JP2943509B2 - 無段変速機用ブロック - Google Patents

無段変速機用ブロック

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は自動車の無段変速機の伝
導用ベルトの部品である無段変速機用ブロックに関す
る。
【0002】
【従来の技術】自動車の無段変速機(CVT)は、図9
および図10に示すように、エンジンからの回転を受け
る駆動軸と出力軸に、幅を変更することのできるV型の
駆動プーリ1と従動プーリ2とを備え、この駆動プーリ
1と従動プーリ2の間に駆動ベルト3が掛装されて動力
が伝達される。駆動ベルト3はエンドレス状のフープa
と、このフープaの長さ方向に直列に配設されかつワイ
ヤで接続されたブロックbとからなる。
【0003】そして、各プーリ1および2の幅を関連さ
せて変化させることにより、各プーリの溝に対するブロ
ックbの接触位置を各プーリの半径方向に変化させ、そ
の結果回転比すなわち減速比を無段的に変化させるもの
である。
【0004】この無段変速機のプーリやブロック等の各
部品には、従来から鉄系金属が用いられ、比重が大きい
ため、高速回転中の遠心力や異常振動、あるいは接触す
る際の衝撃により、接触部での摩耗が激しく、その上変
速制御の応答性にも劣っていた。
【0005】そこで、特開昭62−155351号公報
においては、ベルト要素およびブロックをチタンまたは
チタン合金で形成すると共に、これら部材の一部に表面
処理層をコーティングする無段変速機用伝導ベルトの提
案がなされている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、チタン
合金の硬さはHV380程度の低硬度であって、CVT
の伝導用ベルトのブロックとして使用した場合、表面処
理層を形成しなかった場合は勿論のこと、表面処理層を
形成した場合でも、ブロック摺動面の摩耗が大きい。そ
のため、初期摺動面の表面凹凸は摩耗するので、ブロッ
クとプーリ間の摩擦係数が低下し、ブロックとプーリの
間でスリップが生じ、出力の低下のおそれがある。
【0007】また、ブロックの摩耗は、駆動ベルトとプ
ーリ間の押付力増加と共に増大するので、チタン合金母
材そのままでは、CVTの容量アップに対応する押付力
を増加することができない。このため、軽量化による慣
性重量の低減にもかかわらずCVTの容量アップができ
ない。さらに、鋼製ブロックの疲労強度は18kgf/
mm2であるが、チタン合金母材の疲労強度は6〜10
kgf/mm2と低い。このため、駆動ベルトとプーリ
間の押付力の上限が制限され、CVTの容量アップが出
来ない等の問題点がある。
【0008】本発明はチタン合金からなる無段変速機用
ブロックが耐摩耗性に劣り、軽量化による慣性重量の低
減にもかかわらずCVTの容量アップができないという
前記のごとき問題点を解決するためになされたものであ
って、それ自身が耐摩耗性を有すると共に、相手材であ
るプーリを摩耗させずに、CTVの容量アップを達成す
ることのできる無段変速機用ブロックを提供することを
目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】発明者等は先ずチタン合
金製の無段変速機用ブロックの耐摩耗性に劣る原因が摺
動面での硬度不足にあることに鑑み、チタン合金母材の
表面硬度を向上させることを着想し、チタン合金母材の
表面硬度と耐摩耗性について鋭意研究を重ねた。その結
果、表面硬度をHV600以上とすることにより、耐摩
耗性が著しく向上すること、および表面硬度がHV70
0を越えると、表面層が脆くなり剥離が生じて却って耐
摩耗性が低減することを新たに知見した。
【0010】また、ブロックの耐久性をさらに高めるた
め、表面処理層についても、その被覆方法、材料および
特性等について検討を重ねた。その結果、一定の硬度を
有するNiを基とするめっき層が、チタン合金母材を変
質させずに表面に被覆でき、かつ耐摩耗性と共に相手攻
撃性に優れていることを見出した。
【0011】本発明はこれら前記の知見に基づいて完成
されたものであって、本発明の無段変速機用ブロック
は、チタン合金からなる無段変速機用ブロックであっ
て、該ブロック母材表面硬度を600〜700(HV)
とし、さらにその表面に表面硬度が710〜790(H
V)のNiを基とするめっき層を被覆したことを要旨と
する。
【0012】本発明が適用されるチタン合金は、Tiに
α安定化元素であるAlとβ安定化元素であるV、M
o、Nb、Ta等を添加し、常温においてα相とβ相と
からなるα+β型合金、あるいはTiにβ安定化元素を
添加したβ型合金のいずれでも構わない。α+β型合金
は合金元素の種類および添加量によって任意の強さの合
金が得られ、また加工と熱処理によって、結晶粒の形状
などに対応した強力な合金が得られる。また、β型合金
は熱処理によって高強度のものが得られるが、溶体化処
理の状態で冷間加工性に優れる。α+β型合金としては
例えば汎用高力チタン合金として最も多く使用されるT
i−6Al−4V合金をベースとして、Vを多く添加し
冷間加工性を向上させた材料が用いられる。
【0013】チタン合金製のブロック母材表面の硬化処
理方法は、特に限定されないが例えば酸化処理法または
窒化処理法を用いることができる。酸化処理法により表
面硬化を行う場合の処理条件は、チタン合金の合金成分
によって多少変化するが、例えばAl;3.5〜4.5
%、V;21.0〜23.0%、Fe;0.6〜1.0
%、O;0.2%以下、C;0.1%以下、N;0.0
5%以下、Li;0.01%以下、残部Tiであるチタ
ン合金を用いた場合、温度750℃〜800℃、保持時
間0.25〜1時間である。酸化処理温度が800℃以
上または1時間以上になると、母材組織の粗大化が進行
し、疲労強度が低下する。また、処理温度が750℃以
下または保持時間が0.25時間以下であると、摺動面
にTiO2およびTiOが生成しないので、所望の硬度
が得られない。図3は750℃で0.5時間の酸化処理
を行った時の摺動面の金属組織を表す100倍の顕微鏡
写真である。生成されたTiO2は硬度がHV1000
以上と非常に硬いが、ポーラス層を形成し非常に脆い層
である。
【0014】酸化処理を行った場合は、表面のTiO2
層を除去するために、ショットピーニング加工を行う必
要がある。ブロック母材の硬度はHV350〜400程
度の範囲であるが、ショットピーニング加工により表面
のTiO2層が除去されTiOが表層にあると、硬さは
HV600〜700となる。HV700以上になると表
層にはTiO2が残っている。またHV600以下にな
ると、TiO層の殆どがショットピーニングにより除去
される。
【0015】図4は、投射機:直圧エアーブラストマシ
ン、投射圧力:0.5〜0.6MPa、投射距離:20
0〜300mm、投射材:スチールビーズ(0.177
〜0.350mm)で表面のTiO2層を除去した後の
表面からの距離と硬さの関係を示す線図である。
【0016】また、ブロック母材は表面硬化処理によ
り、結晶粒が粗大化し、疲労強度が低下することがある
ので、この組織を微細化し、疲労強度を向上させるため
に、必要に応じて時効処理をする。時効処理は例えば5
00℃×5〜10時間であって、さらに疲労強度を向上
させるために、400℃×10〜20時間の低温時効を
施してもよい。図5は時効処理前後の疲労強度を示す図
であって、時効処理により疲労強度が向上することが示
されている。また、図6は時効処理後のブロック母材の
金属組織を表す100倍の顕微鏡写真であって、時効処
理により結晶組織が微細化されている。
【0017】ブロック母材表面に施すNiを基とするめ
っき層は、例えばNi−Pめっき、Ni−Coめっき、
Niめっきの他、Ni−P−SiC分散めっき等を用い
ることができる。めっき層の厚さは特に制限はないが、
ブロック母材に充分の耐摩耗性を付与する程度であれば
良く、10〜20μm程度であれば充分である。また、
めっき層に所望の硬度を付与するために、必要に応じて
ブロック母材を変質させない範囲の温度で適宜の熱処理
を施す。
【0018】Ni−P無電解めっきの場合、めっき液の
組成は、硫酸ニッケル、次亜燐酸ソーダ、アルキルヒド
ロキシカルボン酸(錯化剤)、アルキルジカルボン酸
(反応促進剤)安定剤、PH調整剤等を適当に含む浴温
85〜90℃のめっき液に90分程度浸漬し、10〜2
0μm程度のめっき層を摺動部に設ける。この後300
℃×1〜2時間の真空加熱を実施することによりNi−
Pめっき層の硬さをHV700〜800とする。また、
600℃×20分〜1時間の比較的高温で加熱してもH
V700〜800が得られるが、高温にすることにより
母材の疲労強度の低下が認められるため不適当である。
図7はNi−Pめっき層の熱処理による硬さの変化を示
す線図である。
【0019】
【作用】本発明の無段変速機用ブロックは、チタン合金
からなり、該ブロック母材表面硬度を600〜700
(HV)としたので、ブロックの摩耗量を著しく低減す
ることができた。さらにその表面に表面硬度が710〜
790(HV)のNiを基とするめっき層を被覆したの
で、耐摩耗性と疲労強度が向上すると共に、相手材であ
るプーリの摩耗量を低減することができる。そのため、
摩擦係数の低下が少なく、CTVの容量アップを達成す
ることができる。
【0020】本発明においてブロック母材の表面硬度を
HV600〜700としたのは、表面硬度がHV600
未満になると、ブロックとプーリの摺動による面圧によ
って、ブロック母材が弾性変形を受け、結果としてブロ
ック母材とNi−Pめっき層間で剥離が生じ、これによ
りブロック母材の摩耗量が大きくなるからであり、表面
硬度がHV700を越えると、表面に酸化処理によるT
iO2層が残っており、ブロックとプーリの摺動による
面圧によって、TiO2のポーラス層が破壊され、摩耗
量が多くなるからである。
【0021】また、Niを基とするめっき層の表面硬度
をHV710〜790としたのは、表面硬度がHV71
0未満であると、めっき層が充分な耐摩耗性に不足する
からであり、HV790を越えると耐摩耗性は満足する
が相手攻撃性が高くなり、相手材のプーリの摩耗量が増
加するからである。
【0022】
【実施例】本発明の実施例を従来例と対比して説明し、
本発明の効果を明らかにする。 (実施例1)重量比でAl;3.5〜4.5%、V;2
1.0〜23.0%、Fe;0.6〜1.0%、O;
0.2%以下、C;0.1%以下、N;0.05%以
下、Li;0.01%以下、残部Tiであるチタン合金
を用い、図9および図10に示す構造の無段変速機用ブ
ロックに加工した。このチタン合金製のブロックを、温
度750℃〜800℃、保持時間0.25〜1時間で酸
化処理し、試料A〜Dについては表面を研磨し、試料E
〜Jについてはショットピーニング加工して、表1およ
び表2に示す表面硬さを有するブロックとして調製し
た。
【0023】続いて、試料D〜Jについてブロックbの
摺動面(図10においてc)以外の部分をマスキングし
た後、硫酸ニッケル、次亜燐酸ソーダ、アルキルヒドロ
キシカルボン酸(錯化剤)、アルキルジカルボン酸(反
応促進剤)安定剤、PH調整剤等を適当に含む浴温85
〜90℃のNi−P無電解めっき液に90分程度浸漬
し、10〜20μm程度のP含有量10%のNi−Pめ
っき層を摺動部に形成した。形成されたNi−P無電解
層を真空加熱することにより、表1および表2に示す表
面硬さのNi−Pめっき層とした。なお、それぞれのブ
ロックの表面粗さを測定したところ、表1および表2に
示すような結果を得た。
【0024】このブロックを図9および図10に示すよ
うに、エンドレス状のフープaの長さ方向に直列に配設
しワイヤで接続して駆動ベルト3として組立て、駆動プ
ーリ1および駆動プーリ2に掛装した。なお、駆動プー
リ1および駆動プーリ2には、SCM420Hの浸炭焼
入れ焼戻し材(HV780)を用いた。このベルトにつ
いて、入力回転数が3500rpm、速度比が2、出力
トルク16kgf・m、試験時間150時間の耐久試験
を実施し、ブロック磨耗量、プーリ磨耗量および摩擦係
数の変化を測定した。得られた結果は表1および表2に
まとめて示した。
【0025】
【表1】
【0026】
【表2】
【0027】表1および表2から知られるように、従来
品Aはブロック母材表面硬度がHV380と低く摺動面
にめっき層が施されていないため、また従来品Cはブロ
ック母材表面硬度がHV590〜710であったが摺動
面にめっき層が施されていないため、共にブロック磨耗
量が56〜155μmと大きく、それに伴って摩擦係数
の低下が著しかった。従来品BはHV980であって、
表面にTiO2層が残っており摺動によりTiO2のポー
ラス層が破壊するので摩耗量が大きく、また摩耗粉によ
り2次摩耗も促進されて、ブロック摩耗量が102μm
となった。
【0028】また、従来品DおよびEは、ブロック母材
の硬度がHV380および590であり、HV600以
下であったためNi−Pめっき層の硬度がHV690〜
810であったにもかかわらず、ブロックとプーリの摺
動による面圧によって、ブロック母材が弾性変形を受
け、結果としてブロック母材とNi−Pめっき層間で剥
離が生じ、これによりブロック母材の摩耗量が大きく、
試料Dにおいて99〜136μmに、試料Eにおいて3
8〜95μmに達し、それに伴って摩擦係数の低下が著
しかった。
【0029】従来品Hはブロック母材の硬度がHV71
0であって、表面に酸化処理によるTiO2層が残って
おり、ブロックとプーリの摺動による面圧によって、T
iO2のポーラス層が破壊され、Ni−Pめっき層の硬
度がHV690〜810であったにもかかわらず、ブロ
ック摩耗量が16〜20μmと大きく、また相手攻撃性
も高く、プーリ摩耗量が27〜38μmであった。
【0030】従来品FおよびGは共にブロック母材の表
面硬度がHV600〜700の範囲内にあったが、Ni
−Pめっき層の硬度を700未満とすると、ブロック母
材の摩耗量が85μmまたは20μmと大きく、その逆
にNi−Pめっき層の硬度が800を越えると、ブロッ
ク母材の摩耗量は4〜5μmと低減するが、相手材であ
るプーリの摩耗量が44〜45μmとなって、相手攻撃
性が増大した。
【0031】これに対して本発明品であるIおよびJ
は、ブロック母材の表面硬度をHV600〜700にす
ると共に、Ni−Pめっき層の表面硬さをHV710〜
790としたので、ブロック母材摩耗量は3〜4μmと
少なく、またプーリ摩耗量は6〜7μmと低水準にあ
り、このため150時間の耐久試験後の摩擦係数を高水
準に保つことができることが判明し、本発明の効果を確
認することができた。
【0032】なお、図1はNi−Pめっき層の表面硬さ
をHV710とし、ブロック母材表面硬度をHV590
〜710に変化させた場合のブロック摩耗量とプーリ摩
耗量を示す線図である。この図よりブロック母材表面硬
度をHV600〜700にするとブロック摩耗量および
プーリ摩耗量が最小になることが示されている。
【0033】また、図2はブロック母材表面硬さをHV
600とし、Ni−Pめっき層の硬さをHV690〜8
10に変化させた場合のブロック摩耗量とプーリ摩耗量
を示す線図である。この図よりNi−Pめっき層の表面
硬さをHV710〜790にするとブロック摩耗量およ
びプーリ摩耗量が最小になることが示されている。
【0034】(実施例2)実施例1で用いたのと同じチ
タン合金製ブロックの試料K〜Oについて、摺動面を実
施例1と同じ条件で酸化処理した後、ショットピーニン
グ加工し、500℃×5時間の時効処理を行った。
【0035】本発明例である試料Kについては、実施例
1と同じ条件でNi−P無電解めっきを施し、真空熱処
理してHV750のNi−Pめっき層を形成した。その
他の試料については表3に示すように、試料LはPVD
法により窒化チタン層を被覆し、試料MはCrめっき層
を被覆し、試料Nには窒化処理を施し、試料Oは母材そ
のままとした。
【0036】続いて、実施例1と同様にこれらブロック
を用い駆動ベルト3として組立て、駆動プーリ1および
駆動プーリ2に掛装し、実施例1と同じ条件で試験時間
150時間の耐久試験を実施し、ブロック磨耗量、プー
リ磨耗量ブロック疲労強度および摩擦係数の変化を測定
した。得られた結果は表3にまとめて示した。なお、ブ
ロック疲労強度はブロックのうちプーリと接触する摺動
面に対する繰り返し圧縮試験により評価したものであ
る。
【0037】
【表3】 表3に示したように窒化チタン層を形成した試料L、窒
化処理を施した試料Nでは、ブロック母材の表面硬度が
高過ぎて相手攻撃性が高く、相手材であるプーリの摩耗
量が70μmおよび61μmと多かった。また、Crめ
っきを施した試料Mは、Crめっき層とブロック母材と
の密着が非常に弱く、剥離が生じたためブロック母材の
摩耗量が50μmと多かった。ブロック母材そのままの
試料Oは、ブロック摩耗量が69μmと多かった。これ
に対して、本発明材である試料Kは、ブロック摩耗量が
4μm、プーリ摩耗量が6μmであった。
【0038】一方、疲労強度については試料L、Mおよ
びN共に表面処理に際して600℃以上に加熱されるた
め、結晶粒度が粗大化し疲労強度は5〜10kgf/m
2であった。なお、図8はチタン合金の昇熱温度と疲
労強度の関係を示す線図である。図8より600℃以上
の加熱により疲労強度が急激に下降することが示されて
いる。
【0039】これに対して本発明の試料Kは、表面にN
i−Pめっきを施すことにより摺動面からの疲労亀裂の
発生が抑制されることにより、疲労強度が向上し疲労強
度が18kgf/mm2であって、時効処理およびNi
−Pめっきにより疲労強度を改善できることが確認され
た。
【0040】なお、表4はブロックを酸化処理した後シ
ョットピーニング加工を施したものについて、時効処理
の有無およびNi−Pめっきの有無による疲労強度の変
化を示したものである。表4より本発明ブロックにおい
て時効処理した後Ni−Pめっきを施すと、鋼製ブロッ
ク(疲労強度15kgf/mm2)以上の疲労強度が確
保できることが確認された。
【0041】
【表4】
【0042】
【発明の効果】本発明の無段変速機用ブロックは以上詳
述したように、チタン合金からなるブロック母材表面硬
度を600〜700(HV)とし、さらにその表面に表
面硬度が710〜790(HV)のNiを基とするめっ
き層を被覆したものであって、ブロックの耐摩耗性が著
しく向上すると共に、相手材であるプーリの摩耗量を低
減することができる。また、ブロックの摺動部にめっき
を施すことにより亀裂強さが増加し、疲労強度が向上す
る。そのため、疲労強度を鋼製ブロックとほぼ同等に確
保できるので、CTVの容量アップを図ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】Ni−Pめっき層の表面硬さをHV710と
し、ブロック母材表面硬度をHV590〜710に変化
させた場合のブロック摩耗量とプーリ摩耗量を示す線図
である。
【図2】ブロック母材表面硬さをHV600とし、Ni
−Pめっき層の硬さをHV690〜810に変化させた
場合のブロック摩耗量とプーリ摩耗量を示す線図であ
る。
【図3】チタン合金製ブロックの酸化処理を行った時の
摺動面の金属組織を表す100倍の顕微鏡写真である。
【図4】ショットピーニング加工を行い表面のTiO2
層を除去した後の表面からの距離と硬さの関係を示す線
図である。
【図5】チタン合金製ブロックの時効処理前後の疲労強
度を示す図である。
【図6】時効処理後のブロック母材の金属組織を表す1
00倍の顕微鏡写真である。
【図7】Ni−Pめっき層の熱処理による硬さの変化を
示す線図である。
【図8】チタン合金の昇熱温度と疲労強度の関係を示す
線図である。
【図9】無段変速機の概略を示す斜視図である。
【図10】駆動ベルトの詳細を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 駆動プーリ 2 従動プーリ 3 駆動ベルト a フープ b ブロック c 摺動面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F16G 5/16 - 5/18 C25D 1/00 - 7/12

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 チタン合金からなる無段変速機用ブロッ
    クであって、該ブロック母材表面硬度を600〜700
    (HV)とし、さらにその表面に表面硬度が710〜7
    90(HV)のNiを基とするめっき層を被覆したこと
    を特徴とする無段変速機用ブロック。
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