JP2971667B2 - 光学活性α−もしくはβ−ヒドロキシカルボン酸エステル類またはヒドロキシアセタール類の製造法 - Google Patents

光学活性α−もしくはβ−ヒドロキシカルボン酸エステル類またはヒドロキシアセタール類の製造法

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JP2971667B2
JP2971667B2 JP14282292A JP14282292A JP2971667B2 JP 2971667 B2 JP2971667 B2 JP 2971667B2 JP 14282292 A JP14282292 A JP 14282292A JP 14282292 A JP14282292 A JP 14282292A JP 2971667 B2 JP2971667 B2 JP 2971667B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、吸水性ポリマーに固定
化した酵素を用いる光学活性α−もしくはβ−ヒドロキ
シカルボン酸エステル類またはヒドロキシアセタール類
の製造法に関する。
【0002】光学活性α−もしくはβ−ヒドロキシカル
ボン酸エステル類またはヒドロキシアセタール類は、医
農薬品、香料をはじめとする種々の有機化学製品の中間
体もしくは、製造原料として重要な化合物である。
【0003】このように医薬品および香料の原料・中間
体となる例としては、アンジオテンシン変換酵素を阻害
する血圧降下剤であるサラザブリル(ロッシュ社(スイ
ス)製)、エナラプリル(メルク社(米国)製)、ベン
ザプリル(チバガイギー社(スイス)製)およびデラプ
リル(武田薬品(株))の製造原料となる(R)−4−
フェニル−2−ヒドロキシブタン酸およびそのエステル
(特開平2-16987 、WO890717)、ペネム系抗生物質の合
成中間体である4-アセトキシアゼチジノンの製造原料と
なる(R)−3−ヒドロキシブタン酸およびそのエステ
ル(テトラヘドロン レターズ(Tetrahedron Lett.) ,
26,4647(1985))、代謝性医薬品である塩化レボカルニ
チンの製造原料となる(R)−3−クロロ乳酸およびそ
のエステル(有機合成化学協会誌,45,331(1987) )、
抗菌活性を示す天然物である、グラハミマイシンA(g
rahamiycin A1 )の合成中間体となる(S)−1−
(1,3−ジチアン−2−イル)−2−ヒドロキシプロ
パンおよび(S)−3−ヒドロキシブチルアルデヒドジ
メチルアセタール(テトラヘドロン レターズ,24,28
7(1983))、ビタミンEおよび香料であるムスコンの原料
となる(S)−(+)−3−ヒドロキシ−2−メチルプ
ロパン酸およびそのエステル(ヘルペティカ キミカ
アクタ(Helv. Chim. Acta),60,925(1977) およびジャ
ーナル オブ オーガニック ケミストリー(J. Org. C
hem),41,3505(1976))などがあげられる。
【0004】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】従
来、光学活性なα−もしくはβ−ヒドロキシカルボン酸
エステル類またはヒドロキシアセタール類を製造する方
法としては、脱水素酵素を用いた方法があり、 1)ゲオトリカム・キャンディウム由来のグリセロール
脱水素酵素と補酵素であるニコチンアミドアデニンジヌ
クレオチド(以下、NADと略す)による方法(テト
ラヘドロン レターズ,29,2453(1988))および 2)ウマ肝臓由来のアルコール脱水素酵素とNAD
よる方法(ジャーナルオブ アメリカン ケミカル ソ
サイエティー(J. Am. Chem. Soc.) ,104 ,4458(198
2))などが報告されている。しかしながら、これらの方
法は、水溶液中で行なうため基質が溶解しにくく、前記
の一般式(I) や(II)の化合物がエステル基の加水分解お
よび重合を伴う欠点があり、改良法として 3)基質の溶解性を考慮した、有機溶媒と水溶液を混合
して用いる4−クロロ−3−オキソブタン酸エステルの
還元反応(アプライド エンバイロンメンタルマイクロ
バイオロジー(Appl. Environ. Microbiol.) ,56,2374
(1990)が報告されている。
【0005】しかしながらこの方法では、有機溶媒の使
用により脱水素酵素が失活するため、反応後、水溶液中
の脱水素酵素は活性が低下し、工業的に再利用すること
は困難である。脱水素酵素や補酵素は高価であり固定化
などの処理による再利用が望まれるが、固定化の一般的
手法としては、 4)アクリルアミドとN−アクリロキシコハク酸イミド
との重合物によるウマ肝臓由来のアルコール脱水素酵素
の固定化法(ジャーナル オブ アメリカン ケミカル
ソサイエティー,102 ,6234(1980))、 5)NADのアデニン環の6位の窒素にアミノエチル
基を導入し、これをスペーサーとし、カルボキシル基を
有するポリエチレングリコールに脱水アミド化により結
合させる方法(ジャーナル オブ アプライド バイオ
ケミストリー(J.Appl. Biochem.) ,,301(1981)
)、 6)NADのアデニン環の6位の窒素にモノマー側鎖
を導入し、アクリルアミド類と共重合させる方法(バイ
オケミストリー(Biochem.),62,629(1980) )などが報
告されており、4)の方法でえられる固定化酵素は前記
の一般式(III) で表わされるα−ケトアセタールである
ピルビンアルデヒドジメチルアセタールの不斉還元に用
いられている(ジャーナル オブ アメリカン ケミカ
ル ソサイエティー,107 ,4028(1985))。
【0006】しかしながら4)〜6)の方法において
は、酵素や補酵素の失活および煩雑な操作を伴うため、
脱水素酵素および補酵素の簡便な固定化法が望まれてい
た。
【0007】本発明はかかる実情に鑑み、医農薬品およ
び香料をはじめとする種々の有機化学製品の中間体もし
くは製造原料として重要な化合物である、光学活性なα
−またはβ−ヒドロキシカルボン酸エステル類およびア
セタール類の、簡便でかつ経済性にすぐれた製造法を提
供することを目的とする。
【0008】本発明者らは、前記目的を達成すべく鋭意
検討を重ねた結果、α−もしくはβ−ケトエステル類ま
たはケトアセタール類を原料とし、脱水素酵素および補
酵素を水または緩衝液に溶解させ吸水性ポリマーに固定
化した固定化触媒に接触させ、有機溶媒中で立体選択的
にαまたはβ位のカルボニル基の還元反応を行なうこと
で、光学活性α−もしくはβ−ヒドロキシカルボン酸エ
ステル類またはヒドロキシアセタール類をえることがで
き、かつ、固定化した酵素や補酵素の再利用、該固定化
酵素によるカラム方式の連続反応も可能であることを見
出し、本発明を完成するにいたった。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は一般式(I) :
【0010】
【化4】
【0011】(式中、R、R′およびR″は同一または
相異なり、直鎖もしくは分岐鎖状の炭素数1〜18のアル
キル基、直鎖もしくは分岐鎖状の炭素数1〜18のアルケ
ニル基、芳香族基、ハロゲン原子または水素原子を表わ
すが、R″はハロゲン原子ではなく、aは0、1または
2を、bは0または1を表わす)、一般式(II):
【0012】
【化5】
【0013】(式中、Rは前記と同じであるが、ハロゲ
ン原子ではなく、nは3または4を表わす)または一般
式(III) :
【0014】
【化6】
【0015】(式中、R、R′、aおよびbは前記と同
じ、R1 およびR2 は同一または相異なり、直鎖もしく
は分岐鎖状の炭素数1〜18のアルキル基、またはいっし
ょになって−(CH2 k −(式中kは2または3)で
示されるを形成し、Xは酸素原子または硫黄原子を表
わす)で示されるα−もしくはβ−ケトエステル類また
はケトアセタール類を、有機溶媒中で一級または二級ア
ルコールを還元剤とし、水または緩衝液に溶解させた
水素酵素および補酵素を吸水性ポリマーに固定化してな
る固定化酵素に接触せしめることにより、立体選択的に
αまたはβ位のカルボニル基を還元することを特徴とす
る、光学活性α−もしくはβ−ヒドロキシカルボン酸エ
ステル類またはヒドロキシアセタール類の製造法に関す
る。
【0016】
【実施例】本発明においては、一般式(I) :
【0017】
【化7】
【0018】(式中、R、R′およびR″は同一または
相異なり、直鎖もしくは分岐鎖状の炭素数1〜18のアル
キル基、直鎖もしくは分岐鎖状の炭素数1〜18のアルケ
ニル基、芳香族基、ハロゲン原子または水素原子を表わ
すが、R″はハロゲン原子ではなく、aは0、1または
2を、bは0または1を表わす)、一般式(II):
【0019】
【化8】
【0020】(式中、Rは前記と同じであるが、ハロゲ
ン原子ではなく、nは3または4を表わす)または一般
式(III) :
【0021】
【化9】
【0022】(式中、R、R′、aおよびbは前記と同
じ、R1 およびR2 は同一または相異なり、直鎖もしく
は分岐鎖状の炭素数1〜18のアルキル基、またはいっし
ょになって−(CH2 k −(式中kは2または3)で
示される環を形成し、Xは酸素原子または硫黄原子を表
わす)で示されるα−もしくはβ−ケトエステル類また
はケトアセタール類を、吸水性ポリマーに固定化した酵
素および補酵素と反応させることにより、αまたはβ位
のカルボニル基を立体選択的にヒドロキシル基に変換
し、光学活性α−もしくはβ−ヒドロキシカルボン酸エ
ステル類またはヒドロキシアセタール類(以下、ヒドロ
キシチオアセタール類も含む)がえられる。
【0023】本発明において、R、R′、R″で表わさ
れる置換基の例としては、水素原子のほか、メチル基、
エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イ
ソブチル基、ステアリル基などのアルキル基、ビニル
基、アリル基、イソプロペニル基などのアルケニル基、
フェニル基、4−メトキシフェニル基、4−クロロフェ
ニル基などの芳香族、塩素原子、臭素原子などのハロゲ
ン原子などをあげることができる。また、R1 およびR
2 で表わされる置換基の例としては、メチル基、エチル
基、プロピル基などのアルキル基、そして環状構造を形
成するエチレン基、プロピレン基などをあげることがで
きる。
【0024】本発明で用いることのできる脱水素酵素と
しては、スポロボロミセテス(Sporobolomycetes)属、エ
ンテロバクター(Enterobacter)属、クリプトコッカス(C
ryptococcus)属、スポロトリカム(Sporotrichum)属、テ
ルモアネーロビウム(Thermoanaerobium)属、ラクトバチ
ルス(Lactobacillus) 属、アピオトリカム(Apiotrichu
m) 属、キャンディダ(Candida) 属、トルロプシス(Toru
lopsis)属、トリコスポロン(Trichosporon)属、サッカ
ロマイシス(Saccharomyces) 属、ロドスポリディウム(R
hodosporidium)属、ピキア(Pichia)属、クレブシエラ(K
lebsiella)属、ロドコッカス(Rhodococcus) 属、ロドト
ルラ(Rhodotorula) 属、パラコッカス(Paracoccus)属、
ノルカディオアイデス(Nocardioides)属、ゲオトリカム
(Geotrichum)属、クロエケラ(Kloeckera) 属、ノカルデ
ィア(Nocardia)属、スタフィロコッカス(Staphylococcu
s)属、サーマス(Thermus) 属、エアロバクター(Aerobac
ter)属、バチルス(Bacillus)属、セルロモナス(Cellulo
monas)属、エンテロバクター(Enterobacter)属、ロイコ
ノストック(Leuconostoc) 属、プロテウス(Proteus)属
に属する微生物の生産する脱水素酵素、ブタ心臓、ブタ
筋肉、ウサギ筋肉、ウマ肝臓、ウシ心臓もしくはトリ心
臓由来の脱水素酵素またはパン酵母の生産する脱水素酵
素などがあげられ、α−もしくはβ−ケトエステル類ま
たはケトアセタール類のα位またはβ位のカルボニル基
を立体選択的に還元しうるものであればどのようなもの
でもよいが、すぐれた脱水素酵素という点で、好適な例
としては、ゲオトリカム・キャンディウム由来のグリセ
ロール脱水素酵素(天野製薬(株)製)、ノカルディア
属由来のコレステロール脱水素酵素(たとえば、CHD
H「アマノ」天野製薬(株)製、商品名)、スタフィロ
コッカス属由来のラクテート脱水素酵素(たとえば、L
DH「アマノ」天野製薬(株)製、商品名)、サーマス
属由来のマレート脱水素酵素(たとえば、MDH「アマ
ノ」天野製薬(株)製、商品名)、バチルス属由来のグ
ルコース脱水素酵素(たとえば、GLUCDH「アマ
ノ」天野製薬(株)製、商品名)、ラクトバチルス ラ
イヒマンニ由来のD−酪酸脱水素酵素(シグマ製)、ウ
マ肝臓由来のアルコール脱水素酵素(シグマ製)などが
あげられる。
【0025】これらの酵素は、それぞれ単独でも、ある
いは必要に応じてゲオトリカム・キャンディウム由来の
グリセロール脱水素酵素、ノルカディア属由来のコレス
テロール脱水素酵素、スタフィロコッカス属由来のラク
テート脱水素酵素、サーマス属由来のマレート脱水素酵
素などの補酵素再生用酵素と、ウマ肝臓由来のアルコー
ル脱水素酵素、ウサギ筋肉由来のL−乳酸脱水素酵素、
ラクトバチルス属由来のD−乳酸水素酵素などの基質還
元用酵素とを混合して用いることもできる。これらの酵
素は、それらを生産する微生物を培養することによって
えられるが、吸水性ポリマーに固定化するさいに菌体培
養液をそのまま用いても、粗酵素、精製酵素として用い
てもよい。
【0026】また、本発明で用いることのできる補酵素
としては、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド、ニ
コチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸などがあげ
られる。
【0027】また、固定化に用いる吸水性ポリマーは、
保水性があり、酵素および補酵素の活性が保持されれ
ば、どのようなものでもよいが、たとえば、アニオン性
およびカチオン性高分子吸水性樹脂があげられる。アニ
オン性吸水性樹脂としては、アクリル酸重合体、メタク
リル酸重合体、多糖類−アクリル酸またはメタアクリル
酸グラフト共重合物、アクリル酸またはメタアクリル−
アクリルアミド−スルホン化アクリルアミド3元共重合
体または、これらのアルカリ金属塩もしくはアルカリ土
類金属塩、たとえばアクリル酸またはアクリル酸塩重合
体、アクリル酸またはアクリル酸塩−メタクリル酸また
はメタクリル酸塩共重合体、でんぷん−アクリル酸また
はアクリル酸塩グラフト共重合体、多糖類−アクリル酸
またはメタアクリル酸アルキルエステルグラフト共重合
体のケン化物、多糖類−アクリロニトリルグラフト共重
合体のケン化物、多糖類−アクリルアミド共重合体のケ
ン化物、アクリル酸アルキルエステルまたはメタアクリ
ル酸アルキルエステル−酢酸ビニル共重合体のケン化
物、でんぷん−アクリロニトリル−アクリルアミド−2
−メチルプロパンスルホン酸グラフト共重合体のケン化
物、でんぷん−アクリロニトリル−ビニルスルホン酸グ
ラフト共重合体のケン化物、ナトリウムカルボキシメチ
ルセルロースなどがあげられるが、アクリル酸、メタア
クリル酸、これらのアルカリ金属塩もしくはアルカリ土
類金属塩、またはこれらのエステルの代わりに、一般式
(IV):
【0028】
【化10】
【0029】(式中、−SO3 3 基の置換位置は2
−,3−あるいは4−位で、R3 は直鎖もしくは分岐鎖
状の炭素数1〜18のアルキル基、水素原子、または、ア
ルカリ金属もしくはアルカリ土類金属を表わし、aは0
または1を表わす)で示されるスルホン酸類またはその
誘導体を用いてもよい。また、これらは、単独でも2種
以上混合して用いてもよく、架橋物として用いることも
できる。
【0030】また、カチオン性吸水性樹脂としては、一
般式(V) :
【0031】
【化11】
【0032】(式中、R4 は水素またはメチル基、R5
は直鎖もしくは分岐鎖状の炭素数1〜18のアルキル基ま
たは水素原子を表わし、jは1、2、3、4または5
を、Yは酸素原子もしくは窒素原子を表わし、Zはスル
ホン酸イオンまたはハロゲンイオンを表わす)で示され
るアンモニウム塩の重合体または、N−アルキル−アク
リルアミドもしくはN−アルキル−メタクリルアミドと
の共重合体などがあげられる。市販品としては、アクア
リック(日本触媒(株)製、商品名)、ポイズおよびワ
ンダーゲル(花王(株)製、商品名)、アクアキープ
(住友精化(株)製、商品名)、アラソープ(荒川化学
(株)製、商品名)、ダイヤウェット(三菱油化(株)
製、商品名)、スミカゲル(住友化学(株)製、商品
名)、サンウェット(三洋化成(株)製、商品名)、P
Qポリマー(大阪有機化学工業(株)製、商品名)など
があるが、好適なものとしては、PQポリマー(グレー
ド:BL−100 )(大阪有機化学工業(株)製)(特開
昭63-56512)、アクアキープおよびワンダーゲルなどが
あげられる。
【0033】また、還元剤であるアルコールは、脱水素
酵素によって酸化され、補酵素による基質のカルボニル
基の還元を阻害しないならば、どのようなものでもよい
が、たとえば、一般式(VI):
【0034】
【化12】
【0035】(式中、R6 は直鎖もしくは分岐鎖状の炭
素数1〜18のアルキル基、直鎖もしくは分岐鎖状の炭素
数1〜18のアルケニル基、芳香族基または水素原子を表
わし、R7 はR6 もしくは−COOR6 を表わし、aは
0または1を表わす)または、一般式(VII) :
【0036】
【化13】
【0037】(式中、aは前記と同じ、jは1、2、
3、4または5を表わす)で示される一級もしくは二級
アルコールであり、好適なものとしては、エタノール、
プロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール、シク
ロペンタノール、シクロヘキサノール、乳酸エステルな
どがあげられる。
【0038】また、固定化の際に水または緩衝液が用い
られるが、緩衝液としては、通常用いられるリン酸ナト
リウム、リン酸カリウムのごとき無機酸塩の緩衝液、酢
酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムのごとき有機酸塩の
緩衝液などがあり、pHは、使用する酵素の最適pHに
合わせることが好ましい。
【0039】固定化酵素は、脱水素酵素および補酵素を
溶解させた水または緩衝液を吸水性ポリマーに浸透させ
ることによりえられる。水または緩衝液中の脱水素酵素
および補酵素の濃度、そして吸水性ポリマーの使用量
は、一般式(I) 、(II)または(III) で表わされる基質の
還元および補酵素の再生が円滑に進行するならばとくに
限定されない。脱水素酵素の濃度は、一般には1×10-4
〜0.1 ユニット/l、好ましくは1×10-3〜0.1 ユニッ
ト/l、補酵素の濃度は、一般には1×10-3〜10モル/
l、好ましくは0.05〜5モル/l、そして吸水性ポリマ
ーの使用量は、水または緩衝液に対し、0.1 〜100wt
%、好ましくは1〜10wt%である。
【0040】本発明の方法において用いられる有機溶媒
は、一般式(I) 、(II)または(III)で示される基質とな
るエステル、アセタールまたはチオアセタール類を溶解
し、脱水素酵素や補酵素の活性を阻害しないという要件
を満たす限りとくに限定されない。このような有機溶媒
は、炭化水素、ハロゲン系炭化水素、芳香族炭化水素、
ハロゲン系芳香族炭化水素、アルキルもしくは芳香族エ
ーテル類、アルキルもしくは芳香族ニトリル類、または
アルキルもしくは芳香族エステル類などであり、単独で
も混合して用いてもよく、これらの例としては、n−ペ
ンタン、シクロペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサ
ン、四塩化炭素、ジクロロメタン、トルエン、ベンゼ
ン、クロロベンゼン、イソプロピルエーテル、プロピオ
ニトリルおよび酢酸ブチルなどがあげられるが、好適な
ものとしては、n−ペンタン、シクロペンタン、n−ヘ
キサン、シクロヘキサン、ベンゼンおよびトルエンがあ
げられる。
【0041】一般式(I) 、(II)または(III) で表わされ
る基質に対する、還元剤であるアルコールの使用比率、
固定化触媒の使用量、および有機溶媒の使用量は、上記
基質の還元および補酵素の再生が円滑に進行するならば
とくに限定されない。還元剤であるアルコールの使用比
率は1.0 〜1.5 モル当量、固定化触媒の使用量は一般に
は1〜1000g /モル、好ましくは100 〜500g/モルであ
る。また有機溶媒は、上記基質の濃度が一般には0.1 〜
50wt%、好ましくは1〜15wt%となるように用いること
が望ましい。
【0042】反応温度は、酵素の活性が維持される範囲
内であれば、どのような温度でもよいが、耐熱性菌より
えられた酵素のばあいには0〜90℃であり、一般酵素の
ばあいには0〜60℃である。反応時間は、数日間要して
もよく、とくに限定されることはないが、一般的には1
〜30時間である。
【0043】反応の経時および終点は、高速液体クロマ
トグラフィーあるいはガスクロマトグラフィーにより確
認することができる。
【0044】吸水性ポリマーにより固定化した酵素およ
び補酵素は反応後も活性を有し、バッチ方式では回収し
た固定化酵素の再使用が可能であり、またカラム方式で
も固定化酵素を充填剤として連続して反応を行なうこと
ができる。
【0045】バッチ方式のばあい、反応終了後、反応液
と固定化酵素を分離し、濃縮を行ない、蒸留あるいはカ
ラムクロマトグラフィーなどの常法を適用することによ
り、光学活性α−もしくはβ−ヒドロキシエステルまた
はヒドロキシアセタールを精製、取得することができ
る。
【0046】カラム方式のばあい、一般式(I) 、(II)ま
たは(III) で表わされる原料を溶解させた上記有機溶媒
と一般式(VI)または(VII) で表わされるアルコールと
を、固定化酵素を単独あるいは他の充填剤とともに充填
したカラムに加圧下で注入し、カラムより流出する反応
が完結した反応液を濃縮し、蒸留あるいはカラムクロマ
トグラフィーなどの常法を適用することにより、光学活
性α−もしくはβ−ヒドロキシエステルまたはヒドロキ
シアセタールを精製、取得することができる。反応が効
率良く進行しかつ反応液が流出するためには、固定化酵
素は他の充填剤とともに混合して用いることが望まし
く、用いられるその他の充填剤は脱水素酵素および補酵
素の活性を阻害しないという要件を満たす限りとくに限
定されない。このような充填剤としては、カラム分取用
のシリカゲル、酸性、塩基性および中性アルミナ、陽イ
オンおよび陰イオン交換樹脂、セライト、石英砂および
海砂などであり、これらは単独でも混合して用いてもよ
く、好適な例としてはシリカゲル(200 〜300 メッシ
ュ)(和光純薬工業(株)製)、セライト(521) (アル
ドリッチ社(米国)製)などがあげられる。
【0047】以下、本発明を実施例に基づいて説明する
が、本発明はもとよりこれらの実施例にのみ限定される
ものではない。
【0048】実施例1 (固定化酵素の調製)脱水素酵素(1040ユニット)とニ
コチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)(所
定量)を含むトリス緩衝液(pH8.0 )(100ml )に、
吸水性ポリマー(6.00g )を加え、固定化酵素をえた。
【0049】(反応)ピルビン酸ブチル(2.88g、0.02モ
ル)とシクロペンタノール(1.89g、0.022 モル)を溶解
させた有機溶媒(400ml)中に、前記の調製した固定化酵
素を加え、35℃で振とうした。ガスクロマトグラフィー
で反応終了を確認したのち、ろ過により固定化酵素を除
き、有機溶媒を留去し、えられた油状物をシリカゲルカ
ラムクロマトグラフィーで精製し、(R)−乳酸ブチル
をえた。
【0050】(R)−乳酸ブチルの光学純度は、光学活
性2−メトキシ−2−トリフルオロメチルフェニル酢酸
クロリドで、ヒドロキシル基をエステル化し、ガスクロ
マトグラフィー分析により求めた。えられた化合物の収
率、光学純度(%e.e.)は表1に示すとおりであった。
【0051】また、えられた化合物の沸点、旋光度、
H−NMRスペクトルデータを以下に示す。
【0052】沸点:71−72℃(10Torr)
【0053】
【数1】
【0054】H−NMR(200 MHz、CDCl
3 中、δ値(ppm) ):0.93(t,3H)、1.20〜2.14
(m,7H)、3.02〜3.28(bs,1H)、4.03〜4.53
(m,3H)
【0055】
【表1】
【0056】実施例2 ピルビン酸エチル(2.32g 、0.02モル)と2−プロパノ
ール(1.32g 、0.022モル)を溶解させた有機溶媒(400
ml)中に、実施例1と同様の方法で調製した固定化酵素
を加え、35℃で振とうした。ガスクロマトグラフィーで
反応終了を確認したのち、ろ過により固定化酵素を除
き、有機溶媒を留去し、えられた油状物をシリカゲルカ
ラムクロマトグラフィーで精製し、(R)−乳酸エチル
をえた。
【0057】(R)−乳酸エチルの光学純度は、光学活
性2−メトキシ−2−トリフルオロメチルフェニル酢酸
クロリドで、ヒドロキシル基をエステル化し、ガスクロ
マトグラフィー分析により求めた。えられた化合物の収
率、光学純度(%e.e.)は、表2に示すとおりであっ
た。
【0058】また、えられた化合物の旋光度、H−N
MRスペクトルデータを以下に示す。
【0059】沸点:69−70℃(36Torr)
【0060】
【数2】
【0061】H−NMR(200 MHz、CDCl
3 中、δ値(ppm) ):1.30(t,3H)、1.39(d,3
H)、3.00〜3.26(bs,1H)、4.06〜4.55(m,3
H)
【0062】
【表2】
【0063】実施例3 (固定化酵素の調製)D−酪酸脱水素酵素(シグマ製)
(1040ユニット)、ゲオトリカム・キャンディウム由来
のグリセロール脱水素酵素(天野製薬(株)製)(1040
ユニット)およびニコチンアミドアデニンジヌクレオチ
ド(NAD)(所定量)を含むトリス緩衝液(pH8.
0 )(100ml) に、吸水性ポリマー(6.00g)を加え固定化
酵素をえた。
【0064】(反応)2−オキソ−4−フェニルブタン
酸エチル(4.12g 、0.02モル)とシクロペンタノール
(1.89g 、0.022 モル)を溶解させたベンゼン(400ml
)中に、前記の調製した固定化酵素を加え、35℃で振
とうした。ガスクロマトグラフィーで反応終了を確認し
たのち、ろ過により固定化酵素を除き、有機溶媒を留去
し、えられた油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフ
ィーで精製し、(R)−2−ヒドロキシ−4−フェニル
酪酸エチルをえた。
【0065】(R)−2−ヒドロキシ−4−フェニル酪
酸エチルの光学純度は、光学活性2−メトキシ−2−ト
リフルオロメチルフェニル酢酸クロリドで、ヒドロキシ
ル基をエステル化し、ガスクロマトグラフィー分析によ
り求めた。えられた化合物の収率、光学純度(%e.e.)
は表3に示すとおりであった。
【0066】
【表3】
【0067】実施例4 4−クロロ−3−オキシブタン酸エチル(3.29g は、0.
02モル)と2−プロパノール(1.32g 、0.022 モル)を
溶解させたベンゼン(400ml )中に、実施例1と同様の
方法で調製した固定化酵素を加え、35℃で振とうした。
ガスクロマトグラフィーで反応終了を確認したのち、ろ
過により固定化酵素を除き、有機溶媒を留去し、えられ
た油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製
し、(S)−4−クロロ−3−ヒドロキシブタン酸エチ
ルをえた。
【0068】(S)−4−クロロ−3−ヒドロキシブタ
ン酸エチルの光学純度は、光学活性2−メトキシ−2−
トリフルオロメチルフェニル酢酸クロリドで、ヒドロキ
シル基をエステル化し、ガスクロマトグラフィー分析に
より求めた。えられた化合物の収率、光学純度(%e.
e.)は表4に示すとおりであった。
【0069】
【表4】
【0070】実施例5 (固定化酵素の精製)ウマ肝臓由来のアルコール脱水素
酵素(1040ユニット)(シグマ製)、ゲオトリカム・キ
ャンディウム由来のアルコール脱水素酵素(1040ユニッ
ト)(天野製薬(株)製)、ニコチンアミドアデニンジ
ヌクレオチド(NAD)(所定量)およびNaCl
(3.51g )を含むトリス緩衝液(pH8.0 )(100ml)
に、吸水性ポリマー(6.00g )を加え固定化酵素をえ
た。
【0071】(反応)4−クロロ−3−オキシブタン酸
エチル(3.29g 、0.02モル)と2−プロパノール(1.32
g 、0.022 モル)を溶解させたベンゼン(400ml) 中に、
前記の調製した固定化酵素を加え、35℃で振とうした。
ガスクロマトグラフィーで反応終了を確認したのち、ろ
過により固定化酵素を除き、有機溶媒を留去し、えられ
た油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製
し、(R)−4−クロロ−3−ヒドロキシブタン酸エチ
ルをえた。
【0072】(R)−4−クロロ−3−ヒドロキシブタ
ン酸エチルの光学純度は、光学活性2−メトキシ−2−
トリフルオロメチルフェニル酢酸クロリドで、ヒドロキ
シル基をエステル化し、ガスクロマトグラフィー分析に
より求めた。えられた化合物の収率、光学純度(%e.
e.)は表5に示すとおりであった。
【0073】
【表5】
【0074】実施例6 ピルビンアルデヒドジメチルアセタール(2.36g 、0.02
モル)と2−プロパノール(1.32g 、0.022 モル)を溶
解させたベンゼン(400ml) 中に、実施例5と同じ方法で
調製した固定化酵素を加え、35℃で振とうした。ガスク
ロマトグラフィーで反応終了を確認したのち、ろ過によ
り固定化酵素を除き、有機溶媒を留去し、えられた油状
物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、
(S)−2−ヒドロキシプロピオンアルデヒドジメチル
アセタールをえた。
【0075】(S)−2−ヒドロキシプロピオンアルデ
ヒドジメチルアセタールの光学純度は、光学活性2−メ
トキシ−2−トリフルオロメチルフェニル酢酸クロリド
で、ヒドロキシル基をエステル化し、ガスクロマトグラ
フィー分析により求めた。えられた化合物の収率、光学
純度(%e.e.) は表6に示すとおりであった。
【0076】
【表6】
【0077】実施例7 ピルビンアルデヒドジメチルアセタール(2.64g 、0.02
モル)と2−プロパノール(1.32g、0.022 モル)の溶解
したベンゼン(400ml) 中に、実施例5と同じ方法で調製
した固定化酵素を加え、35℃で振とうした。ガスクロマ
トグラフィーで反応終了を確認したのち、ろ過により固
定化酵素を除き、有機溶媒を留去し、えられた油状物を
シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し(S)−
3−ヒドロキシブチルアルデヒドジメチルアセタールを
えた。
【0078】(S)−3−ヒドロキシブチルアルデヒド
ジメチルアセタールの光学純度は、光学活性2−メトキ
シ−2−トリフルオロメチルフェニル酢酸クロリドで、
ヒドロキシル基をエステル化し、ガスクロマトグラフィ
ー分析により求めた。えられた化合物の収率、光学純度
(%e.e.)は表7に示すとおりであった。
【0079】
【表7】
【0080】実施例8 2−エトキシカルボニルシクロペンタノン(3.12g、0.02
モル)と2−プロパノール(1.32g、0.022 モル)を溶解
させたn−ヘキサン(400ml) 中に、実施例1と同じ方法
で調製した固定化酵素を加え、35℃で振とうした。ガス
クロマトグラフィーで反応終了を確認したのち、ろ過に
より固定化酵素を除き、有機溶媒を留去し、えられた油
状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、
(1S,2R)−2−エトキシカルボニルシクロペンタ
ノールをえた。
【0081】(1S,2R)−2−エトキシカルボニル
シクロペンタノールの光学純度は、光学活性2−メトキ
シ−2−トリフルオロメチルフェニル酢酸クロリドで、
ヒドロキシル基をエステル化し、ガスクロマトグラフィ
ー分析により求めた。えられた化合物の収率、光学純度
(%e.e.)は表8に示すとおりであった。
【0082】
【表8】
【0083】実施例9(固定化酵素をバッチ方式で再利
用するばあい) (固定化酵素の調製)ゲオトリカム・キャンディウム由
来のグリセロール脱水素酵素(天野製薬(株)製)(10
40ユニット)とNAD(8.0 ×10-3モル)を含むトリ
ス緩衝液(pH8.0 )(100ml)に、吸水性ポリマーであ
るBL−100 (大阪有機化学工業(株)製)(6.00g)を
加え、固定化酵素をえた。
【0084】(反応)ピルビン酸ブチル(2.88g、0.02モ
ル)とシクロペンタノール(1.89g、0.022 モル)を溶解
させたn−ヘキサン(400ml)中に、前記の調製した固定
化酵素を加え、35℃で振とうした。ガスクロマトグラフ
ィーで反応終了を確認したのち、固定化酵素と反応液を
ろ過し、反応液を濃縮してえられた油状物をシリカゲル
カラムクロマトグラフィーで精製し、(R)−乳酸ブチ
ルをえた。回収した固定化酵素をそのまま用いて上記の
方法でさらに2回還元反応を行なった。
【0085】(R)−乳酸ブチルの光学純度は、光学活
性2−メトキシ−2−トリフルオロメチルフェニル酢酸
クロリドで、ヒドロキシル基をエステル化し、ガスクロ
マトグラフィー分析により求めた。3回の還元反応でえ
られた化合物の収率、光学純度(%e.e.)は表9に示す
とおりであった。
【0086】
【表9】
【0087】実施例10(固定化酵素をカラム方式で連続
反応に用いるばあい) (固定化酵素のカラム充填)ゲオトリカム・キャンディ
ウム由来のグリセロール脱水素酵素(天野製薬(株)
製)(2080ユニット)とNAD(1.6×10-3モル)を含
むトリス緩衝液(pH8.0 )(200ml) に、吸水性ポリマ
ーであるBL−100 (大阪有機化学工業(株)製)(12.
0g)を加えてえた固定化酵素と、カラム分取用シリカゲ
ル(200 〜300メッシュ)(24.0g)(和光純薬工業
(株)製)を混合し、ガラスカラム(直径1.6cm 、長さ
50cm)に充填した。
【0088】(反応)ピルビン酸ブチル(57.6g、0.40モ
ル)とシクロペンタノール(37.8g 、0.44モル)を溶解
させたn−ヘキサン(8L)を、ポンプを用いて加圧下で上
記カラムに室温で注入し、流速を15ml/hrに保った。流
出する反応液についてガスクロマトグラフィー分析を行
ない反応終了を確認した。注入終了後、ガラスカラム内
をn−ヘキサン(100ml) で洗浄し、流出した反応液と洗
浄液を合わせて濃縮し、えられた油状物をシリカゲルカ
ラムクロマトグラフィーで精製し、(R)−乳酸ブチル
をえた。
【0089】(R)−乳酸ブチルの光学純度は、光学活
性2−メトキシ−2−トリフルオロメチルフェニル酢酸
クロリドで、ヒドロキシル基をエステル化し、ガスクロ
マトグラフィー分析により求めた。えられた(R)−乳
酸ブチルの収率は99%、光学純度は99%e.e.以上、およ
びNADのターンオーバーは25000 であった。
【0090】
【発明の効果】本発明によれば、高価な脱水素酵素およ
び補酵素を、触媒量用いて吸水性ポリマーに失活するこ
となく固定化し、バッチ方式で再利用するかまたはカラ
ム方式で連続反応に使用することにより、医農薬品、香
料をはじめとする種々の有機化学製品の中間体もしくは
製造原料として重要な化合物である、光学活性α−もし
くはβ−ヒドロキシカルボン酸エステル類またはヒドロ
キシアセタール類を簡便にかつ経済的に製造することが
できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 寺田 久美 京都市左京区上高野北田町12−7 (56)参考文献 特開 平3−285689(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C12P 7/62 C12P 7/02 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I) : 【化1】 (式中、R、R′およびR″は同一または相異なり、直
    鎖もしくは分岐鎖状の炭素数1〜18のアルキル基、直鎖
    もしくは分岐鎖状の炭素数1〜18のアルケニル基、芳香
    族基、ハロゲン原子または水素原子を表わすが、R″は
    ハロゲン原子ではなく、aは0、1または2を、bは0
    または1を表わす)、一般式(II): 【化2】 (式中、Rは前記と同じであるが、ハロゲン原子ではな
    、nは3または4を表わす)または一般式(III) : 【化3】 (式中、R、R′、aおよびbは前記と同じ、R1 およ
    びR2 は同一または相異なり、直鎖もしくは分岐鎖状の
    炭素数1〜18のアルキル基、またはいっしょになって−
    (CH2 k −(式中kは2または3)で示される
    形成し、Xは酸素原子または硫黄原子を表わす)で示さ
    れるα−もしくはβ−ケトエステル類またはケトアセタ
    ール類を、有機溶媒中で一級または二級アルコールを還
    元剤とし、水または緩衝液に溶解させた脱水素酵素およ
    び補酵素を吸水性ポリマーに固定化してなる固定化酵素
    に接触せしめることにより、立体選択的にαまたはβ位
    のカルボニル基を還元することを特徴とする、光学活性
    α−もしくはβ−ヒドロキシカルボン酸エステル類また
    はヒドロキシアセタール類の製造法。
  2. 【請求項2】 反応後、分離操作により固定化酵素を回
    収し再利用する請求項1記載の製造法。
  3. 【請求項3】 水または緩衝液に溶解させた脱水素酵素
    および補酵素を吸水性ポリマーに固定化してなる固定化
    酵素を、充填剤としてカラム方式で連続して反応に用い
    る請求項1記載の製造法。
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