JP3029218U - 電動自転車の感応式伝動制御装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 乗員のペダルに対する踏み込み力の大きさに
応じて電動駆動力を変更することにより、安全で、人間
工学的に好適な電動自転車の感応式伝動制御装置を提供
する。 【解決手段】 駆動手段１０と、その駆動手段１０の駆
動力を自転車のペダルが取り付けられたクランクのクラ
ンク軸４０に連結されたチェーンギヤ５０に伝達する伝
動手段とを有する電動自転車において、クランク軸４０
のトルクを検知するためのトルク検知手段と、チェーン
ギヤの回転速度を検知する速度検知手段と、トルク検知
手段及び速度検知手段の検知値に基づいて駆動手段１０
の駆動電圧を制御する電圧制御手段とを備えている。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、自転車の乗員のペダルに対する踏み込み力に応じて、自転車の速度 を加減する電動自転車の感応式伝動制御装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来の電動自転車は、乗員のペダルに対する踏み込み力に応じて、自転車の速 度を加減する装置は有していない。したがって、低速で自転車を走行させたい場 合であっても、駆動手段の駆動力が均一であるため、スピードを落とすことがで きない。また、低速で自転車を走行させても、駆動手段の駆動力が均一であるた め、電力の消耗を低減することができず、電力を浪費する。このような電力の浪 費は、バッテリの寿命を短くする一つの要因になる。

【０００３】 本考案は上記の課題を解決するためになされたものであり、乗員のペダルに対 する踏み込み力に応じて、駆動装置の駆動力を変更して、好適な走行力を提供す ることができる電動自転車の感応式伝動制御装置を提供することをその目的とす る。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するための本考案に係る電動自転車の感応式伝動制御装置は、 駆動手段と、その駆動手段の駆動力をペダルが取り付けられたクランクのクラン ク軸に連結されたチェーンギヤ（スプロケット）に伝達する伝動手段とを有する 電動自転車において、前記クランク軸のトルクを検知するためのトルク検知手段 と、前記チェーンギヤの回転速度を検知するための速度検知手段と、前記トルク 検知手段と前記速度検知手段との検知値に基づいて前記駆動手段の駆動電圧を制 御する電圧制御手段とを備えていることを特徴とする。

【０００５】 かかる構成によれば、前記トルク検知手段により自転車のクランク軸のトルク を検知すると共に、前記速度検知手段によりチェーンギヤ、つまり車輪の速度を 検知して、それらの検知値を電圧制御手段に入力し、該電圧制御手段により、自 転車を駆動する駆動装置の駆動電圧を制御し、乗員のペダルに対する踏み込み力 に応じて走行速度を変化させることができるので、省エネルギーで且つ低速での 自転車の走行が可能な電動自転車を提供することができる。

【０００６】 前記トルク検知手段の具体構成として好ましくは、筒状のチェーンギヤ軸と筒 状のナット部材と、筒状のネジ部材とスプリングとセンサとからなり、前記チェ ーンギヤ軸の内側には一方向ベアリングを介して前記クランク軸が内嵌し、前記 チェーンギヤ軸の外側には前記チェーンギヤが固定され、前記ナット部材の内側 の一部に雌ねじ部が形成され、他の部分には前記一方向ベアリングと逆回転方向 の一方向ベアリングを介して前記チェーンギヤ軸が内嵌し、前記ネジ部材の外側 には前記ナット部材の雌ねじ部に螺合する雄ねじ部が形成され、前記ネジ部材の 内側には前記クランク軸が内嵌して両者は軸方向に相対移動可能であり、前記ス プリングは前記ナット部材の外側に遊嵌し、前記スプリングの一端は前記ナット 部材の端部に形成された鍔部に当接し、他端は前記ネジ部材の端部に設けられた 阻止部材に当接し、前記センサはネジ部材の端部に設けられた阻止部材に当接し て、前記クランク軸のトルクを前記阻止部材の軸方向変位として検知するように 構成されている。

【０００７】 つまり、クランク軸が回転するとネジ部材も回転し、これに螺合するナット部 材は、両部材の軸方向相対移動がスプリングによる付勢力で規制された状態で共 に回転する。従って、クランク軸に与えられるトルクとスプリングによる付勢力 とが釣り合うように、ネジ部材とナット部材との軸方向相対位置が決まる。そし て、クランク軸に対して相対移動可能なネジ部材に設けられた阻止部材の軸方向 位置がセンサによって検知される。

【０００８】 また、前記速度検知手段の具体構成として好ましくは、前記チェーンギヤに設 けられた磁石と、前記チェーンギヤを保持する枠体に設けられ前記チェーンギヤ の回転に伴って前記磁石の接近・離間を検知する磁力検出手段とから構成されて いる。例えば、チェーンギヤに設けられた磁石の回転軌跡である円周上の任意の 位置に対向する位置に磁力検出手段を設けて、一回転ごとに磁石と磁力検出手段 とが接近・離間を繰り返すようにすればよい。

【０００９】

【考案の実施の形態】

以下、本考案の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。図１は本考案によ る感応式伝動制御装置が自転車に取り付けられた状態を示す図であり、図２は本 考案による感応式伝動制御装置の外観を示す図であり、図３は本考案による感応 式伝動制御装置の部分断面図であり、図４は図３におけるＡ−Ａ断面図であり、 図５は本考案による感応式伝動制御装置の電気系を示す図である。

【００１０】 図１に示すように、自転車の下チューブ８１にバッテリやコンピュータなどを 収納する装置１０１を収容するカバー１０２が設けられている。駆動装置１０は ペダルを支持するクランクを装着しているクランク軸の近くに設けられ、前記駆 動装置１０に駆動される電動制御装置が下分岐パイプ８０に設けられている。

【００１１】 図２〜４に示すように、前記駆動装置１０の軸の先端にギヤ１１が設けられ、 該ギヤ１１が他のギヤ１４に噛合している。このギヤ１４の軸の他方にさらに別 のギヤ１４１が設けられ、該ギヤ１４１がギヤ１５に噛合している。このギヤ１ ５の軸の他方にはベベルギヤ部１６が形成され、該ベベルギヤ部１６が他のベベ ルギヤ２０に噛合している。このベベルギヤ２０の内側には一方向ベアリング２ １を介してチェーンギヤ軸３０が内嵌し、このチェーンギヤ軸３０の端部にはチ ェーンギヤ５０が外嵌固定されている。

【００１２】 前記チェーンギヤ軸３０の内側にはベアリング３１，３１を介してクランク軸 ４０が内嵌している。クランク軸４０には栓７４を介してネジ部材７０が外嵌し 、両者は軸方向に相対移動可能である。ネジ部材７０の端部には阻止部材７１が 設けられている。前記チェーンギヤ軸３０の一端側に一方向ベアリング７６を介 してナット部材７５が外嵌し、このナット部材７５は前記ネジ部材７０の雄ねじ 部に螺合する雌ねじ部を有する。

【００１３】 前記ナット部材７５の外側にはスプリング７２が遊嵌され、その一端側はナッ ト部材７５の端部に形成された鍔部に当接し、他端側は前記ネジ部材７０の端部 に設けられた阻止部材７１に当接している。これらの部材を収容するハウジング １２における阻止部材７１に近接する部位にセンサ６０が設けられ、このセンサ ６０の先端部６１が前記阻止部材７１に当接している。そして、ネジ部材等の軸 方向での阻止部材７１の位置がセンサ６０によって検知される。この位置は、ナ ット部材７５とネジ部材７０との螺合トルクとスプリング７２の付勢力との釣り 合いによって決まる。

【００１４】 また、前記チェーンギヤ軸３０のチェーンギヤ５０に近接する端部にはカバー １３が備えられ、このカバー１３に磁力検出手段６３が設けられている。そして 、前記チェーンギヤ５０の一か所に磁石６２が設けられ、チェーンギヤ５０が回 転すると、カバー１３に設けられた磁力検出手段６３の付近を磁石６２が通過す るように構成されている。これによって、チェーンギヤ５０の回転速度、つまり 車輪の回転速度を検知することができる。なお、チェーンギヤ軸３０は両端部で ベアリング３３，３３を介して回転可能にカバー１３及びハウジング１２に保持 されている。

【００１５】 次に、電動駆動が不要である場合の本装置の動作について説明する。 乗員はペダルを踏んで、ペダルに連結するクランク５３を揺動させ、クランク 軸４０を回転させる。この場合、図３の矢印の方向にクランク軸４０を回転させ ると、栓７４を介してネジ部材７０が回転され、ネジ部材７０とナット部材７５ のネジ運動により、ネジ部材７０がナット部材７５内において軸方向移動をしよ うとする。しかし、スプリング７２の付勢力により、その軸方向移動が規制させ る。その結果、前記ナット部材７５もネジ部材７０と共に回転し、これによって 一方向ベアリング７６を介してチェーンギヤ軸３０が回転駆動される。そして、 チェーンギヤ軸３０に固定されたチェーンギヤ５０が回転し、チェーンを介して 車輪を回転させ自転車を走行させる。

【００１６】 次に、電動駆動が必要である場合の本装置の動作について説明する。 駆動手段１０のスイッチ（図示省略）を入れ、駆動手段１０を駆動させ、ギヤ １１，１４，１４１，１５と、ギヤ１５に連結されたベベルギヤ部１６とを介し てベベルギヤ２０を回転させる。この場合、一方向ベアリング２１を介してチェ ーンギヤ軸３０が回転駆動される。チェーンギヤ軸３０がチェーンを回転して自 転車を走行させると共に、ナット部材７１とネジ部材７０とをネジ運動させる。 このネジ運動によってネジ部材７０が軸方向に変位するが、この軸方向変位はス プリング７２の付勢力によって規制される。したがって、トルクとスプリング７ ２の付勢力とが釣り合うように阻止部材７１の軸方向位置が決まり、阻止部材７ １に先端部６１が当接するセンサ６０によって阻止部材７１の軸方向位置、つま りトルクが検知される。この検知情報は、図５に示す単セルコンピュータ（シン グルチップマイクロコンピュータ）に入力される。

【００１７】 また、前記カバー１３に設けられた磁力検出手段６３が、チェーンギヤ５０に 設けられた磁石６２の通過周期を検知して、その検知情報も図５に示す単セルコ ンピュータに入力される。そして、単セルコンピュータは、これらの入力された 情報に基づいて電圧制御手段に信号を出し、電圧制御手段によって駆動手段１０ の駆動電圧を制御する。この駆動電圧の制御により、下記のような制御が行われ ることになる。

【００１８】 （１）トルクが大きいとき（つまり、乗員が加速したいとき）、駆動手段の駆 動力を大きくし、走行速度を上げる。 （２）トルクが小さいとき（つまり、乗員が特に加速を要しないとき）、駆動 手段の駆動力をやや小さくして、一定の走行速度を維持する。

【００１９】 （３）走行速度が速すぎる場合は、安全のために駆動力を小さくして、走行速 度を所定の速度まで下げる。 したがって、本考案の実施形態によれば、ペダルの踏み込み力に応じて、駆動 力を好適に制御することが可能となり、安全を維持することができる。また、ソ フトな走行状態を提供し、駆動力によって走行速度が無理に加速される状況を回 避することができる。

【００２０】

【考案の効果】

以上のように、本考案による感応式伝制御装置は、トルク検知手段と速度検知 手段と電圧制御手段とを備えていることにより、乗員のペダルに対する踏み込み 力に応じて、駆動手段の駆動力を制御することができる。したがって、好ましい 走行補助駆動力を提供することができるので、従来の電動自転車の走行速度を調 整できないものに比べて、人間工学に従ったより良い走行品質を確保することが できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案による伝動制御装置が自転車に取り付け
られる状態を示す図

【図２】本考案による伝動制御装置の外観図

【図３】本考案による伝動制御装置の一部断面図

【図４】図３におけるＡ−Ａ断面図

【図５】本考案の電気系を示す図

【符号の説明】

１０ 駆動手段 １１，１４，１５，１４１ ギヤ １２ ハウジング １３ カバー １６ ベベルギヤ部 ２０ ベベルギヤ ２１，３１，７６ 一方向ベアリング ３０ チェーンギヤ軸 ３３ ベアリング ４０ クランク軸 ５０ チェーンギヤ ６０ センサ ６１ センサ６０の先端部 ６２ 磁石 ６３ 磁力検出手段 ７０ ネジ部材 ７１ 阻止部材 ７２ スプリング ７４ 栓 ７５ ナット部材 ８０ 下チューブ ８１ 下分岐チューブ １０１ 電気部材 １０２ カバー

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 駆動手段と、その駆動手段の駆動力をペ
   ダルが取り付けられたクランクのクランク軸に連結され
   たチェーンギヤに伝達する伝動手段とを有する電動自転
   車において、前記クランク軸のトルクを検知するための
   トルク検知手段と、前記チェーンギヤの回転速度を検知
   する速度検知手段と、前記トルク検知手段と前記速度検
   知手段との検知値に基づいて前記駆動手段の駆動電圧を
   制御する電圧制御手段とを有することを特徴とする電動
   自転車の感応式伝動制御装置。
2. 【請求項２】 前記トルク検知手段は、筒状のチェーン
   ギヤ軸と筒状のナット部材と、筒状のネジ部材とスプリ
   ングとセンサとからなり、 前記チェーンギヤ軸の内側には一方向ベアリングを介し
   て前記クランク軸が内嵌し、前記チェーンギヤ軸の外側
   には前記チェーンギヤが固定され、 前記ナット部材の内側の一部に雌ねじ部が形成され、他
   の部分には前記一方向ベアリングと逆回転方向の一方向
   ベアリングを介して前記チェーンギヤ軸が内嵌し、 前記ネジ部材の外側には前記ナット部材の雌ねじ部に螺
   合する雄ねじ部が形成され、前記ネジ部材の内側には前
   記クランク軸が内嵌して両者は軸方向に相対移動可能で
   あり、 前記スプリングは前記ナット部材の外側に遊嵌し、前記
   スプリングの一端は前記ナット部材の端部に形成された
   鍔部に当接し、他端は前記ネジ部材の端部に設けられた
   阻止部材に当接し、 前記センサはネジ部材の端部に設けられた阻止部材に当
   接して、前記クランク軸のトルクを前記阻止部材の軸方
   向変位として検知するように構成されている請求項１記
   載の電動自転車の感応式伝動制御装置。
3. 【請求項３】 前記速度検知手段は、前記チェーンギヤ
   に設けられた磁石と、前記チェーンギヤを保持する枠体
   に設けられ前記チェーンギヤの回転に伴って前記磁石の
   接近・離間を検知する磁力検出手段とからなることを特
   徴とする請求項１記載の電動自転車の感応式伝動制御装
   置。