JP2963041B2 - 磁性セラミクスおよび積層型電子部品 - Google Patents

磁性セラミクスおよび積層型電子部品

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JP2963041B2
JP2963041B2 JP8040103A JP4010396A JP2963041B2 JP 2963041 B2 JP2963041 B2 JP 2963041B2 JP 8040103 A JP8040103 A JP 8040103A JP 4010396 A JP4010396 A JP 4010396A JP 2963041 B2 JP2963041 B2 JP 2963041B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、無線機器等に使用
される積層型の電子部品に関するものであり、特に低損
失の磁性セラミクスとそれを用いたコイルやトランス等
の積層型インダクタンス部品、およびそれらを含んで構
成される積層型複合電子部品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から無線機器等の高周波回路に用い
られているコイルやトランスなどのインダクタンス部品
は、図2に例示のようにコアに巻線した構造である。数
百MHz以上の高い周波数で使用されるインダクタンス
部品は、空心構造でも所要のインダクタンス値が容易に
得られるため比較的小型に構成することができる。しか
し、中間周波数部など数〜数十MHzの比較的低い周波
数で使用されるインダクタンス部品では、空心で大きな
インダクタンス値を得ようとすると巻数を多くしなけれ
ばならず、部品が大型化したり導体損失が大きくなった
りするため、フェライトなどの高い比透磁率を有する磁
性材料をコア材として用いて巻数が少なくなるように構
成するのが通常である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、コアへの巻線
は手作業によっているため量産性が低く、コストの低減
や品質管理が難しいばかりでなく、部品の小型化も困難
であり、特に、複数のコイルを相互に結合させて構成す
るトランスは他の電子部品に比べて小型化が著しく遅れ
ている。本発明者らは、このような状況をふまえ、磁性
材料コアに巻線して構成される従来のインダクタンス部
品にかわる表面実装に適する小型の積層型インダクタン
ス部品、特に積層型トランスを提供しようとするもので
ある。一般に、積層型電子部品を構成するためには、ま
ず、ドクターブレード法などにより絶縁性セラミクスの
グリーンシートを形成し、そのグリーンシートに特定の
形状の導体パターンをスクリーン印刷技術等で形成し、
それらを積層圧着し、焼結により一体化して形成する。
積層された各シートの導体パターンどうしは、必要に応
じてスルーホール電極を介して電気的に接続されたり、
電磁気的結合を生じるように積層配置する。また、電気
的に接続されている各導体パターンの両端は外部接続用
の電極に接続される。このような構成において、導体パ
ターンおよび外部電極は、電気伝導性が高く比較的安価
なAgを主とするペーストを用いて形成するのが適当で
ある。CuペーストやAu,Ptなどの貴金属ペースト
を用いることもできるが、前者は酸化されやすいために
非酸化性雰囲気中で焼結する必要があり、後者は高価で
焼結温度も高いため、いずれも製造工程が複雑になった
りコストが上昇して好ましくない。一方、Agペースト
を用いる場合、その融点が962℃と比較的低く、積層
後のセラミクス焼結工程において融点を越えて劣化し、
電子部品の導体として機能しなくなってしまう恐れがあ
るため、実際には950℃以下でセラミクスを焼結しな
ければならないという制約が生じる。Agペーストとな
らんでよく使用されるPdを最大2%程度含むAgペー
ストについても同様である。しかし、従来の磁性セラミ
クスは1000〜1200℃で焼結されるのが通常であ
り、950℃以下で焼結した場合、インダクタンス部品
用の磁性材料として必要な比透磁率μ’や磁気損失μ”
などの磁気特性を得ることができないばかりか、密度が
低下して回路基板上に実装して使用するに耐える機械的
強度が得られず、電子部品用材料としての信頼性を確保
することが困難であった。このため、磁性セラミクスを
用いた実用的な積層型電子部品を提供するためには、9
50℃以下での低温焼結に適する絶縁性の磁性セラミク
スの開発が必要であった。
【0004】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者らは、F
23,NiO,CuO,ZnO,CoOおよびBi2O3
からなる950℃以下での低温焼結に適した絶縁性の磁
性セラミクスの組成検討を行った。主相をなすFe23
は、40.0モル%より少ないと化学量論的にスピネル
構造の単相にならず、49.8モル%を越えるとα相ヘ
マタイトが異相として発生し、いずれの場合も比透磁率
μ’が低下し磁気損失μ”が急激に増加する。また、4
9.8モル%を越えると電気抵抗率が低下して渦電流損
失が増加するため、磁気損失μ”の増加につながる。N
iOが20.0モル%より少ないと置換されるZnOが
相対的に多くなってキュリー温度Tcが100℃以下と
なるため実用的でなく、39.5モル%を越えると比透
磁率μ’が低くなりインダクタンス部品として実用的な
電磁気特性が得られない。CuOが10.0モル%より
少ない場合には950℃以下で焼結したときの密度が
5.0×103kg/m3未満となり、回路基板に実装し
て使用する電子部品に十分な機械的強度が得られない。
また、20.0モル%を越えると結晶粒界に異相として
析出し、磁気損失μ”が急激に増加してしまう。ZnO
の添加により比透磁率μ’を制御することが期待できる
が、2.0モル%より少ないとインダクタンス部品とし
て必要な電磁気特性を得るのに十分な比透磁率μ’が得
られない。また、20.0モル%を越える場合には、キ
ュリー温度Tcが100℃以下となり実用的でない。C
oOの添加により、磁気損失μ”の低減が期待される
が、0.3モル%より少ないと十分な効果が得られず、
6.5モル%より多いと比透磁率μ’が低下していずれ
も実用的でない。Bi23は焼結時に液相になり低温焼
結性を向上させるが、添加量が4.0重量%を越えると
磁性セラミクスの結晶粒径が過大になったり、結晶粒界
に異相として析出し、磁気損失μ”が急激に増加する。
なお、この目的のためにV25を添加することが例えば
特開平6−112032に記載されているが、V25
添加すると焼結時にAg導体と反応して導体パターンが
消失してしまうため不適当である。
【0005】以上の事柄をふまえて、本発明の磁性セラ
ミクスの組成をFe23 40.0〜49.8 モル
%,NiO 20.0〜39.5 モル%,CuO
10.0〜20.0 モル%,ZnO 2.0〜
20.0 モル%,CoO 0.3〜 6.5 モ
ル%,Bi23 4.0 重量%未満と決定した。こ
の組成範囲であれば950℃以下の低温で焼結した場合
でも積層型電子部品に必要とされる磁気特性と、回路基
板に実装して使用するに十分な機械的強度とを得ること
ができる。なお、上記目的のために特に好ましい組成範
囲はFe23 45.0〜49.0 モル%,NiO
33.0〜39.0 モル%,CuO 10.0〜
15.0 モル%,ZnO 3.0〜10.0 モ
ル%,CoO 0.3〜 6.4 モル%,Bi2
3 2.0 重量%未満である。所望のインダクタ
ンス値を少ないコイル巻数で得るためには、コアをなす
部材の比透磁率μ’を大きくすればよいが、比透磁率
μ’と磁気損失μ”の間にはクラマース・クローニッヒ
の関係と呼ばれる従属関係があり、前者をむやみに大き
くすると後者が急激な増加を始める周波数が低下してし
まいインダクタンス部品として実用特性が得られない。
この関係は経験的に「スネークの限界」として一般に知
られている。上記の本発明磁性セラミクスの組成範囲
は、もちろんこの関係をふまえて決定されたものであ
り、例えば無線機器の中間周波数のような数〜数10M
Hzの比較的低い周波数範囲を含んで使用されるインダ
クタンス部品を構成するために最適なμ’が15以上,
μ”が5未満の複素透磁率を得るものである。なお、イ
ンダクタンス部品を低損失に構成するために特に好まし
いμ”の値は1以下である。
【0006】本発明の磁気セラミクスは、いずれもFe
イオンの寄与による電気伝導を抑制するためにFe23
が50%より少ない組成からなる。高周波用の磁性セラ
ミクスは、渦電流損失を抑制することが必須であるが、
本発明の磁性セラミクスの組成範囲であれば、1.0×
107Ωm以上の電気抵抗率を得ることができ、実用性
に優れる。しかし、このために全ての酸化物が同時に化
学量論組成を満足することができず、焼結時の雰囲気や
温度によってはNiO,CuO,ZnOの一部が主相の
スピネル相に固溶し切れずに多量に析出してしまう恐れ
がある。磁性セラミクス中にこれらの酸化物が多量に析
出すると電子部品に要求される磁気特性や機械的特性を
満足することができなくなってしまう。これを抑制する
ために、NiO,CuOおよびZnOの含有比がいずれ
もモル比で1.0≦NiO/CuO≦3.95,0.5
≦CuO/ZnO≦10.0,1.0≦NiO/ZnO
≦19.8であることが必要であり、特に望ましくは
2.2≦NiO/CuO≦3.90,1.0≦CuO/
ZnO≦5.0,3.3≦NiO/ZnO≦13.0で
ある。
【0007】上記の磁性材料セラミクスをグリーンシー
トに用いて積層型インダクタを構成するためには、シー
トに形成する導体パターンをコイル状とし、それらを必
要なターン数を構成するように積層配置すればよい。こ
のとき、積層される各シートに形成されたコイル状の導
体パターンどうしは、スルーホール電極を介して電気的
に接続され、さらにその両端はそれぞれ部品の外部接続
用電極と電気的に接続されるよう構成する。積層型トラ
ンスを構成する場合には、積層型インダクタを構成する
場合と同様の方法で複数のコイルを構成し、それらが磁
束を介して相互に結合するように各シートを積層配置す
ればよい。コイル間の電磁気的な結合を密にしてトラン
スとしての変換効率など要求される特性を満足するため
には、例えば一枚のシートに形成する導体パターンを1
ターン未満のコイルとし、それらを互いに他のコイルを
なす導体パターンを形成したシートを挟むように積層配
置することが効果的である。また、各コイルどうしが必
要以上の密結合となるのを避けるため、積層間隔を40
〜160μmとすることが適当である。所要のインダク
タンス部品を構成するのに必要な導体パターンを形成し
たシートを積層し、圧着した後、950℃以下で脱脂焼
結し一体化する。その後、外部回路との接続のための外
部電極を同様の技術で形成し、必要に応じてNi,はん
だ,すずめっき等を施して、積層型インダクタンス部品
を得る。もちろん、上記の技術はインダクタやトランス
を得る場合のみに有効なばかりでなく、これらとキャパ
シタや抵抗として機能する素子などが同一部品内に構成
された複合型の積層型電子部品を得る場合にも有効なも
のである。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の磁性セラミクスは、95
0℃以下の低温で焼結した場合でも、従来材料と同等の
5.0×103kg/m3以上の焼結密度と機械的強度が
得られるため、電気抵抗の小さいAgを導体パターン材
料に用いてプリント基板表面に実装される電子部品とし
て必要な機械的強度を有する積層型電子部品を得ること
ができる。また、数〜数十MHzの比較的低い周波数範
囲を含んで使用されるインダクタンス部品を構成するの
に適当な比透磁率μ’が15以上,磁気損失μ”が5未
満の複素透磁率を得るように磁性セラミクスの組成が決
定されていることにより、数ターンの少ないコイル巻数
で実用的なインダクタンス値と低損失特性の積層インダ
クタンス部品を得ることができる。特に、従来小型化が
遅れていた高周波トランスを構成する場合、複数のコイ
ルを交互に積層配置してコイル間の結合を密にする等の
構成上の工夫とあいまって、回路基板表面への高密度実
装に適する小型低背化を図ることが可能になった。
【0009】(実施例1)表1に示すように、本発明に
係る積層型電子部品用の磁性セラミクス4種類を試作し
て、積層型トランスを作成した。また、従来から巻線型
高周波トランスのコア材として使用している12種類の
磁性セラミクスを比較材料として試作した。これらの材
料の密度はいずれも5.0×103kg/m3以上、電気
抵抗率はいずれも1.0×107Ωm以上である。原料
粉末は高純度のFe23,NiO,CuO,ZnO,C
34およびBi23を用いた。各原料粉末の平均直径
は、Fe23が 0.8μm,Ni0 が 0.6μ
m,CuO が 0.7μm,ZnO が 1.0μ
m,Co34が 1.2μm,Bi23が 2.0μm
である。なお、Co34は(Co23)0.75(Co
O)0.25の混合物であるので全量をCoOに換算し
た場合の値をかっこ内に併記した。これらの原料粉末を
所定量秤量し、乾式振動ミルで1時間混合した後、電気
炉を用いて最高温度800℃で1.5時間仮焼し、炉冷
した後、40メッシュのふるいで解砕した。これをボー
ルミルで湿式混合し、しかる後、所定量の水および分散
剤を添加したものをさらに微粉砕し、粒径0.2〜1.
0μmの原料粉末を得た。これにバインダとしてポリビ
ニルブチラール(PVB)および溶剤(エタノール,ブ
タノール)を加えてスラリを得た。本発明に係る磁性セ
ラミクスの密度は、上記のスラリを造粒し、2000k
gf/cm2の圧力で直径14mm,厚さ5mmの円盤
状にプレス成形し、焼結した試料を用いて水中置換法に
より測定した。また、複素透磁率は、外形8mm,内径
1mm,厚さ3mmの円筒試料を同様に作成して、イン
ピーダンスアナライザを用いて短絡同軸法により測定し
た。いずれも焼結は、本発明に係る積層型部品と同一条
件とし、大気雰囲気の電気炉で昇温150℃/h,90
0℃で1h保持後,降温300度℃/hで行った。比較
材料の密度および複素透磁率の測定方法は本発明材料の
場合と同様であるが、表1に示した比較材料1〜4は最
高温度1050℃で焼結し、比較材料5〜7は最高温度
950℃で焼結した。また、表3に示した比較材料8〜
12は最高温度900度で焼結した。表1に示した磁性
セラミクスの代表的な特性を表2に示す。この表から、
本発明に係る磁性セラミクスは、比較材料と同等の5.
0×103kg/m3以上の密度と、120MHzにおい
て1.0以下の低い磁気損失項μ”を有することが分か
る。
【0010】
【表1】
【0011】
【表2】
【0012】
【表3】
【0013】以下に、表1および表2に示した本発明材
料2を用いて積層型トランスを作成した手順を示す。前
述の磁性材料セラミクスのスラリをドクターブレード法
で厚さ90μmのグリーンシートに形成した。このシー
トにスクリーン印刷で0.2mm幅のコイル導体を形成
した。印刷ペーストにはAg100%のものを使用し
た。各シートに所定の導体パターンを形成した後に、積
層圧着し、チップ部品の形状に切断する。焼結は大気雰
囲気の電気炉中で脱脂に引き続いて行う。昇温は150
℃/hとし、900℃で1時間保持した後、約300℃
/hで降温した。なお、積層厚着したグリーンシートを
脱脂焼結した後にダイシングしてチップ部品を得てもよ
い。トランスの外観は図1に示す通りの3216形状で
ある。等価回路は図3に示すバルーントランスを構成し
ている。構成の具体的な手順は図4に示すように、グリ
ーンシート1に導体をスクリーン印刷により形成して、
コイルを形成する導体11aが形成されている。このコ
イル用導体11aは、その一端が側面まで引き出されて
外部端子接続用電極15aを形成し、他端はスルーホー
ル電極に対応する円形電極16aが形成されている。そ
の上に、グリーンシート2が積層される。このシート2
には、コイル用導体12と1つの独立したスルーホール
電極17aが形成されている。このコイル用導体12
は、両端が側面まで引き出されて外部端子接続用電極1
5b,15cを形成し、約1ターンのコイルを構成して
いる。その上に、グリーンシート3が積層される。この
シート3には、コイル用導体11bが形成されている。
このコイル用導体11bの一端にはスルーホール電極1
7bが、他端は側面まで引き出されて外部端子接続用電
極15dが形成されている。そして、コイル用導体11
aとコイル用導体11bとは、スルーホール電極17
b,17aおよび円形電極16aを介して導通し、1つ
のコイルを構成している。このコイルとコイル用導体1
2によるコイルとからトランスを構成している。その上
に、導体が形成されていなく、ダミー層となるシート4
が積層される。このダミー層は、複数枚のグリーンシー
トで構成した。その上に、グリーンシート5が積層され
る。このシート5には、コイル用導体13aが形成され
ている。このコイル用導体13aは、一端が側面まで引
き出されて、外部端子接続用電極15eを形成し、他端
はスルーホールに対応する円形電極16bが形成されて
いる。その上に、グリーンシート6が積層される。この
シート6には、コイル用導体14と1つの独立したスル
ーホール電極17cが形成されている。このコイル用導
体14は、両端が側面まで引き出されて外部端子接続用
電極15f,15gを形成し、約1ターンのコイルを構
成している。その上に、グリーンシート7が積層され
る。このシート7には、コイル用導体13bが形成され
ている。このコイル用導体13bの一端にはスルーホー
ル電極17dが、他端は側面まで引き出されて外部端子
接続用電極15hが形成されている。そして、コイル用
導体13aとコイル用導体13bとは、スルーホール電
極17d,17c及び円形電極16bを介して導通し、
一つのコイルを構成している。このコイルとコイル用導
体14によるコイルとからトランスを構成している。そ
の上に、グリーンシート8が積層される。このシート8
には、外部端子電極用の導体18a,18b,18c,
18d,18e,18fが形成されている。この積層体
を一体焼結し、外部端子電極19を側面に形成して、一
対のコイルからなるトランスが2個上下に配置された積
層型高周波トランスを構成した。図1で9a,9cがそ
れぞれ一対のコイルからなるトランス部であり、9bが
ダミー層である。このトランスの電気特性を図5および
図6に示す。電気特性の測定はネットワークアナライザ
を用いて行った。図5は挿入損失特性を示す。本発明の
実施例によれば、50MHz〜300MHzの広い周波
数範囲にわたって実用的な特性が得られることが分か
る。図6はこの実施例の2出力間の位相特性を示す。本
発明の実施例によれば、10MHz〜500MHzの広
い周波数帯で位相差がほぼ180度となり、高周波トラ
ンスとして優れた特性であることが分かる。焼結後にお
けるシートの厚さを約80μmとし、ダミー層をはさん
だ導体11bと13aとの間の焼結後における間隔を約
240μmとした。これにより、それぞれのトランスを
構成する一対のコイル間の結合が良好で、かつ上下2個
のトランス間の不要な結合の少ない高周波トランスを得
ることができた。本実施例の構成においては実用的なト
ランス特性を得るために、トランスを構成する一対のコ
イル間の間隔は30〜200μmの範囲が適当であり、
ダミー層をはさんで積層配置されるトランス間の間隔
は、160〜400μmが適当であった。また、積層す
るグリーンシートの厚さは30〜200μmの範囲であ
ることが望ましく、特に好ましくは50〜150μmで
ある。なお、本実施例では、表1に示した本発明材料4
とともに、表3に示した比較材料8〜12も用いて上記積
層トランスを作成し、焼結助剤として添加したBi23
およびV25とAg導体との反応性を確認した。この結
果から、Bi23の添加量の上限は4.0重量%であ
り、V25は実質的に使用できないことが確認された。
【0014】(実施例2)実施例1で用いた本発明材料
2のグリーンシートを用い、同様の方法により別の積層
型トランスを構成した手順を示す。外観および寸法は図
1に示した実施例1と同一であり、等価回路図は図7の
通りである。図8はこの実施例における積層される各シ
ートの様子を示す平面図である。この実施例の第1次コ
イルは、グリーンシート13A,13B,13Cに形成
されたコイル用導体23A,23B,23Cを接続し、
構成される。このコイル用導体23A,23Cの一端は
側面まで引き出されて、それぞれ外部引き出し電極43
A,43Bが形成され、積層後、外部端子接続用電極5
1A,51B(図示せず)に接続される。第2次コイル
は、グリーンシート12A,12B,12C,12Dに
形成されたコイル用導体22A,22B,22C,22
Dを接続し、構成される。同様に第3次コイルは、グリ
ーンシート11A,11B,11C,11Dに形成され
たコイル用導体21A,21B,21C,21Dを接続
し、構成される。このとき、コイル用導体21Aの一端
は側面まで引き出されて、外部引き出し電極41Aが形
成され、他端には円形電極31aが形成される。その上
に配置されるグリーンシート12Aには、円形電極31
aに対応したスルーホール電極31bが形成され、その
上に配置されるグリーンシート13Aにはスルーホール
電極31bに対応したスルーホール電極31cが形成さ
れ、さらにその上に配置されるグリーンシート11Bに
は、スルーホール電極31cに対応したスルーホール電
極31dが形成されて、第3次コイル用のコイル用導体
21Aと21Bが接続される。またそのコイル用導体2
1Bの他端には円形電極31eが形成され、その上に配
置されるグリーンシート12B,13B,11Cに形成
されたスルーホール電極31f,31g,31hを通し
てコイル用導体21Bと21Cが接続される。さらにそ
のコイル用導体21Cの他端には円形電極31iが形成
され、その上に配置されるグリーンシート12C,13
C,11Dに形成されたスルーホール電極31j,31
k,31lを通してコイル用導体21Cと21Dが接続
される。このグリーンシート11Dのコイル用導体21
Dの他端には外部引き出し電極41Bが形成され、積層
後、外部端子接続用電極51E(図示せず)に接続され
る。このようにして、3つのコイルが交互に形成され
る。また、この積層体の上下には、保護用グリーンシー
ト19が配置される。このトランスの挿入損失特性を図
9に示す。測定はネットワークアナライザを用いて行っ
た。本発明の実施例によれば、200MHz〜600M
Hzの広い周波数範囲にわたって約3dBの平坦な周波
数特性が得られ実用的な特性を有することが分かる。
【0015】
【発明の効果】本発明によれば、高透磁率のコアに巻線
した構成によっていた中間周波数回路のように数〜数十
MHzの比較的低周波数で使用するインダクタンス部
品、特に高周波トランスを表面実装に適した小型低背の
積層型部品として構成することができる。また、従来の
巻線型インダクタンス部品に比べて量産性が格段に向上
し、特性の揃った製品を安価に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る一実施例の斜視図である。
【図2】従来の巻線型トランスの斜視図である。
【図3】本発明に係る一実施例のトランスの等価回路図
である。
【図4】本発明に係る一実施例の各グリーンシートの様
子を示す平面図である。
【図5】本発明に係る一実施例の挿入損失特性である。
【図6】本発明に係る一実施例の2出力間の位相特性で
ある。
【図7】本発明に係る別の実施例のトランスの等価回路
図である。
【図8】本発明に係る別の実施例の各グリーンシートの
様子を示す平面図である。
【図9】本発明に係る別の実施例のトランスの挿入損失
特性である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石田 徹 鳥取県鳥取市南栄町33番地12号日立金属 株式会社鳥取工場内 (72)発明者 栗原 光一郎 鳥取県鳥取市南栄町33番地12号日立金属 株式会社磁性材料研究所鳥取分室内 (72)発明者 青柳 淳 鳥取県鳥取市南栄町33番地12号日立金属 株式会社磁性材料研究所鳥取分室内 審査官 平塚 義三 (56)参考文献 特開 平1−101609(JP,A) 特開 平3−93667(JP,A) 特開 平3−218962(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01F 1/34 C01G 49/00 C04B 35/30

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Fe23を 40.0〜49.8 モル
    %,NiO を 20.0〜39.5 モル%,CuO
    を 10.0〜20.0 モル%,ZnO を
    2.0〜20.0 モル%,CoO を 0.3〜
    6.5 モル%,Bi23を 4.0 重量%未満含
    有し、これらのうちNiO,CuO,ZnOの含有比が
    いずれもモル比で1.0≦NiO/CuO≦3.95,
    0.5≦CuO/ZnO≦10.0,1.0≦NiO/
    ZnO≦19.8であることを特徴とする磁性セラミク
    ス。
  2. 【請求項2】 1MHz〜200MHzの周波数範囲に
    おける複素透磁率の実数項が15以上,虚数項が5未満
    で、焼結後の密度が5.0×103kg/m3以上である
    ことを特徴とする請求項1に記載の磁性セラミクス。
  3. 【請求項3】 導体パターンが形成された絶縁性シート
    を積層してなる電子部品であって、積層されるシートの
    うちの一部または全部が、Fe23を 40.0〜4
    9.8 モル%,NiO を 20.0〜39.5 モ
    ル%,CuO を 10.0〜20.0 モル%,Zn
    O を 2.0〜20.0 モル%,CoO を
    0.3〜 6.5 モル%,Bi23を 4.0 重
    量%未満含有し、これらのうちNiO,CuO,ZnO
    の含有比がいずれもモル比で1.0≦NiO/CuO≦
    3.95,0.5≦CuO/ZnO≦10.0,1.0
    ≦NiO/ZnO≦19.8である磁性セラミクスであ
    り、該磁性セラミクスのシートに形成される導体パター
    ンがAgまたはAg−Pd合金であり、それらが部品の
    一部または全部を構成するように積層した後、最高温度
    950℃以下で焼結することにより一体化して得る積層
    型電子部品。
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