JP2996872B2 - 低温加工性の優れた耐熱性樹脂組成物 - Google Patents

低温加工性の優れた耐熱性樹脂組成物

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JP2996872B2
JP2996872B2 JP6141913A JP14191394A JP2996872B2 JP 2996872 B2 JP2996872 B2 JP 2996872B2 JP 6141913 A JP6141913 A JP 6141913A JP 14191394 A JP14191394 A JP 14191394A JP 2996872 B2 JP2996872 B2 JP 2996872B2
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達弘 吉田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐熱性に優れ、かつ有
機溶剤に可溶で成形加工性に優れた耐熱性樹脂組成物に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリイミド樹脂は、耐熱性が高く難燃性
で電気絶縁性に優れていることからフィルムとしてフレ
キシブル印刷配線板や耐熱性接着テープの基材に、樹脂
ワニスとして半導体の層間絶縁膜、表面保護膜に広く使
用されている。しかし、従来のポリイミド樹脂は吸湿性
が高く、耐熱性に優れている反面不溶不融であったり融
点が極めて高く、加工性の点で決して使いやすい材料と
はいえなかった。また半導体の実装材料として層間絶縁
膜、表面保護膜などに使用されているが、これらは有機
溶剤に可溶なポリイミド樹脂の前駆体ポリアミック酸を
半導体表面に塗布し、加熱処理によって溶剤を除去する
と共にイミド化をして用いている。この時、イミド化を
完全に進めるために、また高沸点のアミド系溶剤を揮散
させるために300℃以上の高温乾燥工程を必要とす
る。このため高温にさらされ、他に使用する部材の熱損
傷や素子の劣化を招きアセンブリ工程の収率を劣化させ
る。また、皮膜の吸湿性が高いため、高温時に吸収した
水分が一気に蒸発して膨れやクラックの原因となるなど
の問題があった。
【0003】前記の欠点を改良する方法として、有機溶
剤に可溶で既にイミド化されたポリイミド樹脂組成物か
らフィルム状接着剤を形成し、これを被着体に熱圧着す
る方法等が提案されている(特開平5−105850、
112760、112761号公報を参照)。しかしな
がら、ポリイミド樹脂をホットメルト型の接着剤として
使用するこの様な場合、ポリイミド樹脂のガラス転移温
度が高いと加工に非常な高温を要し被着材に熱損傷を与
える恐れが大きい。一方、低温加工性を付与するためポ
リイミド樹脂のガラス転移温度を下げるとポリイミド樹
脂の耐熱性という特徴を十分に生かすことができないと
いう問題点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、耐熱性に優
れ、かつ低温での成形加工性の優れた耐熱性樹脂を得る
べく鋭意研究を重ねた結果、特定構造のポリイミド樹脂
にエポキシ化合物、該エポキシ化合物と反応可能な活性
水素基を有する化合物および、カップリング剤を添加す
ると、上記課題が解決できることを見出し、本発明に到
達したものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の耐熱性樹脂組成
物は、ガラス転移温度が350℃以下の有機溶剤に可溶
なポリイミド樹脂100重量部に対して、1分子中に少
なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ化合物5〜
100重量部、該エポキシ化合物と反応可能な活性水素
基を有する化合物0.1〜20重量部、カップリング剤
0.1〜50重量部を主たる成分として含有されている
ことを特徴とする耐熱性樹脂組成物である。
【0006】本発明の耐熱性樹脂組成物の成分(A)ポ
リイミド樹脂は、低シリコーン含量のポリアミド酸と高
シリコーン含量のポリアミド酸を溶液状態で混合した
後、イミド化することによって得ることを特徴とする。
これは、2種類のポリアミド酸を混合して得た混合ポリ
イミド樹脂において、耐熱性、特に熱時の優れた機械強
度を低シリコーン含量ポリアミド酸由来の部分に、低吸
水性、接着性などのシリコーン変性の優れた特性を高シ
リコーン含量ポリアミド酸由来の部分に担わせることに
よってトレードオフの特性を実現することに特徴があ
る。さらに、アミド酸状態で混合後イミド化することに
よって二成分の分離を防ぎ溶媒可溶性を得ることが可能
となる。
【0007】さらに詳しく述べると、一般式(1)で表
されるシリコンジアミンaモルと他のジアミンbモルを
アミン成分とし4,4’−オキシジフタル酸二無水物、
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無
水物、及び3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラ
カルボン酸二無水物からなる群から選ばれた1種類また
は2種類以上のテトラカルボン酸二無水物cモルを酸成
分とする 0.02≦a/(a+b)≦0.10 でか
つ 0.960≦c/(a+b)≦1.04である低シ
リコーン含量のポリアミド酸Aと、一般式(1)で表さ
れるシリコンジアミンdモルと他のジアミンeモルをア
ミン成分とし4,4’−オキシジフタル酸二無水物、
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無
水物、及び3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラ
カルボン酸二無水物からなる群から選ばれた1種類また
は2種類以上のテトラカルボン酸二無水物fモルを酸成
分とする 0.20≦d/(d+e)≦0.70 でか
つ 0.920≦f/(d+e)≦1.10 である高
シリコーン含量のポリアミド酸Bとを溶液状態で0.1
2≦(a+d)/(a+b+d+e)≦0.50 とな
るように混合した後、イミド化することによって製造す
ることを特徴とするポリイミド樹脂である。
【0008】
【化1】
【0009】(式中、k:1〜13の整数) さらに、より好ましくはポリアミド酸Aにおいて、シリ
コーンジアミンと併用する他のジアミン成分が、一般式
(2)で表される1種類または2種類以上のジアミンh
モルと一般式(3)で表される1種類または2種類以上
のジアミンiモルであり、ポリアミド酸Bにおいて、シ
リコーンジアミンと併用する他のジアミン成分が、一般
式(2)で表される1種類または2種類以上のジアミン
jモルと一般式(3)で表される1種類または2種類以
上のジアミンkモルであり、かつ0.1≦(h+j)/
(i+k)≦10 であることを特徴とするポリイミド
樹脂である。
【0010】
【化2】
【0011】
【化3】
【0012】本発明で使用するテトラカルボン酸二無水
物は、溶媒可溶性と耐熱性の両立の観点から4,4’−
オキシジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフ
ェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’
−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物を使用する
ことが好ましい。これらのテトラカルボン酸二無水物は
単独で、あるいは2種類以上を併用しても良い。また、
混合する二種類のポリアミド酸を構成するテトラカルボ
ン酸二無水物およびその構成モル比は同一であっても異
なっていても良い。
【0013】本発明で使用する一般式(1)で表される
シリコーンジアミンは、α,ω−ビス(3−アミノプロ
ピル)ポリジメチルシロキサンなどであって、k=1〜
13が好ましく、特にkの値が4〜10の範囲が、ガラ
ス転移温度、接着性、耐熱性の点から好ましい。またk
=1と上記k=4〜10のものをブレンドして用いるこ
とは特に接着性を重視する用途では好ましい。
【0014】一般式(2)で表されるジアミンは、2,
2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プ
ロパン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)
フェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4
−アミノフェノキシ)ヘキサフルオロプロパン、ビス−
4−(4−アミノフェノキシ)フェニルスルフォン、ビ
ス−4−(3−アミノフェノキシ)フェニルスルフォ
ン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、
1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,
4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−
ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ジ
アミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェ
ニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォ
ン、3,3’−ジアミノジフェニルスルフォン、4,
4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ビス(4
−アミノフェノキシ)ビフェニルなどである。中でも接
着性を重視する応用分野ではアミノフェノキシ構造を持
つジアミンが好ましい。
【0015】一般式(3)で表されるジアミンは、o−
フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フ
ェニレンジアミン、およびそれらのモノアルキル、ジア
ルキル核置換体である。特に耐熱性を重視する場合では
p−フェニレンジアミン骨格のジアミンが好ましい。一
般式(2)および(3)で表されるジアミンの量比(h
+j)/(i+k) は、可溶性、耐熱性、接着性など
の加工性のバランスから 0.1≦(h+j)/(i+
k)≦10 の範囲にあることが望ましい。この範囲を
はずれると、溶媒可溶性が失われる、耐熱性向上の効果
が認められないなど好ましくない。
【0016】これらジアミン、酸の構成モル比は、低シ
リコーン含量のポリアミド酸においては、0.02≦a
/(a+b)≦0.10 でかつ 0.960≦c/
(a+b)≦1.04 でなければならない。シリコー
ンジアミンのモル比が0.02未満であるときは得られ
る混合ポリイミド樹脂の溶媒可溶性の特徴が失われ、
0.10を越えると得られる混合ポリイミド樹脂の耐熱
性が低下するため好ましくない。また酸/アミンのモル
比が上記の範囲からはずれると、得られるポリイミド樹
脂の分子量が低下するため機械強度を担うという目的が
達成されず好ましくない。
【0017】高シリコーン含量のポリアミド酸において
は、0.20≦d/(d+e)≦0.70 でかつ
0.920≦f/(d+e)≦1.10 でなければな
らない。シリコーンジアミンのモル比が0.20未満で
あると得られる混合ポリイミド樹脂においてシリコーン
変性の優れた特性を発現することが不可能となり、0.
70を越えると得られる混合ポリイミド樹脂の機械強度
著しく低下しするため好ましくない。また酸/アミンの
モル比が上記の範囲からはずれると得られるポリイミド
樹脂の分子量が低下するため、混合ポリイミド樹脂の耐
熱性が著しく低下するため好ましくない。
【0018】さらに、二つのポリアミド酸を全体のシリ
コーンジアミンのモル比が 0.12≦(a+d)/
(a+b+d+e)≦0.50 、より好ましくは
0.20≦(a+d)/(a+b+d+e)≦0.50
となるよう混合することが好ましい。量比は上記範囲
内にあることが重要で、シリコーンジアミンのモル比が
0.12未満であるとシリコーン変性の優れた特徴であ
る低吸水性、可溶性、接着性などの特徴が現れず、0.
50を越えると高温時の機械強度が著しく低下し耐熱性
に問題が生じる。
【0019】重縮合反応における酸成分とアミン成分の
当量比は、得られるポリアミック酸の分子量を決定する
重要な因子である。ポリマの分子量と物性、特に数平均
分子量と機械的性質の間に相関があることは良く知られ
ている。数平均分子量が大きいほど機械的性質が優れて
いる。従って、実用的に優れた強度を得るためには、あ
る程度高分子量であることが必要である。本発明では、
酸成分とアミン成分の当量比rが 0.900 ≦ r ≦ 1.060 より好ましくは、 0.975 ≦ r ≦ 1.025 の範囲にあることが好ましい。ただし、r=[全酸成分
の当量数]/[全アミン成分の当量数]である。rが
0.900未満では、分子量が低くて脆くなるため接着
力が弱くなる。また1.06を越えると、未反応のカル
ボン酸が加熱時に脱炭酸してガス発生、発泡の原因とな
り好ましくないことがある。
【0020】本発明において分子量制御のためジカルボ
ン酸無水物あるいはモノアミンを添加することは、上述
の酸/アミンモル比の範囲であれば特にこれを妨げな
い。テトラカルボン酸二無水物とジアミンとの反応は、
非プロトン性極性溶媒中で公知の方法で行われる。非プ
ロトン性極性溶媒は、N,N−ジメチルホルムアミド
(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA
C)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、テトラ
ヒドロフラン(THF)、ジグライム、シクロヘキサノ
ン、1,4−ジオキサン(1,4−DO)などである。
非プロトン性極性溶媒は、一種類のみ用いてもよいし、
二種類以上を混合して用いてもよい。この時、上記非プ
ロトン性極性溶媒と相溶性がある非極性溶媒を混合して
使用しても良い。トルエン、キシレン、ソルベントナフ
サなどの芳香族炭化水素が良く使用される。混合溶媒に
おける非極性溶媒の割合は、30重量%以下であること
が好ましい。これは非極性溶媒が30重量%以上では溶
媒の溶解力が低下しポリアミック酸が析出する恐れがあ
るためである。テトラカルボン酸二無水物とジアミンと
の反応は、良く乾燥したジアミン成分を脱水精製した前
述反応溶媒に溶解し、これに閉環率98%、より好まし
くは99%以上の良く乾燥したテトラカルボン酸二無水
物を添加して反応を進める。
【0021】このようにして得たポリアミック酸溶液を
続いて有機溶剤中で加熱脱水環化してイミド化しポリイ
ミドにする。イミド化反応によって生じた水は閉環反応
を妨害するため、水と相溶しない有機溶剤を系中に加え
て共沸させてディーン・スターク(Dean−Star
k)管などの装置を使用して系外に排出する。水と相溶
しない有機溶剤としてはジクロルベンゼンが知られてい
るが、エレクトロニクス用としては塩素成分が混入する
恐れがあるので、好ましくは前記芳香族炭化水素を使用
する。また、イミド化反応の触媒として無水酢酸、β-
ピコリン、ピリジンなどの化合物を使用することは妨げ
ない。
【0022】本発明において、イミド閉環は程度が高い
ほど良く、イミド化率が低いと使用時の熱でイミド化が
起こり水が発生して好ましくないため、95%以上、よ
り好ましくは98%以上のイミド化率が達成されている
ことが望ましい。
【0023】本発明の耐熱性樹脂組成物において使用す
る成分(B)エポキシ化合物は、少なくとも1分子中に
2個のエポキシ基を有するものであれば特に限定される
ものではないが、ポリイミド樹脂の溶媒への溶解性が良
好なものが好ましい。例えば、ビスフェノールA型のジ
グリシジルエーテル、ビスフェノールF型のジグリシジ
ルエーテル、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビ
フェニル型エポキシ化合物等が挙げられる。
【0024】前記エポキシ化合物の量比は成分(A)ポ
リイミド樹脂100重量部に対して5〜100重量部、
特に10〜70重量部の範囲にあることが好ましい。5
重量部未満では、未硬化のエポキシ化合物を添加し樹脂
組成物の軟化温度を下げ低温加工性をあげるという効果
があらわれにくく、100重量部をこえるとポリイミド
樹脂の耐熱性を損なうこととなり好ましくない。
【0025】また、本発明の耐熱性樹脂組成物において
使用する成分(C)該エポキシ化合物と反応可能な活性
水素基を有する化合物は、成分(A)のポリイミド樹脂
や成分(B)のエポキシ化合物との相溶性、ポリイミド
樹脂の溶媒への溶解性が良好なものが好ましい。例えば
レゾール、ノボラック、アミノ化合物等が挙げられる。
成分(C)の配合割合は成分(A)のポリイミド樹脂1
00重量部に対して0.1〜20重量部、より好ましく
は0.5〜10重量部である。0.1重量部未満では、
未硬化のエポキシ化合物の反応率が極端に低くなり、本
発明にて望まれる効果があらわれない。また、高温時の
樹脂の弾性率が低下している時の、樹脂フローの制御が
困難である。20重量部をこえると樹脂溶液状態でゲル
が生じやすくなり、加工性が損なわれ、また樹脂組成物
の耐熱性を損ない、好ましくない。
【0026】本発明の耐熱性樹脂組成物において使用す
る成分(D)カップリング剤は、成分(A)のポリイミ
ド樹脂や成分(B)のエポキシ化合物との相溶性、ポリ
イミド樹脂の溶媒への溶解性が良好なものが好ましい。
例えばシラン系のカップリング剤やチタン系、ジルコン
系のカップリング剤等が挙げられる。特にシラン系カッ
プリング剤が相溶性や溶解性の点で好ましい。カップリ
ング剤の配合割合は成分(A)のポリイミド樹脂100
重量部に対して0.1〜50重量部、より好ましくは
0.5〜30重量部である。0.1重量部未満では、高
温時の樹脂の弾性率が低下している時の、樹脂フローの
制御が困難であり、また当該樹脂組成物を接着用途に用
いる場合、被着体との密着性を向上させる効果が現れな
い。50重量部をこえると樹脂組成物の耐熱性を損な
い、好ましくない。
【0027】本発明の耐熱性樹脂組成物には、その加工
性、耐熱性を損なわない範囲で微細な無機充填材が配合
されていても良い。
【0028】本発明では、得られたポリイミド溶液にそ
のまま成分(B)エポキシ化合物や、その他の成分
(C)、(D)を添加し耐熱性樹脂組成物溶液とするこ
とができる。また、該ポリイミド溶液を貧溶媒中に投入
してポリイミド樹脂を再沈析出させて未反応モノマを取
り除いて精製し、乾燥して固形のポリイミド樹脂として
使用することもできる。高温工程を嫌う用途や特に不純
物や異物が問題になる用途では、再び有機溶剤に溶解し
て濾過精製ワニスとすることが好ましい。この時使用す
る溶剤は加工作業性を考え、沸点の低い溶剤を選択する
ことが可能である。
【0029】本発明のポリイミド樹脂では、ケトン系溶
剤として、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソ
ブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン
を、エーテル系溶剤として、1,4−ジオキサン、テト
ラヒドロフラン、ジグライムを沸点200℃以下の低沸
点溶剤として使用することができる。これらの溶剤は単
独で使用しても良いし、2種以上を混合して用いること
もできる。あるいはポリイミド樹脂溶液にこれら低沸点
溶剤を添加して使用することもできる。
【0030】
【作用】本発明のポリイミド樹脂にエポキシ化合物、該
エポキシ化合物と反応可能な活性水素基を有する化合物
および、カップリング剤を添加した耐熱性樹脂組成物
は、見かけ上のガラス転移温度が該ポリイミド樹脂のガ
ラス転移温度より低下し低温加工性が向上する。一方、
ガラス転移温度より高温域での接着力は該ポリイミド樹
脂より向上し、IRリフローなどの熱衝撃を与えても剥
離が認められないなどの高温域での物性が向上する。こ
の特異な現象に対する詳細な機構は未だ明らかではない
部分もあるが、該エポキシ化合物と活性水素基を有する
化合物、あるいはカップリング剤が反応した低分子量の
生成物は、特定構造のポリイミド樹脂に対して可塑剤と
して作用し該ポリイミド樹脂のガラス転移温度より低温
域での弾性率を低下せしめ、よって接着性、加工性など
低温での作業性の向上をもたらす。一方、ガラス転移温
度より高温域ではその与えられた熱によって三次元網目
構造が形成され、ポリイミド樹脂の流動性を低下せし
め、よって該ポリイミド樹脂の耐熱性を維持、あるいは
向上せしめるものと考えられる。以上の機構によって低
温加工性と高温時の耐熱信頼性の両立がはかられる。以
下実施例により本発明を詳細に説明するが、これらの実
施例に限定されるものではない。
【0031】
【実施例】
(ポリイミド樹脂PI−1の合成) (1)ポリアミド酸Aの調製 ‥ 乾燥窒素ガス導入
管、冷却器、温度計、撹拌機を備えた四口フラスコに脱
水精製したNMP213gを入れ、窒素ガスを流しなが
ら10分間激しくかき混ぜる。次に2,2−ビス(4−
(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン(BAP
P)25.4519g(0.0620モル)と2,5−
ジメチル−p−フェニレンジアミン(DPX)4.22
21g(0.0310モル)とα,ω−ビス(3−アミ
ノプロピル)ポリジメチルシロキサン(APPS)5.
8590g(平均分子量837、0.0070モル、)
を投入し、系を60℃に加熱し均一になるまでかき混ぜ
る。均一に溶解後、系を氷水浴で5℃に冷却し、4,
4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)31.0
222g(0.1000モル)を粉末状のまま10分間
かけて添加し、その後5時間撹拌を続けポリアミド酸溶
液を得た。この間フラスコは5℃に保った。
【0032】(2)ポリアミド酸Bの調製 ‥ ポリア
ミド酸Aと同様に、NMP303.6gを窒素ガスを流
しながら10分間激しくかき混ぜる。次に2,2−ビス
(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン1
1.4944g(0.0280モル)と2,5−ジメチ
ル−p−フェニレンジアミン1.9067g(0.01
40モル)とα,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリ
ジメチルシロキサン48.5460g(平均分子量83
7、0.0580モル)を投入し、系を60℃に加熱し
均一になるまでかき混ぜる。均一に溶解後、系を氷水浴
で5℃に冷却し、4,4’−オキシジフタル酸二無水物
31.0222g(0.1000モル)を粉末状のまま
10分間かけて添加し、その後5時間撹拌を続けた。こ
の間フラスコは5℃に保った。
【0033】(3)ポリイミド樹脂の調製 ‥ ポリア
ミド酸Aとポリアミド酸Bを同重量秤量してフラスコに
入れる。この時の平均シリコーンジアミン量は全アミン
成分に対し32.5モル%である。窒素ガス導入管と冷
却器を外し、キシレンを満たしたディーン・スターク管
をフラスコに装着し、系にキシレンを添加した。氷水浴
から油浴に替えて系を加熱し発生する水を系外に除い
た。4時間加熱したところ、系からの水の発生は認めら
れなくなった。冷却後この反応溶液を大量のメタノール
中に投入しポリイミド樹脂を析出させた。固形分を濾過
後、80℃で12時間減圧乾燥して固形樹脂を得た。K
Br錠剤法で赤外吸収スペクトルを測定したところ、環
状イミド結合に由来する5.6μmの吸収を認めたが、
アミド結合に由来する6.06μmの吸収を認めること
はできず、この樹脂はほぼ100%イミド化しているこ
とが確かめられた。この時の酸、アミンのモル比はそれ
ぞれb=h+i、a/(a+b)=0.07、c/(a
+b)=1、e=j+k、d/(d+e)=0.58、
(h+j)/(i+k)=2、g/(d+e)=1、
(a+d)/(a+b+d+e)=0.325である。
このようにして得たポリイミド樹脂は、ジメチルホルム
アミド(DMF)、1,4−ジオキサン(1,4−D
O)、テトラヒドロフラン(THF)に良く溶解するこ
とが確かめられた。ガラス転移温度が166℃、引張り
弾性率が215kgf/mm2であった。
【0034】(ポリイミド樹脂PI−2の合成)前記の
ポリイミド樹脂PI−1の合成と同様にしてポリイミド
樹脂PI−2を得た。これらのポリイミド樹脂について
得られた評価結果を第1表に示す。
【0035】
【表1】
【0036】モノマーの欄のAPBは、1,3−ビス
(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、BPDAは、3,
3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
を表す。
【0037】溶解性の欄のSは該当する溶媒に溶解する
ことを示す。ガラス転移温度はDSC測定により求め
た。引張り試験は室温、引張り速度5mm/minにて測定
した。ヤング率は粘弾性スペクトロメーターにより求め
た。
【0038】(実施例1)ガラス製フラスコにポリイミ
ド樹脂PI−1を100gとDMF355gを入れ、室
温で充分に撹拌しポリイミドを完全に溶解させる。均一
に溶解した後、ビスフェノールA型エポキシ化合物(エ
ピコート828、油化シェルエポキシ(株)製)40gを
加え室温にて2時間撹拌した。その後均一に溶解してい
ることを確認して、シランカップリング剤(トリスメト
キシエトキシビニルシラン、KBC1003、信越化学
(株)製)1g加え室温にて1時間撹拌した。均一に溶解
していることを確認してレゾール樹脂(PR−5078
1、住友デュレズ(株)製)5gを系を撹拌しながら徐々
に加えた。引き続き2時間撹拌し耐熱性樹脂溶液を調製
した。この溶液組成物は、室温にて5日間放置してもゲ
ル化せず均一な溶液の状態のままであった。
【0039】このようにして得た樹脂溶液をドクターブ
レードで鏡面研磨ステンレス鋼板に塗布し、厚み50μ
mのフィルムを得た。乾燥温度は最高195℃で乾燥時
間20分であった。溶解性、ガラス転移温度、引張り特
性を表2に示す。
【0040】このワニスをリバースロールコーターでポ
リイミドフィルム(商品名ユーピレックスSGA、厚み
50μm、宇部興産(株)製)の片面に塗布し、接着剤層
の厚みが30μmの接着テープを得た。乾燥温度は最高
200℃で乾燥時間15分であった。この接着テープを
42アロイのプレートに熱圧着して試験片を作製し(2
50℃2秒間熱圧着し、圧を開放後250℃で30秒間
アニールした。接着面にかかる圧力はゲージ圧力と接着
面積から計算の結果4kgf/cm2であった。)、引張り試
験機にて180度ピール強度を測定した結果を表2に示
す。接着強度は常態およびプレッシャークッカー(12
5℃、48時間、飽和100%)で処理した後の室温お
よび240℃での180度ピール強度を測定したもので
ある(引張り速度50mm/min)。試験片の破断面は接
着剤樹脂層が凝集破壊し、発泡は全く認められなかっ
た。
【0041】(実施例2〜4)実施例1と同様にして表
2に示す配合にて耐熱性樹脂溶液を調整し、フィルム、
接着テープを得た。得られた評価結果を表2に示す。
【0042】
【表2】
【0043】使用する成分(B)エポキシ化合物につい
て、YX−4000Hはビフェニル型エポキシ化合物エ
ピコートYX−4000H、油化シェルエポキシ(株)
製、EOCN−1020はフェノールノボラック型エポ
キシ化合物EOCN−1020、日本化薬(株)製をそれ
ぞれ示している。使用する成分(C)について、PR−
50781、175、53647、22193は住友デ
ュレズ(株)製。使用する成分(D)について、KBM5
73(N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシ
シラン)、KBC1003(トリスメトキシエトキシビ
ニルシラン)は信越化学(株)製のシラン系カップリング
剤である。
【0044】溶解性の欄のSは該当する溶媒に溶解する
ことを示す。ガラス転移温度はDSC測定により求め
た。引張り試験は室温、引張り速度5mm/minにて測定
した。ヤング率は粘弾性スペクトロメーターにより求め
た。
【0045】(比較例1〜4)ポリイミド樹脂のみの樹
脂組成物あるいは成分(B)〜(D)のうちで1種また
は2種加えた樹脂組成物を調整した。次に実施例と同様
にして、接着テープを作製し、42アロイプレートプレ
ートとの接着強度を測定した。その結果を表3に示し
た。
【0046】
【表3】
【0047】表2、3の結果から、比較例の接着テープ
の、プレッシャークッカーで処理した後の熱時強度は、
実施例の樹脂組成物から得たテープのそれに比べて著し
く低下している。
【0048】以上の実施例から本発明により、吸湿熱時
の接着強度が大きく低下することを防ぐことができ耐熱
性と成形加工性に優れたフィルム接着剤を得られること
が示される。
【0049】
【発明の効果】本発明によれば、耐熱性と成形加工性を
両立させた信頼性の高いフィルム接着剤を提供すること
が可能である。低沸点溶媒に可溶であるため残留溶媒を
ほぼ完璧になくすことが可能で、また既にイミド化され
ているため、加工時にイミド化のための高温過程が不要
で水分の発生も無い。またタックのないフィルムとして
使用することができるので連続作業性やクリーンな環境
を必要とする場合に非常に有効である。このため高信頼
性と耐熱性を要求するエレクトロニクス用材料として工
業的に極めて利用価値が高い。
【0050】本発明の樹脂組成物の使用方法は特に限定
されるものではないが、樹脂構成成分の全てが有機溶剤
に均一に溶解されている樹脂ワニスとして、コーティン
グやディッピングに、流延成形によってフィルムに、耐
熱性と加工性の両立した絶縁材料、接着フィルム等とし
て使用することができる。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−247427(JP,A) 特開 平7−247408(JP,A) 特開 平7−247426(JP,A) 特開 平6−256472(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 79/00 - 79/08 C08G 73/00 - 73/26

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)一般式(1)で表されるシリコン
    ジアミンaモルと他のジアミンbモルをアミン成分と
    し、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、3,3’,
    4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、及び
    3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸
    二無水物からなる群から選ばれた1種類または2種類以
    上のテトラカルボン酸二無水物cモルを酸成分とし、か
    つ0.02≦a/(a+b)≦0.10、0.960≦
    c/(a+b)≦1.04の比で反応させたポリアミド
    酸Aと、一般式(1)で表されるシリコンジアミンdモ
    ルと他のジアミンeモルをアミン成分とし、4,4’−
    オキシジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフ
    ェニルテトラカルボン酸二無水物、及び3,3’,4,
    4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物からな
    る群から選ばれた1種類または2種類以上のテトラカル
    ボン酸二無水物fモルを酸成分とし、かつ0.20≦d
    /(d+e)≦0.70、0.920≦f/(d+e)
    ≦1.10の比で反応させたポリアミド酸Bとを、0.
    12≦(a+d)/(a+b+d+e)≦0.50の割
    合で混合しイミド化した、有機溶剤に可溶なガラス転移
    温度が350℃以下のポリイミド樹脂100重量部と、
    (B)1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有する
    エポキシ化合物5〜100重量部と、(C)該エポキシ
    化合物と反応可能な活性水素基を有する化合物0.1〜
    20重量部と、(D)カップリング剤0.1〜50重量
    部とを主たる成分として含有していることを特徴とす
    る、低温加工性の優れた耐熱性樹脂組成物。 【化1】 (式中、k:1〜13の整数)
  2. 【請求項2】 成分(A)のポリイミド樹脂において、
    ポリアミド酸Aにおける他のジアミンが一般式(2)で
    表される1種類または2種類以上のジアミンhモルと一
    般式(3)で表される1種類または2種類以上のジアミ
    ンiモルであり、ポリアミド酸Bにおける他のジアミン
    が一般式(2)で表される1種類または2種類以上のジ
    アミンjモルと一般式(3)で表される1種類または2
    種類以上のジアミンkモルであり、かつ 0.1≦(h
    +j)/(i+k)≦10 である請求項1記載の耐熱
    性樹脂組成物。 【化2】 【化3】
  3. 【請求項3】 成分(D)がシランカップリング剤であ
    る請求項1および2記載の耐熱性樹脂組成物。
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