JP2998046B2 - 印刷鮮映性の優れた溶接缶用有機積層鋼板及びその鋼板より成る溶接缶 - Google Patents

印刷鮮映性の優れた溶接缶用有機積層鋼板及びその鋼板より成る溶接缶

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、缶容器、特に缶胴を溶
接によって成形するスリーピース缶用鋼板並びにその鋼
板より製造されるスリーピース缶、特に缶内外面の塗装
・印刷に全く新しい工夫をこらした優れた意匠性を有す
る缶用有機積層鋼板及びその鋼板より製造される溶接
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】缶容器を製缶プロセスの面から見ると、
大きく二種類に分類される。一つは缶底と缶胴が一体と
なったものに天蓋を巻締めたもので、通常ツーピース缶
と呼ばれ、代表的な缶としては、絞り・しごき加工によ
って製缶されるDI缶(Draw and Ironing缶)と、絞り
加工によって製缶されるDrD缶(Draw andRedrawn
缶)等がある。
【0003】もう一つは胴部に地蓋及び天蓋を巻締めた
もので、通常スリーピース缶と呼ばれ、代表的な缶とし
て、半田缶・接着缶・溶接缶等があるが、現在は接着缶
と溶接缶が主流となっている。スリーピース缶用素材と
しては、鋼板に錫めっきとクロメート処理を施したブリ
キ系素材、鋼板にニッケルめっきとクロメート処理を施
したニッケルめっき系素材、鋼板に金属クロムと水和酸
化クロムの二層皮膜を有するティンフリースチール系素
材、その他が使用されている。
【0004】これらの素材は、殆どの場合、缶内面は内
容物保持性(耐食性)の点から塗装が施され、又缶外面
は内容物表示のため商標デザインが印刷されている。こ
のような内面塗装及び外面印刷は、前述したスリーピー
ス缶用素材を切板にした後、切板塗装ラインにて、内面
塗装(1回目)、外面印刷用下地塗装(2回目)、外面
印刷(3回目)の3回通板により製造される。高度の耐
食性が要求される用途に対しては二度の内面塗装が必要
な場合があり、又外面印刷も5色以上の多色印刷の場
合、二度の印刷が必要とされ、結果として4回通板ある
いは5回通板により内外面の塗装、印刷が行われること
もある。そして、1回の通板毎に切板を焼付け炉で加熱
する必要がある。
【0005】このような塗装印刷工程の合理化のため、
いわゆるコイルコーティング法にて内面塗装及び外面印
刷用ホワイトコート、更には外面印刷まで一貫して連続
的に行うことが期待されるが、印刷については、金属素
地をベースとする場合には印刷精度を出すことが難し
く、実用化されていないのが現状である。そして、こう
した多数回の切板ライン通板により塗装、印刷が行われ
た鋼板の缶胴接合部は、例えば溶接缶の場合、無塗装状
態にて残されており、缶サイズに切断された後、円筒状
に丸めて溶接され、スリーピース缶胴とされる。
【0006】フィルムを鋼板に積層させる技術は古くか
らあり、缶容器の分野に対しても従来から検討されてき
ている。例えば、特開昭58−82717号公報、特開
昭62−227642号公報に見られるように、従来は
主に絞り缶や絞りしごき缶と言ったツーピース缶や18
リットル缶及び缶蓋用途であり、本発明のように缶外面
に商品デザインを印刷したフィルムが積層されているス
リーピース缶と言った技術はない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】前述したように、現行
のスリーピース缶分野では、製缶コストの低減のため、
切板塗装、印刷工程を連続化する努力がなされており、
塗装のみは連続化されているが、印刷の連続化は達成さ
れていない。又一方では、従来のスリーピース缶より安
価で、かつより鮮映で深みのある外観を有する商品イメ
ージの高い意匠性の優れた缶の出現が望まれている。
【0008】スリーピース缶の塗装工程は、(1)生産
性が悪い、(2)仕掛り期間が長い、(3)多数の人手
を要する、(4)印刷仕上がり外観の高度化が難しい、
(5)極薄材の使用が困難である、等の多くの問題を抱
え、スリーピース缶の競争力を低下させる原因となって
いた。本発明は、このような煩雑な塗装、印刷工程を抜
本的に変革し、塗装、印刷をコイル状にて連続的に1回
の通板により可能にすると共に、より鮮映で深みのある
印刷外観を有する商品イメージの高い意匠性の優れた缶
を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は缶外面に当たる
面が印刷鮮映性の優れた溶接缶用有機積層鋼板及びその
鋼板より成る溶接缶に関するもので、その要旨は以下の
通りである。即ち、全ての面方向の光沢が、光沢度Gs
(60°)にて300%以上の鏡面光沢を有する表面処
理鋼板の一方の表面に、鋼板側から接着剤層/商標デザ
インを表示したインキ層/飽和ポリエステル樹脂フィル
ム層/摩擦係数0.2以下の潤滑性皮膜層の多層構造の
有機皮膜を有することを特徴とする印刷鮮映性の優れた
溶接缶用有機積層鋼板及びその鋼板より成る溶接缶であ
る。
【0010】
【作用】本発明の皮膜構成は、鋼板側から、全ての面方
向の光沢が光沢度Gs(60°)にて300%以上の鏡
面光沢を有する表面処理鋼板/接着剤層/商標デザイン
を表示したインキ層/飽和ポリエステル樹脂フィルム層
摩擦係数0.2以下の潤滑性皮膜層の多層構造の有機
皮膜層から成っている。
【0011】本発明の鋼板及びその鋼板より成る缶体が
上記多層皮膜構造を有する理由は以下の通りである。飽
和ポリエステル樹脂皮膜は、印刷インキ層を保持するた
めの担体として使用される。即ち、前述したように、鋼
板への直接印刷は困難なため、フィルム上に連続印刷を
行い、印刷済みのフィルムを鋼板に連続的に積層するこ
とにより、鋼板への連続印刷を間接的に可能とするもの
である。
【0012】印刷インキ層は、缶詰内容物、銘柄等の商
標デザインを表示するためのものである。以下、本発明
に適用される有機皮膜及び鋼板について説明する。本発
明で鋼板に積層させるフィルムは飽和ポリエステル樹脂
フィルムの面配向を有するものが適用される。
【0013】スリーピース缶の製胴は、現在接着及び溶
接の両方式が主流であるが、特に溶接方式で得られる溶
接缶の場合、溶接部は無塗装状態で行われるため、耐食
性の点から溶接部の補修塗装が必要となっている。この
補修塗装も生産性の点から、短時間焼付けの方向にあ
り、最高到達温度が280℃になる場合がある。こうし
た熱の影響はフィルムの融点が低いと局部的に溶融した
り、結晶状態が変化したりして、商標デザインの意匠性
を低下させる原因となる。更に、製胴後天蓋巻締め、内
容物充填、地蓋巻締めされるわけだが、内容物が炭酸飲
料の場合を除き、通常80〜130℃の温度範囲で高温
充填あるいは加熱殺菌処理(レトルト処理)が行われ
る。この時にも樹脂フィルムの結晶状態が変化すると前
述した外観低下につながる。
【0014】ポリエステル樹脂の場合、アルコール成分
と酸成分を選択することにより260℃程度の高融点の
ものが得られ、更に面配向を付与させることにより、鋼
板への積層時のフィルム寸法精度、製缶工程及び内容物
充填工程における耐熱性も確保できることから適用性は
広く、好ましい。飽和ポリエステル樹脂フィルムでも、
面配向性を有さない構造のものでは、製缶工程あるいは
充填工程等の熱影響を受けて、加工性あるいは耐食性に
劣る結晶状態のものとなり実用的でない。
【0015】具体的には、製膜の際に二軸延伸、熱固定
処理を行った飽和ポリエステル樹脂フィルムが最も好ま
しい。次に、本発明に適用されるフィルム厚みについて
述べる。本発明では、フィルム厚みは5〜25μmのも
が適用される。下限値の5μm未満ではフィルムに製缶
工程でが付いた場合、点錆の発生原因となり、外観の
低下をきたすため好ましくない。耐錆性に関してはフィ
ルム厚みは厚い方が有利であることは言うまでもない
が、余り厚くなるとフィルム積層部と非積層部(溶接部
近傍)の段差が大きくなり、手触り感覚の低下及び、段
差が原因となるフィルムの付き問題が生じることにな
る。フィルム厚みの上限値はかかる意味から制約を受
け、25μmを超えるとこれらの問題が顕著に現れるこ
とがある。フィルム厚みとしては、8〜20μmが好ま
しい。
【0016】次に、インキ層について述べる。本発明に
適用されるインキ層は、商標デザインを印刷するもの
で、主にウレタン樹脂等の樹脂をバインダーとした耐熱
性、耐レトルト性の優れたインキが使用される。本発明
の重要な目的である印刷外観の高級化と言った観点から
は、印刷手段としてはグラビア印刷が好ましいと判断さ
れる。
【0017】インキ層の厚みは、商標デザインによって
多種多様であり、基本的には限定できるものではないこ
とは言うまでもない。潤滑性皮膜層は、高速製缶工程で
の通板性及び飽和ポリエステル樹脂フィルムの付き防
止を目的として施すものであるが、同時に印刷の鮮映性
を損ねないようにする必要がある。
【0018】潤滑性皮膜としては、摩擦係数0.2以下
の皮膜であり、例えばアクリル系、ポリエステル系等の
熱硬化性塗料にシリコーン系の潤滑剤等を含有させた皮
膜が適用される。潤滑性皮膜の厚みは0.1〜5μmと
する。0.1μm未満では摩擦係数は小さくならず、効
果は見られない。一方、5μmを超えても摩擦係数の更
なる低下はなく、効果は飽和する。1〜4μmの範囲が
好ましい。
【0019】又、潤滑剤の含有量は0.5〜5%程度
で、潤滑性、鮮映性共に確保できるが、好ましくは1〜
3%程度がよい。
【0020】本発明に使用される接着剤は、前述した溶
接部の補修塗装の焼付けあるいはレトルト処理によっ
て、シワ発生やフィルム剥離を起こさないものを選択す
る必要があり、かかる意味からはウレタン系、ポリエス
テル系等の熱硬化型接着剤を使用する必要がある。接着
剤の厚みは0.5〜4μmで、0.5μm未満では接着
強度は十分に確保されず、4μm超では効果は飽和す
る。好ましくは1〜3μmの範囲である。
【0021】次に、本発明に適用される鋼板について述
べる。本発明では、基本的には光沢度Gs(60°)に
て300%以上の鏡面光沢を有する表面処理鋼板が適用
される。通常、金属の色調は基本的には金属自体の持つ
分光反射率によって決まり、例えば白さの程度は波長4
00〜700nmの範囲における分光反射率が高い方が
白く見える。更に同一金属の場合は、表面粗度が大きい
方が乱反射するため白く見え、表面粗度の小さいもの
は、正反射率が高いためかえって黒っぽく見える。この
ことは、鋼板表面にめっき等を施した表面処理鋼板にお
いても同様である。
【0022】しかし、本発明のように、印刷されたフィ
ルムが積層された場合の白インキ部の白さは、表面粗度
の影響は逆になり、表面粗度が小さく、光沢度の高い方
が白く見えること、更に印刷デザインにおいて白色部と
有色部のコントラストにより白色部がより白い程、印刷
デザインが映えることが本発明者の検討から明らかにな
り、本発明に至ったものである。
【0023】本発明では、全ての面方向の光沢が、光沢
度Gs(60°)にて300%以上の鏡面光沢を有する
表面処理鋼板が適用される。全ての面方向の光沢が、光
沢度Gs(60°)にて300%未満では、十分な白さ
が出せず好ましくない。特に、白インキの付着量が少な
い場合、積層させる鋼板の色調や、フィルム自体の色調
の影響が顕著に現れる。表面光沢としては、好ましくは
光沢度Gs(60°)にて350%以上、更に好ましく
は400%以上がよい。
【0024】又、全ての面方向で光沢が、光沢度Gs
(60°)にて300%以上と限定した理由について述
べる。一般にコイルの長手方向の光沢に比べ、コイルの
幅方向の光沢は劣る。これは、コイル鋼板の表面形状、
厚み精度、寸法精度等がロール圧延によって製造されて
いる以上、表面処理を施された鋼板においても、ある程
度は避けることはできない。しかし、この表面の面方向
の光沢の違いが、本発明のようにフィルムを積層した場
合、色具合に微妙に影響を及ぼす。従って、全ての面方
向の光沢を、ある一定以上の水準を確保する必要があ
り、かかる意味から、全ての面方向について上記の限定
を行ったものである。
【0025】なお、本発明で言う光沢度Gs(60°)
にて300%以上とは、例えばスガ試験機株式会社製の
デジタル光沢計(カセット式)や、ミノルタ製の光沢計
GM−060等の光沢計で、例えば光沢度92.0の標
準板を9.20として標準合わせした後サンプルを測定
し、その数値を10倍したときの値をもって光沢度値と
したものである。
【0026】次に、表面処理鋼板について述べる。本発
明では、めっき前の表面粗度が、全ての面内方向にてR
a0.40μm以下であり、面内方向での表面粗度差が
Ra0.20μm以下である鋼板表面に、0.5〜6.
0g/m2 の付着量の加熱溶融された錫めっき層が、該
鋼板表面粗度より小さくするような平滑かつ均一な状態
にて存在し、鏡面光沢を与える表面に、クロメート皮膜
を有する鋼板が適用される。更には、錫めっき皮膜の下
に、ニッケル付着量として0.01〜1.0g/m2
Niめっき層、あるいはFe−Ni、Fe−Ni−Sn
合金層の1種あるいは2種以上有する場合も本発明の対
象である。
【0027】めっき前鋼板の表面粗度を、全ての面内方
向にてRa0.40μm以下であり、面内方向での表面
粗度差がRa0.20μm以下と限定した理由は、Ra
が0.40μmより大では、0.5〜6.0g/m2
付着量の範囲の錫量を加熱溶融しても、めっき前鋼板の
粗度の影響が出て、本発明の主旨とする白さの確保が、
特に錫付着量が少ない場合は難しい。又、面内方向での
表面粗度差がRa0.20μm以下でないと、前述した
鋼板の長手方向の光沢と幅方向の光沢の違いが顕著にな
り、見る方向による白さの程度、更には印刷デザインの
鮮映性が異なり好ましくない。めっき前鋼板の表面粗度
は、好ましくは全ての面内方向でRa0.30μm以
下、面内方向の表面粗度差がRa0.15μm以下が好
ましい。
【0028】本発明では、0.5〜6.0g/m2 の付
着量の加熱溶融された錫めっき層が、めっき前鋼板の表
面粗度より小さくするような平滑でかつ均一な状態にて
存在しているものとする。付着量の下限値0.5g/m
2 未満では、めっき前の鋼板の表面粗度の影響が大きく
鏡面光沢を得るのは難しいばかりでなく、例えば溶接方
式で製胴する場合、高速溶接性が問題となる。一方、上
限値の6.0g/m2を超えても、表面光沢は大きくな
らず、効果は飽和してくる。錫付着量は好ましくは、
0.8〜5.8g/m2 、更に好ましくは1.0〜5.
8g/m2 がよい。
【0029】本発明では、錫めっき後、錫を加熱溶融し
た後、冷却し、更にクロメート処理が施されたものが適
用される。加熱溶融は、めっきされた錫を平滑にするた
めの重要な工程で、この工程を省くと錫付着量が少ない
場合、下地鋼板の影響が現れ、白さは確保されない場合
が生じる。従って、めっき後の錫は完全の加熱溶融する
必要があるが、同時に合金錫が生成し過ぎると加工性、
耐食性を損なうことになる危険性があるため、短時間に
加熱溶融する必要がある。
【0030】なお、表面を平滑に、かつ短時間に錫を溶
融させるため、錫めっき後、フェノールスルフォン酸等
のフラックスを用いて加熱溶融を行うことは有効な方法
である。本発明では、錫めっき皮膜の下に、ニッケル付
着量として0.01〜1.0g/m2 のNiめっき層、
あるいはFe−Ni、Fe−Ni−Sn合金層の1種あ
るいは2種以上有する場合も適用される。
【0031】れらの合金は、錫の加熱溶融による表面
平滑化に寄与すると同時に、合金錫の生成を抑制する効
果を併せ持っている。こうした作用は、特に錫付着量が
少ない場合に効果を発揮し、Niめっき層、あるいはF
e−Ni、Fe−Ni−Sn合金の量はニッケル付着量
として0.015〜0.8g/m2 が好ましい。又、本
発明では、上記の錫めっき、加熱溶融処理後、化成処理
として従来からぶりき(Snめっき鋼板)の化成処理と
して用いられているCDC処理と呼ばれるクロメート処
理、金属クロム/水和酸化クロムから成る皮膜であるク
ロム・クロメート処理等の化成処理を施したものが適用
される。この化成処理は、密着性確保の点で極めて有効
である。
【0032】本発明の有機積層鋼板を得る手段として
は、予め潤滑性皮膜の塗布及び商標デザインの印刷が施
されたフィルムを、接着剤を塗布した鋼板に積層させる
ドライラミネート法や、予めフィルムに潤滑性皮膜の塗
布及び商標デザインを印刷した後、インキ層面に接着剤
を塗布、乾燥させたフィルムを、加熱された鋼板に積層
させる方法等が採用できる。この場合の皮膜構成として
は、鋼板側から、鋼板/接着剤層/商標デザインを表示
したインキ層/飽和ポリエステル樹脂フィルム層/潤滑
性皮膜層、となる。
【0033】こうして得た有機積層鋼板は、通常の溶接
と同じ製胴手段で製缶することが可能である。
【0034】
【実施例】以下、実施例で本発明の効果を具体的に示
す。 (実施例1) 厚み10μmの二軸延伸ポリエステル樹脂フィルムに、
シリコーン潤滑剤を添加した熱硬化性ポリエステル塗料
を乾燥厚みとして2μm塗布した後、反対面に有色イン
キ4色と白インキの計5色で商標デザインをグラビア印
刷し、乾燥後、印刷インキ面に乾燥厚みとして2.3μ
mのウレタン系接着剤を塗布し、乾燥した。
【0035】一方、めっき前鋼板の表面粗度最大Ra
0.28μm、最小Ra0.22μmの板厚0.19m
mの冷延鋼板に片面の付着量として、Ni25mg/m
2 、Sn1.2g/m2 の二層めっきを行い、加熱溶融
処理を行った後、クロメート処理を施した。これ等の処
理後の表面粗度は最大Ra0.18μm、最小Ra0.
12μmで、光沢度は最大580%、最小420%であ
った。
【0036】このSn/Ni二層めっき鋼板を誘導加熱
方式で加熱し、200℃になった時、上記の印刷フィル
ムを、接着層を介して熱圧着し有機積層鋼板を得た(サ
ンプル1)。又、めっき前鋼板の表面粗度最大Ra0.
22μm、最小Ra0.18μmの板厚0.19mmの
冷延鋼板に片面の付着量として、Ni50mg/m2
Sn1.5g/m2 の二層めっきを行い、加熱溶融処理
を行った後、クロメート処理を施した。めっき後の表面
粗度は最大Ra0.10μm、最小Ra0.06μm
で、光沢度は最大680%、最小650%であった。
【0037】このSn/Ni二層めっき鋼板を誘導加熱
方式で加熱し、200℃になった時、上記の印刷フィル
ムを、接着層を介して熱圧着し、有機積層鋼板を得た
(サンプル2)。こうして得たサンプル1及びサンプル
2の有機積層鋼板から、有機積層面が缶外面となるよう
に250mlのジュース缶胴を溶接法にて製胴し、溶接
部を補修塗装し、最高到達温度(補修塗装部の局部温
度)250℃にて乾燥させた。
【0038】サンプル1及びサンプル2共に、缶胴外面
は光沢良好で色ムラはなく、しかもデザインの鮮映性は
現行の溶接缶に比べ良好であった。更に、缶胴をネック
ドイン加工し、一方の端部に天蓋を巻締めた後、内容物
を充填し、地蓋を巻締めて密封してから、125℃で3
0分レトルト処理を行い、皮膜の外観変化、密封性を調
べた結果、サンプル1及びサンプル2から得た缶体は、
密着性、光沢、色ムラ、密封性等、全く変化なく良好な
外観を有するものであった。
【0039】 (比較例) 厚み15μmの二軸延伸ポリエステル樹脂フィルムに、
シリコーン潤滑剤を添加した熱硬化性ポリエステル塗料
を乾燥厚みとして2μm塗布した後、反対面に有色イン
キ4色と白インキの計5色で商標デザインをグラビア印
刷し乾燥後、印刷インキ面に乾燥厚みとして2.1μm
のウレタン系接着剤を塗布し、乾燥した。
【0040】一方、めっき前鋼板の表面粗度最大Ra
0.53μm、最小Ra0.45μmの板厚0.20m
mの冷延鋼板に片面の付着量として、Ni25mg/m
2 、Sn1.78g/m 2 の二層めっきを行い、加熱溶
融処理を行ったのちクロメート処理を施した。めっき後
の表面粗度は最大Ra0.47μm、最小Ra0.41
μmで、光沢度は最大270%、最小148%であっ
た。
【0041】このNi/Sn二層めっき鋼板を誘導加熱
方式で加熱し、200℃になった時、上記の印刷フィル
ムを、接着層を介して熱圧着し有機積層鋼板を得た(比
較サンプル)こうして得た比較サンプルの有機積層
鋼板から、有機積層面が缶外面となるように250ml
のジュース缶胴を溶接法にて製胴し、溶接部を補修塗装
し、最高到達温度(補修塗装部の局部温度)250℃に
て乾燥させた。比較サンプルから得た缶胴の外面は光
沢良好で色ムラはなかったが、黒みがかった色調を呈し
ており、デザインの鮮映性は現行の溶接缶に比べ劣って
いた。
【0042】更に、缶胴をネックドイン加工し、一方の
端部に天蓋を巻締めた後、内容物を充填し、地蓋を巻締
めて密封してから、125℃で30分レトルト処理を行
い、皮膜の外観変化、密封性を調べた結果、比較サンプ
から得た缶体は、密着性、密封性等は全く変化はな
かったが、外観に関しては黒みがかった色調は変わら
ず、デザインの鮮映性は現行の溶接缶に比べ劣ってい
た。
【0043】
【発明の効果】本発明は多くの利点を保障するものであ
る。即ち、第一に、従来印刷下地塗膜をして行われてい
たサイズコートが省略できる。第二は、特殊な多層構造
を利用することにより、コイル製品を使用した連続塗装
印刷を幅広のまま高速にて行うことが可能となり、切板
塗装ラインに比べ2倍以上の生産性を確保できる。第三
は、多数回のライン通板が不要なため仕上がり期間が短
くて済む。第四は、コイル製品での取扱いなため、素材
板厚が極薄化しても、大きな操業上の問題を生じない利
点を有している。
【0044】このように、本発明によれば工程省略によ
る省力化、従来の溶接缶の低コスト化に対する製造上の
問題等を一挙に解決することができる。更に、本発明に
よれば現行の外面印刷缶に比べ、印刷の深みがでること
から商標デザインの鮮映性に優れ、消費者の多様化、高
級化に対応した溶接缶を供給できるなど、経済的、社会
的意義は大きいものがある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 井上 満稔 北九州市戸畑区飛幡町1番1号 新日本 製鐵株式会社 八幡製鐵所内 (72)発明者 柿本 道之 静岡県清水市草薙365−76 (56)参考文献 特開 昭59−133398(JP,A) 実開 平3−8534(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 15/08 B65D 1/12

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 全ての面方向の光沢が、光沢度Gs(6
    0°)にて300%以上の鏡面光沢を有する表面処理鋼
    板の一方の表面に、鋼板側から接着剤層/商標デザイン
    を表示したインキ層/飽和ポリエステル樹脂フィルム層
    摩擦係数0.2以下の潤滑性皮膜層の多層構造の有機
    皮膜を有することを特徴とする印刷鮮映性の優れた溶接
    用有機積層鋼板。
  2. 【請求項2】 飽和ポリエステル樹脂皮膜の厚みが5〜
    25μmであることを特徴とする請求項1記載の印刷鮮
    映性の優れた溶接缶用有機積層鋼板。
  3. 【請求項3】 全ての面方向の光沢が、光沢度Gs(6
    0°)にて300%以上の鏡面光沢を有する表面処理鋼
    板のめっき前の鋼板の表面粗度が、全ての面内方向にて
    Ra0.40μm以下であり、面内方向での表面粗度差
    がRa0.20μm以下である鋼板表面に、0.5〜
    6.0g/m2 の付着量の錫めっき層を有し、かつその
    錫めっき層はめっき鋼板表面粗度がめっき前の鋼板表面
    粗度より小さくなるように平滑かつ均一な状態にて存在
    し、鏡面光沢を与えることを特徴とする請求項1または
    記載の印刷鮮映性の優れた溶接缶用有機積層鋼板。
  4. 【請求項4】 錫めっき皮膜の下に、ニッケル付着量と
    して0.01〜1.0g/m2 のNiめっき層、あるい
    はFe−Ni、Fe−Ni−Sn合金層の1種あるいは
    2種以上を有することを特徴とする請求項記載の印刷
    鮮映性の優れた溶接缶用有機積層鋼板。
  5. 【請求項5】 全ての面方向の光沢が、光沢度Gs(6
    0°)にて300%以上の鏡面光沢を有する表面処理鋼
    板の一方の表面に、鋼板側から接着剤層/商標デザイン
    を表示したインキ層/飽和ポリエステル樹脂フィルム層
    摩擦係数0.2以下の潤滑性皮膜層の多層構造有機皮
    膜を有する溶接缶用有機積層鋼板の有機皮膜側を外面側
    にして製缶したことを特徴とする印刷鮮映性の優れた
    缶。
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