JP2960544B2

JP2960544B2 - 補聴器及びその製造方法

Info

Publication number: JP2960544B2
Application number: JP3512130A
Authority: JP
Inventors: エル．，ジュニアウッドフィル，アーネスト
Original assignee: KOMANDEITO SERUSUKYABU HINPU
Current assignee: KOMANDEITO SERUSUKYABU HINPU
Priority date: 1990-08-20
Filing date: 1991-07-15
Publication date: 1999-10-06
Anticipated expiration: 2014-10-06
Also published as: US5321757A; EP0544687A1; JPH05509210A; AU8203991A; WO1992003894A1; DE69112407D1; CA2087263A1; AU647510B2; DE69112407T2; CA2087263C; EP0544687B1; DK0544687T3

Description

【発明の詳細な説明】発明の分野本発明は、電子部品のコアと室温硬化性型材からなる
耳型とを有する補聴器、及び、外耳道内で補聴器を現場
成形することにより補聴器を製造する方法に関する。

発明の背景近年、音を増幅して耳に入れることを望む聴力障害者
等のための補聴器は、エレクトロニクスの進歩の恩恵を
受けている。

過去においては、補聴器は装着者の耳の後部（behind
the ear（BTE））、ポケット内、又はベルトに設置さ
れた音響補正ユニットにワイヤによって接続されたレシ
ーバを備えていた。最近では、エレクトロニクスは非常
に小さくなったので、補聴器を耳の中に（in the ear
（ITE））設置することが可能になった。

耳翼は人間の聴覚のための自然の音響収集器官なの
で、耳翼及び外耳道内にレシーバ、増幅器、伝達器が存
在していることは、個人にとって音響的に有利なことが
判明している。更に、耳翼内にITE補聴器を入れること
は、従来の補聴器構造に比して美容的効果が優れている
と言える。

ITE補聴器は二つの方式で製造される。すなわち、
（１）個人の耳翼及び／又は外耳道に適合するように注
文成形する方式と、（２）大多数の人々の耳翼及び／外
耳道に大体適合するように設計されたモジュール化され
た一連の外耳道補聴器を用意しておくストック方式であ
る。

注文成形によるITE補聴器は、通常、個人が専門店を
一回以***れて行う一連の精巧な型取りや再型取り段階
によって作られる。耳の雄型が個人の耳翼と外耳道から
作成され、これを使用して専門店から遠隔の地にある補
聴器のメーカーで雌型が作られる。この雌型によって耳
翼と外気道の形が作られ、次いで研磨工程を経てその中
にエレクトロニクス部品が組み込まれる。組み立てられ
たITE補聴器は専門店に戻されて個人の耳に適合するよ
うに調整される。この調整工程は、個人に快適なフィッ
ト感を保証するため、普通、数回繰り返されることが必
要である。硬いITE補聴器の場合には、これらの型調整
作業を行う度に音響的適合性は益々不正確になってしま
うう。型取りと適合作業を受けた人々の中には、音響的
又は構造的な不快のためにこの補聴器を使用しない者も
いる。

ストック方式のITE補聴器によれば、個人が専門店を
訪ねる回数を減らすことはできるが、個人の耳翼と外耳
道に適合したITE補聴器を提供することができない。従
って、音響的適合性と快適性の両者とも損なわれる。

他にも補聴器を形成する方法を提供する試みが行われ
ている。

例えば、米国特許3,097,059号（Hoffman）には、ポケ
ット式、ヒップ式、又はBTE式の補聴器用の一般的レシ
ーバリングを平らな外面に設置した柔軟かつ圧延可能な
アクリル樹脂の自在成型物を、耳翼と外耳道内で形成す
る方法が開示されている。また、米国特許3,440,314号
（Frisch）には、外耳道内に置かれたチューブの周囲に
形成された室温硬化性シリコンゴムを使用してBTE補聴
器用の注文成形耳プラグを形成する方法が開示されてい
る。

米国特許4,091,067号（Kramer他）、及びVorobaの
“補聴器具"1984年，第35巻，第１号の12〜16頁には、I
TE補聴器の形成方法が開示されている。Kramer他におい
ては、小径のコアの周囲にシリコンポリマーが形成さ
れ、次いで耳の中に押し込まれて耳翼と外耳道の形状に
順応した本体が形成される。その後、孔のあいた部品が
該本体の外面に埋め込まれ、この複合体が硬化処理され
た後にコアが除去され、レシーバを通って延在する音響
伝達路が前記孔あき部材と外耳道との間に残される。一
実施例によれば、音響伝達路に接続された小型スピーカ
になるべき孔あき部材が開示されている。さもなけれ
ば、孔あき部材内に伝達用スピーカが挿入される。

Vorobaの著書には、外耳道に注入された柔軟なプラス
チック材料を用い、その中に適宜な大きさのマンドレル
を圧入してシェルを製造することが述べられている。マ
ドレンルによって形成された空洞には面プレートが弾発
的に嵌め込まれ、形成されるシャルの端面をカバーする
ように構成されている。

小型エレクトロニクス回路、小型エレクトロニクスマ
イクロフォン、及びレシーバトランスジューサの発達に
伴って、補聴器に使用される音響特性を決定するのに必
要な多くの調整作業の回数を減少させることが可能にな
った。例えば、ミネソタ・マイニング・アンド・マニュ
ファクチャリング・カンパニー（3M）は、補聴器内にエ
レクトロニクスを使用して、電子的なプログラムによっ
て個人の必要に応じて聞き取り機能を改善する“Memory
Mate"のブランド名の補聴器を市販している。

注文成形補聴器を準備するための煩わしい工程を合理
化することは、補聴器の専門店、音響学者、患者にとっ
て好ましいことである。一回だけの来店で適合調整が可
能な完全な注文成形補聴器は、補聴器を必要とするユー
ザーに最大の利便を与え、音響的に優れた装着の快適性
をもたらす補聴器の耳型を完成するための時間とコスト
を縮減し、専門店への一回の訪問のみで販売の手続きが
終了する。

これらの開発の一方で、ごく最近のITE補聴器の製造
方においては、雄型及び雌型の製作技術や注入成形工程
の技術が益々改善されている。

例えば、再発行特許33,017号（米国特許4,617,429;Be
llafiore）は、雄型及び雌型を作るのに歯科用材料を使
用し、エレクトロニクス部品を被覆しプリセットするの
にシリコン材料を利用している。このエレクトロニクス
部品は雄型の空洞内に入れられ、アクリル材料がそこに
充填されて最終のITE補聴器が成形される。

米国特許4,834,927号（Birkholz他）においては、オ
ーバーシェルと雄型を作る際に耳の中に挿入されるキャ
ップとを有するダイによって、製造工場で組み込まれる
電気部品のための空洞が形成される。このダイ／オーバ
ーシェル／キャップの組立体を除去することにより、一
定の寸法を有する空洞が形成され、この中にエレクトロ
ニクスITEモジュールが強固に且つ音響的に密接に固定
される。

一方、米国特許4,871,502号（LeBisch他）には、耳の
中の入れられた変形可能な包袋の内側のダイを使用して
該ダイと包袋の間に材料を流し込み、耳の中で直接に耳
用プラスチックを成形することが開示される。この耳用
プラスチックが硬化した後にダイと包袋は取り除かれ、
ダイによって作られた空洞内に補聴器のモジュールが挿
入される。

米国特許4,860,362号（Tweedle）には、非平坦面プレ
ートを有する開放端式ITE補聴器シェルが開示される。
米国特許4,870,688号（Voroba他）には、エレクトロニ
クス部品が弾発的に嵌め込まれた標準構造のプレハブ式
耳シェル組立体が開示される。このプレハブ式耳シェル
組立体は、空洞を有する柔軟な外壁を備えた中空の丈夫
なシェルであり、補聴器を個人に適合するように調製す
る際に、この空洞内で種々のエレクトロニクス部品がテ
ストされる。英国特許出願2 203 379号（Painter）で
は、耳の中にその表面に順応するように可撓性の薄い膜
を挿入し、プラスチック材料を流し込んで耳の表面の形
状に合った成形を行うための袋として機能させている。
硬化して耳から除去された後でこの膜は捨てられ、耳型
の中心に形成された空洞内にエレクトロニクスモジュー
ルが挿入される。

外耳道内で成形されるプレハブ式補聴器は、すでに公
知である。米国特許4,712,245号（Lyregaard）は、調整
不可能な補聴器ケースの周囲に包袋として取付けられ、
かつケース両端にシールされる薄い弾発層の使用を開示
する。包袋とケースとの間の空間には、薄い隔壁によっ
て分離された二成分硬化式耳型材料が充填され、この隔
壁を手の圧力で破ると硬化が始まるようになっている。
適当なエレクトロニクスが決まると、ストックされてい
る中から、包袋の中に型材料の入った当該補聴器が選ば
れる。装着者は隔壁を破って装置を耳道内に挿入し、包
袋内で型材料を成形し硬化させる。

しかし、二成分式の型材料をケースと包袋との間の限
定された空間内で混合しても、耳翼及び外耳道の適正な
型取りはできない。Lyregaardは、最初の調整は失敗す
るかも知れないが、新しい材料で同じ工程を用いて引き
続いて調整を行うことは容易であると主張している。Ly
regaardは、渦巻き状の耳翼及び外耳道に順応させるた
めに型材料の量を限定して、これを可撓性のないエレク
トロニクス部品を含むケースとそのケースを被覆してい
る包袋との間に流し込み、エレクトロニクスモジュール
を信頼性の下に組み立てられるようにしている。

発明の概要本発明は、個人の耳の形状に合わせた注文成形の補聴
器を現場で形成する方法を提供するものである。この方
法は、外耳道内に、外耳道の形状に順応して調節可能な
エレクトロニクス要素の少なくとも一つの可撓性端部を
挿入し、そのエレクトロニクス要素と外耳道の道組織と
の間に開放空間を形成し、室温で硬化する耳型材料をこ
の開放空間内に注入して外耳道の形状に順応させ、かつ
耳型材料を開放空間内で硬化させて、注文成形補聴器を
形成する各段階を有する。

本発明はさらに、上記の現場成形法によって形成され
る注文成形補聴器を提供する。さらに本発明は、調節可
能な長さを有しかつ耳の外耳道内で順応して調節可能な
プログラム可能なエレクトロニクス要素の、少なくとも
一部分の周囲で硬化する室温硬化性シリコンポリマーの
耳型を備える注文成形補聴器を提供する。この補聴器で
は、プログラム可能なエレクトロニクス要素は、エレク
トロニクスコアと可撓性末端部とを含み、この末端部は
少なくとも一本の可撓性ワイヤでコアと物理的かつ電気
的に接続されたレシーバを収容し、ワイヤはコアとレシ
ーバとの間の距離を規定する長さを有する。さらに、プ
ログラム可能なエレクトロニクス要素は、可撓性ワイヤ
を湾曲させて可撓性ワイヤの長さの範囲でコアとレシー
バとの間の距離を減少させることによって長さ調節機能
であり、以て、耳型の硬化前に、エレクトロニクス要素
と外耳道の組織との接触を低減する。

本発明はまた、エレクトロニクス要素の末端を成形材
料ブロック内に設置して、外耳道の鼓膜を保護するとと
もに、外耳道組織へのエレクトロニクス要素の接触を最
小限にする方法を提供する。

本発明を説明する上で、“外耳道”とは耳翼内で内側
に向かって延びて鼓膜に達する開放空間、又は補聴器が
現場形成されるその開放空間の任意の部分を意味する。

本発明の特徴は、外耳道の形状に順応して適合可能で
かつエレクトロニクス要素の周囲で硬化する室温硬化式
の型材料を使用してその場で注文成形補聴器を形成する
ことにより、補聴器構造の複雑性を低減することにあ
る。

本発明の特徴は、補聴器の形成の際にエレクトロニク
ス要素が外耳道内に挿入されることにある。

本発明の利点は、室温で硬化する型材料を使用して現
場で形成される注文成形補聴器が、外耳道の独特な形状
に順応して硬化し、個々のユーザーに音響的にも快適性
の面でもよく適合して受入れられることにある。

本発明の利点は、耳型の局部をトリミングしかつエレ
クトロニクス要素の性能を調節することによって、現場
で形成される補聴器の音響適合性と快適性が最適なもの
となることにある。

本発明の範囲に関する更に詳細な理解及びその実施例
を、以下に説明する。

図面の簡単な説明図１は、注文成形式ITE補聴器の構造を示す説明図、図２は、図１のITE補聴器の側面図、図３は、可撓性末端部を有する順応式エレクトロニク
ス要素の側面図である。

本発明の実施例補聴器の製造方法聴力テストに基づいて、個々の患者の外耳道に必要な
エレクトロニクス要素10が選択される。図１及び図３に
示されるように、エレクトロニクス要素10は、エレクト
ロニクスコア12から端部11に至る途中に、レシーバ15を
備えている。レシーバ15は、極めて可撓性に富むワイヤ
13でコア12に接続され、端部11に向かって延びる音響伝
達チューブ16を備える。面プレート14の孔18を通り、エ
レクトロニクスコア12に沿って端部11に向かって、可撓
性で調節可能な通気チューブ17が延在する。

可撓性ワイヤ13、レシーバ15、可撓性音響伝達チュー
ブ16、及び可燃性通気チューブ17を含むエレクトロニク
ス要素10の少なくとも端部11は、外耳道内に挿入され
る。コア12を耳翼よりも小さくして、エレクトロニクス
要素10全体を外耳道内に挿入することが望ましい。

ワイヤ13及びチューブ17の可撓性により、エレクトロ
ニクス要素10は個人の外耳道の独特な形状に順応するこ
とができ、これによって外耳道組織との接触を少なくす
ることができる。

耳内にモジュール10の端部11を挿入する前に、ブロッ
ク20を入れて鼓膜に接触させ、このデリケートな耳の部
分にチューブ16,17が触れないように保護すると共に、
外耳道内に音の通路となる空間を形成することが望まし
い。ブロック20は、綿や、ミネソタ州のミネアポリスに
あるEarmold Design Inc.から市販されている“ODOBLOC
K（商標）”スポンジ等の特注品に代表される柔軟な材
料である。

典型的には耳又は歯用型材料の供給に使用される混合
装置であるモールド材料注入装置30が、面プレート14の
下の耳翼及び外耳道に隣接して設けられ、装着者の外耳
道内に挿入される。耳型材料32は、この注入装置30によ
って混合され、外耳道の道組織とエレクトロニクス要素
10とを間に注入される。面プレート14に図示しない第２
の孔が設けられ、外耳道に注入される耳型材料32の供給
口として使用されることもある。

耳型材料32は、外耳道の道組織と面プレート14の下方
のエレクトロニクス要素10との開放空間に流れ込んでこ
れを充填し、ワイヤ13、レシーバ15、音響伝達チューブ
16、及び通気チューブ17を取り囲む。チューブ16,17は
可撓性を有し、ブロック20と接触しているので、ワイヤ
13、レシーバ15、及びチューブ16,17が外耳道の道組織
へ接触することが避けられる。

必要に応じて、外耳道内で通気チューブ17の長さを調
節したりワイヤ13を丸く湾曲させたりして、外耳道の道
組織との接触を避けることが望ましい。このようにして
型材料は、ワイヤ13、レシーバ15、及び16,17を取り囲
んで、エレクトロニクス要素を外耳道の独特な形状に順
応させ、充分な型材料が装着者個人の独特な外耳道内に
充填されて補聴器として適合するようになる。

耳型材料32は室温又は人の体温で硬化する。耳型を作
るのとほぼ同じ時間の約10分で型材料32が充分に硬化し
た後、個人の形状に合ったこの注文成形補聴器40は耳か
ら取り外され、ブロック20が除去される。

図２に示すように、完成された注文成形補聴器40は必
要に応じて最終工程にかけるために耳から取り外され
る。面プレート14は耳型32のサイズに合わせてトリミン
グされ、かつ、耳型32は研磨されて余分な部分を除去さ
れ、補聴器40の美観が改善される。細かい砥粒の研磨デ
ィスクやグラインダチップは、面プレート14の硬いプラ
スチック材料にも可撓性のある耳型32にも効果的に使用
可能である。

更に、補聴器40が耳から取り外された後、補聴器40の
外耳道部分42がナイフ等の鋭い刃によって注意深く選択
された長さにトリミングされ、可撓性の音響伝達チュー
ブ16用の開口47、及び可撓性で調節可能な通気チューブ
17用の開口48が形成される。通気チューブ17も、面プレ
ート14の外面の孔18の個所で鋭い刃を用いてトリミング
する必要がある。

補聴器40の外耳道部分42の除去される量は、調節され
る聴力損失に関連する。適当な外耳道部分42の長さは、
度重なる個人の実際の聞き取り機能の測定に基づいて実
験的に決められるか、あるいは経験的な又はメーカーの
推薦による所定の測定によって決定される。

エレクトロニクス要素10も最終の適合工程において調
節でき、聴力損失が最も適正に回復するように調整され
る。エレクトロニクス要素10は、最適化工程を実施でき
るようにプログラム可能な能力を有する。このようにし
て、この補聴器は耳翼と外耳道に適合するように個人に
合わせて調節され、聴力損失が補正されるように調整さ
れる。

エレクトロニクス要素図３に示すように、本発明の補聴器40に有用なエレク
トロニクス要素10のコア12は、シリコン接着剤等の接着
剤によって面プレート14に固定される。このコアは、マ
イクロフォン41、電子式アンプ及びフィルタ回路43、少
なくとも１つの制御スイッチ44、電池収納室の蓋45、及
びプログラムインタフェース又は電池46を備える。スイ
ッチ44及び蓋45は面プレート14から突出する。レシーバ
15は、非常に可撓性に富むワイヤ13によって物理的及び
電気的にコア12に接続されている。端部11側のレシーバ
15の末端には、レシーバ15からの音を外耳道に伝える音
響伝達チューブ16がある。ワイヤ13の長さ（Ｌ）は約１
〜3cmであり、レシーバ15、チューブ16、及び撓曲した
チューブ17を位置決めできるように湾曲可能である。そ
れにより、エレクトロニクス要素10を配置しない外耳道
領域内に型材料32が注入される前に、これらの部品が外
耳道の道組織に接触しないようになっている。レシーバ
15とエレクトロニクス要素10の残り部分との位置決め工
程において、外耳道内での可撓性ワイヤ13の湾曲によっ
てレシーバ15とコア10との間の距離（Ｌ）は減少し、場
合によってはゼロになる。長さ（Ｌ）の減少量は、個々
の外耳道の寸法、長さ、形状によって異なる。

好ましいエレクトロニクス要素10は、ミネソタ州セン
トポールの3M社で製造販売されている“memory Mate
（商標）”補聴器のエレクトロニクス要素である。この
補聴器のエレクトロニクス及び作用は米国特許4,425,48
1号（Mansgold他）に記載されている。このエレクトロ
ニクス要素は、補聴器40の合わせ作業を行う専門医師が
聴力測定グラフを記録し分析した後に、個人の聞き取り
能力の特別な必要性に従ってプログラム可能な点で好ま
しい。このプログラム可能なエレクトロニクス要素10に
よれば、従来の型形成システムによって作られた補聴器
の場合のような、空洞内に数個のエレクトロニクス要素
を挿入する必要性が無くなる。プログラム可能な１個の
エレクトロニクス要素10と現場成形可能な１個の注文成
形補聴器40とによって、個人が補聴器の適合処理のため
に１回来店するだけですむようになる。

また、エレクトロニクス要素10の全体を保護するため
に、Dow Chemical Co.から“Silicone Adhesive"のブラ
ンド名で市販されているシリコン接着剤等の保護材料か
らなる可撓性コーティング49が、面プレート14の下のコ
ア12、ワイヤ13、レシーバ15、音響伝達チューブ16、及
び通気チューブ17の各表面に、エレクトロニクス要素10
の製造の際に付与される。この可撓性コーティング49
は、これらの部品10,13,15,16,17を、輸送、荷扱い、及
び補聴器製造の際に保護する。このコーティングは、型
材料32をこれらの部品に対して均等に接着する作用も果
たす。

外耳道と外気との通気は、補聴器40を適正に機能させ
るために好ましい。通気チューブ17は鼓膜の近傍から外
気までの音の通路を提供し、不愉快な圧力や外耳道の閉
塞感覚やレシーバ15の音響歪み等を防止する。この大気
の流通を行うために、通気チューブ17はエレクトロニク
ス要素10と関連して位置決めされる。このチューブ17の
末端はレシーバチューブの開放端の近くに位置し、音響
伝達チューブ16に平行に固定され、型材料32が硬化した
後に必要に応じてトリミングされて開口48が形成され
る。

通気チューブ17は面プレート14の孔18を通じて延在
し、面プレート14に対して自由に動くことができる。ワ
イヤ13、レシーバ15、及びチューブ16,17は、外耳道の
道組織に接触しないように外耳道内に設置されている
が、チューブ17のもつれを防止し鼓膜から大気までの開
放通路が形成されるように、通気チューブ17の余長部分
が面プレート14を通じて外耳道から引き出される。

耳型材料注入装置30からの良好な流動性及び供給特性を有する
室温硬化性の歯耳型材料は、本発明の耳型材料として適
している。二成分式の室温硬化性シリコンポリマーが望
ましい。現在好ましい耳型材料32は、ミネソタ州セント
ポールの3M社から市販されている二成分歯型材料“Impr
int（商標）"No.9410Hである。この3Mブランド“Imprin
t"No.9410H歯型材料は、注入装置30から外耳道内へ良好
な流動性を示し、エレクトロニクス要素10と外耳道の組
織との間の領域に形状に順応し、かつエレクトロニクス
要素10の各部品に実質的に収縮することなく付着する点
で好ましい。

耳型材料32は、静止式混合チップと二成分耳型材料を
含有した二成分混合カートリッジとを有する3M社の“Ex
press（商標）”ディスペンサを利用して、外耳道内に
注入されることが望しい。このディスペンサは、ミネソ
タ州セントポールの3M社の歯科用製品部門から商品No.7
308として市販されている。静止式の混合カートリッジ
及び混合チップについては、米国特許4,538,920号に述
べられている。このディスペンサ、カートリッジ、及び
静止式混合チップによって、外耳道内への注入時に充分
な混合がなされ、乱雑な取扱い、不正確な測定、不完全
な混合が避けられる。二成分式の室温硬化性型材料は、
外耳道内の聴管部分に注入される直前に混合され、補聴
器40の聴管部分42内でうまく硬化してその形状に順応す
る。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献特開昭52−81990（ＪＰ，Ａ) 実開平２−101697（ＪＰ，Ｕ) 米国特許4870688（ＵＳ，Ａ) 英国公開2203379（ＧＢ，Ａ) 英国特許969734（ＧＢ，Ｂ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) H04R 25/00

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】外耳道内に、該外耳道の輪郭に順応して調
節可能なエレクトロニクス要素（10）の少なくとも可撓
性端部（11）を挿入して、該エレクトロニクス要素と外
耳道の道組織との間に開放空間を形成し、室温硬化性の耳型材料（32）を前記開放空間内に注入し
て外耳道の形状に適合させ、前記耳型材料（32）を前記開放空間内で硬化させて、注
文成形補聴器（40）を形成、する各段階を含む、耳の外耳道内でその場で注文成形補
聴器（40）を形成する方法。
【請求項２】前記挿入段階の前に、外耳道内に成形材料
ブロック（20）を設置して前記可撓性端部（11）に接触
させる段階をさらに含む請求項１に記載の方法。
【請求項３】前記注入段階によって、前記耳型材料（3
2）が前記開放空間内に流入して、該耳型材料の硬化前
に前記エレクトロニクス要素の周囲を取り囲む請求項２
に記載の方法。
【請求項４】前記エレクトロニクス要素（10）が、その
末端部（11）に、可撓性で調節可能な通気チューブ（1
7）と、延長された可撓性の音響伝達チューブ（16）を
有するレシーバに接続された少なくとも一つの可撓性ワ
イヤ（13）とを備え、かつ、前記挿入段階と前記注入段階との間に、前記通気チュー
ブ（17）の長さを調節し、外耳道内で前記可撓性ワイヤ
（13）を曲げて、外耳道の道組織との接触を少なくする
段階をさらに有する請求項２に記載の方法。
【請求項５】硬化後に、耳から前記補聴器（40）を取り
出し、前記成形材料ブロック（20）を外し、前記エレク
トロニクス要素（10）の末端部（11）近傍で該補聴器
（40）をトリミングして該末端部（11）で前記通気チュ
ーブ（17）及び前記音響伝達チューブ（16）を開放する
各段階をさらに有する請求項４に記載の方法。
【請求項６】前記挿入段階の前に、前記エレクトロニク
ス要素（10）を保護コーティング（49）によって被覆す
る段階をさらに有する請求項１に記載の方法。
【請求項７】前記エレクトロニクス要素（10）が調節可
能な電子的機能を有し、トリミング段階の後に該エレク
トロニクス要素の電子特性を調整する段階をさらに有す
る請求項５に記載の方法。
【請求項８】前記調節可能な電子的機能がプログラム可
能であり、前記調節段階がエレクトロニクス部品のプロ
グラミングを含む請求項７に記載の方法。
【請求項９】調節可能な長さを有しかつ耳の外耳道内で
順応して調節可能なプログラム可能なエレクトロニクス
要素（10）の、少なくとも一部分の周囲で硬化する室温
硬化性シリコンポリマーの耳型（32）を備え、前記プロ
グラム可能なエレクトロニクス要素（10）は、エレクト
ロニクスコア（12）と可撓性末端部（11）とを含み、該
末端部は少なくとも一本の可撓性ワイヤ（13）で該コア
と物理的かつ電気的に接続されたレシーバ（15）を収容
し、該ワイヤは該コアと該レシーバとの間の距離を規定
する長さ（Ｌ）を有し、さらに、前記プログラム可能な
エレクトロニクス要素は、前記可撓性ワイヤを湾曲させ
て該可撓性ワイヤの長さの範囲で前記コアと前記レシー
バとの間の距離を減少させることによって長さ調節可能
であり、以て、耳型の硬化前に、該エレクトロニクス要
素と外耳道の組織との接触を低減するように構成され
る、注文成形補聴器。
【請求項１０】前記補聴器（40）が、該補聴器（40）の
末端部（11）から該補聴器（40）の面プレート（14）ま
で延在する通気チューブ（17）をさらに備える請求項９
に記載の注文成形補聴器。