JP3022700B2 - 芳香族ポリエステルの製造法 - Google Patents

芳香族ポリエステルの製造法

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JP3022700B2
JP3022700B2 JP4360493A JP4360493A JP3022700B2 JP 3022700 B2 JP3022700 B2 JP 3022700B2 JP 4360493 A JP4360493 A JP 4360493A JP 4360493 A JP4360493 A JP 4360493A JP 3022700 B2 JP3022700 B2 JP 3022700B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は結晶性ポリエステル重合
体の製造方法に関する。更に詳しくは、優れた耐熱性、
難燃性、機械的特性及び成形性を有し、光学的に等方性
である結晶性芳香族ポリエステル重合体を効率的に製造
する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】芳香族ポリエステルは、その構成成分の
組み合わせあるいは組成により非晶性ポリマー、結晶性
ポリマーまたは液晶性ポリマーと様々なものが得られ
る。これらのうち非晶性ポリマーは、寸法安定性、透明
性、機械特性、耐熱性に優れており、液晶性ポリマー
は、流動性、機械特性、耐熱性、耐溶剤性に優れており
様々の検討がなされ実用化されている。それに対し、結
晶性ポリマーは、耐熱性、機械特性、耐溶剤性、摺動
性、剛性に優れるにも関わらず、結晶性芳香族ポリエス
テルの検討例は数少ない。
【0003】この一つの理由としては、その製造法を挙
げることが出来る。非晶性ポリエステルの場合には、一
般にポリマーを溶解する溶媒が存在するため、反応溶媒
を用いた重合が可能であるし、結晶化して固化すること
がないので、比較的溶融粘度の低い場合には、溶融重合
法が利用されている。また、液晶性ポリエステルについ
ては、その流動性を利用して溶融重合法が用いられてい
る場合がほとんどである。ところで、光学等方性(非液
晶性)の結晶性ポリエステルについては、耐溶剤性が良
いために良好な反応溶媒が見いだせなかったり通常高融
点のポリマーとなるため、溶融重合法では結晶化してし
まい、分解反応を伴わずに高重合度のポリマーを得るこ
とが困難であるため、製造が困難であった。
【0004】このような光学等方性の結晶性全芳香族ポ
リエステルの製造法として、特開平5―5024号公報
には、イソフタル酸、ハイドロキノン、特定の芳香族ジ
ヒドロキシ化合物からなる出発原料およびフェノールを
用い、先ずフェノール類が系外に留去し難しい条件下
で、出発原料のカルボキシル基の50%以上がエステル
化されるまで、生成した水を系外に留出しつつ実施し、
次いでフェノール類および生成した水を系外に留去しつ
つ実施し、所望の重合度のポリマーを得る結晶性芳香族
ポリエステル重合体の製造方法について開示されてい
る。
【0005】このように、ジカルボン酸と芳香族ジヒド
ロキシ化合物とを直接エステル化する方法では、安価な
原料で高重合度のポリマーが得られるが、エステル
が十分に高いものが得られないために高融点の昇華物が
反応中に生成し易く反応装置での対応が必要となった
り、連続工程での支障をきたす場合がある。また、フェ
ニルエステル法で製造した同組成のポリマーほどの耐熱
性や、良好な結晶性を有するポリマーが得にくいといっ
た問題点がある。更に、ポリマー構造中に脂肪族ジオー
ル成分とジフェノール成分とを含む場合には高重合度の
ポリマーを得るのが難しい場合があるという問題もあ
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の1つの目的
は、上述のような問題を解消し、結晶性の優れた(結晶
化し易い)芳香族ポリエステル重合体を溶融重縮合反応
のみにより工業的に極めて有利に製造しうる方法を提供
することにある。本発明の他の目的は、ポリマー構造中
に脂肪族ジオール成分とジフェール成分を含むよう
な高重合度のポリマーを得るのが困難な場合にも、溶融
重縮合反応のみにより工業的に極めて有利に芳香族ポリ
エステルを製造しうる方法を提供することにある。本発
明のさらに他の目的および利点は以下の説明から明らか
になろう。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
結果、特定の芳香族ジカルボン酸、ハイドロキノン、
脂肪族ジヒドロキシ化合物およびフェノール類を用いて
直接エステル化反応を行った後、ジアリールカーボネー
ト(diaryl carbonate)を反応系に加
えて重合反応を行えば、ジカルボン酸のフェニルエステ
ルを原料とする場合と同等の耐熱性、結晶性をもつ優れ
たポリマーをコスト的に有利に製造することができ、し
かも、昇華物の発生や脂肪族ジオールを構成要素とする
ポリエステルの重合度の問題も解決しうることを見いだ
した。
【0008】つまり、本発明による芳香族ポリエステル
の製造法は、下記式(I)、(II)および(III)の各
成分により実質的に構成され、かつ、成分(II)と(II
I)の含有当量比が60/40〜90/10である芳香
族ポリエステルの製造に際し、
【0009】
【化3】
【0010】[式(III)中、Rは炭素数が2〜20の脂
肪族炭化水素を表す。]
【0011】イソフタル酸またはイソフタル酸を主たる
酸成分とする芳香族ジカルボン酸(a)、ハイドロキノ
ン(b)、下記式(IV)で示される脂肪族ジヒドロキシ
化合物(c)およびフェノール類(d)を、 HO―R―OH ……(IV) [式(IV)中のRは、式(III)のRと同じ。]下記
(1)、(2)および(3) 1.3≧(B+C)/A≧0.9 …(1) 90/10≧B/C≧60/40 …(2) D/A≦10 …(3) [ただし、上記式(1)(2)(3)中、Aは芳香族ジ
カルボン酸(a)、Bはハイドロキノン(b)、Cは
肪族ジヒドロキシ化合物(c)、Dはフェノール類
(d)の各モル数である。]を同時に満足する割合で、
エステル化触媒の存在下に加熱溶融反応せしめてエステ
ル化反応率が50〜95%のエステル化物を生成させた
後、未反応−COOH基100モルに対して70〜10
0モル当量のジアリルカーボネートを加え、さらに加
熱溶融せしめて、固有粘度が0.4〜1.5の範囲にあ
る芳香族ポリエステルを生成させることを特徴とする芳
香族ポリエステルの製造法である。
【0012】本発明方法において用いられる芳香族ジカ
ルボン酸(a)は、イソフタル酸又はイソフタル酸を主
たる酸成分としてなる芳香族ジカルボン酸である。イソ
フタル酸と共に従たる酸成分として用いられる他の芳香
族ジカルボン酸としては、例えばテレフタル酸、ナフタ
レン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジ
カルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルエー
テルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸な
どを好ましいものとして挙げることができる。かかる従
たる酸成分は、全芳香族ジカルボン酸の20モル%以
下、好ましくは10モル%以下、を占めることができ
る。
【0013】本発明においては、原料のジヒドロキシ化
合物として、少くともハイドロキノン(b)および上記
式(IV)で示される脂肪族ジヒドロキシ化合物(c)が
用いられる。
【0014】式(IV)で表される脂肪族ヒドロキシ化合
物としては、ネオペンチレングリコール、エチレングリ
コール、ペンチレングリコール、2―メチル―2―エチ
ル―1,3プロパンジオール等を例示することができ
る。これらのうちネオペンチレングリコールが特に好ま
しい。
【0015】本発明方法において、上記化合物(a),
(b)及び(c)は、下記2つの関係式 1.3≧(B+C)/A≧0.9 …(1) 90/10≧B/C≧60/40 …(2) が同時に成立するような量的割合で使用される。これら
の式中、Aは芳香族ジカルボン酸(a)のモル数であ
り、Bはハイドロキノン(b)、Cは式(IV)で示され
脂肪族ジヒドロキシ化合物(c)のモル数である。
【0016】また、式(IV)で示される脂肪族ジヒドロ
キシ化合物(c)は、2種以上を併用してもかまわない
が、その際にも(c)の全体量において上式(1)
(2)が満足されることが必要である。上の式(1)
は、芳香族ジカルボン酸(a)と全ジヒドロキシ化合物
[すなわち、ハイドロキノン(b)と脂肪族ジヒドロキ
シ化合物(c)]が重合体鎖を形成するために、適当な
バランスを維持して使用されるべきであることを示して
いる。すなわち、式(1)が満足されない場合には、ポ
リマーの重合度が上がりにくく、また重合反応の際に着
色などを起こし易くなる。
【0017】化合物(a),(b)及び(c)の間に
は、好ましくは下記関係式(1a)が成立する。 1.2≧(B+C)/A≧1.0 …(1a)
【0018】また、下方の式(2)は、得られる芳香族
ポリエステル重合体に占めるハイドロキノン(b)及び
脂肪族ジヒドロキシ化合物(c)に由来する重合単位の
割合を規定しようとするものである。すなわち、ハイド
ロキノン(b)と脂肪族ジヒドロキシ化合物(c)との
モル比B/Cが90/10をこえる場合には、得られる
ポリマーの融点が高くなり過ぎ、溶融重合および成形が
困難になるので好ましくない。また、この値が60/4
0に満たない場合には、ポリマーの結晶性が低下好ま
しくない。
【0019】ハイドロキノン(b)と上記式(IV)で示
される脂肪族ジヒドロキシ化合物(c)の間には下記関
係式(2a)が成立することが好ましく、とりわけ関係
式(2b)が成立することが特に好ましい。 90/10≧B/C≧70/30 …(2a) 85/15≧B/C≧70/30 …(2b)
【0020】本発明方法に於ては、上記化合物(a)、
(b)、(c)のほかに、フェノール類(d)を用い
る。
【0021】かかるフェノール類(d)としては、炭素
数1〜5のアルキル基もしくはフェニル基で置換されて
いてよいフェノール類が用いられ、例えば、フェノー
ル、m―クレゾール、p―クレゾール、p―ブチルフェ
ノール、p―アミルフェノールフェニルフェノール等を
好ましいものとして挙げることができる。これらのう
ち、フェノール、クレゾール、o―フェニルフェノール
がより好ましく、フェノールが特に好ましい。
【0022】これらのフェノール類(d)は、生成する
全芳香族ポリエステル重合体の構成成分とするため使用
されるのではなく、上記化合物(a),(b)及び
(c)の間の反応の初期に反応媒体として作用するもの
である。フェノール類を使用した方が、反応が速く、ま
た反応物が分解しにくく、着色も少なくなる。
【0023】フェノール類(d)の好ましい使用量は上
記化合物(a)に対し関係式:D/A≦10[Aは化合
物(a)、Dはフェノール類(d)のモル数]が成立す
るような量的割合であり、より好ましくは、関係式:4
≧D/A≧0.2が成立し、特に好ましくは、関係式:
2≧D/A≧0.3が成立するような割合で使用する。
【0024】本発明方法では、上記化合物(a),
(b),(c)およびフェノール類(d)を、エステル
化触媒の存在下に、加熱溶融反応せしめる。エステル化
触媒としては、例えば三酸化アンチモン、酢酸第1錫、
ジブチル錫オキシド、酸化ゲルマニウム、チタニウムテ
トラブトキシド等が好適に用いられる。
【0025】加熱溶融の間に、エステル化反応とエステ
ル交換反応とが進行し芳香族ポリエステル重合体が生成
するこの加熱溶融反応は、初期反応(エステル化)と
縮合反応(以下、重合反応という)とに分けて説明す
るのが便利である。
【0026】本発明においては、この初期反応と引き続
き行われる重合反応との間で、ジアリルカーボネート
を未反応成分に対し実質的に等モル、つまり、未反応の
カルボン酸残基100モルに対し70〜100モル当量
加えることが重要な特徴である。
【0027】このジアリルカーボネートとしては、例
えばジフェニルカーボネートやビス(4―メチルフェニ
ル)カーボネート、ビス(o―フェニルフェニル)カー
ボネートといった置換基を有するジアリルカーボネー
ト等を挙げることができる。これらのうちジフェニルカ
ーボネートが特に好ましい。
【0028】以下順をおって初期反応および重合反応
ついて詳述する。
【0029】初期反応は、芳香族ジカルボン酸(a)の
カルボキシル基の50〜95%がヒドロキシ成分[すな
わち、ハイドロキノン(b)、脂肪族ジヒドロキシ化合
物(c)、フェノール類(d)]と反応してエステル化
させる段階である。この段階では反応によって水が生成
するので、これを反応系外に留去する。この段階ではヒ
ドロキシ成分が反応系外に留去しないようにする必要が
ある。
【0030】初期反応の反応温度は、触媒によっても異
なるが、150℃以上とするのが好ましい。より好まし
くは180℃以上であり、特に好ましくは230℃以上
である。また反応温度は、反応の進行とともに昇温する
のが好ましい。この場合の好ましい上限は330℃であ
り、より好ましくは300℃程度である。
【0031】初期反応は常圧〜加圧下で行うことができ
る。式(IV)で示される化合物、フェノール類(d)の
沸点に比べて反応温度を特に高くする場合には加圧条件
下で反応することが好ましい。また、反応系は窒素、ア
ルゴン等の不活性ガス雰囲気下とすることが好ましい。
【0032】反応時間は、上記エステル反応が十分に進
行するに足る時間であればよく、また、この時間は反応
時間、反応スケール等によっても異なる。好ましくは3
0分〜20時間、より好ましくは1〜10時間程度であ
る。
【0033】上記初期反応に際しては、エステル化によ
り発生する水を反応系外に除去せしめることが好まし
い。エステル化反応は平衡反応であり、生成する水を系
外に除去するに従って反応が進行し、生成物の収率、純
度が向上する。生成した水は、フェノール類(d)との
沸点差により反応系外に除去することができるが、水と
共沸混合物を形成する有機溶媒を用いて共沸により反応
系外に除去することもできる。該有機溶媒としては、そ
れ自身反応条件で分解することなく、反応系で実質的に
安定で、水と共沸するものであればよい。具体的には、
トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水
素が好ましく使用できる。
【0034】初期反応におけるエステル化反応の反応率
50〜95%とする。このエステル化反応率は反応に
より生成する水の量により知ることができるが、より正
確に求めるためには反応生成物の一部を取出し、未反応
−COOH価を測定することにより知ることができる。
初期反応におけるエステル化率は、より好ましくは60
〜95%、特に好ましくは70〜95%である。
【0035】以上のような初期反応の後、生成した水の
量あるいは未反応−COOH価をにジアリルカーボ
ネート添加量を決定する。正確さの点で未反応−COO
H価より求めるのが好ましい。
【0036】ジアリールカーボネート添加量は、未反応
−COOH100モルに対して70〜100モル当量
とする。好ましくは75〜95モル当量である。70モ
ル当量未満では、ジアリルカーボネートを添加した効
果が小さく、100モル当量以上ではポリマー中にカー
ボネート結合が多く残存しやすく着色や重合中の固化を
まねきやすく好ましくない。
【0037】このジアリルカーボネートは、次の重合
反応において、消費され未反応のエステル化率を補い、
重合反応を円滑に進行させ良好なポリマーを得るのに大
きく寄与する。
【0038】ジアリルカーボネート添加方法として
は、初期反応後降温した後仕込んでもよいし、初期反
応温度のままジアリルカーボネートを反応系に加えて
もよいが、空気などが混入しない条件下で行うことが好
ましい。
【0039】次の重合反応は、さらにエステル化が進む
と同時に、それまでに生成したエステルとヒドロキシ成
分および添加したジアリルカーボネートとの反応が進
み重合が進行する段階である。この段階では二酸化炭
素、水、フェノール類が生成する。水、フェノール類は
反応系外へ留出するようにする。この段階でジアリ
カーボネートは未反応−COOHと反応し、二酸化炭
素、水、フェノール類を生成して、エステル化率の向上
に役立っている。
【0040】反応温度は、初期反応温度乃至380℃で
好ましく実施される。重合反応はポリエステルの溶融下
で実施することが必要である。重合が進行するに従って
反応物の融点は上昇していくので、徐々に昇温しながら
行うのが好ましく、例えば、ポリマーの固有粘度が0.
5程度までは、好ましくは230〜340℃程度の温度
で実施される。それ以上の固有粘度の場合、好ましくは
340〜380℃、より好ましくは340〜360℃の
温度で溶融重合される。この際、フェノール類(d)は
回収され再使用される。
【0041】この重合反応においてジアリルカーボネ
ートも反応し、二酸化炭素、水、フェノール類が生成す
る。このジアリルカーボネートは未反応の−COOH
基と反応するため、高融点の昇華物は抑制され、さらに
重合反応もより円滑に進行する。
【0042】本発明方法により得られる芳香族ポリエス
テルは高重合度化する場合、エクストルーダー型の反応
器等で実施することが好ましい。
【0043】重合反応は、減圧下又は不活性ガスを流
し、強制的に反応の結果生成する水及びフェノール類、
並びに、必要に応じて、過剰に用いたハイドロキノンな
どのジヒドロキシ芳香族化合物を反応系外に除去しつつ
行うのが有利である。
【0044】かくして上記本発明方法によれば、溶融重
合のみで、固有粘度が0.4〜1.5の芳香族ポリエス
テル重合体が得られる。好ましい固有粘度は0.45〜
1.0であり、より好ましくは0.5〜1.0である。
【0045】なお、本発明方法においては、熱安定剤の
存在下で実施することが好ましく、かかる熱安定剤とし
ては各種のリン化合物が好ましい。かかるリン化合物と
しては亜リン酸、リン酸、トリフェニルフォスファイ
ト、トリフェニルフォスフェート、トリフェニルホスフ
ィン等が好ましく例示される。かかる安定剤の好ましい
使用量は芳香族ジカルボン酸成分(a)に対して0.0
01〜1モル%程度、より好ましくは0.01〜0.5
モル%程度である。また、添加時期は、初期反応と重合
反応との間が好ましい。
【0046】本発明による結晶性芳香族ポリエステル重
合体は、溶融状態で光学的に等方性であり、押出成形、
射出成形等の通常の溶融成形が可能である。しかも、該
ポリエステル重合体を溶融成形して得られた成形品は、
機械的特性、寸法安定性、耐熱性、耐薬品性、難燃性に
優れているばかりでなく、吸水性も小さいので、この芳
香族ポリエステル重合体はエンジニアリングプラスチッ
クス、繊維、フィルム等の素材として極めて有用であ
る。
【0047】
【発明の効果】以上のように、本発明方法によれば、安
価な原料を用い、かつ、溶融重合法のみによりイソフタ
ル酸フェニルエステルのような高価な原料を用いた場合
と同様の優れた結晶性、色調を有する耐熱性の良好な芳
香族ポリエステルを製造可能である。すなわち、本発明
によれば結晶化に要する時間の短い、溶融状態からの降
温時の結晶化温度が高く半結晶化時間の短いポリマーが
得られるものである。このため、本発明方法によって製
造された芳香族ポリエステルを成形原料として用いた場
合には、その成形サイクルを短縮することにより、生産
性を向上さ 良好な色調の成形品を得ることが可能と
なる。更に、従来製造工程で問題となっていた昇華物の
発生が抑えられる。また、脂肪族構造を含むにもかかわ
らず高重合度の全芳香族ポリエステルを得ることが出来
る。
【0048】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を詳述する。実
施例中単に「部」とあるは「重量部」を意味し、ポリマ
ーの固有粘度(Inherent Viscosit
y)はフェノール/テトラクロルエタン混合溶媒(重量
比60/40)を用い濃度0.3g/dl温度35℃で
測定した値である。また、ポリマーの融点(Tm)及び
二次転移点(Tg)溶融状態からの降温結晶化温度Td
cはDSCを用い昇温速度降温速度共10℃/分で測定
した。また、溶融粘度はフローテスターを用いて360
℃で測定し、ずり速度1000/秒の値で示した。また
ポリマーの結晶化速度は、脱偏光強度法により行い結晶
化が半分進行する時間(半結晶化時間)を390℃での
溶融状態から各結晶化温度と温度ジャンプさせた場合に
ついて測定して結晶化速度の目安とした。
【0049】[実施例1] イソフタル酸166部、ハイドロキノン91部、ネオペ
ンチレングリコール21部、フェノール94部、三酸化
アンチモン0.09部を撹拌装置留出系を備えた反応器
に仕込み(イソフタル酸/ハイドロキノン/ネオペンチ
レングリコール/フェノールのモル比は100/83/
20/100)、系を窒素置換した後窒素加圧下280
℃に加熱した。圧力を8kg/cm2から2kg/cm2
に徐々に下げつつ、かつ反応によって生成する水を系外
に留去しながら10時間反応させた。この間に28部の
水が生成した(エステル化反応率78%)。その後未反
応のフェノールを系外へ追出した。この反応混合物につ
いて末端−COOH基を測定したところ1760(当量
/T)(エステル化反応率計算値75%)であった。
【0050】次いで、反応系を常圧に戻し、ジフェニル
カーボネート83部およびトリフェニルフォスファイト
0.33部を加え窒素気流中揮発成分を系外に留去させ
つつ180分間反応させた。この間に反応温度は280
℃より340℃まで昇温した。次に系内を徐々に減圧と
し60分後には約0.5mmHgの高真空下としてさら
に60分反応させてポリマーを得た。
【0051】各反応は円滑に行われ昇華物発生等の問題
は見られなかった。得られたポリマーは固有粘度0.5
3、Tm348℃、Tg134℃、Tdc284℃の結
晶性の良好なポリマーであった。このポリマーの半結晶
化時間は、結晶化温度150〜180℃において約3.
5秒であった。
【0052】[比較例1] 初期反応後にジフェニルカーボネートを添加することな
く実施例1と同様の反応を行ったところ、得られたポリ
マーは固有粘度0.51、Tm342℃、Tg131
℃、Tdc252℃であった。このポリマーの半結晶化
時間は結晶化温度170℃において最短の5.5秒であ
り、160℃以下では結晶化は見られなかった。
【0053】[実施例2] 次に、2箇所に真空可能なベント口を有するL/D42
の30mmφ同方向回転2軸エクストルーダーを用い、
実施例1にて得られたポリマーをポリマー温度350〜
360℃、スクリュー回転数100rpm、真空ゾーン
での平均滞溜時間約10分の条件下で溶融反応させた。
この際、各ベント口の前部には通常の搬送用スクリュー
と逆向きのスクリュー部を設けて真空ゾーンをシールす
ることにより、2箇所のベント口を夫々約1mmHgの
真空に保った。
【0054】このようにして得られたポリマーは良好な
結晶性を有し、固有粘度0.62、Tm348℃、Tg
140℃、Tdc292℃、半結晶化時間は160〜1
70℃において約4.5秒であった。
【0055】[比較例2] イソフタル酸166部、ハイドロキノン91部、ネオペ
ンチレングリコール21部、ジフェニルカーボネート4
28部、三酸化アンチモン0.09部を撹拌装置留出系
を備えた反応器に仕込み(イソフタル酸/ハイドロキノ
ン/ネオペンチレングリコール/ジフェニルカーボネー
トのモル比は100/83/20/200)、初期反応
は行わず、窒素気流中、揮発成分を系外に留去させつつ
180分間反応させた。この間に反応温度は200℃よ
り340℃まで昇温した。次に系内を徐々に減圧とし、
60分後には約0.5mmHgの高真空下としたが、ま
もなく反応物は固化し高融点の低分子量化合物が得られ
たに過ぎなかった。
【0056】以上の実施例及び比較例に示すように、本
発明方法により製造された芳香族ポリエステルは結晶性
に優れている。また、ポリマー鎖中に脂肪族ジオールを
構成単位として含むにもかかわらず良好なポリマーを製
造できることがわかる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 63/00 - 63/91

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式(I)、(II)および(III)の
    各成分により実質的に構成され、かつ、成分(II)と
    (III)の含有当量比が60/40〜90/10である
    芳香族ポリエステルの製造に際し、 【化1】 [式(III)中、Rは炭素数が2〜20の脂肪族炭化水
    基を表す。]イソフタル酸またはイソフタル酸を主た
    る酸成分とする芳香族ジカルボン酸(a)、ハイドロキ
    ノン(b)、下記式(IV)で示される脂肪族ジヒドロキ
    シ化合物(c)および、フェノール類(d)を、 【化2】HO―R―OH ……(IV) [式(IV)中、Rは炭素数が2〜20の脂肪族炭化水素
    基を表す]下記(1)、(2)および(3) 1.3≧(B+C)/A≧0.9 …(1) 90/10≧B/C≧60/40 …(2) D/A≦10 …(3) [式(1)(2)(3)中、Aは芳香族ジカルボン酸
    (a)、Bはハイドロキノン(b)、Cは脂肪族ジヒド
    ロキシ化合物(c)、Dはフェノール類(d)の各モル
    数である。]を同時に満足する割合で、触媒の存在下に
    加熱溶融反応せしめてエステル化反応率が50〜95%
    のエステル化物を生成させた後、未反応−COOH基1
    00モルに対し70〜100モル当量のジアリールカー
    ボネートを加え、さらに加熱溶融せしめて、固有粘度が
    0.4〜1.5の範囲にある芳香族ポリエステルを生成
    させることを特徴とする芳香族ポリエステルの製造法。
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