JP2965309B2 - 湯水混合水栓 - Google Patents

湯水混合水栓

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、給水量調節と温水・冷水の混合割合調整
による温度調節とを1本のレバーで行うことができるよ
うにした湯水混合水栓に関する。
〔従来の技術〕
切欠または開口を有する弁体を摺動自在に重ね合わせ
て配置し、この弁体の回転もしくはスライドによって止
水または流量調整を行なうようにした水栓は既によく知
られている。
第1図ないし第4図は、従来の液体混合弁の具体例と
して家庭用水道に用いられている湯水混合水栓の構造を
示したものである。
これらの図において、ハウジング1の側面に流出路2
とパッキンガイドに流入路3と流入路4とが設けられ、
これら両流入路のいずれか一方が水道管、他方が湯沸器
に接続されることになる。
そして上記のハウジング1の内部に設けた弁収納凹部
5内に、弁体6と弁体7および案内板8とが下から順に
重なった状態で収納され、ハウジング1上に固定された
上蓋9に弁を操作するレバー10が取付けられている。
ここで、弁体6は、ハウジング1の内径面およびベー
ス12に設けた突起11との嵌り合いによってベース12に固
定され、中央に流出路2とその周囲に一対の流入路13、
14がハウジング1の流出路2および流入路3、4と連通
するように形成されている。また、弁体7は案内板8と
弁体6ではさまれ、弁収納凹部5の内径よりも小径の円
板であり、弁体6および案内板8に対して摺動が自在に
なっているとともに、弁体6に対する摺動面に流出路2
と連通する流通路15が設けられている。
さらに、上記の弁体6とベース12との間にゴム製のO
リング16が組込まれ、このOリング16の弾性によって、
ベース12と弁体6、弁体6と弁体7、弁体7と案内板8
の間がそれぞれシールされている。また、前記の弁体7
とレバー10とはリンク棒17を介して連動され、このリン
ク棒17が上蓋9にピン18で支持され、レバー10を上下お
よび回動させることによって弁体7を駆動し、流通路15
の変位により、温水・冷水および混合水の取出しと閉栓
とが行なえるようになっている。
なお、第1図および第2図は弁体7が同図右側に最も
変位し、流通路15が両流入路13、14の何れにも連通しな
い閉栓状態を、第3図は流通路15が一方の流入路13と連
通する弁体7の位置を示し、温水または冷水が単独で取
出される状態を、また、第4図は流通路15が両流入路13
および14と連通する弁体7の位置を示し、混合水の取り
出し状態を示している。
以上述べたような弁装置は、弁体6および7による摺
動面間のすり合わせ状態に応じて、流量調整または流路
変更等を行なうものであって、温水・冷水の混合栓に限
らず、便器などに設置される温水洗浄器の流路切替等に
も使用することが出来る。
このような従来の混合栓には通常銅合金またはステン
レス鋼製の弁体7が用いられている。しかし、金属製の
弁体7では弁体6との摺動面間に配管工事等による切削
粉、さび、砂、小石等の異物が侵入すると摺接面に喰い
込み傷が付き、シール性の劣化による水漏れまたは吐水
不能などの現象が発生する。一方、弁体7と弁体6とに
高硬質セラミックスを用いて摺接面の表面粗度を非常に
小さくすることにより、異物の摺接面への喰い込みを防
止しようとする方法も行なわれてはいるが、このような
構造では弁体7の摺動抵抗が大きくなるから、レバー回
転時の駆動力を低減させるための新たな潤滑手段を必要
とすること、衝撃強度が小さいため運搬、組み込み、使
用などの際の温度差によって割れまたはクラックが発生
すること、しかも、セラミックスは摺接面の平坦度、面
粗度を極度に高めるための長時間の表面研磨を必要と
し、加工コスト費が高くつくばかりでなく、潤滑剤を塗
布して動きを軽くしても、潤滑剤は使用中に流出して、
短期間のうちに駆動力が大きくなるなどの問題がある。
したがって、このような問題を解決するためには高硬
質セラミックス自体に潤滑性をもたせばよいことになる
が、潤滑剤が成形温度に耐えられず熱分解してしまうた
め、この方法も現実的には不可能である。また、セラミ
ックスの弱点である、非潤滑性、機械的または熱的な衝
撃によるクラック発生等を一掃するために、弁体をフッ
素樹脂、超高分子量ポリエチレン等の自己潤滑性を有す
る樹脂または二硫化モリブデン、カーボン等の自己潤滑
性を有するフィラーを充填した樹脂で構成するという試
み(たとえば特開昭63−36765号公報)もあるが、自己
潤滑性樹脂を用いたものは確かに潤滑性には優れるが、
耐クリープ性に劣り、たとえ繊維類で補強しても、樹脂
と補強剤とのヌレ性の悪さから充分な補強効果が得られ
ず、結果として低い水圧にしか耐えられないか、また
は、この樹脂弁体の肉厚を実用レベルとはかけ離れた大
きなものとする必要があった。また、補強効果の大きい
樹脂に、自己潤滑性を有するフィラーを充填した系にお
いても、充分な潤滑性を得るためには、相当量の潤滑性
フィラーを使用する必要があり、その結果、衝撃強度ま
たは耐クリープ性は著しく低下し、クラック発生または
止水不良等の問題が起こり、逆に潤滑性フィラーの量が
少な過ぎると、弁体摺接面の潤滑性が悪くなり、そのた
めに弁装置を操作するレバー等のハンドルトルクが大き
くなって問題を生じる。
これらの問題を解決するために本発明者らは、特願平
1−10686号にポリフェニレンサルファイド樹脂と平均
繊維径が8μm以下の炭素繊維とからなる弁体を用いた
混合水栓を提案した。この混合水栓は、比較的低トルク
ではあるが、耐久試験中徐々にハンドルトルクが増大す
る減少がみられ、特にこの傾向は、20万サイクル以後に
顕著であった。
また、実開昭63−24460号公報に記載されているよう
に、摺動側の弁体の上面に樹脂コーティングを施し、こ
の樹脂の潤滑性によってレバー等のハンドルトルクを軽
減する提案もあるが、長期間の使用によって樹脂コーテ
ィングがはがれ、トルクが増大する。また、上蓋と摺動
側の弁体上面との間に、ポリアセタール樹脂やポリエチ
レンテレフタレート樹脂からなる案内板を装着した場合
には、十分に満足し得る摺動特性は得られず、第1図か
ら第4図に示す構造の混合水栓の案内板8として、四フ
ッ化エチレン樹脂を用いた場合は、シール性が弱く、案
内板部位から水がもれて止水出来なかった。
〔発明が解決しようとする課題〕
以上述べたように、従来の技術においては、弁体間の
摺接面に潤滑剤を塗布する必要もなく、駆動操作が長期
にわたって軽快であり、機械的または熱的な衝撃に強
く、水漏れ、吐水不能などの事故を未然に防止できるよ
うな水栓用弁装置は得られていないという問題があり、
これらを解決することが課題となっていた。
〔課題を解決するための手段〕
上記の課題を解決するために、この発明は、湯水混合
水栓において、摺動側の弁体が、ポリフェニレンサルフ
ァイド樹脂またはポリフェニレンサルファイド樹脂を含
むポリマーアロイと、充填剤とからなり、前記摺動側の
弁体の上面と摺接する前記上蓋または上蓋に付設された
案内板が高分子量ポリエチレンからなるという手段を採
用するものである。または、湯水混合水栓の固定側の弁
体に熱水口と冷水口の2つの流入路を形成し、上蓋、摺
動側の弁体及び固定側の弁体を収納するハウジング側面
に流出路を設けた手段を採用することもできる。以下そ
の詳細を述べる。
まず、この発明で使用するポリフェニレンサルファイ
ド(PPSと略記)樹脂は、一般式 で表わされる繰り返し単位からなる重合体であって、特
に繰り返し単位を90モル%以上含むものが特性上好まし
く、90モル%未満では期待する性質の組成物は得難くな
るので好ましくない。そしてこのような重合体を得るに
は既によく知られた方法を使用すればよいが、たとえば
硫化ナトリウムとp−ジクロルベンゼンとをN−メチル
ピロリドン、ジメチルアセトアミドなどのアミド系溶媒
もしくはスルホランなどのスルホン系溶媒中で反応させ
るのが好適である。なお、重合体の結晶性に影響を与え
ない範囲で、たとえば (ここでRはアルキル、ニトロ、フェニル、アルコキシ
などの基) などの共重合成分を10モル%未満含んでもよい。このよ
うなPPS樹脂は、たとえば特公昭44−27671号公報および
同45−3368号公報に開示されているようなハロゲン置換
芳香族化合物と硫化アルカリとの反応、特公昭46−2725
5号公報に開示されているような芳香族化合物を塩化硫
黄とのルイス酸触媒共存下における縮合反応、または米
国特許第3274165号に開示されているようなチオフェノ
ール類のアルカリ触媒もしくは銅塩等の共存下における
縮合反応等によって合成されるが、目的に応じて具体的
な方法を任意に選択することが出来る。なお、PPS樹脂
は上記のような縮合等の反応直後においては白色に近い
未架橋品であって、このままでは低分子量で低粘度であ
ることから、押出成形、射出成形などの用途に用いるた
めに、たとえば空気中において融点以下に加熱し、酸化
架橋させて分子量を高め、押出成形、射出成形等に適す
る溶融粘度のものに変化させる。このような処理をして
溶融成形用途に市販されているライトンP−4(フィリ
ップスペトローリアム社製)の溶融粘度(オリフィス:
直径1mm、長さ2mm、荷重10kg)は、1000〜5000ポイズで
ある。
しかし、このようなPPS樹脂は、前述したように、低
分子量のものを酸化架橋させたものであるから、組成物
によっては脆弱となり、衝撃強度が低く、摺動部に異物
が混入した際にも摺動面の一部が欠落して、摺動面の摩
耗を促進する可能性がある。これらの脆弱製を改良する
ためには、直鎖状のPPS樹脂を使用することが好まし
い。なお、このような直鎖状PPS樹脂は、特開昭61−733
2号公報、特開昭61−66720号公報などに開示されている
ような方法で製造され、重合後の高温下の熱処理および
架橋剤の添加などを行なうことなしに、重合段階で直鎖
状に分子鎖を高分子量まで生長させたもので、たとえば
呉羽化学工業社製:KPS−W214を例示することができる。
また、このようなPPS樹脂に代えて、PPS樹脂と他の樹
脂とのポリマーアロイを採用してもよく、例えば、PPS
樹脂とポリフェニレンエーテル樹脂(PPE樹脂)とのポ
リマーアロイ、PPS樹脂とポリエーテルイミド樹脂(PEI
樹脂)とのポリマーアロイまたは、PPS樹脂とポリアミ
ド樹脂(PA樹脂)とのポリマーアロイが挙げられる。こ
の中で、PPS樹脂とPPE樹脂のポリマーアロイは、米国ジ
ー・イー社、東ソー社または三菱瓦斯化学社より、PPS
樹脂とPEI樹脂のポリマーアロイは、米国ジー・イー社
より、PPS樹脂とPA樹脂のアロイは、三菱瓦斯化学社よ
りそれぞれ提供される。
つぎに、この発明に使用する充填剤類は、特に限定す
るわけではないが、繊維類では、炭素繊維が、粉末類で
は、平均粒径が20μm以下の耐熱性無機粉末状充填剤が
好ましい。炭素繊維は、その原料を特に限定せずアクリ
ロニトリル系、ピッチ系、セルロース系等を採用する
が、特に耐クリープ性等の機械的強度を高める補強効果
の優れている点を勘案してアクリロニトリル系炭素繊維
が好ましいといえる。
また、アクリロニトリル系炭素繊維の弾性率は、通常
24000kg/mm2程度であるが、この発明においては35000kg
/mm2以上の弾性率を有する炭素繊維を使用することが好
ましい。これは低弾性率の炭素繊維の場合には、摺動抵
抗により、摺動面間に折れ曲がった炭素繊維が存在し潤
滑性に悪影響を及ぼしたり、樹脂製弁体の摩耗を促進す
ることがあるのに対して、弾性率が35000kg/mm2以上の
高弾性率の炭素繊維においては、相手材によって炭素繊
維のエッジ部から軽い力で次第に粉状にこすり取られる
ため、摩擦摩耗にほとんど悪影響を与えないからではな
いかと思われる。このような推定の理由からすれば、炭
素繊維は引張り伸び率の小さいもの、具体的には引張り
伸び率1.0%以下のものが好ましいことになる。また、
炭素繊維の繊維径は8μm以下とすることが好ましい。
これは摺接面において材料組織から脱落したり、または
相手材により折り曲げられたりした炭素繊維が存在する
が、すでに前述したようにそれらは出来るだけ小さい単
位、たとえば粒状であることが、潤滑性、耐摩耗性にと
って有利であるからである。また、耐熱性無機粉末状充
填剤とは、基幹樹脂であるPPS樹脂の成形温度、すなわ
ち280〜380℃に耐える無機物質であって、たとえば、マ
イカ、タルク、カオリン、炭酸カルシウム、カーボン、
グラファイト、シリカ、クレー、炭酸マグネシウム、三
酸化アンチモン、ガラスビーズ、ガラスバルーン等を例
示することが出来る。そして、後述する成形後の摺動面
の後加工時に1.0μm以下の表面粗さ(Ra)を得るため
には、これら耐熱性無機物質の平均粒径を20μm以下に
することが大切である。中でも平均粒径が20μm以下で
あって、1〜50μmの範囲の粒子が80重量%以上を占め
ていることが好ましいが、平均粒径が10μm以下で、し
かも1〜30μmの範囲の粒子が80重量%以上を占めるこ
とがより一層好ましい。さらにこのような無機粉末状物
質を炭素繊維と併用すると、炭素繊維だけを用いた際の
成形時に生じる熱膨張率または機械的強度の異方性を、
良好な耐クリープ性および高弾性を維持したまま減少さ
せることが出来る。この結果、特に温水・冷水の混合水
栓用弁装置として使用した場合、より確度の高い止水性
を得ることができる。さらに、無機粉体の種類によっ
て、マイカ、炭酸カルシウム、タルクなどは潤滑性向上
に寄与し、小さなハンドルトルクを得ることが出来るこ
とから特に好ましく、また、カオリンまたはグラファイ
ト(粒状フェノールを黒鉛化したものを含む)などは耐
摩耗性に寄与し、耐久性に優れた湯水混合水栓を得るこ
とが出来ることから特に好ましいものといえる。
この発明におけるPPS樹脂またはPPS樹脂と他の樹脂と
のポリマーアロイと、充填材類との配合比は、PPS樹脂2
5〜80重量%で、充填材類が20〜75重量%である。なぜ
ならば、PPS樹脂が80重量%を越える多量では、弾性率
が小さ過ぎて弁体の表面付近が変形し、充分な止水が出
来ず、また25重量%未満の少量では、成形性が悪く、し
かも衝撃強度が著しく低下するからである。
また、この発明で使用される高分子量ポリエチレン
は、その分子量が粘度法で60万以上のものであり、独国
ヘキスト社製:GUR412または三井石油化学工業社製:ミ
リオン240Sや同社製リュブマ−L4000、L5000などを例示
することが出来る。
前述したPPS樹脂または、PPS樹脂を含むポリマーアロ
イからなる摺動側弁体と、この高分子量ポリエチレンか
らなる上蓋、または上蓋に付設された案内板を摺接させ
る混合水栓は、軽快なハンドルトルクが長期間、20万サ
イクル以上においても維持出来ることを見出した。
なお、この発明の湯水混合水栓の上蓋又は、固定蓋に
挿入された案内板を構成する高分子量ポリエチレンにお
いても、本発明の目的を損なわない範囲で、通常の組成
物に使用されている充填剤を用いることができる。たと
えば、カーボン、グラファイト二硫化モリブデン、フッ
素樹脂、シリコーン油、フッ素化油などの潤滑性向上
剤、炭素繊維、ガラス繊維、ボロン繊維、ウォラストナ
イト、チタン酸カリウムなどの補強剤、その他金属酸化
物等の顔料などで、高分子量ポリエチレンの成形温度に
耐える物質ならばよい。
また、この発明の湯水混合水栓の摺動弁体は、上述し
たPPS樹脂または、PPS樹脂を含むポリマーアロイと、充
填剤類、さらには無機粉体状充填剤類を混合し、これを
成形することによって製造されるが、混合する方法は特
に限定されるものではなく、たとえば、これら諸原材料
および必要に応じて各種添加剤をそれぞれ別個に、また
は二種以上を同時にヘンシェルミキサー、ボールミル、
タンブラーミキサー等の混合機を用いて乾式混合した後
に、熱ロール、ニーダ、バンバリーミキサー、溶融押出
機等で溶融混合して所定の形状に溶融成形すればよい。
この際の溶融混合温度はPPS樹脂が溶融する温度以上、
具体的には280〜380℃、好ましくは280〜350℃である。
また、溶融成形法も特に限定するものではないが、量産
性、低コスト化を考えれば、射出成形法が好ましい。射
出成形だけで摺接面の平面度も含めて最終形状を得るこ
とは非常に難しいので、射出成形直後に同じ金型内で圧
縮成形の行なえる、いわゆる射出圧縮成形が有利であ
る。通常は、成形後に摺動表面の優れた平面度を出すた
めに後加工を行なう。すなわち、平面研削盤または両頭
研削盤等で成形品素材の平行度および平面度を整えた
後、ラップ機で10〜50μm程度表面を磨き取る。この際
のラップ砥粒には、アルミナ、炭化ケイ素などを主成分
としたものを用いればよく、その粒度は非常に細かいも
の、たとえば#2000以下、好ましくは#4000以下のもの
が適当である。なお、金属よりも軟質の樹脂を硬質の砥
粒でラップする際に樹脂に砥粒がめり込んでしまうので
はないかと予想されたが、#2000以下、さらに#4000以
下というような細かい粒度のものであれば、砥粒が樹脂
にめり込むことはほどんどなく、小さくて良好な平面度
および表面粗さを得ることができる。その理由は定かで
はないが砥粒は硬質である方がかえって被ラップ材料の
発熱を少なくし、その結果、表面硬度または降状点応力
などの低下が少なくなるのではないかと推測される。い
ずれにしても、このような平面研磨と同時に平面度も仕
上げる。このような研削およびラップに用いる装置は、
多数個取りが容易であり、また素材が樹脂であることか
ら、セラミックス、金属などの場合と比べて非常に短時
間で加工することが出来るため低コストで製造すること
が出来る。
また、この発明の湯水混合水栓の上蓋または上蓋に付
設された案内板は、高分子量ポリエチレンをそのまま、
あるいは、充填剤類を混合し、これを成形することによ
って製造される。混合する方法は特に限定されるもので
はなく、前述のPPS樹脂その他の混合方法と同様にして
乾式混合し、所定の形状に溶融成形すればよいし、必要
があれば、乾式混合した後に溶融押出機等で溶融混合し
た後に所定の形状に溶融成形すればよい。溶融成形法も
特に限定するものではないが、量産性、低コスト化を考
えれば、射出成形法が好ましい。また、通常、成形後の
摺動表面に優れた平面度を得るために研磨、ラップ加工
等の後加工を行なう。
〔作用〕
この発明の湯水混合水栓は、使用する摺動弁体を、PP
S樹脂またはPPS樹脂を含む合成樹脂で構成し、この摺動
弁体と摺接する上蓋または上蓋に付設された案内板を高
分子量ポリエチレンで構成しているため、機械的または
熱的な衝撃に強く、良好な潤滑性を非常に長期間にわた
って発現させることが可能となる。
〔実施例〕
実施例および比較例に使用した原材料を一括して示す
とつぎのとおりである。なお〔 〕内に略号を記入し、
また配合割合はすべて重量部である。
樹脂及び樹脂組成物: PPS樹脂〔PPS〕 (米国フィリップス・ペトローリアム・インターナシ
ョナル製:ライトンP−4)、 PPS樹脂とポリアミド樹脂のポリマーアロイ70重量%
と炭素繊維30重量%のコンパウンド〔PPS/PA/CF〕 (三菱瓦斯化学株式会社製:レニーHR−230) 高分子量ポリエチレン〔HMWPE〕 (三井石油化学社製:リュブマー、射出成形グレー
ド)、 ポリアセタール樹脂〔POM〕 (ポリプラスチック社製:ジュラコンM90) ポリブチレンテレフタレート樹脂〔PBT〕 (三井化成社製:ノバドゥール5008) 炭素繊維〔HTA〕 (東邦レーヨン社製:ベスファイトHTA、繊維径7.2μ
m、引張り弾性率24000kg/mm2) マイカ〔マイカ〕 (カナダマイカ社製:マイカS−325、平均粒径13μ
m、50μm以下 約99%)、 炭酸カルシウム〔炭カル〕 (日窒工業社製:NA−600、平均粒径3.5μm、50μm
以下 約98%)、 実施例1〜6: 炭素繊維をエポキシ系サイジング剤で集束させ、繊維
長6mmに切断した後、諸原材料を第1表に示す配合割合
で予め乾式混合した後、二軸押出機(池貝鉄工社製:PCM
−30)に供給し、シリンダー温度300℃、スクリュー回
転数50rpmの条件で押し出し造粒した。得られたペレッ
ト及び実施例6についてはペレットをそのまま、シリン
ダー温度320℃、射出圧500〜1500kg/cm2、金型温度140
℃の条件のもとに射出成形し、第1図から第4図に示す
ような構造の北村バルブ社製シングルレバー混合水栓KM
300Nの摺動弁体(第1図の弁体7)を得た。なお、この
樹脂製の弁体は成形後その摺接面を平面研削盤にて平面
度を出し、さらにラップ機で表面粗さを出した。また、
摺動弁体の上面と摺接する上蓋に挿入された案内板(第
1図の案内板8)を、高分子量ポリエチレン〔HMWPE〕
で、シリンダ温度250℃、金型温度30℃、射出圧500kg
/cm2の条件のもとに射出成形して得た。なお、この樹脂
製の案内板は成形後その摺接面を平面研削盤にて平面度
を出した。これらの摺動弁体及び案内板を使って実用的
機能試験を行ない、その結果を第1表に併記した。な
お、同試験の評価方法はつぎのとおりである。
実用的機能試験: 北村バルブ社製のシングルレバー式混合水栓KM300Nを
用い、第1図の弁体7にあたるディスクをこの実施例の
樹脂製とし、摺接する弁体6をアルミナ製として取付
け、耐久試験前の初期のトルク試験と止水試験とを行な
った。トルク試験においては、レバーの上下(止水、流
れ、流量調節)、左右(温水、冷水の温度調節)のトル
クを、シンポ工業社製のデジタルフォースゲージDFG−2
Kを用いて測定し、止水試験においては、レバーを中央
下部(止水状態)とし、ポンプによって水圧を最大17.5
kgf/cm2までかけ、1分間全く水漏れしない最大水圧を
測定した。
これらの初期試験において、トルクが5kgf・cm以下で
しかも止水試験が水圧17.5kgf/cm2において完全に止水
したものについて、シングルレバー式混合水栓耐久試験
機(図示省略)に初期試験したものと同じシングルレバ
ー式混合栓のレバー10を連結し、第5図に示すように、
レバー10を右端上部Ruから右端下部Rd(冷水)→左端下
部Ld(熱湯90℃)→左端上部Lu(止水)→左端下部Ld
(熱湯90℃)→中央下部Cd(温水)→中央上部Cu(止
水)→中央下部Cd(温水)→右端下部Rd(冷水)→右端
上部Ru(止水)を1サイクル(所用時間約25秒)とし
て、30万サイクルの耐久試験を行ない、5万サイクル、
10万サイクル、20万サイクルおよび30万サイクルの試験
後のトルクと止水性とを初期と同様の方法で確認した。
比較例1〜4: 比較例1〜4は、第2表に示すような割合で諸原材料
を配合した以外は実施例1と全く同じ操作を行なって、
第1図の摺動弁体7を作製した。また摺動弁体7の上面
と摺接する上蓋9に挿入された案内板8を、比較例1お
よび3では、ポリアセタール樹脂〔POM〕で、シリンダ
ー温度210℃、金型温度90℃、射出圧1000kg/cm2の条件
の下に、また比較例2および4は、ボリブチレンテレフ
タレート樹脂〔PBT〕で、シリンダー温度250℃、金型温
度110℃、射出圧700kg/cm2の条件のもとに各々射出成形
して得た。なお、この樹脂製の弁体は、成形後その摺接
面を平面研削盤にて平面度を出した。これらの摺動弁体
及び案内板を使って実用的機能試験を行ない、その結果
を第2表に示した。
第1表、第2表からつぎのことが明らかである。すな
わち、実施例1〜6は、実用的機能試験における30万サ
イクル後の耐久試験の結果、耐久試験前と変化なく、最
大17.5kgf/cm2の水圧で全く水漏 れがなかった。ハンドルトルクは、耐久試験前に比べて
5万サイクル後で若干大きくなるが、その後は30万サイ
クル完了までほとんど変化せず安定していた。粉末状充
填材を併用した実施例3〜5ではハンドルトルクの値が
実施例1および2に比較して特に小さかった。
これに対して、摺動弁体の上面と摺接する上蓋に挿入
される案内板を高分子量ポリエチレン以外の実施例成形
品とした比較例1〜4は、水漏れについては全く問題が
ないものの、ハンドルトルクについては、耐久試験前に
比較して5万、10万、20万サイクル後と徐々に増大し、
特に30万サイクル後では、相当大きな値を示した。
〔効果〕
以上述べたように、この発明の湯水混合水栓は、摺動
側の弁体をPPS樹脂またはPPS樹脂を含むポリマーアロイ
で構成し、この摺動弁体と摺接する上蓋または上蓋に付
設された案内板を高分子量ポリエチレンで構成したの
で、冷水から熱水までの幅広い温度領域において、レバ
ーによる駆動操作が非常に長期にわたって軽快である。
また、落したり乱暴な取り扱いをしても亀裂が入ること
はなく、冷水と熱水のくり返し(サーマルショック)に
もきわめて強いことから、水漏れ、吐水不能などを確実
に防止できるものである。したがって、この発明の意義
はきわめて大きいということができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は家庭用水道に用いられる湯水混合水栓の構造を
例示する縦断面図、第2〜4図はその弁体の作動機構を
示すための弁体横断面図、第5図は第1図の外観を示す
ための斜視図である。 1……ハウジング、2……流出路、3、4……流入路、
5……弁収納凹部、6、7……弁体、8……案内板、9
……上蓋、10……レバー、13、14……流入路、17……リ
ンク棒。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】湯水混合水栓の弁収納凹部に、固定側の弁
    体と摺動側の弁体とを摺動自在に重ね合わせて収納する
    と共に前記摺動側の弁体上方に中央開口の上蓋を収納
    し、前記摺動側の弁体中央には弁体操作用リンク棒を連
    結した湯水混合水栓において、前記摺動側の弁体が、ポ
    リフェニレンサルファイド樹脂またはポリフェニレンサ
    ルファイド樹脂を含むポリマーアロイと、充填剤とから
    なり、前記摺動側の弁体の上面と摺接する前記上蓋また
    は上蓋に付設された案内板が高分子量ポリエチレンから
    なることを特徴とする湯水混合水栓。
  2. 【請求項2】請求項1記載の湯水混合水栓の固定側の弁
    体に熱水口と冷水口の2つの流入路を形成し、上蓋、摺
    動側の弁体及び固定側の弁体を収納するハウジング側面
    に流出路を設けたことを特徴とする湯水混合水栓。
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