JP2991272B2 - 2軸配向ポリエステルフィルム - Google Patents

2軸配向ポリエステルフィルム

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JP2991272B2
JP2991272B2 JP30750493A JP30750493A JP2991272B2 JP 2991272 B2 JP2991272 B2 JP 2991272B2 JP 30750493 A JP30750493 A JP 30750493A JP 30750493 A JP30750493 A JP 30750493A JP 2991272 B2 JP2991272 B2 JP 2991272B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、2軸配向ポリエステル
フィルムに関し、更に詳しくは、磁気テープ用ベースフ
ィルムとして好適な2軸配向ポリエステルフィルムに関
する。
【0002】
【従来の技術】今日、工業的に製造されている飽和ポリ
エステル、特にポリエチレンテレフタレート(以下、P
ETと略す。)は優れた物理的、化学的特性を有してお
り、さらにポリエステルに滑剤粒子と呼ばれる無機化合
物または有機化合物の微粒子が添加された2軸配向ポリ
エステルフィルムは、オーディオテープ、ビデオテープ
等の磁気テープ、コンデンサー用、写真用、包装用、O
HP用等に広く用いられている。
【0003】最近では、磁気テープ製造工程の高速化に
伴い、磁気テープ製造工程中のカレンダ加工工程におけ
る耐摩耗性に一層すぐれたフィルムが求められている。
カレンダ加工工程とは、磁性層組成物をポリエステルフ
ィルム上に塗布・乾燥することにより磁性層を形成した
後、この磁性層表面を平滑化する工程である。このカレ
ンダ加工工程では、極めて高圧力が加わるカレンダロー
ル間をこのフィルムが通過するため、主として滑剤によ
って形成されたフィルム表面の突起が削り落とされて摩
耗粉が発生する。このような摩耗粉がカレンダロール表
面に付着すると、フィルムの磁性層表面が粗くなり、結
果として得られる磁気テープの電気的特性の低下を招
く。また耐摩耗性が悪いフィルムは磁気テープとして使
用した場合、テープデッキ内の走行系においても摩耗粉
が発生し、その結果、磁気テープの電気特性の低下やド
ロップアウトを招く。
【0004】また、最近、磁気テープ用ベースフィルム
には、耐摩耗性に加えて耐スクラッチ性の要求が高まっ
ている。スクラッチとは、磁気テープが接触する部分に
つけられる擦り傷(例えば、高速ダビング時のカセット
ピンによるテープの擦り傷)や、テープデッキ内の走行
系で発生した摩耗粉によりつけられる擦り傷のことであ
る。このような耐スクラッチ性が悪い磁気テープは、そ
の製造工程内が汚染されたり、ドロップアウトの増加を
引き起こす。上記の耐摩耗性及び耐スクラッチ性の改善
は磁気テープの品質向上につながり非常に重要なことで
ある。
【0005】耐摩耗性及び耐スクラッチ性を改善する方
法としては、例えば、特開平1−311131号公報
に、ポリエステルフィルム内に滑剤として、ある特定の
微粒子、例えば、モース硬度6以上の不活性微粒子を添
加する方法が記載されている。しかしこの方法では、ア
ルミナ等のモース硬度6以上の不活性微粒子の充分な分
散が容易ではないため、1次粒子が複数個凝集する2次
凝集粒子としてポリエステルフィルム中に存在するた
め、スクラッチ性は向上するものの充分ではなく、フィ
ルムの耐摩耗性も充分でない。またアルミナ等のモース
硬度6以上の硬度の大きな不活性微粒子を大量にポリエ
ステルフィルムに配合した場合、フィルムのスリット時
にスリッターの刃を傷め易く好ましくない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、上記
の点を解決しようとするもので、その目的は、耐摩耗性
に優れ、それゆえカレンダ加工工程におけるフィルムの
摩耗粉の発生がなく、フィルムをスリットする際のバ
リ、ヒゲ及び粉の発生がなく、スリッターの刃の損傷性
が少なく、かつスクラッチ性に優れた2軸配向ポリエス
テルフィルムを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、芳香族ジカル
ボン酸を主とする酸成分とグリコール成分からなるポリ
エステルフィルムであって、下記(a)〜(d)の物性
を具備する炭酸カルシウム超微粒子を100〜2000
0ppmの範囲で含有することを特徴とする2軸配向ポ
リエステルフィルムを内容とするものである。 (a)電子顕微鏡写真により調べた形状において、0.
0025〜0.1μmの1次粒子が連鎖状に連なって構
成される、アスペクト比(長径/短径の比)が2以上の
針状炭酸カルシウムの粒子を少なくとも5重量%含有 (b)0.005μm≦DS1≦0.5μm (c)0.0025μm≦DS2≦0.1μm (d)0.01μm≦DP1≦0.4μm 但し、 DS1:電子顕微鏡写真により調べた超微粒子炭酸カル
シウムの長径の平均粒子径(μm) DS2:電子顕微鏡写真により調べた超微粒子炭酸カル
シウムの短径の平均粒子径(μm) DP1:光透過式粒度分布測定機(島津製作所製SA−
CP3)を用いて測定した粒度分布において、大きな粒
子径側から起算した重量累計50%の時の粒子径(μ
m)。
【0008】好適な実施態様においては、本発明の針状
炭酸カルシウムが、バテライト結晶型の炭酸カルシウム
を崩壊させて調製される炭酸カルシウム超微粒子であ
り、更に炭酸カルシウム超微粒子が、亜鉛、アルミニウ
ム、銅の塩化物から選ばれる1種以上を添加したアルコ
ール系内において、水酸化カルシウム、酸化カルシウ
ム、塩化カルシウム等のカルシウム化合物と、炭酸ガ
ス、炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム等の炭酸又は炭
酸塩を反応させて得られるバテライト結晶の炭酸カルシ
ウム母材を熟成することにより、該バテライト結晶の炭
酸カルシウム母材を崩壊させて得られる炭酸カルシウム
超微粒子である。
【0009】次に、本発明を詳しく説明する。本発明に
おける2軸配向ポリエステルフィルムは、芳香族ジカル
ボン酸を主たる酸成分とし、脂肪族グリコールを主たる
グリコール成分とするポリエステルを主成分とする。か
かるポリエステルは実質的に線状であり、そしてフィル
ム形成性、特に溶融成形によるフィルム形成性を有す
る。芳香族ジカルボン酸としては、例えばテレフタル
酸、ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、ジフェニ
ルエタンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフ
ェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカ
ルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸、アンスラセ
ンジカルボン酸等を挙げることができ、これらは単独又
は2種以上組み合わせて用いられる。脂肪酸グリコール
としては、例えばエチレングリコール、トリメチレング
リコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレン
グリコール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレン
グリコール等の如き炭素数2〜10のポリメチレングリ
コールあるいはシクロヘキサジメタノールの如き脂環族
ジオール等を挙げることができ、これらは単独又は2種
以上組み合わせて用いられる。
【0010】本発明において、ポリエステルとしては例
えばアルキレンテレフタレート及び/又はアルキレンナ
フタレートを主たる構成成分とするものが好ましく用い
られる。かかるポリエステルのうちでも例えばポリエチ
レンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレ
ートはもちろんのこと、例えば全ジカルボン酸成分の8
0モル%以上がテレフタル酸及び/又は2,6−ナフタ
レンジカルボン酸であり、全グリコール成分の80モル
%以上がエチレングリコールである共重合体が好まし
い。その際全酸成分の20モル%以下はテレフタル酸及
び/又はナフタレンジカルボン酸以外の上記芳香族ジカ
ルボン酸であることができ、また例えばアジピン酸、セ
バチン酸等の如き脂肪酸ジカルボン酸;シクロヘキサン
−1,4−ジカルボン酸の如き脂環族ジカルボン酸等で
あることができる。また全グリコール成分の20モル%
以下は、エチレングリコール以外の上記グリコールであ
ることができ、あるいは例えばハイドロキノン、2,2
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等の如き芳
香族ジオール;1,4−ジヒドロキシメチルベンゼンの
如き芳香族を含む脂肪酸ジオール、ポリエチレングリコ
ール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレン
グリコール等の如きポリアルキレングリコール(ポリオ
キシアルキレングリコール)等であることもできる。
【0011】また本発明におけるポリエステルには、例
えばヒドロキシ安息香酸の如き芳香族オキシ酸;ω−ヒ
ドロキシカプリン酸の如き脂肪酸オキシ酸等のオキシカ
ルボン酸に由来する成分を、ジカルボン酸成分及びオキ
シカルボン酸成分の総量に対し20モル%以下で共重合
或いは結合するものも含有される。さらに本発明におけ
るポリエステルには実質的に線状である範囲の量、例え
ば全酸性分に対し2モル%以下の量で、3官能以上のポ
リカルボン酸又はポリヒドロキシ化合物、例えばトリメ
リット酸、ペンタエリスリトール等を共重合したものも
含有される。
【0012】本発明の2軸配向ポリエステルフィルムに
含有される炭酸カルシウムは、その電子顕微鏡写真によ
り調べた形状が、0.0025〜0.1μmの1次粒子
が連鎖状に連なって構成される、アスペクト比(長径/
短径の比)が2以上の針状炭酸カルシウムの粒子を少な
くとも5重量%含有した炭酸カルシウムであればよく、
好ましくは30重量%以上、より好ましくは50重量%
以上の含有が良好である。上記針状炭酸カルシウムの含
有量が5重量%未満の場合、及び針状炭酸カルシウムの
アスペクト比が2未満の場合、耐摩耗性と耐スクラッチ
性を兼備する本発明の2軸配向ポリエステルフィルムは
得られない。
【0013】また、本発明の2軸配向ポリエステルフィ
ルムに含有される超微粒子炭酸カルシウムの大きさは、
電子顕微鏡写真により調べた超微粒子炭酸カルシウムの
長径の平均粒子径DS1(μm)、及び短径の平均粒子
径DS2(μm)が以下の式(b)、(c)を満足すれ
ばよく、好ましくは(e)、(f)の式を満たせばよ
い。 (b)0.005μm≦DS1≦0.5μm (c)0.0025μm≦DS2≦0.1μm (e)0.005μm≦DS1≦0.2μm (f)0.0025μm≦DS2≦0.05μm
【0014】また該超微粒子炭酸カルシウムを光透過式
粒度分布測定機(島津製作所製SA−CP3)を用いて
測定した粒度分布上の重量累計50%径DP1(μm)
は、以下の式(d)を満足すればよく、好ましくは
(g)、より好ましくは(h)の式を満たせばよい。 (d)0.01μm≦DP1≦0.4μm (g)0.01μm≦DP1≦0.2μm (h)0.01μm≦DP1≦0.1μm
【0015】DS1が0.5μmより大きな値の炭酸カ
ルシウム、DS2が0.1μmより大きな値の炭酸カル
シウム、DP1が0.4μmより大きな値の炭酸カルシ
ウムを本発明のポリエステルフィルムに用いた場合、得
られるフィルムに粗大突起が発生し易く、このようなフ
ィルムを磁気テープに用いた場合、粗大突起がテープ面
の傷の発生を助長したり、ドロップアウトの原因とな
る。またDS1が0.005μmより小さな値の炭酸カ
ルシウム、DS2が0.0025μmより小さな値の炭
酸カルシウム、DP1が0.01μmより小さな値の炭
酸カルシウムは、製造が困難である。
【0016】上記のような物性を有する炭酸カルシウム
超微粒子の製造方法には特に制限はなく、その製造方法
として水酸化カルシウムの水懸濁液に炭酸ガスを反応さ
せる炭酸ガス法、塩化カルシウム水溶液に炭酸ナトリウ
ム等の炭酸塩水溶液を反応させる溶液法、アルコール系
内においてカルシウム化合物と炭酸ガス又は炭酸塩を反
応させるアルコール溶液法等が例示できる。これら方法
により製造される炭酸カルシウムの結晶形態に特に制限
はなく、カルサイト、アラゴナイト、バテライト、アモ
ルファスのいずれの形態であってもよい。
【0017】また、高度な工業用途分野に使用される本
発明の2軸配向ポリエステルフィルムに含有される炭酸
カルシウムとしては、、バテライト結晶型の炭酸カルシ
ウムを崩壊させて調製される炭酸カルシウム超微粒子が
好適であり、さらに高級な用途に使用される本発明の2
軸配向ポリエステルフィルムに含有される上記(e)、
(f)、(h)の諸特性を兼備する炭酸カルシウムとし
ては、亜鉛、アルミニウム、銅の塩化物から選ばれる1
種以上を添加したアルコール系内において、水酸化カル
シウム、酸化カルシウム、塩化カルシウム等のカルシウ
ム化合物と、炭酸ガス、炭酸ナトリウム、炭酸アンモニ
ウム等の炭酸又は炭酸塩を反応させて得られるバテライ
ト結晶の炭酸カルシウム母材を熟成することにより、該
バテライト結晶の炭酸カルシウム母材を崩壊させて得ら
れる炭酸カルシウム超微粒子が最も好ましい。
【0018】本発明の2軸配向ポリエステルフィルム中
の前述の炭酸カルシウム超微粒子の含有量は100〜2
0000ppmであることが必要であり、好ましくは1
500〜10000ppmである。上記炭酸カルシウム
超微粒子の含有量が20000ppmを越える場合は逆
にフィルム表面に傷を発生させるおそれがあり、またポ
リエステルフィルムの耐熱性を低下させる。また、炭酸
カルシウム超微粒子の含有量が100ppm未満の場
合、得られるポリエステルフィルムが充分な耐摩耗性と
耐スクラッチ性を有しない。
【0019】本発明の2軸配向ポリエステルフィルムに
使用する炭酸カルシウムは、エチレングリコールやポリ
エステルとの親和性の向上、炭酸カルシウム粒子の分散
性、安定性等をさらに高めるために、有機酸、例えば脂
肪酸、樹脂酸、アクリル酸、メタクリル酸、シュウ酸、
クエン酸等の有機酸、酒石酸、燐酸、縮合燐酸、フッ酸
等の無機酸、それらのポリマー、それらのアルカリ金属
塩、アンモニウム塩、アルカリ土類金属塩、又はそれら
のエステル類等の表面処理剤、シラン、チタン等のカッ
プリング剤、界面活性剤等の分散剤等を、常法に従い表
面処理して使用されるのが好ましく、一般に炭酸カルシ
ウムに対し5重量%以下の量が使用される。
【0020】このように本発明においては、ある特定形
状、特定粒度分布を有する炭酸カルシウム超微粒子をポ
リエステルフィルムに含有させた場合にその効果が発揮
されるが、その効果は次のいくつかの要件が組み合わさ
れたときに格段に顕著なものとなる。第一は、エチレン
テレフタレート単位を80モル%以上含むフィルムの場
合、フィルムの厚み方向の屈折率が1.493未満で
は、フィルムの易滑性及び耐摩耗性の改良効果が不十分
である。また、フィルムの厚み方向の屈折率が1.49
3以上である場合、磁性層との接着性を向上することが
でき好適である。フィルム厚み方向の屈折率は、好まし
くは1.494〜1.505である。かかる物性を有す
るフィルムは、例えば逐次二軸延伸の場合、縦延伸温度
を通常の延伸温度よりも5〜30℃高い105〜115
℃程度とすることによって得ることができる。
【0021】本発明の効果が特に発揮される第二の組み
合わせは、エチレンテレフタレート単位を80モル%以
上含むフィルムの場合、該粒子を含むフィルムの縦方向
のヤング率と横方向のヤング率の和を900kg/mm
2 以上、さらに好ましくは1000kg/mm2 以上、
特に好ましくは1100kg/mm2 とすることであ
る。通常、このように高強度となるように強く延伸され
た場合、フィルム表層から粒子が脱落しやすく、フィル
ムの耐摩耗性が悪化するが、本発明の炭酸カルシウム超
微粒子を用いた場合には、かかる脱落現象が減少する傾
向にある。
【0022】なお、かかる高強度フィルムは、例えば次
の公知の製膜方法により得ることができる。すなわち、
実質的に無配向の未延伸シートを80〜120℃で縦方
向に3.0〜6.0倍、次いで横方向に3.0〜6.0
倍延伸し、170〜240℃にて熱処理する方法であ
る。もちろん縦横に逐次二軸延伸あるいは同時二軸延伸
した後、さらに110〜180℃の温度で縦方向に1.
05〜2.5倍再延伸を行った後、熱処理する方法も採
り得る。この際、再縦延伸前熱固定、再縦延伸後弛緩、
再縦延伸前または後に、微小倍率縦延伸等の手法を適宜
採用することも可能である。また、同様に横方向に再延
伸を行ってもよい。
【0023】本発明の効果が特に発揮される第三の組み
合わせは、ポリエチレン−2,6−ナフタレート単位を
80モル重量%以上含むフィルムに前述の炭酸カルシウ
ム超微粒子を配合する場合である。特にポリエチレン−
2,6−ナフタレート単位を80モル重量%以上含むフ
ィルムは、機械的強度や耐熱性に優れていることから注
目されているが、かかるフィルムは、フィルムの走行速
度や張力の点において、しばしば厳しい条件下で使用さ
れるので、特に耐摩耗性の改良が望まれている。特にフ
ィルムの縦方向のヤング率と横方向のヤング率の和を1
300kg/mm2 以上、さらに好ましくは1400k
g/mm2 以上、特に好ましくは1500kg/mm2
以上とすることにより、その耐摩耗性の改良効果が顕著
に得られる。
【0024】ポリエチレン−2,6−ナフタレートの場
合、延伸温度を高くすること以外はポリエチレンテレフ
タレートと同様な手法により、かかる高強度フィルムを
得ることができる。すなわち、実質的に無配向の未延伸
シートを140〜120℃で縦方向に3.0〜6.0
倍、次いで横方向に3.0〜6.0倍延伸し、180〜
260℃にて熱処理する。もちろん縦横に逐次二軸延伸
あるいは同時二軸延伸した後、さらに140〜200℃
の温度で縦方向に1.05〜4.0倍再延伸を行った
後、熱処理する方法も採り得る。この際、再縦延伸前熱
固定、再縦延伸後弛緩、再縦延伸前または後に、微小倍
率縦延伸等の手法を適宜採用することも可能である。ま
た、同様に横方向に再延伸を行ってもよい。さらに本発
明のポリエステルを、積層フィルムの表又は裏面に使用
してもよい。
【0025】このように本発明においては、ある特定形
状、特定粒度分布を有する炭酸カルシウム超微粒子をポ
リエステルフィルムに含有させた場合に、ポリエステル
フィルムの特性を改良することができるが、上記3通り
の場合において、その効果を特に享受することができ
る。本発明においては、その要旨をこえない範囲で他の
粒子を1種以上併用して、さらにフィルムの走行性、耐
摩耗性、耐スクラッチ性等を改良することが可能であ
る。かかる粒子の一つとして析出粒子を挙げることがで
きる。ここでいう析出粒子とは、例えばエステル交換触
媒としてアルカリ金属またはアルカリ土類金属化合物を
用いた系を常法により重合することにより反応系内に析
出するものをさす。また、併用する粒子の一つとして添
加粒子も用いることができる。ここでいう添加粒子とは
ポリエステルに外部から添加する粒子をさすが、具体的
にはカオリン、タルク、カーボンブラック、硫化モリブ
デン、石膏、酸化アルミニウム、硫酸バリウム、フッ化
リチウム、フッ化カルシウム、ゼオライト、燐酸カルシ
ウム、二酸化珪素酸化物、二酸化チタン、耐熱性の高分
子微粒子等を挙げることができる。また、本発明に用い
られる炭酸カルシウム超微粒子以外に、粒子径、形状、
結晶形態の異なる炭酸カルシウムを併用してもよい。上
記添加粒子の内特に好適な併用粒子をモース硬度別に分
類した場合、モース硬度2.5未満の添加粒子として
は、耐熱性の高分子微粒子及びカオリンを挙げることが
できる。耐熱性の高分子微粒子の典型的な例としては、
例えば特公昭59−5216号公報に記載されているよ
うな、分子中に唯1個の脂肪族の不飽和結合を有するモ
ノビニル化合物と架橋剤として分子中に2個以上の脂肪
族の不飽和結合を有する化合物との共重合体を例示する
ことができるが、これに限定されるものではなく、例え
ば、熱硬化性エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂ある
いはポリテトラフルオレチレンのようなフッ素樹脂の微
粒子を用いることもできる。これら耐熱性の高分子微粒
子は、実質的に球状体であり、本発明に用いる炭酸カル
シウム超微粒子と併用できる好ましい粒子径は0.05
〜2μmであり、その添加量はポリエステルフィルムに
対し0.05〜2重量%、本発明に用いられる炭酸カル
シウム超微粒子に対する併用割合は、該炭酸カルシウム
超微粒子100重量部に対し5〜250重量部である。
【0026】また、カオリンについては、耐摩耗性が良
好なフィルムが得られやすく、天然カオリン、合成カオ
リン、焼成、未焼成を問わずいかなるタイプでもよく、
またその形状も、板状、柱状、球状、紡錘状、卵型等任
意に選択し併用できる。本発明に用いる炭酸カルシウム
超微粒子と併用できるカオリンの好ましい粒子径は0.
1〜5μmであり、その添加量はポリエステルフィルム
に対し0.05〜2重量%、本発明に用いられる炭酸カ
ルシウム超微粒子に対する併用割合は、該炭酸カルシウ
ム超微粒子100重量部に対し20〜500重量部であ
る。
【0027】モース硬度2.5以上5未満の添加粒子と
しては、炭酸カルシウムを挙げることができ、天然炭酸
カルシウム、合成炭酸カルシウムのいずれであってもよ
く、炭酸ガスと石灰乳の反応による炭酸ガス法、塩化カ
ルシウムと炭酸ナトリウムとの反応に代表される水溶液
法、アルコール中における炭酸ガス法のいずれの合成法
で合成されたものでもよい。また、その結晶型は、カル
サイト、アラゴナイト、バテライト、アモルファスのい
ずれであってもよく、形状は立方体、球状、楕円球状、
板状、柱状、針状等任意に選択できる。中でもカルサイ
ト型の球状及び立方形状炭酸カルシウム、バテライト型
の球状、楕円球状、碁石状炭酸カルシウムが、粒子形
態、分散性の観点から好ましく、ポリエステルフィルム
に良好な易滑性を付与できるため本発明に用いる炭酸カ
ルシウム超微粒子と併用可能である。本発明に用いる炭
酸カルシウム超微粒子と併用使用できる炭酸カルシウム
の好ましい粒子径は0.1〜5μmであり、また本発明
に用いる炭酸カルシウム超微粒子の平均粒子径の1.2
倍以上の平均粒子径を有する炭酸カルシウムがよい。そ
の添加量はポリエステルフィルムに対し0.05〜2重
量%、本発明に用いられる炭酸カルシウム超微粒子に対
する併用割合は、該炭酸カルシウム超微粒子100重量
部に対し20〜500重量部である。
【0028】モース硬度5以上の添加粒子としては、合
成球状シリカ及び酸化アルミニウムを挙げることができ
る。形状が真球状に近いため、ポリエステルフィルムに
良好な走行特性を付与できる合成球状シリカは、オルト
珪酸エチルの加水分解から含水シリカの単分散球を作
り、さらに脱水化処理してシリカ結合を三次元的に成長
させて製造する方法が例示できるが、該製造方法にこだ
わらず実質的に球状のシリカを合成するいかなる方法に
よるものであってもさしつかえない。本発明に用いる炭
酸カルシウム超微粒子と併用できる合成球状シリカの好
ましい粒子径は0.1〜3μmであり、その添加量はポ
リエステルフィルムに対し0.05〜2重量%、本発明
に用いられる炭酸カルシウム超微粒子に対する併用割合
は、該炭酸カルシウム超微粒子100重量部に対し20
〜500重量部である。
【0029】酸化アルミニウムは、通常、その1次粒子
径が0.005〜0.04μmの範囲にあるため、本発
明に使用する炭酸カルシウム超微粒子と併用して、ポリ
エステルフィルムの耐スクラッチ性を相乗的に改良でき
る。この酸化アルミニウムの製造方法は、無水塩化アル
ミニウムを原料とする熱分解法、アンモニウム明ばん熱
分解法等が例示できるが、これら製造方法に特別の制限
はなく、デルタ型及びガンマ型が好ましく用いることが
できる。本発明に用いる炭酸カルシウム超微粒子と併用
できる酸化アルミニウムの好ましい粒子径は0.1μm
以下であり、その添加量はポリエステルフィルムに対し
0.05〜2重量%、本発明に用いられる炭酸カルシウ
ム超微粒子に対する併用割合は、該炭酸カルシウム超微
粒子100重量部に対し100〜1000重量部であ
る。
【0030】このように特定の形状、粒径及び粒度分布
を有する炭酸カルシウム超微粒子と、さらに必要に応じ
上記添加粒子を配合することにより、極めて優れた、特
に磁気記録媒体用に適したポリエステルフィルムを得る
ことが可能となる。本発明の炭酸カルシウム超微粒子を
含むポリエステルの製造に際し、本発明に用いる炭酸カ
ルシウム超微粒子及び添加粒子は、ポリエステルの合成
反応中に添加することが好ましい。特にエステル交換反
応またはエステル化反応終了時、重縮合反応開始前に添
加することが好ましい。尚、添加する粒子は、通常、エ
チレングリコールのスラリーとして添加するが、必要に
応じ、事前に解砕、分散、分級、濾過等の処理を施して
おいてもよい。
【0031】添加するエチレングリコール中のスラリー
濃度は3〜50重量%、好ましくは10〜40重量%と
するのがよい。スラリーの粒子濃度が3重量%未満で
は、エチレングリコールの使用量が増し、エチレングリ
コールの原単位が大きくなり好ましくない。また、粒子
濃度が50重量%を越えたスラリーを添加すると、粒子
の分散性が徐々に悪化する。
【0032】尚、ポリエステル合成の重縮合反応触媒と
しては、Sb,Ti.Ge,Sn,Si化合物等の通常
用いられている触媒が単独又は組み合わせて使用され
る。また、一般に無機物の微粒子を含んだポリエステル
を製造する場合には、無機微粒子の分散性及び得られる
フィルムの静電密着性改善等の目的でアルカリ金属塩ま
たはアルカリ土類金属塩と、燐酸、燐酸アルキルエステ
ル、またはそれらの誘導体等を添加する。本発明の2軸
配向ポリエステルフィルムを製造する場合、アルカリ金
属塩またはアルカリ土類金属塩と、燐酸、燐酸アルキル
エステル、またはそれらの誘導体等を添加したモル比
(燐酸またはその誘導体)/((アルカリ金属)/2+
(アルカリ土類金属))は0.5〜0.9であることが
好ましい。上記のモル比が0.5未満または0.9を越
える場合、本発明に用いる炭酸カルシウム超微粒子の凝
集が起こり易くなるため、ポリエステル内に粗大粒子が
発生し、従って、このようなポリエステルを用いた磁気
テープは、ドロップアウトの原因となりやすい。
【0033】特に磁気記録媒体用として好適な本発明の
フィルムは特定の粒子と特定のフィルム物性との組み合
わせにより初めて得られるものであるが、そのフィルム
表面の中心線粗さは、通常、0.005〜0.1μmで
あり、0.007〜0.08μmが好ましく、0.01
〜0.03μmがさらに好ましい。
【0034】本発明のフィルムは、高速走行時の耐摩耗
性、耐スクラッチ性が極めて良好なため、ビデオテープ
用のベースフィルムとして賞用されるほか、オーディオ
用のそれとして用いた場合にも特に効果を発揮し得る。
もちろん必要に応じ、コンデンサーの誘電体用、包装
用、製版用、その他の用途に用いることも可能である。
【0035】
【実施例】以下、本発明を実施例を挙げてさらに詳細に
説明するが、本発明は、その要旨を越えない限り、以下
の実施例によって限定されるものではない。
【0036】実施例、比較例に使用する炭酸カルシウム
の製造方法を以下に示す。 炭酸カルシウムA メタノール250リッターに13kgの水酸化カルシウ
ムを加え、さらに水酸化カルシウムに対し5モル%に相
当する塩化亜鉛を添加して調製した水酸化カルシウムの
メタノール懸濁液に、温度15℃で攪拌しながら炭酸ガ
スを流量500リッター/minで2.5時間吹き込
み、系内のpHを7.0にした後さらに1時間同一条件
で炭酸ガスを吹き込み、硬いゲル物を調製した。該硬い
ゲル物を72時間静置し、ゲル物をメタノール懸濁液に
変化させた。得られたメタノール懸濁液中の炭酸カルシ
ウムを電子顕微鏡及びX線回折装置を用い観察した結
果、粒子径が約0.8μmのバテライト型結晶の球状の
炭酸カルシウムであった。該メタノール懸濁液中にエチ
レングリコールを加え攪拌し、炭酸カルシウムとメタノ
ールとエチレングリコールの混合スラリーを調製した。
次に該混合スラリーを蒸留し、炭酸カルシウムのエチレ
ングリコール分散体を調製した。
【0037】該エチレングリコール分散体を加温し、1
20℃で2時間保持させ、該エチレングリコール分散体
中のバテライト型結晶の球状炭酸カルシウムを崩壊さ
せ、炭酸カルシウムAのエチレングリコール分散体を調
製した。エチレングリコール分散体中の炭酸カルシウム
Aの固形分濃度は10重量%であった。該エチレングリ
コール分散体中の炭酸カルシウムを電子顕微鏡及びX線
回析装置を用い観察した結果、この炭酸カルシウムA
は、0.007μmの粒子が連鎖状に連なって構成され
たアスペクト比5〜10の針状のバテライト型結晶の炭
酸カルシウム超微粒子であり、DS1は0.03〜0.
07μm、DS2は0.007μmであった。また、遠
心沈降式粒度分布測定機SA−CP3を用いて測定した
DP1は、0.07μmであった。
【0038】炭酸カルシウムB 比重1.050で温度が8℃の石灰乳7000リッター
に、炭酸ガス濃度27重量%の炉ガスを30m3 /mi
nの流速で導通し炭酸化反応を行い、25℃におけるp
Hが9.0の炭酸カルシウムの水懸濁液を得た。この炭
酸カルシウムは、電子顕微鏡で観察した結果、1次粒子
径が0.04μmの炭酸カルシウムであった。その後3
0℃で5時間攪拌し、炭酸カルシウム水懸濁液の25℃
におけるpHが11.7に達した時点でフィルタープレ
スを用いて脱水し、炭酸カルシウム固形分濃度が45重
量%の脱水ケーキを得た。次に得られた脱水ケーキに再
度水を加え攪拌し、脱水前の炭酸カルシウム水懸濁液と
同一濃度の炭酸カルシウム水懸濁液を得た。該炭酸カル
シウム水懸濁液のpHは11.3であった。この炭酸カ
ルシウム水懸濁液に塩化マグネシウムを炭酸カルシウム
固形部に対し5重量%添加し、25℃で72時間攪拌し
た。次に再度炭酸ガスを導通し、炭酸カルシウム水懸濁
液のpHを7.0に低下せしめた。
【0039】該炭酸カルシウムに水懸濁液を再度フィル
タープレスを用いて脱水し、得られた脱水ケーキにエチ
レングリコールを加え攪拌し、炭酸カルシウムと水とエ
チレングリコールの混合スラリーを調製した。次に該混
合スラリーを蒸留し、炭酸カルシウムBのエチレングリ
コール分散体を調製した。エチレングリコール分散体中
の炭酸カルシウムBの固形分濃度は10重量%であっ
た。該エチレングリコール分散体中の炭酸カルシウムを
電子顕微鏡及びX線回析装置を用い観察した結果、この
炭酸カルシウムBは、0.06μmの粒子が連鎖状に連
なって構成されたアスペクト比5の針状のカルサイト結
晶の炭酸カルシウム超微粒子であり、DS1は0.3μ
m、DS2は0.06μmであった。また、遠心沈降式
粒度分布測定機SA−CP3を用いて測定したDP1
は、0.07μmであった。
【0040】炭酸カルシウムC 比重1.050で温度が8℃の石灰乳7000リッター
に、炭酸ガス濃度27重量%の炉ガスを30m3 /mi
nの流速で導通し炭酸化反応を行い、25℃におけるp
Hが9.0の炭酸カルシウムの水懸濁液を得た。この炭
酸カルシウムは、電子顕微鏡で観察した結果、1次粒子
径が0.04μmの炭酸カルシウムであった。その後3
0℃で5時間攪拌し、炭酸カルシウム水懸濁液の25℃
におけるpHが11.7に達した時点でフィルタープレ
スを用いて脱水し、炭酸カルシウム固形分濃度が45重
量%の脱水ケーキを得た。次に得られた脱水ケーキに再
度水を加え攪拌し、脱水前の炭酸カルシウム水懸濁液と
同一濃度の炭酸カルシウム水懸濁液を得た。該炭酸カル
シウム水懸濁液のpHは11.3であった。この炭酸カ
ルシウム水懸濁液に再度炭酸ガスを導通し、炭酸カルシ
ウム水懸濁液のpHを7.0に低下せしめた。
【0041】該炭酸カルシウム水懸濁液を再度フィルタ
ープレスを用いて脱水し、得られた脱水ケーキにエチレ
ングリコールを加え攪拌し、炭酸カルシウムと水とエチ
レングリコールの混合スラリーを調製した。次に該混合
スラリーを蒸留し、炭酸カルシウムCのエチレングリコ
ール分散体を調製した。エチレングリコール分散体中の
炭酸カルシウムCの固形分濃度は10重量%であった。
該エチレングリコール分散体中の炭酸カルシウムを電子
顕微鏡及びX線回析装置を用い観察した結果、DS1及
びDS2が共に0.05μmの立方体状で、アスペクト
比が1のカルサイト結晶の炭酸カルシウム超微粒子であ
った。また、遠心沈降式粒度分布測定機SA−CP3を
用いて測定したDP1は、0.18μmであった。
【0042】炭酸カルシウムD 針状でアラゴナイト型結晶の炭酸カルシウムの市販品T
P−123(奥多摩工業株式会社製)にエチレングリコ
ールを加え、炭酸カルシウムDのエチレングリコール分
散体を調製した。エチレングリコール分散体中の炭酸カ
ルシウムDの固形分濃度は10重量%であった。該エチ
レングリコール分散体中の炭酸カルシウムを電子顕微鏡
及びX線回析装置を用い観察した結果、この炭酸カルシ
ウムDは、アスペクト比5〜10の針状のアラゴナイト
結晶の炭酸カルシウム超微粒子であり、DS1は1〜2
μm、DS2は0.2μmであった。また、遠心沈降式
粒度分布測定機SA−CP3を用いて測定したDP1
は、0.7μmであった。
【0043】次に、実施例、比較例に使用するポリエチ
レンテレフタレートの製造方法を以下に示す。 ポリエチレンテレフタレートA ジメチルテレフタレート100重量部、エチレングリコ
ール60重量部及び酢酸マグネシウム4水塩0.09重
量部を反応器にとり、加熱昇温するとともにメタノール
を留去してエステル交換反応を行い、反応開始から4時
間を要して230℃まで昇温し、実質的にエステル交換
反応を終了した。次いで、炭酸カルシウムAのエチレン
グリコール分散体を炭酸カルシウムA固形分として0.
7重量部を添加した。炭酸カルシウムAのエチレングリ
コール分散体添加後、さらに燐酸0.03重量部、三酸
化アンチモン0.04重量部を加えて4時間重縮合反応
を行い、極限粘度0.60のポリエチレンテレフタレー
トAを得た。
【0044】ポリエチレンテレフタレートB 炭酸カルシウムAを炭酸カルシウムBに変更した他はポ
リエチレンテレフタレートAと全く同様にして、エステ
ル交換反応、重縮合反応を行い、極限粘度0.63のポ
リエチレンテレフタレートBを得た。
【0045】ポリエチレンテレフタレートC 炭酸カルシウムAを炭酸カルシウムCに変更した他はポ
リエチレンテレフタレートAと全く同様にして、エステ
ル交換反応、重縮合反応を行い、極限粘度0.63のポ
リエチレンテレフタレートCを得た。
【0046】ポリエチレンテレフタレートD 炭酸カルシウムAを炭酸カルシウムDに変更した他はポ
リエチレンテレフタレートAと全く同様にして、エステ
ル交換反応、重縮合反応を行い、極限粘度0.63のポ
リエチレンテレフタレートDを得た。
【0047】ポリエチレンテレフタレートE 粒子添加を行わないこと以外はポリエチレンテレフタレ
ートAの方法と全く同様にして、エステル交換反応、重
縮合反応を行い、極限粘度0.63のポリエチレンテレ
フタレートEを得た。
【0048】ポリエチレンテレフタレートF 炭酸カルシウムAの代わりに、平均粒子径0.3μmの
単分散した球状シリカを0.6重量部添加した他はポリ
エチレンテレフタレートAと全く同様にして、エステル
交換反応、重縮合反応を行い、極限粘度0.63のポリ
エチレンテレフタレートFを得た。
【0049】ポリエチレンテレフタレートG 球状シリカの代わりに、平均粒子径0.4μmの単分散
したカルサイト型結晶の多孔質球状炭酸カルシウムを
0.6重量部添加した他はポリエチレンテレフタレート
Fと全く同様にして、エステル交換反応、重縮合反応を
行い、極限粘度0.63のポリエチレンテレフタレート
Gを得た。
【0050】ポリエチレンテレフタレートH 球状シリカの代わりに、平均粒子径0.4μmの単分散
したバテライト型結晶の碁石状炭酸カルシウムを0.6
重量部添加した他はポリエチレンテレフタレートFと全
く同様にして、エステル交換反応、重縮合反応を行い、
極限粘度0.62のポリエチレンテレフタレートHを得
た。
【0051】ポリエチレンテレフタレートI 球状シリカの代わりに、平均粒子径0.4μmの単分散
したカルサイト型結晶の立方状炭酸カルシウムを0.6
重量部添加した他はポリエチレンテレフタレートFと全
く同様にして、エステル交換反応、重縮合反応を行い、
極限粘度0.62のポリエチレンテレフタレートIを得
た。
【0052】ポリエチレンテレフタレートJ 球状シリカの代わりに、平均粒子径0.08μmの分散
したγ型の酸化アルミニウム0.6重量部添加した他は
ポリエチレンテレフタレートFと全く同様にして、エス
テル交換反応、重縮合反応を行い、極限粘度0.60の
ポリエチレンテレフタレートJを得た。
【0053】ポリエチレンテレフタレートK 球状シリカの代わりに、平均粒子径0.4μmの分散し
たカオリンを0.6重量部添加した他はポリエチレンテ
レフタレートFと全く同様にして、エステル交換反応、
重縮合反応を行い、極限粘度0.62のポリエチレンテ
レフタレートKを得た。
【0054】ポリエチレンテレフタレートL 球状シリカの代わりに、平均粒子径0.4μmの単分散
したポリスチレンを主成分とする耐熱性有機粒子を0.
6重量部添加した他はポリエチレンテレフタレートFと
全く同様にして、エステル交換反応、重縮合反応を行
い、極限粘度0.62のポリエチレンテレフタレートL
を得た。
【0055】ポリエチレンテレフタレートM 炭酸カルシウムB固形分の添加量0.7重量部を5重量
部に変更した他はポリエチレンテレフタレートBと全く
同様にして、エステル交換反応、重縮合反応を行い、極
限粘度0.58のポリエチレンテレフタレートMを得
た。
【0056】なお、実施例、比較例における種々の物性
及び特性の測定方法、定義は下記のとおりである。 (1)平均粒径及び粒度分布 島津製作所製遠心沈降式粒度分布測定装置(SA−CP
3型)で測定した等価球形分布における積算体積分率5
0%の粒径を平均粒子径とした。 (2)ヤング率(引張弾性率) 株式会社インテスコ製 引張試験機インテスコモデル2
001型を用いて、温度23℃、湿度50%RHに調整
された室内において、長さ300mm、幅20mmの試
験フィルムを、10%/minの歪速度で引張り、引張
応力−歪曲線の初めの直線部分を用いて次式によってヤ
ング率(E)を計算した。 E=Δσ/Δε (上記式中、Ε、Δσ、Δεはそれぞれヤング率(kg
/mm2 )、直線上の2点間の元の平均断面積による応
力差、および2点間の歪差を示す) (3)走行性 フィルムの滑り性により測定した。滑り性は、固定した
硬質クロムメッキ金属ロール(直径6mm)にフィルム
を巻き付け角(θ)135°で接触させ、53g
(T2 )の荷重を一端にかけて、1m/minの速度で
これを走行させ他端の抵抗力(T1 ,g)を測定し、次
式により走行中の摩擦係数(μd)を求めた。
【0057】
【数1】
【0058】(4)摩耗特性 固定した直径6ミリの硬質クロム性固定ピンにフィルム
を巻き付け角135°で接触させ、速度10m/mi
n、張力200gでフィルムを1000mにわたって走
行させ、ピンに付着した摩耗白粉量を目視評価し、下記
のランク別に評価を行った。 ランクA:全く付着しない ランクB:微量付着する ランクC:少量(ランクBよりは多い)付着する ランクD:極めて多く付着する
【0059】(5)耐スクラッチ性 幅10mmに裁断したポリエステルフィルムをプラスチ
ック製ピンに張力100g、巻き付け角90度、走行速
度150m/分で1回摩擦させつつ走行させる。次い
で、その摩擦面にアルミニウム蒸着を施し、その実態顕
微鏡写真で傷の量を目視判定し、以下のようにランク分
けした。 1:傷がまったく認められない 2:かすかに傷が認められるがきわめて微量である 3:少量の傷が認められる 4:大量の傷が認められる 得られたポリエステルフィルムが上記したランク1また
は2であれば実用上差し支えない。
【0060】(6)フィルムの巻き特性 ポリエステルフィルムの巻取り作業時のロールの巻きず
れ、シワ入りおよび巻き姿等の良否を総合的に判断し
た。
【0061】(7)磁気テープ特性 まず磁気テープを製造した。すなわち、磁性微粉末20
0重量部、ポリウレタン樹脂30重量部、ニトロセルロ
ース100重量部、塩化ビニル−酢酸セルロース共重合
体10重量部、レシチン5重量部、シクロヘキサノン1
00重量部、メチルイソブチルケトン100重量部、お
よびメチルエチルケトン300重量部をボールミルにて
48時間混合分散後、ポリイソシアネート化合物5重量
部を加えて磁性塗料とし、これをポリエステルフィルム
に塗布した後、塗料が十分乾燥固化する前に磁気配向さ
せ、その後乾燥し、2μmの膜厚の磁性層を形成した。
次いで鏡面仕上げの金属ロールとポリエステル系複合樹
脂ロールとから構成されている5段のスーパーカレンダ
ーを用い、ロール温度85℃、線圧250kg/cm、
走行速度80m/minの条件下、上記の磁気テープ5
000mを7回繰り返し走行させ、樹脂ロールに付着す
る白粉量を目視評価し、下記のランク別に評価を行っ
た。 ○:樹脂ロールに白粉の付着はほとんど見られない △:極く僅かな白粉の付着がみられる ×:明らかに白粉の付着がみられる
【0062】また、磁気テープを1/2インチ幅にスリ
ットした後、松下電気製NV−3700型ビデオデッキ
により、常速にて下記の磁気テープ特性を評価した。 (i)VTRヘッド出力 シンクロスコープにより、測定周波数が4メガヘルツに
おけるVTRヘッド出力を測定し、ブランクを0デシベ
ル(dB)として、その相対値をデシベルで示した。 (ii) ドロップアウト数 4.4メガヘルツの信号を記録したビデオテープを再生
し、大倉インダストリー株式会社製ドロップアウトカウ
ンターでドロップアウト数を約20分間測定し、1分間
当たりのドロップアウト数に換算した。
【0063】実施例1 添加粒子が表1に示した濃度になるように前記のポリエ
チレンテレフタレート(A),(E),(F)を所定の
重量比で均一に混合し、常法にて乾燥後、290℃で溶
融押し出し、無定形シートを得、シートの流れ方向(縦
方向)に110℃で3.5倍、横方向に110℃で3.
5倍延伸し、さらに130℃で縦方向に1.08倍延伸
し、220℃で3秒間熱処理を行い、厚さ15μmのフ
ィルムを得た。このようにして得られたフィルムの特性
を表3に示す。また、得られたフィルムに磁性層を塗布
し磁気テープを得、その特性も測定した。
【0064】実施例2〜10 添加粒子が表1に示した濃度になるように前記のポリエ
チレンテレフタレート(A)〜(M)を所定の重量比で
均一に混合し、常法にて乾燥後、実施例1と同様の方法
で厚さ15μmのフィルム及びそれを用いた磁気テープ
を得た。このようにして得られたフィルム及び磁気テー
プの特性を表3、4に示す。
【0065】比較例1〜比較例10 添加粒子が表2に示した濃度になるように前記のポリエ
チレンテレフタレート(A)〜(M)を所定の重量比で
均一に混合し、常法にて乾燥後、実施例1と同様の方法
で厚さ15μmのフィルム及びそれを用いた磁気テープ
を得た。このようにして得られたフィルム及び磁気テー
プの特性を表5、6に示す。
【0066】
【表1】
【0067】
【表2】
【0068】
【表3】
【0069】
【表4】
【0070】
【表5】
【0071】
【表6】
【0072】
【発明の効果】叙上のとおり、本発明の2軸配向ポリエ
ステルフィルムは、耐摩耗性、耐スクラッチ性及び走行
性に優れ、磁気記録媒体用ベースフィルムをはじめとす
る産業用資材として有用であり、その工業的価値は高
い。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G11B 5/704 G11B 5/704 // B29K 67:00 105:16 B29L 7:00 (56)参考文献 特開 平5−294616(JP,A) 特開 平4−292414(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08L 67/00 - 67/08 C08K 3/00 - 13/08 B29C 55/12 C08J 5/18 G11B 5/704

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芳香族ジカルボン酸を主とする酸成分と
    グリコール成分からなるポリエステルフィルムであっ
    て、下記(a)〜(d)の物性を具備する炭酸カルシウ
    ム超微粒子を100〜20000ppmの範囲で含有す
    ることを特徴とする2軸配向ポリエステルフィルム。 (a)電子顕微鏡写真により調べた形状において、0.
    0025〜0.1μmの1次粒子が連鎖状に連なって構
    成される、アスペクト比(長径/短径の比)が2以上の
    針状炭酸カルシウムの粒子を少なくとも5重量%含有 (b)0.005μm≦DS1≦0.5μm (c)0.0025μm≦DS2≦0.1μm (d)0.01μm≦DP1≦0.4μm 但し、 DS1:電子顕微鏡写真により調べた超微粒子炭酸カル
    シウムの長径の平均粒子径(μm) DS2:電子顕微鏡写真により調べた超微粒子炭酸カル
    シウムの短径の平均粒子径(μm) DP1:光透過式粒度分布測定機(島津製作所製SA−
    CP3)を用いて測定した粒度分布において、大きな粒
    子径側から起算した重量累計50%の時の粒子径(μ
    m)。
  2. 【請求項2】 炭酸カルシウム超微粒子が、バテライト
    結晶型の炭酸カルシウムを崩壊させて調製される炭酸カ
    ルシウム超微粒子である請求項1記載の2軸配向ポリエ
    ステルフィルム。
  3. 【請求項3】 炭酸カルシウム超微粒子が、亜鉛、アル
    ミニウム、銅の塩化物から選ばれる1種以上を添加した
    アルコール系内において、水酸化カルシウム、酸化カル
    シウム、塩化カルシウム等のカルシウム化合物と、炭酸
    ガス、炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム等の炭酸又は
    炭酸塩を反応させて得られるバテライト結晶の炭酸カル
    シウム母材を熟成することにより、該バテライト結晶の
    炭酸カルシウム母材を崩壊させて得られる炭酸カルシウ
    ム超微粒子である請求項1記載の2軸配向ポリエステル
    フィルム。
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