を設け、他方にボルト通し孔
25と同軸にボルトねじ孔26を設ける。ボルト通し孔25と
ボルトねじ孔26は割り溝23の軸孔22より浅い部分にあ
り、そこにボルト27を通して締め込むと、軸固定部21の
一方と他方は相互に接近し、軸孔22を狭め、そこに挿入
した回転軸10を締着固定する。したがって、回転軸10に
はキー溝等の加工を施す必要はなく、又、固定ねじの当
たりにより表面が傷つくおそれもない。しかし、回転軸
10とハブ12の結合は締着固定に限る必要はなく、場合に
よっては、キー止めにすることも、又は固定ねじによる
当たり止めにすることも可能である。
【０００８】左右の継手本体11は、逃げ溝20の位相に９
０度の差があるため、全くの同形ではないが、この位相
差によって、左右の逃げ溝20は軸継手中心に関して対称
であり、位相差は１８０度となるから、軸方向のばね効
果は最大になる。左右の継手本体11を全く同形にして軸
継手を組立てると、部品数が減少するという利点はある
が、図４に示すように、左右の逃げ溝20の位相差は９０
度となるから、軸方向のばね効果は位相差１８０度のも
のに比べると減少する。図５に示すように、継手本体11
に２個以上の逃げ溝20を交互の直径方向から切り込んで
形成してもよい。
【０００９】次に、本発明の自在軸継手における軸方向
偏位の吸収について説明する。ハブ12に逃げ溝20がある
ため、継手本体11は軸方向に弾性変形可能である。した
がって、継手本体11に連結した回転軸10に軸方向荷重が
加わり、その回転軸が軸方向に偏位しても、その偏位は
継手本体11の軸方向の弾性変形によって吸収されるか
ら、回転軸10の軸方向偏位によって回転伝達が不円滑に
なったり、軸継手自身が破損したりするおそれはない。
【００１０】左右のハブ12に駆動側及び被動側回転軸10
を回転伝達すると、回転は駆動側ヨーク13とスリーブ14
を介して十字形金具15へ伝達され、ついで、被動側のハ
ブ12のヨーク13とスリーブ14を介して被動側回転軸10に
伝達させる。このとき、回転軸の偏心運動はピン17とス
リーブ14の摺動により吸収され、偏角運動はピン17がス
リーブ14を揺動することにより吸収される。偏心、偏角
はさらにハブ12に設けた逃げ溝20による継手本体11のば
ね効果によっても吸収されるから、従来のハブに逃げ溝
がなかったものより、偏心偏角の許容範囲が拡大すると
いう効果も生ずる。
【００１１】
【発明の効果】上記のとおり、本発明の継手はハブに設
けた逃げ溝により継手本体がばね状に弾性変形して回転
軸の軸方向偏位を吸収するから、従来の軸方向偏位を吸
収不能なため軸方向荷重を受ける回転軸に用いることが
できなかった継手とは異なり、軸方向荷重を受ける回転
軸にも使用することができるだけでなく、継手本体のば
ね効果によって左右の回転軸間の偏心偏角に対する許容
範囲もさらに拡大するという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図１】は本発明の継手の一実施例の正面図、
【図２】は図１のII−II線に沿う断面図、
【図３】は図１の継手の分解斜視図、
【図４】は他の実施例の図１に相当する図、
【図５】は別の実施例の図１に相当する図、
【符号の説明】
10：回転軸 11：継手本体 12：ハブ 13：ヨーク 1
4：スリーブ 15：十字形金具 16：こま 18：ピン孔
19：軸受孔 20：逃げ溝 21：軸固定部 22：軸孔 2
3：割り溝 27：ボルト
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平３−20116（ＪＰ，Ａ) 実開 平５−6226（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭63−53925（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭52−8741（ＪＰ，Ｕ) 実開 平１−135230（ＪＰ，Ｕ) 実開 平１−104469（ＪＰ，Ｕ) 実公 昭46−12081（ＪＰ，Ｙ１) 実公 昭48−18098（ＪＰ，Ｙ１) (58)調査した分野(Int.Cl.7，ＤＢ名) F16D 3/38 - 3/40 F16D 3/74 F16D 3/04

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】接続すべき回転軸（10）を固定する円筒状
    のハブ（12）と、前記ハブの端面において直径方向の両
    側から相手側へ突出する２本のヨーク（13）とを備えた
    左右一対の継手本体（11）と、４本の十字形の突出する
    ピン（17）を備えた十字形金具（15）とを有し、各ピン
    をそれぞれ前記ヨークに軸受けして前記左右継手本体を
    連結してなる自在軸継手において、前記ハブ（12）に中
    心角１８０度以上の軸方向に垂直な逃げ溝（20）を設
    け、前記左右継手本体の逃げ溝（20）の位相差を９０度
    として前記左右継手本体を相互に異形としたことを特徴
    とするカルダン形自在軸継手。
  2. 【請求項２】接続すべき回転軸（10）を固定する円筒状
    のハブ（12）と、前記ハブの端面において直径方向の両
    側から相手側へ突出する２本のヨーク（13）とを備えた
    左右一対の継手本体（11）と、４本の十字形の突出する
    ピン（17）を備えた十字形金具（15）とを有し、各ピン
    をそれぞれ前記ヨークに軸受けして前記左右継手本体を
    連結してなる自在軸継手において、前記ハブ（12）に中
    心角１８０度以上の軸方向に垂直な逃げ溝（20）を設
    け、前記左右継手本体の前記逃げ溝の位相差を１８０度
    として前記左右継手本体を相互に同形としたことを特徴
    とするカルダン形自在軸継手。
  3. 【請求項３】ハブ（12）に複数の相互に１８０度の位相
    差がある平行な逃げ溝（20）を設けたことを特徴とする
    請求項１又は２記載のカルダン形自在軸継手。
  4. 【請求項４】ハブ（12）の逃げ溝（20）の外周側の軸固
    定部（21）に、軸心を通る深さが軸孔（22）を越える直
    径方向の割り溝（23）を設け、前記割り溝の前記軸孔よ
    りも浅い部分にボルト（27）を通して前記割り溝によっ
    て割れた前記軸固定部を締着し、それにより前記軸孔に
    はめた固定軸（10）を固定するようにしたことを特徴と
    する請求項１ないし３のいずれか一つに記載のカルダン
    形自在軸継手。
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