JP2942710B2 - 水溶性自己ドープ型導電性ポリマー複合体及びその製造方法 - Google Patents

水溶性自己ドープ型導電性ポリマー複合体及びその製造方法

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JP2942710B2
JP2942710B2 JP6302724A JP30272494A JP2942710B2 JP 2942710 B2 JP2942710 B2 JP 2942710B2 JP 6302724 A JP6302724 A JP 6302724A JP 30272494 A JP30272494 A JP 30272494A JP 2942710 B2 JP2942710 B2 JP 2942710B2
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は総括的には導電性ポリマ
ーの分野に関する。より詳細には、本発明はブレンステ
ッド酸基をポリマーの主鎖に共有結合させた水溶性自己
ドープ型(self−doped)導電性ポリマーと他
の水溶性ポリマーとの複合体及びその製造方法に関す
る。 【0002】 【従来技術】電子及び他の産業において用いる導電性ポ
リマーについての要求は益々厳しくなっている。また、
電子部品の小型軽量化を可能とし及びそれ自体長期安定
性や優れた性能を有する材料の要求も増大している。 【0003】かかる要求を満足させるものとして、近年
新しい導電性高分子或はポリマー材料の開発が盛んに行
われてきており、また、かかる高分子化合物を利用する
用途についても多くの提案がなされてきている。例え
ば、ピー・ジェー・ナイグレイ(P.J.Nigre
y)等はケミカルコミュニケーション(Chem.Co
mm)、1979年、591頁以降にポリアセチレンを
二次電池電極として用いることを開示している。また、
ジャーナル・オブ・エレクトロケミカル・ソサイァティ
(J.Electrochem.Soc.)、1981
年、1651頁以降、特開昭56−136469号、同
57−121168号、同59−3870号、同59−
3872号、同59−3873号、同59−19656
6号、同59−196573号、同59−203368
号及び同59−203369号はポリアセチレン、シツ
フ塩基を有するキナゾンポリマー、ポリアリーレンキノ
ン類、ポリーパラーフェニレン、ポリー2,5−チエニ
レン等の高分子化合物が二次電池の電極材料として使用
され得ることを教示している。 【0004】また、高分子化合物のその他の用途を提案
するものとして、ポリアニリン〔ジヤーナル・オブ・エ
レクトロアナリティカル・ケミストリー、第111巻、
111頁(1980年)、エー・エフ・デイアズ等又は
同第161巻、419頁(1984年)、米山等〕、ポ
リピロール〔ジャーナル・オブ・エレクトロアナリティ
カル・ケミストリー、第149巻、101頁(1983
年)、エー・エフ・ディアズ等〕、ポリチオフェン〔ジ
ャーナル・ド・フィージク、第44巻、6月号、C3−
595頁(1983年)、エム・エー・ドルィ等、又は
ジャパン・ジャーナル・オブ・アプライド・フィジック
ス、22巻、7号、L412頁(1983年)、金藤
ら〕のエレクトロクロミック材料への使用が挙げられ
る。 【0005】当分野において知られているこれら導電性
の高いポリマーは代表的にはアクセプター又はドナーに
よるドーピングプロセスにより導電性になる。アクセプ
タードーピングでは、アクセプタードープ型ポリマーの
主鎖を酸化し、それにより正の電荷をポリマー鎖に導入
する。同様に、ドナードーピングでは、ポリマーを還元
し、それにより負の電荷をポリマー鎖に導入する。ドー
プ型ポリマーの導電性を誘起するのは、外部よりポリマ
ー鎖に導入するこれら移動性の正或は負の電荷である。
加えて、このような「p−タイプ」(酸化)或いは「n
−タイプ」(還元)のドーピングは、ドーピングした後
に実質的に全ての電子構造の変化、例えば光学や赤外吸
収スペクトルの変化を含む変化を誘起する。 【0006】すなわち、従来のドーピング方法では、全
て、対イオンを外部のアクセプター或はドナー機能から
誘導している。中性及びイオン状態の間の電気化学的サ
イクルの間に、対イオンがポリマー本体を出たり入った
りしなければならない。外部より導入する対イオンのこ
の固体状態の拡散が循環プロセスにおいて律速段階とな
ることはしばしばである。これより、電気化学的或はエ
レクトロクロミックドーピング及び脱ドーピング操作に
おいてこの制限を解消し、それにより応答時間を短縮す
ることが望ましい。応答時間は、対イオンの移動に要す
る時間を短くできれば短縮し得ることを見出した。本発
明はこの知見に基づくものである。従来、水溶性の導電
性ポリマー或は自己ドープ型導電性ポリマーは知られて
いなかった。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明は迅速にドーピン
グ及び脱ドーピングすることができ、従来技術の導電性
ポリマーに比べて安定なドーピング状態を長期に保つこ
とができる水溶性の自己ドープ型導電性ポリマーを含む
導電性ポリマー複合体及びその製造方法を提供する。本
発明の導電性ポリマー複合体の優れた性質は導電性ポリ
マーを「自己ドーピング」状態で作り得る、すなわち、
導電性を付与する対イオンをポリマー自体に共有結合さ
せることができるという知見から生じる。よって、従来
技術のポリマーと対照して、対イオンを外部導入する必
要を排除し、上述した律速拡散段階をも同様に排除す
る。 【0008】本発明において用いられる自己ドープ型導
電性ポリマーは少なくとも約1S/cm程度の導電率を
示すことができる。自己ドープ型ポリマーは電気化学セ
ルにおける電極として、エレクトロクロミックディスプ
レー、電界効果トランジスター、ショットキーダイオー
ド等における導電層として、或は迅速なドーピングカイ
ネティクスを示す高導電性ポリマーが望ましい数多くの
用途において使用することができる。 【0009】本発明は、最も広い態様において、複数の
モノマー単位から成り、該単位の約0.01〜100モ
ル%は少なくとも1つのブレンステッド酸基を共有結合
させて成る、主鎖に沿ってπ電子共役系を有する導電性
自己ドープ型ポリマー含む導電性ポリマー複合体及び
その製造方法を指向するものである。本発明は該ポリマ
ーの両性イオン形をも含む。本発明において用いられる
自己ドープ型ポリマーの主鎖骨格を形成することができ
るポリマー鎖には、例えばポリピロール、ポリチオフェ
ン、ポリイソチアナフテン及びこれらのコポリマーが含
まれる。 【0010】好ましい具体例では、上述した自己ドープ
型導電性ポリマーを含む複合体及びその製造方法におい
て用いられるポリマーは下記の構造(I)を有する繰り
返し構造を有し、それらの製造方法と共に提供する: 【化5】 こで、Htはヘテロ基であり、Yは水素または−R
−X−Mであり;Mは酸化した場合に一価カチオ
ンを生じる原子或は基であり;Xはブレンステッド酸ア
ニオンであり;Rは炭素数1〜10の線状或は枝分れ
アルキレン又はエーテル結合基を有するアルキレンであ
【0011】発明の更に別の好ましい具体例では、下記
の(Ia)に従う繰返しの両性イオン構造を有する水溶
性自己ドープ型導電性ポリマーを含む導電性ポリマー複
合体及びその製造方法を提供する: 【化6】 (式中、Ht、R びXは先に規定した通りであ
る)。本発明は更に、本発明において用いられる上記の
自己ドープ型ポリマーを製造するのに有用なモノマー、
ポリマーの合成方法及びポリマーを用いた装置を指向す
るものである。 【0012】「導電性」なる用語はイオン化原子或は電
子を通すことによって電荷を伝達する能力を言う。「導
電性」化合物とは移動性イオン或は電子を包含する或は
加入させた化合物、並びに酸化して移動性イオン或は電
子を包含する或は加入させることができる化合物を含
む。「自己ドープ型」なる用語は、慣用のドーピング技
法によってイオンを外部導入しないで物質を導電性にさ
せ得ることを意味する。本明細書中に開示する自己ドー
プ型ポリマーでは、対イオンになり得るものをポリマー
の主鎖に共有結合させる。「ブレンステッド酸」なる用
語は、1つ又はそれ以上のプロトン源として、すなわち
プロトン−ドナーとして働くことができる化学種を言う
のに用いる。例えば、マグローヒルの化学及び技術用語
辞典(第3版、1984年)、220頁を参照のこと。
これより、ブレンステッド酸の例はカルボン酸、スルホ
ン酸、リン酸を含む。 【0013】本明細書中で用いる通りの「ブレンステッ
ド酸基」なる用語は、上に規定した通りのブレンステッ
ド酸、ブレンステッド酸アニオン(すなわち、プロトン
を取り去った場合)、ブレンステッド酸アニオンと一価
のカチオン性対イオンとを会合させたブレンステッド酸
の塩を意味する。本明細書中で用いる通りの「モノマー
単位」とはポリマーの繰り返し構造単位を言う。特定の
ポリマーの個々のモノマー単位は、ホモポリマーの場合
のように同一であっても或はコポリマーの場合のように
異なってもよい。 【0014】本発明において用いられる水溶性自己ドー
プ型ポリマーはコポリマーであっても或はホモポリマー
であってもよく、π電子共役系を与える主鎖構造を有す
る。かかるポリマー主鎖の例はポリピロール、ポリチオ
フェン、ポリイソチアナフテン及びこれらのコポリマー
を含み、これらに制限されない。上述した本発明のポリ
マーは、1つ又はそれ以上の「−R−X−M 」置
基で置換したモノマー単位約0.01〜約100モル%
から構成されるのがよい。高導電率を必要とする用途で
は、本発明において用いられる自己ドープ型ポリマー
は、該置換基を有するモノマー単位が通常少なくとも約
10モル%、代表的には約50〜100モル%から構成
されるのがよい。半導体の用途では、該基を有するモノ
マー単位は約10モル%より少ないのが普通であるが、
約0.1〜約0.01モル%程に少ないことが時にはあ
る。 【0015】I及びIa式によって表わすポリヘテロサ
イクルモノマー単位は、−R−X−M置換基により
一置換か或は二置換のいずれかを表わしたモノマー単位
を含む。本発明において用いられる自己ドープ型ポリマ
ーは、これらの異なるタイプの置換されたモノマー単位
を含むコポリマーをも同様に意図する。本発明において
用いられる自己ドープ型ホモポリマー及びコポリマーの
両方において、ポリマーの約0.01〜100モル%が
ブレンステッド酸基を備えるべきである。 【0016】好ましい具体例では、本発明において用い
られる自己ドープ型ポリマーには上記I式で与える電気
的に中性のポリマーが含まれる。ポリマーを導電性にさ
せるために、ポリマーを酸化して少なくとも1つのM
分を除き及びIaに従う繰り返しの両性イオン構造を
含有するポリマーを生じなければならない。好ましい具
体例において、例えばHtはNH、S、O、Se及びT
eから成る群より選ぶのがよく;M は独立にH、N
a、Li或はKにするのがよく;XはCO、SO
はHPOにするのがよく;Rは直鎖のアルキレン或
はエーテル基〔すなわち、−(CH−或いは−
(CHO(CH−(ここで、x及び(y+
2)は1〜約10である)〕である。特に好ましい具体
例では、HtはNH或はSであり;MはLi或はNa
であり;XはCO或はSOであり;R 炭素数2
〜約4の線状アルキルであり;ポリマー中の置換したモ
ノマー単位は−R−X−M 基で一置換か或いは二置
換されている。 【0017】ポリマーの両性イオン形を「脱ドーピング
する」ためには、電荷をドーピングで用いたのと反対方
向に供給すればよい(代りに、温和な還元剤を上で検討
した通りに用いてもよい)。M ポリマー中に移動さ
せてXアニオンを中和する。こうして、脱ドーピング
プロセスはドーピングプロセスと同じように速い。 【0018】スキームIは上記のポリマー(モノ置換の
具体例を示す)の酸化及び還元、すなわち電気的に中性
形と導電性の両性イオン形との間の転移を表わす: 【化7】 XがCOである場合、上記の電気化学的転移はpH1
〜6の範囲で強くpHに依存する(I式でX=CO
びM=Hの場合のpKaは約5である)。他方、Xが
SOである場合、上記の電気化学反応は約1〜14の
ずっと広いpHの範囲にわたりpHに依存しない。すな
わち、スルホン酸誘導体は実質的には任意のpHにおい
て荷電され、カルボン酸誘導体は低い水素イオン濃度に
おいてのみ電荷される。それで、ポリマー溶液のpHを
変えることにより、カルボン酸誘導体の導電率を調節す
ることが対応するスルホン酸誘導体の導電率を調節する
よりも一層容易である。すなわち、特定のブレンステッ
ド酸成分の選定は特定の用途による。これらの自己ドー
プ型ポリマーが有する導電率は少なくとも約1S/cm
参考例14参照)であり、及び代表的には鎖の長さは
約数百のモノマー単位である。代表的には鎖の長さはモ
ノマー単位約100〜約500の範囲であり、高い分子
量が好ましい。 【0019】本発明の実施において、ブレンステッド酸
基をポリマー中に導入してポリマーを自己ドープ型にす
る。ブレンステッド酸基をポリマーに導入した後に重合
或は共重合させてもよい。また、I式の未置換のモノマ
ーのポリマー或はコポリマーを作り、次いでブレンステ
ッド酸基をポリマーの主鎖に導入してもよい。 【0020】ブレンステッド酸基をポリマー或はポリマ
ーに共有結合させることは当分野の技術の範囲内であ
る。例えば、ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル
・ソサィアティー、70巻、1556頁(1948)参
照。例として、スキームIIIに示す通りに、N−ブロ
モスクシンイミド(NBS)を用いてモノマー或はポリ
マー主鎖上のアルキル基をハロゲン化アルキルに連結す
ることができる: 【化8】 次いで、ハロゲン化物をシアン化ナトリウム/水酸化ナ
トリウム或は亜硫酸ナトリウムで処理した後に加水分解
してそれぞれカルボン酸或はスルホン酸にする。この反
応をスキームIVに示す: 【化9】 エーテル結合基を有するブレンステッド酸基の付加を示
す別の例をスキームVに示す: 【化10】 【0021】本発明の実施において有用な種々のモノマ
ーの合成を下記の参考例1〜12に示す。本発明におい
て用いられる自己ドープ型ポリマーは、例えばエス・ホ
ッタ等のSynth.Metals 9巻、381頁
(1984年)に記載されている電気化学的方法によ
り、或はウドル(Wudl)等のJ.Org.Che
m. 49巻、3382頁(1984年)、ウドル等の
Mol.Cryst.Liq.Cryst. 118
巻、199頁(1985年)、エム・コバヤシ等のSy
nth.Metals.9巻、77頁(1984年)に
記載されているような化学的カップリング法によって合
成することができる。 【0022】電気化学的方法によって(すなわち、陽極
上に)合成する場合、高分子両性イオンを直接作る。化
学的カップリング法を用いれば中性ポリマーが生ずる。
好ましい合成法は電気化学的方法であり、下記に置換ポ
リヘテロサイタリック種の製造により例示する。モノマ
ーIII: 【化11】 (式中、Ht、Y、R、X及びMは上述した通り
である)を含有する溶液を、電解質、例えばテトラブチ
ルアンモニウムパークロレート或はテトラブチルアンモ
ニウムテトラフルオロボレートと共に、適当な溶媒、例
えばアセトニトリル(スルホン酸誘導体、すなわちX=
SOである場合に特に適している)中に与える。白
金、ニッケル、インジウムスズオキシド(ITO)を被
覆したガラス或は他の適当な材料の作用電極を準備し、
白金或はアルミニウム、好ましくは白金の対向電極(陰
極)を準備する。約0.5〜5mA/cmの電流を電
極にかけ、所望の重合の程度(或は基体上の高分子フィ
ルムの厚さ)に応じて電解重合反応を数分〜数時間行な
う。重合反応の温度は約−30℃〜約25℃の範囲にす
ることができるが、好ましくは約5℃〜約25℃であ
る。 【0023】このようにして製造した両性イオン形ポリ
マーを中性の脱ドープ形に還元することは、電気化学的
還元により、或は任意の温和な還元剤、例えばアセトン
中のメタノール或はヨウ化ナトリウムで処理して行なう
ことができる。このプロセスは、反応の完了を確実にす
るために少なくとも数時間進行させるべきである。スル
ホン酸モノマー(X=SO)を炭素数1〜2のアルキ
ルエステル、例えばメチルエステルとして重合させ(
例14及び15を参照)、一方、カルボン酸誘導体
(X=CO)を酸の形で調製してもよい。スルホン酸
誘導体を重合させた後に、ヨウ化ナトリウム等による処
理においてメチル基を除去する。 【0024】I式で表わされるタイプのモノマーの共重
合は、上述した同じ手順に従って行なうことができる。
好ましい具体例では、大部分のモノマーを上述した通り
に少なくとも1つの−R−X−M 基で置換する。 【0025】I式のポリマーの複合材料を、水溶性ポリ
マー、例えばポリビニルアルコール(実施例1参照)あ
るいは多糖と共に作ることができる。本発明において用
いられる自己ドープ型ポリマーは構造によってはかなり
脆性になる場合もあるので高分子材料を更に用いて複合
材料を作ることにより、柔軟性が増し脆性の減少した複
合体が得られる。1種又はそれ以上の追加の水溶性ポリ
マーをも所定量含有するI式によって与えるポリマーの
水溶液からフィルムをキャストすることができる。この
工程において手順上キーとなる基準はこれら2種又はそ
れ以上のポリマーを水に溶解することであるので、追加
のポリマーについての唯一の実用的制限は、ポリマーが
水溶性であることである。 【0026】本発明で用いられる自己ドープ型ポリマー
は電気化学セルにおける電極として用いられる、外来の
ドーパントを必要とする慣用の導電性ポリマーを越える
特有の利点を提供する。対イオンがポリマーに共有結合
されているため、セル容量は電解質の濃度や溶解度によ
って制限されない。このことは、最適化セルでは、電解
質及び溶媒の全量を相当に低減することができ、こうし
て得られるセルのエネルギー密度を高めることができ
る。新規な自己ドーピング機構が与えるイオン輸送の容
易に得られるカイネティクスは、迅速な充電、放電並び
に一層速いエレクトロクロミックスイッチングに至る。
本発明で用いられる自己ドープ型のポリマーを用いて作
られる電極は、これらのポリマーから或はこれらのポリ
マーを被覆した慣用の基体から作ることができる。慣用
の基体は、例えばインジウムスズオキシドを被覆したガ
ラス、白金、ニッケル、パラジウム或はその他任意の適
当な陽極材料を含むことができる。電極として用いる場
合、ポリマーの内部自己ドーピングはスキームIによっ
て表わす転移を生じる。 【0027】本発明で用いられる自己ドープ型導電性ポ
リマーは、また、長期の性能が、ドーパントイオンが絶
えず移動性でないことを要する種々のデバイス用途にお
いて用いるのに、移動性ドーパントを用いる慣用の導電
性ポリマーを越える特有の利点を提供する。このような
用途の例はショットキーダイオード、電界効果型トラン
ジスター等の加工を含む。自己ドープ型ポリマーでは、
ドーパントイオンはポリマー鎖に共有結合されているた
め、イオンの拡散の問題(例えば、接合部或はインター
フェースの近辺)は解決される。更に、本発明において
用いられる導電性ポリマーは水溶性であるので、媒体と
して簡便に水を用いることができ、有機溶媒を用いる必
要がなく、よって有機溶媒の使用に伴う不都合、例えば
毒性、公害等を排除することができる。また、本発明の
自己ドープ型導電性ポリマーと他の水溶性ポリマーとの
複合体は、導電性ポリマーの脆性を減じ、柔軟性を増加
させることができ、例えばフィルムキャストできる利点
を有する。 【0028】発明を好ましい特定の実施態様に関して説
明したが、上記の説明並びに下記の例は請求の範囲に記
載する発明の範囲を例示するもので制限するつもりのも
のではない。発明の範囲内のその他の態様、利点及び変
更は発明が関係する当業者にとり明白である。 【0029】 【実施例】参考例1 2−(3−チエニル)−エチルメタンスルホネートの合
新しく蒸留した乾燥ピリジン10mlに2−(3−チエ
ニル)エタノール(アルドリッチケミカル社製)5.0
g(3.9×10−2モル)を溶解した溶液に、温度5
〜10℃で、メタンスルホニルクロリド3.62mlを
ピリジン20mlに溶かした溶液を添加した。添加は約
15〜20分かけて徐々に行った。反応混合物を室温に
おいて一晩撹拌し、次いで水とエーテルを入れた分液漏
斗に注ぎ入れて急冷した。層が分離され、水性相をエー
テルで3回抽出した。有機抽出分を合体し、10%塩酸
で1度抽出し、次いで水で抽出し、NaSOで乾燥
した。溶剤を蒸発させ、5.3gの明褐色油(収率65
%)を得た。またtlc(CHCl)は単一スポット
を示した。シリカゲルでクロマトグラフィー精製を行っ
て明黄色油を得た。 【0030】NMR(CDCl、TMSに対する
δ):2.9s、3H;3.1t、2H;4.4t、2
H;7.0〜7.4m、3H。 IR(ニート、νcm−1):3100w、2930
w、2920w、1415w、1355s、1335
s、1245w、1173s、1080w、1055
w、970s、955s、903m、850m、825
w、795s、775s、740w。 マススペクトル(MS)206.0。 【0031】参考例2 2−(3−チエニル)−エチルアイオダイドの合成 上記のメタンスルホネート(5.3g、2.6×10
−2モル)を、NaI7.7gの30mlアセトン溶液
に加え、室温で24時間反応させた。沈澱したCH
Naをろ別した。ろ液を水に注ぎ込み、クロロホル
ムで抽出し、有機相をMgSOで乾燥した。溶剤を蒸
発したところ、明褐色油が得られ、クロマトグラフィー
精製して5.05gの明黄色油(収率82.5%)を得
た。NMR及びIRスペクトルは次の通りであった。 【0032】NMR(CDCl、TMSに対する
δ):3.2m、4H;7.0〜7.4m、3H。 IR(KBr、νcm−1):3100m、2960
s、2920s、2850w、1760w、1565
w、1535w、1450m、1428s、1415
s、1390w、1328w、1305w、1255
s、1222m、1170s、1152m、1100
w、1080m、1020w、940m、900w、8
57s、840s、810w、770s、695s、6
33m。MS 238。 【0033】参考例3 2−(3−チエニル)エタンスルホン酸ナトリウムの合
NaSO 5.347g(4.2×10−2モル)
の水溶液10mlに、上記アイオダイド5.05gを添
加し、この反応混合物を70℃に45時間加熱した。得
られた混合物を蒸発乾固させ、クロロホルムで洗滌して
未反応アイオダイド(0.45g)を除去し、またアセ
トンで洗滌してヨウ化ナトリウムを除去した。残りの固
形物は所望のナトリウム塩が過剰の亜硫酸ナトリウムで
汚染された混合物であり、これをさらに精製しないで次
工程に用いた。NMR及びIRスペクトルは次の通りで
あった。 【0034】NMR(DO、TMSプロパンスルホネ
ートに対するδ):3.1s、4H;7.0〜7.4
m、3H; IR(KBr、νcm−1、Na SO ピークは
差引):1272m、1242s、1210s、117
7s、1120m、1056s、760m、678w。 【0035】参考例4 2−(3−チエニル)エタンスルホニルクロリドの合成 参考 例3で調製した塩混合物2gの撹拌した懸濁液に、
2mlの蒸留塩化チオニルを滴下した。混合物を30分
間撹拌した。氷水で急冷して得た白色固形物をろ別し、
クロロホルム−ヘキサンから再結晶して800mgの白
色結晶を得た。融点は57〜58℃であった。NMR及
びIRスペクトルは次の通りであった。 【0036】NMR(CDCl、TMSに対する
δ):3.4m、2H;3.9m、2H;7.0〜7.
4m、3H。 IR(KBr、νcm−1):3100w、2980
w、2960w、2930w、1455w、1412
w、1358s、1278w、1260w、1225
w、1165s、1075w、935w、865m、8
30m、790s、770w、750m、678s、6
25m。 元素分析は次の通りであった。 計算値:C34.20、 H3.35、 Cl16.83、 S30.43 CCl O 実測値:C34.38、 H3.32、 Cl16.69、 S30.24 【0037】参考例5 2−(3−チエニル)−エタンスルホン酸メチル(別
称:チオフェン−3−(2−エタンスルホン酸メチ
ル))の合成 上記の酸クロリド(上記参考例4により製造したもの)
105mg(5×10−4モル)を1.5mlの新しく
蒸留した(モレキュラーシーブから)メタノールに加え
た撹拌溶液に、室温で1.74mlのN,N−ジイソプ
ロピルエチルアミンを添加した。反応混合物を12時間
撹拌し、次いで希塩酸水溶液を収容する分液漏斗に移
し、クロロホルムで3回抽出した。有機相を合体し、N
SOで乾燥し、溶剤を留去して明褐色油を得た。
これをクロロホルムを溶離剤としてシリカゲルでクロマ
トグラフィー精製した。得られた無色固形分(収率90
%)は融点27〜28.5℃を有した。IR、紫外、N
MRスペクトルは次の通りであった。 【0038】IR(ニートフィルム、νcm−1):3
100w、2960w、2930w、1450m、14
15w、1355s、1250w、1165s、985
s、840w、820w、780m、630w、615
w。 UV−可視〔λmax、MeOH、nm(ε)〕:23
4(6×10)。 NMR(CDCl、TMSに対するδ):7.42〜
7.22q、1H;7.18〜6.80m、2H;3.
85s、3H;3.6〜2.9m、4H。元素分析は次
の通りであった。 計算値: C 40.76、 H 4.89、 S 31.08 C10 実測値: C 40.90、 H 4.84、 S 30.92 【0039】参考例6 2−カルボキシエチル−4−(3−チエニル)ブタン酸
エチルの合成 新しく蒸留したDMF60mlに11.2g(69.9
4ミリモル)のマロン酸ジエチルを溶解した撹拌溶液
に、NaHの60%油分散液2.85g(69.94ミ
リモル)を添加した。30分間かき混ぜた後、20ml
のDMF中に15.86g(66.61ミリモル)の2
−(3−チエニル)エチルアイオダイド(前述の方法で
製造したもの)を溶解したものを10分間かけて滴下す
ることにより添加した。反応混合物を室温で1時間撹拌
し、次いで140℃に4時間加熱した。冷却した後、反
応物を氷冷希塩酸中に注入し、次いでエーテルで6回抽
出した。有機相を合体し、水洗し、NaSOで乾燥
し、蒸発を行って褐色油を得た。シリカゲル(クロロホ
ルム中ヘキサン50%)でクロマトグラフィー分離した
ところ、98%の収率で無色油を得た。元素分析の結果
は次の通りであった。また、NMR、IRスペクトルも
示す。 【0040】 計算値: C 57.76、 H 6.71、 S 11.86 C1318S 実測値: C 57.65、 H 6.76、 S 11.77。 NMR(CDCl、TMSに対するδ):7.40〜
7.20t、1H;7.10〜6.86d、2H;4.
18q、4H;3.33t、1H;2.97〜1.97
m、4H;1.23t、6H。 IR(ニートフィルム、νcm−1):2980w、1
730s、1450w、1370w、775w。 【0041】参考例7 2−カルボキシ−4−(3−チエニル)ブタン酸の合成 1.4g(24.96ミリモル)の水酸化カリウムを
7.0mlの50%エタノール水溶液に溶解した溶液
に、参考例6で調製したジエステル(765mg、2.
83ミリモル)を加えた。得られた反応物を室温で2時
間かき混ぜ、次いで1晩還流した。得られた混合物を氷
−10%HCl中に注ぎ入れ、次いでエーテル抽出を3
回行なった。有機相を合体し、NaSOで乾燥して
収率90%で白色固形分を得た。これをクロロホルム−
ヘキサンから再結晶させ無色針状結晶を得た。次の特性
を有した。 【0042】融点:118〜119℃。 NMR(DMSO/d6、TMSに対するδ):12.
60、2H;7.53〜6.80m、3H;3.20
t、H;2.60、2H;1.99q、2H。 IR(KBr、νcm−1):2900w、1710
s、1410w、1260w、925w、780s。 元素分析値は次の通りであった。 計算値: C 56.45、 H 5.92、 S 18.83 C10S 実測値: C 56.39、 H 5.92、 S 18.67。 【0043】参考例8 4−(3−チエニル)ブチルメタンスルホネートの合成 4−(3−チエニル)ブタン酸(CA69:18565
x、72:121265k)を参考例7で調製したカル
ボン酸の標準的な熱脱カルボキシル化により製造した。
この化合物を同じく標準的な方法を用いて還元して4−
(3−チエニル)ブタノール(CA70:68035
r、72:121265k)を得た。1.05g(6.
7×10−3モル)の4−(3−チエニル)ブタノール
を25mlの新しく蒸留した乾燥ピリジンに溶解した溶
液に、25℃で0.85gのメタンスルホニルクロリド
を添加した。この添加は数分間にわたって徐々に行っ
た。反応混合物を室温で6時間かき混ぜ、次いで水−H
Cl及びエーテルを収容した分液漏斗に注ぎ入れて急冷
した。有機相を分離し、水性相を一度10%塩酸で抽出
し、水で抽出し、NaSOで乾燥した。溶媒の蒸発
により、1.51gの明褐色油(収率95%)を得た。
tlc(CHCl)は単一スポットを示した。分析の
結果は次の通りであった。 【0044】 計算値: C 46.13、 H 6.02、 S 27.36 C14 実測値: C 45.92、 H 5.94、 S 27.15。 NMR(CDCl、TMSに対するδ):2.0〜
1.5brs、4H;2.67brt,2H;2.97
s、3H;4.22t、2H;7.07〜6.80d、
2H:7.37〜7.13、1H。 【0045】参考例9 4−(3−チエニル)ブチルアイオダイドの合成 参考 例8で調製した上記のメタンスルホネート(1.5
1g、6.4×10−3モル)を1.93gのNaIを
14mlのアセトンに溶かした溶液に加え、室温で1晩
反応させた。反応混合物を加熱して5時間還流させた。
沈殿したCHSONaをろ別した。ろ液を水に注入
し、クロロホルムで抽出し、有機相をMgSOで乾燥
した。溶剤を蒸発して明褐色油を得、これをクロマトグ
ラフィー精製(シリカゲル、クロロホルム中60%ヘキ
サン)し、1.34gの無色油(収率78%)を得た。
測定値は次の通りであった。 【0046】NMR(CDCl、TMSに対する
δ):1.53〜2.20m、4H;2.64t、2
H;3.17t、2H;6.83〜7.10d、2H;
7.13〜7.37t、1H。 IR(KBr、νcm−1):2960s、2905
s、2840s、1760w、1565w、1535
w、1450s、1428s、1415s、1190
s、750s、695m、633m。 MS 266.0。元素分析は次の通りであった。 計算値:C 36.10、H 4.17、I 47.68、S 12.05 C11IS 実測値:C 37.68、H 4.35、I 45.24、S 12.00。 【0047】参考例10 4−(3−チエニル)ブタンスルホン酸ナトリウムの合
1.271g(1×10−2モル)のNaSOの2
ml水溶液に、参考例9で調製した上記アイオダイド
1.34gを加えた。反応混合物を加熱して18時間還
流した。得られた混合物を蒸発乾固させ、次いでクロロ
ホルムで洗滌して未反応アイオダイドを除去し、アセト
ンで洗滌してヨウ化ナトリウムを除去した。残りの固形
分は所望のナトリウム塩が過剰の亜硫酸ナトリウムで汚
染された混合物であり、さらに精製することなく後続工
程で用いた。測定値は次の通りであった。 【0048】NMR(DO、TMSプロパンスルホネ
ートに対するδ):1.53〜1.97m、4H;2.
47〜3.13m、4H;6.97〜7.20d、2
H;7.30〜7.50q、1H。 IR(KBr、νcm−1、NaSOピーク差
引):2905w、1280m、1210s、1180
s、1242m、1210s、1180s、1130
s、1060s、970s、770s、690w、63
0s、605s。 【0049】参考例11 4−(3−チエニル)ブタンスルホニルクロライド 上記塩混合物(参考例10から)1.00gを10ml
の新たに蒸留したDMSに懸濁した撹拌液に、1.43
gの蒸留塩化チオニルを滴下した。混合物を3時間かき
混ぜた。氷水で急冷した液をエーテルで2回抽出し、次
いでその有機相をNaSOで乾燥して淡黄色油56
6mgを単離し、この油をクロマトグラフィー(シリカ
ゲル、及びクロロホルム使用)にかけた後にゆっくり晶
出させた(融点26〜27℃)。NMR等は次の通りで
あった。 【0050】NMR(CDCl、TMSに対する
δ):1.45〜2.38m、4H;2.72t、2
H;3.65t、2H;6.78〜7.12d、2H;
7.18〜7.42、1H。 IR(ニートフィルム、νcm−1):3120w、2
920s、2870m、1465m、1370s、12
78w、1260w、1160s、1075w、935
w、850w、830m、776s、680m、625
w、585s、535s、510s。 元素分析は次の通りであった。 計算値:C 40.25、H 4.64、Cl 14.85、S 26.86 C11ClO 実測値:C 40.23、H 4.69、Cl 14.94、S 26.68。 【0051】参考例12 4−(3−チエニル)ブタンスルホン酸メチル(別称:
チオフェン−3−(4−ブタンスルホン酸メチル))の
合成 参考 例11で調製した上記酸クロリド362mg(1.
5×10−3モル)を6mlの新たに蒸留(モレキュラ
ーシーブによる)したメタノールに溶解した撹拌溶液
に、392mgのN,N−ジイソプロピルエチルアミン
を室温で加えた。反応混合物を2時間かき混ぜ、次いで
希HCl水溶液を収容した分液漏斗に移し、クロロホル
ムで3回抽出した。有機相を合体させ、NaSO
乾燥した後に、溶剤を蒸発させて明褐色油を得た。この
油をヘキサン40%のクロロホルムを溶離剤として用い
てシリカゲルによりクロマトグラフィで精製した。得ら
れた無色油(収率84%)は次の性質を有した。 【0052】元素分析値: 計算値: C 46.13、 H 6.02、 S 27.36 C14 実測値: C 45.97、 H 5.98、 S 27.28。 IR(ニートフィルム、νcm−1):3100w、2
970m、2860w、1460m、1410w、13
50s、1250w、1160s、982s、830
m、800m、770s、710w、690w、630
w、613w、570m。 UV−vis〔λmax、MeOH、nm(ε)〕:2
20(6.6×10)。 NMR(CDCl、TMSに対するδ):7.33〜
7.13(t、1H)、7.03〜6.77(d、2
H)、3.83(s、3H)、3.09(t、2H)、
2.67(t、2H)、2.2〜1.5(m、4H)。 【0053】参考例13 チオフェン−3−酢酸の重合 【化12】 エス・ホッタ等の「Synth.Metals」(既
述)に記載の電気化学的重合法に従がい、アセトニトリ
ルを溶剤とし、LiClOを電解質として用いて、室
温において上式IVのチオフェン−3−酢酸を重合し
た。青黒色フィルムが生成した。これは、式Ia(Y
=H、R=−CH−、Ht=S、X=CO)の両
性イオンポリマーの形成を示している。このポリマーフ
ィルムを電気化学的にサイクルさせたところ、青黒色か
ら黄褐色に変色することを観察した。これはポリマーが
両性イオン形から式Iで示される中性形へ還元したこと
を示す。赤外スペクトルは提案した構造と一致した。 【0054】参考例14 ポリ(チオフェン−3−(2−エタンスルホン酸)ナト
リウム塩) チオフェン−3−(2−エタンスルホン酸メチル)(式
V)を既述の方法で製造した。 【化13】 この単量体の重合は、重合温度を−27℃に保った点を
除いて参考例13と同じ方法によった。得られたポリマ
ー(「P3−ETSメチル」、VI)をアセトン中のヨ
ウ化ナトリウムで処理してスルホン酸官能基からメチル
基を除去し、ポリマーの対応したナトリウム塩すなわち
ポリ(チオフェン−3−(2−エタンスルホン酸)ナト
リウム塩)(「P3−ETSNa」)(式VII)を充
分な収率(約98%)で得た。 【化14】 【化15】上記のポリマーメチルエステル及びポリマーナトリウム
塩は赤外及び可視紫外線吸収スペクトル計及び元素分析
により特性を調べた(図1及び図2参照)。ナトリウム
塩は水に全ての比率で溶解することが分り、水性溶液か
らフィルム状に流延(キャスティング)成形し得ること
が分かった。 【0055】電気化学セルをガラス中に構成し、電気化
学ドーピング及び電荷蓄積を現場(In Situ)光
電気化学スペクトル計により立証した。セルITO被覆
ガラス(アノードとして役立つ)上に上記ポリマーのフ
ィルムを形成したもの、白金対電極(カソード)、銀/
塩化銀基準電極、及びテトラブチルアンモニウムパーク
ロレート電解質より構成された。図5は、順次に高電開
路電圧に荷電したセルについてとったP3−ETSNa
の一連の可視近赤外スペクトルを示している。π−π
遷移が消尽し、それに伴って振動子強度の2つの特性近
赤外バンドへの移行するという点で、得られた結果は導
電性ポリマーに典型的なものである。図5の結果は可逆
電荷蓄積及びエレクトロクロミズムの両方を立証してい
る。 【0056】電気伝導度は、全接点を予め付着したガラ
ス基体上に、水から重合体フィルムをキャストしたもの
を用いた、標準の4プローブ技術により測定した。臭素
蒸気に露出すると、P3−ETSNaの電気伝導度は約
1S/cmに上昇した。 【0057】参考例15 ポリ(チオフェン−3−(4−ブタンスルホン酸)ナト
リウム塩) チオフェン−3−(4−ブタンスルホン酸メチル)(式
VIII)を既述の方法で製造した。 【化16】 重合は参考例13、14に記載したと同一の条件及び方
法で行った。得られたポリマー(「P3−BTSメチ
ル」、式IX)をアセトン中ヨウ化ナトリウムで処理し
たところ、充分な収率でポリ(チオフエン−3−(4−
ブタンスルホン酸)ナトリウム塩)(「P3−BTSN
a」、式X)が得られた。 【化17】 【化18】 重合メチルエステル(式IX)及び対応するナトリウム
塩(式X)は分光測定(IR、UV可視)及び元素分析
により特性を調べた。ナトリウム塩は水に全ての割合で
溶解し、水溶液からのキャスティングによるフィルム形
成を可能にするものであった。 【0058】電気化学セルを参考例14に従って構成し
て、現場(In Situ)光電気化学分光測定を経て
電気化学的ドーピング及び電荷蓄積を立証した。図6〜
7はP3−BTSNa及びP3−BTSメチルの順次に
増大する開路電圧まで荷電したセルについてとった一連
の可視近赤外スペクトルを示す。参考例14と同様に、
π−π遷移が消尽し、それに伴って振動子強度が2つ
の特性赤外バンドにシフトする点で、導電性ポリマーに
典型的なものであることが分った。参考例14と同様
に、図6〜7の結果は、可逆的電荷蓄積及びエレクトロ
クロミズムの両方を立証する。 【0059】参考例16 ポリ(チオフェン−3−(2−エタンスルホン酸))の
製造と分析 既述の方法によりチオフェン−3−(2−エタンスルホ
ン酸)のナトリウム塩重合体(式I)(Ht=S、Y
=H、R=−CHCH−、X=SO、M=N
a)を製造し、水に溶解し、酸性形の陽イオン交換樹脂
のイオン交換クロマトグラフ分離にかけ、ポリ(チオフ
ェン−3−(2−エタンスルホン酸))の水溶液を調製
した。暗赤褐色流出物の原子吸光分析により、水素がナ
トリウムで完全に置換されていることが分った。図8は
ポリマーフィルムに対して行ったサイクリックボルタン
メトリーの結果を示す(「P3−ETSH」/ITOガ
ラス作用電極、白金対電極、アセトニトリル中銀/塩化
銀基準電極、フッ化ホウ酸−トリフルオル酢酸電解
質)。同図は、P3−ETSHが、強酸性媒体中で銀/
塩化銀に対し+0.1Vと+1.2Vの間でサイクルし
たとき、電気化学的に強じんな重合体であることを示し
ている。図には間隔が密接した2本の酸化波が示されて
おり、第1のものはオレンジ色から緑色への変化に対応
している。重合体はサイクルでき、100mV/秒にお
いて安定性が認め得る程に変動しないで対応した色変化
が観測された。 【0060】電気化学セルをガラス中に構成し、現場
(In Situ)光電気化学分光測定により、電気化
学的ドーピング及び電荷蓄積を立証した。セルはITO
ガラス(アノード)上のポリマーフィルム、白金対電極
(カソード)、アセトニトリル中銀/塩化銀基準電極、
フッ化ホウ酸−トリフルオル酢酸電解質より成るもので
あつた。図9は順次高い開路電圧に荷電したセルについ
て測定したP3−ETSHの可視近赤外スペクトルを示
す。この場合、ポリマーは強酸性電解液中で自然にドー
プすることが観測された。図9の結果は、可逆的な電荷
蓄積及びエレクトロクロミズムの両方を立証する。短時
間に自己ドーピングレベルを制御することは、平衡回路
電圧よりも低い電圧を印加することにより達成された。 【0061】実施例1 重合体複合体の調製 ポリ(チオフェン−3−(2−エタンスルホン酸))
(式I)(Ht=S、Y=H、R=−CHCH
−、X=SO、M=H、「P3−ETSH」)を
例16により製造し、これを次のように複合体の製造
に用いた。上記化合物をポリビニルアルコール水溶液と
混合し、中性ポリマーをキャストし、乾燥してフィルム
とした。自立性の濃いオレンジ色のフィルム(青黒色両
性イオン性ポリマーとは違って電荷的に中性)はすぐれ
た機械特性(柔軟で、平滑で、可撓性)を有し、補償に
より化学ドーピング及び脱ドーピングすることができ
た。この導電性ポリマー複合体の製造方法は、P3−E
TSHまたはP3−BTSHに関連して任意の水溶性ポ
リマーの使用に広く応用しうる。 【0062】参考例17 2,5−ジエトキシカルボニル−1,4−シクロヘキサ
ンジオン及びp−フェニレンジアミンのポリマーの製造 新しく蒸留したブタノール380ml中に8.51g
(33.21ミリモル)の2,5−ジエトキシカルボニ
ル−1,4−シクロヘキサンジオンを懸濁させ、これに
ブタノール20mlに3.59gのp−フェニレンジア
ミンを溶解したものを添加し、次いで40mlの氷酢酸
を加えた。得られた混合物を加熱して36時間還流さ
せ、次いで12時間酸素に露出して還流させ、熱ろ過
し、固形分をエーテルで洗滌し、ソックスレー抽出器中
で次の溶剤により抽出した。クロロホルム(6日間)、
クロルベンゼン(5日間)、及びエーテル(4日間)。
この処理により、黒ずんだ固形分8.42gが得られ
た。元素分析及びIRは次の通りであった。 【0063】 計算値: C 65.84、 H 6.14、 N 8.53 C1318 実測値: C 65.55、 H 6.21、 N 8.71。 IR(KBr、νcm−1):3350w、3240
w、2980m、2900w、1650s、1600
s、1510s、1440m、1400w、1220
s、1090w、1065s、820w、770m、6
00w、495w。 【0064】参考例18 ポリアニリンジカルボン酸 上記ポリマー(ジエステル体)をDMF中に懸濁し、水
酸化ナトリウム50%(重量)水溶液で処理した。反応
混合物を厳密な無酸素条件下で100℃に48時間加熱
した。混合物を冷却し、それを氷/HCl混合物中に投
入し、ろ過した。この生成物の赤外吸収(IR)スペク
トルは次の固有吸収ピークを示した。3100〜290
0br、1600s、1500s、1210s。
【図面の簡単な説明】 【図1】ポリ(チオフェン−3−(2−エタンスルホン
酸メチル))の赤外スペクトルである。 【図2】ポリ(チオフェン−3−(2−エタンスルホン
酸)ナトリウム塩)の赤外スペクトルである。 【図3】ポリ(チオフェン−3−(4−ブタンスルホン
酸メチル))の赤外スペクトルである。 【図4】ポリ(チオフェン−3−(4−ブタンスルホン
酸)ナトリウム塩)の赤外スペクトルである。 【図5】ポリ(チオフェン−3−(2−エタンスルホン
酸)ナトリウム塩)の一連の可視近赤外スペクトルを示
す。 【図6】ポリ(チオフェン−3−(4−ブタンスルホン
酸)ナトリウム塩)の一連の可視近赤外スペクトルを示
す。 【図7】ポリ(チオフェン−3−(4−ブタンスルホン
酸メチル))の一連の可視近赤外スペクトルを示す。 【図8】ポリ(チオフェン−3−(2−エタンスルホン
酸))のフィルムで行なったサイクリックボルタンメト
リーの結果を示す。 【図9】ポリ(チオフェン−3−(2−エタンスルホン
酸))の一連の可視近赤外スペクトルを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−39916(JP,A) 特開 昭61−278526(JP,A) 特表 平1−500835(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08G 61/00 - 61/12 C08L 65/00 - 65/04

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 1.下記の構造(I)を有する単位: 【化1】 (式中、HtはNH、S、O、Se及びTeから成る群
    より選ばれ、Yは水素または−R−X−Mであ
    り、Rは炭素数1〜10の線状又は枝分れアルキレン
    又はエーテル結合基を有するアルキレンであり、Xはブ
    レンステッド酸アニオンであり、Mは酸化した場合に
    一価カチオンを生じる原子或いは基である)で構成され
    る自己ドープ型導電性ポリマーと他の水溶性ポリマーと
    の複合体。 2.下記の構造(I)を有する単位: 【化2】 (式中、HtはNH、S、O、Se及びTeから成る群
    より選ばれ、Yは水素または−R−X−Mであ
    り、Rは炭素数1〜10の線状又は枝分れアルキレン
    又はエーテル結合基を有するアルキレンであり、Xは−
    CO−又は−SO−であり、MはH、Li、Na
    及びKからなる群より選ばれる)で構成される自己ドー
    プ型導電性ポリマーと他の水溶性ポリマーとの複合体。 3.下記の構造(I)を有する単位: 【化3】 (式中、HtはNH、S、O、Se及びTeから成る群
    より選ばれ、Yは水素または−R−X−Mであ
    り、Rは炭素数1〜10の線状又は枝分れアルキレン
    又はエーテル結合基を有するアルキレンであり、Xはブ
    レンステッド酸アニオンであり、Mは酸化した場合に
    一価カチオンを生じる原子或いは基である)で構成され
    る自己ドープ型導電性ポリマー及び他の水溶性ポリマー
    を含む水溶液を調製した後、成型することを特徴とする
    前記導電性ポリマーと前記他の水溶性ポリマーとの複合
    体の製造方法。 4.下記の構造(I)を有する単位: 【化4】 (式中、HtはNH、S、O、Se及びTeから成る群
    より選ばれ、Yは水素または−R−X−Mであ
    り、Rは炭素数1〜10の線状又は枝分れアルキレン
    又はエーテル結合基を有するアルキレンであり、Xは−
    CO−又は−SO−であり、MはH、Li,Na
    及びKからなる群より選ばれる)で構成される自己ドー
    プ型導電性ポリマー及び他の水溶性ポリマーを含む水溶
    液を調製した後、成型することを特徴とする前記導電性
    ポリマーと前記他の水溶性ポリマーとの複合体の製造方
    法。
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