JP2948849B2

JP2948849B2 - ガスバッグのカバー体

Info

Publication number: JP2948849B2
Application number: JP2029342A
Authority: JP
Inventors: 和弘金子
Original assignee: NIPPON PURASUTO KK
Current assignee: NIPPON PURASUTO KK
Priority date: 1990-02-08
Filing date: 1990-02-08
Publication date: 1999-09-13
Anticipated expiration: 2014-09-13
Also published as: JPH03235738A

Description

【発明の詳細な説明】（産業上の利用分野）本発明は、自動車等において、乗員を衝突等の衝撃か
ら保護するガスバッグのカバー体に関する。

（従来の技術）自動車において、乗員を衝突等の衝撃から保護するガ
スバッグ装置が知られている。

このガスバッグ装置は、たとえば実開昭63−201862号
公報に示されているように、ステアリングホイールの中
央のボス部において、通常時は、折畳まれた状態のガス
バッグ（袋体）を軟質合成樹脂から成るカバー体（ケー
シング）で覆っておき、衝突等の際には、衝撃により、
ガス発生器（インフレータ）からガスを発生させ、この
ガスをガスバッグに流入させて膨張させ、この膨張の途
中で、ガスバッグの圧力により、カバー体を破断させる
ことによって、ガスバッグをカバー体から突出させ、こ
のガスバッグの突出によって、乗員がステアリングホイ
ールのリム部や前方のガラス等に衝突するのを防止する
とともに、衝撃を吸収する働きをするものである。

そして、上記カバー体（ケーシング）には溝をＨ字状
に設けることにより、ガスバッグの膨張によって破断さ
れる薄肉部から成るＨ字状の破断ラインを形成し、この
Ｈ字状の破断ラインのうち中央部を通る左右方向の破断
ラインの上下両側部をガスバッグの膨張によって扉状に
開くようにしてある。

しかしながら、このような構造では、カバー体（ケー
シング）の肉厚の５〜10mmに対して薄肉部の肉厚を0.5
〜2mm程度にするため、折畳まれて圧縮されたガスバッ
グ（袋体）からカバー体が圧力を受けることにより、通
常時に、カバー体の破断ライン部分が溝による薄肉部を
中心に盛上がるという問題があり、とくに、中央部を通
る左右方向の破断ラインに沿った盛上がりが強く現われ
るため、視覚的に見苦しく、触覚的にも違和感を与える
という問題もあり、これをごまかすために、意匠的な処
理等を行なう必要があった。

また、たとえば特開昭63−182115号公報に示されてい
るように、このようなカバー体（パッド）では、中央部
を通る左右方向の破断ラインの両側部にネット等のシー
ト状の補強体を埋設しておき、カバー体の破断時に、破
断ライン以外の部分に破断が生じるのを防止するととも
に、カバー体が細かく破断されて飛散するのを防止して
いる。

そして、このネット等のシート状の補強体の埋設に当
たっては、カバー体（パッド）を成形する金型の内面に
突設した複数の突起に補強体の遊端部を引掛けることに
より、補強体を所定の位置に張設しておき、この状態
で、金型に軟質合成樹脂を注入してカバー体（パッド）
を成形するようにしている。

しかしながら、このようなネット等のシート状の補強
体は、可撓性及び柔軟性を有するため、その遊端部を複
数の突起に引掛けて所定の位置に張設する作業が面倒
で、補強体の位置がずれたり弛んだりし易く、樹脂の注
入時に突起から補強体が外れることもあるため、ネット
等のシート状の補強体がカバー体の表面に露出すること
があり、破断ライン以外の部分が破断する心配もある。

（発明が解決しようとする課題）上述したように、従来のガスバッグのカバー体では、
折畳まれて圧縮されたガスバッグからカバー体が圧力を
受けることにより、通常時に、カバー体の破断ライン部
分が溝による薄肉部を中心に盛上がるという問題があ
る。

また、従来のガスバッグのカバー体では、その成形に
際して、金型の複数の突起にシート状の補強体の遊端部
を引掛けて所定の位置に張設する作業が面倒で、補強体
の位置がずれたり弛んだりし易く、樹脂の注入時に突起
から補強体が外れることもあるため、ネット等のシート
状の補強体がカバー体の表面に露出することがあり、破
断ライン以外の部分が破断する心配もある。

本発明は、このような点に鑑みなされたもので、ガス
バッグのカバー体に破断ラインに沿った強い盛上がりが
現われるのを阻止すること、及び、補強体を確実に所定
の位置に埋設することを目的とするものである。

（課題を解決するための手段）請求項１記載のガスバッグのカバー体は、ガスの流入
により展開して膨張するように折畳まれたガスバッグを
覆う覆部と、この覆部に形成され上記ガスバッグの膨張
により破断される破断ラインとを備えたカバー体であっ
て、上記覆部は、軟質合成樹脂の表皮材と、この表皮材
に上記破断ラインに沿って埋設された破断枠とを備え、
この破断枠は、上記表皮材が剥離可能に密着した剥離面
を備え、この剥離面は、上記覆部の肉厚方向に沿って形
成され、この破断枠の表面側の端縁部と上記カバー体の
表面との間が、上記覆部の他の部分より表皮材の肉厚の
薄い薄肉部となるものである。

請求項２記載のガスバッグのカバー体は、請求項１記
載のガスバッグのカバー体において、破断枠は、少なく
とも一部が表皮材の裏面側に露出するものである。

請求項３記載のガスバッグのカバー体は、請求項１ま
たは２記載のガスバッグのカバー体において、カバー体
の破断ライン以外の部分を補強する補強体を破断枠に連
続して設け、この補強体を表皮材に埋設したものであ
る。

（作用）請求項１記載のガスバッグのカバー体では、カバー体
の覆部の破断ラインを、表皮材の肉厚の薄い薄肉部と、
この表皮材に埋設された破断枠とにより形成したので、
覆部の肉厚を破断ラインに沿って薄く形成する必要がな
く、通常時に、折畳まれて圧縮されているガスバッグか
らカバー体が圧力を受けても、破断ラインが変形しにく
くなり、外観が向上する。また、ガスバッグの膨脹時に
は、覆部の肉厚方向に沿って圧力が加わり、覆部の肉厚
方向に沿って形成された破断枠の剥離面が表皮材から剥
離するとともに、表皮材の薄肉部が破断することによっ
て、カバー体が確実に破断ラインに沿って破断する。

請求項２記載のガスバッグのカバー体では、請求項１
記載の作用に加え、破断枠は、少なくとも一部が表皮材
の裏面側に露出するので、成形用の金型内で所定の位置
に容易に固定される。

請求項３記載のガスバッグのカバー体では、請求項１
または２記載の作用に加え、カバー体の破断ライン以外
の部分を補強する補強体を破断枠に連続して設け、この
補強体を表皮材に埋設したので、成形用の金型内で補強
体は破断枠を介して所定の位置に固定されるので、補強
体がカバー体の表面に露出することがなく、ガスバッグ
の膨脹時に破断ライン以外の部分が破断する心配もな
い。

（実施例）本発明のガスバッグのカバー体の実施例を図面を参照
して説明する。

第５図は自動車のステアリングホイールを示し、この
ステアリングホイールは、円環状のリム部１の中央部に
複数のスポーク部２を介してボス部３を設けたもので、
ボス部３は、第１図に示すように、図示しない自動車の
ステアリングシャフトに嵌着して固定される金属製の円
筒状のボス４を有し、このボス４の上部に金属製のボス
プレート５が溶接によって固着されている。

そして、上記ボス部３の上部にはガスバッグ装置10が
配設されている。このガスバッグ装置10では、上記ボス
プレート５の上に図示しない取付手段を介してベースプ
レート11を取付け、このベースプレート11の円形の開口
部12の周辺部の上にガスバッグ13の円形の開口部14の周
辺部を円環状の固定板15及び複数のリベット、ねじなど
の固定具16によって固定してある。

また、このガスバッグ装置10では、上記ベースプレー
ト11の開口部12にガス発生器20を配設し、このガス発生
器20の外周のフランジ部21を上記ベースプレート11の開
口部12の周辺部の下に上記固定具16によって固定してあ
る。

なお、ガスバッグ13は折畳まれた状態で配設されてお
り、このガスバッグ13の内部に位置するガス発生器20の
上側部分にはガスを吹出する複数の吹出口22が設けられ
ている。

さらに、このガスバッグ装置10では、上記ベースプレ
ート11の外周縁部に上記ガスバッグ13を覆うカバー体25
が固定されている。このカバー体25は、ベースプレート
11に固定された短い筒部26と、この筒部26の上部を閉塞
した覆部としての平板部27とを、たとえば発泡ウレタン
等の比較的に虚弱で弾性を有する軟質合成樹脂により一
体に成形したものである。

そして、このカバー体25には、上記発泡ウレタン等の
軟質合成樹脂を表皮材30として、上下一対の補強体とし
ての補強板31,32とこの補強板31,32の周囲に一体に形成
された破断枠33,34が埋設されている。

この補強板31,32と破断枠33,34は、第２図に示すよう
に、比較的に強靭で抗張力の高いポリプロピレンやナイ
ロン等の合成樹脂で一体成形され、補強板31,32には表
皮材30の軟質合成樹脂が入込む通孔35が多数形成され、
破断枠33,34は、カバー体25の平板部27にガスバッグ13
の膨張によって破断される第５図に示すＨ字状の破断ラ
イン36を構成するように、補強板31,32の周囲に垂直状
のリブとして形成されている。

そして、破断枠33,34は、補強板31,32の周囲に垂直状
のリブとして形成されているので、第３図に示すよう
に、その端縁部とカバー体25の表面の間に表皮材30の薄
肉部37を形成し、その外面は表皮材30の軟質合成樹脂に
対する剥離面38となっている。

ここで、破断枠33,34の剥離面38は、破断枠33,34及び
補強板31,32全体を表皮材30に対する接着力が少ないも
ので形成したり、破断枠33,34及び補強板31,32全体ない
しは剥離面38だけにふっ素その他の離型剤をコーティン
グして表皮材30に対する接着力を無くすことで形成する
ことができる。

なお、上下一対の破断枠33,34のうちの一方、ここで
は下側の破断枠34においては、上側の破断枠33に対向す
る水平部分34aの高さを低くし、これによって、この破
断枠34の水平部分34aの上部の表皮材30はとくに薄肉部3
7となっておらず、対向した上側の破断枠33の水平部分3
3aだけで表皮材30の薄肉部37を形成してあり、これとと
もに、この下側の破断枠34の水平部分34aの外面はとく
に剥離面38とする必要はない。

このような構成により、自動車の衝突事故等によっ
て、図示しない衝撃感知センサが作動して、ガス発生器
20からガスバッグ13の内部にガスを急激に放出し、この
ガスにより、ガスバッグ13が急速に展開して膨張し、こ
の膨張途中に、その膨張圧力によって第４図に示すよう
に、カバー体25の破断枠33,34の剥離面38と表皮材30が
剥離し、最終的に、この剥離面38の上側の薄肉部37が破
断し、これによって、カバー体25が破断ライン36に沿っ
て破断し、Ｈ字状の破断ライン36のうちの中央部の左右
方向の水平部分36aの上下両側部が扉状に開き、ガスバ
ッグ13がカバー体25から突出して運転者に向かって展開
し、この展開したガスバッグ13によって、運転者がステ
アリングホイールのリム部１や前方のガラスに衝突する
のを防止するとともに、衝突の際の衝撃を吸収する。

そして、このガスバッグ13の展開の際、補強板31,32
がカバー体25の破断ライン36以外の部分に埋設されてい
るため、破断ライン36以外の箇所に破断が生じるのを確
実に防止でき、破断時における破片の飛散をも確実に防
止することができる。

また、通常の状態では、カバー体25は、折畳まれて圧
縮されているガスバッグ13からの圧力を受けるが、ここ
では、従来の溝に相当する部分を破断枠33,34が隙間な
く埋めている構造となっていて、この破断枠33,34が潰
れ難いため、破断ライン36が盛上がることがない。

そして、このカバー体25の製造に際しては、予め一体
成形しておいた補強板31,32及び破断枠33,34を表皮材30
を成形する金型内に装着し、この金型内に表皮材30の軟
質合成樹脂を注入するが、金型内で破断枠33,34を介し
て補強板31,32を所定の位置に固定できるので、金型内
で補強板31,32の位置がずれたりすることがなく、した
がって、補強板31,32を表皮材30の所定位置に確実に埋
設することができるので、補強板31,32がカバー体25の
表面に露出することがなく、ガスバッグ13の膨脹時に破
断ライン36以外の部分が破断する心配もない。

なお、この実施例では、補強体として補強板31,32を
用い、この補強板31,32を破断枠33,34と一体に形成した
が、第６図に示すように、補強体としてシート状の補強
ネット41,42を用い、この補強ネット41,42を破断枠33,3
4に複数のリベット43等の連結部材で取付けるようにし
ても、同様の効果を奏する。

そして、とくに、柔軟性がある補強ネット41,42を用
いる場合にも、この補強ネット41,42を事前に破断枠33,
34に確実に取付けて所定の状態に張設しておくことがで
きるので、表皮材30を成形する金型内で破断枠33,34を
介して補強ネット41,42を所定の位置に固定でき、この
ため、金型内で補強ネット41,42の位置がずれたり弛ん
だりすることがなく、樹脂の注入時に破断枠33,34から
補強ネット41,42が外れる心配もないため、補強ネット4
1,42を表皮材30の所定位置に確実に埋設することがで
き、したがって、補強ネット41,42がカバー体の表面に
露出することがなく、ガスバッグ13の膨脹時に破断ライ
ン36以外の部分が破断する心配もない。

なお、表皮材30を成形する金型内で破断枠33,34を所
定の位置に固定する方法としては、第７図に示すよう
に、上下一対の破断枠33,34の複数箇所を連結部51で連
結し、この複数の連結部51及び必要に応じて破断枠33,3
4の他の部分にそれぞれ係止突起52を形成し、この係止
突起52を金型53の所定位置に形成した係止孔54に係止し
たり、第８図に示すように、上下一対の破断枠33,34の
複数箇所を連結した連結部51及び必要に応じて破断枠3
3,34の他の部分にそれぞれ係止孔55を形成し、この係止
孔55を金型53の所定位置に形成した係止突起56に係止し
たりする方法がある。

なお、上述した実施例は、ステアリングホイールのボ
ス部３にガスバッグ装置10を設けた例であるが、インス
トルメントパネルにガスバッグ装置を設けるものに適用
することもできる。

（発明の効果）請求項１記載のガスバッグのカバー体によれば、カバ
ー体の覆部の破断ラインを、表皮材の肉厚の薄い薄肉部
と、この表皮材に埋設された破断枠とにより形成したた
め、覆部の肉厚を破断ラインに沿って薄く形成する必要
がなく、通常時に、折畳まれて圧縮されているガスバッ
グからカバー体が圧力を受けても、破断ラインが変形し
にくくなり、外観を向上できる。また、ガスバッグの膨
脹時には、覆部の肉厚方向に沿って圧力が加わり、覆部
の肉厚方向に沿って形成された破断枠の剥離面が表皮材
から剥離するとともに、表皮材の薄肉部が破断すること
によって、カバー体を確実に破断ラインに沿って破断で
きる。

請求項２記載のガスバッグのカバー体によれば、請求
項１記載の効果に加え、破断枠は、少なくとも一部が表
皮材の裏面側に露出するため、成形用の金型内で所定の
位置に容易に固定できる。

請求項３記載のガスバッグのカバー体によれば、請求
項１または２記載の効果に加え、カバー体の破断ライン
以外の部分を補強する補強体を破断枠に連続して設け、
この補強体を表皮材に埋設したため、成形用の金型内で
補強体を破断枠を介して所定の位置に固定でき、とく
に、柔軟性があるネット等のシート状の補強体を用いる
場合にも、この補強体を事前に破断枠に確実に取付けて
おくことができるので、金型内で補強体の位置がずれた
り弛んだりすることがなく、樹脂の注入時に破断枠から
補強体が外れる心配もないため、補強体がカバー体の表
面に露出することがなく、ガスバッグの膨脹時に破断ラ
イン以外の部分が破断する心配もない。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第５図は本発明のガスバッグのカバー体の
一実施例を示し、第１図はステアリングホイールのガス
バッグ部分の断面図、第２図はそのカバー体の破断枠の
斜視図、第３図はそのカバー体の一部の断面図、第４図
は破断した状態のカバー体の一部の断面図、第５図はス
テアリングホイールの平面図であり、第６図は他の実施
例を示すカバー体の一部の断面図、第７図及び第８図は
それぞれ他の実施例を示す破断枠の斜視図である。 13……ガスバッグ、25……カバー体、27……覆部として
の平板部、30……表皮材、31,32……補強体としての補
強板、33,34……破断枠、36……破断ライン、37……薄
肉部、38……剥離面、41,42……補強体としての補強ネ
ット。

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】ガスの流入により展開して膨張するように
折畳まれたガスバッグを覆う覆部と、この覆部に形成さ
れ上記ガスバッグの膨張により破断される破断ラインと
を備えたカバー体であって、上記覆部は、軟質合成樹脂の表皮材と、この表皮材に上
記破断ラインに沿って埋設された破断枠とを備え、この破断枠は、上記表皮材が剥離可能に密着した剥離面
を備え、この剥離面は、上記覆部の肉厚方向に沿って形成され、この破断枠の表面側の端縁部と上記カバー体の表面との
間が、上記覆部の他の部分より表皮材の肉厚の薄い薄肉
部となることを特徴とするガスバッグのカバー体。
【請求項２】破断枠は、少なくとも一部が表皮材の裏面
側に露出することを特徴とする請求項１記載のガスバッグのカバー
体。
【請求項３】カバー体の破断ライン以外の部分を補強す
る補強体を破断枠に連続して設け、この補強体を表皮材
に埋設したことを特徴とする請求項１または２記載のガ
スバッグのカバー体。