JP3019985U - 衣類運搬容器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 軽量で強度剛性が高く、止め具の支持強度が
高い割りには着脱が簡単な衣類運搬容器を提供する。 【構成】 ２枚のライナー板とこれらを連結するリブが
一体成形された合成樹脂製中空シートを折り込んで前面
および上面両側に重ね片１ｅ，１ｆを設けて前面および
上面開口する内側容器本体１と、中空シートから構成さ
れ、内側容器本体１の背面および底面を補強する外側容
器本体２と、外側容器本体２のヒンジ部を介して内側容
器本体１の前面開口および上面開口を蓋するとともに、
前蓋４および上蓋５と、前蓋４の内面と前面側重ね片１
ｅに固定されて接着する一対の面ファスナ６ａ，６ｂ
と、上蓋５の両側に固定され、内側容器本体１の側面板
１ｃに離接するロック片７と、ロック片７および側面１
ｃに固定されて接着する面ファスナ８ａ，８ｂと、内側
容器本体１の上部内側に係脱可能に横設されるハンガー
バー３とを備えている。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、洋服タンスなどに収容してある衣類をハンガーに掛けたまま収容 運搬できるようにした衣類運搬容器に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、引越し時に洋服タンスに収容されている衣類を運ぶ際には、洋服タンス 内の衣類を全てハンガーから外して、ダンボールその他の適当な大きさの容器に 入れて運搬するのが一般的である。ところで、このような搬送方法では、衣類を 運搬容器の大きさに合わせて折り込むとともに複数枚を順次積み重ねなければな らないので、衣類が型崩れしたり皺がよるだけでなく、出入れに際して衣類をハ ンガーに対して着脱しなくてはならないのでその作業が面倒であった。

【０００３】 そこで、例えば実開昭５８−８８３６７号公報もしくは実開昭６３−８８９１ ９号公報に示すように、ハンガーに衣類を掛けたまま収納するための衣類収納箱 あるいは包装容器が開発されている。いずれの容器においても縦長箱状であって 、前面上半部および上面が開口され、その上部中央にハンガー引掛け用のバーを 横設し、フラップ式の蓋で前面開口および上面開口を覆い、面ファスナ等の止め 具によってその開閉端前面を容器前面に固定できるようにしたものである。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、このような容器に衣類を収容した状態では荷重がバーの部分で ある容器上部に集中して重心が上部であるのに対し、運搬時には容器の前部底部 と背面部の高さ方向中間部（重心より下方位置）とに手を掛けて持ち上げるため 、持ち運びに際しては容器に歪みが生じやすい。このような容器の歪みにより、 フラップ式の蓋には止め具のロックを解除する方向（特に、面ファスナにあって は、これを引き剥がす方向）の力が加わるため、止め具を相当強度の高いロック 構造としなければならず、この場合には着脱が面倒なものとなるという欠点があ る。 なお、実開昭５８−８８３６７号公報では、容器自体を合成樹脂板などに より構成して剛性を高めているが、その剛性は素材厚みに比例するため、強度を 増すと容器自体の体積及び重量が増え、搬送性を損ねる原因となる。

【０００５】 そこでこの考案は、以上の問題を解決するためになされたものであって、その 目的は、ダンボール製の容器と同様に軽量であって、荷重の偏在に対応してその 強度剛性が高く、しかも止め具の支持強度が高い割りには着脱が簡単な衣類運搬 容器を提供するものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

前記目的を達成するため、この考案は、合成樹脂製中空シートが折り込み成形 され、前面部の上部に形成される前部開口、及び上面部に形成される上部開口を 有する縦長直方体形状にして中空状の容器本体と、該容器本体の上部内側に係脱 可能に横設されるハンガーバーとを備えた衣類運搬容器であって、前記容器本体 は、前記前面部の下部を基部として上下方向に回動することにより前部開口を開 閉可能な前蓋と、該容器本体の背面部の上部を基部として上下方向に回動するこ とにより上部開口を開閉可能な上蓋と、該上蓋の端縁を基部として上下方向に回 動することにより前記前蓋の前面に重ね合わせ可能な重ね片と、該重ね片の左右 縁部を基部として左右方向に回動することにより該容器本体の両側面に重ね合わ せ可能な一対のロック片と、該ロック片と容器本体の両側面のそれぞれに設けら れてこれらを相互に接着するための面ファスナとを備えてなることを特徴とする （請求項１）。

【０００７】 また、前記ハンガーバーは、バー本体の左右に断面略逆コ字形をしたクリップ 片を一体に形成してなり、該クリップ片を前記容器本体の上部重ね片の折れ線中 央に開口形成されたスリットに差し込むことによって容器本体の上部に横設され るものであることが望ましい（請求項２）。

【０００８】

【作用】 以上の構成によれば、前面開口は下蓋および前蓋によって二重に覆われる。ま た、前蓋のロック片は前蓋の開き方向に対して面ファスナを互いに剪断する方向 に強固に固定される（請求項１）。

【０００９】 請求項２の構成を採用した場合には、重ね片を開いた状態でバーの着脱操作が 自由にでき、また折り畳んだ状態ではバーそのものは容器内に固定された状態に 保持される。

【００１０】

【実施例】

以下、この考案の一実施例を図面を参照して詳細に説明する。図１はこの考案 にかかる衣類運搬容器の分解斜視図、図２は同容器の組立状態の展開斜視図、図 ３は同容器の梱包完了状態を示す斜視図である。

【００１１】 本実施例における衣類運搬容器は、二重構造の容器本体（内側容器本体１，外 側容器本体２）と、内側容器本体１の上部中央に横設されるハンガーバー３とか ら概略構成されている。

【００１２】 内側容器本体１および外側容器本体２は、いずれも図１の一部に拡大して示す ように、平行に対向する二枚のライナー板とこれを一体に連結して横方向に延び る多数の平行リブとからなる一体押出し成形されてなる軽量かつ高強度の合成樹 脂製中空シート（商品名：ダンプレート、宇部日東化成株式会社製）から構成さ れるもので、任意の色に着色されている。

【００１３】 そして、内側容器本体１は、以上の合成樹脂中空シートをその容器展開形状に カッティングし、筋押し加工などによる折線１ａを介して背面板１ｂ、両側面板 １ｃおよび一対の底面板１ｄを形成するとともに、前面および上面両側にそれぞ れ一対の重ね片１ｅ，１ｆを形成し、折線１ａに沿って折込み背面板１ｂと一方 の側面板１ｃとの間に糊しろ片１ｇを介して接合することによって前面の上部お よび上面が開口する縦長直方体形状にして中空状に形成したものである。

【００１４】 一方、外側容器本体２は、内側容器本体１の背面，底面および前面下半部を包 囲した状態でリベット、メタルステッチャなどの連結手段によって一体に接合さ れるとともに、内側容器本体１の前面上半部を開閉可能に覆う前蓋４と、上面お よび前面を覆う上蓋５を一体に延設したものであり、合成樹脂中空シートを各折 線２ａを介して、背面補強部２ｂ，底面補強部２ｃ，前面板２ｄおよび前記上下 の蓋４，５を一体に形成してある。なお、蓋４，５の折線２ａを熱罫線加工によ る折り畳み用ヒンジとすると、この部分を介して上下方向に自由に開閉できると ともに、蓋４，５を閉じた際の跳ね返りが小さくなり閉蓋状態が安定する。

【００１５】 そして、前蓋４の内面両側には面ファスナ６ａが一体に貼着されている。この 面ファスナ６ａは、内側容器本体１の重ね片１ｅ両側に一体化された面ファスナ ６ｂと対をなし、閉蓋状態で両面ファスナ６ａ，６ｂ同士が接着し、前蓋４を閉 止状態に保持する。

【００１６】 また上蓋５はフラップ状に開閉するもので、内側容器本体１の上面開口を覆う 上面覆い片５ａと、この上面覆い片５ａの前縁に折線２ａをヒンジとして揺動可 能に延設され、前蓋４の上部側前面に重ね合わされる前面覆い片５ｂ（重ね片） とからなっており、この前面覆い片５ｂの両側部内側には合成樹脂シートからな る一対のロック片７が左右方向に回動可能に固定されている。該ロック片７の内 側には面ファスナ８ａが一体に貼着され、この面ファスナ８ａは内側容器本体１ の両側面板１ｃに一体化された面ファスナ８ｂに対をなし、上蓋５を閉蓋し、ロ ック片７を側面板１ｃに接触させることで両面ファスナ８ａ，８ｂ同士が接着し 、上蓋５を閉止状態に保持する。

【００１７】 前記ハンガーバー３は、合成樹脂成形体からなるもので、バー本体３ａの左右 に断面略逆コ字形をしたクリップ片３ｂを一体に形成してなり、クリップ片３ｂ を前記上部重ね片１ｆの折れ線１ａ中央に打ち抜き成形などにより開口形成され たスリット１ｈに差し込むことによって内側容器本体１の上部に横設されるもの で、重ね片１ｆが図１に示すように左右に開いている状態では自由に取付け取り 外しでき、図２に示すように内側に折り畳まれた状態では重ね片１ｆがクリップ 片３ｂの上部に覆い被さり、取り外しができないようになっている。

【００１８】 さらに、内側容器本体１の両側面板１ｃの中央部には把手９の両側取付基部が 外側容器本体１０などを介してリベット等により固定され、一方の上部重ね片１ ｆの内側には容器本体が展開状態にあるときにハンガーバー３を支持するための 一対のテープ１１が固定され、面ファスナなどによってループ状に互いに連結さ れるようになっている。

【００１９】 したがって、図２に示すように組立状態の容器の前蓋４および上蓋５を開けた 状態で洋服タンスなどから衣類をハンガー１２に吊り下げられた状態で容器内に 移し換え、ハンガー１２を次々とハンガーバー３に吊り下げれば衣類の移し換え が完了する。

【００２０】 次いで前蓋４を矢印のごとく起こし、重ね片１ｅに当接させることによって面 ファスナ６ａ，６ｂ同士が接着し、前蓋４を閉止状態に保持する。

【００２１】 次いで上蓋５を閉じ、その前面覆い片５ｂを前蓋４の上部前面に重ね合わせ、 ロック片７を側面に折り畳めば、両面ファスナ８ａ，８ｂ同士が一致して接着し 、上蓋５を閉止状態に保持する結果、図３に示すごとく梱包が完了し、把手９を 持って持ち運ぶことが可能となる。容器に手を掛けて持ち上げると、容器に歪み が生じるが、内側容器本体１は外側容器本体２によって補強されているため荷重 の上部側への偏在による応力もかかわらず、形状を保持される。また、この歪み は同時に上蓋５の前面覆い片５ｂを上方に開く方向の力としても作用するが、面 ファスナ８ａ，８ｂ同士の面を互いに剪断する方向の力として作用するため、面 ファスナ８ａ，８ｂを引き剥がす方向に力が加わるのと比べて十分に閉止状態を ロックすることができる。

【００２２】 なお、ロック片７を人為的に取り外す場合には面ファスナ８ａ，８ｂの接合面 に直交して取り外すので、小さな力で簡単に取り外すことができる。

【００２３】 なお、この考案は上記実施例のものに限定されず、例えば容器本体を二重構造 とすることなく、一枚の合成樹脂製中空シートを折り込み成形することによって 形成してもよい。

【００２４】 また、本実施例では、合成樹脂製中空シートとして図１の一部に切り欠いて示 したものを使用したが、他にも図４、図５に示すような合成樹脂製中空シートで あってもよい。

【００２５】 図４に示される中空シート４０は多数の円筒状リブが形成されたシート部４１ の表裏にシート部４２，４３が一体化されたものであり、図５は上記筒状リブに 代えて斜行リブが形成されたものを示しているが、さらにこれらのものに代えて 波状コルゲート等の他のいずれの構成のものも使用可能であることは勿論である 。

【００２６】 また、本実施例では、ロック片７として、ヒンジ特性に優れた合成樹脂シート を使用したが、金属製の蝶番や、細幅織物からなるベルト等も使用可能である。

【００２７】 さらに、把手９も本実施例に限定されず、手が入るように側面板に長円形に孔 を開けたり、開けた孔に合成樹脂で成形された取手をはめ込んだりしたものでも 良い。

【００２８】

【考案の効果】

以上実施例により詳細に説明したようにこの考案による衣類の運搬容器にあっ ては、前面開口が前蓋および上蓋によって二重に覆われるため、軽量であっても 十分な強度剛性を維持できる。上蓋のロック片は上蓋の開き方向に対して面ファ スナを互いに剪断する方向に固定されるため、該容器を持ち上げたときの捻れに 対しても強固な力で閉止状態にロックできる。

【００２９】 また、請求項２の構成を採用した場合には、重ね片を開いた状態でバーの着脱 操作が自由にでき、また折り畳んだ状態ではバーそのものは容器内に固定された 状態に保持されるなどの特徴がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案にかかる衣類運搬容器の分解斜視図で
ある。

【図２】同容器の組立状態の展開斜視図である。

【図３】同容器の梱包完了状態を示す斜視図である。

【図４】合成樹脂製中空シートの他の例を示す分解斜視
図である。

【図５】合成樹脂製中空シートのさらに他の例を示す斜
視図である。

【符号の説明】

１ 内側容器本体 １ｅ，１ｆ 重ね片 １ｈ スリット ２ 外側容器本体 ３ ハンガーバー ３ａ バー本体 ３ｂ クリップ片 ４ 前蓋 ５ 上蓋 ５ｂ 全面覆い片（重ね片） ６ａ，６ｂ、８ａ，８ｂ 面ファスナ ７ ロック片

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 小林 大史郎 大阪府大東市泉町２丁目485番地の１ ア ート商事株式会社内 (72)考案者 田中 慶治 京都府京都市下京区新町通綾小路下ル船鉾 町388番地株式会社タナカヤ内 (72)考案者 石原 幸一 大阪府大阪市生野区田島２丁目15番10号 株式会社アクト石原内

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 合成樹脂製中空シートが折り込み成形さ
   れ、前面部の上部に形成される前部開口、及び上面部に
   形成される上部開口を有する縦長直方体形状にして中空
   状の容器本体と、該容器本体の上部内側に係脱可能に横
   設されるハンガーバーとを備えた衣類運搬容器であっ
   て、 前記容器本体は、前記前面部の下部を基部として上下方
   向に回動することにより前部開口を開閉可能な前蓋と、
   該容器本体の背面部の上部を基部として上下方向に回動
   することにより上部開口を開閉可能な上蓋と、該上蓋の
   端縁を基部として上下方向に回動することにより前記前
   蓋の前面に重ね合わせ可能な重ね片と、該重ね片の左右
   縁部を基部として左右方向に回動することにより該容器
   本体の両側面に重ね合わせ可能な一対のロック片と、該
   ロック片と容器本体の両側面のそれぞれに設けられてこ
   れらを相互に接着するための面ファスナとを備えてなる
   ことを特徴とする衣類運搬容器。
2. 【請求項２】 前記ハンガーバーは、バー本体の左右に
   断面略逆コ字形をしたクリップ片を一体に形成してな
   り、該クリップ片を前記容器本体の上部重ね片の折れ線
   中央に開口形成されたスリットに差し込むことによって
   容器本体の上部に横設されることを特徴とする請求項１
   に記載の衣類運搬容器。