JP3400743B2 - 熱可塑性樹脂組成物及びその製造方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物及びその製造方法

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JP3400743B2 JP12360399A JP12360399A JP3400743B2 JP 3400743 B2 JP3400743 B2 JP 3400743B2 JP 12360399 A JP12360399 A JP 12360399A JP 12360399 A JP12360399 A JP 12360399A JP 3400743 B2 JP3400743 B2 JP 3400743B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、成形加工時の熱安
定性に優れた無機微粒子補強熱可塑性樹脂組成物、及
び、その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリカーボネート系樹脂は、耐衝撃性、
耐熱性等に優れた熱可塑性樹脂であり、これらの特徴を
生かして機械、自動車、電気、電子分野における部品等
に広く用いられている。しかしながら、成形加工性、耐
薬品性等に劣るという欠点がある。一方、熱可塑性ポリ
エステル系樹脂は、機械的特性、電気的特性、耐薬品性
等に優れており、それ自身の結晶融点以上に加熱すれば
良好な成形流動性を示す。
【0003】そこで、ポリカーボネート系樹脂における
上述の問題を改善するため、例えば、特公昭36−14
035号公報、特公昭39−20434号公報、特開昭
59−176345号公報等では、ポリカーボネート系
樹脂に熱可塑性ポリエステル系樹脂を添加する技術が提
案されている。
【0004】また、特開平4−85360号公報には、
このようなポリカーボネート系樹脂と熱可塑性ポリエス
テル系樹脂の混合物にマイカを添加することにより、樹
脂組成物の剛性、寸法安定性、表面性、低線膨張率等を
改善する技術が開示されている。更にWO97/319
80号公報には、ポリカーボネート系樹脂と熱可塑性ポ
リエステル系樹脂との混合物をリン系難燃剤で難燃化す
る際に、ケイ酸塩化合物を添加することにより、難燃性
や耐熱性を改良する技術が開示されている。
【0005】しかしながら、これらの技術では、無機ケ
イ酸塩化合物が一般に塩基性を示すことから、ポリカー
ボネート系樹脂に無機ケイ酸塩化合物を添加したものを
成形するために高温で長時間溶融すると、カーボネート
結合の分解が促進されるという欠点があった。この結
果、従来の技術では、高温での成形加工時にシルバー等
の外観不良が生じるという問題があった。また、成形加
工時に長時間高温で滞留させると、樹脂の分解による分
子量低下が生じ、得られた成形品の強度や長期信頼性が
低下することもあった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記現状に
鑑み、成形加工時の熱安定性に優れた無機微粒子補強熱
可塑性樹脂組成物、及び、その製造方法を提供すること
を目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、塩基性を示
す無機ケイ酸塩化合物が、熱可塑性ポリエステル系化合
物に対しては比較的安定性を損なわず、高温での成形加
工においてもほとんど問題がないことに注目し、鋭意検
討した。その結果、ポリカーボネート系樹脂/熱可塑性
ポリエステル系樹脂からなるポリマーアロイに無機ケイ
酸塩化合物を添加する際、無機ケイ酸塩化合物がポリカ
ーボネート系樹脂内部になるべく存在しないように無機
ケイ酸塩化合物の分散状態を制御することにより、高温
での成形加工時の熱安定性が大幅に向上し、高性能な樹
脂組成物が得られることを見出して、本発明に至った。
【0008】すなわち本発明は、ポリカーボネート系樹
脂(A)及び熱可塑性ポリエステル系樹脂(B)を、
(A)/(B)の重量比が45/55〜99/1の割合
で含有し、かつ、(A)と(B)との合計100重量部
に対して、pHが8.0以上であり、SiO2 単位が3
0重量%以上を占める、重量平均粒子径が100μm以
下の無機化合物(C)0.5〜100重量部を含有する
熱可塑性樹脂組成物であって、上記無機化合物(C)の
全粒子のうち、総粒子数×[{(B)の添加量}/
{(A)の添加量+(B)の添加量}]×1.8以上の
数の粒子が、ポリカーボネート系樹脂相以外の相中に存
在する熱可塑性樹脂組成物である。
【0009】また本発明は、上記熱可塑性樹脂組成物を
混練装置にて製造するにあたって、混練装置根元に設け
た第一供給口、上記第一供給口の下流に設けた第二供給
口、及び、上記第一供給口と上記第二供給口との間で上
記第二供給口により近い位置に設けられ大気圧に開放さ
れたベント口を少なくとも備えた混練装置を使用して、
上記組成物の原料のうち上記無機化合物(C)の添加量
の30重量%以上は上記第二供給口より供給し、一方、
残りの原料は上記第一供給口より供給する、熱可塑性樹
脂組成物の製造方法でもある。以下に本発明を詳述す
る。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、
ポリカーボネート系樹脂(A)、熱可塑性ポリエステル
系樹脂(B)及び無機化合物(C)という三成分を原料
とするものである。
【0011】本発明の熱可塑性樹脂組成物に配合するポ
リカーボネート系樹脂(A)は、2価以上のフェノール
化合物と、ホスゲン又は炭酸ジエステルとを公知の方法
で重合させて得られるポリカーボネートである。
【0012】2価のフェノール化合物としては特に限定
されず、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン〔通称:ビスフェノールA〕、ビス(4−
ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)フェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)ナフチルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)
−(4−イソプロピルフェニル)メタン、ビス(3,5
−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1−ナフチ
ル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、
1−フェニル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)エタン、1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
エタン、2−メチル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−
4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1−エチル−1,
1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2
−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,
4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、4−メチル
−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ノナン、1,
10−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン、1,1
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリ
メチルシクロヘキサン等のジヒドロキシジアリールアル
カン類;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シク
ロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
シクロデカン等のジヒドロキシジアリールシクロアルカ
ン類;ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス
(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホ
ン等のジヒドロキシジアリールスルホン類;ビス(4−
ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3,5−ジメチ
ル−4−ヒドロキシフェニル)エーテル等のジヒドロキ
シジアリールエーテル類;4,4′−ジヒドロキシベン
ゾフェノン、3,3′,5,5′−テトラメチル−4,
4′−ジヒドロキシベンゾフェノン等のジヒドロキシジ
アリールケトン類;ビス(4−ヒドロキシフェニル)ス
ルフィド、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)スルフィド、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロ
キシフェニル)スルフィド等のジヒドロキシジアリール
スルフィド類;ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホ
キシド等のジヒドロキシジアリールスルホキシド類;
4,4′−ジヒロキシジフェニル等のジヒドロキシジフ
ェニル類;9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フ
ルオレン等のジヒドロキシアリールフルオレン類;ヒド
ロキノン、レゾルシノール、メチルヒドロキノン等のジ
ヒドロキシベンゼン類;1,5−ジヒドロキシナフタレ
ン、2,6−ジヒドロキシナフタレン等のジヒドロキシ
ナフタレン類;等を挙げることができる。これらは単独
で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかで
も、ビスフェノールAが好適である。
【0013】炭酸ジエステルとしては特に限定されず、
例えば、ジフェニルカーボネート等のジアリールカーボ
ネート;ジメチルカーボネート,ジエチルカーボネート
等のジアルキルカーボネート;等を挙げることができ
る。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用して
もよい。
【0014】ポリカーボネート系樹脂(A)は、直鎖状
のポリカーボネートに限定されず、分岐状のポリカーボ
ネートであってもよい。この分岐状ポリカーボネートを
得るために用いられる分岐剤としては特に限定されず、
例えば、フロログルシン、メリト酸、トリメリト酸、ト
リメリト酸クロリド、無水トリメリト酸、没食子酸、没
食子酸n−プロピル、プロトカテク酸、ピロメリト酸、
ピロメリト酸二無水物、α−レゾルシン酸、β−レゾル
シン酸、レゾルシンアルデヒド、イサチンビス(o−ク
レゾール)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,
4,4′−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2′,
4,4′−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,4,
4′−トリヒドロキシフェニルエーテル、2,2′,
4,4′−テトラヒドロキシフェニルエーテル、2,
4,4′−トリヒドロキシジフェニル−2−プロパン、
2,2′−ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)プロ
パン、2,2′,4,4′−テトラヒドロキシジフェニ
ルメタン、2,4,4′−トリヒドロキシジフェニルメ
タン、1−〔α−メチル−α−(4′−ジヒドロキシフ
ェニル)エチル〕−3−〔α′,α′−ビス(4″−ヒ
ドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン、1−〔α−メチ
ル−α−(4′−ジヒドロキシフェニル)エチル〕−4
−〔α′,α′−ビス(4″−ヒドロキシフェニル)エ
チル〕ベンゼン、α,α′,α″−トリス(4−ヒドロ
キシフェニル)−1,3,5−トリイソプロピルベンゼ
ン、2,6−ビス(2−ヒドロキシ−5′−メチルベン
ジル)−4−メチルフェノール、4,6−ジメチル−
2,4,6−トリス(4′−ヒドロキシフェニル)−2
−ヘプテン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリス
(4′−ヒドロキシフェニル)−ヘプタン、1,3,5
−トリス(4′−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,
1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、
2,2−ビス〔4,4−ビス(4′−ヒドロキシフェニ
ル)シクロヘキシル〕プロパン、2,6−ビス(2′−
ヒドロキシ−5′−イソプロピルベンジル)−4−イソ
プロピルフェノール、ビス〔2−ヒドロキシ−3−
(2′−ヒドロキシ−5′−メチルベンジル)−5−メ
チルフェニル〕メタン、ビス〔2−ヒドロキシ−3−
(2′−ヒドロキシ−5′−イソプロピルベンジル)−
5−メチルフェニル〕メタン、テトラキス(4−ヒドロ
キシフェニル)メタン、トリス(4−ヒドロキシフェニ
ル)フェニルメタン、2′,4′,7−トリヒドロキシ
フラバン、2,4,4−トリメチル−2′,4′,7−
トリヒドロキシフラバン、1,3−ビス(2′,4′−
ジヒドロキシフェニルイソプロピル)ベンゼン、トリス
(4′−ヒドロキシフェニル)−アミル−s−トリアジ
ン等が挙げられる。
【0015】場合によっては、ポリカーボネート系樹脂
(A)は、ポリカーボネート部とポリオルガノシロキサ
ン部とからなるポリカーボネート−ポリオルガノシロキ
サン共重合体であってもよい。この際、ポリオルガノシ
ロキサン部の重合度は5以上であることが好ましい。
【0016】更にポリカーボネート系樹脂(A)は、ア
ジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セ
バシン酸、デカンジカルボン酸等の直鎖状脂肪族二価カ
ルボン酸を共重合させることにより得られるポリカーボ
ネート系共重合体であってもよい。
【0017】ポリカーボネート系樹脂(A)を重合する
際に用いる末端停止剤としては、公知のものを各種使用
することができる。具体的には、フェノール、p−クレ
ゾール、p−t−ブチルフェノール、p−t−オクチル
フェノール、p−クミルフェノール、ノニルフェノール
等の一価フェノール等が挙げられる。
【0018】難燃性を得るためには、ポリカーボネート
系樹脂(A)は、リン化合物とのポリカーボネート系共
重合体であってもよいし、リン系化合物で末端封止した
ポリカーボネート系樹脂であってもよい。また、耐候性
を高めるためには、ベンゾトリアゾール基を有する二価
フェノールとのポリカーボネート系共重合体であっても
よい。
【0019】本発明の熱可塑性樹脂組成物に配合される
ポリカーボネート系樹脂(A)の粘度平均分子量は、1
0000〜60000であることが好ましい。1000
0未満の場合、得られる樹脂組成物の強度や耐熱性等が
不充分である場合が多い。一方60000を超えると、
成形加工性が不充分である場合が多い。より好ましくは
15000〜45000であり、更に好ましくは180
00〜35000である。
【0020】本発明の熱可塑性樹脂組成物において、ポ
リカーボネート系樹脂(A)は1種類のみを単独で用い
てもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
2種以上を組み合わせて使用する場合には、その組み合
わせは特に限定されない。例えば、モノマー単位が異な
るもの、共重合モル比が異なるもの、分子量が異なるも
の等を任意に組み合わせることができる。
【0021】本発明の熱可塑性樹脂組成物に配合される
熱可塑性ポリエステル系樹脂(B)は、2価以上のカル
ボン酸化合物と、2価以上のアルコール及び/又はフェ
ノール化合物とを公知の方法で重縮合することにより得
られる熱可塑性ポリエステルである。具体的には、例え
ば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレ
フタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヘキサ
メチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレ
ンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブ
チレンナフタレート等が挙げられるが、これらに限定さ
れるものではない。
【0022】2価以上のカルボン酸化合物としては特に
限定されず、例えば、炭素数8〜22の2価以上の芳香
族カルボン酸、これらのエステル形成性誘導体等が挙げ
られる。具体的には、例えば、テレフタル酸、イソフタ
ル酸等のフタル酸;ナフタレンジカルボン酸、ビス(p
−カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボ
ン酸、4−4′−ジフェニルジカルボン酸、1,2−ビ
ス(フェノキシ)エタン−4,4′−ジカルボン酸、ジ
フェニルスルホンジカルボン酸、トリメシン酸、トリメ
リット酸、ピロメリット酸等のカルボン酸、これらのエ
ステル形成能を有する誘導体等が挙げられる。これらは
単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なか
でも、取り扱い易さ、反応の容易さ、得られる樹脂組成
物の物性等の観点から、テレフタル酸、イソフタル酸又
はナフタレンジカルボン酸が好ましい。
【0023】2価以上のアルコール及び/又はフェノー
ル化合物としては特に限定されず、例えば、炭素数2〜
15の脂肪族化合物、炭素数6〜20の脂環式化合物、
炭素数6〜40の芳香族化合物であって分子内に2個以
上の水酸基を有する化合物、これらのエステル形成性誘
導体等が挙げられる。具体的には、例えば、エチレング
リコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘ
キサンジオール、デカンジオール、ネオペンチルグリコ
ール、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジ
オール、2,2′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プ
ロパン、2,2′−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシ
ル)プロパン、ハイドロキノン、グリセリン、ペンタエ
リスリトール、これらのエステル形成能を有する誘導体
等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以
上を併用してもよい。なかでも、取り扱い易さ、反応の
容易さ、得られる樹脂組成物の物性等の観点から、エチ
レングリコール、ブタンジオール又はシクロヘキサンジ
メタノールが好ましい。
【0024】熱可塑性ポリエステル系樹脂(B)は、上
述のカルボン酸化合物並びにアルコール及び/又はフェ
ノール化合物に加えて、所望の特性を損なわない範囲
で、公知の共重合可能な化合物を共重合して得られたも
のであってもよい。このような共重合可能な化合物とし
ては特に限定されず、例えば、炭素数4〜12の2価以
上の脂肪族カルボン酸、炭素数8〜15の2価以上の脂
環式カルボン酸、これらのエステル形成性誘導体等が挙
げられる。具体的には、例えば、アジピン酸、セバシン
酸、アゼライン酸、ドデカンジカルボン酸、マレイン
酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シ
クロヘキサンジカルボン酸等のジカルボン酸又はそのエ
ステル形成能を有する誘導体等が挙げられる。その他に
も、p−ヒドロキシ安息香酸等のオキシ酸又はそのエス
テル形成性誘導体、ε−カプロラクトン等の環状エステ
ル等も挙げられる。
【0025】また熱可塑性ポリエステル系樹脂(B)
は、ポリアルキレングリコール単位を高分子鎖中に一部
共重合させることにより得られた熱可塑性ポリエステル
系樹脂であってもよい。このようなポリアルキレングリ
コールとしては特に限定されず、例えば、ポリエチレン
グリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ(エチレ
ンオキサイド・プロピレンオキサイド)ブロック及び/
又はランダム共重合体、ビスフェノールA共重合ポリエ
チレンオキシド付加重合体、同プロピレンオキシド付加
重合体、同テトラヒドロフラン付加重合体、ポリテトラ
メチレングリコール等が挙げられる。
【0026】熱可塑性ポリエステル系樹脂(B)におけ
る上述のような共重合成分の使用量としては、通常、2
0重量%以下であり、好ましくは15重量%以下、より
好ましくは10重量%以下である。
【0027】熱可塑性ポリエステル系樹脂(B)は、得
られる樹脂組成物の物性バランス(例えば成形加工性)
に優れることから、アルキレンテレフタレート単位を8
0重量%以上含有するポリアルキレンテレフタレートで
あることが好ましい。より好ましくは同単位を85重量
%以上、更に好ましくは90重量%以上含有するポリア
ルキレンテレフタレートである。
【0028】熱可塑性ポリエステル系樹脂(B)は、フ
ェノール/テトラクロロエタン=1/1(重量比)混合
溶媒中、25℃で測定したときの対数粘度(IV)が
0.30〜2.00dl/g以上であることが好まし
い。対数粘度が0.30未満では、成形品の難燃性や機
械的強度が不充分である場合が多く、2.00dl/g
を超えると成形流動性が低下する傾向がある。より好ま
しくは0.40〜1.80dl/gであり、更に好まし
くは0.50〜1.60dl/gである。
【0029】本発明の熱可塑性樹脂組成物において、熱
可塑性ポリエステル系樹脂(B)は1種類のみを単独で
用いてもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよ
い。2種以上を組み合わせて使用する場合には、その組
み合わせは特に限定されない。例えば、共重合成分やモ
ル比が異なるもの、分子量が異なるもの等を任意に組み
合わせることができる。
【0030】本発明の熱可塑性樹脂組成物において、ポ
リカーボネート系樹脂(A)と熱可塑性ポリエステル系
樹脂(B)との混合比[(A)/(B)]は、重量基準
で、45/55〜99/1である。45/55未満の場
合は、寸法安定性や耐衝撃性等が低下する傾向があり、
99/1を超えると、得られる成形品の熱安定性や耐溶
剤性等が低下する傾向がある。好ましくは51/49〜
95/5であり、より好ましくは60/40〜90/1
0である。
【0031】本発明の熱可塑性樹脂組成物に配合する無
機化合物(C)は、pHが8.0以上であり、SiO2
単位が30重量%以上を占める、重量平均粒子径が10
0μm以下の無機化合物である。この成分は、樹脂の収
縮率の異方性を抑えつつ、耐熱性、機械的強度、弾性率
等の諸物性を向上させる目的で用いられる。また、本発
明の熱可塑性樹脂組成物に難燃剤を添加して難燃化する
際には、難燃効果を高める目的で用いられる。
【0032】無機化合物(C)として用いる、SiO2
単位が30重量%以上を占める無機化合物としては特に
限定されず、珪酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、珪
酸カルシウム、タルク、マイカ、ワラストナイト、カオ
リン、珪藻土、スメクタイト等が挙げられる。なかで
も、マイカ、タルク、カオリン又はスメクタイトが、得
られる成形品の異方性を抑える効果を有するうえ、耐熱
性や機械的強度にも優れるため好ましい。
【0033】無機化合物(C)は、重量平均粒子径が1
00μm以下の微粒子である。100μmを超えると、
得られる成形品の外観が損なわれたり、樹脂組成物の衝
撃強度が低下する傾向が見られる。好ましくは1nm〜
70μmであり、より好ましくは10nm〜50μmで
ある。なお、本発明における重量平均粒子径とは、粉体
を各種の目開きのマイクロシーブで分級した結果、測定
に供した粉体の全重量の50重量%が通過したマイクロ
シーブの目開きに相当する値で定義されるものである。
【0034】無機化合物(C)の形状については特に限
定されないが、代表的なものとして、粉体状、粒状、針
状、板状等が挙げられる。この無機化合物は天然物であ
ってもよいし、合成されたものであってもよい。天然物
の場合、産地等には特に限定はなく、適宜選択すること
ができる。
【0035】無機化合物(C)は、pHが8.0以上を
示すものである。pHが8.0未満の無機化合物を添加
してもポリカーボネート系樹脂(A)は安定であるた
め、本発明の技術を適用する必要性は小さい。特に本発
明による改良効果が大きいのは、無機化合物(C)のp
Hが8.8以上の場合である。なお、本発明でいうpH
は、JIS K−5101 B法に基づき、デジタルp
H計にて測定した値である。
【0036】このような無機化合物(C)は、樹脂との
接着性を高めるため、シラン処理剤等の各種表面処理剤
で表面処理がなされたものであってもよい。表面処理剤
としては特に限定されず、従来公知のものを使用するこ
とができるが、エポキシシラン等のエポキシ基含有シラ
ンカップリング剤、及び、アミノシラン等のアミノ基含
有シランカップリング剤は、樹脂の物性を低下させるこ
とが少ないため好ましい。その他にもポリオキシエチレ
ンシラン等を用いることができる。表面処理方法として
は特に限定されず、通常の処理方法を利用できる。
【0037】これら無機化合物(C)は、1種類のみを
単独で用いてもよいし、平均粒子径、種類、表面処理剤
等が異なる2種以上を併用してもよい。
【0038】本発明の熱可塑性樹脂組成物における無機
化合物(C)の使用量は、ポリカーボネート系樹脂
(A)及び熱可塑性ポリエステル系樹脂(B)の二成分
の合計100重量部に対して、0.5〜100重量部で
ある。0.5重量部未満であると、得られる成形品の耐
熱性や機械的強度が低下し、100重量部を超えると、
得られる成形品の耐衝撃性や表面性が低下するうえ、溶
融混練時の樹脂との混練が困難となる傾向がある。好ま
しくは1〜70重量部であり、より好ましくは2〜50
重量部である。
【0039】本発明の熱可塑性樹脂組成物には、樹脂組
成物の耐熱性や機械的強度をより高めるため、無機化合
物(C)以外の強化充填剤を更に添加することができ
る。このような強化充填剤としては特に限定されず、例
えば、ガラス繊維、カーボン繊維、金属繊維等の繊維状
強化剤;酸化チタン、酸化鉄等の金属酸化物;炭酸カル
シウム、ガラスビーズ、ガラス粉末、セラミック粉末、
金属粉末、カーボンブラック等が挙げられる。これら強
化充填剤は単独で用いてもよいが、種類、粒子径や長
さ、表面処理等が異なる2種以上を併用してもよい。
【0040】上記強化充填剤は、樹脂との接着性を高め
るため、表面処理がなされていてもよい。このような表
面処理を行うために用いられる表面処理剤としては特に
限定されないが、エポキシシラン等のエポキシ基含有シ
ランカップリング剤が、樹脂の物性を低下させることが
ないため好ましい。表面処理の方法としては特に限定さ
れず、通常の処理方法が用いられる。
【0041】これら強化充填剤を使用する場合、その添
加量は、ポリカーボネート系樹脂(A)と熱可塑性ポリ
エステル系樹脂(B)の合計100重量部に対して、1
00重量以下である。添加量が100重量部を超える
と、耐衝撃性が低下するうえ、成形加工性や難燃性が低
下する場合もある。好ましくは50重量部以下であり、
より好ましくは10重量部以下である。また、これら強
化充填剤の添加量が増加するとともに、成形品の表面性
や寸法安定性が悪化する傾向が見られるため、これらの
特性が重視される場合には、強化充填剤の添加量をでき
るだけ少なくすることが好ましい。
【0042】本発明の熱可塑性樹脂組成物には、本発明
の目的を損なわない範囲で、(A)成分や(B)成分以
外の熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂を更に添加してもよ
い。このような任意成分の樹脂としては特に限定され
ず、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹
脂、ポリスチレン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系
樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリアセタール
系樹脂、ポリサルホン系樹脂;ポリテトラフルオロエチ
レン等のフッ素化ポリオレフィン系樹脂等が挙げられ
る。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用して
もよい。これら任意成分の樹脂を添加した場合には、上
記無機化合物(C)は本発明の熱可塑性樹脂組成物にお
いて、これら任意成分の樹脂中に存在していてもよい。
【0043】この任意成分の樹脂は、得られた成形体の
衝撃強度を高めるために、弾性樹脂であることが望まし
い。得られる樹脂組成物の衝撃強度改良効果に優れてい
ることから、この弾性樹脂は、その少なくとも1つのガ
ラス転移点が0℃以下であることが好ましく、より好ま
しくは−20℃以下である。
【0044】この弾性樹脂として特に限定されず、例え
ば、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエンゴム、アク
リロニトリル−ブタジエンゴム、(メタ)アクリル酸ア
ルキルエステル−ブタジエンゴム等のジエン系ゴム;ア
クリルゴム、エチレン−プロピレンゴム、シロキサンゴ
ム等のゴム状重合体;ポリエチレン、ポリプロピレン等
の各種ポリオレフィン系樹脂;エチレン−エチルアクリ
レート共重合体等の、各種共重合成分により変性された
共重合ポリオレフィン系樹脂;エチレン−グリシジルメ
タクリレート共重合体等の、各種官能成分により変性さ
れた変性ポリオレフィン系樹脂等が挙げられる。
【0045】更にこの弾性樹脂は、得られた成形体の衝
撃強度をより高めるために、上述のジエン系ゴム及び/
又はゴム状重合体10〜90重量部に対して、芳香族ビ
ニル化合物、シアン化ビニル化合物及び(メタ)アクリ
ル酸アルキルエステルからなる群より選択される少なく
とも1つのモノマー10〜90重量部、並びに、これら
と共重合可能な他のビニル系化合物10重量部以下を重
合してなるゴム状共重合体を添加したものであることが
好ましい。
【0046】弾性樹脂を添加する場合、その添加量は、
ポリカーボネート系樹脂(A)と熱可塑性ポリエステル
系樹脂(B)の合計100重量部に対して、通常、15
重量部以下であり、好ましくは0.1〜12重量部であ
り、より好ましくは0.2〜10重量部である。15重
量部を超えると、剛性や耐熱性等が低下する傾向があ
る。
【0047】また、本発明の熱可塑性樹脂組成物をより
高性能なものにするため、フェノール系酸化防止剤、チ
オエーテル系酸化防止剤等の酸化防止剤;リン系安定剤
等の熱安定剤等を、単独又は2種類以上を組み合わせて
添加することが好ましい。更に必要に応じて、一般に良
く知られている、安定剤、滑剤、離型剤、可塑剤、リン
系以外の難燃剤、難燃助剤、紫外線吸収剤、光安定剤、
顔料、染料、帯電防止剤、導電性付与剤、分散剤、相溶
化剤、抗菌剤等を、単独又は2種類以上を組み合わせて
添加してもよい。
【0048】本発明の熱可塑性樹脂組成物においては、
無機化合物(C)の全粒子のうち、総粒子数×
[{(B)の添加量}/{(A)の添加量+(B)の添
加量}]×1.8以上の数の粒子が、ポリカーボネート
系樹脂相以外の相中に存在する。このことにより、得ら
れた熱可塑性樹脂組成物を高温で成形加工する際の熱安
定性が高められる。なかでも、無機化合物(C)の全粒
子のうち、総粒子数×70%と、総粒子数×[{(B)
の添加量}/{(A)の添加量+(B)の添加量}×
2]とのより大きいほうの数以上の粒子が、ポリカーボ
ネート系樹脂相以外の相中に存在することが好ましい
(ただしこの場合には、(A)の添加量/(B)の添加
量は99/1〜51/49の範囲にある)。より好まし
くは、無機化合物(C)の全粒子のうち、総粒子数×8
0%と、総粒子数×[{(B)の添加量}/{(A)の
添加量+(B)の添加量}]×2とのより大きいほうの
数以上の粒子が、ポリカーボネート系樹脂相以外の相中
に存在する(ただしこの場合には、(A)の添加量/
(B)の添加量は99/1〜51/49の範囲にあ
る)。無機化合物(C)がポリカーボネート系樹脂相以
外の相に存在する割合が大きいほど、高温加工時の熱安
定性は改良される傾向がある。
【0049】無機化合物(C)の粒子数の測定は、本発
明の熱可塑性樹脂組成物を切削した切削表面を、透過型
電子顕微鏡により観察し、その視野内に見られる無機化
合物(C)の粒子数(無機化合物(C)の全粒子数、及
び、ポリカーボネート系樹脂相以外の相に存在する無機
化合物(C)の粒子数)を計測することによって行う
(ここで、ポリカーボネート系樹脂相と、これ以外の相
とは、電子顕微鏡で識別が可能である)。なお、この組
成物の製造方法によっては、その表層付近と内部とで粒
子の分散状態が異なることがあるので、表層付近(表層
から約50μm付近)、中心部及びこれら両者の中間付
近という3箇所にて透過型電子顕微鏡による測定を行
い、これら3点で計測された値の平均値を無機化合物
(C)の粒子数として用いる。また、測定に用いる電子
顕微鏡画像の視野の広さは、無機化合物(C)の平均粒
子径の約100倍四方の面積であることが好ましい。
【0050】本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法と
しては特に限定されるものではない。例えば、上述した
成分や添加剤等を乾燥させた後、単軸、2軸等の押出機
のような溶融混練機にて溶融混練することにより製造す
ることができる。また、配合成分が液体である場合は、
液体供給ポンプ等を用いて溶融混練機に途中添加して製
造することもできる。
【0051】好ましい製造方法としては、本発明の熱可
塑性樹脂組成物を混練装置にて製造するにあたって、混
練装置根元に設けた第一供給口、上記第一供給口の下流
に設けた第二供給口、及び、上記第一供給口と上記第二
供給口との間で上記第二供給口により近い位置に設けら
れ大気圧に開放されたベント口を少なくとも備えた混練
装置を使用して、上記組成物の原料のうち上記無機化合
物(C)の添加量の30重量%以上は上記第二供給口よ
り供給し、一方、残りの原料は上記第一供給口より供給
することからなる製造方法である。
【0052】本発明の製造方法は、典型的には、例えば
図1に示す装置を用いて行うことができる。図1中、第
一供給口1に、(A)成分、(B)成分及び70重量%
以下の(C)成分を投入する。投入された原料は、混練
装置の中を下流方向に運搬、混練されて移動する。第二
供給口3から、30重量%以上の(C)成分を供給す
る。第一供給口1と第二供給口3との間で、第二供給口
3に近い位置にベント口2を設け、これを大気圧に開放
する。原料は混練されつつ下流に運搬されて、取り出し
口5から取り出される。
【0053】このような製造方法を用いることにより、
ポリカーボネート系樹脂(A)と熱可塑性ポリエステル
系樹脂(B)との混練を充分に行いつつも、無機化合物
(C)はポリカーボネート系樹脂相内には進入しにくく
なるため、上述のような無機化合物(C)の分散状態を
有する熱可塑性樹脂組成物を容易に製造することができ
る。特に、無機化合物(C)を(A)成分及び(B)成
分と共通の供給口より全量一括して供給する場合や、無
機化合物(C)を第二供給口より供給しても大気圧に解
放されたベント口を用いない場合に比べて、無機化合物
(C)の樹脂相内での分散制御を容易に行うことができ
る。
【0054】この製造方法では、第二供給口より供給す
る無機化合物(C)の量は、無機化合物(C)の全添加
量のうち30重量%以上であるが、50重量%以上であ
ることが好ましく、より好ましくは70重量%以上であ
り、無機化合物(C)の全添加量を第二供給口より供給
することもできる。
【0055】上記混練装置において、大気圧に開放され
たベント口2の位置は、第一供給口1と第二供給口3と
の間で、第二供給口3により近い位置であれば特に限定
されない。また、第二供給口3より下流に、減圧された
ベント口4を更に設けることもできる。
【0056】本発明の製造方法で用いられる混練装置と
しては特に限定されず、公知の混練装置を使用すること
ができ、具体的には、例えば、日本製鋼所製TEX44
同方向噛み合い型二軸押出機等が挙げられる。なかで
も、ポリカーボネート系樹脂(A)と熱可塑性ポリエス
テル系樹脂(B)との混練を充分に行うために、二軸押
出機が好ましい。二軸押出機としては特に限定されず、
従来公知のものを使用することができる。スクリューの
回転は同一方向のものでもよいし、反対方向のものでも
よい。この二軸押出機は、第一供給口1と第二供給口3
との間に、ニーディングディスク又は逆ネジ構造等の、
樹脂を滞留させる構造を有しているものがより好まし
い。このような樹脂を滞留させる構造のすぐ下流部に、
大気圧に開放されたベント口2を設けてもよい。
【0057】本発明の製造方法において、混練装置のス
クリュー回転数は、一般に、20〜500rpmであ
る。また、設定温度は、一般に、第一供給口から第二供
給口までの区間では常温〜300℃の範囲で適宜設定
し、第二供給口以降では250〜300℃である。混練
装置中の樹脂の滞留時間は、0.1〜10分であっても
よい。
【0058】本発明の熱可塑性樹脂組成物の成形加工法
としては特に限定されず、例えば、熱可塑性樹脂につい
て一般に用いられている成形法、例えば、射出成形、ブ
ロー成形、押出成形、真空成形、プレス成形、カレンダ
ー成形等が利用できる。
【0059】
【実施例】以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説
明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるもの
ではない。また、以下は特に断りがない限り、「部」は
重量部を、「%」は重量%を示す。
【0060】実施例1 粘度平均分子量22000のビスフェノールA型ポリカ
ーボネート樹脂70部、相対粘度0.70のポリエチレ
ンテレフタレート30部、その他の樹脂としてEEA樹
脂(三井デュポンポリケミカル社製エバフレックスEE
A A709)2部、並びに、安定剤としてアデカスタ
ブEP−22、アデカスタブAO−60及びアデカスタ
ブHP−10(いずれも旭電化製商品名)各0.2部を
スーパーフローターにて混合した後、日本製鋼所製TE
X44同方向噛み合い型二軸押出機のスクリュー根本付
近に設けられた第一供給口であるホッパーより投入し
た。第二供給口の手前位置に、スクリューに角度90℃
のニーディングディスクを挿入し、ニーディングディス
ク部が終了した位置に、大気圧に開放されたベント口を
設けた。ベント口のすぐ隣にサイドフィーダーを設置
し、サイドフィーダーにて第二供給口よりマイカ(山口
雲母製A−21S、重量平均粒子径20μm、pH=
9.0)20部を強制圧入した。第二供給口とスクリュ
ー先端との中間部に、減圧ポンプに接続された減圧ベン
ト口を設けた。スクリュー回転数150rpm、時間あ
たり吐出量を60kg/hrに設定した。設定温度は第
一供給口近傍が100℃で、順次設定温度を上昇させ、
ニーディングディスク部手前を270℃に設定した。ニ
ーディングディスク部から大気圧開放ベント口までを2
70℃に、大気圧開放ベント口から第二供給口までを2
65℃に、第二供給口からスクリュー先端部までを26
0℃に設定した。本条件にて評価用サンプルペレットを
得た。
【0061】比較例1 実施例1と同じ配合成分を用いた。混練機として石中鉄
工所製80mm単軸押出機HS80を用い、(スクリュ
ーには滞留構造を有する部位を有しない)第一供給口よ
り全ての配合成分を一括して投入した。スクリュー先端
手前に、減圧ポンプに接続された減圧ベント口を設け
た。スクリュー回転数200rpm、時間あたり吐出量
を180kg/hrに設定した。設定温度は実施例1と
同様の傾向となるよう設定した。本条件にて評価用サン
プルペレットを得た。
【0062】粒子存在比 得られた直径約3.6mmのペレットを中央部で切断
し、切片のペレット表面から50μm、ペレット中心
部、及び、ペレット中心部から約1mmという3箇所で
透過型電子顕微鏡による観察を行った。3つの画像でそ
れぞれポリカーボネート相内に存在する無機粒子(マイ
カ)の数、及び、ポリカーボネート相以外に存在する無
機粒子(マイカ)の数を計測し、(3つの画像で計測さ
れたポリカーボネート相以外に存在する無機粒子の数の
合計)/(3つの画像で計測された無機粒子の数の合
計)の数値を算出した。
【0063】[試験片の成形]得られた各サンプルペレ
ットを、設定温度を280℃とした東芝75t成形機に
投入し、成形サイクル30秒にて127mm×12.7
mm×厚み3.2mm試験片を成形した。また、温度条
件等を同一にして、成形サイクル30分にて同様に試験
片を成形した。
【0064】衝撃試験 試験片を中央で切断した後、ノッチ無しアイゾッド試験
にてアイゾッド衝撃強度を測定した。各試験片に関し
て、(サイクル30分により得られた試験片の衝撃試験
値)/(サイクル30秒により得られた試験片の衝撃試
験値)×100の値を求めた。この結果を表1に示す。
この数値が大きいほど、樹脂組成物の滞留熱安定性が優
れている。
【0065】分子量 得られた成形品を粉砕後、クロロホルム溶媒中で1日攪
拌した。得られた溶液で、GPC測定装置(溶媒クロロ
ホルム、RI検出装置)によりポリスチレン換算で樹脂
の分子量を測定した。各試験片に関して、(サイクル3
0分により得られた試験片に含まれる樹脂の重量平均分
子量)/(サイクル30秒により得られた試験片に含ま
れる樹脂の重量平均分子量)×100の値を求めた。こ
の結果を表2に示す。この数値が大きいほど、樹脂組成
物の滞留熱安定性が優れている。
【0066】
【表1】
【0067】実施例2及び比較例2 実施例1及び比較例1のマイカ(山口雲母性A−21
S)の代わりに、モンモリロナイト(クニミネ工業社製
クニピア−F、重量平均粒子径20μm、pH=10.
0)100部に対してγ−アミノプロピルトリエトキシ
シラン1部で表面処理したものを用い、その添加量を3
部としたこと以外は、実施例1及び比較例1と同様の製
造方法及び評価方法を実施した。この結果を表2に示
す。
【0068】
【表2】
【0069】表1及び表2の結果から、本発明の熱可塑
性樹脂組成物は、高温での成形加工時の滞留熱安定性に
優れていることが分かる。
【0070】
【発明の効果】本発明は、上述の構成よりなるので、熱
可塑性樹脂組成物の剛性、寸法安定性、表面性、低線膨
張率等を改善するために塩基性の無機化合物を添加して
も、高温での成形加工時の滞留熱安定性に優れた熱可塑
性樹脂組成物が得られる。このような熱可塑性樹脂組成
物は、家電、OA機器部品、AV機器部品等の射出成形
品等に好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法に使用可能な混練装置の一例
を示す側面図である。
【符号の説明】
1;第一供給口 2;大気圧に開放されたベント口 3;第二供給口 4;減圧されたベント口 5;取り出し口 6;駆動モーター

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリカーボネート系樹脂(A)及び熱可
    塑性ポリエステル系樹脂(B)を、(A)/(B)の重
    量比が45/55〜99/1の割合で含有し、かつ、
    (A)と(B)との合計100重量部に対して、pHが
    8.0以上であり、SiO2 単位が30重量%以上を占
    める、重量平均粒子径が100μm以下の無機化合物
    (C)0.5〜100重量部を含有する熱可塑性樹脂組
    成物であって、前記無機化合物(C)の全粒子のうち、
    総粒子数×[{(B)の添加量}/{(A)の添加量+
    (B)の添加量}]×1.8以上の数の粒子が、ポリカ
    ーボネート系樹脂相以外の相中に存在することを特徴と
    する熱可塑性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物を混
    練装置にて製造するにあたって、混練装置根元に設けた
    第一供給口、前記第一供給口の下流に設けた第二供給
    口、及び、前記第一供給口と前記第二供給口との間で前
    記第二供給口により近い位置に設けられ大気圧に開放さ
    れたベント口を少なくとも備えた混練装置を使用して、
    前記組成物の原料のうち無機化合物(C)の添加量の3
    0重量%以上は前記第二供給口より供給し、一方、残り
    の原料は前記第一供給口より供給することを特徴とす
    る、熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  3. 【請求項3】 混練装置は二軸押出機である請求項2記
    載の製造方法。
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