JP2000023693A - 光学活性な2−アセチルチオ−3−フェニルプロピオン酸の製造方法 - Google Patents
光学活性な2−アセチルチオ−3−フェニルプロピオン酸の製造方法Info
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- JP2000023693A JP2000023693A JP10196253A JP19625398A JP2000023693A JP 2000023693 A JP2000023693 A JP 2000023693A JP 10196253 A JP10196253 A JP 10196253A JP 19625398 A JP19625398 A JP 19625398A JP 2000023693 A JP2000023693 A JP 2000023693A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 高い光学純度を有する光学活性な2−アセ
チルチオ−3−フェニルプロピオン酸を効率良く製造す
ることを課題とする。 【解決手段】本発明は、下記一般式(1)または(2)
(式中、Rは炭素数1〜10のアルキル基を示す。)で
表される2−アセチルチオ−3−フェニルプロピオン酸
エステルのエナンチオマー混合物を、前記2−アセチル
チオ−3−フェニルプロピオン酸エステルのエステル結
合を不斉加水分解できる酵素により加水分解して、下記
一般式(3)または(4)で表される光学活性な2−ア
セチルチオ−3−フェニルプロピオン酸を製造する。 【化1】 【化2】 【化3】 【化4】
チルチオ−3−フェニルプロピオン酸を効率良く製造す
ることを課題とする。 【解決手段】本発明は、下記一般式(1)または(2)
(式中、Rは炭素数1〜10のアルキル基を示す。)で
表される2−アセチルチオ−3−フェニルプロピオン酸
エステルのエナンチオマー混合物を、前記2−アセチル
チオ−3−フェニルプロピオン酸エステルのエステル結
合を不斉加水分解できる酵素により加水分解して、下記
一般式(3)または(4)で表される光学活性な2−ア
セチルチオ−3−フェニルプロピオン酸を製造する。 【化1】 【化2】 【化3】 【化4】
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光学活性な2−ア
セチルチオ−3−フェニルプロピオン酸の製造方法に関
するものである。
セチルチオ−3−フェニルプロピオン酸の製造方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】2−アセチルチオ−3−フェニルプロピ
オン酸は、医薬品に利用される光学活性化合物の有用な
中間体である。例えば、ACE阻害剤(降圧剤)の製造
に使用される。
オン酸は、医薬品に利用される光学活性化合物の有用な
中間体である。例えば、ACE阻害剤(降圧剤)の製造
に使用される。
【0003】このため、高い光学純度でこれらのもの
を、工業的に製造するする方法が望まれている。しか
し、従来の製造方法は、光学活性な(R)体または
(S)体のみを出発物質として、これを有機化学反応に
より反応させて、光学活性な2−アセチルチオ−3−フ
ェニルプロピオン酸を製造する方法であった。この場
合、出発物質に光学活性体の何れか一方のみを使用する
必要があるため、通常、エナンチオマー混合物を、予め
光学活性な(R)体または(S)体に分離する作業が必
要であり収率や経済性等の点で問題があった。従って、
エナンチオマー混合物を出発物質として直接効率良く光
学活性な2−アセチルチオ−3−フェニルプロピオン酸
を製造する方法が望まれていた。
を、工業的に製造するする方法が望まれている。しか
し、従来の製造方法は、光学活性な(R)体または
(S)体のみを出発物質として、これを有機化学反応に
より反応させて、光学活性な2−アセチルチオ−3−フ
ェニルプロピオン酸を製造する方法であった。この場
合、出発物質に光学活性体の何れか一方のみを使用する
必要があるため、通常、エナンチオマー混合物を、予め
光学活性な(R)体または(S)体に分離する作業が必
要であり収率や経済性等の点で問題があった。従って、
エナンチオマー混合物を出発物質として直接効率良く光
学活性な2−アセチルチオ−3−フェニルプロピオン酸
を製造する方法が望まれていた。
【0004】また、特開平10−14590号には、置
換基がフッ素以外のハロゲン、アルキルスルホニルオキ
シ基またはアリールスルホニルオキシ基である光学活性
な2−置換−3−フェニルプロピオン酸およびそのエス
テルの製造方法が開示されている。しかし、本願発明は
置換基がアセチルチオ基を有する光学活性な2−置換−
3−フェニルプロピオン酸である点で異なっている。更
に、アセトキシ基あるいはアセチルチオ基などの、アセ
チル基を分子内に有する化合物を基質として酵素反応を
行う場合、このアセチル基が加水分解を非常にうけやす
く脱アセチル化が起きてしまうことが一般的である。
換基がフッ素以外のハロゲン、アルキルスルホニルオキ
シ基またはアリールスルホニルオキシ基である光学活性
な2−置換−3−フェニルプロピオン酸およびそのエス
テルの製造方法が開示されている。しかし、本願発明は
置換基がアセチルチオ基を有する光学活性な2−置換−
3−フェニルプロピオン酸である点で異なっている。更
に、アセトキシ基あるいはアセチルチオ基などの、アセ
チル基を分子内に有する化合物を基質として酵素反応を
行う場合、このアセチル基が加水分解を非常にうけやす
く脱アセチル化が起きてしまうことが一般的である。
【0005】従って、アセチルチオ基とカルボン酸エス
テルをともに有する基質にたいして酵素反応を行う場
合、脱アセチル化をおこすことなくカルボン酸エステル
のみを選択的に加水分解して、光学活性な生成物を得る
ことは困難であると考えられていた。
テルをともに有する基質にたいして酵素反応を行う場
合、脱アセチル化をおこすことなくカルボン酸エステル
のみを選択的に加水分解して、光学活性な生成物を得る
ことは困難であると考えられていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】高い光学純度を有する
光学活性な2−アセチルチオ−3−フェニルプロピオン
酸を効率良く製造することを課題とする。
光学活性な2−アセチルチオ−3−フェニルプロピオン
酸を効率良く製造することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するため精鋭検討した結果、2−アセチルチオ−3
−フェニルプロピオン酸のエナンチオマー混合物に、所
定のリパーゼを作用させることにより、エナンチオマー
混合物中の、(R)体または(S)体の何れか一方の2
−アセチルチオ−3−フェニルプロピオン酸エステルの
エステル結合を選択的に不斉加水分解できることを見出
し本発明を完成させた。
解決するため精鋭検討した結果、2−アセチルチオ−3
−フェニルプロピオン酸のエナンチオマー混合物に、所
定のリパーゼを作用させることにより、エナンチオマー
混合物中の、(R)体または(S)体の何れか一方の2
−アセチルチオ−3−フェニルプロピオン酸エステルの
エステル結合を選択的に不斉加水分解できることを見出
し本発明を完成させた。
【0008】すなわち、本発明は、下記一般式(1)ま
たは(2)(式中、Rは炭素数1〜10のアルキル基を
示す。)で表される2−アセチルチオ−3−フェニルプ
ロピオン酸エステルのエナンチオマー混合物を、前記2
−アセチルチオ−3−フェニルプロピオン酸エステルの
エステル結合を不斉加水分解できる酵素により加水分解
して、下記一般式(3)または(4)で表される光学活
性な2−アセチルチオ−3−フェニルプロピオン酸を得
る、光学活性な2−アセチルチオ−3−フェニルプロピ
オン酸の製造方法である。
たは(2)(式中、Rは炭素数1〜10のアルキル基を
示す。)で表される2−アセチルチオ−3−フェニルプ
ロピオン酸エステルのエナンチオマー混合物を、前記2
−アセチルチオ−3−フェニルプロピオン酸エステルの
エステル結合を不斉加水分解できる酵素により加水分解
して、下記一般式(3)または(4)で表される光学活
性な2−アセチルチオ−3−フェニルプロピオン酸を得
る、光学活性な2−アセチルチオ−3−フェニルプロピ
オン酸の製造方法である。
【0009】
【化5】
【0010】
【化6】
【0011】
【化7】
【0012】
【化8】 また、本発明は、前記一般式(1)および(2)のRが
炭素数1〜4のアルキル基である、前記の製造方法であ
る。
炭素数1〜4のアルキル基である、前記の製造方法であ
る。
【0013】更に、本発明は、前記酵素がムコール属、
リゾムコール属、アルカリジェネス属、キャンディダ属
に属する微生物由来のリパーゼである前記の製造方法で
ある。
リゾムコール属、アルカリジェネス属、キャンディダ属
に属する微生物由来のリパーゼである前記の製造方法で
ある。
【0014】
【発明の実施の形態】以下本発明を詳細に説明する。
【0015】本発明は、下記一般式(1)または(2)
(式中、Rは炭素数1〜10のアルキル基を示す。)で
表される2−アセチルチオ−3−フェニルプロピオン酸
エステルのエナンチオマー混合物を、前記2−アセチル
チオ−3−フェニルプロピオン酸エステルのエステル結
合を不斉加水分解できる酵素により加水分解して、下記
一般式(3)または(4)で表される光学活性な2−ア
セチルチオ−3−フェニルプロピオン酸を得る、光学活
性な2−アセチルチオ−3−フェニルプロピオン酸の製
造方法である。
(式中、Rは炭素数1〜10のアルキル基を示す。)で
表される2−アセチルチオ−3−フェニルプロピオン酸
エステルのエナンチオマー混合物を、前記2−アセチル
チオ−3−フェニルプロピオン酸エステルのエステル結
合を不斉加水分解できる酵素により加水分解して、下記
一般式(3)または(4)で表される光学活性な2−ア
セチルチオ−3−フェニルプロピオン酸を得る、光学活
性な2−アセチルチオ−3−フェニルプロピオン酸の製
造方法である。
【0016】本発明において使用される2−アセチルチ
オ−3−フェニルプロピオン酸エステルのエナンチオマ
ー混合物は、上記一般式(1)または(2)で表される
化合物である。上記一般式(1)または(2)におい
て、上記Rは、直鎖状または分岐状の炭素数1〜10の
アルキル基である。好ましくは、炭素数1〜6のアルキ
ル基であり、更に好ましくは、炭素数1〜4のアルキル
基、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル
基等である。また、エナンチオマー混合物とは2−アセ
チルチオ−3−フェニルプロピオン酸エステルの鏡像異
性体である(R)体と(S)体の混合物をいう。また、
その比率は特に限定されないが、通常、(R)体と
(S)体の等量混合物であるラセミ体を使用するのが、
経済性の点からは好ましい。
オ−3−フェニルプロピオン酸エステルのエナンチオマ
ー混合物は、上記一般式(1)または(2)で表される
化合物である。上記一般式(1)または(2)におい
て、上記Rは、直鎖状または分岐状の炭素数1〜10の
アルキル基である。好ましくは、炭素数1〜6のアルキ
ル基であり、更に好ましくは、炭素数1〜4のアルキル
基、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル
基等である。また、エナンチオマー混合物とは2−アセ
チルチオ−3−フェニルプロピオン酸エステルの鏡像異
性体である(R)体と(S)体の混合物をいう。また、
その比率は特に限定されないが、通常、(R)体と
(S)体の等量混合物であるラセミ体を使用するのが、
経済性の点からは好ましい。
【0017】また、本明細書において、光学活性な2−
アセチルチオ−3−フェニルプロピオン酸とは、上記一
般式(3)または(4)で表される(S)2−アセチル
チオ−3−フェニルプロピオン酸または(R)2−アセ
チルチオ−3−フェニルプロピオン酸のそれぞれを指
す。但し、各光学活性体の光学純度は必ずしも100%
e.e.である必要はなく、(R)体と(S)体の混合
物であってもよい。
アセチルチオ−3−フェニルプロピオン酸とは、上記一
般式(3)または(4)で表される(S)2−アセチル
チオ−3−フェニルプロピオン酸または(R)2−アセ
チルチオ−3−フェニルプロピオン酸のそれぞれを指
す。但し、各光学活性体の光学純度は必ずしも100%
e.e.である必要はなく、(R)体と(S)体の混合
物であってもよい。
【0018】本発明で使用する上記酵素としては、微生
物由来の酵素を適宜使用することができるが、微生物由
来の酵素だけに限定されず、牛膵臓由来のαキモトリプ
シン、豚肝臓由来のエステラーゼ等の各種動物由来の酵
素も使用することができる。
物由来の酵素を適宜使用することができるが、微生物由
来の酵素だけに限定されず、牛膵臓由来のαキモトリプ
シン、豚肝臓由来のエステラーゼ等の各種動物由来の酵
素も使用することができる。
【0019】微生物由来の酵素としては、例えば、リゾ
プス(Rhizopus)属、ムコール(Mucor)属、リゾムコール
(Rhizomucor)属、アルカリジェネス(Alcaligenes)
属、キャンディダ(Candida)属に属する微生物由来のリ
パーゼ等が例示でき、これらの微生物由来のリパーゼを
使用するのが好ましい。これらのリパーゼとしては反応
収率および生成物の光学純度が高いという点からは、ム
コール属に属する微生物由来のリパーゼ(例えば、LIPO
ZYME IM、Novo社製)、リゾムコール属に属する微
生物由来のリパーゼ(例えば、リパーゼG−100、協和
ソルザイム社製)、キャンディダ属に属する微生物由来
のリパーゼ(例えば、リパーゼOF、名糖産業(株))
等が特に好ましい。また、生成物の光学純度が高いとい
う点からは、アルカリジェネス(Alcaligenes)属に属
する微生物由来のリパーゼ(例えば、リパーゼQL、名
糖産業(株))等を使用するのが好ましい。尚、これら
の酵素は市販されており、一般に入手可能である。
プス(Rhizopus)属、ムコール(Mucor)属、リゾムコール
(Rhizomucor)属、アルカリジェネス(Alcaligenes)
属、キャンディダ(Candida)属に属する微生物由来のリ
パーゼ等が例示でき、これらの微生物由来のリパーゼを
使用するのが好ましい。これらのリパーゼとしては反応
収率および生成物の光学純度が高いという点からは、ム
コール属に属する微生物由来のリパーゼ(例えば、LIPO
ZYME IM、Novo社製)、リゾムコール属に属する微
生物由来のリパーゼ(例えば、リパーゼG−100、協和
ソルザイム社製)、キャンディダ属に属する微生物由来
のリパーゼ(例えば、リパーゼOF、名糖産業(株))
等が特に好ましい。また、生成物の光学純度が高いとい
う点からは、アルカリジェネス(Alcaligenes)属に属
する微生物由来のリパーゼ(例えば、リパーゼQL、名
糖産業(株))等を使用するのが好ましい。尚、これら
の酵素は市販されており、一般に入手可能である。
【0020】上記の酵素によって、2−アセチルチオ−
3−フェニルプロピオン酸エステルのエナンチオマー混
合物を不斉加水分解する場合、反応は水溶液中で行うの
が好ましく、反応収率等の点からは、緩衝溶液中で行う
のが更に好ましい。有機溶媒を適宜添加して行うことも
できる。
3−フェニルプロピオン酸エステルのエナンチオマー混
合物を不斉加水分解する場合、反応は水溶液中で行うの
が好ましく、反応収率等の点からは、緩衝溶液中で行う
のが更に好ましい。有機溶媒を適宜添加して行うことも
できる。
【0021】また、上記酵素の使用形態は特に限定され
ず、例えば、精製酵素、粗製酵素、菌体や組織に含まれ
た状態などのいずれの形態であっても良い。これらの酵
素はそのまま反応液に加えて使用できるが、各種の担体
に固定化させて使用することもできる。また、反応を効
率良く行うためには、反応は、攪拌または振とう条件下
で行うのが好ましい。反応は一定容積の容器中で行うこ
ともできるし、また、例えば、上記酵素を固定化等させ
たカラム等を使用して、基質を連続的に補充して行うこ
ともできる。
ず、例えば、精製酵素、粗製酵素、菌体や組織に含まれ
た状態などのいずれの形態であっても良い。これらの酵
素はそのまま反応液に加えて使用できるが、各種の担体
に固定化させて使用することもできる。また、反応を効
率良く行うためには、反応は、攪拌または振とう条件下
で行うのが好ましい。反応は一定容積の容器中で行うこ
ともできるし、また、例えば、上記酵素を固定化等させ
たカラム等を使用して、基質を連続的に補充して行うこ
ともできる。
【0022】反応を行う温度は、使用する酵素により異
なるが、一般的には、0〜60℃であるのが好ましく、
10〜40℃であるのが更に好ましい。
なるが、一般的には、0〜60℃であるのが好ましく、
10〜40℃であるのが更に好ましい。
【0023】酵素溶液の反応時のpHは、使用する酵素
により異なるが、2〜11であるのが好ましく、5〜9
であるのが更に好ましい。
により異なるが、2〜11であるのが好ましく、5〜9
であるのが更に好ましい。
【0024】反応中における、基質となる2−アセチル
チオ−3−フェニルプロピオン酸エステルと酵素の比率
は、使用する酵素の種類およびその純度にもよるが、そ
の基質1重量部に対して、酵素0.01〜100重量部
であるのが好ましく、0.1〜10重量部であるのが更
に好ましい。
チオ−3−フェニルプロピオン酸エステルと酵素の比率
は、使用する酵素の種類およびその純度にもよるが、そ
の基質1重量部に対して、酵素0.01〜100重量部
であるのが好ましく、0.1〜10重量部であるのが更
に好ましい。
【0025】また、水溶液中で反応を行う場合、基質で
ある2−アセチルチオ−3−フェニルプロピオン酸エス
テルの濃度は基質の溶解性と反応効率の点からは、反応
液全量に対して、0.01〜50重量%であるのが好ま
しく、0.1〜20重量%であるのが更に好ましい。
ある2−アセチルチオ−3−フェニルプロピオン酸エス
テルの濃度は基質の溶解性と反応効率の点からは、反応
液全量に対して、0.01〜50重量%であるのが好ま
しく、0.1〜20重量%であるのが更に好ましい。
【0026】尚、これらの最適な条件は、条件に適宜変
更を加えて、後に述べる光学分割HPLC分析により測
定した光学純度と絶対配置の結果に基づいて決定するこ
とができる。
更を加えて、後に述べる光学分割HPLC分析により測
定した光学純度と絶対配置の結果に基づいて決定するこ
とができる。
【0027】反応により生成した、2−アセチルチオ−
3−フェニルプロピオン酸と未反応の2−アセチルチオ
−3−フェニルプロピオン酸エステルを採取する方法は
特に限定されず、例えば、上記反応液を、酢酸エチル、
クロロホルム、エーテル等の有機溶媒により抽出し、カ
ラムクロマトグラフィー等の常法を使用することにより
未反応物である2−アセチルチオ−3−フェニルプロピ
オン酸エステルを回収することができ、抽出後の水層の
pHを3以下に下げることにより(S)2−アセチルチ
オ−3−フェニルプロピオン酸、(R)2−アセチルチ
オ−3−フェニルプロピオン酸またはこれら(R)体と
(S)体の混合物を遊離酸とした後、酢酸エチル等の有
機溶媒により抽出することができる。また、必要に応じ
て、光学活性な化学物質を分割する通常の方法により、
更に精製することで光学純度が高い、光学活性な2−ア
セチルチオ−3−フェニルプロピオン酸を得ることがで
きる。
3−フェニルプロピオン酸と未反応の2−アセチルチオ
−3−フェニルプロピオン酸エステルを採取する方法は
特に限定されず、例えば、上記反応液を、酢酸エチル、
クロロホルム、エーテル等の有機溶媒により抽出し、カ
ラムクロマトグラフィー等の常法を使用することにより
未反応物である2−アセチルチオ−3−フェニルプロピ
オン酸エステルを回収することができ、抽出後の水層の
pHを3以下に下げることにより(S)2−アセチルチ
オ−3−フェニルプロピオン酸、(R)2−アセチルチ
オ−3−フェニルプロピオン酸またはこれら(R)体と
(S)体の混合物を遊離酸とした後、酢酸エチル等の有
機溶媒により抽出することができる。また、必要に応じ
て、光学活性な化学物質を分割する通常の方法により、
更に精製することで光学純度が高い、光学活性な2−ア
セチルチオ−3−フェニルプロピオン酸を得ることがで
きる。
【0028】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に
説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定される
ものではない。
説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定される
ものではない。
【0029】<参考例> 2−アセチルチオ−3−フェ
ニルプロピオン酸メチルエステルの製造 2−メルカプト−3−フェニルプロピオン酸10.0g
をメタノール50mlに溶解し、これを冷却した塩化ア
セチル60mlとメタノール450mlの溶液にゆっく
り添加し、65℃で2時間反応させ、冷却後溶媒を減圧
で留去した。残渣を酢酸エチルに溶解し、飽和炭酸水素
ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウ
ムで乾燥後、酢酸ナトリウムを減圧で留去し、11.0
gの油状物を得た。次いで、これを無水塩化メチレン1
40mlに溶解し、トリエチルアミン40ml、無水酢
酸22mlを添加し、室温で1時間反応した。1N塩
酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄
し、硫酸ナトリウムで乾燥後、塩化メチレンを減圧で留
去し、残渣をシリカゲルカラム(ヘキサン/酢酸エチル
=30:1)で精製し、9.0gの2−アセチルチオ−
3−フェニルプロピオン酸メチルエステルを得た。
ニルプロピオン酸メチルエステルの製造 2−メルカプト−3−フェニルプロピオン酸10.0g
をメタノール50mlに溶解し、これを冷却した塩化ア
セチル60mlとメタノール450mlの溶液にゆっく
り添加し、65℃で2時間反応させ、冷却後溶媒を減圧
で留去した。残渣を酢酸エチルに溶解し、飽和炭酸水素
ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウ
ムで乾燥後、酢酸ナトリウムを減圧で留去し、11.0
gの油状物を得た。次いで、これを無水塩化メチレン1
40mlに溶解し、トリエチルアミン40ml、無水酢
酸22mlを添加し、室温で1時間反応した。1N塩
酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄
し、硫酸ナトリウムで乾燥後、塩化メチレンを減圧で留
去し、残渣をシリカゲルカラム(ヘキサン/酢酸エチル
=30:1)で精製し、9.0gの2−アセチルチオ−
3−フェニルプロピオン酸メチルエステルを得た。
【0030】1H−NMR(270MHz,CDCl3)
δ2.30(s,3H),3.01(dd,1H),
3.24(dd,1H),3.65(s,3H),4.
44(t,1H),7.26(m、5H) <実施例1>ラセミ体の2−アセチルチオ−3−フェニ
ルプロピオン酸メチルエステル5.0mgを下記表1に
示す各種酵素5.0mgを含む100mMリン酸カリウ
ム緩衝液(pH7.5)1.0mLにそれぞれ添加し
た。30℃で2時間振とう反応を実施した。反応終了
後、各反応液を遠心分離し、上清から未反応の2−アセ
チルチオ−3−フェニルプロピオン酸メチルエステルを
酢酸エチル1.0mLで抽出し濃縮後、2−アセチルチ
オ−3−フェニルプロピオン酸を得た。
δ2.30(s,3H),3.01(dd,1H),
3.24(dd,1H),3.65(s,3H),4.
44(t,1H),7.26(m、5H) <実施例1>ラセミ体の2−アセチルチオ−3−フェニ
ルプロピオン酸メチルエステル5.0mgを下記表1に
示す各種酵素5.0mgを含む100mMリン酸カリウ
ム緩衝液(pH7.5)1.0mLにそれぞれ添加し
た。30℃で2時間振とう反応を実施した。反応終了
後、各反応液を遠心分離し、上清から未反応の2−アセ
チルチオ−3−フェニルプロピオン酸メチルエステルを
酢酸エチル1.0mLで抽出し濃縮後、2−アセチルチ
オ−3−フェニルプロピオン酸を得た。
【0031】本生成物を光学分割HPLC分析(カラ
ム:ダイセルCHIRALCEL OD−H)すること
により、光学純度測定とともに絶対配置を求めた。
ム:ダイセルCHIRALCEL OD−H)すること
により、光学純度測定とともに絶対配置を求めた。
【0032】得られた結果を表1に示す。
【0033】尚、反応収率は、ラセミ体が2−アセチル
チオ−3−フェニルプロピオン酸メチルエステルの鏡像
異性体である(R)体および(S)体をそれぞれ等量づ
つ含むものとして、それぞれのエステルに対する、採取
された光学活性な(R)体または(S)体の2−アセチ
ルチオ−3−フェニルプロピオン酸のモル百分率(%)
として表した。
チオ−3−フェニルプロピオン酸メチルエステルの鏡像
異性体である(R)体および(S)体をそれぞれ等量づ
つ含むものとして、それぞれのエステルに対する、採取
された光学活性な(R)体または(S)体の2−アセチ
ルチオ−3−フェニルプロピオン酸のモル百分率(%)
として表した。
【0034】また、光学純度は、R配置の鏡像体および
S配置の鏡像体の試料に占める割合を、それぞれRおよ
びSとするとき、以下の式で表される値をいい、エナン
チオマー過剰率(e.e.)ともいう。
S配置の鏡像体の試料に占める割合を、それぞれRおよ
びSとするとき、以下の式で表される値をいい、エナン
チオマー過剰率(e.e.)ともいう。
【0035】
【数1】e.e.(%) = (R−S/R+S)×100
(R≧Sのとき) 又は e.e.(%) = (S−R/R+S)×100(R<S
のとき)
(R≧Sのとき) 又は e.e.(%) = (S−R/R+S)×100(R<S
のとき)
【0036】
【表1】 <結果>上記表1のように、各種酵素(リパーゼ等)を
使用することで、光学純度が高い、光学活性な2−アセ
チルチオ−3−フェニルプロピオン酸を高い反応収率で
得ることができた。特に、ムコール属に属する微生物由
来のリパーゼ(LIPOZYMEIM、Novo社製)、リゾムコ
ール属に属する微生物由来のリパーゼ(リパーゼG−10
0、協和ソルザイム社製)、キャンディダ属に属する微
生物由来のリパーゼ(リパーゼOF、名糖産業
(株))、リパーゼLPBPを使用した場合、反応収率
(%)および光学純度(%)の両方とも良かった。ま
た、アルカリジェネス(Alcaligenes)属に属する微生
物由来のリパーゼ(リパーゼQL、名糖産業(株))を
使用すると高い光学純度(%)の2−アセチルチオ−3
−フェニルプロピオン酸を得ることができた。
使用することで、光学純度が高い、光学活性な2−アセ
チルチオ−3−フェニルプロピオン酸を高い反応収率で
得ることができた。特に、ムコール属に属する微生物由
来のリパーゼ(LIPOZYMEIM、Novo社製)、リゾムコ
ール属に属する微生物由来のリパーゼ(リパーゼG−10
0、協和ソルザイム社製)、キャンディダ属に属する微
生物由来のリパーゼ(リパーゼOF、名糖産業
(株))、リパーゼLPBPを使用した場合、反応収率
(%)および光学純度(%)の両方とも良かった。ま
た、アルカリジェネス(Alcaligenes)属に属する微生
物由来のリパーゼ(リパーゼQL、名糖産業(株))を
使用すると高い光学純度(%)の2−アセチルチオ−3
−フェニルプロピオン酸を得ることができた。
【0037】
【発明の効果】本発明によると、光学純度が高い、光学
活性な2−アセチルチオ−3−フェニルプロピオン酸を
効率よく製造することができる。
活性な2−アセチルチオ−3−フェニルプロピオン酸を
効率よく製造することができる。
Claims (3)
- 【請求項1】 下記一般式(1)または(2)(式中、
Rは炭素数1〜10のアルキル基を示す。)で表される
2−アセチルチオ−3−フェニルプロピオン酸エステル
のエナンチオマー混合物を、前記2−アセチルチオ−3
−フェニルプロピオン酸エステルのエステル結合を不斉
加水分解できる酵素により加水分解して、下記一般式
(3)または(4)で表される光学活性な2−アセチル
チオ−3−フェニルプロピオン酸を得る、光学活性な2
−アセチルチオ−3−フェニルプロピオン酸の製造方
法。 【化1】 【化2】 【化3】 【化4】 - 【請求項2】 前記一般式(1)および(2)のRが炭
素数1〜4のアルキル基である請求項1記載の製造方
法。 - 【請求項3】 前記酵素がムコール属、リゾムコール
属、アルカリジェネス属、キャンディダ属に属する微生
物由来のリパーゼである請求項1または2記載の製造方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10196253A JP2000023693A (ja) | 1998-07-10 | 1998-07-10 | 光学活性な2−アセチルチオ−3−フェニルプロピオン酸の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10196253A JP2000023693A (ja) | 1998-07-10 | 1998-07-10 | 光学活性な2−アセチルチオ−3−フェニルプロピオン酸の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000023693A true JP2000023693A (ja) | 2000-01-25 |
Family
ID=16354743
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10196253A Pending JP2000023693A (ja) | 1998-07-10 | 1998-07-10 | 光学活性な2−アセチルチオ−3−フェニルプロピオン酸の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2000023693A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2002022849A3 (en) * | 2000-09-15 | 2002-08-29 | Bristol Myers Squibb Co | Enzymatic resolution of aryl- and thio-substituted acids |
AU2006200618B2 (en) * | 2000-09-15 | 2007-08-09 | Bristol-Myers Squibb Company | Enzymatic resolution of aryl and thio-substituted acids |
KR100758512B1 (ko) | 2006-07-20 | 2007-09-14 | 엔자이텍 주식회사 | 효소적 방법에 의한 광학활성3-히드록시-3-페닐프로피온산과 광학활성3-아실옥시-3-페닐프로피온산의 제조 방법 |
US7388098B2 (en) | 2000-09-29 | 2008-06-17 | Bristol-Myers Squibb Company | Dynamic resolution of isomers and resolved isomers |
-
1998
- 1998-07-10 JP JP10196253A patent/JP2000023693A/ja active Pending
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2002022849A3 (en) * | 2000-09-15 | 2002-08-29 | Bristol Myers Squibb Co | Enzymatic resolution of aryl- and thio-substituted acids |
US6620600B2 (en) | 2000-09-15 | 2003-09-16 | Bristol-Myers Squibb Co. | Enzymatic resolution of aryl and thio-substituted acids |
AU2001290774B2 (en) * | 2000-09-15 | 2005-12-15 | Bristol-Myers Squibb Company | Enzymatic resolution of aryl- and thio-substituted acids |
US7026143B2 (en) | 2000-09-15 | 2006-04-11 | Bristol-Myers Squibb Company | Enzymatic resolution of aryl and thio-substituted acids |
US7141694B2 (en) | 2000-09-15 | 2006-11-28 | Bristol-Myers Squibb Company | Enzymatic resolution of aryl and thio-substituted acids |
AU2006200618B2 (en) * | 2000-09-15 | 2007-08-09 | Bristol-Myers Squibb Company | Enzymatic resolution of aryl and thio-substituted acids |
US7388098B2 (en) | 2000-09-29 | 2008-06-17 | Bristol-Myers Squibb Company | Dynamic resolution of isomers and resolved isomers |
KR100758512B1 (ko) | 2006-07-20 | 2007-09-14 | 엔자이텍 주식회사 | 효소적 방법에 의한 광학활성3-히드록시-3-페닐프로피온산과 광학활성3-아실옥시-3-페닐프로피온산의 제조 방법 |
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