JP3029529B2 - ポリカ−ボネ−ト樹脂被覆金属板 - Google Patents

ポリカ−ボネ−ト樹脂被覆金属板

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JP3029529B2 JP5347009A JP34700993A JP3029529B2 JP 3029529 B2 JP3029529 B2 JP 3029529B2 JP 5347009 A JP5347009 A JP 5347009A JP 34700993 A JP34700993 A JP 34700993A JP 3029529 B2 JP3029529 B2 JP 3029529B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、主に缶用素材への適用
を目的としたポリカーボネート樹脂被覆金属板に関す
る。より詳細には、金属板の片面、あるいは両面に、下
層がポリエステル樹脂、上層がポリカーボネート樹脂か
らなる複合樹脂層を積層した金属板に関し、加工性、加
工密着性、特に耐低温衝撃加工性に優れ、缶蓋や絞り缶
などの一般的な缶用材料としてだけでなく、絞りしごき
缶、絞り加工後ストレッチ加工を施した缶(薄肉化深絞
り缶)など、厳しい加工が施される缶用プレコート材料
として適用できるものである。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性樹脂フイルムを積層した金属板
を成形して得られた缶体に、低温で衝撃が加えられても
フィルムにクラックを発生させないことを目的とする、
ポリカーボネート樹脂とポリエステル樹脂からなる複合
樹脂フィルムを積層した金属板(特願平5ー32491
号)が提案されている。しかしながら、該ポリカーボネ
ート樹脂被覆金属板を成形してなる缶に内容物を充填
(内容物と直接接している樹脂:ポリカーボネート樹
脂)経時後、内容物の味覚(フレーバー)が、場合によ
っては経時前とくらべて変化することが判明した。この
原因については良くわからないが、ポリカーボネート樹
脂が、内容物のフレーバー成分を、経時期間中に吸着し
たためと考えられる。前記の理由により、該ポリカーボ
ネート樹脂被覆金属板は優れた耐低温衝撃加工性を有し
ながら充填した内容物、あるいはフレーバー性を特に重
視するユーザーによっては缶用素材として適用されない
可能性があり、フレーバー性の改善が望まれる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、上記のように特願平5ー32491号にて
提案された、ポリカーボネート樹脂被覆金属板の、耐低
温衝撃加工性などの優れた特性を保持しつつ、フレーバ
ー性を改善することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の問題点
を解決するため、種々検討した結果、ポリカーボネート
樹脂が直接内容物と接していても、その膜厚が3μm以
下であれば内容物のフレーバーに影響を与えず、膜厚が
0.1μm以上であれば優れた耐低温衝撃加工性が得ら
れること、すなわち、優れたフレーバー性と耐低温衝撃
加工性を両立させる樹脂被覆金属板は、特定のポリエス
テル樹脂層上に、0.1〜3μmの膜厚のポリカーボネ
ート樹脂を存在させることにより得られることを見出だ
したものである。
【0005】以下、本発明の内容について詳細に説明す
る。まず、本発明のポリカーボネート樹脂被覆金属板に
おいて、上層を構成するポリカーボネート樹脂は、下記
の(1)に示す式の基本構造の繰り返し単位を主体とす
る重合体である。 式中、 R1は炭素数2〜10の脂肪族炭化水素、あるい
は炭素数6〜18の芳香族炭化水素であるが、被覆金属
板が塗装、あるいは印刷して使用されるときなど、樹脂
の耐熱性が特に求められる場合は、芳香族ポリカーボネ
ート樹脂が好ましい。また、レトルト処理などのように
熱水処理される場合、該ポリカーボネート樹脂が耐熱性
を有していないと、樹脂表面に水滴が付着している部分
と付着していない部分の境界で凹凸が生じ、表面外観を
損なう(熱水跡)ことがある。この観点からも、本発明
で用いられるポリカーボネート樹脂は、芳香族ポリカー
ボネート樹脂であることが好ましく、例えば、ポリージ
オキシジフェニルー2,2ープロパンカーボネート(ビ
スフェノールAポリカーボネート)、ポリージオキシジ
フェニルメタンカーボネート、ポリージオキシジフェニ
ルエタンカーボネート、ポリージオキシジフェニルー
2,2ーブタンカーボネート、ポリージオキシジフェニ
ルー2,2ーペンタンカーボネート、ポリージオキシジ
フェニルー3,3ーペンタンカーボネート、ポリージオ
キシジフェニルー2,2−ヘキサンカーボネート、4,
4´ージオキシジフェニルメタンカーボネートの中央メ
タンの炭素にアルキル基、またはフェニル基が結合した
芳香族ポリカーボネートなどが、本発明の上層のポリカ
ーボネート樹脂として用いることができるが、特に、耐
熱性、加工性、および経済性などの点から、ビスフェノ
ールAポリカーボネート樹脂が好ましい。
【0006】また、本発明で重要なことは、上層となる
ポリカーボネート樹脂の厚さは、フレーバー性、および
耐低温衝撃加工性の観点から、0.1〜3μmであるこ
とである。ポリカーボネート樹脂の厚さが3μmを超え
ると、成形した缶に内容物を充填して経時させた場合、
内容物のフレーバー成分が吸着される度合が増加し、フ
レーバー性が損なわれる。一方、ポリカーボネート樹脂
層の厚さが0.1μm未満である場合は、耐衝撃加工性
向上の効果が認められなくなり好ましくない。さらに、
該樹脂の分子量、あるいは分子量分布も被覆金属板の特
性に影響をおよぼすが、必要特性と経済性を考慮して適
正な分子量、および分子量分布を決定すべきである。
【0007】つぎに、金属板とポリカーボネート樹脂層
の間に介在させるポリエステル樹脂は、主に金属板、お
よび上層のポリカーボネート樹脂との密着性の観点から
選択される。本発明で用いられるポリエステル樹脂は
(2)式、あるいは(3)式に示す基本構造の繰り返し
単位を主体とする重合体である。 あるいは 式中、R2は炭素数2〜6のアルキレン基、R3は炭素数
2〜24のアルキレン基、またはアリレーン基である。
さらに、該ポリエステル樹脂の分子量も重要である。分
子量は極限粘度と正比例の関係にあり、極限粘度が高い
ほど分子量が多くなる。本発明においては該ポリエステ
ル樹脂の極限粘度(IV値)が0.3 〜1.8の範囲に
あることが好ましく、より好ましくは0.5 〜1.2の
範囲にあることである。 IV値が0.3未満では成形
時、あるいは前記へこみが生じた場合に該ポリエステル
樹脂に著しいクラックが発生し、上層のポリカーボネー
ト樹脂がたとえ均一に被覆していたとしても、該クラッ
ク部に腐食が集中する恐れがある。 一方、IV値が1.
8を超えると溶融粘度が高くなり、他材への充分な濡れ
の達成が困難となるために、金属板あるいはポリカーボ
ネート樹脂との密着性が顕著に劣ってくるようになる。
なおここで言うIV値とは本発明に用いるポリエステル
樹脂サンプル0.3gを25mlのオルソクロロフェノール
に溶解させた溶液を35℃の温度でオストワルドBS型
粘度管を用いて測定し、下記の式により算出した値であ
る。 ηsp/c=〔η〕+κ〔η〕2C (4) ただし、 ηsp:比粘度 〔η〕:極限粘度、IV値に相当 κ:定数(0.247) C:容積濃度(g/100ml)
【0008】本発明で用いられるポリエステル樹脂とし
て、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテ
レフタレート樹脂の他に、エチレンテレフタレート単位
を主体とした共重合ポリエステル樹脂、およびブチレン
テレフタレート単位を主体とした共重合ポリエステル樹
脂の一種、あるいはこれらの混合物からなるポリエステ
ル樹脂が好ましい。共重合ポリエステル樹脂の例とし
て、ポリエチレンテレフタレート・イソフタレート、ポ
リエチレンテレフタレート・セバケート、ポリエチレン
テレフタレート・アジペート樹脂や、ポリブチレンテレ
フタレート・イソフタレート樹脂が挙げられるが、必要
とされる特性に応じて詳細な樹脂組成を決定すべきであ
る。
【0009】また、下層のポリエステル樹脂の厚さは、
特に制限するものではないが必要特性、および経済性を
考慮して決定すべきである。
【0010】なお、ポリカーボネート樹脂、およびポリ
エステル樹脂に、必要に応じ、他の特性をあまり損なわ
ない範囲内で、安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、顔
料、滑剤、腐食防止剤などのような添加剤を加えても良
い。
【0011】つぎに、本発明において用いられる金属板
としては、シート状および帯状の鋼板、およびアルミニ
ウム板の表層に、クロム水和酸化物皮膜を有すること
が、ポリエステル樹脂との優れた密着性を確保するうえ
で好ましい。特に下層が金属クロム、上層がクロム水和
酸化物の二層構造の皮膜で被覆された鋼板、いわゆるT
FSが好ましく、さらに、鋼板表面に錫、ニッケル、亜
鉛などの一種、あるいは二種以上の複層めっき、合金め
っきを施し、その上層に上記の二層構造をもつTFS皮
膜、あるいはクロム水和酸化物皮膜を形成させたもの、
あるいはアルミニウム板に電解クロム酸処理、浸漬クロ
ム酸処理を施し、表層にクロム水和酸化物皮膜を形成さ
せたものなどが用いられる。表層のクロム水和酸化物皮
膜量がクロムとして3mg/m2 未満、あるいは30mg/m2
を超えると、ポリエステル樹脂層との加工後の密着性が
低下する。したがって、クロム水和酸化物皮膜の量はク
ロムとして3〜30mg/m2の範囲が好ましくより好まし
くは7〜25mg/m2である。金属クロム量は加工後の耐
食性、上記ポリエステル樹脂層との加工後の密着性の観
点より10〜200mg/m2の範囲にあることが好まし
い。
【0012】つぎに、本発明のポリカーボネート樹脂被
覆金属板の製造方法について説明する。本発明のポリカ
ーボネート樹脂被覆金属板は、つぎに示すフィルム積層
法で製造可能である。 (1)下層となるポリエステル樹脂の片面に、あらかじ
めポリカーボネート樹脂を積層してなる複合樹脂フィル
ムを、ポリエステル樹脂層が金属板に接するようにし
て、ポリエステル樹脂の融点(Tm)〜Tm+150℃
に加熱された金属板の片面、あるいは両面に積層し、徐
冷あるいは急冷する。 (2)下層となるポリエステル樹脂の片面に、ポリカー
ボネート樹脂を溶解可能な有機溶媒に溶解させて塗布
し、乾燥して得られた複合樹脂フィルムを、ポリエステ
ル樹脂面(ポリカーボネート樹脂が非塗布の面)が金属
板に接するようにして、ポリエステル樹脂の融点(T
m)〜Tm+150℃に加熱された金属板の片面、ある
いは両面に積層し、徐冷あるいは急冷する。ここで言う
ポリカーボネート樹脂を溶解可能な有機溶媒としては塩
化メチレン、ベンゼン、アセトン、クロロフォルム、テ
トラクロロエタン、テトラハイドロフラン、ジオキサ
ン、1,2ージクロロエタンなどが挙げられるが、経済
性や取扱いの容易性の観点から塩化メチレンを用いるこ
とが好ましい。また蒸発速度を調節するためにこれらの
二種以上の混合溶媒、あるいは上記以外の有機溶媒との
混合溶媒を用いても良い。 (3)熱溶融した上層となるポリカ−ボネ−ト樹脂と、
下層となるポリエステル樹脂を、ポリエステル樹脂のガ
ラス転移温度(Tg)+30℃〜Tm+150℃に加熱
された金属板の片面、あるいは両面に直接共押し出し、
徐冷あるいは急冷する。なおここで言う融点とは示差走
査熱量計(SS10、セイコー電子工業(株)製)によ
り、10℃/分で昇温したときの樹脂の結晶融解に基づ
く吸熱ピークの最大深さを示す温度を言う。樹脂がブレ
ンド品であるなどの理由により、吸熱ピークが二つ以上
ある場合は、基本的には吸熱ピークの最大深さを示す温
度が高い方を融点とするが、密着力が確保できれば低い
方を融点として良い。また、ここで言うガラス転移温度
とは、樹脂の状態がガラス、あるいはゴム状態になる境
界の温度であり、各温度による樹脂の比容積を測定し、
該比容積ー温度曲線が折れ曲がりを開始する温度を示
す。また、本方法の重要な要因は、下層となるポリエス
テル樹脂が熱溶融して金属板上に良く濡れ、該ポリエス
テル樹脂と金属板間の良好な密着力が確保されていると
ともに、上記(3)の方法による場合は、該ポリエステ
ル樹脂と上層のポリカーボネート樹脂間の良好な密着力
も熱融着により確保されていることであり、そのために
は、上記で示した金属板の温度は重要不可欠な要件であ
る。また金属板の温度がTm+150℃を超えると、下
層のポリエステル樹脂が熱分解を起こし、特性が低下す
る恐れがあるので好ましくない。
【0013】金属板を加熱する方法には、公知の熱風循
環伝熱方式、抵抗加熱方式、誘導加熱方式、ヒートロー
ル方式などがあり、これらの方式を単独で用いても、あ
るいは併用しても良い。
【0014】また、上記のような積層法で得られたポリ
カーボネート樹脂被覆金属板は、徐冷あるいは急冷され
るが、徐冷すべきか急冷すべきかは、下層であるポリエ
ステル樹脂の組成、状態、および本発明のポリカーボネ
ート樹脂被覆金属板の加工方法、加工条件、使い方など
により決定されるべきである。また、内容物を充填する
缶の外面に用いられ、かつレトルト処理される場合、積
層直後に存在しているほぼ無定形のポリエステル樹脂
が、微細結晶化するような冷却条件を選択することが、
レトルト処理による表面の乳白化を防止するうえで好ま
しい。
【0015】
【実施例】以下、本発明の実施例および、比較例につい
て説明する。
【0016】実施例1 下層となるポリエチレンテレフタレート樹脂とポリブチ
レンテレフタレート樹脂を、重量比で1/1の割合で配
合したポリエステル樹脂からなる二軸延伸した樹脂フィ
ルムの片面に、ビスフェノールAポリカーボネート樹脂
を塩化メチレンに溶解させて塗布し、乾燥させた。得ら
れた複合樹脂フィルム(ポリカーボネート樹脂層の厚
さ:1.2μm、ポリエステル樹脂層の厚さ:20μ
m、ポリエステル樹脂の融点:252℃、ポリエステル
樹脂層のIV値:0.68)をポリエステル樹脂面(ポ
リカーボネート樹脂が非塗布の面)が金属面と接するよ
うにして、誘導加熱ロールにより280℃に加熱された
帯状のTFS(金属クロム量:110mg/m2、クロム水和
酸化物量:クロムとして18mg/m2、板厚:0.26mm、
板幅:250mm、テンパー度:T−5)の両面に、一対
のシリコンロールを用いて積層し、3秒後に水中に浸漬
冷却した。
【0017】実施例2 下層となる未延伸のポリエチレンテレフタレート樹脂フ
ィルムの片面に、実施例1と同様の方法により、ビスフ
ェノールAポリカーボネート樹脂を塗布し乾燥させて複
合樹脂フィルムを得た。(塗布後のポリカーボネート樹
脂層の厚さ:3μm、ポリエチレンテレフタレ−ト樹脂
層の厚さ:15μm、ポリエチレンテレフタレ−ト樹脂
の融点:256℃、ポリエチレンテレフタレ−ト樹脂の
IV値:0.65)該複合樹脂フィルムを、ポリエチレ
ンテレフタレ−ト樹脂面(ポリカーボネート樹脂が非塗
布の面)が金属板と接するようにして、誘導加熱ロール
により290℃に加熱された帯状のTFS(金属クロム
量:60mg/m2 、クロム水和酸化物量:クロムとして2
5mg/m2 、板厚:0.26mm、テンパー度:T-5)の両
面に積層し直ちに水中に急冷した。
【0018】実施例3 板厚0.26mm、テンパー度T−5の帯状の鋼板に公知
の方法で脱脂、 酸洗を施したのち、硫酸錫80g/l、フ
ェノールスルホン酸(65%水溶液)60g/l、エトキ
シ化 αーナフトール0.06g/lの錫めっき浴を用い、浴
温度45℃、陰極電流密度20A/dm2の条件で、両面に
1.5g/m2の錫めっきを施し、水洗し、無水クロム酸5
0g/l、硫酸0.5g/lのクロム酸溶液を用い、浴温度5
0℃ 、陰極電流密度40A/dm2の条件で、両面にTFS
皮膜(金属クロム量:90mg/m2、クロム水和酸化物量:
クロムとして13mg/m2)を形成させ、湯洗、乾燥した
錫めっき鋼板の両面に、下層となるテレフタル酸88モ
ル%、イソフタル酸12モル%を酸成分としたポリエチ
レンテレフタレート・イソフタレート共重合ポリエステ
ル樹脂からなる二軸延伸した樹脂フィルム(厚さ:10
μm、ポリエステル樹脂の融点:228℃、ポリエステ
ル樹脂層のIV値:0.71)の片面に、実施例1と同
様の方法により、ポリカーボネート樹脂を塗布し乾燥さ
せて得られた複合樹脂フィルム(乾燥後のポリカーボネ
ート樹脂層の厚さ:2.0μm)を、ポリエステル樹脂
面(ポリカーボネート樹脂が非塗布の面)が金属板に接
するようにして、該鋼板の温度が255℃である他は実
施例1と同様の方法で積層した。
【0019】比較例1 未延伸のビスフェノールAポリカーボネート樹脂フィル
ム(厚さ:25μm)を、300℃に加熱した実施例1
と同様な帯状のTFSの両面に積層し、直ちに水中に急
冷した。
【0020】比較例2 二軸延伸したテレフタル酸88モル%、イソフタル酸1
2モル%を酸成分としたポリエチレンテレフタレート・
イソフタレート共重合ポリエステル樹脂フィルム(厚
さ:10μm、融点:228℃、IV値:0.71)
を、240℃に加熱した実施例3と同様の帯状の錫めっ
き鋼板の両面に積層し、直ちに水中に急冷した。
【0021】比較例3 下層となるポリエチレンテレフタレート樹脂とポリブチ
レンテレフタレート樹脂を、重量比で1/1の割合でブ
レンドしたポリエステル樹脂からなる二軸延伸した樹脂
フィルム(融点:252℃、厚さ:15μm、ポリエス
テル樹脂層のIV値:0.68)を286℃に加熱した
実施例1と同様な帯状のTFSの両面に積層し、1.5
秒後に279℃の表面温度を有する該樹脂積層金属板上
に上層となる未延伸ビスフェノールAポリカーボネート
樹脂フィルム(厚さ:10μm)を積層し、直ちに水中
に急冷した。
【0022】実施例1〜3および、比較例1〜3で得ら
れた樹脂被覆金属板を、下記に示す成形加工条件で薄肉
化深絞り缶に加工し、常法によりドーミング、ネックイ
ン、フランジング加工を施した。 [成形加工条件]A.絞り工程 ブランク径:187mm 絞り比:1.50 B.再絞り工程 第一次再絞り比:1.29 第二次再絞り比:1.24 第三次再絞り比:1.20 再絞り工程のダイスのコーナー部の曲率半径:0.4mm 再絞り工程のしわ押さえ荷重:6000kg C.缶胴部の平均薄肉化率 成形前の樹脂被覆金属板の厚さに対して−20% 上記の成形加工条件で得られた薄肉化深絞り缶の特性
を、つぎに示す方法で評価した。その結果を表1および
表2に示した。 (1)積層された樹脂フィルムの加工密着性 上記の成形加工条件で行った薄肉化深絞り缶の、各成形
加工工程で積層された樹脂フィルムの剥離の有無を肉眼
で評価した。 (2)積層された樹脂フィルムのフレーバー性 得られた薄肉化深絞り缶にファンタオレンジ(コカコー
ラ(株)製)を充填し薄肉化深絞り缶に用いた樹脂被覆
金属板と同じ内面樹脂構成の材料を用いて作成したエン
ドを巻き締めたのち、37℃の雰囲気中で3週間経時し
た。この経時後の缶を開缶して12人のパネラーにより
内容物のフレーバーを調査し、経時前後の内容物の味覚
に差がないと判定した人数が10人以上の場合を優、7
人以上の場合をを良、7人未満の場合を不良とした。 (3)積層された樹脂フィルムの耐低温衝撃加工性 得られた薄肉化深絞り缶の缶胴部から、円周方向に幅3
0mm、長さ120mmの試料を4個採取し、氷水中に5分
間浸漬後取り出し、5℃の温度を有している試料に缶底
より10mmの位置に、缶外面に先端の直径が1/2イン
チの鋼球を有している棒(重さ1kg)を、高さ40mmよ
り落下させ、内面の凸部に3%食塩水を含浸させたスポ
ンジをあて、試料に6.3 Vの直流電圧を印加し、流れ
る電流値を測定し、それぞれの位置における電流値の平
均値で積層された樹脂フィルムの耐衝撃加工性を評価し
た。
【0023】
【表1】 (注)PC:ビスフェノールAポリカーボネート樹脂 PET//PBT:ポリエチレンテレフタレートとポリブチレン
テレフタレートを( )の重量比で配合したポリエステ
ル樹脂 PET:ポリエチレンテレフタレ−ト樹脂 PET・I-12:ポリエチレンテレフタレート・イソフタレー
ト共重合樹脂、数字はイソフタル酸のモル%
【0024】
【表2】
【0025】
【発明の効果】本発明のポリカーボネート樹脂被覆金属
板は、内容物のフレーバー性に優れているとともに、加
工密着性、耐衝撃加工性、特に耐低温衝撃加工性に優
れ、厳しい成形に耐えるだけでなく、成形された缶体、
および内容物を低温で充填された缶体に、外部から衝撃
加工が加えられても、積層された樹脂フィルムにクラッ
クが入らず、耐食性の優れた缶用材料であり、厳しい加
工が施される薄肉化深絞り缶に用いられるだけでなく、
絞り缶、絞りしごき缶、缶蓋、スクリュウ・キャップな
どに広く適用可能である。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属板の片面、あるいは両面に、上層が
    下記の(1)式の基本構造の繰り返し単位を主体とし
    た、厚さが0.1〜3.0μmであるポリカーボネート
    樹脂、下層が下記の(2)式、あるいは(3)式の基本
    構造の繰り返し単位を主体としたポリエステル樹脂から
    なる複合樹脂フィルムが熱融着により被覆されているこ
    とを特徴とするポリカーボネート樹脂被覆金属板、 [ポリカーボネート樹脂の基本構造] 式中、 R1は炭素数2〜10の脂肪族炭化水素、あるい
    は炭素数6〜18の芳香族炭化水素、 [ポリエステル樹脂の基本構造] あるいは 式中、R2は炭素数2〜6のアルキレン基、R3は炭素数
    2〜24のアルキレン基またはアリレーン基。
  2. 【請求項2】 上層のポリカーボネート樹脂が、ビスフ
    ェノールAポリカーボネート樹脂であることを特徴とす
    る請求項1のポリカーボネート樹脂被覆金属板。
  3. 【請求項3】 下層のポリエステル樹脂が、ポリエチレ
    ンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹
    脂、エチレンテレフタレート単位を主体とした共重合ポ
    リエステル樹脂の一種、ブチレンテレフタレート単位を
    主体とした共重合ポリエステル樹脂の一種、あるいは、
    これらの混合物からなるポリエステル樹脂であることを
    特徴とする請求項1または2のポリカーボネート樹脂被
    覆金属板。
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