JP3002061B2 - マツオウジ用人工培地 - Google Patents

マツオウジ用人工培地

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JP3002061B2
JP3002061B2 JP4242701A JP24270192A JP3002061B2 JP 3002061 B2 JP3002061 B2 JP 3002061B2 JP 4242701 A JP4242701 A JP 4242701A JP 24270192 A JP24270192 A JP 24270192A JP 3002061 B2 JP3002061 B2 JP 3002061B2
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matsuouji
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徹 小畑
政明 山内
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鐘紡株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高品質の子実体を高収
量産生させ得るマツオウジ用人工培地に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、菌類による木材の分解現象を木
材腐朽と呼び、木材腐朽の原因となる菌類を木材腐朽性
菌と言う。木材が腐朽性菌に侵されると、木材組織は破
壊され、材は腐朽性菌の種類によって独特の腐朽状態を
示すようになるが、腐朽材の色調によって、材が白色と
なるものを白色腐朽、褐色となるものを褐色腐朽として
2大別されている。腐朽性菌の方も、それが引き起こす
腐朽型に従って、それぞれ白色腐朽性菌と褐色腐朽性菌
とに分けられてきている(木材化学 下 右田伸彦他
共立出版 昭和56年度 p.33)。従来、茸の人工
栽培については、シイタケ,エノキタケ,ナメコ,ヤナ
ギマツタケ,マイタケ等において確立され、実用化され
ているが、これらの茸は全て白色腐朽性菌系茸である。
一方、褐色腐朽性菌系茸であるマツオウジにおいては、
未だ、その栽培方法が十分確立されていないのが実状で
ある。
【0003】旧来試みられてきたマツオウジの栽培方法
としては、例えば、特公昭49−22811号公報に、
鋸屑,米ぬかからなる培養基に、マツオウジを接種して
菌まわしをした後、培養基に圧力を加えて発茸をさせる
方法が開示されているが、収量が示されていないよう
に、その発茸が十分ではなく商業レベルには至っていな
い。一方、特公昭52−127851号公報に示される
ように、マツの円盤を、鋸屑に米ぬかを加えたものを結
着剤として重ね合わせ、これにマツオウジを接種して埋
土を行い、発茸させる方法も挙げられるが、この方法
も、子実体の収量が示されていないように、商業レベル
に至る十分な品質・收量を得られる栽培方法を提供する
ものではなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
事情に鑑みなされたものであって、その目的とするとこ
ろは、従来達成されなかった、高品質の子実体を高収量
産生し得るマツオウジ用人工培地を提供するにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上述の目的は、タピオカ
澱粉を乾燥固形量中10重量%以上含有し、かつ培地支
持体として針葉樹を用いることを特徴とするマツオウジ
用人工培地によって達成される。
【0006】以下、本発明を詳説する。
【0007】本発明の人工培地の支持体としては、それ
自身が資化される原料ともなっている植物体組織の粉砕
物である針葉樹の挽粉が用いられる。針葉樹であればい
ずれの挽粉も用いられるが、マツを腐朽するマツオウジ
には、マツ科(アカマツ,クロマツ,カラマツなど)の
挽粉が好適である。また、それ自身は茸に利用されない
レゾール樹脂,フェノール樹脂の発泡体やックウール,
アルミナファイバー,バーミキュライト等のような無機
鉱物質の焼成発泡体等を組合せ、人工培地の物性改良に
用いてもよい。
【0008】更に、栄養を補填する目的で、それ自身が
資化され、かつ適性な含気率、保水性を有する栄養源と
して、タピオカから得られる生澱粉や、酢酸澱粉,部分
アルファー化澱粉,燐酸エステル化澱粉,ヒドロキシエ
ーテル化澱粉等の化工澱粉等を使用する。上記澱粉は、
一種あるいは二種以上を組み合わせてもよい。タピオカ
澱粉は、粘着性,保水性,含気性の点で好適である。
【0009】その添加量は、乾燥固形量中10%以上含
有されることが必要である。好ましくは10〜50%、
より好ましくは10〜30%の範囲である。添加量が1
0%未満である場合は、培地への菌糸の蔓延日数が長く
なり、また、培地から発生する子実体の収量も非常に少
ない。一方、添加量が50%を超える場合、含水率を6
0%前後に調整すると、培地が嫌気的になり、菌糸の培
地への蔓延が長くなる傾向にある。
【0010】また、栄養源中、窒素源として、コーンス
テイープリカー,酵母エキス,マルツエキス等の水溶性
のもの、あるいはフイッシュミール,脱脂大豆,小麦ふ
すま,米ぬか,酵母菌体等の水不溶性のものを、必要に
応じて、含有させることにより、より培地への菌糸蔓延
日数が早く、子実体収量も多くなる。中でも、脱脂大豆
を使用した場合には、収量への効果として、好ましい結
果が得られる。また、その添加量は、乾燥固形量中0.
1〜10%とすることが好ましい。
【0011】本発明の人工培地の調製は、例えば、次の
ようにして行う。すなわち、上記支持体,澱粉及び窒素
源に加水,混合する。このとき、水分率は、好ましくは
50〜70%に調整する。次に、ポリプロピレン等のプ
ラスチック製袋に充填,成形し、殺菌することにより人
工培地が得られる。
【0012】得られた人工培地を用いての茸の栽培は、
例えば、種菌を植菌し、培養を行って、培地に菌糸を蔓
延させる。その後、袋を破袋し、茸の種類によって適切
な環境条件を設定し、栽培を行い、子実体を形成させ
る。本発明の人工培地を用いて、マツオウジの栽培を行
うと、高品質の茸が高収量得られる。
【0013】また、本発明の人工培地は、マツオウジ
種菌用培地としても用いることが可能であり、培地への
菌糸の蔓延日数が早くなる効果を有する。
【0014】
【発明の効果】以上のように、人工培地中に澱粉を乾燥
固形量中10%以上含有させることにより、いままで栽
培が困難とされていたマツオウジを、高品質・高収量に
て栽培することが可能となる。
【0015】以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に
説明する。 <実施例1> 表1に示すように、針葉樹カラマツ木粉(20〜60m
esh内に60%以上含有される態様である挽粉。以
下、同様。)が培地乾燥固形量の68%,タピオカ澱粉
が27%,脱脂大豆が5%であるような組成とし、水分
率を65%に調整した。次いで、通気用滅菌紙フィルタ
ーを貼付したポリプロピレン袋に、当該培地を500g
充填し、円盤状に成形した。次いで、121℃で90分
間レトルト処理を施した後、25℃まで培地を冷却し
た。当該培地に、マツオウジ種菌を接種し、25℃恒温
湿度70%にて培養を行い、菌糸を培地に蔓延させた。
その後、ポリプロピレン袋を破袋し、菌糸の蔓延した菌
床を取り出して、22℃〜25℃温度下湿度85%〜9
5%の環境下、当該培地を設置することにより、10日
〜20日後に良型マツオウジ子実体を得ることができた
(第一回目発生130g)。更に、温度15℃湿度70
%下に設置し、30日程度エイジングを施した後、腐葉
土・鹿沼土・赤玉土等に埋設し、雰囲気温度22℃〜2
5℃下で適宜灌水する事により二回目の発茸(60g)
をさせることができた。
【0016】<実施例2> カラマツ木粉が培地乾燥固形量の83%,タピオカ澱粉
が12%,脱脂大豆が5%の組成とし、水分率を65%
に調整した。以下、実施例1と同様の態様により、マツ
オウジ種菌を植菌し、培養・栽培を行うことにより、良
型マツオウジ子実体を得ることができた。
【0017】<実施例3> カラマツ木粉が培地乾燥固形量の50%,タピオカ澱粉
が45%,脱脂大豆が5%の組成とし、水分率を65%
に調整した。以下、実施例1と同様の態様により、マツ
オウジ種菌を植菌し、培養・栽培を行うことにより、良
型マツオウジ子実体を得ることができた。
【0018】<実施例4> カラマツ木粉が培地乾燥固形量の50%,タピオカ澱粉
が45%,酵母エキスが5%の組成とし、水分率を65
%に調整した。以下、実施例1と同様の態様により、マ
ツオウジ種菌を植菌し、培養・栽培を行うことにより、
良型マツオウジ子実体を得ることができた。
【0019】<実施例5> アカマツ木粉が培地乾燥固形量の68%,タピオカ澱粉
が27%,脱脂大豆が5%の組成とし、水分率を65%
に調整した。以下、実施例1と同様の態様により、マツ
オウジ種菌を植菌し、培養・栽培を行うことにより、良
型マツオウジ子実体を得ることができた。
【0020】<比較例1> カラマツ木粉が培地乾燥固形量の93%,タピオカ澱粉
が2%,脱脂大豆が5%の組成とし、水分率を65%に
調整した。以下、実施例1と同様の態様により、マツオ
ウジ種菌を植菌し、培養・栽培を行ったところ、培養基
への菌糸蔓延日数が75日と実施例に比較して長く、発
生子実体も極めて少なかった。
【0021】<比較例2> カラマツ木粉が培地乾燥固形量の87%、タピオカ澱粉
が8%、脱脂大豆が5%の組成とし、水分率を65%に
調整した。以下、実施例1と同様の態様により、マツオ
ウジ種菌を植菌し、培養・栽培を行ったところ、培養基
への菌糸蔓延日数が62日と長く、発生子実体収量が4
5gで少なかった。
【0022】<比較例3> カラマツ木粉が培地乾燥固形量の67%,米ぬかが33
%の組成とし、水分率を65%に調整した。以下、実施
例1と同様にマツオウジ種菌を植菌し、培養・栽培を行
ったところ、培養基への菌糸蔓延日数が長く、発茸もみ
られなかった。
【0023】<比較例4> 広葉樹である ミズナラ木粉が培地乾燥固形量の68%,
馬鈴薯澱粉が27%,脱脂大豆が5%の組成とし、水分
率を65%に調整した。以下、実施例1と同様の態様に
より、マツオウジ種菌を植菌し、培養・栽培を行ったと
ころ、針葉樹であるカラマツやアカマツを用い、澱粉の
量は同じであるがタピオカ澱粉を用いた実施例1や5に
比べて、発茸までの平均経過日数も長く、また子実体の
発生総収量も少ない結果となった。
【0024】<比較例5> カラマツ木粉が培地乾燥固形量の68%,タピオカ澱粉
が27%,脱脂大豆が5%の組成とし、水分率を65%
に調整した。以下、実施例1と同様の態様により、カ
ゾウタケ種菌を植菌し、培養・栽培を行ったところ、同
様の培地組成でマツオウジを培養・栽培した実施例1に
比べて、培養基への菌糸蔓延日数,発茸までの平均経過
日数もかなり長く、また子実体の発生総収量も極端に少
ない結果となった。
【0025】上記実施例1〜、比較例1〜につい
て、その結果を表1にあわせて示す。また、実施例1〜
3,比較例1〜2について、澱粉含有量と子実体収量と
の関係をグラフ化(図1)した。図1より、澱粉含有量
が10%以上の場合、子実体収量が大幅に増加するのが
わかる。
【0026】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1〜3及び比較例1〜2について、澱粉
含有量と子実体収量との関係を表わした線図。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 タピオカ澱粉を乾燥固形量中10重量%
    以上含有し、かつ培地支持体として針葉樹を用いること
    を特徴とするマツオウジ用人工培地。
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