JP3017596U - 紙製簡易便器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 きわめて簡単に、しかも迅速に組立てられて
強度の高い簡易便器を提供することにある。 【構成】 ４枚の側面部２１を並列して角筒状に組立て
ることができ、各側面部２１の上縁部に上面部２５を延
在させるとともに下縁部に底面部２３、２４を延在さ
せ、各上面部２５において隣り合う左右一対の上面部を
接続部２６により連結した便器枠体２と、開口部３３を
有する便座面３１の周縁部に補助側部３２を下向きに設
けて、前記補助側部を組立てることにより、組立てられ
た前記便器枠体の上部に被着することができる便座枠体
３と、前記便座枠体３の便座面３１に回動できるように
取り付けられて、前記開口部３３を開閉することができ
る蓋片４と、前記組立てられた便器枠体２の内側底部に
嵌め付けることができる補強板材５とからなる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、地震等の災害時、キャンプ場や小型船舶等においてきわめて簡単に 組立てられて、使用に供することができる紙製簡易便器に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来からの紙製簡易便器としては、本願の出願人が実開昭５６−９７０９４号 公報で既に提案している。 前記従来の紙製簡易便器は、４枚の側面部を連設して上下に上面部、底面部を 延設した便器枠体と、前記便座枠体の上部に被着することができる便座枠体と、 前記便座枠体に開設した開口部を開閉することができる蓋片と、前記便器枠体の 内部に収納するビニールの袋体が１セットで、不使用状態では上面部、底面部を 内側に折り込んだ便器枠体を扁平に折り畳み、便座枠体、蓋片及び袋体を袋等に 納めておく。 そして、この簡易便器を使用する場合、便器枠体を有底の四角筒状に組立て、 各上面部を各側面部の外側上部に折返し、便器枠体の内部に収納したビニールの 袋体の上部を便器枠体の外面上方に折返して便座枠体を嵌め付けるのであって、 使用に供する場合には蓋片により便座枠体の開口部を開放し、利用に供さない場 合は閉止しておくのである。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

前記した従来の簡易便器では、各側面部の上面部が外側に、内側に自由に回動 することができるので、不使用状態から使用状態、若しくは使用状態から不使用 状態に変換する場合に邪魔になることがある。また、組立てた便器枠体の内部に ビニールの袋体を収納する場合にも、上面部が便座枠体の外側上方に折り返って いると、袋体の開放上部を便座枠体の外面上方に折返し難いばかりでなく、便座 枠体も嵌め難く、迅速に便器を組立てることができない。 したがって、不使用状態ではきわめて扁平な状態で保管時にはスペースを必要 としないが、使用状態ではきわめて簡単に、しかも迅速に確実に組立てることが できて強度がある簡易便器が要望されている。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

本考案は上記した従来の欠点に鑑み、また従来からの要望に対処するために提 案されたもので、４枚の側面部を並列して角筒状に組立てることができ、各側面 部の上縁部に上面部を延在させるとともに下縁部に底面部を延在させ、各側面部 において隣り合う左右一対の上面部を接続部により連結した便器枠体と、開口部 を有する便座面の周縁部に補助側部を下向きに設けて、前記補助側部を組立てる ことにより、組立てられた前記便器枠体の上部に被着することができる便座枠体 と、前記便座枠体の便座面に回動できるように取り付けられて、前記開口部を開 閉することができる蓋片と、前記組立てられた便器枠体の内側底部に嵌め付ける ことができる補強板材と、からなり、また、上面部の接続部を設けていない他方 の側縁部には、係止切込部と係合切込部とを設けてあることを特徴とする。

【０００５】

【作用】

４枚の側面部は、隣り合う左右一対の側面部が接続部により連結されているの で、組立て状態において側面部を便器枠体の内部に折り込んでおくことにより回 動することがなく、迅速に組立てられるばかりでなく、便器枠体の上部を補強す ることもできる。

【０００６】

【実施例】

以下の本考案を図面の実施例に基づいて説明すると、本考案の簡易便器１は、 上面が開放する便器枠体２と、前記便器枠体２の上部に被着する便座枠体３と、 前記便座枠体３の便座面に回動可能に取り付けられる蓋片４と、前記便器枠体２ の内側底部に嵌め付ける補強板材５とからなり、いずれも耐水性板紙によって成 形するのが望ましい。

【０００７】 前記便器枠体２は、展開状態において、並列する４枚の縦長な側面部２１の各 下縁部に、斜めの谷折り線２２を有する第１の底面部２３と、谷折り線を設けて いない第２の底面部２４とを交互に延在させ、また側面部２１の各上縁部に上面 部２５を延在させた構成である。

【０００８】 したがって、便器枠体２の展開状態においては、４枚の上面部２５が横方向に 並列する状態であるが、隣り合う左右一対の上面部２５は、谷折りが可能な接続 部２６により連結されて、その接続部２６の左右に斜めの谷折り線２７が形成さ れている。

【０００９】 また、各上面部２５においては、前記接続部２６を設けていない他方の側縁部 には、係止切込部２８と、前記係止切込部２８に係合することができる係合切込 部２９とを設けてある。

【００１０】 前記便器枠体２は、一端に位置する側面部２１の側端から延設した取付代３０ を他端に位置する側面部２１の側端に重合して接着剤、ホッチキス針等で止着し て４枚の側面部２１により四角筒状にし、第１の底面部２３の谷折り線２２より 外側部分と第２の底面部２４とを接着剤、ホッチキス針等で止着して、接続部２ ６を有する２つの側縁部分を山折りすることにより、２枚の側面部２１が並列す る扁平な折り畳み状態とする。この場合、各上面部２５は側面部２１の内側に折 り込んでおき、隣り合う係止切込部２８と係合切込部２９とを係合させるととも に、止着した第１の底面部２３と第２の底面部２４も側面部２１の内側に折り込 んでおく。したがって、便器枠体２の扁平な折り畳み状態は、横幅が２枚の側面 部２１の幅と同一で、しかも高さが側面部２１の高さ分である。

【００１１】 前記便座枠体３は、一辺が側面部２１の横幅にほぼ等しい幅の四辺形状の便座 面３１と、前記便座面３１の四辺から延在する補助側部３２とを有し、前記便座 面３１には対角線方向に卵形状の開口部３３を開設するとともに、一隅に細い引 っ掛け孔３４を開設する。

【００１２】 そして、前記補助側部３２の内の対向する２枚の補助側部３２には、左右の側 端部の下半部分に係止片３５を外方に延設し、前記係止片３５に係止溝３６を縦 方向に形成する。また、対向する他の補助側部３２には、組立て時に前記係止溝 ３６に係止する係合溝３７を左右の側辺近傍に形成するとともに、左右の側端に 折込片３８を延在させる。

【００１３】 前記蓋片４は、便座枠体３の便座面３１より寸法が僅かに小さい四辺形状で、 一隅部に差込片４１を形成し、前記差込片４１の対角線方向に対向する他の隅部 に掴み部４２を切り込んで形成する。

【００１４】 前記補強板材５は、便器枠体２の内側底部に嵌め付けるものであって、便器枠 体２の四辺形状とほぼ同一寸法の四辺形状である。

【００１５】 前記便器枠体２、便座枠体３、蓋片４及び補強板材５は、耐水性があって強度 の高い厚板紙、段ボール紙等の耐水性板紙からなるもので、本考案の簡易便器１ は、前記便器枠体２、便座枠体３、蓋片４及び補強板材５が１セットで、必要で あればビニールの袋体６１や結束用の紐材７１をセットの中に含ませる。

【００１６】 そして、セットにする場合には、前記のように便器枠体２を扁平な折り畳み状 態とし、便座枠体３、蓋片４及び補強板材５は展開状態のままであり、この状態 で例えば袋や浅い箱にに収納して流通させたり保管、販売するのである。したが って、セット状態では扁平なので持ち運びや保管時に効果的で、無駄なスペース を必要としない。

【００１７】 前記したセット状態から簡易便器１を使用状態に組立てるには、折り畳み状態 の便器枠体２の山折りしている左右の側端部を押圧すると（図２）、扁平な状態 が拡張して各側面部２１により角筒状に組立てられる。そして、この組立て時に は各第１の底面部２３、第２の底面部２４により底面が形成されるとともに、各 上面部２５が側面部２１の上部内面に沿って折り込まれており、しかも係止切込 部２８と係合切込部２９とにより係合しているので、揺動したり回動することが ない。

【００１８】 また、前記便座枠体３は各補助側部３２を便座面３１に対し直角に山折りし、 対向する補助側部３２の折込片３８を内側に折り込むとともに、係止片３５を直 角に折り込み、係止溝３６と係合溝３７とを噛合させて各補助側部３２を強固に 係止させる。したがって、この状態では便座面３１に周辺には、各補助側部３２ が下向きの周枠となって、強度を保たせている。 そして、前記のようにして組立てた便座枠体３の引っ掛け孔３４に、蓋片４の 差込片４１を差し込んで、蓋片４を傾動可能に保持する。したがって、蓋片４は 掴み部４２を利用して開口部３３が開放する状態と、閉止する状態とを傾動する ことができる。

【００１９】 前記の様にして組立てた各枠体等を利用して便器として使用する場合には、あ らかじめ補強板材５を各筒状の便器枠体２の内側底部に落とし込んで、図４で示 すように袋体６１を開放する便器枠体２の内部に収納し、袋体６１の開放する上 部６２を便器枠体２の外側上方に折返し、便器枠体２の上端部に便座枠体３を被 着する。

【００２０】 したがって、便器枠体２の開放上部に便座枠体３が被着して、便座枠体３の開 口部３３が蓋片４により開閉するので、使用に際しては開口部３３を開放して跨 がり、使用後は蓋片４によって開口部３３を閉止すればよい。

【００２１】 そして、袋体６１の内部に糞尿が溜ったら便座枠体３を取り外し、図６で示す ように袋体６１の上部６２を便器枠体２の上部から外して紐材７１で結束し、袋 体６１を便器枠体２から取り出して廃棄すればよいし、袋体６１以外は再利用す ることができる。また、不使用時に簡易便器１を移動する場合には、前記と同様 に袋体６１の上部６２を結束したら、係止切込部２８と係合切込部２９との係合 を外しながら各１７を山折りして上面部２５を水平状態に傾動する。この操作に より、各上面部２５によって便器枠体２の開放上面が閉塞されるので、更に便座 枠体３を被着して移動させればよい。したがって、移動中に簡易便器１が揺れ動 いても、内部の糞尿が溢れ出たり簡易便器１が損傷することがない。

【００２２】 以上本考案を図面の実施例に基づいて説明したが、本考案は前記実施例に限定 されるものではなく、実用新案登録請求の範囲に記載の構成を変更しない限りど のようにでも実施することができる。

【００２３】

【考案の効果】

以上要するに本考案によれば、４枚の側面部を並列して角筒状に組立てること ができ、各側面部の上縁部に上面部を延在させるとともに下縁部に底面部を延在 させ、各上面部において隣り合う左右一対の上面部を接続部により連結した便器 枠体と、開口部を有する便座面の周縁部に補助側部を下向きに設けて、前記補助 側部を組立てることにより、組立てられた前記便座枠体の上部に被着することが できる便座枠体と、前記便座枠体の便座面に回動できるように取り付けられて、 前記開口部を開閉することができる蓋片と、前記組立てられた便器枠体の内側底 部に嵌め付けることができる補強板材とからなり、組立て状態においては各上面 部が常に便座枠体の内部上方に折れ込んで重合した状態となっている。

【００２４】 したがって、便座枠体の扁平な折り畳み状態から立体的な使用状態に変換する 場合、単に横方向から押圧するだけで、簡単に、確実にしかも迅速に組立てるこ とができるばかりでなく、袋体を便器枠体に収納する際にも、上面部が揺動して 邪魔になることがない。しかも、便座枠体を被着して使用する時には、４枚の上 面部が一体となって便器枠体の上部内側に重合して補強するので、人間の自重で 便器枠体が変形したり潰れることがなく、特に、災害時の非常用の便器として、 またキャンプ場や河川、海岸での釣りの時、若しくは漁船等において実用的価値 の高いものとなる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例を示す便器枠体等の展開図であ
る。

【図２】便器枠体を組立て状態の概略斜視図である。

【図３】便器枠体を組立てた状態の下から見た斜視図で
ある。

【図４】組立てた状態の分解斜視図である。

【図５】使用状態の斜視図である。

【図６】袋体の上部を結束して取り出す状態の斜視図で
ある。

【符号の説明】

１ 簡易便器 ２ 便器枠体 ３ 便座枠体 ４ 蓋片 ５ 補強板材 ２１ 側面部 ２３ 第１の底面部 ２４ 第２の底面部 ２５ 上面部 ２６ 接続部 ２８ 係止切込部 ２９ 係合切込部 ３１ 便座面 ３２ 補助側部 ３３ 開口部 ３４ 引っ掛け孔 ３５ 係止片 ４１ 差込片

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ４枚の側面部を並列して角筒状に組立て
   ることができ、各側面部の上縁部に上面部を延在させる
   とともに下縁部に底面部を延在させ、各上面部において
   隣り合う左右一対の上面部を接続部により連結した便器
   枠体と、 開口部を有する便座面の周縁部に補助側部を下向きに設
   けて、前記補助側部を組立てることにより、組立てられ
   た前記便器枠体の上部に被着することができる便座枠体
   と、 前記便座枠体の便座面に回動できるように取り付けられ
   て、前記開口部を開閉することができる蓋片と、 前記組立てられた便器枠体の内側底部に嵌め付けること
   ができる補強板材と、からなる紙製簡易便器。
2. 【請求項２】 上面部の接続部を設けていない他方の側
   縁部には、係止切込部と係合切込部とを設けてある請求
   項１に記載の紙製簡易便器。
3. 【請求項３】 便器枠体、便座枠体、蓋片及び補強板材
   は耐水性板紙によって成形されている請求項１又は２の
   いずれかの項に記載の紙製簡易便器。