JP2959208B2 - 情報信号記録ディスク - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、光ディスクや光磁気デ
ィスク等の如く所望の情報信号が記録される情報信号記
録ディスクに関し、特に磁気吸引力を利用してディスク
回転駆動装置にチャッキングするようにしたものに関す
る。

【０００２】

【従来の技術】従来、光ディスクや光磁気ディスクの如
く所望の情報信号が記録される情報信号記録用のディス
クが提案されている。この種のディスクにあっては、情
報信号の高密度記録が可能であって、極めて小径のもの
が提案されている。例えば、光磁気ディスクにあって
は、直径を６４ｍｍ以下となす小径のものが提案されて
いる。このように小径であって、高密度記録が可能とな
された光磁気ディスクは、ディスク回転駆動装置に装着
されて高速で回転操作される。そして、高速で回転操作
された状態で、光磁気ディスクの一主面に形成された信
号記録層に設けられた微細な記録トラックに、光ピック
アップから出射される光ビームを照射するとともに、磁
気ヘッドによって外部磁界を印加することによって所望
の情報信号の記録が行われる。

【０００３】このように高速で回転操作されながら微細
な記録トラックに光ビームを正確に照射するためには、
光磁気ディスクは、ディスク回転駆動装置のディスクテ
ーブルに確実に一体化されるとともに上記ディスクテー
ブルの軸心に回転中心を高精度に位置決めして装着され
る必要がある。

【０００４】ところで、光磁気ディスクをディスクテー
ブルに確実に一体化し高精度に位置決めして装着するた
め、上記光磁気ディスク側に配設された磁性材料からな
る金属板等の磁気吸引用の磁性板をディスクテーブル側
に配設したマグネットで吸引し、上記光磁気ディスクを
ディスクテーブル上にチャッキングするようにしたディ
スク装着方式が提案されている。

【０００５】このマグネットの吸引力を利用したディス
クチャッキング方式に用いられる光磁気ディスク１００
は、図７に示すように、透明なポリカーボネート樹脂等
の合成樹脂を円盤状に成形して形成されたディスク基板
１０１を備えている。このディスク基板１０１の一方の
主面１０１ａ側には、所望の情報信号が記録される情報
信号記録層が被着形成されている。そして、上記ディス
ク基板１０１は、情報信号記録層が被着形成される一方
の主面１０１ａと対向する他方の主面１０１ｂを情報信
号の書込み読出し面となし、この書込み読出し面側から
上記信号記録層に光ビームを照射することによって情報
信号の記録再生が行われる。

【０００６】また、上記ディスク基板１０１の中央部に
は、図７に示すように、ディスク回転駆動装置側に配設
されるセンタリング部材が係合するセンター穴１０２が
穿設されている。さらに、上記ディスク基板１０１の一
方の主面１０１ａ側の中央部には、上記センター穴１０
２を閉塞するように磁性板である金属板１０３が配設さ
れている。この金属板１０３は、ディスク基板１０１の
一方の主面１０１ａ側にセンター穴１０２を囲んで形成
された金属板収納凹部１０４内に収納するように配設さ
れ、両面接着テープや接着剤１０５等を用いて上記ディ
スク基板１０１に接合して取付けられている。

【０００７】このように、接着剤１０５を用いて金属板
１０３をディスク基板１０１に取付けた光磁気ディスク
１００にあっては、ディスク回転駆動装置のディスクテ
ーブルに対する装脱を繰り返すことにより、上記金属板
１０３は容易にディスク基板１０１から剥離してしまう
虞れがある。すなわち、ディスクテーブルに対する装脱
時の負荷が上記金属板１０３のディスク基板１０１への
接合部分に加わり、接着剤１０５の劣下を生じさせるた
めである。

【０００８】このような接着剤を用いて金属板を取付け
ることから生ずる問題点を解消するため、本願出願人
は、接着剤を用いることなく上記金属板をディスク基板
に取付けるようにした光磁気ディスクを提案している。
この光磁気ディスク２００は、図８に示すように、透明
なポリカーボネート樹脂等の合成樹脂からなるディスク
基板２０１の情報信号記録層が被着形成される一方の主
面２０１ａにセンター穴２０２を囲んで金属板２０３が
収納される如く配設される金属板収納凹部２０４を形成
するとともに、この金属板収納凹部２０４の外周縁側に
金属板２０３のカシメ用の凸部２０５を突設する。この
凸部２０５は、金属板収納凹部２０４の外周縁側に等間
隔で複数設けられる。

【０００９】そして、上記金属板収納凹部２０４に金属
板２０３を収納配設した後、上記凸部２０５に熱若しく
は超音波を印加し、図９に示すように、これら凸部２０
５を金属板収納凹部２０４側にカシメることにより、こ
のカシメられた凸部２０５の先端部２０５ａによって上
記金属板２０３を上記金属板収納凹部２０４内に支持し
てディスク基板２０１に取付けるようにしたものであ
る。

【００１０】このようにディスク基板２０１と一体に形
成された凸部２０５の先端部２０５ａによって金属板２
０３を支持して取付けるようにした光磁気ディスク２０
０にあっては、上記金属板２０３は強固にディスク基板
２０１に支持されてなるので、ディスク回転駆動装置の
ディスクテーブルに対する装脱を繰り返しても、剥離用
を生ずることがなく確実にディスク基板２０１に取付け
られた状態を維持することができる。

【００１１】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上述したよう
にディスク基板２０１に金属板２０３の支持用の凸部２
０５を形成するためには、上記ディスク基板２０１を成
形する金型の構造が複雑となり、金型の加工が困難とな
る。

【００１２】また、凸部２０５を金属板収納凹部２０４
の外周縁側に断続的に形成した場合には、ディスク基板
２０１を成形する際、上記凸部２０５が成形される部分
で溶融された合成樹脂の流れが均等でなくなり、さらに
は合成樹脂の硬化時間にズレが生ずるなどし、いわゆる
ウエルドラインを発生させ、均一に硬化されたディスク
基板２０１を成形することができなる虞れがある。ディ
スク基板２０１が均一に硬化されないと、ディスク基板
２０１内に内部応力が残存し、上記ディスク基板２０１
の光学特性を劣下させてしまう。特に、ディスク基板２
０１に複屈折を発生させ、光磁気ディスク２００として
構成したとき、情報信号の記録再生特性の劣下を引き起
こしてしまう。

【００１３】上述したように金属板支持用の凸部を断続
的に形成することにより発生る問題点を解消するため、
金属板収納凹部の外周縁側に一連のリング状をなす凸部
を形成するようにしたディスク基板が考えられる。しか
し、一連のリング状をなす凸部を均一にカシメることは
極めて困難であり、実現性に乏しいものである。また、
一連のリング状をなす凸部の一部を部分的にカシメるよ
うにすることも考えられるが、金属板をディスク基板に
対し支持させた後もカシメられなかった部分が突状に残
ってしまう。そのため、上記突状の部分だけディスク基
板自体の厚さが厚くなり、このディスク基板を用いて構
成した光磁気ディスクも厚くなる。そして、この光磁気
ディスクを収納するディスクカートリッジの設計が困難
となる。すなわち、ディスクカートリッジは、汎用性を
もって利用されることを可能となすため、その厚さが一
定のものに規定されるためである。

【００１４】そこで、本発明は、ディスク基板を成形す
る金型の加工を容易となし、ディスク基板の成形が容易
であって、成形後のディスク基板の光学特性を劣下を防
止でき、複屈折等を生じさせることのない情報信号記録
ディスクを提供することを目的に提案されたものであ
る。

【００１５】

【課題を解決するための手段】上述したような課題を解
決し、上記目的を達成するため、本発明に係る情報信号
記録ディスクは、センター穴が穿設されるとともに一方
の主面側に情報信号記録層が形成された合成樹脂からな
るディスク基板と、上記センター穴を閉塞して上記ディ
スク基板の一方の主面側に配設される磁性板とを備え、
上記ディスク基板の一方の主面側に上記センター穴を囲
んで上記磁性板が配設される磁性板収納凹部を形成する
とともに、上記磁性板収納凹部の周縁の少なくとも一部
を熱変形させることによって、上記磁性板収納凹部に配
設された磁性板を上記ディスク基板に保持するようにし
たものである。

【００１６】

【作用】本発明に係る情報信号記録ディスクは、ディス
ク基板に形成した磁性板収納凹部に磁性材料により形成
された金属板の如き磁性板を収納し、上記磁性板収納凹
部の周縁を熱変形させることによって、上記磁性板のデ
ィスク基板への取付けが行われる。上記磁性板収納凹部
の周縁の熱変形には、例えば超音波スエージング法が用
いられる。

【００１７】

【実施例】以下、本発明の具体的な実施例を図面を参照
しながら説明する。本発明が適用される光磁気ディスク
１は、図１に示すように、ポリカーボネイト樹脂等の合
成樹脂を円盤状に形成したディスク基板２を備えてい
る。このディスク基板２の一方の主面２ａ側には、所望
の情報信号が記録される情報信号記録層が被着形成され
ている。そして、上記ディスク基板２は、情報信号記録
層が被着形成される一方の主面２ａと対向する他方の主
面２ｂを情報信号の書込み読出し面となし、この書込み
読出し面側から上記信号記録層に光ビームを照射するこ
とによって情報信号の記録再生が行われる。なお、この
ディスク基板２は、１．２ｍｍ程度の厚さＴをもって形
成されている。

【００１８】そして、上ディスク基板２の中央部には、
図１及び図２に示すように、記録再生装置内に配設され
るディスク回転駆動装置を構成するディスクテーブルの
中心部に配設されたセンタリング部材が係合するセンタ
ー穴３が穿設されている。このセンター穴３は、ディス
ク基板２を貫通して穿設され、信号記録層に同心円状又
は螺旋状に形成される記録トラックの曲率中心に中心を
一致させるように形成されている。

【００１９】また、上記ディスク基板２の他方の主面２
ｂ側の中央部には、図２に示すように、上記センター穴
３を囲んで、円環状の膨出部４が一体に形成されてい
る。この膨出部４は、薄いディスク基板２に穿設される
センター穴３の深さを深くなすことによって、この光磁
気ディスク１が装着されるディスクテーブル側に配設さ
れるセンタリング部材の上記センター穴３に対する突出
量を大きくなし、上記光磁気ディスク１の回転中心を上
記ディスクテーブルの軸心に一致させて装着させるセン
タリング操作を確実に行わせるように機能するものであ
る。なお、上記膨出部４は、少なくともディスク基板２
の内周側の信号記録層が形成されない非信号記録領域内
において形成され、ディスク基板２の厚さＴに略等しい
突出量をもって突出形成されている。従って、ディスク
基板２の膨出部４が形成された部分は、基板本体部に比
し２倍の厚さとなされている。

【００２０】そして、上記ディスク基板２の一方の主面
２ａ側の中央部には、センター穴３を囲んで磁性板であ
る金属板５が配設される円環状をなす金属板収納凹部６
が形成されている。この金属板収納凹部６は、上記膨出
部４の外周径Ｒより小径であって、ディスク基板２の厚
さＴに略等しい深さに形成されてなる。また、上記金属
板収納凹部６の開口縁６ａ側は内方部に比し拡径され、
この金属板収納凹部６への金属板５の挿入を容易にする
ようにしている。

【００２１】また、上記金属板収納凹部６の金属板５の
載置面７となる底面部の内周側には、段部８が形成され
ている。この段部８は、上記金属板収納凹部６を成形す
る際、金属板５の載置面７にバリ等の突起の発生するこ
とを防止し、上記載置面７を平滑な面に維持するように
するものである。

【００２２】一方、上記金属板収納凹部６に収納配設さ
れる金属板５は、厚さｔを０．４ｍｍ程度の磁性を有す
るステンレス板（ＳＵＳー４３０）等の金属材料を円盤
状に打ち抜いて形成されてなる。そして、上記金属板５
は、図１に示すように、金属板収納凹部６に収納されに
足る大きさの円盤状に形成されてなるものであり、ま
た、上記金属板収納凹部６に収納配設したとき、図３に
示すように、中央の主面部５ａがディスク基板２の一方
の主面２ａと面一になるようになすとともに、金属板収
納凹部６の内周面６ａが上記金属板５の周縁に臨むよう
になすため、外周縁側に段曲げ加工が施されている。す
なわち、金属板５の外周縁側には、周縁に向かって垂下
するように折り曲げられた折り曲げ部９を介して上記載
置面７への載置片１０が形成されれいる。すなわち、こ
の金属板５は、図１に示すように、全体をもって凹湾状
をなす円盤状に形成されてなる。

【００２３】上述のように形成された金属板５は、載置
片１０が金属板収納凹部６の載置面７に載置されるよう
にして、図３に示すように、上記金属板収納凹部６に収
納配置される。ここで、金属板収納凹部６の周縁の数個
所、例えば４ヵ所を熱変形させることにより、図４に示
すように、上記金属板収納凹部６内に突出する突起１１
を形成する。すなわち、これら突起１１は、金属板収納
凹部６の周縁の一部を押し潰し変形させるようになし、
この変形された一部が金属板収納凹部６内に突出して形
成されるものである。従って、ディスク基板２の一方の
主面２ａ側には、上記突起１１の突出に対応して凹部１
２が金属板収納凹部６の周縁に形成されるだけで一切の
突起等の突出部の形成が行われない。このように突起１
１が形成されることにより、上記金属板５は載置片１０
が上記突起１１に支持されることにより、図４及び図５
に示すように、金属板収納凹部６内に収納支持されてデ
ィスク基板２に固定される。すなわち、金属板５の周縁
には、図３に示すように、段差が形成され金属板収納凹
部６の内周面６ａが臨まされているため、上記熱変形に
よる突起１１の形成が可能となされている。

【００２４】この実施例においては、突起１１は、図５
に示すように、金属板収納凹部６の周縁に等間隔に４ヵ
所形成されているが、ディスク基板２の金属板収納凹部
６内からの脱落を防止してディスク基板２に対する支持
が図られればよく、２ヵ所以上の適宜個所に形成されれ
ばよい。また、上記突起１１は、金属板収納凹部６の周
縁の全周に亘って形成するものであってもよい。

【００２５】ところで、上記金属板収納凹部６の周縁の
一部を熱変形させて突起１１を形成するには、例えば加
熱こてを当てることにより行われる。

【００２６】また、上記突起１１の形成には、超音波を
用いたスエージング法が用いられる。このスエージング
法は、図６に示すように、超音波溶着機の超音波印加用
の接触子２１を金属板収納凹部６の周縁に接触させ、こ
の接触子２１が接触された部分を超音波により加熱変形
させることによって、上記金属板収納凹部６の周縁の一
部をこの金属板収納凹部６内に突出させることにより上
記突起１１を形成するものである。

【００２７】なお、上述の実施例では、光磁気ディスク
に適用した例を挙げて説明したが、合成樹脂からなるデ
ィスク基板を有し、マグネットチャッキング等の磁性板
を有する情報信号記録ディスクに広く適用できるもので
ある。

【００２８】

【発明の効果】上述したように、本発明は、ディスク基
板に形成した磁性板収納凹部に磁性材料により形成され
た金属板の如き磁性板を収納し、上記磁性板収納凹部の
周縁を熱変形させることによって、上記磁性板のディス
ク基板への取付けを行っているので、上記ディスク基板
に磁性板支持用の突起等を形成する必要がないので、デ
ィスク基板の構成が簡素化され、ディスク基板を成形す
る金型の加工も容易となり、さらにディスク基板の成形
も容易となる。特に、ディスク基板を成形する金型が簡
素化され、ディスク基板の成形が容易となるので、成形
後のディスク基板の光学特性を劣下を生じさせる複屈折
等の成形歪みの発生を防止することができ、信号記録再
生特性の極めて良好な情報信号記録ディスクを構成でき
る。

【００２９】

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る光磁気ディスクの分解斜視図であ
る。

【図２】上記光磁気ディスクを構成するディスク基板及
び金属板を示す断面図である。

【図３】上記ディスク基板の金属板収納凹部に金属板を
収納配設した状態の断面図である。

【図４】ディスク基板に金属板を取付けた状態を示す断
面図である。

【図５】本発明に係る光磁気ディスクの金属板の取付け
面側の平面図である。

【図６】ディスク基板にスエージング法を用いて金属板
を取付ける状態を示す概略側面図である。

【図７】従来の光磁気ディスクの断面図である。

【図８】従来の光磁気ディスクの他の例を示す分解斜視
図である。

【図９】上記光磁気ディスクの断面図である。

【符号の説明】

１・・・光磁気ディスク ２・・・ディスク基板 ３・・・センター穴 ５・・・金属板 ６・・・金属板収納凹部 １１・・・突起

フロントページの続き (56)参考文献 特開 平１−208783（ＪＰ，Ａ) 特開 平１−208784（ＪＰ，Ａ) 特開 平２−118980（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) G11B 7/24 571 G11B 23/00 601

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 センター穴が穿設されるとともに一方の
   主面側に情報信号記録層が形成された合成樹脂からなる
   ディスク基板と、 上記センター穴を閉塞して上記ディスク基板の一方の主
   面側に配設される磁性板とを備え、 上記ディスク基板の一方の主面側に上記センター穴を囲
   んで上記磁性板が配設される磁性板収納凹部を形成する
   とともに、上記磁性板収納凹部の周縁の少なくとも一部
   を熱変形させることによって、上記磁性板収納凹部に配
   設された磁性板を上記ディスク基板に保持してなる情報
   信号記録ディスク。