JP3032614B2 - 多層構造体および多層包装体 - Google Patents

多層構造体および多層包装体

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JP3032614B2 JP3212831A JP21283191A JP3032614B2 JP 3032614 B2 JP3032614 B2 JP 3032614B2 JP 3212831 A JP3212831 A JP 3212831A JP 21283191 A JP21283191 A JP 21283191A JP 3032614 B2 JP3032614 B2 JP 3032614B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ガスバリアー性と内容
物の非吸着性を維持しつつ熱封緘性を改良した、多層構
造体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、エチレン−ビニルエステル共重合
体けん化物(以下EVOHと略称する)はその優れたガ
スバリアー性により広く使用されてはいるが、包装材料
の中間層か最外層に使用される場合が多い。その主たる
理由は、EVOHを最内層として使うには熱封緘温度が
低密度ポリエチレン等のように低くなく、高速製袋性に
欠けるか、外層フィルムの熱変形により外観を損じて商
品イメージを著しく低下せしめるためと、熱封緘強度が
低密度ポリエチレン程には大きくない事であった。従っ
て最外層としては二軸延伸ポリプロピレン、二軸延伸ナ
イロン、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート、あるい
は二軸延伸EVOH等のフィルムが、中間層としては二
軸延伸あるいは無延伸のEVOH等のフィルムが、また
最内層としては低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビ
ニル共重合体、アイオノマー、直鎖状低密度ポリエチレ
ン、あるいは無延伸ポリプロピレン等のフィルムが採用
される事が多かった。用途によっては上記多層フィルム
を蓋材とし、最外層に無延伸ポリプロピレン、無延伸ナ
イロン、無延伸ポリ塩化ビニル、無延伸ポリエチレンテ
レフタレート、あるいは無延伸ポリスチレン等のフィル
ムないしはシートを、中間層としては無延伸EVOH等
のフィルムを、また最内層には低密度ポリエチレン、エ
チレン−酢酸ビニル共重合体、直鎖状低密度ポリエチレ
ン、アイオノマー、無延伸ポリ塩化ビニル、無延伸ポリ
スチレン、無延伸ポリエチレンテレフタレート、あるい
は無延伸ポリプロピレン等のフィルムないしはシートを
複合し、深絞り成型された容器を底材とする多層包装材
料が採用されていた。しかしながらこれ等多層包装材料
は、他の素材の物に比べガスバリアー性は優れてはいる
ものの高価であり、安価な一般包装材料としては使い辛
いという欠点があった。また最内層がポリオレフィンで
あるため、内容物、例えば食品、飲料水(ジュースな
ど)中のフレーバーの非吸着性が十分でなかった。従っ
てガスバリアー性の良好なEVOHに熱封緘性を付与し
最内層として使用可能にする事は、包装材料のコスト低
下の点からも重要であり非常に切望されている。
【0003】特公昭61−58307号公報には、最内
層にエチレン含有量25〜60モル%、酢酸ビニル成分
のけん化度96%以上のEVOH層および最外層に、該
最内層同士を圧力0.5kg/cm2、時間2秒の条件
下で熱封緘した時に300g/15mmの剥離強度ので
る接着温度より10℃以上高い熱変形温度を有する熱可
塑性樹脂層を設けた積層フィルムからなり、かつ該最内
層同士を熱封緘してなる包装材料について述べられてい
る。しかしこの物の熱封緘強度は、該公報の第1表では
最大で1050g/15mmであり、軽量物の包装には
十分であるが(ちなみに削り節のJAS規格では、高々
5gしか入っていない袋の密封部の熱封緘強度でさえ
1.0kg以上となっている事からも、熱封緘強度の重
要性と要求強度レベルが理解できる)、重量物、特に液
体や粘稠体を包装する場合には、上記熱封緘強度では不
十分であり、熱封緘強度の改善が望まれていた。
【0004】特開昭49−4772号公報には、エチレ
ン含有率10乃至70モル%、けん化率80モル%以上
のEVOH(A)に、エチレン含有率72乃至98モル
%、けん化率50モル%以上のEVOH(B)またはE
VOH(B)を10重量%以上含む、EVOH(B)と
オレフィン重合体とのブレンド物(C)を積層させるこ
とについて述べられている。しかし該公報のEVOH
(B)はエチレン含有率が多いため、内容物の非吸着性
が十分でない。さらに上記公報には、最内層EVOHと
それに隣接した中間層のEVOH両者のエチレン含有量
やメルトフローレートや融点の関係に関する記述が無
い。
【0005】特開昭56−86949号公報には、2種
以上のエチレン含有量20〜55モル%、酢酸ビニル成
分のけん化度80モル%以上のEVOHよりなる組成物
で、差動走査熱量計による融解曲線が事実上単一ピーク
を示す溶融混練樹脂組成物について述べられている。し
かし該公報には、溶融成形性の改善に関する記述はある
が、最内層使用や熱封緘性に関する記述はない。
【0006】特開昭60−144304号公報には
酸ビニル成分のけん化度95モル%以上、エチレン含有
量25〜60モル%、シランを含有するオレフィン性化
合物含有量0.0005〜0.2モル%であるシラン含
有EVOHなる溶融成型材料について述べられている。
しかし該公報にはシラン含有EVOHが耐ストレスクラ
ッキング性、酸素等のガス遮断性の湿度依存性、耐極性
溶剤性、耐水性等が改良される事には言及しているが、
シラン含有EVOHを最内層とし、該最内層同士を熱封
緘する事、および熱封緘性および熱封緘強度の改善に関
する記述はない。
【0007】特開昭60−173038号公報には、ビ
ニルアルコール含有量が40乃至80モル%で残存ビニ
ルエステル含有量が4モル%以下のEVOH複数の共
重合体組成物であり、差動走査熱量計による融解曲線が
複数個の吸熱ピークを示す溶融混練樹脂組成物について
述べられている。しかし該公報には、高湿条件下でのガ
スバリアー性の改善や、中間層使用に関する記述はある
が、熱封緘性に関する記述はない。
【0008】特開昭63−3950号公報には、LDP
E−ボード−LDPE−EVOH−結合層−EVOHな
る構成のジュース包装のための容器について述べられて
いる。しかし該公報では、EVOHとEVOHの間に、
ポリオレフィン結合層があり、この層が内容物を吸着す
るので、思ったほどの効果は得られない。
【0009】特開昭63−230757号公報には、エ
チレン含有量20〜60モル%、けん化度96モル%以
上のEVOH、およびエチレン含有量24〜49モル
%、けん化度96モル%未満のEVOHの二種のEVO
Hからなる組成物について述べられている。しかし該公
報には、加熱高速延伸性の改善に関する記述はあるが、
最内層使用や熱封緘性に関する記述はない。
【0010】特開昭63−264656号公報には、エ
チレン含有量45〜60モル%および25〜40モル
%、酢酸ビニル成分のけん化度が共に96モル%以上の
異なる二種のEVOHからなる組成物で、差動走査熱量
計による融解曲線が複数の吸熱ピークを示す樹脂組成物
について述べられている。しかし該公報には、やはり加
熱高速延伸性の改善に関する記述はあるが、最内層使用
や熱封緘性に関する記述はない。
【0011】特開平3−24952号公報には、エチレ
ン、酢酸ビニルおよびビニルシラン系化合物の共重合体
をけん化して得た、シラン含有量0.0005〜0.2
モル%、酢酸ビニル成分のけん化度96モル%以上、エ
チレン含有量25〜60モル%のエチレン−酢酸ビニル
共重合体けん化物層を最内層とし、該最内層同士を熱封
緘してなる多層包装体について述べられている。しかし
該公報には、最内層EVOHとそれに隣接した中間層の
EVOH両者のエチレン含有量やメルトフローレートや
融点の関係に関する記述は無い。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】以上述べてきたよう
に、ガスバリアー性が良好で、かつ低温での熱封緘性が
改善されたEVOHの開発は、包装業界において重要な
課題の一つであるが、高度なガスバリアー性と内容物の
非吸着性を維持しつつ、熱封緘性を改良し、十分な熱封
緘強度を有する多層包装体が得られていない。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記のよう
な従来技術の問題点の認識の元に鋭意研究を重ねた結
果、エチレン含有量10〜50モル%、ビニルエステル
成分のけん化度95モル%以上のエチレン−ビニルエス
テル共重合体けん化物(A)層と、その層に隣接したエ
チレン、ビニルエステルおよびビニルシラン系化合物の
共重合体をけん化して得た、シラン含有量0.0005
〜0.2モル%、エチレン含有量30〜70モル%、ビ
ニルエステル成分のけん化度90モル%以上のエチレン
−ビニルエステル共重合体けん化物(B)層からなり、
かつ下記式を満足する多層構造体が、ガスバリアー性と
内容物の非吸着性を維持しつつ熱封緘性を改良できるる
ことを見出だし、本発明を完成するに至った。 3≦EB−EA≦60 ………(1) 0.1≦MFRA<MFRB≦50………(2) 5≦MPA−MPB ………(3) 式中、EAおよびEBは、(A)および(B)のそれぞ
れのエチレン含有量(モル%)を、MFRAおよびMF
RBは、温度210℃,荷重2.16kg条件下で測定
した(A)層および(B)層のそれぞれのメルトフロー
レート(g/10分)を、MPAおよびMPBは、DS
Cを用い窒素気流中で昇温速度10℃/分で測定した
(A)および(B)のそれぞれの融点を現す。
【0014】以下、本発明を更に詳しく説明する。本発
明において、EVOHとは、エチレンとビニルエステル
を、加圧下メタノールやt−ブチルアルコール等の溶剤
中で、過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチロニトリル
等の重合開始剤を用い公知の方法で重合させ、続いてア
ルカリ触媒または酸触媒でけん化して得られるエチレン
−ビニルエステル共重合体けん化物である。ビニルエス
テルとしては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バー
サチック酸ビニル、ピバリン酸ビニル等の各種ビニルエ
ステルが挙げられるが、価格等の点からは酢酸ビニル
が、ガスバリアー性の点からはピバリン酸ビニルが好ま
しい。これらのビニルエステルは1種または2種以上が
使用される。
【0015】本発明において、EVOH(A)のエチレ
ン含有量は10〜50モル%、好ましくは20〜45モ
ル%、ビニルエステル成分のけん化度は95モル%以
上、好ましくは97モル%以上である。エチレン含有量
が10モル%未満では、高湿度時のガスバリアー性が低
下すると共に熱溶融安定性が悪化する。一方、50モル
%を越えると十分なガスバリアー性が得られない。一
方、けん化度が95モル%未満は、高湿度時のガスバリ
アー性が低下するだけでなく、EVOHの熱安定性が悪
化し、得られる膜面にゲルが発生しやすい。
【0016】本発明において、EVOH(B)のエチレ
ン含有量は30〜70モル%、好ましくは40〜65モ
ル%、ビニルエステル成分のけん化度は90モル%以
上、好ましくは95モル%以上である。エチレン含有量
が30モル%未満では、低温熱封緘性に劣り、一方、7
0モル%を越えると非吸着性が悪化する。またけん化度
が90モル%未満でも、非吸着性が悪化するだけでな
く、EVOHの熱安定性が悪化し、得られる膜面にゲル
が発生しやすい。
【0017】本発明において、EVOH(B)のエチレ
ン含有量(モル%)EBよりEVOH(A)のエチレン
含有量(モル%)EAを引いた値は、3以上大きく60
以下であり、好ましくは10以上である。差が3未満で
はガスバリアー性および熱封緘強度の両特性がバランス
のとれたものとはならず、60を越えるとEVOH
(B)とEVOH(A)の接着力が低下し、やはり熱封
緘強度が十分でない。
【0018】本発明において、EVOH(A)層
{(A)層がブレンド物(異種EVOH、他の熱可塑性
樹脂、無機物などとのブレンド物)の場合にはブレンド
物層}のメルトフローレート(JIS K 7210に
のっとり温度210℃,加重2.16kgで10分間
吐出する重量)MFRAは、0.1以上、好ましくは2
以上でかつEVOH(B)層{(B)層がブレンド物
(異種EVOH、他の熱可塑性樹脂、無機物などとのブ
レンド物)の場合にはブレンド物層}のメルトフローレ
ートMFRBより小さいことが重要である。MFRAが
0.1未満では、得られる膜面に熱不溶性によるゲルが
発生しやすい。またMFRAがMFRBより大きい場合
には、熱封緘条件によってはEVOH(A)が流れだし
層が薄くなって熱封緘強度が十分でない事が多い。また
MFRBは0.1を越え50以下、好ましくは2以上2
5以下である。MFRBが0.1以下では、得られる膜
面に熱不溶性によるゲルが発生しやすい。またMFRB
が50を越えると溶融粘度が低下し、外観の良好な多層
体を成形しにくくなる。またMFRBはMFRAより
0.1〜25大きいことが好ましい。
【0019】本発明において、MPAおよびMPBは、
DSCを用い窒素気流中で昇温速度10℃/分で測定し
た(A)および(B)のそれぞれの融点で、その差は、
5℃以上、好ましくは8℃以上である。融点の差が、5
℃未満では多層構造体全体の熱封緘強度が十分なものと
はならない。
【0020】本発明において、EVOH(B)の一層の
厚さは6μm以上であり、EVOH(A)層とEVOH
(B)層の合計厚さは、10μm以上、200μm以
下、好適には20μm以上、80μm以下である。合計
厚さが10μm未満では十分な熱封緘強度が得られにく
く、200μmを越えるとコストが高くなるだけでな
く、包材の屈曲によりピンホールが発生しやすくなる。
また多層フィルムのカール防止のために、(B)層−
(A)層−(B)層や(B)層−(A)層−(B)層−
(A)層や(B)層−(A)層−(B)層−(A)層−
(B)層等の構成にしても良い。
【0021】また(A)層および/または(B)層は、
それぞれ単層でもよいし、多層とすることもできる。多
層とする場合はそれぞれの層に同種のEVOHを用いる
こともできるし、異種のEVOH(融点の異なるEVO
Hなど)を使用することもできる。また(A)層と
(B)層とは、隣接して設けることが最良であるが、必
要に応じ(A)層と(B)層の間には本発明の目的が阻
害されない範囲で他の層が介入していてもよい。(A)
層と(B)層は共押出し法、ドライラミネート法、また
は押出しコーティング法などにより得られ、また(A)
層および(B)層は延伸(一軸または二軸)により配向
されていてもよい。
【0022】本発明において、EVOH(B)の製造に
用いられるビニルシラン系化合物としては、下記化1、
化2および化3で示される、化合物の中から選ばれた1
種または2種以上の物を好適に用いる事が出来る。
【0023】
【化1】
【0024】
【化2】
【0025】
【化3】
【0026】[但し、ここでnは0〜1、mは0〜2、
1は低級アルキル基、アリール基、またはアリール基
を有する低級アルキル基、R2は炭素数1〜40の直鎖
状または分岐状のアルコキシル基であり、該アルコキシ
ル基は酸素を含有する置換基を有していても良い。R3
は水素またはメチル基、R4は水素または低級アルキル
基、R5はアルキレン基または連鎖炭素原子が酸素もし
くは窒素によって相互に結合された2価の有機残基、R
6は水素、ハロゲン、低級アルキル基、アリール基、ま
たはアリール基を有する低級アルキル基、R7はアルコ
キシル基またはアシロキシル基であり、該アルコキシル
基またはアシロキシル基は酸素もしくは窒素を含有する
置換基を有していても良い。R8は水素、ハロゲン、低
級アルキル基、アリール基、またはアリール基を有する
低級アルキル基、R9は低級アルキル基である。]更に
詳しく述べれば、R1は炭素数1〜5の低級アルキル
基、炭素数6〜18のアリール基、または炭素数6〜1
8のアリール基を有する炭素数1〜5の低級アルキル
基、R4は水素または炭素数1〜5の低級アルキル基、
5は炭素数1〜5のアルキレン基または連鎖炭素原子
が酸素もしくは窒素によって相互に結合された2価の有
機残基、R6は水素、ハロゲン、炭素数1〜5の低級ア
ルキル基、炭素数6〜18のアリール基、または炭素数
6〜18のアリール基を有する炭素数1〜5の低級アル
キル基、R8は水素、ハロゲン、炭素数1〜5の低級ア
ルキル基、炭素数6〜18のアリール基、または炭素数
6〜18のアリール基を有する炭素数1〜5の低級アル
キル基、R9は炭素数1〜5の低級アルキル基である。
化1で表されるビニルシラン系化合物としては、ビニ
ルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラ
ン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルトリエトキ
シシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルジメ
チルエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリ
ルメチルジメトキシシラン、アリルジメチルメトキシシ
ラン、アリルトリエトキシシラン、アリルメチルジエト
キシシラン、アリルジメチルエトキシシラン、ビニルト
リス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルイソブチ
ルジメトキシシラン、ビニルエチルジメトキシシラン、
ビニルトリブトキシシラン、ビニルメトキシジブトキシ
シラン、ビニルジメトキシブトキシシラン、ビニルトリ
ヘキシロキシシラン、ビニルメトキシジヘキシロキシラ
ン、ビニルジメトキシヘキシロキシシラン、ビニルトリ
オクチロキシシラン、ビニルメトキシジオクチロキシラ
ン、ビニルジメトキシオクチロキシシラン、ビニルメト
キシジラウリロキシシラン、ビニルジメトキシラウリロ
キシシラン、ビニルメトキシジオレイロキシシラン、ビ
ニルジメトキシオレイロキシシラン等が挙げられるが、
経済的にみてビニルトリメトキシシランが好ましい。
【0027】化2で表されるビニルシラン系化合物とし
ては、3−(メタ)アクリルアミドプロピルトリメトキ
シシラン、3−(メタ)アクリルアミドプロピルトリエ
トキシシラン、3−(メタ)アクリルアミドプロピルト
リス(β−メトキシエトキシ)シラン、3−(メタ)ア
クリルアミドプロピルトリス(N−メチルアミノエトキ
シ)シラン、2−(メタ)アクリルアミドエチルトリメ
トキシシラン、(メタ)アクリルアミドメチルトリメト
キシシラン、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチル
プロピルトリメトキシシラン、2−(メタ)アクリルア
ミドプロピルトリメトキシシラン、N−(2−(メタ)
アクリルアミドエチル)−アミノプロピルトリメトキシ
シラン、(3−(メタ)アクリルアミドプロピル)−オ
キシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリ
ルアミドプロピルトリアセトキシシラン、2−(メタ)
アクリルアミドエチルトリアセトキシシラン、4−(メ
タ)アクリルアミドブチルトリアセトキシシラン、3−
(メタ)アクリルアミドプロピルトリプロピオニロキシ
シラン、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロ
ピルトリアセトキシシラン、N−(2−(メタ)アクリ
ルアミドエチル)アミノプロピルトリアセトキシシラ
ン、3−(メタ)アクリルアミドプロピルイソブチルジ
メトキシシラン、2−(メタ)アクリルアミドエチルジ
メチルメトキシシラン、3−(メタ)アクリルアミドプ
ロピルオクチルジアセトキシシラン、(メタ)アクリル
アミドメチルフェニルジアセトキシシラン、3−(メ
タ)アクリルアミドプロピルベンジルジエトキシシラ
ン、3−(N−メチル−(メタ)アクリルアミド)−プ
ロピルトリメトキシシラン、2−(N−エチル−(メ
タ)アクリルアミド)−エチルトリアセトキシシラン、
2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロピルモノ
クロルジメトキシシラン、2−(メタ)アクリルアミド
−2−メチルプロピルモノハイドロジェンジメトキシシ
ラン等が挙げられるが、経済的にみて3−(メタ)アク
リルアミドプロピルトリメトキシシランおよび3−(メ
タ)アクリルアミドプロピルトリアセトキシシランが好
ましく、また酸または塩基に対する安定性の点で2−
(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロピルトリメト
キシシランおよび2−(メタ)アクリルアミド−2−メ
チルプロピルトリアセトキシシランが好ましい。
【0028】化3で表されるビニルシラン系化合物とし
ては、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリプロピ
オニロキシシラン、イソプロペニルトリアセトキシシラ
ン、ビニルイソプロピルジアセトキシシラン、ビニルメ
チルジアセトキシシラン、ビニルジメチルアセトキシシ
ラン、ビニルフェニルジアセトキシシラン、ビニルモノ
クロルジアセトキシシラン、ビニルモノハイドロジェン
ジアセトキシシラン等が挙げられるが、経済的にみてビ
ニルトリアセトキシシランが好ましい。
【0029】上述したビニルシラン系化合物を共重合し
て得られたEVOH中のシラン含有量は0.0005〜
0.2モル%、好ましくは、0.0007〜0.03モ
ル%である。シラン含有量が0.0005モル%未満で
は、低温での熱封緘性および熱封緘強度の改善が十分で
はなく、一方0.2モル%を超えると架橋の程度が増大
し過ぎて熱不溶性が発現する。
【0030】ビニルシラン系化合物と、エチレンおよび
ビニルエステルとの共重合、および生成した共重合体の
けん化は、公知の方法、例えば特開昭60−14430
4に示されているような方法で実施可能である。該共重
合体は、けん化反応においてビニルアルコキシシラン単
位も部分的あるいは高度にけん化されてビニルシラノー
ル単位、そのアルカリ塩あるいはその相互縮合物に転換
される。しかし前記の化2で示されるビニルシラン系化
合物含有の該共重合体は、アルカリ性触媒によるけん化
反応においてビニルシラン系化合物単位のアミド結合が
分解するということなく安定に保たれる。しかし、けん
化反応時一般式化2で表されるビニルシラン系化合物の
シランに結合したアルコキシル基、カルボキシル基、水
素およびハロゲンも同時に部分的あるいは高度にけん化
され水酸基またはそのアルカリ塩に転換される。更にこ
の水酸基の一部は、けん化反応後得られたEVOHを乾
燥する際、乾燥条件によってこれ等の官能基同士を結合
させシロキサン結合を形成させても良い。シロキサン結
合を多く形成せしめた該EVOHは熱溶融性が悪化する
場合が見られるので、このような場合にはビニルシラン
系化合物の含有量を調整するか、ビニルシラン系化合物
単位としてアルカリに対して著しく安定性の高い(メ
タ)アクリルアミド−分岐アルキルシラン単位を有する
EVOHとする事が好ましい。
【0031】また、EVOH(A)および/またはEV
OH(B)には更に少量のプロピレン、ブテン−1、イ
ソブテン、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、オ
クテン−1等のα−オレフィン、イタコン酸、メタクリ
ル酸、アクリル酸、無水マレイン酸等の不飽和カルボン
酸、その部分または完全エステル、その塩、そのニトリ
ル、そのアミド、その無水物、アルキルチオール類、不
飽和スルホン酸、その塩等の共重合成分を含んでいても
差支えない。
【0032】また、EVOH(A)および/またはEV
OH(B)には、本発明を阻害しない範囲で、酸、塩基
およびそれ等の塩をEVOHに添加しても良い。酸、塩
基やそれ等の塩としては、酢酸、燐酸、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、酢酸ナトリウ
ム、酢酸カルシウム、燐酸カリウム、燐酸カルシウム、
燐酸水素カルシウム、燐酸一水素二カリウム、燐酸二水
素一カリウム等が挙げられる。更に成形物の滑り性改善
のために、酸化珪素や酸化アルミニウム等を添加しても
良い。更に酸化防止剤、色剤、紫外線吸収剤、帯電防止
剤、可塑剤、無機充填剤、架橋剤、無機乾燥剤等の各種
添加剤、ポリアミド、ポリオレフィン、高吸水性樹脂等
の各種樹脂を配合してもよい。
【0033】また、EVOH(A)および/またはEV
OH(B)はエチレン共重合比率の異なる2種類以上の
EVOHの混合物から構成されていてもよく、また、重
合度やけん化度の異なる2種類以上のEVOHの混合物
であってもよい。さらに、エチレン共重合比率と重合度
とけん化度が共に異なっていてもよいが、それらの平均
値が、各々前記EVOHの範囲に入っていることが重要
である。さらにまた、EVOH(A)および/またはE
VOH(B)は熱封緘される各々の多層構造体で後述す
る実施例4のとおり異なっていてもよい。
【0034】本発明において、多層構成体をそのまま包
装材料に用いても良いが、フィルムの場合には十分なヒ
ートシール強度が得られにくい。(A)層の外層、とく
に最外層にJIS K 7206で規定された方法で測
定したビカット軟化点が、EVOH(B)より5℃以
上、好ましくは20℃以上高い熱可塑性樹脂(C)層を
積層した方が、十分なヒートシール強度が得られだけで
なく、良好なヒートシール性を有する包装材料にでき
る。ビカット軟化点の差が5℃未満では、熱封緘時にお
ける最外層の耐熱性が十分でなく、皺などの外観不良
や、耐熱性不足によるエッジ切れが発生しやすい。
【0035】次に本発明においてEVOH(B)を最内
層とする多層構造体、とくにEVOH(A)層および
(B)層からなる多層体に他の層を有する多層構造体の
製造方法としては、EVOH(A)層および(B)層よ
りなる多層構造体のEVOH(A)面{(B)層−
(A)層−(B)層のように(A)面が露出していない
場合は、最内層に一方の(B)層が来るように、以下同
じ}と他の熱可塑性樹脂(C)のフィルムまたはアルミ
ニウム箔とをドライラミネートする方法、EVOH
(A)層および(B)層よりなる多層構造体のEVOH
(A)面とフィルム(C)またはアルミニウム箔または
紙とをポリサンドラミネートする方法(アンカーコート
剤と溶融状態のポリエチレンを介してラミネートする方
法)、EVOH(A)層および(B)層よりなる多層構
造体のEVOH(A)面と紙とをドライまたはウェット
ラミネートする方法、紙またはフィルム(C)またはア
ルミニウム箔にEVOH(A)層および(B)層よりな
る多層溶融体のEVOH(A)面が接するように共押出
しコーティングする方法(アンカーコート剤を介しても
よい)、EVOH(A)層および(B)層よりなる多層
溶融体のEVOH(A)面が、接着剤(例えばカルボン
酸グラフト変性ポリオレフィン樹脂)に隣接し、紙また
はフィルム(C)またはアルミニウム箔に接着剤面が接
するように共押出しコーティングする方法(アンカーコ
ート剤を介してもよい)、EVOH(A)層および
(B)層よりなる多層溶融体のEVOH(A)面が熱可
塑性樹脂(C)の溶融体に隣接するように共押出しラミ
ネートする方法(カルボン酸グラフト変性ポリオレフィ
ン樹脂等の接着剤を介してもよい)等が挙げられる。こ
のようにして得られた多層構造体(フィルム、シート、
ボトルまたはチューブなど)を、EVOH(B)層が最
内層となるように熱封緘してパウチ、トレーなどの多層
包装体を得る事ができる。更に上記により得られた多層
体を蓋材とし、また別途上記により得られた多層構造体
を深絞り成型して底材とし、EVOH(B)層が最内層
となるように熱封緘して多層包装体としても良い。更に
上記により得られた多層構造体を、EVOH(B)層が
最内層となるように熱封緘してツーピースチューブの胴
部とし、これを用いて多層包装体とする事もできる。更
にまた上記により得られた多層構造体を蓋材とし、これ
をEVOH(B)層を最内層とするダイレクトまたはイ
ンジェクションブローボトルやワンピースチューブの口
部に、EVOH(B)層同士を熱封緘して多層包装体と
する事もできる。
【0036】上記熱可塑性樹脂(C)のフィルムとして
は、次のものが挙げられる。プロピレンのホモポリマー
を主成分とする二軸延伸フィルム。ε−カプロラクタム
のホモポリマーおよびヘキサメチレンジアミンやメタキ
シリレンジアミン等のジアミン成分とアジピン酸を主原
料として得られるナイロンを主成分とする二軸延伸フィ
ルム。エチレングリコールとテレフタール酸やナフタリ
ンジカルボン酸を主原料として得られるポリエステルの
二軸延伸フィルム。ビスフェノール−Aとホスゲン等炭
酸誘導体を主原料として得られるポリカーボネートより
なるフィルム。塩化ビニルを主原料とし酢酸ビニル等を
共重合させたポリ塩化ビニルよりなるフィルム。塩化ビ
ニリデンを主原料とし、塩化ビニル、アクリロニトリ
ル、(メタ)アクリル酸エステル等を共重合させたポリ
塩化ビニリデンよりなる二軸延伸フィルム。スチレンの
ホモポリマーおよびスチレンを主原料としブタジエン、
アクリロニトリル等よりなるポリスチレンの二軸延伸フ
ィルム。圧延または二軸延伸高密度ポリエチレンフィル
ムなどがあげられる。
【0037】さらに上記共押出しラミネートする時の熱
可塑性樹脂(C)としては、次のものが挙げられる。ヘ
キサメチレンジアミン、ピペラジン、テトラメチレンジ
アミン、エチレンジアミン、メタキシリレンジアミン等
のジアミン成分と、δ−バレロラクタム、ε−カプロラ
クタム、ω−ラウロラクタム、ω−アミノウンデカン
酸、ω−アミノドデカン酸等のアミノカルボン酸成分
と、各種ナフタレンジカルボン酸、テレフタール酸、イ
ソフタール酸、アゼライン酸、セバシン酸、ピメリン
酸、アジピン酸、グルタル酸、コハク酸等の多価カルボ
ン酸成分を原料として得られるナイロン。エチレングリ
コール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコー
ル、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、
ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメ
タノール、4,4´−ジヒドロキシジフェニル−2,2
−プロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の多
価アルコール成分と、パラヒドロキシ安息香酸、δ−バ
レロラクトン、ε−カプロラクトン等のヒドロキシカル
ボン酸成分と、テレフタール酸、イソフタール酸、各種
ナフタレンジカルボン酸、アゼライン酸、セバシン酸、
ピメリン酸、アジピン酸、グルタル酸、コハク酸等の多
価カルボン酸およびそのエステル成分を原料として得ら
れるポリエステル。ビスフェノール−Aとホスゲン等炭
酸誘導体を主原料として得られるポリカーボネート。プ
ロピレンのホモポリマー、およびプロピレンを主成分と
する、エチレン、ブテン−1、5−メチレン−2−ノル
ボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、ヘキサ
−1,3−ジエン等とのブロックコポリマーおよびラン
ダムコポリマー、更には無水マレイン酸等のカルボン酸
でグラフト変性されたそれらのグラフト変性物。エチレ
ンのホモポリマーである高密度ポリエチレン、中密度ポ
リエチレン、低密度ポリエチレン、およびエチレンを主
成分とする、プロピレン、ブテン−1、ブタ−1,3−
ジエン、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、オク
テン−1、ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボル
ネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、酢酸ビニ
ル、酢酸ブチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチ
ル、アクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エ
チル、メタクリル酸等との共重合体、また、アクリル酸
やメタクリル酸との共重合体においては、ナトリウム、
亜鉛、アルミニウム等で架橋されていても良い。また、
酢酸ビニルとの共重合体においては、酢酸ビニル成分の
一部または全てがけん化されていても良い。また、ポリ
エチレンは、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン
酸、無水イタコン酸等のカルボン酸でグラフト変性され
ていても良い。塩化ビニルを主原料とし、酢酸ビニル等
を共重合させたポリ塩化ビニル。塩化ビニリデンを主原
料とし、塩化ビニル、アクリロニトリル、(メタ)アク
リル酸エステル等を共重合させたポリ塩化ビニリデン。
スチレンのホモポリマーおよびスチレンを主原料とし、
(メタ)アクリル酸エステル、ブタジエン、アクリロニ
トリル等を共重合させたポリスチレン。アクリロニトリ
ルを主成分とした、スチレンとの共重合体や、アクリロ
ニトリルを主成分とした、(メタ)アクリル酸エステル
等の共重合成分とブタジエンの弾性体より構成されてい
る、いわゆるグラフト共重合体であるポリアクリロニト
リルがあげられる。
【0038】このように本発明により得られるEVOH
(B)を最内層とする多層構造体(フィルムまたはシー
ト)から構成される容器(袋、カップ、チューブ、トレ
ー、ボトルなど)に内容物(食品、飲料水、化粧品な
ど)を充填し、(B)層同士を熱封緘して使用すること
により、熱封緘性および熱封緘強度の改善された多層包
装体を得る事ができる。このようにして得られた多層包
装体は、ジュースに代表されるフレーバーが重視される
飲料水などの食品の包装体として有用であり、またその
他揮発性薬効成分を含んだパップ薬などの医薬品、芳香
剤、石鹸、除光液、防虫剤、工業薬品、ガスバリアー性
や耐薬品性の要求される医療機器等の包装体としても有
用である。
【0039】以下実施例により、本発明を更に具体的に
説明するが、本発明はこれによってなんら限定を受ける
ものではない。
【0040】
【実施例】
実施例1 EVOH(A)としてエチレン、酢酸ビニルの共重合体
をけん化して得た、エチレン含有量32モル%、酢酸ビ
ニル成分のけん化度99.5モル%、メルトフローレー
ト3.3g/10分(210℃、2.16kg荷重)の
EVOHを10μ、EVOH(B)としてエチレン、酢
酸ビニルおよびビニルトリメトキシシランの共重合体を
けん化して得た、シラン含有量0.01モル%、エチレ
ン含有量48モル%、酢酸ビニル成分のけん化度99.
5モル%、メルトフローレート16g/10分(210
℃、2.16kg荷重)のEVOH(ビカット軟化点1
48℃)を15μよりなる共押出しフィルムを得た。
【0041】15μの二軸延伸ナイロンフィルム
((株)興人製「ボニール R」、ビカット軟化点17
0℃)のコロナ処理面に、ポリエステル系の接着剤(武
田薬品工業(株)製「A−385/A−50」)を固形
分として3g/m2塗布し、溶剤を蒸発させた後に、前
記共押出しフィルムのEVOH(A)面を貼合わせて複
合フィルムを得た。
【0042】この積層フィルムをヒートシーラーを用
い、圧力0.5kg/cm2、温度130℃、時間2秒
でEVOH(B)面同士を熱封緘し多層包装体を得た。
熱封緘強度を測定したところ2.3kg/15mmと強
く、しかも収縮もなく外観は良好であった。また酸素ガ
ス透過量(Modern Controls社製「OX
−TRAN 10/50A」で測定)は20℃,85%
(相対湿度)において2ml/m2・日・気圧と優れて
いた。
【0043】30mlの試験管にリモネン10mlをい
れ、上記多層構成フィルムの(B)面が内側となるよう
に蓋をして、20℃,65%(相対湿度)において1週
間放置した。その包材2mgを切出し、石英チューブ中
でヘリウム雰囲気下120℃、10分加熱し、吸着して
いるd−リモネンを脱離させた。揮発したd−リモネン
をPEG−20M結合型のキャピラリークロマト(内径
0.25mm、長さ50m)で、ヘリウムをキャリアガ
スとし、40℃から170℃まで昇温し、得られたピー
ク面積より吸着量を定量した。d−リモネン吸着量は、
20μg/フィルムgと良好であった。
【0044】比較例1 実施例1において、EVOH(B)として、ビニルトリ
メトキシシランを含有しないエチレン、酢酸ビニルの共
重合体をけん化して得た、エチレン含有量48モル%、
酢酸ビニル成分のけん化度99.5モル%、メルトフロ
ーレート48g/10分のEVOH(ビカット軟化点1
48℃)を15μを用いた以外は、実施例1に準じて行
い、同様な複合フィルムを得た。
【0045】この積層フィルムをヒートシーラーを用
い、圧力0.5kg/cm2、温度130℃、時間2秒
でEVOH(B)面同士を熱封緘し多層包装体を得た。
熱封緘強度は0.5kg/15mmしかなく、実施例1
に比べ非常に劣っていた。また酸素ガス透過量は20
℃,85%(相対湿度)において2ml/m2・日・気
圧と優れていた。またd−リモネン吸着量も30μg/
フィルムgと優れていた。
【0046】実施例2 EVOH(A)としてエチレン、酢酸ビニル共重合体を
けん化して得た、エチレン含有量43モル%、酢酸ビニ
ル成分のけん化度99.5モル%、メルトフローレート
12g/10分のEVOHを20μ、EVOH(B)と
してエチレン、酢酸ビニルおよびビニルトリメトキシシ
ランの共重合体をけん化して得た、シラン含有量0.0
5モル%、エチレン含有量60モル%、酢酸ビニル成分
のけん化度99.4モル%、メルトフローレート21g
/10分のEVOH(ビカット軟化点134℃)を10
μよりなる共押出しフィルムを得た。
【0047】20μの二軸延伸ポリプロピレンフィルム
(東京セロファン紙(株)製「トーセロ OP U−
1」、ビカット軟化点150℃)のコロナ処理面に、ポ
リエステル系の接着剤(武田薬品工業(株)製「A−3
85/A−50」)を固形分として3g/m2塗布し、
溶剤を蒸発させた後に、前記共押出しフィルムのEVO
H(A)面を貼合わせて複合フィルムを得た。
【0048】この積層フィルムをヒートシーラーを用
い、圧力0.5kg/cm2、温度130℃、時間2秒
でEVOH(B)面同士を熱封緘し多層包装体を得た。
熱封緘強度は2.2kg/15mmと強く、しかも収縮
もなく外観は良好であった。また酸素ガス透過量は20
℃,85%(相対湿度)において5ml/m2・日・気
圧と優れており、d−リモネン吸着量も480μg/フ
ィルムgと良好であった。
【0049】比較例2 EVOH(A)としてエチレン、酢酸ビニルおよびビニ
ルトリメトキシシランの共重合体をけん化して得た、シ
ラン含有量0.07モル%、エチレン含有量60モル
%、酢酸ビニル成分のけん化度99.4モル%、メルト
フローレート9g/10分のEVOHを10μ、EVO
H(B)としてエチレン、酢酸ビニルおよびビニルトリ
メトキシシランの共重合体をけん化して得た、シラン含
有量0.1モル%、エチレン含有量70モル%、酢酸ビ
ニル成分のけん化度97モル%、メルトフローレート1
2g/10分のEVOH(ビカット軟化点120℃)を
15μよりなる共押出しフィルムを得た以外は、実施例
2に準じて行い同様な複合フィルムを得た。
【0050】この積層フィルムをヒートシーラーを用
い、圧力0.5kg/cm2、温度130℃、時間2秒
でEVOH(B)面同士を熱封緘し多層包装体を得た。
熱封緘強度を測定したところ2.8kg/15mmと優
れていた。しかしこの積層フィルムの酸素ガス透過量
は、20℃,85%(相対湿度)において35ml/m
2・日・気圧と実施例1に比べ劣っていた。更にd−リ
モネン吸着量も1800μg/フィルムgと劣ってい
た。
【0051】実施例3 EVOH(A)としてエチレン、酢酸ビニル共重合体を
けん化して得た、エチレン含有量27モル%、酢酸ビニ
ル成分のけん化度99.5モル%、メルトフローレート
3.3g/10分のEVOHを10μ、EVOH(B)
としてエチレン、酢酸ビニルおよびビニルトリメトキシ
シランの共重合体をけん化して得た、シラン含有量0.
01モル%、エチレン含有量45モル%、酢酸ビニル成
分のけん化度99.5モル%、メルトフローレート15
g/10分のEVOH(ビカット軟化点155℃)を2
0μよりなる共押出しフィルムを得た。
【0052】25μの二軸延伸ポリエチレンテレフタレ
ートフィルム(東レ(株)製「ルミラー P−11」、
ビカット軟化点190℃)にポリエステル系の接着剤
(武田薬品工業(株)製「A−385/A−50」)を
固形分として3g/m2塗布し、溶剤を蒸発させた後、
前記共押出しフィルムのEVOH(A)面を貼合せて複
合フィルムを得た。
【0053】この積層フィルムをヒートシーラーを用
い、圧力0.5kg/cm2、温度160℃、時間2秒
でEVOH(B)面同士を熱封緘し多層包装体を得た。
熱封緘強度を測定したところ3.1kg/15mmと強
く、しかも収縮もなく外観は良好であった。また酸素ガ
ス透過量は20℃,85%(相対湿度)において1ml
/m2・日・気圧と優れており、d−リモネン吸着量も
50μg/フィルムgと良好であった。
【0054】比較例3 EVOH(A)としてエチレン、酢酸ビニル共重合体を
けん化して得た、エチレン含有量47モル%、酢酸ビニ
ル成分のけん化度99.5モル%、メルトフローレート
36g/10分のEVOHを20μ、EVOH(B)と
してエチレン、酢酸ビニルおよびビニルトリメトキシシ
ランの共重合体をけん化して得た、シラン含有量0.0
1モル%、エチレン含有量32モル%、酢酸ビニル成分
のけん化度99.5モル%、メルトフローレート3.6
g/10分のEVOH(ビカット軟化点173℃)を1
0μよりなる共押出しフィルムを得た以外は、実施例3
に準じて行い同様な複合フィルムを得た。
【0055】この積層フィルムをヒートシーラーを用
い、圧力0.5kg/cm2、温度160℃、時間2秒
でEVOH(B)面同士を熱封緘し多層包装体を得た。
シール部に収縮もなく、外観は良好であったが、熱封緘
強度を測定したところ0.3kg/15mmしかなく、
熱封緘強度が実施例3に比べ非常に劣っていた。なおこ
の積層フィルムの酸素ガス透過量は、20℃,85%
(相対湿度)において2ml/m2・日・気圧であり、
d−リモネン吸着量も170μg/フィルムgと良好で
あった。
【0056】実施例4 一方の多層構成体として、EVOH(A)としてエチレ
ン、酢酸ビニル共重合体をけん化して得た、エチレン含
有量27モル%、酢酸ビニル成分のけん化度99.5モ
ル%、メルトフローレート3.3g/10分のEVOH
を20μ、EVOH(B)としてエチレン、酢酸ビニル
およびビニルトリメトキシシランの共重合体をけん化し
て得た、シラン含有量0.02モル%、の共重合体をけ
ん化して得た、エチレン含有量48モル%、酢酸ビニル
成分のけん化度99.5モル%、メルトフローレート1
2g/10分のEVOH(ビカット軟化点148℃)を
20μを用い、もう一方の多層構成体として、EVOH
(A)としてエチレン、酢酸ビニル共重合体をけん化し
て得た、エチレン含有量32モル%、酢酸ビニル成分の
けん化度99.5モル%、メルトフローレート3.3g
/10分のEVOHを20μ、EVOH(B)としてエ
チレン、酢酸ビニルおよびビニルトリメトキシシランの
共重合体をけん化して得た、シラン含有量0.01モル
%、の共重合体をけん化して得た、エチレン含有量45
モル%、酢酸ビニル成分のけん化度99.5モル%、メ
ルトフローレート15g/10分のEVOH(ビカット
軟化点155℃)を20μを用いた以外は、実施例1に
準じて行い、同様な複合フィルムを得た。
【0057】この積層フィルムをヒートシーラーを用
い、圧力0.5kg/cm2、温度160℃、時間2秒
でEVOH(B)面同士を熱封緘した。熱封緘強度は
3.6kg/15mmと強く、しかも収縮もなく外観は
良好であった。また酸素ガス透過量は20℃,85%
(相対湿度)において両者共に1ml/m2・日・気圧
と優れており、d−リモネン吸着量もやはり両者共に6
0μg/フィルムgと良好であった。
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】
【表3】
【0061】
【発明の効果】以上説明したように本発明の多層構造体
は、ガスバリアー性と内容物の非吸着性が良く、熱封緘
性が優れており、ジュース、パップ薬、芳香剤、石鹸、
防虫剤、工業薬品等の包装体に好適に適用できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 1/00 - 35/00 B65D 65/40

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エチレン含有量10〜50モル%、ビニ
    ルエステル成分のけん化度95モル%以上のエチレン−
    ビニルエステル共重合体けん化物(A)層と、その層に
    隣接したエチレン、ビニルエステルおよびビニルシラン
    系化合物の共重合体をけん化して得た、シラン含有量
    0.0005〜0.2モル%、エチレン含有量30〜7
    0モル%、ビニルエステル成分のけん化度90モル%以
    上のエチレン−ビニルエステル共重合体けん化物(B)
    層からなり、かつ下記式を満足する多層構造体。 3≦EB−EA≦60 ………(1) 0.1≦MFRA<MFRB≦50………(2) 5≦MPA−MPB ………(3) 式中、EAおよびEBは、(A)および(B)のそれぞ
    れのエチレン含有量(モル%)を、MFRAおよびMF
    RBは、温度210℃,荷重2.16kg条件下で測定
    した(A)層および(B)層のそれぞれのメルトフロー
    レート(g/10分)を、MPAおよびMPBは、DS
    Cを用い窒素気流中で昇温速度10℃/分で測定した
    (A)および(B)のそれぞれの融点を表す。
  2. 【請求項2】 (A)層の外層に(B)のビカット軟化
    点より5℃以上高いビカット軟化点を有する熱可塑性樹
    脂(C)を積層してなる、請求項1記載の多層構造体。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の多層構造体より
    なり、かつ(B)層を内層とする容器に内容物を充填
    し、(B)層同士を熱封緘してなる多層包装体。
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