JP2951563B2 - ポリカーボネート樹脂組成物及びそれを用いた自動車用ドアハンドル - Google Patents

ポリカーボネート樹脂組成物及びそれを用いた自動車用ドアハンドル

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JP2951563B2
JP2951563B2 JP2146495A JP2146495A JP2951563B2 JP 2951563 B2 JP2951563 B2 JP 2951563B2 JP 2146495 A JP2146495 A JP 2146495A JP 2146495 A JP2146495 A JP 2146495A JP 2951563 B2 JP2951563 B2 JP 2951563B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリカーボネート樹脂
組成物及びそれを用いた自動車外装部材に関し、さらに
詳しくは、ポリカーボネート樹脂成形物の外観を損なう
ことなく耐溶剤性、耐衝撃性、剛性、摺動性を改良した
ポリカーボネート樹脂組成物及び、この改良された樹脂
組成物を使用して成形された回転摺動部を有する、諸特
性に優れた自動車用ドアハンドルに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ポリカーボネート樹脂は衝撃強度
や引張強度などの機械的物性の他、電気特性、透明性な
どに優れた成形物を与え、エンジニアリングプラスチッ
クとして、自動車分野、電気・電子機器分野、OA機器
分野など、様々な分野において幅広く使用されている
が、耐溶剤性や耐衝撃性などの要求される自動車の内装
材や外装材にポリカーボネート樹脂を用いる場合、ポリ
エステル樹脂単独又はゴム状弾性体を併用して配合され
ることが行われている。最近、上記ポリエステル樹脂単
独又は更にゴム状弾性体をも加えたポリカーボネート樹
脂組成物を使用する自動車部材成形体において、剛性を
向上させるために、さらにタルク,マイカ,チタン酸カ
リウムウイスカーなどの微細な無機充填剤を配合するこ
とが試みられている。これらの無機充填剤を添加するこ
とによりそれなり補助効果はあるものの、これらの充填
剤は通常アルカリ性を示すために、成形加工時にポリカ
ーボネート系樹脂やポリエステル樹脂の加水分解を促進
してそれらの分子量を低下せさ、成形体の肌あれや黄変
など外観を損ねることもあり、長期実用特性の点では必
ずしも好ましくない。この樹脂劣化を抑制するために更
にホスファイト系化合物を配合することも試みられてい
る(特開平5−222283号公報)。
【0003】一方、上記組成物を使用した成形体は摺動
性が不十分であり、該成形体の穿孔部に金属製、セラミ
ック製、プラスチック製等の回転軸を挿入し、連続回転
とか往復回転を繰り返し行った場合、摺動部の摩耗量が
多い。自動車用ドアハンドルの回転摺動部に使用し、繰
り返し、ドアの開閉(レバーの上下運動等による開閉動
作)を行った場合、摺動部の摩耗量が多いため、軸振れ
を生じ、ドアの開閉操作が十分に円滑にできなくなる。
実際、ドアハンドルレバーでドアの開閉を繰り返す耐久
試験を行った結果、上記成形体の摺動部の摩耗量が多い
ことがわかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、芳香族ポリ
エステル樹脂又は更にゴム状弾性体及びタルクを配合し
たポリカーボネート樹脂組成物の成形体に優れた摺動性
及び低温衝撃特性を付与できるポリカーボネート樹脂組
成物を見出すこと、及びこの樹脂組成物を使用して、長
期耐久性能に優れた自動車用ドアハンドルを提供するこ
とを課題とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記の好
ましい性質を有するポリカーボネート樹脂組成物及びそ
の樹脂組成物を使用した自動車用ドアハンドルを完成す
べく鋭意研究を重ねた結果、ポリカーボネート系樹脂と
芳香族ポリエステル樹脂と場合により用いられるゴム状
弾性体と、タルクとポリオレフィン系樹脂を所定の割合
で配合することにより上記課題を解決しうることを見出
した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したもので
ある。すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。 (第1)(A)ポリカーボネート系樹脂、(B)芳香族
ポリエステル樹脂、(C)ゴム状弾性体、(D)光透過
式粒度分布測定器で測定した平均粒径が0.3〜1.0μm
であるタルク及び(E)ポリオレフィン、ポリオレフィ
ンと不飽和カルボン酸の共重合体及びポリオレフィンと
不飽和カルボン酸の無水物の共重合体から選ばれる少な
くとも1種のポリオレフィン系樹脂を配合してなるポリ
カーボネート樹脂組成物であり、(A)、(B)、
(C)及び(D)の合計100重量%中、(A)は30
〜89重量%、(B)は10〜50重量%、(C)は0
〜50重量%、(D)は1〜30重量%であり、
(A)、(B)、(C)及び(D)の合計100重量部
に対し、(E)は0.1〜5重量部であるポリカーボネー
ト樹脂組成物。 (第)(E)のポリオレフィンがポリエチレンである
上記第1記載のポリカーボネート樹脂組成物。 (第)上記第1又は2記載のポリカーボネート樹脂組
成物を用いて成形された回転摺動部を有する自動車用ド
アハンドル。
【0006】以下本発明の内容を詳細に説明する。本発
明の樹脂組成物を構成する(A)成分のポリカーボネー
ト系樹脂としては様々なものがあり、好ましくは一般式
(I)
【0007】
【化1】
【0008】〔式中、R1 及びR2 は、それぞれ水素原
子,ハロゲン原子(塩素,臭素,フッ素,ヨウ素)又は
炭素数1〜8のアルキル基(例えば、メチル基,エチル
基,n−プロピル基,イソプロピル基,n−ブチル基,
イソブチル基,アミル基,イソアミル基,ヘキシル基な
ど)であり、それらはたがいに同一でも異なっていても
よい。またR1 が複数ある場合は複数のR1 は同一でも
異なっていてもよく、R 2 が複数ある場合は複数のR2
は同一でも異なっていてもよい。m及びnは、それぞれ
1〜4の整数である。Yは、単結合,炭素数1〜8のア
ルキレン基又は炭素数2〜8のアルキリデン基(例え
ば、メチレン基,エチレン基,プロピレン基,ブチレン
基,ペンチレン基,ヘキシレン基,エチリデン基,イソ
プロピリデン基など),炭素数5〜15のシクロアルキ
レン基又は炭素数5〜15のシクロアルキリデン基(例
えば、シクロペンチレン基,シクロヘキシレン基,シク
ロペンチリデン基,シクロヘキシリデン基など),又は
−S−,−SO−,−SO2 −,−O−,−CO−結合
若しくは式(II) あるいは(II')
【0009】
【化2】
【0010】で表される結合を示す。〕で表される構造
単位を含む重合体を挙げることができる。このポリカー
ボネート系樹脂は、一般式(III)
【0011】
【化3】
【0012】(式中、R1 ,R2 ,Y,m及びnは前記
と同じである。)で表される二価フェノールとホスゲン
又は炭酸ジエステル化合物とを反応させることによって
容易に製造することができるものである。すなわち、例
えば、塩化メチレンなどの溶媒中において、公知の酸受
容体や分子量調節剤の存在下、二価フェノールとホスゲ
ンのようなカーボネート前駆体との反応により、あるい
は二価フェノールとジフェニルカーボネートのようなカ
ーボネート前駆体とのエステル交換反応などによって製
造される。
【0013】ここで、前記一般式(III)で表わされる二
価フェノールとしては、様々なものがあるが、特に、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔通
称:ビスフェノールA〕が好適である。ビスフェノール
A以外の二価フェノールとしては、例えば、ビス(4−
ヒドロキシフェニル)メタン;ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)フェニルメタン;ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)ナフチルメタン;ビス(4−ヒドロキシフェニル)
−(4−イソプロピルフェニル)メタン;ビス(3,5
−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)メタン;ビス
(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタ
ン;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン;
1−ナフチル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)エタン;1−フェニル−1,1−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)エタン;1,2−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)エタン;2−メチル−1,1−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)プロパン;2,2−ビス(3,5−
ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン;1−エ
チル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン;2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシ
フェニル)プロパン;2,2−ビス(3,5−ジブロモ
−4−ヒドロキシフェニル)プロパン;2,2−ビス
(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン;
2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロパン;2,2−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキ
シフェニル)プロパン;1,1−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)ブタン;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)ブタン;1,4−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)ブタン;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
ペンタン;4−メチル−2,2−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)ペンタン;2,2−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)ヘキサン;4,4−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)ヘプタン;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)ノナン;1,10−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)デカン;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン;2,2−ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,
3−ヘキサフルオロプロパンなどのジヒドロキシジアリ
ールアルカン類、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)シクロヘキサン;1,1−ビス(3,5−ジクロロ
−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン;1,1−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロデカンなどのジ
ヒドロキシジアリールシクロアルカン類、ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)スルホン;ビス(3,5−ジメチル
−4−ヒドロキシフェニル)スルホン;ビス(3−クロ
ロ−4−ヒドロキシフェニル)スルホンなどのジヒドロ
キシジアリールスルホン類、ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)エーテル;ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロ
キシフェニル)エーテルなどのジヒドロキシジアリール
エーテル類、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン;
3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒド
ロキシベンゾフェノンなどのジヒドロキシジアリールケ
トン類、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド;
ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィ
ド;ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)スルフィドなどのジヒドロキシジアリールスルフィ
ド類、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシドな
どのジヒドロキシジアリールスルホキシド類、4,4’
−ジヒロキシジフェニルなどのジヒドロキシジフェニル
類、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレ
ンなどのジヒドロキシアリールフルオレン類などが挙げ
られる。また、該一般式(III)で表される二価フェノー
ル類以外に、ヒドロキノン,レゾルシノール,メチルヒ
ドロキノンなどのジヒドロキシベンゼン類、1,5−ジ
ヒドロキシナフタレン;2,6−ジヒドロキシナフタレ
ンなどのジヒドロキシナフタレン類などが挙げられる。
これらの二価フェノールは、それぞれ単独で用いてもよ
く、二種以上を組合わせて用いてもよい。
【0014】また、炭酸ジエステル化合物としては、ジ
フェニルカーボネートなどのジアリールカーボネートや
ジメチルカーボネート,ジエチルカーボネートなどのジ
アルキルカーボネートが挙げられる。そして、分子量調
節剤としては、通常、ポリカーボネートの重合に用いら
れるものでよく、各種のものを用いることができる。具
体的には、一価フェノールとして、例えば、フェノー
ル,p−クレゾール,p−tert−ブチルフェノール,p
tert−オクチルフェノール,p−クミルフェノール,
ブロモフェノール,トリブロモフェノール,ノニルフェ
ノールなどが挙げられる。また、場合によっては、
(A)成分のポリカーボネート系樹脂としては、前記一
般式(I)
【0015】
【化4】
【0016】(式中、R1 ,R2 ,Y,m及びnは前記
と同じである。)で表される構造の繰り返し単位を有す
るポリカーボネート部と、一般式(IV)
【0017】
【化5】
【0018】〔式中、R3 ,R4 及びR5 は、それぞれ
水素原子,炭素数1〜6のアルキル基(例えば、メチル
基,エチル基,プロピル基,n−ブチル基,イソブチル
基,アミル基,イソアミル基,ヘキシル基など)又はフ
ェニル基であり、それらはたがいに同一であっても異な
っていてもよい。また、p及びqは、それぞれ0又は1
以上の整数であるが両方が共に0ではない。〕で表され
る構造の繰返し単位を有するポリオルガノシロキサン部
とからなるポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン
共重合体を用いてもよい。このポリオルガノシロキサン
部の重合度は5以上が好ましい。
【0019】本発明においては、(A)成分のポリカー
ボネート系樹脂には、必要に応じて分岐ポリカーボネー
トを含有させることができる。上記分岐ポリカーボネー
トを得るために用いられる分岐剤としては、例えば、フ
ロログルシン,メリト酸,トリメリト酸,トリメリト酸
クロリド,無水トリメリト酸,没食子酸,没食子酸n−
プロピル,プロトカテク酸,ピロメリト酸,ピロメリト
酸二無水物,α−レゾルシン酸,β−レゾルシン酸,レ
ゾルシンアルデヒド,トリメチルクロリド,イサチンビ
ス(o−クレゾール),トリメチルトリクロリド,4−
クロロホルミルフタル酸無水物,ベンゾフェノンテトラ
カルボン酸;2,4,4’−トリヒドロキシベンゾフェ
ノン;2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフ
ェノン;2,4,4’−トリヒドロキシフェニルエーテ
ル;2,2’,4,4’−テトラヒドロキシフェニルエ
ーテル;2,4,4’−トリヒドロキシジフェニル−2
−プロパン;2,2’−ビス(2,4−ジヒドロキシ)
プロパン;2,2’,4,4’−テトラヒドロキシジフ
ェニルメタン;2,4,4’−トリヒドロキシジフェニ
ルメタン;1−〔α−メチル−α−(4’−ジヒドロキ
シフェニル)エチル〕−3−〔α’,α’−ビス(4”
−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン;1−〔α−
メチル−α−(4’−ジヒドロキシフェニル)エチル〕
−4−〔α’,α’−ビス(4”−ヒドロキシフェニ
ル)エチル〕ベンゼン;α,α’,α”−トリス(4−
ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリイソプロピル
ベンゼン;2,6−ビス(2−ヒドロキシ−5’−メチ
ルベンジル)−4−メチルフェノール;4,6−ジメチ
ル−2,4,6−トリス(4’−ヒドロキシフェニル)
−2−ヘプテン;4,6−ジメチル−2,4,6−トリ
ス(4’−ヒドロキシフェニル)−2−ヘプタン;1,
3,5−トリス(4’−ヒドロキシフェニル)ベンゼ
ン;1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エ
タン;2,2−ビス〔4,4−ビス(4’−ヒドロキシ
フェニル)シクロヘキシル〕プロパン;2,6−ビス
(2’−ヒドロキシ−5’−イソプロピルベンジル)−
4−イソプロピルフェノール;ビス〔2−ヒドロキシ−
3−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルベンジル)−5
−メチルフェニル〕メタン;ビス〔2−ヒドロキシ−3
−(2’−ヒドロキシ−5’−イソプロピルベンジル)
−5−メチルフェニル〕メタン;テトラキス(4−ヒド
ロキシフェニル)メタン;トリス(4−ヒドロキシフェ
ニル)フェニルメタン;2’,4’,7−トリヒドロキ
シフラバン;2,4,4−トリメチル−2’,4’,7
−トリヒドロキシフラバン;1,3−ビス(2’,4’
−ジヒドロキシフェニルイソプロピル)ベンゼン;トリ
ス(4’−ヒドロキシフェニル)−アミル−s−トリア
ジンなどが挙げられる。
【0020】この他、(A)成分のポリカーボネート系
樹脂としては、例えば、アジピン酸,ピメリン酸,スベ
リン酸,アゼライン酸,セバシン酸,デカンジカルボン
酸などの直鎖状脂肪族二価カルボン酸を共重合モノマー
とする共重合体を用いることもできる。
【0021】本発明においては、この(A)成分のポリ
カーボネート系樹脂は一種用いてもよく、二種以上を組
み合わせて用いてもよい。また、該ポリカーボネート系
樹脂は、機械的強度及び成形性の点から、その粘度平均
分子量が10,000〜100,000のものが好まし
く、特に15,000〜40,000のものが好適であ
る。
【0022】次に、(B)成分の芳香族ポリエステル樹
脂としては、様々なものを用いることできる。例えば、
特に二官能性カルボン酸とアルキレングリコールを重合
して得られるポリエステル樹脂が好適である。ここで、
二官能性カルボン酸としては、例えば、テレフタル酸,
イソテレフタル酸,ナフタレンジカルボン酸などの芳香
族ジカルボン酸が挙げられる。これらの中では、テレフ
タル酸が好ましく、また本発明の効果を損なわない範囲
で他の二官能性カルボン酸、例えば、シュウ酸,マロン
酸,アジピン酸,スベリン酸,アゼライン酸,セバシン
酸,デカンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸及び
それらのエステル形成性誘導体を併用することもでき
る。これら他の二官能性カルボン酸の配合割合は、ポリ
エステル系樹脂に使用される全二官能性カルボン酸に対
して一般に20モル%以内が好ましい。
【0023】次に、アルキレングリコールとしては、特
に制限はないが、例えば、エチレングリコール;プロピ
レン−1,2−グリコール;プロピレン−1,3−グリ
コール;ブチレン−1,4−グリコール;ブチレン−
2,3−グリコール;ヘキサン−1,6−ジオール;オ
クタン−1,8−ジオール;ネオペンチルグリコール,
デカン−1,10−ジオールなどの炭素数2〜15の脂
肪族ジオール,ポリエチレングリコールなどを用いるこ
とができる。また、二種以上のグリコール成分を組み合
わせて用いてもよい。このような二官能性カルボン酸と
アルキレングリコールを重合して得られるポリエステル
樹脂としては、特にポリエチレンテレフタレート及びポ
リブチレンテレフタレートが好適である。
【0024】この(B)成分の芳香族ポリエステル樹脂
は、チタン,ゲルマニウム,アンチモンなどを含有する
重縮合触媒の存在下又は不存在下で、通常の方法で製造
することができる。例えば、ポリエチレンテレフタレー
トは、通常テレフタル酸とエチレングリコールとをエス
テル化反応させるか、又はジメチルテレフタレートのよ
うなテレフタル酸の低級アルキルエステルとエチレング
リコールとをエステル交換反応させ、テレフタル酸のグ
リコールエステル及び/又はその低重合体を製造する第
1段階の反応と、次いで、該グリコールエステル及び/
又はその低重合体をさらに重合させて重合度の高いポリ
マーとする第2段階反応、いわゆる重合反応とによって
製造される。この(B)成分の芳香族ポリエステル樹脂
は一種用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いても
よい。
【0025】次に(C)成分のゴム状弾性体としては、
様々なものを用いることができる。好適な例としては、
ゴム状重合体の存在下に、ビニル系単量体の一種又は二
種以上を重合させることによって得られる共重合体であ
る。上記ビニル系単量体としては、例えば、スチレン,
α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物、アクリ
ル酸メチル,アクリル酸エチルなどのアクリル酸エステ
ル、メタクリル酸メチル,メタクリル酸エチルなどのメ
タクリル酸エステル、アクリロニトリルなどのシアン化
ビニル化合物などが挙げられる。
【0026】ゴム状弾性体の代表的具体例は、アルキル
アクリレートやアルキルメタクリレートを主体とするア
クリル系重合体やメタクリル系重合体、ブタジエンやイ
ソプレンなどの共役ジエンを主体とするジエン系重合
体、ポリオルガノシロキサンを主体とするシリコーン系
重合体の一種又は二種以上の共重合体であり、MAS樹
脂,MBS樹脂,MABS樹脂と通常称されるものであ
る。上記ゴム状弾性体は、例えば、特公昭48−293
08号公報(MAS樹脂)、特公昭55−9435号公
報(MBS樹脂)、特開昭64−6051号公報(MA
IS樹脂)、特開昭64−79257号公報などに開示
されている公知のものを用いることができる。これらの
ゴム状弾性体は、例えば、パラロイドKM330〔ロー
ム&ハース社製,MAS樹脂〕、メタブレンC−223
〔三菱レイヨン(株)社製,MBS樹脂〕、メタブレン
S−2001〔三菱レイヨン(株)社製,MAS樹脂〕
などを市場から容易に入手することができる。
【0027】上記以外のゴム状弾性体の具体例として
は、例えば、ブタジエンゴム(BR),スチレン−ブタ
ジエンゴム(SBR),イソブチレン−イソプレンゴム
(IIR),エチレン−プロピレンゴム(EPR),エ
チレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM),アクリ
ロニトリル−ブタジエンゴム(NBR),スチレン−ブ
タジエン−スチレンゴム(SBS),スチレン−ブタジ
エンゴムの水素化物(SEBS),スチレン−イソプレ
ン−スチレンゴム(SIS),スチレン−イソプレンゴ
ムの水素化物(SEPS)などを挙げることができる。
なお、この(C)成分のゴム状弾性体は一種用いてもよ
く、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0028】本発明の樹脂組成物における(D)成分と
してのタルクの特性及びその製法については特に限定さ
れるものではないが、粒径に関する特性については平均
粒径が、光透過式粒度分布測定器で測定して0.3〜1.0
μmであるタルクが好ましい。1.0μmを超えると実用
上問題はないが、成形体の表面の肌あれが目立ち始め
る。
【0029】又、タルクは例えば、次のような方法によ
って製造することができる。すなわち、原石をチューブ
ミル型粉砕機,衝撃式粉砕機,ミクロンミル型粉砕機,
遠心ローラー型レイモンドミルなどの装置で粉砕する。
そして、微粉砕を要する場合には、更にミクロンミル,
ジェット型粉砕機,ジェット・オ・マイザー,ミクロナ
イザー,ジェットパルペライザー,攪拌摩砕ミル(タワ
ーミル),振動ミル,コロイドミルなどで乾式又は湿式
微粉砕すればよい。次いで、これらの粉砕したタルクや
マイカをサイクロン,マルチロン,ミクロンセパレータ
ー,ミクロプレックス,サイクロンエアセパレーター,
ウルトラセパレーター,ジェットクロン,クラシクロ
ン,レーキ分級機,ハイドロサイクロン,水力分級機,
遠心分級機などの装置で、一回又は複数回繰返して乾式
あるいは湿式分級し、粒径等の物性を調整することがで
きる。
【0030】タルクによるポリカーボネート樹脂組成物
成形体の着色原因は、前記従来の技術の項で説明したご
とくポリカーボネートとか芳香族ポリエステルの加水分
解性にあるが、この防止のためには表面処理剤を用いた
タルクの表面処理手段が効果的であることがわかった。
該表面処理剤としては、例えば各種カップリング剤,反
応性シリコーン化合物,酸性化合物などを好ましく挙げ
ることができる。
【0031】これらの表面処理剤で処理する方法につい
ては、特に制限はなく、従来慣用されている方法、例え
ば、水溶液法,有機溶媒法,スプレー法など、任意の方
法を用いることができる。また、該表面処理剤は、通常
タルクに対して0.1〜10重量%の割合で用いられる。
この量が0.1重量%未満では樹脂の劣化抑制効果が充分
に発揮されず、また10重量%を超えるとその量の割に
は効果の向上が認められず、むしろ混練時のフィードが
不安定になる。
【0032】本発明の樹脂組成物における(E)成分と
して使用されるポリオレフィン系樹脂はポリオレフィ
ン、ポリオレフィンと不飽和カルボン酸の共重合体及び
ポリオレフィンと不飽和カルボン酸無水物の共重合体か
らなる群から選ばれる少なくとも1種である。ここで用
いられるポリオレフィンとしては、例えばエチレン;プ
ロピレン;ブテン−1;イソブチレン;ペンテン−1;
3−メチルブテン−1;4−メチルペンテン−1;ヘキ
セン−1;オクテン等のα−オレフィンのようなオレフ
ィンの単独重合体、これらオレフィンの2種以上からな
る共重合体の他、これらオレフィン70モル%以上、好
ましくは80モル%以上とビニル化合物、例えば酢酸ビ
ニルのようなビニルエステル,塩化ビニルのようなハロ
ゲン化ビニル,アクリル酸,メタクリル酸,マレイン酸
のような不飽和カルボン酸,アクリル酸メチル,アクリ
ル酸エチル,メタクリル酸メチル,メタクリル酸エチル
のような不飽和カルボン酸エステルなどとの共重合体が
挙げられる。具体的には、低密度ポリエチレン,線状低
密度ポリエチレン,高密度ポリエチレン,アイソタクチ
ックポリプロピレン,アタクチックポリプロピレン,エ
チレン・プロピレン共重合体,エチレン・酢酸ビニル共
重合体またはその鹸化物,エチレン・アクリル酸メチル
共重合体,エチレン・メタクリル酸エチル共重合体,エ
チレン・メタクリル酸メチル共重合体などである。
【0033】ポリオレフィンとの共重合成分である不飽
和カルボン酸及び不飽和カルボン酸無水物の具体例とし
てアクリル酸.メタクリル酸,マレイン酸,テトラヒド
ロフタル酸,イタコン酸,シトラコン酸,ナジック酸
(エンドシス−ビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−5エン
−2,3−ジカルボン酸),無水マレイン酸,無水ナジ
ック酸,無水シトラコン酸などが挙げられるが、これら
の中では,無水マレイン酸,マレイン酸,テトラヒドロ
フタル酸,イタコン酸,シトラコン酸,ナジック酸等が
好適である。
【0034】ポリオレフィンと不飽和カルボン酸の共重
合体又はポリオレフィンと不飽和カルボン酸無水物の共
重合体の製造には、通常はポリオレフィンを不飽和カル
ボン酸又は不飽和カルボン酸無水物によって変性する公
知の種々の方法を採りうる。例えば、ポリオレフィンと
無水マレイン酸等を溶媒の存在下または不存在下でラジ
カル反応開始剤を添加し、加熱する方法がある。この反
応に際しては、スチレン等の他のビニルモノマー或いは
液状ゴム、熱可塑性ゴムなどのゴム類を共存させること
もできる。得られた共重合体の不飽和カルボン酸又は不
飽和カルボン酸無水物の含有量は特に限定されないが、
5.0重量%以下が好適である。5.0重量%を超えるとポ
リカーボネート樹脂組成物の耐熱性が低下又はその成形
体の黄色化の傾向がある。
【0035】本発明の樹脂組成物中前記(A),
(B),(C)及び(D)の各成分の合計に対する
(E)成分の組成比は、前者の100重量部に対し0.1
〜5重量部であり、前者の(A),(B),(C)及び
(D)の各成分の合計100重量%中、(A)成分のポ
リカーボネート樹脂は30〜89重量%、(B)成分の
芳香族ポリエステル樹脂は10〜50重量%、(C)成
分のゴム状弾性体は0〜50重量%、及び(D)成分の
タルクは1〜30重量%の割合で配合することが必要で
ある。
【0036】上記(A)〜(E)成分からなる組成物
中、(E)成分の組成比が0.1重量部未満では、本発明
にかかる組成物を使用して成形した、自動車用ドアハン
ドルの回転摺動部とそこに挿入された回転軸の摺動性が
悪い他、耐衝撃性の向上効果も不十分である。逆に5重
量部を超えると該回転摺動部を有する自動車用ドアハン
ドルの剛性及び強度が低下する他、成形体の外観も悪化
する。(E)成分の添加量は特に0.5〜4重量部が好ま
しい。
【0037】本発明に係る組成物中、上記(A)〜
(D)の各成分の合計100重量%中、(A)成分の含
有量が30重量%未満ではポリカーボネート系樹脂本来
の特性が失われるし、89重量%を超えると他の成分の
配合量が少なくなり、所望の改良された物性を有する組
成物が得られず、(B)成分の含有量が10重量%未満
では耐溶剤性の向上効果が充分に発揮されず、50重量
%を超えるとポリカーボネート系樹脂本来の特性を充分
に発揮させることができなくなり、(C)成分は衝撃強
度向上のために加えられるが、その含有量が50重量%
を超えるとポリカーボネート系樹脂本来の特性を充分に
発揮させることができなくなる。更に、(D)成分の含
有量が1重量%未満では剛性の向上効果が充分に発揮さ
れず、30重量%を超えるとその組成物を使用した成形
体の比重が大きくなり、かつ耐衝撃性及び外観が低下す
る傾向がみられる。しかし、ポリカーボネート系樹脂本
来の特性である耐溶剤性,剛性,耐衝撃性,外観性など
の低下防止の点から、(A)成分を50〜85重量%、
(B)成分を15〜40重量%、(C)成分を0〜30
重量%及び(D)成分を1〜20重量%の割合で含有す
るのが好ましく、特に(A)成分を55〜80重量%、
(B)成分を15〜35重量%、(C)成分を0〜20
重量%及び(D)成分を1〜15重量%の割合で含有す
るのがより好ましい。
【0038】なお、本発明の樹脂組成物においては、成
形体の着色、強度低下の防止のため所望により抗酸化剤
としてホスファイト系抗酸化剤(以下、この成分を
(F)と表示することがある)を用いることができ、好
ましくは前記(A)〜(D)の各成分の合計100重量
部に対して0.01〜5重量部の範囲で配合される。この
配合量が0.01重量部未満では樹脂の劣化抑制効果が充
分に発揮されず、5重量部を超えるとその量の割には効
果の向上が認められず、むしろ経済的に不利となる。樹
脂の劣化抑制効果及び経済性の面から、該ホスファイト
系抗酸化剤を使用する場合のより好ましい配合量は0.0
5〜4重量部の範囲であり、特に0.1〜2重量部の範囲
が好適である。
【0039】このホスファイト系抗酸化剤としては様々
なものがあり、例えば一般式(V) (R6 O)3 P ・・・(V) (式中、R6 は水素原子,炭素数1〜20のアルキル
基,炭素数6〜20のアリール基,炭素数7〜30のア
ルキルアリール基又は炭素数7〜30のアリールアルキ
ル基を示し、これらの炭化水素基には、ハロゲン原子,
炭素数1〜30のアルキルチオ基又はヒドロキシル基が
導入されていてもよい。3個のR6 はたがいに同一でも
異なっていてもよいが、3個が共に水素原子ではな
い。)で表される化合物、あるいは一般式(VI)
【0040】
【化6】
【0041】(式中、R7 及びR8 はそれぞれ水素原
子,炭素数1〜20のアルキル基,炭素数6〜20のア
リール基,炭素数7〜20のアルキルアリール基又は炭
素数7〜20のアリールアルキル基を示し、これらの炭
化水素基には、ハロゲン原子,炭素数1〜30のアルキ
ルチオ基又はヒドロキシル基が導入されていてもよい。
7 及びR8 はたがいに同一でも異なっていてもよい
が、共に水素原子ではない。Zはエーテル結合を含む又
は含まない炭素数1〜20の4価の炭化水素残基を示
す。)で表される化合物を挙げることができる。上記一
般式(VI)で表されるホスファイト化合物の中では、Z
が式
【0042】
【化7】
【0043】で表されるものであるペンタエリスリトー
ル型のホスファイト化合物が好適である。上記一般式
(V)で表されるホスファイト化合物としては、例えば
トリス(ミックスドモノ及びジ−ノニルフェニル)ホス
ファイト,トリスノニルフェニルホスファイト,トリス
(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト,ト
リフェニルホスファイト,ジフェニルモノ(2−エチル
ヘキシル)ホスファイトなどが挙げられ、一般式(VI)
で表されるホスファイト化合物としては、例えばビス
(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリト
ールジホスファイト,ビス(2,6−ジ−t−ブチル−
4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファ
イト,ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイ
トなどが挙げられる。これらのホスファイト化合物はそ
れぞれ単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用
いてもよい。
【0044】本発明の樹脂組成物には、前記(A),
(B),(C),(D)及び(E)成分以外に、必要に
応じて上記ホスファイト系抗酸化剤が添加されるが、更
に本発明の目的が損なわれない範囲で各種添加成分、例
えば他の合成樹脂、ヒンダードフェノール系やアミン系
などの他の抗酸化剤、ベンゾトリアゾール系やベンゾフ
ェノン系などの紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系の光
安定剤、脂肪族カルボン酸エステル系,パラフィン系,
シリコーンオイル,ポリエチレンワックスなどの内部滑
剤、難燃剤、難燃助剤、帯電防止剤、他の無機充填剤や
有機充填剤、離型剤、着色剤などを配合することができ
る。
【0045】本発明の樹脂組成物は、前記の(A),
(B),(C),(D)及び(E)成分と、必要に応じ
て用いられる各種添加成分を配合し、混練することによ
って調製することができる。該配合,混練には、通常用
いられている方法、例えば、リボンブレンダー,ヘンシ
ェルミキサー,バンバリーミキサー,ドラムタンブラ
ー,単軸スクリュー押出機,二軸スクリュー押出機,コ
ニーダ,多軸スクリュー押出機などを用いる方法により
行うことができる。なお、混練に際しての加熱温度は、
通常240〜300℃の範囲で選ばれる。かくして得ら
れるポリカーボネート樹脂組成物は、既知の種々の成形
方法、例えば、射出成形,中空成形,押出成形,圧縮成
形,カレンダー成形,回転成形などを適用して自動車外
装部材をはじめとして、各種成形品の製造に供すること
ができる。
【0046】本発明はまた、前記ポリカーボネート樹脂
組成物を成形してなる、回転摺動部を有する自動車用ド
アハンドルを提供するものである。自動車用ドアハンド
ルは自動車のドアを開閉するために取りつけられるハン
ドルであり、ドアの壁部内には、ドアハンドルの把手部
分を手動で回転し、手を離せばバネにより自動的且つ弾
発的に反転する、回転軸及びクリップの挿入された穿孔
を備えた回転摺動部を有するハンドルである。この回転
摺動部は回転軸及びクリップとの間に高い摺動特性、即
ち摺動摩耗量、摺動摩擦熱、摺動抵抗は極めて低いこと
が要望されるため、特殊な材質を有する材料が必要にな
るが、本発明にかかる組成物はこの要求によく合致する
ものである。
【0047】図1はこのドアハンドルレバーの模式図で
あり、ドアハンドルの裏側である回転摺動部側から見た
斜視図である。ドアハンドル1は主に把手部2とその背
面にある回転摺動部3からなり、回転摺動部3の先端側
には穿孔4及び5があり、穿孔4には回転軸が挿入さ
れ、ドアハンドルの回転の中心軸になる。穿孔5は一般
的にナイロン製クリップが装着され、ドア内部のロック
解除部と連動しており、操作時にクリップが回転する。
従って、回転摺動部3の穿孔4及び5の内壁面は回転軸
及びクリップの外面に対し、常に回転、反転の摺動運動
をするので、その摺動摩耗特性は重要な特性であり、摺
動摩耗量が高い場合は、短期間でドアハンドルの機能が
低下してしまう。更には、このドアハンドル自体、又は
摺動部はドアの把手を扱う際に絶えず引張応力及び衝撃
応力を受けるので、高い引張強さ及び衝撃強さが要求さ
れる。
【0048】以下、実施例により本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限
定されるものではない。
【実施例】
(実施例1)第1表の配合に従い、ポリカーボネート樹
脂及びポリエチレンテレフタレート樹脂を120℃で6
時間乾燥後、ゴム状弾性体、タルク及び低密度ポリエチ
レン樹脂とドライブレンドし、シリンダー温度280℃
のベント付き二軸押出機にて溶融混練し、ペレット化し
た。得られたペレットをシリンダー温度280℃で射出
成形して試験片を作成し、引張降伏強さ、アイゾット衝
撃強さ及び比摩耗量の機械的物性の評価を行った。結果
は同表に示した。
【0049】(実施例2)ゴム状弾性体を使用しない以
外は実施例1と同様の評価を行った。結果は同表に示し
た。
【0050】(実施例3)他のゴム状弾性体を使用した
以外は実施例1と同様の評価を行った。結果は同表に示
した。
【0051】(実施例4)ポリエチレンテレフタレート
樹脂配合割合を高くし、タルク及び低密度ポリエチレン
樹脂配合量を低くし、フォスファイト系抗酸化剤を添加
した以外、実施例3と同様の評価を行った。結果は同表
に示した。
【0052】(実施例5)低密度ポリエチレン樹脂を無
水マレイン酸変性高密度ポリエチレン樹脂と置き換えた
以外実施例4と同様の評価を行った。結果は同表に示し
た。
【0053】(実施例6)ポリエチレンテレフタレート
樹脂をポリブチレンテレフタレート樹脂と置き換え、フ
ォスファイト系抗酸化剤を添加した以外実施例3と同様
の評価を行った。結果は同表に示した。
【0054】(実施例7)ポリエチレンテレフタレート
樹脂をポリブチレンテレフタレート樹脂と置き換えた以
外実施例2と同様の評価を行った。結果は同表に示し
た。
【0055】(比較例1)低密度ポリエチレン樹脂を使
用しない以外実施例3と同様の評価を行った。結果は同
表に示した。
【0056】(比較例2)低密度ポリエチレン樹脂及び
リン系酸化防止剤を使用しない以外実施例4と同様の評
価を行った。結果は同表に示した。
【0057】(比較例3)ポリカーボネート樹脂配合割
合を高くし、タルク、低密度ポリエチレン樹脂及びリン
系酸化防止剤を使用しない以外実施例4と同様の評価を
行った。結果は同表に示した。
【0058】(比較例4)低密度ポリエチレン樹脂及び
リン系酸化防止剤を使用しない以外実施例6と同様の評
価を行った。結果は同表に示した。
【0059】実施例及び比較例に使用した各成分は以下
のものを使用した。なお、以下に示す(A)〜(F)及
び(a)〜(f)は、それぞれ第1表中の(A)〜
(F)及び(a)〜(f)と対応する。 (A)ポリカーボネート樹脂:出光石油化学(株)製ポ
リカーボネート(商品名「タフロンA3000」,粘度
平均分子量29,000) (B)芳香族ポリエステル樹脂: (a)ポリエチレンテレフタレート樹脂:三菱レイヨン
(株)製ポリエチレンテレフタレート(商品名「ダイヤ
ナイトMA−523V」) (b)ポリブチレンテレフタレート樹脂:三菱レイヨン
(株)製ポリブチレンテレフタレート(商品名「タフペ
ットN1000」) (C)ゴム状弾性体: (c)コアシェル型エラストマー:日本ゼオン(株)製
MAIS樹脂(商品名「ハイブレンB611」) (d)コアシェル型エラストマー:三菱レイヨン(株)
製MAS樹脂(商品名「メタブレンS−2001」) (D)タルク:浅田製粉(株)製タルク(商品名「FF
R」,平均粒径0.8μm) (E)ポリオレフィン: (e)低密度ポリエチレン:トーソー(株)製低密度ポ
リエチレン(グレード名「291A」) (f)無水マレイン酸変性高密度ポリエチレン:出光石
油化学(株)製無水マレイン酸変性高密度ポリエチレン
(グレード名「H6200P」) (F)ホスファイト系抗酸化剤:ビス(2,6−ジ−t
−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール
ジホスファイト
【0060】第1表に示した各特性の測定方法は以下の
通りである。 引張降伏強さ :JIS K−7113に準拠。 アイゾット衝撃強さ:JIS K−7110に準拠。 比摩耗量 :JIS K−7218に準拠(但
し、A法,荷重50N,相手材SUS)
【0061】
【表1】
【0062】(実施例8)実施例3に示したポリカーボ
ネート樹脂組成物を使用し、長さ約15cmで図1に示
した形状、構造を有するドアハンドルを射出成形し、摺
動性試験に供した。成形されたドアハンドルの穿孔4及
び5に、表面平滑の鉄製回転軸及びナイロン製クリップ
を取付け、固定し、ドアハンドルに10kgの負荷をか
けた状態でその回転と反転からなる往復運動を5万回繰
り返し行い、ドアハンドルの開閉試験、回転軸及びクリ
ップに接触する部分の摩耗量を測定して耐摩耗性の評価
を行った。なお、摩耗量は摺動試験前後の穿孔4及び5
の各孔径の測定値の変化により把握した。結果を第2表
に示した。
【0063】(比較例5)比較例1に示したポリカーボ
ネート樹脂組成物を使用した以外実施例8と同様に測定
した。結果は第2表に示した。
【0064】
【表2】
【0065】
【発明の効果】本発明のポリカーボネート樹脂組成物
は、その成形物に優れた外観、耐溶剤性、耐衝撃性、剛
性の他、耐摺動摩耗性を賦与するものであり、回転摺動
部を有する自動車用ドアハンドル成形物に利用すると耐
摺動摩耗性の良いドアハンドルが得られることが分かっ
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】ドアハンドルを、その裏側の回転摺動部側から
見た斜視図。
【符号の説明】
1・・・ドアハンドル 2・・・把手部 3・・・回転摺動部 4・・・穿孔(回転軸) 5・・・穿孔(クリップ)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI //(C08L 69/00 67:02 23:04 21:00) (56)参考文献 特開 平6−32912(JP,A) 特開 昭59−129254(JP,A) 実開 昭64−37861(JP,U) 実開 平1−162564(JP,U) 実開 平4−16268(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08L 69/00 C08L 67/00 - 67/08 C08L 23/00 - 23/36 C08L 21/00 C08K 3/00 - 13/08

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)ポリカーボネート系樹脂、(B)芳
    香族ポリエステル樹脂、(C)ゴム状弾性体、(D)
    透過式粒度分布測定器で測定した平均粒径が0.3〜1.0
    μmであるタルク及び(E)ポリオレフィン、ポリオレ
    フィンと不飽和カルボン酸の共重合体及びポリオレフィ
    ンと不飽和カルボン酸の無水物の共重合体から選ばれる
    少なくとも1種のポリオレフィン系樹脂を配合してなる
    ポリカーボネート樹脂組成物であり、(A)、(B)、
    (C)及び(D)の合計100重量%中、(A)は30
    〜89重量%、(B)は10〜50重量%、(C)は0
    〜50重量%、(D)は1〜30重量%であり、
    (A)、(B)、(C)及び(D)の合計100重量部
    に対し、(E)は0.1〜5重量部であることを特徴とす
    るポリカーボネート樹脂組成物。
  2. 【請求項2】(E)のポリオレフィンがポリエチレンで
    ある請求項1記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  3. 【請求項3】請求項1又は2記載のポリカーボネート樹
    脂組成物を用いて成形された回転摺動部を有する自動車
    用ドアハンドル。
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