JP3034807B2 - 人工衛星の姿勢決定装置 - Google Patents
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Description
タログからの星をスターセンサで捕らえているかの同定
を行い、また同定結果に基づいて人工衛星等の宇宙飛し
ょう体(人工衛星と記載する)の姿勢決定を行う人工衛
星等の姿勢決定装置に関するものである。
公報に示された従来の人工衛星の姿勢決定システムの星
同定部を示した図である。図において、1は図示しない
スターセンサを搭載し、地球2の回りを周回する人工衛
星、3は人工衛星1が搭載したスターセンサにより観測
する天球上の複数の星、4は複数の星3中で着目する
星、5はスターセンサ視野角最大値を半径とする円、6
は円5の中で着目する星4より暗いすべての星、7は全
天の星のパターンを集めた集合、8は全天の星のパター
ンとすべての特徴量の組み合わせのテーブル、9は特徴
量の大きさ順にテーブル8を並べ替えて作成したテーブ
ル、10はテーブル9のパターン番号のみを抜き出して
作成したテーブルである。これテーブルよりスターカタ
ログが形成される。
を搭載した人工衛星1は地球2の回りを周回しながらス
ターセンサを用いて天球上の複数の星3を観測する。同
定に必要な特徴量を以下のように定める。スターセンサ
で観測可能な天球上の星すべてについて、その星4を中
心としてスターセンサ視野角最大値を半径として円5を
描き、その内部に入る星で中心の星4より暗い星6を選
び出す。星4から各星6に放射状に線を引き、でき上が
った放射状図形に対して星4の星番号をつけてパターン
の番号とする。
すべてのパターンについてその特徴量とパターン番号を
組み合わせてテーブル8を作る。テーブル8の特徴量の
大きさ順に特徴量とパターン番号の順を並び替えて特徴
量の大きな順から特徴量とパターン番号を並べたテーブ
ル9を作る。テーブル9のアドレスから特徴量への関数
を近似する関数11を作成する。テーブル9のパターン
番号のみの方をパターン番号テーブル10とする。同定
を行う場合には、スターセンサで観測した画像データに
おいて最も明るい星について同様に作成されるパターン
と関数11を照合し、対応するテーブル10の部分テー
ブルの中から共通部分を抽出し、それが一個のみであれ
ば同定成功とする。
工衛星の姿勢決定系のブロック図の一例である。12は
姿勢伝搬部、13は姿勢更新部、13aは時不変ドリフ
ト推定部である。従来、スターセンサ16とジャイロ1
4を組み合わせて人工衛星の姿勢決定を行うシステムで
は、ジャイロ14のドリフトをスターセンサ16による
正確な姿勢角で推定するのが一般的である。すなわち、
スターセンサ16の観測値をスターセンサ処理部15で
処理して人工衛星の姿勢角qmを算出し、この姿勢角qm
と姿勢伝搬部12で推定された姿勢角qhとの差qeを推
定誤差として姿勢更新部13に入力する。
フトωdを時不変とみなして1次のフィルタKP0+KI0
/sを通して推定し、この推定値ωdをジャイロ出力ωm
から差し引いて衛星の姿勢角速度の推定値ωhを得る。
姿勢伝搬部12では、姿勢角速度の推定値ωhを1サン
プリング時間積分して1サンプリング前の姿勢角の推定
値に加えて、現時刻の姿勢角の推定値qhを出力する。
の姿勢角推定誤差の定常特性を示すグラフである。衛星
のノミナル角速度が一定値であると、姿勢角推定誤差は
ほぼ0となり良好な特性を示しているが、ヨー軸回りに
ステアリングを行う衛星のようにノミナル角速度が周期
的に変動すると、姿勢角推定誤差はノミナル角速度の周
期的な変動に沿って顕著に現れる。
は、ある時刻におけるスターセンサ視野内の星画像から
算出される特徴量とスターカタログデータとを照合する
ことによって同定を行うものであった。そのため、同定
に必要な数の星が視野内に必ず入るようにスターセンサ
の視野を十分に広くとるか、または十分な数の星が視野
内に入らないときにはその時刻における同定をあきらめ
るなどの制約があった。
向ベクトルが成す角すなわち離角および3つの星がカメ
ラ画面上に構成する三角形の面積など、カメラの光軸回
りに回転しても値が変化しないものが選ばれており、衛
星の姿勢の概略値が分かる場合などカタログからカメラ
画面上の星の位置が概略予想できる場合には、予想され
た星の位置と観測された星の位置の相対的な関係を十分
に利用した同定には必ずしもなっていなかった。
行う場合には、スターセンサの概略の視線方向が既知で
あって探索すべきカタログの範囲が十分限定されている
ことが必要であった。そのような計算能力が搭載計算機
で得られない場合には、観測データを地上局に送信し
て、地上局において同定計算を行い、その結果を人工衛
星に送信することが必要であった。
慣性空間における星の方向ベクトルのカタログデータ
と、スターセンサ視野内の星像の位置から算出される人
工衛星の機体に固定した座標系(以下、機体固定座標系
と略す)における星の方向ベクトルの間の座標変換また
は回転運動を表すパラメータを決定することが必要であ
った。
の姿勢センサを用いて衛星の概略の姿勢決定を行った後
にスターセンサを用いた高精度な姿勢決定を行うことが
通例であり、上記の座標変換または回転運動を表すパラ
メータを求めるに際して、精度の良い概略値を利用する
ことができた。しかし、地球センサまたは太陽センサを
搭載していなかったり、搭載していても故障等で利用で
きず、スターセンサのみで初期捕捉を行う場合には、そ
のような概略値を利用できないので、何らかの手段で概
略値を与えることが必要である。
微小角近似による線形化を行うことで姿勢角の推定に必
要な計算量を少量にすることが通例であったが、概略値
の精度が悪い場合には、近似誤差を無視できず、過渡応
答において収束が悪いという問題があった。
姿勢角情報を利用してジャイロのドリフトを補正し、超
高精度な姿勢決定系を構成することが地球観測や天文観
測などを行う人工衛星に求められている。しかし、従来
の姿勢決定方式では、衛星のノミナル角速度が一定値で
あるという前提でジャイロのドリフトも一定値またはき
わめて長い時定数で変化する変数とみなしているため
に、衛星のノミナル角速度が時変の場合にはその結果と
して生じるドリフトの時変成分を十分な精度で推定する
ことができず、得られる姿勢決定精度も不満足なもので
あった。
るためになされたものであり、以下のような人工衛星の
姿勢決定システムを得ることを目的とする。人工衛星の
姿勢の概略値が未知のために探索すべきスターカタログ
の範囲を十分に狭めることができない場合にも地上局の
援助を必要とすることなく星の同定を可能とする。一回
の撮像におけるスターセンサの視野内の星の数が同定に
必要な数に満たない場合にも星の同定を可能とする。太
陽センサや地球センサなどの他の姿勢センサを用いなく
ても人工衛星の姿勢の概略値の算出を可能とする。人工
衛星に搭載の計算機で実行可能な少量の演算で人工衛星
の高精度な姿勢決定を行えるとともに、人工衛星のノミ
ナル角速度が時変の場合にもジャイロのドリフトを時変
成分まで精度よく推定を可能とする。
の姿勢決定装置は、人工衛星等の宇宙飛しょう体に搭載
されたスターセンサの所定時刻における観測値である星
像を画像処理し、観測星の方向ベクトルを算出する画像
処理部と、所定の時刻における前記人工衛星の姿勢と別
の時刻における前記人工衛星の姿勢の間の回転運動を推
定する回転推定部と、前記スターセンサによる撮像時刻
が等しい複数の星の方向ベクトルの間の離角を推定し、
また前記スターセンサによる撮像時刻が等しくない複数
の星の方向ベクトルの間の離角を前記推定された回転運
動に基づいて推定する離角推定部と、離角の関係の定ま
った複数の星についてスターカタログとの対応をつける
スター同定部と、星の同定結果から人工衛星の姿勢角を
推定する姿勢角推定部とを備えたものである。
は、回転推定部は、撮像時刻が近接した複数枚の画面上
の星像の平均的な動きを推定し、その推定した動きをも
とに撮像時刻が離れた複数枚の画面上の個々の星像の間
の対応をとって各々の撮像時刻間の回転運動を推定する
ものである。
は、姿勢角推定部は回転推定部により推定された回転運
動の推定値を用いて現在時刻の姿勢角の候補を複数算出
して用意し、またスター同定部は観測された星像に対す
るスターカタログの星の同定候補を多数用意し、スター
センサから星像が得られるに従い、この星像の位置とス
ターカタログによって予測された星像の位置との差に基
づき、前記用意された姿勢角の候補または同定候補より
姿勢角または同定してあり得ない候補を逐次的に取り除
いて最終的に、残った候補に基づいて人工衛星の姿勢角
を推定するものである。
は、スター同定部は、観測した星の方向を直接スターカ
タログの星と比較して候補となる星を抽出、この候補の
星に関して観測した星、スターカタログの星それぞれの
離角を計算、これらの離角が十分に近いものを同定結果
とするものである。
は、スター同定部は、精度の低い姿勢角情報が得られて
いる人工衛星において、スターセンサで観測された複数
の星の方向から、対応するスターカタログの星を同定す
る際、観測した星の中の2つの星について、その方向の
差のベクトルをとり、前記スターカタログの星の方向の
差のベクトルと比較するものである。
は、スター同定部が、観測した複数の星の間の離角をス
ターカタログのカタログ星の離角と比べて同定する際
に、観測した1つの星の候補として発生した複数のカタ
ログ星の離角と観測した複数の星の間の離角の差が許容
誤差以内であれば、この時のカタログ星を観測星の候補
と見做してこのカタログ星と観測星とを組とし、この組
の出現数が規定値以上のものを観測星の第2次の候補と
して残すものである。
は、姿勢角推定部が、複数のベクトルからなる組が同一
の回転運動によってノイズを含む別の複数のベクトルか
らなる組に対応づけられているとき、このベクトル間の
座標変換行列を推定する際、一方のベクトルの組を適切
な回転運動によりもう一方のベクトルの組に近づくよう
に移動した後、移動後のベクトルともう一方のベクトル
の組とを結びつける回転運動を、対象に回転角0を初期
値として逐次的に推定するものである。
は、航法センサより出力された航法センサ信号を人工衛
星の軌道角速度およびその整数倍の周波数で級数展開
し、各周波数成分ごとにそれ自身とその一階微分の二つ
の状態量の組み合わせとして時変成分を推定するもので
ある。
いて説明する。図1は本実施の形態による人工衛星の姿
勢決定系のスターセンサ処理部の構成図である。図にお
いて、スターセンサ処理部15は、スターセンサ16の
観測値である星像を処理して星の方向ベクトルを算出す
る画像処理部17と、星の方向ベクトルから人工衛星の
回転を推定する回転推定部18と、観測した星の離角を
推定する離角推定部19と、離角の関係の定まった星と
スターカタログ23との対応をつけるスター同定部20
と、星の同定結果から人工衛星の姿勢角を推定する姿勢
角推定部21と、各ブロック17〜21で算出したデー
タを記憶するデータ記憶部22から構成される。
る。画像処理部17では、ある時刻におけるスターセン
サの観測値、即ち星像から星の方向ベクトルを算出す
る。この技術は公知であると考えられる(例えば、泉田
他:恒星同定に基づく姿勢決定の構成、信学論(D)、J67
-D1、pp.49-55 (1984))ので、ここでは画像処理部17
の動作の概略を説明する。
を持つテーブルである。ある輝度値より明るいもののみ
1、ある輝度値以下の明るさのものを0のように二値化
を行う。さらに、ある面積以下の星像は雑音であるとか
円くない星像は雑音であるなどの判断基準を適用して雑
音を除去する。
セントロイドを算出する。カメラ画像の横軸をxc、縦
軸をyc、視線方向をzcとし、i番目の星のセントロイ
ド位置を(cxi,cyi)とすると、カメラ座標系での星の方
向ベクトルpciは以下の(1)式のようになる。
変換行列CBCを用いると、機体固定座標系でのi番目
の星の方向ベクトルpbiは以下の(2)式のようにな
る。
いた小文字のc,bはそれぞれカメラ座標系および機体
固定座標系でベクトルの成分表示を示す。
たは異なる複数の星の方向ベクトルの間の離角を推定す
る。ここでは一例として、撮像時刻tBにおいて星s1
が見え、撮像時刻tAにおいて星s2と星s3が見えた
場合に関して説明するが、各撮像時刻における星の数は
任意であり同様にして離角を推定できる。
れたが、時刻tAにおいてはセンサ視野の外にあって見
えていないとし、星s2と星s3は時刻tBにおいてセ
ンサ視野の外にあって見えなかったが、時刻tAにおい
てはセンサ視野に現れた星であるとする。
間の離角を計算する方法を説明する。星s2と星s3の
方向ベクトルは画像処理部17において算出し、それぞ
れpb2(tA)とpb3(tA)とする。(tA)は
撮像時刻がtAであることを示す。離角θ(s2,s
3)は以下の(3)式で求める。
とる演算子を表し、acos()は逆余弦関数である。
なお、実用上はθ(s2,s3)のかわりにcosθ
(s2,s3)を用いても星の同定が可能であり、ac
osの計算が不要になるので計算機負荷の面から有利で
ある。なお、その場合には、離角のカタログデータにお
いてθのかわりにcosθを記載する。
間の離角を計算する方法を説明する。回転推定部18に
より、時刻tBから時刻tAへの人工衛星の姿勢変化を
表す座標変換行列を求めてCABとする。時刻tBにお
いて機体固定座標系でpb1(tB)で表された星s1
の方向ベクトルは、時刻tAにおける機体固定座標系で
は、座標変換により以下の(4)式でpb1(tA)で
表される。
離角θ(1,2)を以下の(5)式で推定する。
った複数の星についてスターカタログ23との対応をつ
ける。ここでは一例として、観測した星s1と星s2と
星s3について離角の推定値が得られている場合に関し
て説明するが、離角の推定値が得られている星の数は3
個以上であれば任意であり、同様にしてスターカタログ
23との対応をつける。観測した星が3個ある場合に
は、離角の組み合わせは以下の3組がある。
された離角データまたはスターカタログに記載された星
の方向ベクトルから算出される離角データは以下のよう
に一般に数が膨大にある。
ンサから人工衛星の姿勢角の概略値が与えられる場合
や、1サンプリング前の姿勢決定時における姿勢角の概
略値が利用できる場合などには、探索すべきスターカタ
ログの範囲を大幅に狭めることができる。この場合に
は、観測した星の離角データとスターカタログ23から
得られる離角データとの差が許容誤差ε未満であるよう
な組み合わせを求めることで、観測した星にスターカタ
ログ23の星を対応づけることができる。具体的には以
下の(8)式の関係が成り立つ。
は、観測した星s1,s2,s3に対してスターカタロ
グの星sa,sb,scをそれぞれ対応づけることがで
き、同定が完了する。
て暗い星まで利用する場合、あるいは人工衛星の姿勢の
概略値の精度が低くてカタログの探索範囲を十分に狭め
ることができない場合などには、上記の不等式を満たす
ような組み合わせが複数存在することがあるが、請求項
4あるいは請求項5の方法を適用することで同定でき
る。
ない場合についても、請求項3あるいは請求項9の方法
で、人工衛星の姿勢の概略値を求め、その結果を用いて
上記の方法で同定を行うことができる。
にあたり、過去に観測した星と同一かどうかの判断も、
同様の方法で実行できる。例えば、時刻tBにおいて方
向ベクトルがpx(tB)の星は、時刻tAには以下の
(9)式で示す方向に見えているはずである。
される、時刻tBから時刻tAへの座標変換行列であ
る。時刻tAにおいて観測された星の方向ベクトルp1
A(tA),・・・,pnA(tA)の中でpx(t
A)との離角が許容誤差未満であれば、同じ星であると
判断できる。
態2を図について説明する。図2は本実施の形態に係る
人工衛星の姿勢決定系の回転推定部18の構成図であ
る。図において、回転推定部18は、近接する二つの撮
像画面の間の対応をつける画面対応部18aと、少し離
れた二つの撮像画面上の星像の間の対応をつける星像対
応部18bと、星像の対応のついた二つの撮像時刻間の
人工衛星の回転運動を推定する回転運動演算部18c
と、任意の二つの撮像時刻間の人工衛星の回転運動を推
定する回転合成部18dとから構成される。
る。画面対応部18aにおいては、近接した二つの撮像
時刻tAと撮像時刻tBにおけるカメラ画面の星像の間
の平均的な動きを推定する。撮像時刻の間隔が短いた
め、カメラ画面上での星像の動きはほぼ線形であり、平
均的な移動量(xBA,yBA)で代表させることがで
きる。平均的な移動量を算出する方法を図3について説
明する。図3は星像対応部18bの動作を説明する図で
ある。
1A,2A,3A,4Aの4つの星像があり、時刻tB
において1B,2B,3Bの3つの星像がある場合の平
均的な移動量を求める方法を説明する。時刻tAにおけ
る星像1Aから時刻tBにおけるすべての星像1B,2
B,3Bへのベクトルをそれぞれ以下の(10)式にて
計算する。
j)要素は、平均的な移動量で以下の(11)式で表
す。
散化するための刻み幅であり、bx、byは適切なバイ
アス値である。移動量が大きい場合には、テーブルのサ
イズを大きくする、あるいは刻み幅dx、dyを粗くす
ることも考えられる。
報が全くない場合はbx、byをともに0とするが、既
知の軸回りに回転する場合や過去の平均的な移動量を参
照できる場合には、移動量の予測値をbx、byに代入
する。後者の場合には、bx、byを供に0とする場合
に比べて、テーブルHのサイズを小さくとる、あるいは
刻み幅dx、dyを細かくとることも考えられる。
B1A,Δy1B1A)・・・をdx、dyで離散化
し、それぞれテーブルの対応する要素の値を1増やすと
以下の(12)で表せる。
える演算を表す。星2A,3A,4Aについても同様の
操作を行う。得られたテーブルGの要素の中で最も値の
大きな要素(imax,jmax)に対応する値を以下
の(13)式で示す平均的な移動量の推定値とする。
こで述べた要素の最大値を利用するほかに、要素の値で
重み付けした平均値を用いることも考えられる。このよ
うな方法をとることで、時刻tAと時刻tBで必ずしも
同じ星を見ていない場合でも、平均的な移動量を適切に
推定することができる。
18aで求めた平均的な星の動きをつなぎあわせて少し
離れた二つの撮像時刻におけるカメラ画面の個々の星像
の間を対応づける。説明のため、一例として時刻tA,
tB,tCにおいてそれぞれ1A,2A,3A,4Aの
4つの星像、1B,2B,3Bの3つの星像、1C,2
C,3C,4Cの4つの星像があり、時刻tAから時刻
tBおよび時刻tBから時刻tCへの平均的な移動量が
画面対応部18aで求められている場合の、時刻tAの
星像と時刻tCの星像の対応付けの方法を示す。同様に
して、2つ以上の任意の数の平均的な移動量をつなぎ合
わせて星像の対応付けが可能である。
BA,ΔyBA)、tBからtCへの平均的な移動量を
(ΔxCB,ΔyCB)とすると、tAからtCへの平
均的な移動量(ΔxA,ΔyCA)を以下の(14)で
示されるように推定する。
と時刻tCにおける星像の対応をとる方法を図4につい
て説明する。時刻tAにおける星1Aの中心位置を(c
x1(tA),cy1(tA))とすると、時刻tCに
おいて同じ星が(cx1(tA)+ΔxCA,cy1
(tA)+ΔyCA)の位置に見えると推測される。
の推測位置に最も近い星像を探索し、その星像と推測位
置との距離が許容誤差εc未満であれば、対応付けは成
功、即ち異なる時刻に見た同じ星であるという対応をつ
ける。このように星像間で対応がつけば、その星像から
算出される星の方向ベクトル間の対応をつけることは容
易である。
8bで求めた時刻tAの星の方向ベクトルと時刻tCの
星の方向ベクトルの対応の組から、請求項7の方法で時
刻tAから時刻tCへの回転運動を表すパラメータを推
定する。本発明で用いる回転運動を表すパラメータは、
オイラーパラメータqと呼ばれるもので、4つのパラメ
ータで回転を表現する。すなわち、回転運動を回転軸q
v(3次元のベクトル)まわりに回転角θ(0≦θ≦
π)だけ回転することであると定義する。剛体の回転に
関するオイラーの定理により、このような定義で任意の
回転運動を表現可能である。
をここでまとめて記載する。 q・q=1 ・・・・(16) qEA=qEC#qCA ・・・・(17)
ータの積を表す演算子である。(17)式の意味は、A
からCへの回転を表すオイラーパラメータqCAと、C
からEへの回転を表すオイラーパラメータqCEの積
で、AからEへの回転を表すオイラーパラメータqEA
を求めることができることを表す。この式を成分で表す
と以下の(18)式のようになる。
以下の(19)式が成り立つ。
メータqのベクトル部のみ符号を反転する操作を表す。
8cで求めた回転運動のパラメータをつなぎ合わせて、
現在および過去の任意の時刻間の人工衛星の回転運動を
推定する。説明のために、一例として、回転運動演算部
18cで時刻tAから時刻tCへの回転運動パラメータ
qCAと、時刻tCから時刻tEへの回転運動パラメー
タqECが求められている場合に、時刻tAから時刻t
Eへの回転運動パラメータqEAを推定する方法を示
す。オイラーパラメータの性質から、qEAを以下の
(20)式で求める。
様に回転運動パラメータを計算できる。例えば、時刻t
Aから時刻tG=(tA+tC)/2への回転運動のパ
ラメータqGAを求めるには、以下の(21)式を利用
して(22)式のように回転角を適切にスケール変換す
ればよい。
示した方法の他に、方向余弦行列を用いる方法やオイラ
ー角を用いる方法なども考えられる。
態3を図について説明する。図5は図1のスター同定部
20の動作を説明するフローチャートである。まずステ
ップST1で検出された明るい星の数mを0にリセット
する。ステップST2で、スターセンサの観測値を画像
処理し過去にみた星とは異なる明るい星が新たに検出さ
れたかどうかをチェックする。明るい星がない場合ある
いは明るい星があっても過去にみた明るい星と同一であ
ると判断される場合には、ステップST8に進み、新た
に検出された場合にはステップST3に進む。
の値とする。ステップST4で、mが3未満の時はステ
ップST2に戻り、mが3以上の時はステップST5に
進む。ステップST5で、m個の星の離角θ(i,
j),(i,j=1,2,・・・・,m,i≠j)を計
算する。スターカタログの離角データθ(I,J),
(I,J=1,2,・・・,M,I≠J)と比較し、許
容誤差σm1未満のペアをすべて探索し、集合Aとす
る。
つずつ共有する二組のペアをすべて抽出し、三角形を構
成したときに、第三の辺に相当する離角が許容誤差σm
2未満の組み合わせを集合Bとする。ステップST7
で、集合Bの各組み合わせについて、時刻tm=tkに
おける衛星の姿勢角を算出し、解の候補qi(tm),
(i=1,・・・,L)の集合Cとする。Lは解の候補
数である。
ップST2に戻り、3以上の時はステップST9に進
む。ステップST9で、集合Cの各解の候補qi(t
m),(i=1,・・・,L)について、時刻tmから
時刻tkへの人工衛星の回転運動の推定値を用いて現在
時刻tkにおける姿勢角の候補qi(tk),(i=
1,・・・,L)を算出する。
(tk),(i=1,・・・,L)について、スターカ
タログに基づいてスターセンサの視野内の星像の位置
(ax1,ay1),・・・,(axn,ayn),を
予測する。nは視野内にあると予想される星像の個数で
ある。ステップST11で、観測した星像の位置(cx
1,cy1)・・・(cxN,cyN)と予想した星像
の位置から評価関数Wを計算する。
る。ステップST12で、評価関数Wが閾値W0よりも
大きい解の候補については、間違った解と判断して、集
合Cの中から削除する。解の候補の数Lを設定し直す。
評価関数Wとして、例えば以下の(23)式を用いる。
対して観測した星像を対応させることが必要である。例
えば、予測した星像(ax1,ay1)に対して、観測
した星像1,・・・・・・,Nの中で次式を満たし、且
つ、左辺の値を最小にするものを対応させることが考え
られる。 (ax1−cxi)*(ax1−cxi)+(ay1−cy
i)*(ay1−cyi)<(許容誤差)
は、ステップST14に進み、等しくないときはステッ
プST2に戻る。ステップST14で、最後に残った解
が衛星の姿勢角の推定値である。本実施の形態による同
定方法は、複数の時刻または異なる姿勢におけるスター
センサの画像を同定に利用して等価的なセンサ視野を拡
大することにより、スターセンサ自身の視野の制約を外
すとともに、明るい星が視野内に現れる確率を飛躍的に
高める。その結果、同定に用いるスターカタログに記載
する星の対象を、明るい星に限定することが可能になる
ので、同定にあたって照合すべきカタログのサイズを小
さくし、照合に必要な計算量を削減し、他の姿勢センサ
や地上局に頼ることなくスターセンサからの出力のみで
搭載計算機での星の同定を可能とする。
4の動作を図6のフローチャートに従って説明する。図
6は精度の低い姿勢角情報の得られている人工衛星にお
いて、観測した星の方向を直接カタログの星と比較して
候補となる星を抽出し、この候補の星に関して観測した
星、カタログの星それぞれに離角を計算して離角が十分
に近いものを同定する場合のスター同定部20の動作を
説明するフローチャートである。先ず、ステップST1
でn個の検出された星So(i),(i=1,2,・・
・・,n)のデータの入力に対し、明るさの順番に並び
替える。検出された星の中でステップST3以降に引き
渡される観測星の数n’は、星の数nと、星数の上限値
n0のうち小さい方となる。星数の上限値は5〜10個
程度(完全な同定に必要な3個より大きい数とする)に
設定する。
方向を、オンボード上での昇交点経度、軌道傾斜角、緯
度引数、姿勢角の推定値の情報を用いて、スターカタロ
グの座標系に変換する。ステップST3では、観測星を
スターカタログの星と比較する。ただし比較するスター
カタログの星は全体の内、方向から見てスターセンサで
検出される可能性があるものSc(I),(I=1,
2,・・・,N)個に限られる。
について、検出された星との角度差θ(i,I),(i
=1,2,・・・,n’,I=1,2,・・・,N)が
姿勢決定精度および軌道推定精度による基準値θmax
以下であり、なおかつ検出された星とスターカタログの
星の明るさの差M(i,I),(i=1,2,・・・,
n’,I=1,2,・・・,N)がスターセンサの明る
さの精度による基準値Mmax以下の場合、スターカタ
ログの星Sc(J)を観測星So(i)の候補集合C
(i)に追加する。
(i,j),(i,j=1,2,・・・,n’,i≠
j)、および候補集合の星の離角φc((i,I),
(j,J)),(i,j=1,2,・・・,n’,i≠
j, I=1,2,・・・,max(C(i)),J=
1,2,・・・,max(C(j)))を求めて比較す
る。比較に先立ち、一致度P(i,k),(i=1,
2,・・・,n’, k=1,2,・・・,max(C
(i)))の初期値を0にリセットする。スターセンサ
の位置観測精度による許容誤差φmax以下で一致した
候補の星については一致度P(i,k)に1を加算す
る。
基準Pmin以上のものを最終候補集合Cz(i)とし
て登録する。基準Pminは1以上で観測星数未満の範
囲で設定する。ステップST6で、各観測星について最
終候補集合Cz(i)の要素が1個しかない場合、これ
を同定結果として出力する。
5の動作を図7のフローチャートに従って説明する。図
7は、精度の低い姿勢角情報が得られている人工衛星に
おいて、スターセンサで観測された複数の星の方向から
対応するカタログの星を同定する際、観測した星の中の
2つの星について、その方向の差のベクトルをとりカタ
ログの星の方向の差のベクトルとを比較するスター同定
部20の動作を説明するフローチャートである。先ず、
ステップST3までの部分は実施の形態4と同様であ
る。ステップST4では観測星の離角ベクトルΦ0
(i,j),(i,j=1,2,・・・,n’,i≠
j)、および候補集合の星の離角ベクトルΦ0(i,
I,j,J),(i,j=1,2,・・・,n’,i≠
j,I=1,2,・・・,max(C(i)),J=
1,2,・・・,max(C(j)))を求め、離角ベ
クトルの差ΔΦ(i,I,j,J)を計算する。
i,jの機体固定座標系における方向ベクトルであり、
CIBは機体固定座標系からカタログ座標系への座標変
換を表す変換行列である。pI(i,I),pI(j,
J)はそれぞれ観測星i,jの同定候補I,Jのスター
カタログにおける方向ベクトルである。
三次元の場合で説明したが、画面上での向きすなわち二
次元の場合でも同様にして離角ベクトルの差を求めるこ
とができる。離角ベクトルの差の大きさが許容誤差φm
ax以下である候補の星については一致度P(i,
k),(i=1,2,・・・・,n’, k=1,2,
・・・・,max(C(i)))に1を加算する。なお
φmaxはスターセンサの位置観測精度と姿勢決定精度
による。ステップST5以降は実施の形態4と同様であ
る。
6の動作を図8のフローチャートに従って説明する。図
8は姿勢情報を持たない人工衛星の初期姿勢決定におい
て、観測した複数の星の間の離角をカタログの星の離角
と比べて同定するものにおいて、1つの観測した星につ
いて候補となる星が非常に多く発生するので、それぞれ
の候補について離角が照合した回数を保存しておき、こ
の回数が多いもののみを第2次の候補として残すスター
同定部20の動作を説明するフローチャートである。ス
テップST1でn個の検出された星So(i),(i=
1,2,...,n)のデータの入力に対し、明るさの
順番に並び替える。検出された星の中でステップST1
以降に引き渡される観測星の数n’は、星の数nと、星
数の上限値n0のうち小さい方となる。星数の上限値は
5〜10個程度(完全な同定に必要な3個より大きい数
とする)に設定する。
(i,j),(i,j=1,2,・・・,n’,i≠
j)を算出する。ステップST3は、全天のカタログの
星N個のうち互いにスターセンサの最大視野角より近い
組み合わせについて、離角φc(I,J),(I,J=
1,2,・・・,N,I≠J)を計算し、観測星の離角
φo(i,j)と比較する。
の差がスターセンサの位置観測精度による許容誤差以内
であれば、スターカタログの星I,Jを観測星i,jの
候補集合C(i,j)に追加する。これはスターカタロ
グの星I,Jの両者を観測星iの候補であり、なおかつ
観測星jの候補でもあるとみなすことを示す。
録された観測星とカタログ星候補を組として、その組が
出現する候補集合C(i,j)の数を数える。出現数が
基準値Amin以上であった場合、観測星とカタログ星
候補、そして出現数を第2次候補C2(i),(i=
1,2,・・・,n’)に登録する。基準値Amin
は、候補に偶然含まれる全く関係のない星を除外できる
よう2以上で観測星の数未満の範囲に設定する。
(i)の中から基準星を選択する。基準星の選択は、出
現数が基準値Ahit以上のもののうち最も明るい1個
である。基準値Ahitは、Aminより大きく、観測
星の数未満の範囲に設定する。
1つとするような三角形を探索する。具体的には基準星
を含むような候補集合C(i,j)の要素を2つ探索す
ると基準星を中心とする2辺が抽出されるので、残りの
1辺を構成する組合せが候補集合C(i,j)に含まれ
れば、その三角形は成立することになる。このように探
索した基準星を含む三角形を構成する観測星およびカタ
ログの候補の星を、多角形集合P1に追加する。
の頂点に対応する星の同定結果が異なる場合が生じたと
きは、そのような同定の組み合わせを新たな多角形集合
Pk,(k=1,・・・)として追加定義する。探索が
終了した段階で、最も三角形の数が多い多角形集合を選
択してステップST6の出力とする。
形が十分な数だけ探索できたかを判定する。ここで三角
形の数が基準値TRmin以下ならば、基準星が正しく
ないものと判断して、ステップST5からのステップを
別の基準星について再度実行する。三角形の数がTRm
inより大きければ、同定が成功したと判断してステッ
プST8へ進む。三角形数の基準値TRminは、1≦
TRmin<n’(n’−1)(n’−2)/6の範囲
で設定する。
果として出力する。このとき、多角形の各頂点が、観測
星とカタログの候補の星との対応を表している。
7の動作を図9のフローチャートに従って説明する。図
9は図1における姿勢角推定部21および図2における
回転運動演算部18cの動作を説明するフローチャート
を示している。
のフローチャートで用いる式の導出を簡単に説明する。
姿勢角推定部21では、機体固定座標系で表現された星
の方向ベクトルの組と慣性座標系で表現された星の方向
ベクトルの組の間の回転運動あるいは座標変換を求める
ことが必要である。
で観測された星の方向ベクトルの組と別の時刻で観測さ
れた星の方向ベクトルの組の間の回転運動あるいは座標
変換を求めることが必要である。対応する複数のベクト
ルからなる組が同一の回転運動あるいは座標変換によっ
て別の複数のベクトルからなる組に対応づけられている
という意味で姿勢角推定部21と回転運動演算部18c
は共通である。
動作を述べる。スター同定部20より、観測された星の
方向ベクトルの組pb1,pb2,…,pbnが、スタ
ーカタログ中の星の方向ベクトルの組pI1,pI2,
・・・,pInにそれぞれ同定されたとする。ここで添
字b,Iはそれぞれ機体固定座標系および慣性座標系で
ベクトルの成分を表示していることを示す。nは同定さ
れた星の数である。機体固定座標系から慣性座標系への
座標変換を表すオイラーパラメータをqとすると、i番
目の星の方向ベクトルは、以下の(27)式の関係にあ
る。
なお、本実施の形態では、3次元ベクトルpIiを、適
宜4次元ベクトル[pIi,0]に読み替えて、演算#
を行う。
を設定する。 V=1/2*Σvi・vi ・・・・(28)
…,nについて和をとることを表す。上式のような評価
関数を最小化する方法として、Newton法が代表的
であるが、Newton法では評価関数を最小化する解
を繰り返し計算で求める。
独立なのは3成分なので、ベクトル部qvを独立変数に
とる。k回目の繰り返し計算での推定値をqv(k)と
すると、(k+1)回目の推定値qv(k+1)は次式
で与えられる。
内の変数の偏微分をとることを示す。上式の偏微分をそ
のまま行うと、式が複雑になり計算量も大きくなる。ま
た、qvのノルムが1に近いとき、JおよびHの成分が
非常に大きくなり、Newton法の計算が発散する可
能性がある。
ける推定値qv(k)から得られるオイラーパラメータ
q(k)を用いて、pIi,(i=1,・・・,n)を
座標変換してpBiを得る。
biはその値がほぼ等しくなる。このとき、q#Con
j[q(k)]はほぼ恒等変換すなわち(0,0,0,
1)に等しいので、q#Conj[q(k)]を推定す
ることにし、その推定においては初期値としてqv=
(0,0,0)を用いる。
換を行うと、毎回の推定における初期値をqv=(0,
0,0)にとることができ、qvを以下のような単純な
式で表すことができる。
号×はベクトル積を表す演算子、記号Eは3×3の単位
行列、記号Tr[ ]はベクトルの転置を表す演算子で
ある。
まとめて図9に示す。ステップST1で、オイラーパラ
メータの初期推定値q(0)を設定する。初期推定値の
推定方法として、例えばpb1とpb2から生成される
直交座標系と、pI1とpI2から生成される直交座標
系との間の座標変換行列を求め、得られた座標変換行列
に対応するオイラーパラメータをq(0)に設定するこ
とが考えられる。
nを横に並べた行列の擬似逆行列をpI1,pI2,・
・・,pInを横に並べた行列に右から乗じて座標変換
行列を求め、得られた座標変換行列に対応するオイラー
パラメータをq(0)に設定することも考えられる。
初期設定する。ステップST3で、ベクトルpIi,
(i=1,・・・,n)のオイラーパラメータq(k)
による座標変換を行う。ステップST4で、行列Jと行
列Hを計算する。
ベクトル部の推定値の変化分Δqvを計算する。ステッ
プST6で、オイラーパラメータ推定値を更新する。ス
テップST7で、オイラーパラメータ推定値のベクトル
部の変化分 qvのノルムと許容誤差εqの大小を比較
し、許容誤差未満であればステップST9へ、許容誤差
以上であればステップST8へ進む。
kとし、ステップST3に戻る。ステップST9で、オ
イラーパラメータの推定値q(k+1)をもって求める
解とする。本実施の形態に係わる衛星の姿勢角の推定方
式は、三次元的な回転運動をオイラーパタメータで表現
し、回転運動の非線形な特性を維持しつつ逐次計算部分
を単純化するため、逐次計算の初期値として用いる衛星
の姿勢角の概略値の精度が悪い場合にも、精度の良い解
に速やかに収束する。
8を図について説明する。図10はジャイロとスターセ
ンサを併用する人工衛星の姿勢決定系の構成を示すブロ
ック図である。図10において、図14と対応する部分
には同一番号を付して説明を省略する。本実施の形態に
よる姿勢更新部13は、従来の時不変ドリフト推定部1
3aの他に、基本周波数ドリフト推定部13bおよび二
次周波数ドリフト推定部13cから構成される。
16からの出力をスターセンサ処理部15で処理し、衛
星の姿勢角の観測値qmを得る。姿勢伝搬部12の出力
qhとqmの差qeを求める。ジャイロ14のドリフト
のDC成分ωd0、基本周波数成分ωd1、二次周波数
成分ωd2は、qeをそれぞれ帯域フィルタ1、1/
(s*s+ω2*ω2)、1/(s*s+ω2*ω2)
を通した後に一次フィルタKPi+KIi/s,(i=
0,1,2)を通して推定する。
式により各周波数成分の和にて求める。
を減じて姿勢角速度の推定値ωhを得る。ωhを1サン
プリング時間の間積分して、1サンプリング前の姿勢角
の推定値に加えて、現時刻の姿勢角の推定値qhを得
る。
速度における周波数成分を用いる。例えば、図11では
軌道角速度ω0の周波数で変化しているので、基本周波
数の帯域フィルタは、1/(s*s+ω0*ω0)とな
る。
リングをする場合には、ノミナル角速度に軌道角速度ω
0の他にその2倍の周波数の成分も現れるので、二次周
波数成分ωd2の帯域フィルタは1/(s*s+4*ω
0*ω0)を用いる。
が、カルマンフィルタ型でもドリフトのダイナミクスを
フィルタに組み込むことで同様の効果が得られる。例え
ば、ヨー軸回りにステアリングする場合は、ドリフトの
時不変成分、基本周波数成分、二次周波数成分に対応す
るフィルタの状態量をそれぞれf0、f1、g1、f
2、g2とすると、以下の(40)式のようにダイナミ
クスをフィルタに組み込む。
す。
である場合について説明したが、太陽センサあるいは地
球センサなど姿勢センサの出力を用いて同様の方法でジ
ャイロのドリフトを推定することも考えられる。
タ型に適用した場合の、人工衛星の姿勢角および姿勢角
速度の推定誤差の数値計算例を示す。従来の方式を適用
した場合の図14に対応する数値計算例である。
工衛星のノミナル角速度が一定である場合はもとより、
時変である場合も精度良く姿勢決定を行うことができ
る。また 以上のように本実施の形態に係わる衛星のジ
ャイロのドリフトの推定方式は、ドリフトの時不変成分
と時変成分をダイナミクスの上で分離することにより可
観測性が得られるので、フィルタの過渡応答が穏やかで
あるとともに定常状態において観測ノイズに対する感度
を低くとることができ、高精度な姿勢決定システムの構
成を可能とする。
勢決定方法の一例を図12を参照して説明する。図12
は、航法衛星からメッセージ信号を受信可能な専用受信
機が人工衛星に搭載されている場合に、人工衛星の姿勢
の概略値を与える手法を説明するフローチャートであ
る。
の形態の概要を説明する。ここで述べる航法衛星とは、
異なった地球周回軌道上にある複数の人工衛星に、クロ
ックの発生およびスペクトラム拡散変調の可能な送信機
を搭載して他の人工衛星の航法支援を行う人工衛星とす
る。
んだメッセージを特定コードによりスペクトラム拡散変
調した後、地球方向に送出する。この姿勢決定を行うべ
き自機は地球表面上、空中、あるいは宇宙空間において
専用の受信機により信号(以下、この信号をメッセージ
信号と略す)を受信、復調し、信号を送出した航法衛星
の位置・速度情報とともに、受信信号の位相、ドップラ
ーシフトの測定により航法衛星と自機との間の相対距
離、速度情報を取得する。
処理することにより自己の絶対位置、速度の決定を行な
う。この時、自機は受信したメッセージ信号に対応する
航法衛星の位置情報と、受信したメッセージ信号に対応
しないが稼働中の航法衛星の位置情報から、自機の概略
の姿勢を推定する
ッセージ信号を受信機で受信する。ステップST2で、
受信メッセージを解読し、対応する航法衛星の地球固定
地心座標系での位置を、p1,p2,・・・・,pnと
する。また、受信したメッセージ信号には対応しないが
稼働中の航法衛星の位置をpn+1,・・・・,pNと
する。メッセージ信号の中には、稼働中のすべての航法
衛星の軌道情報が含まれているため、p1,p2,・・
・,pNを求めることが可能である。
pnの中から適切な4衛星を選び出し、例えば、文献、
西村他:航空宇宙における誘導と制御、(社)計測自動
制御学会、pp.240−241 (1995)の方法
で自機の位置を推定してp0とする。ステップST4
で、自機からi,(i=1,・・・,N)番目の航法衛
星への方向ベクトルriを計算する。
・・, rnの平均を求め、rAとする。rAは、受信
機から見える航法衛星の方向の平均を表すもので、受信
機に搭載されたアンテナが全方位的であることから、r
Aは受信機の取り付け面の法線の概略の方向を表す。
Nの中で、自機からみた地球方向とのなす角が地球半径
と自機の軌道半径の比よりも十分大きいものを抽出し、
それらの平均を求めrBとする。受信メッセージに対応
しない航法衛星が生じる理由として、受信機からみて航
法衛星が取り付け面側にあるかまたは地球の影に隠れて
いるかのいずれかである。したがって、rBもまた、受
信機の取り付け面の法線の概略の方向を表す。
許容誤差内の時は、rAまたはrBの向きが、受信機の
アンテナ取り付け面の法線ベクトルであると判断し、ア
ンテナの取り付け面と機体固定座標系の関係から自機の
姿勢角を推定する。
時刻におけるスターセンサの観測値から星の方向ベクト
ルを算出する画像処理部と、ある時刻における人工衛星
の姿勢と別の時刻における人工衛星の姿勢の間の回転運
動を推定する回転推定部と、撮像時刻が等しいまたは異
なる複数の星の方向ベクトルの間の離角を推定する離角
推定部と、離角の関係の定まった複数の星についてスタ
ーカタログとの対応をつけるスター同定部と、各ブロッ
クで算出されるデータを記憶するデータ記憶部とから、
スターセンサを用いた人工衛星の姿勢決定システムのス
ターセンサ処理部を構成したので、一回の撮像における
スターセンサの視野内の星の数が同定に必要な数に満た
ない場合にも星の同定を行うことができるとともに、太
陽センサや地球センサなどの他の姿勢センサを用いなく
ても人工衛星の姿勢の概略値を算出することができると
いう効果がある。
人工衛星のスターセンサ処理部の回転推定部を、撮像時
刻が近接した複数枚の画面上の星像の平均的な動きを推
定し、その推定した動きをもとに撮像時刻が離れた複数
枚の画面上の個々の星像の間の対応をとって各々の撮像
時刻の間の回転運動を推定するように構成したので、人
工衛星の回転運動について事前情報が無い場合にも画面
上の星像の動きから人工衛星の回転運動を推定すること
ができ、また撮像時刻が離れているために一方の画面に
しか写っていない星を含む場合にも複数の画面上の星像
の対応を正確に行うことができる効果がある。
人工衛星のスターセンサ処理部のスター同定部および姿
勢角推定部を、始めに姿勢角あるいは星の同定の候補を
多数用意しスターセンサで撮像を繰り返して星像が得ら
れるに従って解の候補としてあり得ないものを取り除い
ていくように構成したので、太陽センサや地球センサな
どの他の姿勢センサの出力あるいは地上局の援助を必要
とすることなく、スター同定および人工衛星の姿勢の概
略値の算出を行えるとともに、上記の操作を撮像時刻毎
に逐次的に行うため計算機負荷を分散させる効果があ
る。
人工衛星のスター同定において、観測した星の方向およ
び明るさをカタログデータと比較することで同定の候補
を絞り込むとともに、観測星およびカタログの星それぞ
れについて離角を計算して照合するように同定部を構成
したので、離角のみを照合するあるいは方向と明るさの
みを照合する場合に比べて、正確な同定を行える効果が
ある。
人工衛星のスター同定において、観測星およびカタログ
各々について、星の方向ベクトルのなす角度すなわち離
角の他に、差のベクトルを算出し、照合するように構成
したので、離角のみを用いる場合に比べて正確な同定を
行える効果がある。
人工衛星で姿勢の概略値を利用できない場合のスター同
定において、一つの観測した星を対象に多数発生する同
定の候補を、離角が照合した回数を基準に絞り込むよう
に構成したので、同定の計算において必要な計算量およ
び計算機メモリを軽減する効果がある。
人工衛星のスターセンサ処理部の回転運動を推定するブ
ロックにおいて、三次元的な回転運動をオイラーパラメ
ータで表現して回転運動の非線形な特性を維持するとと
もに、対応付けを行うベクトルの組の一方を逐次的に移
動することで逐次計算の各回において回転角0を初期値
として推定するように構成したので、回転運動の推定時
に少量の計算量で精度の良い解を求めることができると
ともに、航法フィルタを構成した際に過渡応答において
姿勢角の推定値が速やかに収束する効果がある。
ステムにおいて、航法信号を人工衛星の軌道角速度およ
びその整数倍の周波数で級数展開し、各周波数成分ごと
にそれ自身とその一階微分の二つの状態量の組み合わせ
として時変成分を推定するように構成したので、航法信
号に含まれる時不変成分と周波数成分をダイナミクス上
分離でき、航法フィルタの過渡応答が穏やかになるとと
もに定常状態において観測ノイズに対する感度を低くと
ることができ高精度な姿勢決定システムが得られる効果
がある。
勢決定系のスターセンサ処理部の構成図である。
勢決定系の回転推定部の構成図である。
勢決定系の画面対応部の動作を示す図である。
勢決定系の星像対応部の動作を示す図である。
勢決定系のスター同定部および姿勢角推定部の動作を示
すフローチャートである。
勢決定系のスター同定部の動作を示すフローチャートで
ある。
勢決定系のスター同定部の動作を示すフローチャートで
ある。
勢決定系のスター同定部の動作を示すフローチャートで
ある。
部あるいは姿勢角推定部の動作を示すフローチャートで
ある。
スターセンサを併用する人工衛星の姿勢決定系のブロッ
ク図である。
スターセンサを併用する人工衛星の姿勢決定系でジャイ
ロのドリフト推定を行った数値計算例である。
工衛星の概略の姿勢の推定方法を示すフローチャートで
ある。
定部の動作を示す図である。
人工衛星の姿勢決定系のブロック図である。
人工衛星の姿勢決定系でジャイロのドリフト推定を行っ
た数値計算例である。
ーセンサ、17 画像処理部、18 回転推定部、19
離角推定部、20 スター同定部、21 姿勢角推定
部、22 データ記憶部、23 スターカタログ。
Claims (8)
- 【請求項1】 人工衛星等の宇宙飛しょう体に搭載され
たスターセンサの所定時刻における観測値である星像を
画像処理し、観測星の方向ベクトルを算出する画像処理
部と、所定の時刻における前記人工衛星の姿勢と別の時
刻における前記人工衛星の姿勢の間の回転運動を推定す
る回転推定部と、前記スターセンサによる撮像時刻が等
しい複数の星の方向ベクトルの間の離角を推定し、また
前記スターセンサによる撮像時刻が等しくない複数の星
の方向ベクトルの間の離角を前記推定された回転運動に
基づいて推定する離角推定部と、離角の関係の定まった
複数の星についてスターカタログとの対応をつけるスタ
ー同定部と、星の同定結果から人工衛星の姿勢角を推定
する姿勢角推定部とを備えたことを特徴とする人工衛星
の姿勢決定装置。 - 【請求項2】 回転推定部は、撮像時刻が近接した複数
枚の画面上の星像の平均的な動きを推定し、その推定し
た動きをもとに撮像時刻が離れた複数枚の画面上の個々
の星像の間の対応をとって各々の撮像時刻間の回転運動
を推定することを特徴とする請求項1に記載の人工衛星
の姿勢決定装置。 - 【請求項3】 姿勢角推定部は回転推定部により推定さ
れた回転運動の推定値を用いて現在時刻の姿勢角の候補
を複数算出して用意し、またスター同定部は観測された
星像に対するスターカタログの星の同定候補を多数用意
し、スターセンサから星像が得られるに従い、この星像
の位置とスターカタログによって予測された星像の位置
との差に基づき、前記用意された姿勢角の候補または同
定候補より姿勢角または同定してあり得ない候補を逐次
的に取り除いて最終的に、残った候補に基づいて人工衛
星の姿勢角を推定することを特徴とする請求項1に記載
の人工衛星の姿勢決定装置。 - 【請求項4】 スター同定部は、観測した星の方向を直
接スターカタログの星と比較して候補となる星を抽出、
この候補の星に関して観測した星、スターカタログの星
それぞれの離角を計算、これらの離角が十分に近いもの
を同定結果とすることを特徴とする請求項1に記載の人
工衛星の姿勢決定装置。 - 【請求項5】 スター同定部は、精度の低い姿勢角情報
が得られている人工衛星において、スターセンサで観測
された複数の星の方向から、対応するスターカタログの
星を同定する際、観測した星の中の2つの星について、
その方向の差のベクトルをとり、前記スターカタログの
星の方向の差のベクトルと比較することを特徴とする請
求項1に記載の人工衛星の姿勢決定装置。 - 【請求項6】 スター同定部は、観測した複数の星の間
の離角をスターカタログのカタログ星の離角と比べて同
定する際に、観測した1つの星の候補として発生した複
数のカタログ星の離角と観測した複数の星の間の離角の
差が許容誤差以内であれば、この時のカタログ星を観測
星の候補と見做してこのカタログ星と観測星とを組と
し、この組の出現数が規定値以上のものを観測星の第2
次の候補として残すことを特徴とする請求項1に記載の
人工衛星の姿勢決定装置。 - 【請求項7】 姿勢角推定部は、複数のベクトルからな
る組が、同一の回転運動によってノイズを含む別の複数
のベクトルからなる組に対応づけられているときにこの
ベクトル間の座標変換行列を推定する際、一方のベクト
ルの組を適切な回転運動によりもう一方のベクトルの組
に近づくように移動した後に、移動後のベクトルともう
一方のベクトルの組とを結びつける回転運動を対象に回
転角0を初期値として逐次的に推定することを特徴とす
る請求項1に記載の人工衛星の姿勢決定装置。 - 【請求項8】 航法センサより出力された航法センサ信
号を人工衛星の軌道角速度およびその整数倍の周波数で
級数展開し、各周波数成分ごとにそれ自身とその一階微
分の二つの状態量の組み合わせとして時変成分を推定す
ることを特徴とする人工衛星の姿勢決定装置。
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