JP3019726U - 工事用シート - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 汚れが付着しにくく、洗浄性も良好であり、
しかも文字、図柄等の表示部の耐久性が高く、簡単且つ
経済的に各種工事用途に好適に使用される工事用シート
を提供する。 【構成】 ３００デニール以上の異色の着色防炎性モノ
フィラメント糸を編成して工事用シートを製作する。こ
こで、シート表面に特定の色の着色モノフィラメント糸
が現れるように編成して文字、図柄等の表示部を形成す
る。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、主として、建築用、土木用などの各種工事用途に使用される工事用 シートに関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、建築用などの施工現場で使用される工事用シートとしては、ポリエステ ル，ビニロン，ナイロン等の合成繊維からなる紡績糸又はマルチフィラメント糸 を用いた織物に防炎性合成樹脂フィルム又は防炎性合成樹脂を被覆した布帛が用 いられてる。また、このような建築現場などで用いられる工事用シートには、施 主である地方自治体名、建築会社名、図柄などの表示部を施すことが行われてい るが、かかる表示部は、通常、上記布帛表面上に後から印刷等をすることで行っ ていた。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、織物に防炎性合成樹脂フィルム又は防炎性合成樹脂を被覆した工事用 シートは、使用中にゴミやホコリが付着して、汚れやすいという問題点を有して した。特に、合成樹脂が軟質ポリ塩化ビニルである場合は、汚れが付着しやすい 傾向を有していた。また、上記のように工事用シートの表面上に表示部を印刷す る方法では、印刷工程そのものが加わることによる工事用シートの製作時のコス トアップを招く上、印刷部がシートの展張時又は洗浄時に変色や退色して文字や 図柄等の表示部が不鮮明になるという問題があった。

【０００４】 また、複数色の防炎性モノフィラメント糸をシート状に織成して規則的な模様 、図柄（例えば千鳥模様等）又は文字を表示することは技術的には可能であるが 、この場合、特殊な織機を用いて複雑な設計をしなければならず、工業的な生産 という面からは全く実用的ではない。

【０００５】 本考案は、上記事情に鑑みなされたもので、優れた防炎性能を有し、しかも使 用中の汚れが少ない上に、文字や図柄等の表示部の変退色がなく、且つ経済的に 製造され、各種工事用途等に好適に使用される工事用シートを提供することを目 的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段及び作用】

本考案は、上記目的を達成するため、３００デニール以上の互いに異なる色彩 の複数種の防炎性モノフィラメント糸をシート状に編成して文字及び／又は図柄 からなる表示部を形成したものである。

【０００７】 ここで、工事用シートを形成するヤーンは、３００デニール以上の太さを有す るモノフィラメント糸であることが必要である。本考案は、後述するように、特 定の着色糸をシート表面に編み出すことによって、所望の文字、図柄等を得るも のであるため、３００デニール未満のモノフィラメントの場合、ヤーンの太さが 不足して鮮明な図柄等が得られない。加えて、３００デニール未満のモノフィラ メントでは、工事用シートの屋外使用時の耐候性が不足する。ここで、モノフィ ラメントの太ささは、好ましくは３００〜１０００デニール、より好ましくは３ ５０〜７００デニールである。

【０００８】 本考案に用いるヤーンは、モノフィラメントから成ることが必要である。紡績 糸又はマルチフィラメントから成るヤーンは、ヤーンを構成する毛羽や単繊維間 に多数の空隙が存在するため、該空隙にホコリ、ゴミ等の汚れ成分が沈着し、工 事用シートとして使用すると、早期に汚れが生じ、また、洗浄しても汚れが落ち にくいため、本考案の目的を達成することができない。

【０００９】 モノフィラメントを構成する原料ポリマーとしては、通常、合成繊維を形成す るポリマーのいずれをも使用でき、このような原料ポリマーとして、例えばポリ エチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、 アラミド、ポリアリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等を挙げるこ とができ、これらは１種単独で使用しても、２種以上のポリマーから成る複合糸 として使用することもできるが、モノフィラメントの紡糸性、ヤーン性能を総合 的に考慮すれば、これらの中でもポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポ リエステルが好適であり、特にポリエチレンがより好適である。ここで、これら の原料ポリマーには、耐候性向上剤を混合しておくことが好ましい。また、本考 案の工事用シートは、防炎性のモノフィラメント糸を使用するものであり、これ により、シート形成後の後加工による防炎加工が不要となる。モノフィラメント 糸に防炎性を付与する手段として、ヤーン製造後、ヤーン状で防炎加工を行う方 法も可能であるが、工業的に生産するには経済的ではなく、原料ポリマー中に防 炎剤を混入しておく方法が好適に採用される。ここで、防炎剤としてはリン系、 ハロゲン系等のものが使用できる。

【００１０】 モノフィラメント糸の着色は、モノフィラメント糸を染色する方法も可能であ るが、モノフィラメントを形成するポリマー中に染料又は顔料を混合し、その後 、紡糸を行う（いわゆる原着）方法が好適に採用される。

【００１１】 このようにして得られたモノフィラメント糸の２種以上の異色糸、好ましくは ３種以上の異色糸を用い、編成によりシートを製造し、シート表面に文字、図柄 等を構成する。文字や図柄等の構成方法は、その部分に現したい色に着色された モノフィラメント糸により表面のループを作るものであり、他の色糸は表面ルー プの裏側に位置するため表面から見えにくく、表面ループを構成するヤーンの色 彩が強調されて図柄等が鮮明に見えるようになる。このような編み物として、メ リヤス編みを採用すると特に効果的に作成できる。

【００１２】 なお、上記のようにして得られるシートは、主として建築用、土木用等の各種 工事用途に使用される工事用シートとして用いられるが、装飾テント、イベント 会場フェンス、屋内外広告看板、間仕切りカーテン、塗料飛散防止、防虫、防砂 、遮光、輸送用シートとしても応用可能である。

【００１３】

【実施例】

以下、本考案を図面に示す実施例に基づいて説明するが、本考案は下記の実施 例に制限されるものではない。

【００１４】 図面は本考案の一実施例に係る工事用シートＡを示す。この工事用シートＡは ハロゲン系防炎剤を含み、それぞれ白、青、黄、黒に着色された４００デニール のポリエチレンモノフィラメント糸から成り、シート地１に表示部を構成する各 図柄の輪郭２，魚の図柄３，波の図柄４及び５が形成されている。モノフィラメ ント糸の着色手段としてはそれぞれの顔料を原料ポリエチレンに混入するいわゆ る原着方法を採用した。これらの４種の着色糸をメリヤス編み機にかけ、巾１８ ５ｃｍ、長さ３０ｍの編み物を作成した。メリヤス編みの表面を構成するループ の色を特定色とし、図中１の部分を青色、２の部分を黒色、３及び５の部分を黄 色、４の部分を白色とすることにより、鮮明な波と魚との連続模様を有する本実 施例の工事用シートＡを得た。このシートＡを１年間屋外に展張したが、汚れは ほとんど付着せず、色の変退色もほとんど起きなかった。

【００１５】 次に、比較例として、市販の工事用メッシュシート（ポリエステルマルチフィ ラメント基布にＰＶＣを被覆した１ｍｍ目合いのメッシュシート）を購入し、塗 料により上記実施例と同様の図柄を描いて実施例と同じ時期に屋外に展張した。 このものは、半年間の展張により汚れの沈着が目立つようになり、洗浄（洗濯） を行ったところ、図柄を描いた塗料が一部剥離し、図柄が不鮮明となった。

【００１６】

【考案の効果】

本考案の工事用シートは、汚れが付着しにくく、洗浄性も良好であり、文字、 図柄等の表示部の製作が容易で、且つ表示部の表示効果を長期間保持し、防炎後 加工処理や表示部を形成するための印刷を必要とせず、着色した防炎性モノフィ ラメント糸を編成するだけで目的とする工事用シートが得られるので、優れた特 性を有する工事用シートを簡単且つ経済的に製造することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示す平面図である。

【符号の説明】

Ａ 工事用シート ２，３，４，５ 表示部

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ３００デニール以上の互いに異色の複数
   種の防炎性モノフィラメント糸をシート状に編成して文
   字及び／又は図柄からなる表示部を形成してなることを
   特徴とする工事用シート。
2. 【請求項２】 上記防炎性モノフィラメント糸をメリヤ
   ス編みにより編成してなることを特徴とする請求項１記
   載の工事用シート。