JP2939504B2 - インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法 - Google Patents

インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法

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JP2939504B2
JP2939504B2 JP7343739A JP34373995A JP2939504B2 JP 2939504 B2 JP2939504 B2 JP 2939504B2 JP 7343739 A JP7343739 A JP 7343739A JP 34373995 A JP34373995 A JP 34373995A JP 2939504 B2 JP2939504 B2 JP 2939504B2
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    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet
    • B41J2/135Nozzles
    • B41J2/14Structure thereof only for on-demand ink jet heads
    • B41J2/14008Structure of acoustic ink jet print heads

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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)
  • Ink Jet (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レーリー表面弾性
波を生じさせ、その表面弾性波の伝搬経路上に液体を供
給し、その供給された液体を液滴化して噴射し、液滴を
記録媒体に付着させることにより記録を行なうインクジ
ェット記録装置およびインクジェット記録方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、ノズルからインク滴を必要に
応じて吐出させて印字を行なう、いわゆるオンデマンド
型のインクジェット記録方式が知られている。そのオン
デマンド型のインクジェト式記録方式の中の代表的な方
式としては、ピエゾ振動子方式やサーマル方式などがあ
る。
【0003】ピエゾ振動子方式は、ノズルに通じるイン
ク室に設けられた圧電素子にパルス電圧を印加し、圧電
素子を変形させることによりインク室のインク液圧を変
化させ、これによりノズルからインク滴を吐出させて記
録用紙にドットを記録する方式である。また、サーマル
方式は、インク室内に設けられた加熱手段によりインク
を加熱し、その加熱によって発生したバブルによりイン
ク滴をノズルから吐出させ、記録用紙にドットを記録す
るものである。
【0004】これらのインクジェット記録方式では、従
来、解像度が300ドット/インチ(1インチ=25.
4mm)程度であったが、近年ではその解像度が600
ないし720ドット/インチと高解像度化されており、
さらに高解像度化が望まれている。
【0005】高解像度化を実現するためには、その解像
度に応じて、記録するドット径を小さくする必要があ
る。上述の従来のインクジェット記録方式においてドッ
ト径を小さくするには、ノズル径を小さくするのが一般
的である。しかしながら、ノズル径を小さくすると、ゴ
ミやノズル内のインク表面の乾燥等によるノズル詰まり
や、ノズル周囲への残滓の付着によるインク吐出方向の
変化が発生しやすくなり、それらが発生すると記録紙上
に記録された画像に欠陥が発生してしまうこととなる。
したがって、ノズル径を小さくするには限度があり、ノ
ズル径を小さくするという対処方法では、ある一定以上
の高解像度には対処できないという問題がある。
【0006】近年、インクジェット記録方式の中で、上
述のピエゾ振動子方式やサーマル方式とは異なる、表面
弾性波を用いたインクジェット記録方式が提案されてい
る。固体の表面のほぼ1波長の深さ以内に全エネルギー
を集中させ伝搬する表面弾性波は、一般にレーリー波と
呼ばれている。その伝搬面上に液体が存在すると、この
レーリー波は液体の存在する部分で漏出し、その固体表
面では減衰する。このように、固体表面を伝搬してきた
レーリー波は、液体と接する部分において固体表面を伝
搬しながらそのエネルギーを液体超音波として放射し、
漏洩レーリー波(漏洩表面弾性波)となる。このとき、
液体中には特定の角度で縦波が放射される。このような
現象を用い、インク液中に波としてエネルギーを伝達
し、伝達されたエネルギーによってインク液滴を飛翔さ
せることができる。
【0007】この方式によれば、形成されるインク滴の
大きさはノズル径に直接影響されることはないため、イ
ンクの吐出口をインク滴と同程度の大きさまで小さくす
る必要はなく、また、円形のノズル形状でなくとも、ス
リット状であってもインク滴を噴射させることに関し、
本質的な問題はない。
【0008】このような表面弾性波を用いたインクジェ
ット記録装置としては、例えば、特開昭54−1073
1号公報、特開昭62−66943号公報などに記載さ
れているものがある。これらの文献に提案されている方
式は、インク液中に交差指電極を配置し、その交差指電
極により表面弾性波を形成し、その漏洩レーリー波によ
りインクを振動させ、ノズル等からインク滴を吐出させ
るものである。
【0009】しかし、これらの文献に記載されている装
置では、表面弾性波を発生させる交差指電極がインク液
に接しているため、高周波振動により電極材料とインク
中の成分とが反応して、電極材料の溶出し、また、イン
ク成分の電極への付着等が生じ、経時劣化が激しいとい
う問題が発生する。また、インク液中では固体表面上の
漏洩レーリー波により形成された縦波の減衰が激しいた
め、縦波がインク中を伝搬する間に減衰し、よってエネ
ルギー効率が低いという問題もある。
【0010】これら問題に対し、例えば、特開平2−2
69058号公報、特開平4−14455号公報等に記
載されているように、交差指電極がインク液に接しない
構成のインクジェット記録装置も提案されている。
【0011】図19は、従来の表面弾性波を用いたイン
クジェット記録方式の原理説明図である。図中、31は
表面、32は交差指電極、33は圧電基板、34はイン
ク、35は液滴、36は高周波電源である。圧電基板3
3の表面31に、交互に入り組んだ交差指電極32を形
成する。その交差指電極32に高周波電源36から高周
波電圧を印加すると、表面弾性波が発生し、圧電基板3
1の表面32を伝搬する。その表面弾性波の伝搬路上に
インク34を置くと、表面弾性波がインク34と接触す
ることによりその振動エネルギーがインク34に伝わ
り、そのエネルギーにより液滴35が飛翔する。
【0012】図19に示す原理図の場合、液滴35の飛
翔後、インク34を供給するための構成がないので、そ
のままでは連続して液滴35を飛翔させ、記録するはで
きない。そのため、特開平2−269058号公報で
は、インクを供給する細管を設けている。また、特開平
4−14455号公報では、圧電基板の表面弾性波の伝
搬上にインクを連続的に供給することができるようなス
リットを設けている。
【0013】この方式によれば、交差指電極32はイン
クと直接接触することはなくまた、飛翔させる液滴と同
程度の小径のノズルを形成する必要もないため、信頼性
の点では大きな効果がある。また、インクに接するまで
の表面弾性波は減衰が少なく、また、インク中に漏洩す
る縦波の伝達距離も小さいため、インク中での減衰も少
なく、与えられた表面弾性波のエネルギーを効率よく利
用することができるという利点もある。
【0014】ところで、上述したような漏洩レーリー波
を利用するインクの飛翔方式では、表面弾性波の伝搬路
と供給されるインクの位置関係が変わると、インクの吐
出特性が変化するという問題点を有している。
【0015】固体表面上の表面弾性波から液体中に縦波
が漏洩する固体上の漏洩レーリー波の性質は、詳しく研
究報告されており、液滴の飛翔現象についても報告され
ている。例えば、電子情報通信学会技術報告,US89
−51,pp41−46等に記載されている。これらの
解析によれば、固体表面のIDT(Inter Dig
ital Transducer)や固体表面を伝搬す
る表面弾性波から、液中に漏洩する波の角度は次のよう
に示されている。
【0016】 漏洩レーリー角α=sin-1(Vi/Vw) ただし、Vwは液体に接している固体表面の漏洩表面弾
性波の速度、Viは液体中を伝搬する縦波の速度であ
る。この角度は一義的に決まり、例えば128°Y板X
伝搬のLiNbO3 と水を用いた系ではα=23゜であ
る。また、この値は実験的にも確認されている。
【0017】固体表面から液体中へ縦波が漏洩する現象
は、固体表面を伝搬する表面弾性波が液体と接触した瞬
間から発生し、液体下の固体表面の表面弾性波(漏洩表
面弾性波、あるいは漏洩レーリー波という)は数波長で
減衰してしまう。このため、液中を伝搬する縦波は固体
表面と液体との接触位置がどこにあるかで、液面からの
液滴の発生位置、液滴の飛翔方向が左右される。すなわ
ち、特開平2−269058号公報では伝搬面上に供給
するインクの量と供給位置を、また、特開平4−144
55号公報ではインク液面の位置を、それぞれ精密に制
御しない限り、インクの飛翔位置が不安定となり、記録
紙上に正確にドットを記録できないこととなる。
【0018】さらに、従来の方式において小径の液滴を
作製するには、図19に示す交差指電極32の幅dを短
くすることが必要である。ところが、交差指電極の幅d
を、発生させる表面弾性波の波長λの10倍以下にする
と、表面弾性波の伝搬方向の指向性が悪くなり、伝搬方
向以外への不要な振動の発生比率が高くなる。不要な振
動の輻射は液面でのクロストークや、液滴の飛翔方向の
不安定を生じさせることとなる。
【0019】この問題を回避して小径のインク滴を飛翔
させるには、表面弾性波の波長λを短くし、すなわち高
周波の表面弾性波を発生させ、交差指電極の幅dを小さ
くしていくことで、dをλの10倍以上に保つことが考
えられる。しかしながら、むやみに表面弾性波の波長λ
を短くすることは、発振周波数を高めることとなり、高
価な高周波電源が必要となる等弊害が多く、本質的な解
決にならない。
【0020】以上のように、従来の漏洩レーリー波を利
用したインクジェット記録装置では、精密なドットを精
度よく飛翔させて印字することができないという問題点
があった。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した事
情に鑑みてなされたもので、ノズルの影響を受けずに小
径のインク滴を吐出できるという漏洩レーリー波を利用
したインクジェット方式の利点を保ちながら、供給され
るインクの位置によらず常に安定した小径のインク滴を
精密に飛翔させて、正確に記録紙に印字できるインクジ
ェット記録装置を提供することを目的とするものであ
る。
【0022】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、表面弾性波を伝搬させてインクの液面からインク滴
を吐出させるインクジェット記録装置において、インク
の液面に対して傾きを有し前記インクと接する斜面が少
なくとも一部に形成され表面弾性波を伝搬する基体と、
該基体上のインクと接しない部分に設けられインク噴射
位置に向けて複数方向から表面弾性波を伝搬させる振動
発生手段を有することを特徴とするものである。
【0023】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
のインクジェット記録装置において、前記斜面は、前記
インクから離れる方向に開いた面であることを特徴とす
るものである。
【0024】請求項3に記載の発明は、請求項1に記載
のインクジェット記録装置において、前記斜面は、前記
表面弾性波がインクと接して該インク中に放射される縦
波の少なくとも一部の進行方向がインクの液面と略平行
となるような角度で形成されていることを特徴とするも
のである。
【0025】請求項4に記載の発明は、請求項1に記載
のインクジェット記録装置において、前記斜面とインク
の自由液面の垂線とがなす角度を、前記斜面における表
面弾性波の速度をVw、インク中を伝搬する縦波の速度
をViとしたときに α=sin-1(Vi/Vw) で決まる漏洩レーリー角としたことを特徴とするもので
ある。
【0026】請求項5に記載の発明は、請求項1に記載
のインクジェット記録装置において、前記斜面は、前記
表面弾性波がインクと接して該インク中に放射される縦
波の少なくとも一部の進行方向がインク中からインクの
液面に向く方向成分を有する角度で形成されていること
を特徴とするものである。
【0027】請求項6に記載の発明は、請求項1に記載
のインクジェット記録装置において、前記斜面が前記イ
ンクの液面と接触する部分に、前記インクの液面に前記
表面弾性波の伝搬を防止する縦波伝搬防止部材を設ける
ことを特徴とするものである。
【0028】請求項7に記載の発明は、請求項1に記載
のインクジェット記録装置において、前記斜面は、前記
基体に設けられた開口の側壁に設けられており、前記振
動発生手段は、複数方向からの表面弾性波を前記開口へ
向けて生じさせることを特徴とするものである。このと
きの開口は、請求項8に記載の発明のように、インク吐
出方向に垂直な断面の面積が、インク吐出方向に向かっ
て増加するような形状とすることができる。また、開口
は、請求項9に記載の発明のように、円形あるいは楕円
形としたり、請求項10に記載の発明のように、スリッ
ト状に設けられていることができる。さらに、このよう
な開口を有する構成では、請求項11に記載の発明のよ
うに、前記基体は、前記インクの自由液面と略平行の面
を有し、該面に前記開口が設けられてなり、前記振動発
生手段は前記面に形成され、前記表面弾性波は前記面か
ら前記開口の前記斜面へと伝搬するように構成すること
ができる。
【0029】請求項1に記載のインクジェット記録装置
において、前記振動発生手段は、請求項12に記載の発
明のように略円状に配置したり、請求項13に記載の発
明のように、略円弧状に配置することができる。また、
請求項14に記載の発明のように、複数の振動発生部か
ら構成されており、該複数の振動発生部で発生する表面
弾性波がインクの液面の1点に向けて集中するように方
向付けた構成とすることもでき、その場合に、請求項1
5に記載の発明のように、各振動発生部を略円弧状とす
ることができる。
【0030】請求項16に記載の発明は、請求項1に記
載のインクジェット記録装置において、前記振動発生手
段によって発生する複数方向からの表面弾性波が前記イ
ンク噴射位置に到達するまでの振動到達時間が等しくな
るように、前記振動発生手段の配置位置が決定されてい
ることを特徴とするものである。
【0031】請求項17に記載の発明は、請求項1に記
載のインクジェット記録装置において、前記基体は、少
なくとも表面が電界により機械歪みを生じる材料からな
り、前記振動発生手段は、交差指電極からなることを特
徴とするものである。
【0032】請求項18に記載の発明は、請求項1に記
載のインクジェット記録装置において、前記振動発生手
段は、振動発生部と、前記斜面と前記インクを挟んで設
けられた壁面により構成されており、該壁面は、前記振
動発生部で発生し前記インク中に漏洩した縦波を反射し
て前記インクの液面の1点に集中させることを特徴とす
るものである。
【0033】請求項19に記載の発明は、インクジェッ
ト記録方法において、表面弾性波を伝搬する基体のイン
クと接しない部分から、インク噴射位置に向けて複数方
向から表面弾性波を伝搬させるとともに、該表面弾性波
をインクの液面に対して斜めに入射させ、前記インク中
に漏洩する縦波がインク噴射位置で集中し、前記インク
の液面からインク滴を飛翔させて被記録媒体に記録を行
なうことを特徴とするものである。このとき、複数の方
向から発生させる前記表面弾性波は、請求項20に記載
の発明のように、円形状または円弧状の振動発生手段に
より発生された表面弾性波とすることができる。また、
前記表面弾性波を前記インクに対して入射させる際に
は、請求項21に記載の発明のように、前記縦波が前記
インクの自由液面に略平行に伝搬するように入射させる
ことができる。
【0034】請求項22に記載の発明は、表面弾性波の
伝搬を利用してインクの液面からインク滴を飛翔させる
インクジェット記録装置において、実質的に対向するよ
うに配置された少なくとも一対の壁面を有している基体
を備え、前記一対の壁面が前記インクに接触しており、
前記基体の前記インクと接触しない部分には表面弾性波
を発生させるための振動発生手段が設けられ、前記振動
発生手段により前記基体に発生させた表面弾性波を縦波
として前記壁面から前記インクに放射させ、前記一対の
壁面から前記インクに放射された縦波の衝突によってイ
ンクの液面からインク滴を飛翔させることを特徴とする
ものである。
【0035】前記基体において前記振動発生手段の設け
られた部分は、請求項23に記載の発明のように、表面
が緩やかに湾曲した部分を経て前記一対の壁面に連なる
ように構成することができる。特に、前記湾曲部分は、
請求項24に記載の発明のように、表面弾性波の波長の
2倍以上の曲率半径を有するように構成することができ
る。あるいは、請求項25に記載の発明のように、複数
の面取り平面部を経て前記一対の壁面に連なるように構
成することができる。
【0036】
【発明の実施の形態】まず、本発明の原理的な説明を行
なう。表面弾性波を伝搬する固体表面から液体内部へ放
射される縦波は、前述したように漏洩レーリー角という
一定の方向へ伝搬する性質を持っているため、液体内の
縦波伝搬面の指向性が高い。また、この放射は、液体と
接触しない固体表面から伝搬してきた表面弾性波が、液
体と接触した部分から数波長分の距離で、液体の内部に
縦波としてエネルギーを放射するため、液体の表面近傍
でエネルギー密度がきわめて高い性質を持つ。さらに
は、表面弾性波から液体内の縦波へのエネルギー変換
は、他の波動伝搬に比較してきわめて伝搬効率が高いと
いう性質を併せ持つ。
【0037】したがって、表面弾性波の伝搬面部から液
体内への縦波放射を、液面に略平行に、かつ液体表面の
液滴を飛翔させる点の周囲からほぼ同時に行なうこと
で、液体表面近傍で非常にエネルギー密度の高い集中を
起こすことが可能となる。この集中は液体の表面近傍で
起こるため、エネルギーの作用を受けることのできる液
体はごく微量で、しかも体積当たり非常に大きいエネル
ギーを得る。結果として、自由液面からは、きわめて微
小な液滴が、大きな速度で飛び出すので、高精細で精度
の高いインクジェット記録装置を実現することが可能と
なる。
【0038】これを実現するため、まず、縦波を液面に
略平行に伝搬させる方法について考える。図4は、表面
弾性波と縦波の関係の説明図である。図4(A)に示す
ように、固体表面の液体に接触しない側から液体との接
触部分へ向けて表面弾性波を伝搬させると、液体内部へ
縦波が放射される。放射される縦波の方向は理論的に一
定であり、表面弾性波の伝搬方向に対して90°以内で
ある。このことは、漏洩レーリー角αの式からも明らか
である。この様子を図4(B)に示している。そのた
め、図4(A)に示すように、液面から離れる方向に開
いた面に沿って表面弾性波を液体へ向けて伝搬させれ
ば、縦波は液面に平行な成分を有して伝搬面から離れる
方向に伝搬することになる。言い換えると、伝搬面は液
体の吐出方向に向かって断面積が増加するような形状で
あればよい。このとき、液面と表面弾性波の伝搬面部と
を、液体表面近傍で常に一定の角度関係に保つことによ
り、液体に漏洩する縦波の方向を規定することができ
る。特に液面が平坦な理想状態において、表面弾性波の
伝搬方向と液面の垂線とのなす角を漏洩レーリー角αと
することによって、液中の縦波は液面に沿って進むこと
になる。
【0039】また、表面弾性波が伝搬する伝搬面は、表
面弾性波の液体に接触後の減衰が激しいため、液面近傍
以外での形状は自由であり、例えば、液体に接触しない
側は別の平面に連続させることもできる。また、液体中
で液面と垂直な面を形成してもよい。しかし、液面近傍
において、ある程度の範囲で上述のような角度関係を維
持する面を形成しておくことが望ましい。これによっ
て、液面が上下しても、液面と伝搬面部とが最適な角度
関係を維持でき、例えば、常に自由液面に略平行な縦波
を発生させることができる。もちろん、表面弾性波の発
生源から液面、さらには液中に至るまで、同じ平面で構
成してもよい。
【0040】次に、複数の方向から表面弾性波を伝搬さ
せ、エネルギーを集中させる場合を考える。図5は、複
数の方向から表面弾性波を伝搬させる場合の説明図であ
る。この場合、各表面弾性波の伝搬する経路において、
上述のような液面と表面弾性波の伝搬面部とが一定の角
度関係にある部分を少なくとも設けておく必要がある。
例えば、対向する縦波を集中させる場合、図5(A)に
示すように、液面と伝搬面部とが所定の角度関係にある
部分を液体を挟んで対向させて、部分的にスリット状に
形成することができる。また、対向しなくても、例え
ば、図5(B)に示すように複数方向からの縦波が集中
すれば、液滴が飛翔することになる。さらに、後述する
ように円の周上から中心へ向けて縦波を集中させる場合
には、円錐状の漏斗のような表面において表面弾性波を
伝搬させればよい。この場合には、無限個の方向からの
縦波を集中させることになる。このほかにも、楕円錐や
多角錐形など、種々の形状により、表面弾性波の伝搬面
を構成することができる。もちろん、表面弾性波の通過
しない面においてはどのような形状でもよく、上述のよ
うな液面との関係が保持されていなくてもよい。
【0041】また、エネルギーを集中させて利用するた
めには、液面近傍で縦波を同位相で集中させる必要があ
る。そのための方法の1つとして、例えば、液面に同時
に表面弾性波を到達させる方法がある。このためには、
例えば、表面弾性波を発生させる手段を対称に配置する
ことが望ましい。また、表面弾性波を発生させる振動発
生手段から液面の一点までの振動到達時間が等しい関係
となるように、振動発生手段を配置することによって、
液面の一点に振動を集中させることができる。すなわ
ち、振動発生手段から液面の一点までの振動到達時間t
は、表面弾性波の伝搬面の距離をr1、伝搬速度をv
1、液体内の縦波の伝搬距離をr2、伝搬速度をv2と
したとき、t=r1/v1+r2/v2で表わされる。
このtが一定になるように、振動発生手段を配置するこ
とがひとつの方法である。この方法は、集中する振動源
を同時に駆動できる点で有利である。
【0042】この方法を用いる場合、液体、および伝搬
面の材質を、均一で等方性のある材質で構成するなら
ば、この設計は極めて単純となる。例えば、r1、r2
ともに一定値とすればよい。すなわち、振動発生手段を
集中点から等距離に配置すれば、この条件を満たすこと
ができる。この関係で最も簡単な構成は、振動発生手段
を液面の周囲に、液面の一点を通る中心軸を中心とした
円あるいは円弧状に配置することである。このように構
成した実施の態様を後で述べる。
【0043】円あるいは円弧状に配置する以外でも、振
動到達時間tが等しくなるように構成することは可能で
ある。例えば、表面弾性波の伝搬面の液体の吐出方向に
垂直な断面の形状を、円形あるいは楕円形にしてもよ
い。あるいは、スリット状であってもよい。液面の任意
の点に縦波を集中させる場合において、この集中点から
表面弾性波の伝搬面上の縦波放射点までの距離r2が、
集中点の周囲で一定でない場合であっても、各伝搬面上
の縦波放射点と集中点との距離r2に従って、各伝搬面
上の縦波放射点と振動発生手段との距離r1を選ぶこと
により、振動到達時間tを等しくすることができる。
【0044】この作用は、音響レンズ作用そのものであ
るが、本発明では、特殊なレンズを用いることなくこの
機能を達成できるという利点を有する。特に、直線状の
振動発生手段と、円形あるいは楕円形の開口部形状を利
用すれば、非常に簡易な構成で開口部内の一点に振動を
集中することができる。この場合、振動発生手段は、円
あるいは円弧状のものに限らず、直線の形状の振動発生
手段も使用でき、圧電基板に使用できる材料の選択性が
広がる点や、高密度に素子を集積できるという点で有利
である。
【0045】別の方法として、振動発生手段から液面の
一点までの振動到達時間tが一定でない位置にある複数
の振動発生手段を、それぞれ所定の時間ずつずらして駆
動し、集中させるべき点に到達する振動の位相を一致さ
せる方法もある。この方法は、振動発生手段を時分割で
駆動でき、最大消費電力を小さくできるという利点を有
する。さらには、1つの振動発生手段からの表面弾性波
が液中に縦波として伝達された後、曲面の反射壁によっ
て拡散する縦波を液面の1点に集中させることによって
も、多方向からの縦波を集中させることができる。
【0046】なお、表面弾性波は固体表面の伝搬中はあ
まり減衰しないが、液中の縦波は減衰量が大きい。その
ため、表面弾性波が液中に漏洩した後、縦波によって液
滴を飛翔させる点までの距離はなるべく短い方が効率が
よい。また、表面弾性波を発生させてから液面に接触す
るまでの距離は、効率の点ではそれほど問題とはならな
いが、拡散等の影響を考慮すると、極端に長くしない方
がよい。
【0047】図1は、本発明のインクジェット記録装置
の第1の実施の形態における記録ヘッド部の基本構成を
示す平面図、図2は、同じく断面図、図3は同じく開口
部の液面近傍の拡大断面図である。図中、1は圧電基
板、2はインク、3はインク滴、4は交差指電極、5は
高周波電源、11は圧電基板表面、12は伝搬面、13
は開口部、14は液面、15はインク供給室である。
【0048】図2に示すように、圧電基板1の下部にイ
ンク供給室15が形成されている。圧電基板1には、イ
ンク供給室15から圧電基板1の表面に通じる開口部1
3が設けられている。インク供給室15の内部のインク
2は、図示しないインク供給手段による加圧または減圧
により、インク吐出口の開口部13にインクの液面14
を保持できるように調整されている。開口部13の周囲
の圧電基板表面11には、交差指電極4が形成され、そ
の交差指電極4は高周波電源5から高周波電圧が印加さ
れるように電気的に接続されている。
【0049】圧電基板1は、電界により機械歪みを生じ
る材料で構成され、例えば、ニオブ酸リチウム、チタン
酸ジルコン酸鉛(PZT)、ZnO、あるいは、例え
ば、PVDF(ポリ弗化ビニリデン)などの高分子圧電
フィルム等が用いられる。ここで、ニオブ酸リチウム、
チタン酸ジルコン酸鉛等は、表面弾性波の伝搬速度に面
内異方性があるため、異方性のないZnO、PZT、高
分子圧電フィルム等を用いることが設計を容易にすると
いう観点からは好ましい。
【0050】圧電基板1は、その基板全体が上記の圧電
材料で形成されてもよいが、金属、半導体、無機絶縁体
あるいは樹脂等の基板状に上記材料を塗布、蒸着、ある
いは接着などにより圧電材材料を形成したものでもよ
い。これは、表面弾性波の伝搬エネルギーが、表面弾性
波の波長をλとしたとき、圧電基板1の表面から深さ約
1.0λ以内に蓄えられるためである。ただし、その層
の厚さは、表面弾性波の伝搬に支障がないように、発生
させる表面弾性波の波長λの数倍以上、好ましくは10
倍以上必要であり、具体的には、20μmないし500
μm程度以上であることが好ましい。例えば、Si基板
上にSiO2 やSiNなどの絶縁層を介在させ、その上
にZnOを薄膜として堆積したものを基板として用いる
ことができる。
【0051】交差指電極4は、通常のフォトリソグラフ
ィ等を用いて圧電基板1の表面11上に形成される。交
差指電極4のピッチPは励振周波数と圧電基板1の材料
特性で決まる表面弾性波の1/2波長の整数倍にすると
効率よく発振できる。そのピッチPは具体的には、数μ
mから数100μm程度に定められる。また、交差指電
極4は、図1に示すように同心円状の電極が等間隔で形
成されており、それぞれ交互に接続されて一対の電極を
構成している。その繰り返し回数は高周波電源5のパワ
ーや、必要とされるインク飛翔速度等によって決定さ
れ、例えば、およそ2ないし200対程度とすることが
できる。
【0052】この交差指電極4の形状の中心を同心とし
て、開口部13が設けられている。開口部13の側面
は、伝搬面12となる。この伝搬面12は、液面14の
垂線から角度θだけ傾いた斜面として形成されている。
圧電基板1を伝搬する表面弾性波が、開口部13の伝搬
面12へそのまま伝搬されるように、圧電基板表面11
と開口部13の伝搬面12は音響的に連続している。こ
の開口部13の形成には、エッチングによる方法を用い
ることができる。この他にもレーザーによる加工、放電
加工、ドリル加工やパンチングを用いることも可能であ
る。
【0053】図3に示すように、交差指電極4によって
発生した表面弾性波は、圧電基板表面11から開口部1
3の伝搬面12をR方向へ伝搬する。そして、この伝搬
面12からインク2中へ縦波が放射される。この縦波の
伝搬方向(図3中のW方向)は、伝搬面12の法線方向
(図3中のN軸方向)から角度θをなす方向である。こ
の角度θは、インクに接する伝搬面12の漏洩表面弾性
波の速度Vwと、液体に漏洩する縦波の速度Viから決
まる角度、すなわち漏洩レーリー角α=sin-1(Vi
/Vw)である。この実施の形態においては、この縦波
の伝搬方向(図3中のW方向)がインク2の自由液面に
平行になるように設定する。
【0054】具体的には、例えば、インク2として水に
銅フタロシアニン系の染料を約10重量%を混ぜたもの
を用いた場合、縦波の速度Viは、Vi=1400m/
sであった。一方、伝搬面12の表面弾性波の速度Vw
は、Vw=4000m/sであり、計算から決まる漏洩
レーリー角αは20.5゜となる。この角度は、伝搬面
とインクを接触させた系で、表面弾性波の伝搬面とイン
クの界面に垂直な面のシュリーレン写真説明によって、
表面弾性波の伝搬面からインク中へ漏洩する縦波を観察
することで知ることもできる。このようにして求められ
た漏洩レーリー角αをもとに、この実施の形態における
伝搬面12の角度θは20.5゜に設定すればよいこと
になる。
【0055】略円形の交差指電極4によって発生する表
面弾性波はあらゆる方向から中心へ向けて伝搬する。そ
して開口部13の周囲から伝搬面12を介してインク2
と接触し、インク2中に漏洩して縦波となる。この縦波
は、液面14に沿って開口部13の中心へ向けて伝搬す
る。開口部13の中心には、あらゆる方向から伝搬して
きた縦波が集中する。そのため、開口部13の中心にエ
ネルギーが集中し、インク滴3が液面14に垂直な方向
に飛翔することになる。
【0056】以下、具体例を用いて説明する。上述のイ
ンク2を用い、伝搬面12の角度も上述のように決定し
た。このインク2の粘度は3cPであった。インク室1
5には、図示しない加圧装置によりインクに常時0.0
1N/cm2 の圧力を印加し、開口部13内に液面を保
持した。
【0057】交差指電極4として同心円状の電極を用い
るため、上述のように表面弾性波はあらゆる角度から中
心に向かって伝搬する。よって圧電基板1としては等方
性の材料の方が伝搬効率が高く、100μm厚のPVD
Fフィルムを圧電基板1として用いた。交差指電極4は
通常のフォトリソグラフィにより形成した。交差指電極
4の間隔Pを約50μmとし、繰り返し回数を8回とし
た。励振パルスは基本周波数10MHz、電圧10Vの
高周波電圧を5KHzで印加した。開口部13の圧電基
板表面11での径は500μmで、最も内側の交差指電
極と開口部13の端部との距離は200μmとした。
【0058】以上のような条件においてインクの飛翔実
験を行なったところ、インクは開口部の液面に垂直に精
度良く安定的に飛翔した。またインク液滴径は従来の平
行交差指電極タイプに較べて十分に小さいものであっ
た。
【0059】図6は、本発明のインクジェット記録装置
の第2の実施の形態における記録ヘッド部の基本構成を
示す平面図である。断面形状は、図2に示した上述の第
1の実施の形態と同様であるので、図示を省略する。図
中、図1と同様の部分には同じ符号を付して説明を省略
する。6,6’は交差指電極である。交差指電極6,
6’は、上述の第1の実施の形態における交差指電極4
と同様のものであり、この実施の形態では形状を変更
し、1対の円弧状に形成した例を示している。この例に
おいて、円弧状の交差指電極6,6’は、それぞれ同心
円状に形成されており、その中心はほぼ一致している。
さらに、その中心は開口部13の中心ともほぼ一致して
いる。この交差指電極6,6’の形状以外の構成は、上
述の交差指電極4と同様である。また、そのほかの圧電
基板1や開口部13等の構成などは、上述の第1の実施
の形態の場合と同様である。
【0060】このような構成においても、交差指電極
6,6’においてそれぞれ発生した多方向の表面弾性波
は開口部13の中心へ向かって伝搬し、インク2に接触
することによって液面に沿った縦波となって開口部13
の中心に集中する。この集中したエネルギーによって液
面に垂直な方向にインク滴が飛翔することになる。
【0061】このような円弧状の交差指電極によりエネ
ルギーを集中できること自体はすでに知られており、例
えば、IEEE Transaction on Ul
trasonics,Ferroelectrics,
and FrequencyControl,Vol.
36,No.2,1989,p.178〜184等にも
記載されている。この実施の形態では、円弧状の交差指
電極によるエネルギーの集中という既知の技術ととも
に、開口部13の斜面である伝搬面における液面と略平
行な縦波の放射により、エネルギー効率を向上させてい
る。
【0062】この構成では、円弧状の交差指電極6,
6’は開口部13の中心に対して点対称に形成すること
ができる。この場合、各交差指電極6,6’は同時に同
じ電気的条件で駆動することによって、交差指電極6で
発生した表面弾性波に基づく縦波と、交差指電極6’で
発生した表面弾性波に基づく縦波が、開口部13の中心
に集中することになる。交差指電極6,6’の間で電気
的な条件が異なると、インク滴の飛翔方向は液面に垂直
な方向からズレることになる。これを利用してインク滴
の飛翔方向を制御することも可能である。
【0063】また、円弧状の交差指電極6,6’の中心
からの距離を異ならせることも可能である。この場合、
上述のように表面弾性波としての伝搬速度とインク中で
の縦波の伝搬速度に従った位置にエネルギーが集中する
ことになる。これらの条件を考慮して設計すればよい。
なお、エネルギーを集中させる際の位相合わせにもこの
方法を用いることができる。
【0064】図6では、1対の円弧状の交差指電極6,
6’を対向させて配置したが、例えば、3つ以上の交差
指電極を配置してもよい。このとき均等配置することに
よって、インク滴を液面に垂直な方向に飛翔させること
ができる。
【0065】図7は、本発明のインクジェット記録装置
の第3の実施の形態における記録ヘッド部の基本構成を
示す平面図である。断面形状は、図2に示した上述の第
1の実施の形態と同様であるので、図示を省略する。図
中、図1と同様の部分には同じ符号を付して説明を省略
する。7,7’は交差指電極である。この実施の形態の
構成も、交差指電極7,7’の形状以外は第1の実施の
形態と同様である。
【0066】この実施の形態では、直線状の交差指電極
7,7’を用い、開口部13の両側に対称に配置してい
る。一方、この開口部13の形状は、上述の第1、第2
の実施の形態と同様の円形の漏斗状であり、側面は伝搬
面として圧電基板表面と音響滴に連続しており、液面の
垂線とのなす角度θが調整されている。
【0067】交差指電極7,7’で発生する表面弾性波
は、それぞれ対向する向きに進み、開口部13の伝搬面
でインク2に接して縦波となって液面に平行に進む。そ
して、両方向からの縦波が集中してインク滴が飛翔す
る。
【0068】交差指電極7,7’が開口部13の中心に
対して対称でない構成も可能である。この場合には、表
面弾性波の伝搬速度とインク中での縦波の伝搬速度から
決まるエネルギーの集中する点をインクの液面に設定す
ればよい。なお、エネルギーを集中させる際の位相合わ
せにもこの方法を用いることができる。
【0069】この第3の実施の形態における具体例を示
す。圧電基板上の交差指電極7,7’は通常のフォトリ
ソグラフィにより形成した。交差指電極の長さは800
μm、電極間隔Pを約50μmとし、繰り返し回数を8
回とした。励振パルスは基本周波数10MHz、電圧1
0Vの高周波電圧を5KHzで印加した。開口部13の
圧電基板表面での径は500μmで、最も開口部13よ
りの交差指電極7,7’と開口部13の端部との距離は
200μmとした。また、上述の第1の実施の形態にお
ける具体例と同様に、インク室には図示しない加圧装置
によりインクに常時0.01N/cm2 の圧力を印加
し、開口部13内に液面を保持した。インク2としては
粘度は3cPの上述の水性インクを用いた。
【0070】このような条件において、インクの飛翔実
験を行なったところ、インクは、開口部13の液面に垂
直に精度良く安定的に飛翔した。またインク液滴径は従
来の平行交差指電極タイプに較べて十分に小さいもので
あった。
【0071】上述の第1ないし第3の実施の形態に示す
ように、交差指電極の形状としては、円形、円弧形、直
線形など、種々の形状の交差指電極を用いて構成するこ
とが可能である。なお、直線形では、開口部13の中心
に集中する縦波は一部のみであるので、エネルギー効率
は多少落ちる。そのため、円形、円弧形等の形状の方
が、効率よくインク滴を飛翔させることができる。
【0072】図8は、本発明のインクジェット記録装置
の第4の実施の形態における記録ヘッド部の基本構成を
示す平面図である。断面形状は、図2に示した上述の第
1の実施の形態と同様であるので、図示を省略する。図
中、図1、図7と同様の部分には同じ符号を付して説明
を省略する。21は開口部である。この第4の実施の形
態では、開口部21の形状以外は上述の第3の実施の形
態と同様である。
【0073】この実施の形態では、図8に示すように、
開口部21の形状を楕円形状としている。この開口部2
1の短辺方向の両側に、上述の第3の実施の形態と同様
な、直線型の交差指電極7,7’を対向させて設けてあ
る。この楕円形状の開口部21の側壁も、上述の各実施
例と同様、インク中に漏洩した縦波が液面に略平行に伝
搬するように、液面の垂線に対して角度θを有する斜面
として構成している。
【0074】具体例としては、開口部21の長辺は60
0μm、短辺は450μmである。開口部21に最も近
い交差指電極7,7’と、開口部21の端部との距離は
200μmとした。この楕円形状の開口部21にインク
2を供給し、上述の第3の実施の形態と同様の条件にお
いてインク飛翔実験を行なったところ、インクは、開口
部21の液面に垂直に精度良く安定的に飛翔し、またイ
ンク液滴径は従来の平行交差指電極タイプに較べて十分
に小さいものであった。
【0075】図9は、本発明のインクジェット記録装置
の第5の実施の形態における記録ヘッド部の基本構成を
示す平面図である。断面形状は、図2に示した上述の第
1の実施の形態と同様であるので、図示を省略する。図
中、図1、図6と同様の部分には同じ符号を付して説明
を省略する。22はスリットである。この実施の形態の
構成では、第2の実施の形態における開口部13に代え
てスリット22を設けた以外は第2の実施の形態と同様
である。
【0076】スリット22は、圧電基板を貫通する溝と
して形成されており、その側面はインク2の液面の垂線
に対して角度θを有する斜面で形成されている。この斜
面は、圧電基板表面と音響的に連続しており、表面弾性
波の伝搬面として機能する。このスリット22にインク
供給室からインクが供給され、スリット22の側面にイ
ンクの液面がくるように調整されている。このような溝
状のスリット22は、上述の各実施の形態において示し
た円形や楕円形の開口部よりも形成時の加工が容易であ
り、精度よく形成することができる。
【0077】スリット22の両側にある圧電基板表面1
1には、それぞれ対向した交差指電極6,6’が形成さ
れている。交差指電極6,6’は、スリット22の中央
付近のインクの液面に中心をもつ円弧状に形成してい
る。
【0078】この第5の実施の形態における具体例を示
す。円弧状の交差指電極6,6’の中心角を60゜と
し、ピッチP、繰り返し数は、それぞれ約50μm、8
回とした。また、スリット22に最も近接した交差指電
極6,6’の中心と、スリット22の端部との距離sは
150μm、スリット幅は200μmとした。励振パル
スは基本周波数10MHz、電圧10Vの高周波電圧を
5KHzで印加した。また、上述の第1の実施の形態に
おける具体例と同じ材質のインク、および圧電基板を用
いた。伝搬面から放射される縦波の漏洩レーリー角は2
0.5゜である。スリット22の側壁である伝搬面の角
度を、インクの液面の垂線に対して20.5゜となるよ
うに、伝搬面の角度θを設定した。以上のような条件下
において、上述の第1の実施の形態における具体例と同
様にインクの吐出実験を行なったところ、十分に小径の
インク滴を精度良く吐出させることができた。
【0079】図10は、本発明のインクジェット記録装
置の第5の実施の形態における応用例を示す斜視図であ
る。この第5の実施の形態に示すようなスリット22を
用いた構成では、複数組の交差指電極6,6’の対を並
べて配置することによって、組数だけのドットを形成で
きる記録ヘッドを構成可能である。図10では2組の交
差指電極6,6’が配置された部分のみを示している。
スリット22を挟んで対向する交差指電極6,6’が対
となり、平面上は図9に示すような配置となっている。
このように複数ドットを印字可能な記録ヘッドを構成す
る場合、各ドットごとに円形や楕円形などの開口部を形
成するよりも、この実施の形態のようにスリット22を
形成する方が、容易に記録ヘッドを作成することができ
る。
【0080】なお、それぞれの交差指電極6,6’に
は、図示しない制御回路による駆動制御に従い、図示し
ない高周波電源から高周波電圧が印加されるように構成
されている。各組の交差指電極6,6’は、同時に駆動
されたり、あるいは順に駆動される。
【0081】図9、特に図10に示した例のように、こ
の実施の形態ではスリット22は圧電基板1を貫通する
ように形成し、裏面からインクを供給する構成を示し
た。しかしこれに限らず、例えば、貫通しない凹部とし
てスリット22を形成し、スリット22の端部からイン
クを供給するように構成することも可能である。この場
合も側壁は上述のような角度を有する斜面として形成さ
れる。スリット22の深さは、望ましくは表面弾性波が
インク中に漏洩して減衰する程度とすることによって、
スリット22の底部からの不要な圧力波の発生を抑制す
ることができる。
【0082】また、この第5の実施の形態では、交差指
電極の形状として第2の実施の形態で用いた円弧状とし
たが、例えば、第3、第4の実施の形態で用いたような
直線状の交差指電極を用いることも可能である。しかし
この場合には、1つの直線状の交差指電極から生じる表
面弾性波は集中せず、ある程度拡散するので、スリット
22中のインクの液面においてインク滴は飛翔するもの
の、エネルギー効率は低下する。また、隣接する交差指
電極の対の方へもスリット22を介してある程度伝搬す
るので、クロストークなどの弊害が発生する可能性もあ
る。
【0083】上述の各実施の形態で示した例からわかる
ように、開口部の断面形状は第1〜第3の実施の形態で
示したような円形に限らず、例えば、第4の実施の形態
で示した楕円形の開口部であっても、また、第5の実施
の形態で示したスリット状の開口部であっても、表面弾
性波の伝搬面からインク中に放射される縦波が、インク
液面と平行になるように伝搬面の角度が調整されていれ
ば、本発明の効果は十分に得られた。もちろん、開口部
の形状が円形、楕円形、スリット以外の、他の形状であ
っても、伝搬面の角度を調整しておけばほぼ同様の効果
を得ることができる。
【0084】図11は、本発明のインクジェット記録装
置の第6の実施の形態における記録ヘッド部の例を示す
説明図である。上述の各実施の形態では、インク滴をイ
ンクの液面に対して垂直な方向に飛翔させるため、対向
する表面弾性波を形成して、1点に集中させていた。イ
ンク滴をインクの液面に対して垂直な方向に飛翔させる
ことを要しなければ、例えば、上述の図5(B)に示し
たように、対向する表面弾性波を形成せず、2以上の異
なる方向から1点に向けた表面弾性波を形成すればよ
い。
【0085】図11(A)に示した例では、2つの直線
形の交差指電極7,7’を角度を変えて配置した例を示
している。また、図11(B)に示した例では、2つの
円弧状の交差指電極6,6’を、その中心が一致するよ
うに配置した例を示している。これらの例では、それぞ
れの交差指電極から生じる表面弾性波がインク中に漏洩
し、漏洩した縦波が1点に集中するため、その点におい
てインク滴が飛翔する。飛翔する方向は、複数の縦波の
進行方向に応じて決まる。この方向を制御すれば、正確
なインク滴の飛翔を行なわせることが可能である。
【0086】また、第2の実施の形態のところでも述べ
たように、円弧状の交差指電極から生じる表面弾性波は
1点に集中することから、図11(C)に示すようにイ
ンクの液面を中心とする円弧状の交差指電極6を設ける
だけでも、液面の1点にエネルギーを集中させることが
でき、インク滴を飛翔させることが可能である。
【0087】図11に示した各例においては、上述の各
実施の形態における圧電基板表面と伝搬面とを平面によ
って形成した例を示している。例えば圧電基板を、イン
クの液面の垂線とのなす角がθとなるようにインクに浸
すだけでも実現できる。もちろん、上述の各実施の形態
と同様に、圧電基板に開口部を形成する方法でも実現で
きる。
【0088】図12は、本発明のインクジェット記録装
置の第6の実施の形態における記録ヘッド部の別の例を
示す説明図である。図中、23は壁面である。図11で
は交差指電極から生じる複数方向の表面弾性波を用いて
1点に集中させたが、複数の方向からの縦波を1点に集
中させる方法として、壁面を用いる方法もある。図12
(A)に示した構成では、1つの直線形の交差指電極1
7から生じる表面弾性波をインク中に漏洩させ、縦波を
壁面23に衝突させる。壁面までに縦波は拡散してお
り、壁面23を適当な曲面としておくことによって、拡
散した縦波が壁面23で反射された後は、多方向から1
点に向かう縦波とすることができ、エネルギーを1点に
集中させることができる。
【0089】また、図12(B)では、2つの直線形の
交差指電極17から生じる平行な表面弾性波をインク中
に漏洩させ、縦波を角度の異なる壁面に衝突させる。こ
のとき、壁面で反射した縦波が1点で集中するように壁
面を構成しておく。これにより、壁面で反射した多方向
からの反射波を1点に集中させることができる。
【0090】この第6の実施の形態においても、伝搬面
とインクの液面の角度を調整し、表面弾性波が液面と平
行な縦波として漏洩するように構成しているので、上述
のような反射波の利用も可能となっている。
【0091】上述の各実施の形態では、インクの液面を
平坦に示した。しかし実際には開口部の伝搬面とインク
の液面とが接する部分では、インクの特性や伝搬面のヌ
レ性等によって必ずしも平坦にならない場合がある。図
13は、伝搬面とインクの液面の接触部の拡大断面図で
ある。伝搬面12にインク2の液面が接触する場合、そ
の端部の微小な領域が、伝搬面12との界面で接触角な
どの影響を受け、図13(A)に示すように液面が膨ら
んだ凸メニスカスとなったり、図13(B)に示すよう
に伝搬面に乗り上げたような凹メニスカスとなったりす
る。このとき、平坦な部分の液面を自由液面と呼ぶこと
にする。上述の説明で、単に液面と称したのは、この自
由液面を指す。以下の説明でも特に断わらない限り、液
面は自由液面を指す。極端な場合には、図13(C),
(D)に示すように平坦な液面が存在しない場合もあ
る。このような場合には、中心部における接面を自由液
面とすればよい。この場合、自由液面は水平とは限らな
い。
【0092】図13(A),(C)に示すような状態で
は、表面弾性波Rは低下した液面に触れた時点より縦波
がインク中に漏洩するため、縦波Wはインクの自由液面
よりもわずかにインク中を、自由液面に平行に進行する
ことになる。また、図13(B),(D)に示すような
状態では、伝搬面12に乗り上げているインクの液面に
表面弾性波Rが接触した時点より縦波の漏洩が始まる
が、これらの縦波は自由液面と平行に進行してインクの
液面によって反射されてしまう。そのため、表面弾性波
Rがインク中に進行して自由液面に達した後に漏洩する
縦波Wが自由液面と平行に進むことになる。このとき、
初期の漏洩波は液面を振動させ、あるいは液面で反射後
再度伝搬面12で反射して自由液面とほぼ並行に進む縦
波も存在する可能性がある。
【0093】このようにして、インク2の液面の端部に
おいて液面の形状が異なっている場合でも、自由液面に
平行な縦波を発生させることができ、上述の各実施の形
態で示したようにエネルギーを1点に集中させ、インク
滴を飛翔させることができる。
【0094】上述の図13(A),(C)に示した場合
には、縦波Wはインク中を進行することになり、エネル
ギーが1点に集中後、インクの表面からインク滴を飛翔
させるためのエネルギーが必要となるため、効率が低下
する。次の第7の実施の形態では、このようなエネルギ
ー損失を抑えることのできる構成を示す。
【0095】図14は、本発明のインクジェット記録装
置の第7の実施の形態における記録ヘッド部の基本構成
を示す平面図、図15は、同じく断面図、図16は同じ
く開口部の液面近傍の拡大断面図である。図中の符号は
図1〜図3と同様である。この第7の実施の形態では、
上述の第1の実施の形態を変形した例を示す。他の実施
の形態においても同様の変形が可能である。
【0096】この第7の実施の形態では、開口部13に
おける表面弾性波の伝搬面12の角度θ’を、インク中
へ放射される縦波とインク液面と平行になるような伝搬
面の角度からずらして構成している。図16に示すよう
に、表面弾性波の伝搬面12の法線Nとインクの自由液
面14の角度θ’を、漏洩レーリー角αより大きい角度
となるように設定すればよい。これにより、縦波にイン
ク中からインクの液面に向く方向成分を付加して、多少
角度をつけて1点に集中させることができる。
【0097】具体的には、第1の実施の形態における具
体例のように、漏洩レーリー角αが20.5゜のとき、
それより10゜大きい30.5゜になるように設定する
ことができる。この場合、表面弾性波からインク中に放
射される縦波の進行方向Wは、液面と平行にならず、イ
ンク中からインクの液面方向に向かう成分を持つ。
【0098】このような構成で上述の第1の実施の形態
における具体例と同じ条件でインクの吐出実験を行なっ
た。すると、伝搬面と液面が接触する近傍で多少液面の
微動が観察されたが、開口部中央からインク滴が吐出さ
れるのが観察された。伝搬面と液面が接触する近傍の液
面の変化は、伝搬面と液面が接触する部分で放射された
縦波が、この近傍で液面に振動エネルギーを作用させる
ためである。開口部中央からインク滴が吐出されるの
は、大部分の縦波のエネルギーが開口部中央部へ向かう
速度成分を持っており、最終的には同位相で、開口部の
中央部に集中するという作用によるためである。
【0099】この第7の実施の形態は、図16に示すよ
うな凸メニスカスの場合に特に有効である。これは、伝
搬面と液面が接触する部分で放射された縦波の焦点と、
開口部中央での液面の位置が一致しているためであり、
特に伝搬面に撥水処理を施した場合等において、インク
の吐出性能が液面端部の状態に影響されないという利点
がある。もちろん、他のメニスカス形状の場合にこの構
成を適用しても、良好にインクの飛翔を行なわせること
ができる。
【0100】図17は、本発明のインクジェット記録装
置の第8の実施の形態における記録ヘッド部の基本構成
を示す拡大断面図である。図中、図3と同様の部分には
同じ符号を付してある。24は縦波伝搬防止部材であ
る。この第8の実施の形態では、図13に示したような
インクの液面端部の影響を受けない構成を示す。
【0101】この第8の実施の形態では、開口部13の
伝搬面12において、液面と接触する部分に縦波伝搬防
止部材24を配置したものである。それ以外の部分は上
述の第7の実施の形態と共通の構成であり、伝搬面12
の角度は漏洩レーリー角よりも大きく設定している。
【0102】縦波伝搬防止部材24は、インクとの接触
を防止してインク中への不要なエネルギーの放射をさせ
ないとともに、伝搬面12における表面弾性波の減衰を
防止する機能を有する。この縦波伝搬防止部材24は、
例えば発泡ウレタン、発泡スチレン等、内部に空気を含
むような部材を用いることができる。ただし、この縦波
伝搬防止部材24のインクと接触する面は、インクと反
応しない、あるいは、部材内部にインクが浸透しない材
料とする必要がある。この方法は、固体表面と気体との
界面では、表面弾性波が縦波を放射することがないとい
う性質を利用するものである。
【0103】図17において、伝搬面12をR方向に伝
搬してきた表面弾性波は、インク2の液面に接触せず、
まず縦波伝搬防止部材24と接触する。しかし、ここで
は縦波を放射せずにインクとの接触点Aではじめてイン
クと接触し、インク中に縦波を放射する。この実施の形
態においても上述の第7の実施の形態と同様、伝搬面1
2の角度を漏洩レーリー角よりも大きくしているので、
縦波の伝搬方向Wは開口部13の中央の液面近傍に集中
することとなり、開口部13の中央からインク滴が飛翔
する。
【0104】この第8の実施の形態の構成を用いて、上
述の第1の実施の形態の具体例と同じ条件でインクの吐
出実験を行なったところ、インクは、開口部13の液面
に垂直に精度良く安定的に飛翔した。また、インク液滴
径は従来の平行型の交差指電極タイプに較べて十分に小
さいものであった。また、縦波伝搬防止部材24と液面
が接触する近傍で液面はまったく変化せず、開口部中央
からインク滴が吐出されるのが観察された。
【0105】このように第8の実施の形態の構成によれ
ば、インクの液面端部の形状の如何にかかわらず、伝搬
面と液面が接触する近傍で液面の微動を防止し、効率よ
く、また、精度良く、開口部の中央に縦波を集中させる
ことができる。
【0106】上述の第7、第8の実施の形態では、イン
クの液面の垂線と伝搬面との角度を漏洩レーリー角より
も大きくした。しかしこれに限らず、伝搬面の角度を漏
洩レーリー角よりも小さくしても、効率は低下するがイ
ンクの吐出は可能である。特に、図13(D)に示すよ
うな極端な凹メニスカスの場合には、縦波の伝搬方向が
多少液面から液中へ向く方向成分を有していた方が効率
がよいことも考えられる。
【0107】上述の各実施の形態においては、伝搬面1
2はその断面が直線的な面で構成している。理論的に
は、液体の表面と接した後のわずかな部分において、上
述の各構成のような角度を有する斜面であればよい。し
かし、この伝搬面12の斜面の距離を長く取ることによ
って、例えば、液面が上昇し、あるいは下降した場合に
おいても、常に伝搬面12とインクの液面14を一定の
角度関係に保つことができる。そのため、例えば、上述
の第1の実施の形態のように開口部が円錐形の表面を持
つ漏斗状としたり、第5の実施の形態のようにV状の表
面を有するスリットとするなど、インク中に侵入する方
向について平坦な面とする方がよい。
【0108】なお、例えば、第1の実施の形態で示した
構成のように、表面弾性波を発生させる面と伝搬面12
とが別の面で構成される場合、振動発生手段によって発
生した表面弾性波を伝搬面12へ伝搬させることが必要
となる。このため、振動発生手段が形成される平面は、
液体へ縦波を放射する伝搬面と連続していなければなら
ない。もちろん、例えば、第6の実施の形態のように伝
搬面12の面を延長した斜面に素子を作成するようにし
てもよい。
【0109】また、上述の第1〜5,7,8の各実施の
形態においては、表面弾性波を発生させる面と伝搬面1
2とが直接つながっているが、この構成の場合、表面弾
性波を発生させる面から伝搬面12に表面弾性波が伝搬
される際に多少の反射波が発生する可能性がある。これ
を防止するため、表面弾性波を発生させる面と伝搬面1
2とを他の面を介在させて接続することができる。図1
8は、表面弾性波を発生させる面と伝搬面12との接続
部分の他の例を示す拡大図である。25は曲面、26は
面取り部である。例えば図18(A)に示すように、圧
電基板表面11と伝搬面12との間を曲面25で構成す
ることができる。この曲面25の半径を、表面弾性波の
波長をλとするとき波長λの1.7倍以上、好ましくは
2倍以上とすることによって、反射波の発生を防止する
ことができる。このような曲面におけるレーリー波の伝
搬に関する考察は、例えばКраткие сообщ
ения,1960,ソ連,I.A.ビクトロフ,“П
РОХОЖДЕНИЕ ИОТРАЖЕНИЕ РЭЛ
ЕЕВСКИХ ВОЛИ НА ЗАКРУГЛЕН
ИЯХ РАЗЛИЧНОГО РАДИУСА”,
p.90〜91などに記載されている。
【0110】あるいは、例えば、図18(B)に示すよ
うに、曲面の代わりに面取りによっていくつかの面を連
続させて形成することも可能である。このとき、圧電基
板表面11と隣接する面取り部26の面、伝搬面12と
隣接する面取り部26の面、面取り部26の各部の面
が、それぞれ最適な角度をなすように構成するのが良
い。これら角度を150゜にしてみたところ、良好な結
果が得られた。このような角度で接するように構成する
ことで、反射波の発生を防止することができる。このよ
うな接する2つの面の角度を変えた場合のレーリー波の
伝搬についての考察は、例えばДоклады Ака
демии Наук СССР,第119巻,第3
号,1958年,ソ連,I.A.ビクトロフ,“О В
ЛИЯНИИНЕСОВЕРШЕНСТВ ПОВЕР
ХНОСТИ НА РАСПРОСТРАНЕНИЕ
РЭЛЕЕВСКИХ ВОЛН”等に記載されてい
る。なお、隣接する面の間の角度がすべて同じ角度であ
る必要はなく、それぞれが150゜以上の角度を有して
いれば、反射波を抑えることができる。
【0111】図18に示したような曲面25や面取り部
26を設ける場合にも、表面弾性波を発生させる面と伝
搬面12とは曲面25あるいは面取り部26を介して音
響的に連続している必要がある。
【0112】表面弾性波を発生するための手段として
は、上述の各実施の形態で示したような圧電基板上に交
差指電極を形成する構成が、最も精度良く、かつ経済的
で信頼性が高いという利点を有する。しかしこれに限ら
ず、例えば、バルク波を漏洩レーリー角に等しい方向か
ら固体表面上に放射する方法等も考えられ、種々の方法
を用いることができる。
【0113】また、上述の各実施の形態のように、振動
発生手段を構成するには素子を同一平面上に作製するこ
とが、簡易かつ経済的である。しかも、フォトリソグラ
フィなどの形成技術を応用すれば、平面内に同時に複数
の素子を形成できるので、各振動発生手段を精度良く配
置できるという特徴も有する。しかしこれに限られるこ
とはなく、例えば、図11(A)に示すように、各振動
発生手段を別の平面に形成したり、あるいは、曲面上に
配置することも可能である。
【0114】さらに、フォトリソグラフィなどの形成技
術によって振動発生手段を形成する場合には、これらの
素子を積層させることができる。このため振動発生手段
は、少なくとも表面が電界により機械歪みを生じる材料
からなる基体と、この基体表面に設けられた交差指電極
から構成されることが望ましい。
【0115】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、インクの液面に対して傾きを有した斜面で構
成される伝搬面を有しているので、液面に略平行な成分
を有する方向に伝搬面から表面弾性波を液体内へ縦波と
して放射することができる。特に、伝搬面を漏洩レーリ
ー角に基づく角度とすることによって、縦波を液面にほ
ぼ並行とすることができる。
【0116】また、インク噴射位置に向けて複数方向か
ら伝搬する表面弾性波を発生させ、液体内へ漏洩した縦
波を集中させることによって、液体表面近傍で非常にエ
ネルギー密度の高い集中を起こすことが可能となる。こ
のため、エネルギーの作用を受けることのできる液体は
ごく微量で、しかも体積当たり非常に大きいエネルギー
を得る。結果として、インクの液面からは、きわめて微
小な液滴が、大きな速度で吐出するので、高精細で精度
の高いインクジェット記録装置を実現することが可能と
なる。また、励振電極がインクと直接接触しない構造の
ため、電極の腐食等の問題が発生せず、高い信頼性を実
現できる。
【0117】さらに、液体表面の伝搬面に接する端部付
近において液面が変形する場合であっても、伝搬面から
液体内への縦波放射を、インク中からインク液面に向く
方向成分を有する角度で行なわれるように、伝搬面の角
度を設定することによって、縦波を液体の表面近傍の点
に集中させることができ、きわめて微小な液滴が、大き
な速度で吐出させることが可能となる。さらに、液面の
端部と伝搬面の接する部分に縦波伝搬防止部材を設ける
ことにより、表面弾性波のエネルギーを液滴の飛翔に効
率よく用いることができる。本発明によれば、このほか
にも詳述したような種々の効果を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のインクジェット記録装置の第1の実
施の形態における記録ヘッド部の基本構成を示す平面図
である。
【図2】 本発明のインクジェット記録装置の第1の実
施の形態における記録ヘッド部の断面図である。
【図3】 本発明のインクジェット記録装置の第1の実
施の形態における記録ヘッド部の開口部の液面近傍の拡
大断面図である。
【図4】 表面弾性波と縦波の関係の説明図である。
【図5】 複数の方向から表面弾性波を伝搬させる場合
の説明図である。
【図6】 本発明のインクジェット記録装置の第2の実
施の形態における記録ヘッド部の基本構成を示す平面図
である。
【図7】 本発明のインクジェット記録装置の第3の実
施の形態における記録ヘッド部の基本構成を示す平面図
である。
【図8】 本発明のインクジェット記録装置の第4の実
施の形態における記録ヘッド部の基本構成を示す平面図
である。
【図9】 本発明のインクジェット記録装置の第5の実
施の形態における記録ヘッド部の基本構成を示す平面図
である。
【図10】 本発明のインクジェット記録装置の第5の
実施の形態における応用例を示す斜視図である。
【図11】 本発明のインクジェット記録装置の第6の
実施の形態における記録ヘッド部の例を示す説明図であ
る。
【図12】 本発明のインクジェット記録装置の第6の
実施の形態における記録ヘッド部の別の例を示す説明図
である。
【図13】 伝搬面とインクの液面の接触部の拡大断面
図である。
【図14】 本発明のインクジェット記録装置の第7の
実施の形態における記録ヘッド部の基本構成を示す平面
図である。
【図15】 本発明のインクジェット記録装置の第7の
実施の形態における記録ヘッド部の断面図である。
【図16】 本発明のインクジェット記録装置の第7の
実施の形態における記録ヘッド部の開口部の液面近傍の
拡大断面図である。
【図17】 本発明のインクジェット記録装置の第8の
実施の形態における記録ヘッド部の基本構成を示す拡大
断面図である。
【図18】 表面弾性波を発生させる面と伝搬面12と
の接続部分の他の例を示す拡大図である。
【図19】 従来の表面弾性波を用いたインクジェット
記録方式の原理説明図である。
【符号の説明】
1…圧電基板、2…インク、3…インク滴、4…交差指
電極、5…高周波電源、6,6’…交差指電極、7,
7’…交差指電極、11…圧電基板表面、12…伝搬
面、13…開口部、14…液面、15…インク供給室、
21…開口部、22…スリット、23…壁面、24…縦
波伝搬防止部材、25…曲面、26…面取り部。
フロントページの続き (72)発明者 羽賀 浩一 神奈川県足柄上郡中井町境430 グリー ンテクなかい富士ゼロックス株式会社内 (72)発明者 阿部 敬三 神奈川県足柄上郡中井町境430 グリー ンテクなかい富士ゼロックス株式会社内 (56)参考文献 特開 平2−269058(JP,A) 特開 昭54−10731(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B41J 2/015

Claims (25)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面弾性波を伝搬させてインクの液面か
    らインク滴を吐出させるインクジェット記録装置におい
    て、インクの液面に対して傾きを有し前記インクと接す
    る斜面が少なくとも一部に形成され表面弾性波を伝搬す
    る基体と、該基体上のインクと接しない部分に設けられ
    インク噴射位置に向けて複数方向から表面弾性波を伝搬
    させる振動発生手段を有することを特徴とするインクジ
    ェット記録装置。
  2. 【請求項2】 前記斜面は、前記インクから離れる方向
    に開いた面であることを特徴とする請求項1に記載のイ
    ンクジェット記録装置。
  3. 【請求項3】 前記斜面は、前記表面弾性波がインクと
    接して該インク中に放射される縦波の少なくとも一部の
    進行方向がインクの自由液面と略平行となるような角度
    で形成されていることを特徴とする請求項1に記載のイ
    ンクジェット記録装置。
  4. 【請求項4】 前記斜面とインクの自由液面の垂線とが
    なす角度を、前記斜面における表面弾性波の速度をV
    w、インク中を伝搬する縦波の速度をViとしたときに α=sin-1(Vi/Vw) で決まる漏洩レーリー角としたことを特徴とする請求項
    1に記載のインクジェット記録装置。
  5. 【請求項5】 前記斜面は、前記表面弾性波がインクと
    接して該インク中に放射される縦波の少なくとも一部の
    進行方向がインク中からインクの液面に向く方向成分を
    有する角度で形成されていることを特徴とする請求項1
    に記載のインクジェット記録装置。
  6. 【請求項6】 前記斜面が前記インクの液面と接触する
    部分に、前記インクの液面に前記表面弾性波の伝搬を防
    止する縦波伝搬防止部材を設けることを特徴とする請求
    項1に記載のインクジェット記録装置。
  7. 【請求項7】 前記斜面は、前記基体に設けられた開口
    の側壁に設けられており、前記振動発生手段は、複数方
    向からの表面弾性波を前記開口へ向けて生じさせること
    を特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装
    置。
  8. 【請求項8】 前記開口は、インク吐出方向に垂直な断
    面の面積が、インク吐出方向に向かって増加するような
    形状であることを特徴とする請求項7に記載のインクジ
    ェット記録装置。
  9. 【請求項9】 前記開口は、円形あるいは楕円形である
    ことを特徴とする請求項7に記載のインクジェット記録
    装置。
  10. 【請求項10】 前記開口は、スリット状に設けられて
    いることを特徴とする請求項7に記載のインクジェット
    記録装置。
  11. 【請求項11】 前記基体は、前記インクの自由液面と
    略平行の面を有し、該面に前記開口が設けられてなり、
    前記振動発生手段は前記面に形成され、前記表面弾性波
    は前記面から前記開口の前記斜面へと伝搬することを特
    徴とする請求項8ないし10のいずれか1項に記載のイ
    ンクジェット記録装置。
  12. 【請求項12】 前記振動発生手段は、略円状に配置さ
    れていることを特徴とする請求項1に記載のインクジェ
    ット記録装置。
  13. 【請求項13】 前記振動発生手段は、略円弧状に配置
    されていることを特徴とする請求項1に記載のインクジ
    ェット記録装置。
  14. 【請求項14】 前記振動発生手段は、複数の振動発生
    部から構成されており、該複数の振動発生部で発生する
    表面弾性波がインクの液面の1点に向けて集中するよう
    に方向付けられていることを特徴とする請求項1に記載
    のインクジェット記録装置。
  15. 【請求項15】 前記各振動発生部は、略円弧状である
    ことを特徴とする請求項14に記載のインクジェット記
    録装置。
  16. 【請求項16】 前記振動発生手段によって発生する複
    数方向からの表面弾性波が前記インク噴射位置に到達す
    るまでの振動到達時間が等しくなるように、前記振動発
    生手段の配置位置が決定されていることを特徴とする請
    求項1に記載のインクジェット記録装置。
  17. 【請求項17】 前記基体は、少なくとも表面が電界に
    より機械歪みを生じる材料からなり、前記振動発生手段
    は、交差指電極からなることを特徴とする請求項1に記
    載のインクジェット記録装置。
  18. 【請求項18】 前記振動発生手段は、振動発生部と、
    前記斜面と前記インクを挟んで設けられた壁面により構
    成されており、該壁面は、前記振動発生部で発生し前記
    インク中に漏洩した縦波を反射して前記インクの液面の
    1点に集中させることを特徴とする請求項1に記載のイ
    ンクジェット記録装置。
  19. 【請求項19】 表面弾性波を伝搬する基体のインクと
    接しない部分から、インク噴射位置に向けて複数方向か
    ら表面弾性波を伝搬させるとともに、該表面弾性波をイ
    ンクの液面に対して斜めに入射させ、前記インク中に漏
    洩する縦波がインク噴射位置で集中し、前記インクの液
    面からインク滴を飛翔させて被記録媒体に記録を行なう
    ことを特徴とするインクジェット記録方法。
  20. 【請求項20】 前記インク噴射位置に向けて複数方向
    から伝搬させる前記表面弾性波は、円形状または円弧状
    の振動発生手段により発生された表面弾性波であること
    を特徴とする請求項19に記載のインクジェット記録方
    法。
  21. 【請求項21】 前記縦波が前記インクの自由液面に略
    平行に伝搬するように、前記表面弾性波を前記インクに
    対して入射させることを特徴とする請求項19に記載の
    インクジェット記録方法。
  22. 【請求項22】 表面弾性波の伝搬を利用してインクの
    液面からインク滴を飛翔させるインクジェット記録装置
    において、実質的に対向するように配置された少なくと
    も一対の壁面を有している基体を備え、前記一対の壁面
    が前記インクに接触しており、前記基体の前記インクと
    接触しない部分には表面弾性波を発生させるための振動
    発生手段が設けられ、前記振動発生手段により前記基体
    に発生させた表面弾性波を縦波として前記壁面から前記
    インクに放射させ、前記一対の壁面から前記インクに放
    射された縦波の衝突によってインクの液面からインク滴
    を飛翔させることを特徴とするインクジェット記録装
    置。
  23. 【請求項23】 前記基体において前記振動発生手段の
    設けられた部分は、表面が緩やかに湾曲した部分を経て
    前記一対の壁面に連なっていることを特徴とする請求項
    22に記載のインクジェット記録装置。
  24. 【請求項24】 前記基体の前記湾曲部分は、表面弾性
    波の波長の2倍以上の曲率半径を有していることを特徴
    とする請求項23に記載のインクジェット記録装置。
  25. 【請求項25】 前記基体において、前記振動発生手段
    の設けられた部分は、複数の面取り平面部を経て前記一
    対の壁面に連なっていることを特徴とする請求項22に
    記載のインクジェット記録装置。
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