JP3007954B2 - 混合層ケイ酸塩及びその製造方法 - Google Patents

混合層ケイ酸塩及びその製造方法

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JP3007954B2
JP3007954B2 JP8103906A JP10390696A JP3007954B2 JP 3007954 B2 JP3007954 B2 JP 3007954B2 JP 8103906 A JP8103906 A JP 8103906A JP 10390696 A JP10390696 A JP 10390696A JP 3007954 B2 JP3007954 B2 JP 3007954B2
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一雄 鳥居
孝志 岩崎
嘉郎 小野寺
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武雄 蛯名
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規な混合層ケイ酸
塩及びその製造方法に関するものである。さらに詳しく
いえば、本発明は、水中で分散し優れたゲル形成能を示
し、脱水後には多孔体となるなどの特性を有する、板状
蛇紋石層とサポナイト層とから成る混合層ケイ酸塩、及
びこのものを効率よく製造する方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】天然には、雲母やスメクタイトなど、様
々な混合層鉱物が存在することが知られている[198
0年,ロンドン・ミネラロジカル・ソサエティ(Lon
don,Mineralogical Societ
y)発行,ブリンドレイ(G.W.Brindley)
及びブラウン(G.Brown)共著,「クリスタルス
トラクチャーズ・オブ・クレー・ミネラルズ・アンド・
ゼア・エックス−レイ・アイデンティフィケーション
(Crystal structures of cl
ay minerals and their X−r
ay identification)」,第249〜
303ページ]。この天然に存在する混合層鉱物は、良
質のものが少量しか産出しないため、工業材料としては
ほとんど使用されていないのが実情である。しかしなが
ら、大部分の混合層鉱物は非膨潤層と膨潤層が混在して
積層した構造を有する特異な素材であり、両者の特性を
合わせもっているため、この混合層構造を制御すること
によって、新たな機能性材料の創製が期待されている。
【0003】ところで、蛇紋石は、かんらん石の変質に
よって生成した蛇紋岩の主要構成鉱物として産出し、繊
維状のクリソタイル、平板状のリザーダイト、平板状形
態でx軸方向に波状の超構造を有するアンチゴライトの
3種類が知られている。また、蛇紋石の四面体シートと
八面体シートにアルミニウムが一部置換している鉱物は
アルミニウムリザーダイトとアメサイトがあり、いずれ
も平板状である。
【0004】蛇紋石の八面体シートには、主としてマグ
ネシウムが、四面体シートには主としてケイ素が含有さ
れている。平板状となるためには、四面体シートと八面
体シートの面方向の大きさがほぼ同じであることが必要
であり、一般的にはアルミニウムリザーダイトにみられ
るように、それぞれのシート中でアルミニウムが一部置
換しているが、構造全体としては電気的に中性が保たれ
ている。天然品では、マグネシウムが二価の鉄で置換さ
れた板状蛇紋石はバーチェリンと呼ばれ、ニッケルで置
換されたものはブリンドリアイトと呼ばれている(19
88年3月20日朝倉書店発行,白水晴雄著「粘土鉱物
学」,第133〜137ページ)。
【0005】この蛇紋石は、構造的には層電荷は発現せ
ず、したがって、陽イオン交換能は認められず、また、
水中で分散しないので、ゾル・ゲルを形成することはな
い。この蛇紋石の中で、クリソタイルは繊維状であるた
め、工業的にはアスベストとして様々な用途に用いられ
ているが、他の蛇紋石はほとんど工業的には用いられて
いない。
【0006】一方、ケイ素、マグネシウム及びアルミニ
ウムから成るサポナイトの層電荷は、四面体シート中の
アルミニウム置換量から八面体シート中のアルミニウム
置換量を差し引いた値によって規定されている。このサ
ポナイトが属するスメクタイトは微粒状の粘土鉱物であ
って、層電荷より発現するイオン交換能、膨潤性、分散
性、インターカレーション機能など特異な性質を有して
おり、陶磁器原料として用いられるカオリナイトなどの
他の粘土鉱物とは異なり、ボーリング泥水、鋳物砂、有
機スメクタイトなど、特殊な工業的用途に用いられてい
る。
【0007】このようなサポナイトは、例えばイオン交
換によって、層間に有機物や無機物を導入した複合体を
作製することができるし、また、水に分散してゾル・ゲ
ルを形成させ、粘性調整剤としても用いることができる
(特公平6−62290号公報)。さらに、サポナイト
の八面体シート中のマグネシウムを二価重金属イオンで
置換した重金属含有サポナイトを、200〜350℃の
水熱反応によって合成する方法が知られている(特開昭
62−292615号公報)。
【0008】前記の蛇紋石とサポナイトを成分層とする
混合層鉱物は、天然ではまだ見出されていないが、本発
明者らは、先に、ケイ素、マグネシウム及びアルミニウ
ムより成る蛇紋石とサポナイトを成分層とする新規な合
成混合層ケイ酸塩を提案した(特願平6−222673
号)。
【0009】この合成混合層ケイ酸塩は、水に分散して
ゾル・ゲルを形成するのみならず、海水中や水酸化ナト
リウム水溶液、あるいは塩酸水溶液中においても、天然
産スメクタイトである精製ベントナイト製品のクニピア
F[クニミネ工業(株)製、商品名]と比べて強いゲル
化特性を示す。これは混合層構造とすることによって新
たな機能が発現したものと推察される。
【0010】また、この合成混合層ケイ酸塩は、脱水す
るとメソポア多孔体を形成するので、吸着分離や触媒な
どに用いることができる。この吸着分離や触媒の用途に
おいては、気相−固相又は液相−固相などの界面付近で
反応が進行するため、構造の差ばかりでなく、その化学
組成によっても機能が左右されることが予期される。し
たがって、工業材料として、合成混合層ケイ酸塩の用途
をさらに拡大するために、新規な化学組成を有する合成
混合層ケイ酸塩の開発が望まれる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
事情のもとで、水中で分散し、優れたゲル形成能を示す
とともに、脱水後多孔体となるなどの特性を有し、工業
材料として有用な新規な混合層ケイ酸塩、及びこのもの
を効率よく製造する方法を提供することを目的としてな
されたものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、工業材料
として有用な新規な混合層ケイ酸塩について鋭意研究を
重ねた結果、八面体シート構造の陽イオンとして二価重
金属イオンを含有する特定組成の板状蛇紋石層と、同様
に八面体シート構造の陽イオンとして二価重金属イオン
を含有する特定組成のサポナイト層とから成る混合層ケ
イ酸塩は新規なものであって、前記特性を有すること、
そして、このものは、所定の割合のケイ素、二価重金
属、アルミニウム及び場合によりマグネシウムを含有す
る複合含水酸化物に水及び陽イオンを添加し、そのスラ
リーを特定の温度で水熱反応させることにより、容易に
得られることを見出し、この知見に基づいて本発明を完
成するに至った。
【0013】すなわち、本発明は、基本構造が、一般式 Si2-aAl2a(Mg1-x1 x3-a5(OH)4 (I) (式中のM1は二価重金属、a及びxは、0≦a≦1及
び0<x≦1の関係を満たす数である)で表わされる板
状蛇紋石層と、一般式 [Si4-b-cAlb+2c(Mg1-y2 y3-c10(OH)2b-・Zd+ b/d(II) (式中のM2は二価重金属、Zd+はアルカリ金属イオ
ン、アルカリ土類金属イオン、二価重金属イオン又はア
ンモニウムイオン、b、c及びyは、0<b<1、0≦
c<1及び0<y≦1の関係を満たす数、dは1又は2
である)で表わされるサポナイト層から成る混合層ケイ
酸塩を提供するものである。
【0014】本発明に従えば、前記混合層ケイ酸塩は、
所定の割合のケイ素、二価重金属、アルミニウム及び必
要に応じてマグネシウムを含む複合含水酸化物を調製し
たのち、水及び陽イオン(Zd+)を添加して得られたス
ラリーを100〜500℃の温度において水熱反応させ
ることにより、製造することができる。
【0015】ところで、混合層鉱物の構造については、
異なった成分層を含有するため、各成分層を結晶化学的
にどうとらえるかという問題がある。例えば、P、Qの
異なる2種の成分層から構成される混合層鉱物の場合、
構造中のP層とQ層の四面体シート組成や八面体シート
組成がどうなっているかは興味深い課題ではあるが、現
在の分析レベルでは層毎あるいはシート毎の分析はでき
ず、ただ全体の分析値を測定することができるだけであ
る。しかしながら、単独の鉱物、PあるいはQについて
の組成値は調べられており、組成範囲も既知の場合が多
い。また、天然で産出しない場合についても組成を設計
し、決定することができる。したがって、それらの値を
使用してP層とQ層から成る混合層鉱物の組成を設計す
ることは可能である。
【0016】本発明の混合層ケイ酸塩についても、それ
ぞれ二価重金属を含有する板状蛇紋石層及び二価重金属
を含有するサポナイト層の四面体シートあるいは八面体
シートの化学組成を想定し、板状蛇紋石層とサポナイト
層の割合を決定すれば、目的の混合層ケイ酸塩の組成を
設計し、決定することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の混合層ケイ酸塩は、基本
構造が、一般式 Si2-aAl2a(Mg1-x1 x3-a5(OH)4 (I) で表わされる板状蛇紋石層と、一般式 [Si4-b-cAlb+2c(Mg1-y2 y3-c10(OH)2]b-・Zd+ b/d(II) で表わされるサポナイト層から成るものである。
【0018】前記一般式(I)及び(II)において、
1及びM2は、それぞれ二価重金属であり、この二価重
金属としては、例えばニッケル、コバルト、銅、鉄、亜
鉛、マンガン、鉛、カドミウムなどが挙げられる。これ
らの二価重金属は、それぞれにおいて、1種含まれてい
てもよいし、2種以上含まれていてもよい。また、一般
式(II)において、Zd+は陽イオンで、アルカリ金属
イオン、アルカリ土類金属イオン、二価重金属イオン又
はアンモニウムイオンである。ここで、アルカリ金属イ
オンとしては、例えばナトリウムイオン、カリウムイオ
ン、リチウムイオンなどが、アルカリ土類金属イオンと
しては、例えばカルシウムイオン、バリウムイオン、マ
グネシウムイオン、ストロンチウムイオンなどが、二価
の重金属イオンとしては、例えばニッケルイオン、コバ
ルトイオン、銅イオン、鉄イオン、亜鉛イオン、マンガ
ンイオン、鉛イオン、カドミウムイオンなどが挙げられ
る。このZd+で示される陽イオンは1種含まれていても
よいし、2種以上含まれていてもよいが、アルカリ金属
イオンが好ましく、特にナトリウムイオンが好適であ
る。
【0019】さらに、一般式(I)及び(II)におい
て、a、x、b、c及びyは、0≦a≦1、0<x≦
1、0<b<1、0≦c<1及び0<y≦1の関係を満
たす数であり、dは陽イオン(Zイオン)の価数で1又
は2である。
【0020】本発明の混合層ケイ酸塩においては、前記
板状蛇紋石層のサポナイト層に対する割合は、モル比で
0.1〜10の範囲にあるのが好ましい。また、陽イオ
ン交換容量は、通常0〜1.3ミリ当量/gの範囲であ
る。
【0021】本発明においては、前記一般式(I)及び
(II)におけるa、b、c、d、x、y及び蛇紋石層
とサポナイト層との割合を設定することにより、目的と
する混合層ケイ酸塩におけるケイ素、二価重金属、マグ
ネシウム、アルミニウム及びアルカリ金属イオンなどの
陽イオンから成る組成を設計することができる。
【0022】例えば、Zがナトリウムで、混合層ケイ酸
塩中のSi:Al:(Mg+M1+M2):Naモル比を
A:B:C:Dで表わした場合、 A=(2−a)m+(4−b−c)n B=2am+(b+2c)n C=(3−a)m+(3−c)n D=bn (式中のa、b及びcは前記と同じ意味をもち、m及び
nは、それぞれ板状蛇紋石層とサポナイト層のモル基準
の割合である)となる。ここで、Aを8に設定した場
合、B、C及びDの値は0<B<8、6<C<12及び
0<D<2の範囲が好ましく、また、m/nは前記した
ように0.1〜10の範囲が好ましい。
【0023】本発明の混合層ケイ酸塩の製造方法につい
ては、前記の性状を有する混合層ケイ酸塩が得られる方
法であればよく、特に制限はないが、以下に示す本発明
方法に従えば、所望の混合層ケイ酸塩を効率よく製造す
ることができる。
【0024】本発明方法においては、まず、目的の混合
層ケイ酸塩の組成になるような割合のケイ素、二価重金
属、アルミニウム及び必要に応じてマグネシウムを含む
複合含水酸化物を調製する。この複合含水酸化物の調製
方法としては、例えば(1)ケイ酸、二価重金属塩、ア
ルミニウム塩及び必要に応じてマグネシウム塩を含有す
る酸性水溶液とアルカリ水溶液とを混合して沈殿を形成
させ、ろ過などにより回収後、十分に洗浄して副生塩を
除去する方法、(2)ケイ酸ナトリウムを含有するアル
カリ水溶液と二価重金属塩、アルミニウム塩及び必要に
応じてマグネシウム塩を含有する酸性水溶液とを混合し
て沈殿を形成させ、以下前記(1)と同様に処理する方
法、(3)ケイ酸ナトリウム及びアルミン酸ナトリウム
を含有するアルカリ水溶液と二価重金属塩及び必要に応
じてアルミニウム塩又はマグネシウム塩あるいはその両
方を含有する酸性水溶液とを混合して沈殿を形成させ、
以下前記(1)と同様に処理する方法、などを好ましく
用いることができる。
【0025】前記(1)の方法において、ケイ酸などを
含有する酸性水溶液を調製するには、まず、ケイ酸ナト
リウムと鉱酸とを混合し、液のpHを酸性にすることに
よりケイ酸水溶液を作製し、これに二価重金属塩、アル
ミニウム塩及び必要に応じマグネシウム塩を加え溶解さ
せればよい。この際、ケイ酸ナトリウムと鉱酸を混合す
る場合、ゲル化を防ぐために、ケイ酸水溶液のpHを1
〜3の範囲になるように調整するのが有利である。ケイ
酸ナトリウムとしては、一般に市販されている1号ない
し3号水ガラス及びメタケイ酸ナトリウムなどが好まし
く用いられ、また、鉱酸としては、例えば硝酸、塩酸、
硫酸などが用いられる。さらに、二価重金属塩、アルミ
ニウム塩及びマグネシウム塩としては、例えば塩化物
塩、硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩、過塩素酸塩などが用いら
れる。一方、アルカリ水溶液としては、例えば水酸化ナ
トリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、水酸化リチウ
ム水溶液、アンモニア水などを用いることができる。
【0026】前記(2)の方法においては、ケイ酸ナト
リウムを含有するアルカリ水溶液と二価金属塩、アルミ
ニウム塩及び必要に応じてマグネシウム塩を同時に含有
する酸性水溶液とを混合してもよいし、該アルカリ水溶
液に、二価金属塩含有酸性水溶液、アルミニウム塩含有
酸性水溶液及び必要に応じマグネシウム塩含有酸性水溶
液を、それぞれ別個に添加してもよい。
【0027】また、前記(2)及び(3)の方法におい
て、ケイ酸ナトリウムを含有するアルカリ水溶液及びケ
イ酸ナトリウムとアルミン酸ナトリウムとを含有するア
ルカリ水溶液の調製には、ケイ酸ナトリウムとして、前
記(1)の場合と同様に、一般に市販されている1号な
いし3号水ガラス、メタケイ酸ナトリウムなどが好まし
く用いられ、アルカリとしては、例えば水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、アンモニア水な
どが用いられる。
【0028】一方、二価重金属塩、アルミニウム塩及び
必要に応じてマグネシウム塩を含有する酸性水溶液並び
に二価重金属塩及び必要に応じてアルミニウム塩又はマ
グネシウム塩あるいはその両方を含有する酸性水溶液の
調製には、二価重金属塩、アルミニウム塩及びマグネシ
ウム塩として、例えば塩化物塩、硫酸塩、硝酸塩、炭酸
塩、過塩素酸塩などが用いられる。
【0029】前記(1)〜(3)の方法において、酸性
水溶液とアルカリ水溶液とを混合する場合、アルカリ水
溶液に酸性水溶液を滴下して沈殿を形成させてもよい
し、酸性水溶液にアルカリ水溶液を滴下して沈殿を形成
させてもよく、あるいは両方の水溶液を一度に混合して
沈殿を形成させてもよい。混合の際、特に撹拌は必要で
ないが、もちろん撹拌することは一向に差し支えない。
この沈殿を形成させる際のpHは重要であり、pHが低
すぎると二価重金属、アルミニウム及びマグネシウムが
完全に沈殿しにくく、一方、pHが高すぎるとケイ素が
溶液中に残存するおそれがある。沈殿を形成させる際の
pHは、通常7〜12、好ましくは9〜11の範囲に設
定するのがよい。このようにして形成された沈殿は、ろ
過などの公知の手段により回収したのち、水洗などによ
り十分に洗浄して副生塩を除去することにより、所望の
複合含水酸化物が得られる。
【0030】次に、このようにして得られた複合含水酸
化物に水及び陽イオン(Zd+)を添加してスラリーを調
製する。このスラリーの調製は、例えば該複合含水酸化
物に水及び陽イオンの水酸化物を添加することにより、
あるいは陽イオンの水酸化物を含有する水溶液を添加す
ることにより、行うことができる。この際、陽イオンの
添加量は一般式(II)のbによって与えられるが、そ
の4倍量程度までは添加しても差し支えない。なお、こ
の際、必要に応じフッ素イオンを添加することができ
る。
【0031】次いで、このスラリーをオートクレーブに
仕込み、100〜500℃の温度において水熱反応を行
う。この水熱反応は自生圧力下で進行するが、適当に加
圧して反応を行ってもよい。また、反応中は撹拌を必要
としないが、撹拌することは一向に差し支えない。一般
に、反応温度が高いほど反応速度は速くなり、また、反
応時間が長いほど生成する混合層ケイ酸塩の結晶性は良
好となる。
【0032】水熱反応終了後、反応生成物をオートクレ
ーブより取り出し、必要ならば水洗したのち、乾燥処理
する。この乾燥処理については特に制限はなく、一般的
な乾燥機や真空乾燥機を用い、好ましくは60℃以上の
温度で加熱乾燥してもよいし、噴霧乾燥あるいは凍結乾
燥してもよい。乾燥処理後は、必要に応じ粉砕処理を施
してもよい。なお、噴霧乾燥法を採用すれば、粉砕処理
は必要がない。
【0033】このようにして、本発明の混合層ケイ酸塩
が得られるが、このものは例えばX線回折、示差熱分
析、赤外線吸収スペクトル、化学分析、陽イオン交換容
量、分散水溶液の粘性特性、細孔特性などによって評価
することができる。
【0034】
【発明の効果】本発明の混合層ケイ酸塩は、その中の蛇
紋石とサポナイトの割合に応じて、0〜1.3ミリ当量
/gの陽イオン交換容量を示す。特に、蛇紋石/サポナ
イトモル比が4未満の混合層ケイ酸塩は、水に対して優
れた分散性及びゲル形成能を示し、チクソトロピー性を
有することから、例えば水溶性塗料、化粧品、セラミッ
クス原料、スラリー安定剤、沈降防止剤、増粘剤、粘結
剤、懸濁安定剤、チクソトロピー性付与剤などとして極
めて有用である。さらに、高温での水熱条件下で安定で
あるため、深部地熱や石油の掘削ボーリング泥水として
も用いることができる。また、加熱などによる脱水で直
径2〜15nm程度のメソポアを有する多孔体となるた
め、触媒、触媒担体、吸着剤、分離剤、センサー材料、
鮮度保持剤、脱臭剤、断熱材、除放剤などとしても利用
することができる。また、層状構造を有し、平板状であ
るため、高分子材料の充てん剤、複合材などにも用いる
ことができる。
【0035】さらに、本発明の混合層ケイ酸塩は、二価
重金属を含有するため、殺菌、抗菌、抗かび、防虫、消
毒などの目的でフィルター、吸着材にも用いることがで
き、また、触媒、触媒担体としても有用である。さら
に、紫外線や可視光線のカット剤、吸収剤としても利用
でき、二価重金属の種類や混合割合を変えることによっ
て、色調を調節できるため、顔料としても有用である。
さらに、焼成することによって、セラミックスとして用
いることもでき、センサー、電磁遮蔽材、放射線遮蔽
材、磁性材料、半導体などとしても有用である。
【0036】
【実施例】次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説
明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定さ
れるものではない。
【0037】実施例1 1000mlのビーカーに水400mlを入れ、これに
3号水ガラス(SiO28重量%、Na2O 9重量
%、SiO/Na2O モル比 3.22)68.7g
を溶解したのち、これに16規定硝酸水溶液18mlを
かき混ぜながら加えてケイ酸水溶液を得た。このケイ酸
水溶液に、塩化コバルト六水和物(一級試薬、純度98
%)83.2g及び塩化アルミニウム六水和物(一級試
薬、純度98%)5.6gを加え、ケイ素−マグネシウ
ム−アルミニウム均質水溶液を調製した。次いで、この
均質水溶液を2規定水酸化ナトリウム水溶液480ml
中にかき混ぜながら5分間で滴下した。滴下後の液のp
Hは10.6であり複合含水酸化物の沈殿が生成した。
この沈殿をただちに、ろ取し、十分に水洗したのち、1
規定水酸化ナトリウム水溶液23mlを加えてスラリー
を調製し、オートクレーブに移し、自生圧力下に300
℃で24時間水熱反応を行った。原料スラリーのpHは
11.4で、水熱反応後のpHは8.1であった。冷却
後、反応物を取り出し、80℃で乾燥したのち擂潰機に
て粉砕し、混合層ケイ酸塩を得た。
【0038】この混合層ケイ酸塩は、a=0、x=1、
b=0.4、c=0、y=1、d=1、m=1及びn=
1とし、八面体シートにコバルトを含有させるように設
計して得られたものである。分析値より得られた組成
は、A=8.0、B=0.63、C=8.81及びD=
0.52であった。交換性陽イオンはナトリウムであ
り、陽イオン交換容量は0.57ミリ当量/gであっ
た。
【0039】また、定方位試料のX線回折像では、2
4.5Å、10.5Å及び7.50Åにブロードなピー
クが観察され、このものは規則型混合層構造に近い構造
を有しており、それぞれ001、002及び003ピー
クに相当すると考えられる。粉末X線回折像から得られ
た(35、06)反射ピークのd値は1.540Åであ
った。さらに、このものを2.5重量%含有する水性分
散液は一昼夜放置後、チクソトロピー性のある赤紫色の
固体ゲルを形成した。表1に、2.5重量%及び3.5
重量%濃度の水性分散液の25℃における粘性特性を示
す。
【0040】実施例2 実施例1において、試薬として3号水ガラス68.7
g、塩化コバルト六水和物(一級試薬)72.8g、塩
化アルミニウム六水和物(一級試薬)7.4g、16規
定硝酸水溶液18ml及び2規定水酸化ナトリウム水溶
液425mlを用い、実施例1と同様な操作により複合
含水酸化物を調製した。この際、沈殿形成pHは10.
6であった。
【0041】次に、この複合含水酸化物に1規定水酸化
ナトリウム水溶液30mlを加えてスラリーを調製し、
オートクレーブに移し、自生圧力下に300℃で24時
間水熱反応させた。原料スラリーのpHは11.4で、
水熱反応後のpHは7.8であった。冷却後、反応物を
取り出し、80℃で乾燥したのち、擂潰機にて粉砕して
混合層ケイ酸塩を得た。
【0042】この混合層ケイ酸塩は、a=0、x=1、
b=0.4、c=0、y=1、d=1、m=1及びn=
3とし、八面体シートにコバルトを含有させるように設
計して得られたものである。分析値より得られた組成
は、A=8.0、B=0.87、C=8.23及びD=
0.91であった。交換性陽イオンはナトリウムであ
り、陽イオン交換容量は0.76ミリ当量/gであっ
た。
【0043】また、定方位試料のX線回折像では、1
3.0Åと7.25Åにブロードなピークが観察され、
このものは板状蛇紋石層とサポナイト層がモル比1:3
で積層した規則型混合層構造に近い構造を有しており、
それぞれ004及び007ピークに相当すると考えられ
る。粉末X線回折像から得られた(35、06)反射ピ
ークのd値は1.535Åであった。さらに、このもの
を2.5重量%含有する水性分散液は一昼夜放置後、チ
クソトロピー性のある赤紫色の固体ゲルを形成した。表
1に2.5重量%及び3.5重量%濃度の水性分散液の
25℃における粘性特性を示す。
【0044】実施例3 実施例1において、試薬として3号水ガラス68.7
g、塩化ニッケル六水和物(一級試薬)40.9g、塩
化マグネシウム六水和物(一級試薬)35.0g、塩化
アルミニウム六水和物(一級試薬)8.5g、16規定
硝酸水溶液18ml及び2規定水酸化ナトリウム水溶液
460mlを用い、実施例1と同様な操作により複合含
水酸化物を調製した。この際、沈殿形成pHは10.5
であった。
【0045】次に、この複合含水酸化物に1規定水酸化
ナトリウム水溶液17mlを加えてスラリーを調製し、
オートクレーブに移し、自生圧力下に300℃で24時
間水熱反応させた。原料スラリーのpHは11.7で、
水熱反応後のpHは11.2であった。冷却後、反応物
を取り出し、80℃で乾燥したのち、擂潰機にて粉砕し
て混合層ケイ酸塩を得た。
【0046】この混合層ケイ酸塩は、a=0.15、x
=0.5、b=0.3、c=0、y=0.5、d=1、
m=1及びn=1とし、八面体シートにニッケルとマグ
ネシウムを含有させるように設計して得られたものであ
る。分析値より得られた組成は、A=8.0、B=0.
89、C=8.81及びD=0.53であった。この混
合層ケイ酸塩は八面体シートにはニッケルとマグネシウ
ムが入っており、実際のx、yの値は0.53であり、
ややニッケルが多い組成であると考えられる。交換性陽
イオンはナトリウムであり、陽イオン交換容量は0.7
4ミリ当量/gであった。
【0047】また、定方位試料のX線回折像では、2
5.2Å、11.1Å及び7.8Åににブロードなピー
クが観察され、このものは板状蛇紋層とサポナイト層の
量比がほぼ1:1に積層した規則型混合層構造に近い構
造を有しており、それぞれ001、002及び003ピ
ークに相当すると考えられる。粉末X線回折像から得ら
れた(35、06)反射ピークのd値は1.528Åで
あった。さらに、このものを2.5重量%含有する水性
分散液はチクソトロピー性の大きなうすい緑色の透明な
固体ゲルを形成した。表1に2.5重量%及び3.5重
量%濃度の水性分散液の25℃における粘性特性を示
す。
【0048】実施例4 実施例1において、試薬として3号水ガラス68.7
g、塩化ニッケル六水和物(一級試薬)72.8g、塩
化アルミニウム六水和物(一級試薬)7.4g、16規
定硝酸水溶液18ml及び2規定水酸化ナトリウム水溶
液415mlを用い、実施例1と同様な操作により、複
合含水酸化物を調製した。この際、沈殿形成pHは1
0.5であった。
【0049】次に、この複合含水酸化物に1規定水酸化
ナトリウム水溶液30mlを加えてスラリーを調製し、
オートクレーブに移し、自生圧力下に300℃で24時
間水熱反応させた。原料スラリーのpHは12.0で、
水熱反応後のpHは11.0であった。冷却後、反応物
を取り出し、80℃で乾燥したのち、擂潰機にて粉砕し
て混合層ケイ酸塩を得た。
【0050】この混合層ケイ酸塩は、a=0、x=1、
b=0.4、c=0、y=1、d=1、m=1及びn=
3とし、八面体シートにニッケルを含有させるように設
計して得られたものである。分析値より得られた組成
は、A=8.0、B=0.77、C=7.95及びD=
0.95であった。交換性陽イオンはナトリウムであ
り、陽イオン交換容量は1.03ミリ当量/gであっ
た。このものを2.5重量%含有する水性分散液は緑色
の固体ゲルとなった。表1に2.5重量%及び3.5重
量%濃度の水性分散液の25℃における粘性特性を示
す。
【0051】実施例5 実施例1において、試薬として3号水ガラス68.7
g、塩化銅二水和物(一級試薬)11.7g、塩化ニッ
ケル六水和物(一級試薬)65.2g、16規定硝酸水
溶液18ml及び2規定水酸化ナトリウム水溶液430
mlを用い、実施例1と同様な操作により複合含水酸化
物を調製した。この際、沈殿形成pHは10.5であっ
た。
【0052】次に、この複合含水酸化物に1規定水酸化
ナトリウム水溶液23mlを加えてスラリーを調製し、
オートクレーブに移し、自生圧力下に300℃で24時
間水熱反応させた。原料スラリーのpHは10.8で、
水熱反応後のpHは8.7であった。冷却後、反応物を
取り出し、80℃で乾燥したのち、擂潰機にて粉砕して
混合層ケイ酸塩を得た。
【0053】この混合層ケイ酸塩は、a=0、x=1、
b=0.4、c=0、y=1、d=1、m=1及びn=
1とし、八面体シートに銅とニッケルをモル比1:4の
割合で含有させるように設計して得られたものである。
分析値より得られた組成は、A=8.0、B=0.7
0、C=8.84及びD=0.93であった。銅とニッ
ケルの割合は銅16.1モル%及びニッケル83.9モ
ル%であった。また、交換性陽イオンはナトリウムで、
陽イオン交換容量は0.72ミリ当量/gであった。こ
のものを2.5重量%含有する水性分散液は灰黒色のチ
クソトロピー性の極めて高い固体ゲルとなった。
【0054】実施例6 実施例1において、試薬として3号水ガラス68.7
g、塩化ニッケル六水和物(一級試薬)65.2g、硫
酸亜鉛七水和物(一級試薬)19.8g、16規定硝酸
水溶液18ml及び2規定水酸化ナトリウム水溶液43
5mlを用い、実施例1と同様な操作により複合含水酸
化物を調製した。この際、沈殿形成pHは10.4であ
った。
【0055】次に、この複合含水酸化物に1規定水酸化
ナトリウム水溶液23mlを加えてスラリーを調製し、
オートクレーブに移し、自生圧力下に300℃で24時
間水熱反応させた。原料スラリーのpHは10.8で、
水熱反応後のpHは9.5であった。冷却後、反応物を
取り出し、80℃で乾燥したのち、擂潰機にて粉砕して
混合層ケイ酸塩を得た。
【0056】この混合層ケイ酸塩は、a=0、x=1、
b=0.4、c=0、y=1、d=1、m=1及びn=
1で設計して得られたもので、八面体シートに亜鉛とニ
ッケルを含有している。分析値より得られた組成は、A
=8.0、B=0.62、C=8.63及びD=0.6
5であった。亜鉛とニッケルの割合は亜鉛19.6モル
%及びニッケル80.4モル%であった。また、交換性
陽イオンはナトリウムで、陽イオン交換容量は0.72
ミリ当量/gであった。このものを2.5重量%含有す
る水性分散液は淡緑色のゲルを形成した。表1に2.5
重量%及び3.5重量%濃度の水性分散液の25℃にお
ける粘性特性を示す。
【0057】比較例 市販のベントナイト製品クニゲルV1[クニミネ(株)
製、商品名]について、2.5重量%及び3.5重量%
濃度の水性分散液の25℃における粘性特性を示す。
【0058】
【表1】 (注)粘性特性はファンVGメーターを用いて測定し
た。
【0059】表1から分かるように、実施例1〜6の本
発明の混合層ケイ酸塩は、市販品のクニゲルV1よりも
良好な粘性特性を示し、特に降伏値、ゲル強度、低ずり
速度における見掛け粘度は極めて良好な値を示す。
【0060】また、実施例3や実施例4の混合層ケイ酸
塩のようにニッケルを含有するものは比較的低い粘性値
を示すが、他の二価重金属を共存させることによって、
例えば実施例5のように銅を含有させることによって、
特性を著しく改善しうるのが明らかとなった。このよう
に、本発明の混合層ケイ酸塩は、二価重金属の種類や含
有割合を変化させることにより、粘性特性を制御するこ
とが可能であり、用途に応じて特性設計ができ、極めて
有用である。
【0061】実施例7 1000mlのビーカーに水160mlを入れ、これに
3号水ガラス68.7gとアルミン酸ナトリウム1.4
gを溶解し、さらに2規定水酸化ナトリウム水溶液43
0mlを加えてアルカリ混合水溶液を調製した。次に、
塩化ニッケル六水和物(一級試薬)91.9gを水20
0mlに溶解して塩化ニッケル酸性水溶液を調製し、こ
の水溶液を前記アルカリ混合水溶液に5分間かけて滴下
して、複合含水酸化物の沈殿を形成させた。この際のp
Hは10.5であった。次いで、この沈殿をろ取し、水
洗により副生塩を除去した。この複合含水酸化物に1規
定水酸化ナトリウム水溶液11mlを加えてスラリーを
調製し、オートクレーブに移し、自生圧力下に300℃
で24時間水熱反応させた。原料スラリーのpHは1
1.4で、水熱反応後のpHは10.2であった。冷却
後、反応物を取り出し、80℃で乾燥したのち、擂潰機
にて粉砕して混合層ケイ酸塩を得た。
【0062】この混合層ケイ酸塩は、a=0、x=1、
b=0.4、c=0、y=1、d=1、m=2及びn=
1で設計して得られたもので、八面体シートにニッケル
を含有している。分析値より得られた組成は、A=8.
0、B=0.44、C=9.61及びD=0.60であ
った。陽イオン交換容量は0.66ミリ当量/gであっ
た。また、このものを2重量%含有する水性分散液は透
明な緑色のゲルを形成した。300℃加熱脱水後の細孔
特性を表2に示す。
【0063】実施例8 1000mlのビーカーに水160mlを入れ、これに
3号水ガラス68.7gを溶解し、さらに2規定水酸化
ナトリウム水溶液435mlを加えてアルカリ混合水溶
液を調製した。次いで、塩化マグネシウム六水和物(一
級試薬)56.9g、塩化銅二水和物(一級試薬)1
1.7g及び塩化アルミニウム六水和物(一級試薬)
5.6gを水200mlに溶解し、この水溶液を前記ア
ルカリ混合水溶液に5分間かけて滴下して、複合含水酸
化物の沈殿を形成させた。この際のpHは10.5であ
った。次いで、この沈殿をろ取し、水洗によって副生塩
を除去した。
【0064】次に、この複合含水酸化物に1規定水酸化
ナトリウム水溶液23mlを加えてスラリーを調製し、
オートクレーブに移し、自生圧力下に300℃で24時
間水熱反応させた。原料スラリーのpHは11.5で、
水熱反応後のpHは9.9であった。冷却後、反応物を
取り出し、80℃で乾燥したのち、擂潰機にて粉砕して
混合層ケイ酸塩を得た。
【0065】この混合層ケイ酸塩は、a=0、x=0.
2、b=0.4、c=0、y=0.2、d=1、m=1
及びn=1で設計して得られたもので、八面体シートに
銅とマグネシウムを含有している。分析値より得られた
組成は、A=8.0、B=0.59、C=8.53及び
D=0.67であった。銅とマグネシウムの割合は銅2
0.3モル%及びマグネシウム79.7モル%であっ
た。陽イオン交換容量は0.72ミリ当量/gであっ
た。また、このものを2.5重量%含有する水性分散液
は白紫色のゲルを形成し、1022/sにおける見掛け
粘度は13cPであった。300℃加熱脱水後の細孔特
性を表2に示す。
【0066】実施例9 実施例1において、試薬として3号水ガラス68.7
g、塩化コバルト六水和物(一級試薬)101.0g、
塩化アルミニウム六水和物(一級試薬)35.5g、1
6規定硝酸水溶液18ml及び4規定水酸化ナトリウム
水溶液325mlを用い、実施例1と同様な操作により
複合含水酸化物を調製した。この際、沈殿形成pHは1
0.5であった。
【0067】次に、この複合含水酸化物に1規定水酸化
ナトリウム水溶液16mlを加えてスラリーを調製し、
オートクレーブに移し、自生圧力下に250℃で24時
間水熱反応させた。原料スラリーのpHは10.4で、
水熱反応後のpHは7.9であった。冷却後、反応物を
取り出し、80℃で乾燥したのち、擂潰機にて粉砕して
混合層ケイ酸塩を得た。
【0068】この混合層ケイ酸塩は、a=0.4、x=
1、b=0.4、c=0.4、y=1、d=1、m=3
及びn=1で設計して得られたもので、八面体シートに
コバルトを含有している。分析値より得られた組成は、
A=8.0、B=3.57、C=10.62及びD=
0.55であった。このものを2.5重量%含有する水
性分散液は紫色のゾル液となった。このものの陽イオン
交換容量は0.40ミリ当量/gであった。300℃加
熱脱水後の細孔特性を表2に示す。
【0069】実施例10 実施例1において、試薬として3号水ガラス68.7
g、塩化ニッケル六水和物(一級試薬)65.2g、硫
酸第一鉄七水和物(一級試薬)19.0g、塩化アルミ
ニウム六水和物(一級試薬)5.6g、16規定硝酸水
溶液18ml及び2規定水酸化ナトリウム水溶液430
mlを用い、実施例1と同様な操作により、複合含水酸
化物を調製した。この際、沈殿形成pHは10.6であ
った。
【0070】次に、この複合含水酸化物に1規定水酸化
ナトリウム水溶液23mlを加えてスラリーを調製し、
オートクレーブに移し、自生圧力下に300℃で24時
間水熱反応させた。原料スラリーのpHは10.6で、
水熱反応後のpHは9.5であった。冷却後、反応物を
取り出し、80℃で乾燥したのち、擂潰機にて粉砕して
混合層ケイ酸塩を得た。
【0071】この混合層ケイ酸塩は、a=0、x=1、
b=0.4、c=0、y=1、d=1、m=1及びn=
1とし、八面体シートに鉄とニッケルをモル比1:4の
割合で含有させるように設計して得られたものである。
分析値より得られた組成は、A=8.0、B=0.5
6、C=8.36及びD=0.72であった。鉄とニッ
ケルの割合は鉄26.9モル%及びニッケル73.1モ
ル%であった。交換性陽イオンはナトリウムで、陽イオ
ン交換容量は0.76ミリ当量/gであった。このもの
を2.5重量%含有する水性分散液はコーヒー色をした
ゾル液を形成した。300℃加熱脱水後の細孔特性を表
2に示す。
【0072】実施例11 実施例1において、試薬として3号水ガラス68.7
g、硫酸第一鉄七水和物(一級試薬)95.3g、塩化
アルミニウム六水和物(一級試薬)5.6g、16規定
硝酸水溶液18ml及び2規定水酸化ナトリウム水溶液
460mlを用い、実施例1と同様な操作により、複合
含水酸化物を調製した。この際、沈殿形成pHは10.
5であった。
【0073】次に、この複合含水酸化物に1規定水酸化
ナトリウム水溶液23mlを加えてスラリーを調製し、
オートクレーブに移し、自生圧力下に400℃で24時
間水熱反応させた。原料スラリーのpHは11.4で、
水熱反応後のpHは9.7であった。冷却後、反応物を
取り出し、80℃で乾燥したのち、擂潰機にて粉砕して
混合層ケイ酸塩を得た。
【0074】この混合層ケイ酸塩は、a=0、x=1、
b=0.4、c=0、y=1、d=1、m=1及びn=
1とし、八面体シートに鉄を含有させるように設計して
得られたものである。分析値より得られた組成は、A=
8.0、B=0.61、C=8.25及びD=0.36
であった。陽イオン交換容量は0.26ミリ当量/gで
あった。300℃加熱脱水後の細孔特性を表2に示す。
【0075】
【表2】 (注)細孔特性は、−196℃における窒素ガス吸着等
温線より求めた。
【0076】実施例7〜11で得られた本発明の混合層
ケイ酸塩は、比表面積が98〜198m2/gで、細孔
容積が0.162〜0.378cm3/gであり、多孔
体として有用である。また、平均細孔直径が3.3〜1
2.8nmの比較的広い範囲をカバーしたメソポア領域
にあり、かつ二価重金属を含有するため、通常のガス分
離のみならず、生体関連物質などの分子の大きな有機物
質の吸着分離や、抗菌材料、センサー材料、触媒、触媒
担体などに用いることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 林 拓道 宮城県仙台市宮城野区栄4丁目14−22B 102号 (72)発明者 蛯名 武雄 宮城県仙台市宮城野区清水沼2丁目3番 6号 泉荘202号 (56)参考文献 特開 平8−59226(JP,A) 特開 平3−5315(JP,A) 特開 平1−160817(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C01B 33/20 - 33/46

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基本構造が、一般式 Si2-aAl2a(Mg1-x1 x3-a5(OH)4 (式中のM1は二価重金属、a及びxは、0≦a≦1及
    び0<x≦1の関係を満たす数である)で表わされる板
    状蛇紋石層と、一般式 [Si4-b-cAlb+2c(Mg1-y2 y3-c10(O
    H)2b-・Zd+ b/d (式中のM2は二価重金属、Zd+はアルカリ金属イオ
    ン、アルカリ土類金属イオン、二価重金属イオン又はア
    ンモニウムイオン、b、c及びyは、0<b<1、0≦
    c<1及び0<y≦1の関係を満たす数、dは1又は2
    である)で表わされるサポナイト層から成る混合層ケイ
    酸塩。
  2. 【請求項2】 サポナイト層に対する板状蛇紋石層の割
    合がモル比で0.1〜10の範囲になる請求項1記載の
    混合層ケイ酸塩。
  3. 【請求項3】 Zがナトリウムであり、混合層ケイ酸塩
    中のSi:Al:(Mg+M1+M2):Naモル比を
    A:B:C:Dで表わした場合、 A=(2−a)m+(4−b−c)n B=2am+(b+2c)n C=(3−a)m+(3−c)n D=bn (式中のa、b及びcは前記と同じ意味をもち、m及び
    nは、それぞれ板状蛇紋石層とサポナイト層のモル基準
    の割合であり、Aを8に設定した場合、B、C及びDの
    値は0<B<8、6<C<12及び0<D<2である)
    で示される請求項1又は2記載の混合層ケイ酸塩。
  4. 【請求項4】 陽イオン交換容量が0〜1.3ミリ当量
    /gである請求項1又は2記載の混合層ケイ酸塩。
  5. 【請求項5】 板状蛇紋石及びサポナイトの積層構造を
    反映した長周期反射あるいはその高次反射のd値が5Å
    以上に認められる請求項1又は2記載の混合層ケイ酸
    塩。
  6. 【請求項6】 所定の割合のケイ素、二価重金属、アル
    ミニウム及び必要に応じてマグネシウムを含む複合含水
    酸化物を調製したのち、水及び陽イオン(Zd+)を添加
    して得られたスラリーを100〜500℃の温度におい
    て水熱反応させることを特徴とする請求項1又は2記載
    の混合層ケイ素塩の製造方法。
  7. 【請求項7】 ケイ酸、二価重金属塩、アルミニウム塩
    及び必要に応じてマグネシウム塩を含有する酸性水溶液
    とアルカリ水溶液とを混合して沈殿を形成させ、回収後
    洗浄して副生塩を除去することにより、複合含水酸化物
    を調製する請求項6記載の混合層ケイ酸塩の製造方法。
  8. 【請求項8】 ケイ酸ナトリウムを含有するアルカリ水
    溶液と二価重金属塩、アルミニウム塩及び必要に応じて
    マグネシウム塩を含有する酸性水溶液とを混合して沈殿
    を形成させ、回収後洗浄して副生塩を除去することによ
    り、複合含水酸化物を調製する請求項6記載の混合層ケ
    イ酸塩の製造方法。
  9. 【請求項9】 ケイ酸ナトリウム及びアルミン酸ナトリ
    ウムを含有するアルカリ水溶液と二価重金属塩及び必要
    に応じてアルミニウム塩又はマグネシウム塩あるいはそ
    の両方を含有する酸性水溶液とを混合して沈殿を形成さ
    せ、回収後洗浄して副生塩を除去することにより、複合
    含水酸化物を調製する請求項6記載の混合層ケイ酸塩の
    製造方法。
  10. 【請求項10】 陽イオン(Zd+)がアルカリ金属イオ
    ンである請求項6記載の混合層ケイ酸塩の製造方法。
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