JP2991818B2 - 縮合2員環状ジシラニレン−アセチレン化合物およびその製法 - Google Patents

縮合2員環状ジシラニレン−アセチレン化合物およびその製法

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JP2991818B2
JP2991818B2 JP3156659A JP15665991A JP2991818B2 JP 2991818 B2 JP2991818 B2 JP 2991818B2 JP 3156659 A JP3156659 A JP 3156659A JP 15665991 A JP15665991 A JP 15665991A JP 2991818 B2 JP2991818 B2 JP 2991818B2
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孝尚 岩原
シー ウエスト ロバート
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07FACYCLIC, CARBOCYCLIC OR HETEROCYCLIC COMPOUNDS CONTAINING ELEMENTS OTHER THAN CARBON, HYDROGEN, HALOGEN, OXYGEN, NITROGEN, SULFUR, SELENIUM OR TELLURIUM
    • C07F7/00Compounds containing elements of Groups 4 or 14 of the Periodic Table
    • C07F7/02Silicon compounds
    • C07F7/08Compounds having one or more C—Si linkages
    • C07F7/0803Compounds with Si-C or Si-Si linkages

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  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は環状構造化合物およびそ
の製法に関する。さらに詳しくは、新規な縮合2員環状
ジシラニレン- アセチレン化合物およびその製法に関す
る。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】異方
性が著しく高く、潜在的に有用な電気的性質、光学的性
質および/または磁気的性質を有する様々な種類の有機
材料、金属有機材料および無機材料が知られている。か
かる材料は、電気伝導材料、半導体、電子素子および電
磁または音響センサーを製造するのに有用であることが
知られている。これらの材料のいくつかの有用性は、重
量、機械的もろさ、製造上の問題、腐食、入手困難性お
よび高コストなどの要因によりしばしば制限されてい
る。
【0003】電気伝導性有機材料は、そのような問題を
解決または減少しうる特徴を有し、フィルム、フィラメ
ントおよびその他の形状に容易に製造されうるものであ
る。これらの材料のいくつかは単に金属やグラファイト
などの導電材料を含有している有機材料である。またそ
の他のものは電子受容体および/または電子供与体ドー
パントによる化学的ドーピングによってその電気伝導率
が高められた有機材料からなるものである。一般に、か
かる電気伝導率を高めることのできる前記材料は、ほと
んどの環状化合物にみられるような著しく非局在化され
たπ電子共役によってまたはときにはSi-C複素環式化合
物と同様にポリシランに見られるようなσ電子非局在化
によって特徴づけられる。Si-Si のσ結合とπ系との間
の電子の非局在化は、不飽和基または芳香族基を含有す
る共役ポリシリル化合物に対して立証されている。かか
るσ- π電子非局在化は、220 〜270nm 付近の強い紫外
線吸収として現われる。式(IV)で示される歪みのある環
状ジシラニレン- アセチレン化合物では250nm にとくに
強い紫外線吸収が見出されている。
【0004】
【化8】
【0005】かかる式(IV)で示される化合物は、下記に
示される9員環化合物を加熱するか光を照射することに
よりえられている。
【0006】
【化9】
【0007】式(IV)で表わされる化合物は、波長250nm
付近に強い吸収を有するので、高度のσ- π電子非局在
化を有していると思われ、したがって光学材料や電気伝
導性材料として使用できる可能性が高い。また、かかる
環状分子はNa、K 、メトキサイド、エトキサイド、t-ブ
トキサイド、リチウムアミド、ナトリウムアミド、アセ
チリド、ブチルリチウム、BF3 、 BCl3 、AlCl3 、TiCl
4 、トリエチルアルミニウム、アゾビスイソブチロニト
リル、ベンゾイルパーオキサイドなどのアニオン性、カ
チオン性およびラジカル性試剤を使用することにより開
環され、開環された分子は重合する可能性がある。さら
に、ポリシランやポリカルボシランと同様、式(IV)で表
わされる化合物は、高温に加熱されたばあい、炭化ケイ
素に変化しうる。
【0008】本発明の目的は、σ- π電子共役を有する
新たな種類の環状シラン化合物、とくに縮合2員環状シ
ラン化合物およびその製法の提供にある。
【0009】本発明のさらに目的とするところは、新規
な縮合2員環状ジシラニレン- アセチレン化合物および
その製法の提供にある。
【0010】本発明のこれらおよびその他の目的は以下
の記述から明らかになるであろう。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、一般式(I) :
【0012】
【化10】
【0013】(式中、RおよびR′は炭素原子数1〜20
個の1価の炭化水素基を表わし、RおよびR′は互いに
同じであっても異なっていてもよい)で表わされる縮合
2員環状ジシラニレン- アセチレン化合物を提供する。
【0014】本発明はさらに、(a) 一般式(II):
【0015】
【化11】
【0016】(式中、Rは炭素原子数1〜20個の1価の
炭化水素基を表わす)で表わされる1,2-ジエチニルジシ
ランをグリニャール試薬と反応させることによりジグリ
ニャール試薬を生成させる工程、 (b) 前記ジグリニャール試薬を一般式(III) :
【0017】
【化12】
【0018】(式中、R′は炭素原子数1〜20個の1価
の炭化水素基を表わす)で表わされる1,1,2,2-テトラク
ロロジシランと反応させる工程、および (c) 生成した縮合2員環状ジシラニレン- アセチレン化
合物を単離する工程からなることを特徴とする一般式
(I) :
【0019】
【化13】
【0020】(式中、RおよびR′は前記に同じ)で表
わされる縮合2員環状ジシラニレン-アセチレン化合物
の製法を提供する。
【0021】
【実施例】本発明の目的化合物は一般式(I) で表わされ
る縮合2員環状ジシラニレン- アセチレン化合物であ
る。
【0022】一般式(I) 中の置換基RおよびR′として
は炭素原子数1〜20個、とくに1〜8個のアルキル基お
よび炭素原子数6〜20個、とくに6〜12個のアリール基
が好ましい。アルキル基の例としててはCH3 、 C2 H
5 、 n-C3 H 7 、 i-C3 H 7 、n-C4 H 9 、i- C4 H
9 、 t-C4 H 9 、 n-C5 H 11、 n-C6 H 13、 n-C7 H
15および n-C8 H 17があげられる。アリール基の例とし
てはフェニル、およびトリル、キシリルなどの置換フェ
ニルがあげられる。好ましい置換基RはCH3 、C2 H
5 、 n-C3 H 7 、 i-C3 H 7 、 n-C4 H 9 およびフェ
ニルであり、とくにCH3 が好ましい。好ましい置換基
R′は i-C3 H 7 およびフェニルである。
【0023】一般式(I) で表わされる化合物で好ましい
ものは、RがCH3 で、R′がi-C3 H 7 のもの、および
RがCH3 で、R′がフェニルのものである。
【0024】一般式(I) の化合物は、異なるケイ素原子
に結合している2つの置換基R′に関して、シス配置で
あってもよく、トランス配置であってもよい。本発明の
化合物(I) にはこのようなシス異性体、トランス異性体
およびシス異性体とトランス異性体の混合物が含まれ
る。
【0025】本発明の目的化合物はつぎの方法によって
製造される。
【0026】本発明の縮合2員環状ジシラニレン- アセ
チレン化合物(I) の合成においては、まずジグリニャー
ル試薬の製造を行なう。一般式(II)の1,2-ジエチニルジ
シランを、テトラヒドロフラン(THF) などの不活性溶媒
中で、グリニャール試薬、たとえばエチルマグネシウム
ブロマイドなどのハロゲン化アルキルマグネシウムある
いはハロゲン化アリールマグネシウムと反応させる。こ
の他にも、たとえばメチルマグネシウムブロマイド、メ
チルマグネシウムアイオダイド、n-プロピルマグネシウ
ムクロライド、n-ブチルマグネシウムクロライド、sec-
ブチルマグネシウムクロライド、t-ブチルマグネシウム
クロライド、フェニルマグネシウムクロライドなどのグ
リニャール試薬もまた使用できる。
【0027】ついで生成するジグリニャール試薬を一般
式(III) で表わされる1,1,2,2-テトラクロロジシランと
THF などの不活性溶媒中で反応させる。該反応は1時間
〜1週間の間室温〜還流温度の範囲の温度で反応するこ
とにより行ない、かくして一般式(I) で表わされる縮合
2員環状ジシラニレン- アセチレン化合物が生成され
る。前記反応は通常反応混合物を還流するか、あるいは
反応混合物を室温に放置しておく(撹拌してもよい)こ
とによって行なう。あるいはこれら操作を交互に繰返し
てもよい。
【0028】本発明の方法におけるそれぞれの反応で
は、通常テトラヒドロフランが溶媒として使用される。
しかしながら、当該技術分野において知られているよう
に、たとえばジエチルエーテル、ジ-n- ブチルエーテ
ル、ジメトキシエタン、ジオキサンなどの他のエーテル
系溶媒もまた使用できる。
【0029】ジグリニャール試薬と化合物(III) の反応
のばあい、鎖延長重合が優位になる可能性を避けるため
に、反応溶液中の試剤の濃度を低くすることが重要であ
る。各試剤の濃度は好ましくは約0.5 Mあるいはそれ以
下である。重合は希薄溶液中でさえも観察されるが、ジ
グリニャール試薬の希薄溶液と1,1,2,2-テトラクロロジ
シランの希薄溶液を反応容器中のTHF に同時に添加する
と環化反応が優勢となる。
【0030】グリニャール試薬の量は好ましくは1,2-ジ
エチニルジシランの1モルに対して1.5 〜3.0 モルであ
る。ジグリニャール試薬の量は好ましくはテトラクロロ
ジシランの1モルに対して1.5 〜3.0 モルである。
【0031】目的化合物(I) は反応混合物から好ましく
はつぎのように溶剤抽出法によって単離される。反応混
合物を蒸発させて溶媒を除去し、残留物を有機溶剤で抽
出する。有機溶剤としてはヘキサン、ペンタン、シクロ
ヘキサン、エーテル、ベンゼン、トルエン、キシレン、
クロロホルム、メチレンクロライドなどがあげられる。
好ましい溶剤はヘキサン、ペンタン、エーテル、ベンゼ
ンおよびトルエンである。有機層を洗浄、乾燥後蒸発さ
せることによって粗生成物をうる。この粗生成物を再結
晶法、カラムクロマトグラフィーなどの常法により精製
することにより純粋な一般式(I) の化合物がえられる。
【0032】本発明の化合物、たとえば実施例1で製造
された化合物(V) は紫外- 可視スペクトル領域において
波長260nm に吸収極大を有し、このことは一般式(IV)で
示される環状化合物にくらべさらに高度なσ- π電子非
局在化を有していることを示している。したがって一般
式(I) で表わされる本発明の縮合2員環状化合物は、化
合物(IV)と同様に光学材料や電気伝導材料として使用で
きる。
【0033】また本発明の化合物(I) は、化合物(IV)と
同様に種々のアニオン性、カチオン性またはラジカル性
試剤を使用することにより開環され、開環された分子は
重合しうる。さらにポリシランやポリカルボシランと同
様に、本発明の化合物(I) は高温に加熱されたばあい炭
化ケイ素に変化しうる。
【0034】本発明の縮合2員環状化合物の製造におい
て電気伝導性を発揮させるためには、ドーピングと一般
にいわれる処理を利用できる。化合物の電気伝導性を達
成させるために多くの種類のドーピング材料が適宜使用
されうる。本発明の縮合2員環状ジシラニレン- アセチ
レン化合物の電気伝導率を増加させるのに適したドーピ
ング材料は、通常、たとえばI2 、Br2 、ICl 、IBr 、
SbF5 、 AsF5 、Cl2 、HBr 、BF3 、 BCl3 、SO2 、SO
3 、NO2 、HCN 、ICN 、O2 、 SiF4 、NO、C2 H 2
遷移金属の炭酸塩、ホスフィンおよびオレフィン誘導体
などを初めとする電子受容体ドーパントである。
【0035】ドーピング処理においては、本発明の製法
により製造された化合物(I) は、気相または蒸気相のあ
るいは液相のドーパントと接触させられる。いずれにし
てもドーピングはドーパント分子が縮合2員環状ジシラ
ニレン- アセチレン化合物(I) にとり込まれることによ
るものであり、ドーパント濃度および接触時間に比例す
る程度に応じて起こるものである。たとえば、固体状の
縮合2員環状ジシラニレン- アセチレン化合物(I) は、
当該技術分野で知られているように、気体AsF5 と減圧
下、たとえば10トールで接触せしめてもよく、あるいは
SbF5 の溶融物中に入れて数分間から24時間をこえる範
囲で接触せしめてもよく、これにより従来技術で知られ
ているように所望の程度のドーピングが達成される。こ
のようにドーピング処理された物質は、従来法によって
測定した室温での電気伝導率で表わして約10-1〜10-10
ohm -1cm-1の範囲の電気伝導率を有するものとなる。
【0036】かかるドーピング操作はまた、縮合2員環
状ジシラニレン- アセチレン化合物(I) を、たとえばTH
F 、n-ヘキサンまたはトルエンなどのジシラニレン- ア
セチレン化合物(I)に不活性な適当な有機溶媒にドーパ
ントを溶かした溶液中に置くことにより行なってもよ
い。試行錯誤により、所望の程度のドーピングをうるた
めに溶液中にジシラニレン- アセチレン化合物(I) を置
いておく必要な時間が決められる。ドーピングが完了す
ると、ドープされた物質は溶液から取り出し、それに残
っているドーピング溶液を取り除くために追加量の有機
溶媒中で洗浄される。余分な溶媒は真空で減圧除去さ
れ、ジシラニレン- アセチレン化合物(I)の電導率は当
該技術分野で知られているように測定される。
【0037】また本発明のジシラニレン- アセチレン化
合物(I) のあるもの、たとえば下記実施例1で製造され
た化合物(IV)はアルゴン雰囲気中にて1100℃またはそれ
以上に加熱されると、それによってSiC に変化される。
【0038】本発明において出発物質として用いられる
1,1,2,2-テトラクロロジシラン(III)はつぎの方法によ
って製造することができる。
【0039】(1) R′=アルキル基
【0040】
【化14】
【0041】化合物(III) のうちでR′がメチル基であ
る、1,2-ジメチル-1,1,2,2- テトラクロロジシランはつ
ぎの方法によって製造される公知化合物である[桜井、
渡辺および熊田、ジャーナル・オブ・オルガノメタリッ
ク・ケミストリイ、、15(1967)参照]。
【0042】
【化15】
【0043】ここで、DPR はメチルクロロシラン類の直
接合成の蒸留残留物からえられる沸点が約150 〜160 ℃
の留分を意味する。
【0044】(2) R′=アリール基 化合物(III) のうちでR′がフェニル基である、1,2-ジ
フェニル-1,1,2,2- テトラクロロジシランはつぎの方法
により製造される公知化合物である[エー・ヘンゲ(E.H
engge)、ゲー・バアウアー(G.Bauer) 、エー・ブラント
シュテッター
【0045】
【外1】
【0046】およびゲー・コールマン(G.Kollmann)、モ
ーナートシェフテ・フュア・ヘミイ
【0047】
【外2】
【0048】参照]。
【0049】
【化16】
【0050】本発明を参考例および実施例によってさら
に詳細に説明する。参考例および実施例において、とく
にことわらないかぎり反応はチッ素ガス雰囲気下で行な
った。
【0051】参考例1(ジフェニルイソプロピルクロロ
シランの合成)ジフェニルジクロロシラン160g(0.63 モ
ル)を乾燥THF200mlに溶解した。これに2.0 Mイソプロ
ピルマグネシウムクロライドTHF 溶液450ml(0.90モル)
を20分間かけて室温で滴下した。おだやかな発熱反応が
観察された。滴下終了後、反応混合物を3日間THF の還
流下に加熱した。反応混合物から生成した塩および溶媒
を除去した。残留物を減圧蒸留することにより、無色透
明な液体130g(沸点116〜118 ℃/0.22トール)をえ
た。
【0052】この生成物はガスクロマトグラフィ分析よ
りジフェニルイソプロピルクロロシランを94重量%含有
していることがわかった。純度に基づいて計算した収率
は74%であった。
【0053】 1H NMR(200MHz、CDCl3 )δ: 1.12(d、6H、SiCH(C3 2 )、1.69(septe
t 、1H、SiC(CH3 2 )、7.30−7.50(m、
6H、フェニル)、7.54−7.72(m、4H、フェニル) 参考例2(1,2-ジイソプロピル-1,1,2,2- テトラフェニ
ルジシランの合成) 1リットルの3口フラスコに乾燥THF200mlを入れ、つい
で金属リチウムを細かくきったもの5.04g(0.73モル)を
手ばやく加えた。これに155gのジフェニルイソプロピル
クロロシラン(純度94重量%、0.56モル)を室温で2時
間かけて滴下した。おだやかな発熱反応が観察された。
滴下終了後3日間室温で撹拌した。反応溶液は赤紫色に
かわった。反応混合物から生成した塩および溶媒を除去
した。残留物にベンゼン約300ml を加えて溶解し、えら
れたベンゼン溶液を飽和塩化アンモニウム水溶液(300ml
×3回)、ついで水(300ml×1回)で洗浄し、無水硫酸
マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を濾別したのち濾液を
濃縮することにより淡黄色固体状の粗生成物128gがえら
れた。
【0054】この粗生成物をヘキサン/THF(10/1容量
比)から再結晶することにより、純度100 %の生成物4
8.5g がえられた。1回目の再結晶時の母液から純度74
%の生成物30.0g がえられた。トータルの収率は57%で
あった。
【0055】参考例3(1,2-ジイソプロピル-1,1,2,2-
テトラクロロジシランの合成) 500ml の3口フラスコに乾燥ベンゼン300ml および1,2-
ジイソプロピル-1,1,2,2-テトラフェニルジシラン48.5g
(0.11モル)を入れ、均一に溶解したのち、さらに無水
塩化アルミニウム1.5gを加えた。ついで乾燥塩化水素ガ
スをニードルチューブを通して該溶液中に導入しなが
ら、フラスコを少し加熱して反応を開始させた。反応が
いったん始まると、発熱が20分程度続いた。発熱反応が
おさまったのち塩化水素ガスの導入を止めた。塩化アル
ミニウムを失活させるために乾燥アセトン2mlを加えた
のち、反応混合物より溶媒を留去した。残留物を分別蒸
留することにより1,2-ジイソプロピル-1,1,2,2- テトラ
クロロジシラン27g(0.095gモル、収率86%)が無色透明
液体(沸点55〜57℃/0.45トール)としてえられた。
【0056】 1H NMR(200MHz、CDCl3 )δ: 1.21(d、12H、SiCH(C3 2 )、1.50(septe
t 、2H、SiC(CH3 2 ) 参考例4(1,2-ジエチニル-1,1,2,2- テトラメチルジシ
ランの合成) 下記文献(1) に記載された方法に従い、1,2-ジクロロ-
1,1,2,2- テトラメチルジシラン(下記文献(2) 参照)
をエチニルマグネシウムブロマイド(下記文献(3)参
照)と反応させることにより、好収率(70〜80%)で1,
2-ジエチニル-1,1,2,2-テトラメチルジシランを合成す
ることができた。
【0057】(1) アー・ジーバルト(A.Seabald) 、ペー
・ザァイバーリッヒ(P.Seiberlich)、ベー・ラッカマイ
ア(B.Wrackmeyer)、ジャーナル・オブ・オルガノメタリ
ック・ケミストリイ、303 、73(1986) (2) 桜井、富永、渡辺および熊田、テトラヘドロン・レ
ターズ(TetrahedronLett.) 、1966、45、5493 (3) エル・スカッテボール(L.Skattebol) 、イー・アー
ル・エイチ・ジョーンズ(E.R.H.Jones) 、エム・シイ・
ホワイテング(M.C.Whiting) 、オーガニック・シンセシ
イーズ・コレクティブ・ボリューム(Org.Synth.Coll.)
、792(1963) 実施例1(下式(V) で表わされるビシクロ[6,6,0]-1,8-
ジイソプロピル-4,4,5,5,11,11,12,12-オクタメチル-1,
4,5,8,11,12- ヘキサシラテトラデカ-2,6,9,13-テトラ
インの合成)
【0058】
【化17】
【0059】1,2-ジエチニル-1,1,2,2- テトラメチルジ
シラン1.66g (10ミリモル)および乾燥THF40ml を100m
l フラスコ内に入れ、これに2.0 Mエチルマグネシウム
ブロマイドTHF 溶液10.3ml(20.6ミリモル)を加えた。
エタンの発生およびおだやかな発熱が観察された。反応
溶液を2時間還流することにより、ジグリニャール試薬
の生成を完結させた。このジグリニャール試薬を含有す
るTHF 溶液および1,2-ジイソプロピル-1,1,2,2- テトラ
クロロジシラン1.42g (5ミリモル)を乾燥THF300mlに
溶解した溶液を反応容器中の乾燥THF100mlに2時間かけ
て同時に滴下した。滴下終了後反応を完結するため、該
反応混合物を3日間連続還流させた。反応混合物からエ
バボレートすることによりTHF を留去した後、残留分に
ヘキサン100ml および飽和塩化アンモニウム水溶液100m
l を加えた。えられた有機層を飽和塩化アンモニウム水
溶液(100ml ×2回)、ついで水(100 ml×1回)で洗
浄したのち、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤を
濾別したのち濾液を濃縮して淡黄色固体の粗生成物1.9g
がえられた。粗生成物をエタノールから再結晶すること
により目的化合物(V) 0.51g (1.1 ミリモル、収率22
%)が融点156 〜157 ℃の無色透明の結晶としてえられ
た。
【0060】以下のスペクトルデータおよび分析データ
はすべて式(V) で表わされる構造を支持している。
【0061】IR(KBr 錠剤法)cm-1: 2960(s)、2920(m)、2890(m)、2870(s)、 1470(m)、1410(m)、1250(s)、990 (m) Si−HおよびSi−O−Siに由来する吸収はまった
く認められなかった。
【0062】 1H NMR (200MHz、CDCl3)δ: 0.24(s、12H、SiCH(C3 2 )、 0.27(s、12H、Si(C3 2 )、 1.04〜1.07(m、14H、、SiC(C3 2 13 C NMR (300MHz、CDCl3 )δ: -3.21 (Si(3 2 )、-3.02 (Si(3
2 )、 13.49 (SiH(CH3 2 )、18.49 (SiCH
3 2 )、 112.41、123.34(アセチレン炭素)29 Si NMR(300MHz、CDCl3 )δ: -42.87、-33.08 MS(30eV)m/e : 471(M+ +1、4)、470(M+ 、11)、428(23) 、427(1
9) 、113(100) カッコ内の数値は相対強度を示す。
【0063】高分解能質量分析: C21 13CH38Si6 としての計算値:471.1623、測定
値:471.1608 C2238Si6 としての計算値:470.1589、測定値:47
0.1618 UV(ヘキサン溶液中)吸収極大波長(nm): 211 、239 、250(sh) 、260 実施例2 ジグリニャール試薬と1,1,2,2-テトラクロロジシランと
の反応を、反応混合物を10時間還流する操作と14時間室
温に放置する操作を交互にそれぞれ3回繰返して行なっ
た以外は実施例1とまったく同様にして反応を行なっ
た。反応終了後反応混合物を実施例1と同様に処理する
と、白色粒子を含んだ淡黄色の粘稠な液体が粗生成物と
してえられた。この粗生成物をシリカゲルカラムを用い
たカラムクロマトグラフィ(溶離液としてヘキサン/酢
酸エチル=50/1(容量比)使用)により、さらにエタ
ノールからの再結晶により精製することによって無色透
明の結晶0.12g (0.25ミリモル、収率5%)がえられ
た。
【0064】この結晶は融点測定および各種スペクトル
分析の結果から、実施例1でえられた結晶とまったく同
じものであることが確認された。
【0065】本発明を好ましい実施態様について説明し
てきたが、本発明の範囲から逸脱することなく様々な変
更をなしうることおよび同等のものを部分的に代用しう
ることは当業者に理解されるであろう。さらに、特殊な
状況または物質を本発明の教示に適用するために、本発
明の本質的範囲を逸脱することなく多くの修正をなしう
るものである。それゆえ、本発明はこの発明を実施する
ための最良の形態として開示された特別な実施態様に限
定されるものではなく、請求の範囲に含まれるすべての
実施態様および同等のものを含むものである。
【0066】
【発明の効果】本発明の縮合2員環状ジシラニレン- ア
セチレン化合物は高度なσ−π電子非極在化を示し、電
気伝導性有機材料などとして有用である。

Claims (21)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I) : 【化1】 (式中、RおよびR′は炭素原子数1〜20個の1価の炭
    化水素基を表わし、RおよびR′は互いに同じであって
    も異なっていてもよい)で表わされる縮合2員環状ジシ
    ラニレン- アセチレン化合物。
  2. 【請求項2】 一般式(I) において異なるケイ素原子に
    結合している2つの置換基R′に関してシス配置を有す
    る請求項1記載の化合物。
  3. 【請求項3】 一般式(I) において異なるケイ素原子に
    結合している2つの置換基R′に関してトランス配置を
    有する請求項1記載の化合物。
  4. 【請求項4】 一般式(I) において、RおよびR′がそ
    れぞれCH3 、C2 H 5 、 n-C3 H 7 、 i-C3 H 7 、 n-C
    4 H 9 、 i-C4 H 9 、 t-C4 H 9 、n-C5 H 11、 n-C6 H
    13、 n-C7 H 15、 n-C8 H 17、フェニルおよびトリル
    よりなる群から選ばれたものである請求項1、2または
    3記載の化合物。
  5. 【請求項5】 一般式(I) において、RがCH3 であり、
    R′が i-C3 H 7 である請求項1、2または3記載の化
    合物。
  6. 【請求項6】 一般式(I) において、RがCH3 であり、
    R′がフェニルである請求項1、2または3記載の化合
    物。
  7. 【請求項7】 (a) 一般式(II): 【化2】 (式中、Rは炭素原子数1〜20個の1価の炭化水素基を
    表わす)で表わされる1,2-ジエチニルジシランをグリニ
    ャール試薬と反応させることによりジグリニャール試薬
    を生成させる工程、 (b) 前記ジグリニャール試薬を一般式(III) : 【化3】 (式中、R′は炭素原子数1〜20個の1価の炭化水素基
    を表わす)で表わされる1,1,2,2-テトラクロロジシラン
    と反応させる工程、および(c) 生成した縮合2員環状ジ
    シラニレン- アセチレン化合物を単離する工程からなる
    ことを特徴とする一般式(I) : 【化4】 (式中、RおよびR′は前記に同じ)で表わされる縮合
    2員環状ジシラニレン-アセチレン化合物の製法。
  8. 【請求項8】 一般式(II)中のRがCH3 、 C2 H 5 、 n
    -C3 H 7 、 i- C3 H 7 、 n-C4 H 9 およびフェニルよ
    りなる群から選ばれたものである請求項7記載の製法。
  9. 【請求項9】 一般式(III) 中のR′が i-C3 H 7およ
    びフェニルよりなる群から選ばれたものである請求項7
    記載の製法。
  10. 【請求項10】 一般式(II)中のRがCH3 で、一般式(I
    II) 中のR′がi-C3 H 7 である請求項7記載の製法。
  11. 【請求項11】 一般式(II)中のRがCH3 で、一般式(I
    II) 中のR′がフェニルである請求項7記載の製法。
  12. 【請求項12】 前記グリニャール試薬が、 C2 H 5 Mg
    Br、CH3 MgBr、CH3 MgI 、 n-C3 H 7 MgClおよび C6 H
    5 MgClよりなる群から選ばれたものである請求項7記載
    の製法。
  13. 【請求項13】 (a) 一般式(II): 【化5】 (式中、Rは炭素原子数1〜20個の1価の炭化水素基を
    表わす)で表わされる1,2-ジエチニルジシランをグリニ
    ャール試薬と反応させることによりジグリニャール試薬
    を生成させる工程、 (b) 前記ジグリニャール試薬を一般式(III) : 【化6】 (式中、R′は炭素原子数1〜20個の1価の炭化水素基
    を表わす)で表わされる1,1,2,2-テトラクロロジシラン
    と反応させる工程、および (c) 生成した縮合2員環状ジシラニレン- アセチレン化
    合物を反応混合物から溶剤抽出法により単離する工程か
    らなることを特徴とする一般式(I) : 【化7】 (式中、RおよびR′は前記に同じ)で表わされる縮合
    2員環状ジシラニレン-アセチレン化合物の製法。
  14. 【請求項14】 一般式(II)中のRがCH3 、 C2 H 5
    n-C3 H 7 、 i- C3 H 7 、 n-C4 H 9 およびフェニル
    よりなる群から選ばれたものである請求項13記載の製
    法。
  15. 【請求項15】 一般式(III) 中のR′が i-C3 H 7
    よびフェニルよりなる群から選ばれたものである請求項
    13記載の製法。
  16. 【請求項16】 一般式(II)中のRがCH3 で、一般式(I
    II) 中のR′が、i-C3 H 7 である請求項13記載の製
    法。
  17. 【請求項17】 一般式(II)中のRがCH3 で、一般式(I
    II) 中のR′がフェニルである請求項13記載の製法。
  18. 【請求項18】 前記グリニャール試薬が、 C2 H 5 Mg
    Br、CH3 MgBr、CH3 MgI および C6 H 5 MgClよりなる群
    から選ばれたものである請求項13記載の製法。
  19. 【請求項19】 それぞれの反応をテトラヒドロフラン
    の溶液中で行う請求項13記載の製法。
  20. 【請求項20】 ジグリニャール試薬と1,1,2,2-テトラ
    クロロシラン(III)の反応をテトラヒドロフランの希薄
    溶液中で行う請求項19記載の製法。
  21. 【請求項21】 前記抽出用溶剤が、ヘキサン、ペンタ
    ン、エーテル、ベンゼン、トルエンおよびクロロホルム
    よりなる群から選ばれたものである請求項13記載の製
    法。
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