JP3422230B2 - インクジェット記録ヘッド - Google Patents

インクジェット記録ヘッド

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JP3422230B2
JP3422230B2 JP21573197A JP21573197A JP3422230B2 JP 3422230 B2 JP3422230 B2 JP 3422230B2 JP 21573197 A JP21573197 A JP 21573197A JP 21573197 A JP21573197 A JP 21573197A JP 3422230 B2 JP3422230 B2 JP 3422230B2
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、被記録体にインク
ドロップを付着させることによって印字を行うインクジ
ェット記録ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、簡易に微小なドットを形成し高画
質を得ることができる記録装置の一つとして、ノズルか
らインク滴を必要に応じて吐出させて印字を行なう、い
わゆるオンデマンド型のインクジェット記録方式が知ら
れている。そのオンデマンド型のインクジェット式記録
方式の中の代表的な方式としては、ピエゾ振動子方式や
サーマル方式などがある。
【0003】ピエゾ振動子方式は、ノズルに通じるイン
ク室に設けられた圧電素子にパルス電圧を印加し、圧電
素子を変形させることによりインク室のインク液圧を変
化させ、これによりノズルからインク滴を吐出させて記
録用紙にドットを記録する方式である。また、サーマル
方式は、インク室内に設けられた加熱機構によりインク
を加熱し、その加熱によって発生したバブルによりイン
ク滴をノズルから吐出させ、記録用紙にドットを記録す
るものである。
【0004】これらのインクジェット記録方式では、従
来、解像度が300ドット/インチ程度であったが、近
年ではその解像度が600ないし720ドット/インチ
と高解像度化されており、さらに高解像度化が望まれて
いる。このような、高解像度化を実現するためには、そ
の解像度に応じて、記録するドット径を小さくする必要
がある。
【0005】しかし、これらの記録方式は、吐出するイ
ンクのドロップ径がノズル径によって決まるため、イン
クのドロップ径を小さくするためにノズル径を小さくす
ると、ゴミやチリによるノズル詰まりや、ノズル内のイ
ンク表面の乾燥によるノズル詰まりや、ノズル円周部へ
のインク残滓の付着によるインク吐出方向の変化を生じ
やすくなり、記録紙上の画質に欠陥を生じる。そのた
め、要求される解像度に対応したドット径にするのに必
要な程度にノズル径を小さくすることができないという
問題点があった。
【0006】そこで、このようなノズルに起因する問題
を解決する方法として、ノズルを用いないで、振動また
は音響波を用いて、被印字面にインクドロップを吐出し
て印字を行う記録方式が、いくつか提案されている。
【0007】ノズルを用いない記録方式の第1として
は、米国特許第4308547号明細書で開示されてい
るように、振動子で発生した振動を音響レンズでインク
自由表面の一点に集束させてインクドロップを吐出させ
る。そして、音響レンズとしては、圧電体自体をレンズ
状に形成したり、もしくは特開平3−200199号公
報で開示されているように、位相を多重に重ねる位相フ
レネルレンズを用いたり、凹状の形状のものを用いたり
する。しかし、これらの方法により吐出させるドロップ
径をより小さくしようとすると、一般にはより高い周波
数で振動子を駆動することになる。例えば、ドロップ径
15μmのインクを吐出させるには、100MHz前後
の高い周波数で複数の振動子を駆動しなければならない
ため、一般に駆動機構が高価になるというコスト上の問
題を生じるとともに、発熱によりインク粘度が変化して
ドロップ径が変動したり、記録素子内でインク自体の乾
燥や固化を生じてインクを吐出できなくなることがある
という重大な問題を生じる。
【0008】ノズルを用いない第2の記録方式として、
吐出力として静電力を用いる、いわゆる静電吸引方式が
あり、さらにそのインクメニスカス(インク***)を形
成するために振動を用いるものが知られている。
【0009】例えば、特開昭62−222853号公報
には、記録針をインク表面から突出させて、これに軸方
向に伝搬する超音波エネルギーを与えることが示されて
いる。これによると、超音波流動(acoustic
streaming)現象により、記録針に接するイン
クは記録針の先端方向に移動して、記録針の先端に凸状
のインクメニスカスが形成される。その状態で、記録針
と背面電極との間に静電界を印加してインクを引きちぎ
り、記録針と背面電極との間に配置された記録媒体上に
インクドロップを着弾させる。この方式によれば、記録
針の先端にインクメニスカスを形成するため、従来の静
電吸引方式に比べて、より小さいインクドロップを形成
できる。
【0010】また、特開昭56−28867号公報に
も、針電極と背面電極との間に静電界を印加した状態
で、針電極に画像信号を印加すると同時に、針電極を振
動させる静電吸引方式が示されている。このようにする
と、インクを安定に粒子化できる。
【0011】しかしながら、静電吸引方式では、湿度な
どによる記録媒体の誘電体の厚みの変動や、記録媒体の
表面の荒さのばらつきなどによって、形成されるドロッ
プ径が変動するという問題を生じる。さらに、ドロップ
径の変動により、記録媒体上でのドット位置ばらつきも
生じる。
【0012】以上のように、ノズルを使わない従来技術
では、大きなエネルギーを必要としたり、環境変動に不
安定であったりするという問題があった。
【0013】また、従来の技術では、高画質の画像を得
るために、小さいドット径を形成する記録素子を用いて
印字するためには、この記録素子を高密度に配列する必
要がある。
【0014】これを図11を用いて説明する。高画質な
印字を可能にするためには階調再現ができることが必要
であるが、インクジェット技術では一般に図11(a)
に示すように最小画素のマトリックスに印字する同一径
のドットの数を変えることで階調再現を得る。このよう
に、2値の印字しかできない従来の技術では最小画素面
積よりも小さいドット径を印字できるように小さいノズ
ル径を有する記録素子20を用い、複数のドットを形成
しなければならない。しかし、最小画素内に複数ドット
を形成するためには、ノズル間隔を狭めて高密度に配列
する必要があるし、それができなければ千鳥配列等によ
りノズル間隔を離す工夫が必要である。そして、このよ
うに記録素子20を高密度に配列していくに従い、高密
度化のため歩留りが悪く、隣接間のクロストークも問題
となり画質の劣化が起こる問題点が発生する。また、千
鳥配列等のノズル間隔が離れた設計にすると、装置が大
型化するという新たな問題点が出てくる。
【0015】さらに、同じ記録素子数のままであると、
図11(a)のパターンを印字するには、時刻T1では
印字が完了できず、記録素子もしくは被記録体を移動さ
せたのち時刻T3まで印字する必要がある。すなわち、
印字するドット径が小さいので、最小画素単位を1ドッ
トで印字する方法に比べて3倍以上の時間がかかること
になる。これを補うために記録素子数を増やすといった
改良もあるが、反面、コストがかかるなどの問題点がで
てくる。
【0016】これに対して、図11(b)に示すように
出力画像を形成する1最小画素単位に一つの記録素子2
1のみを対応させて、この記録素子21から大きさの異
なるインクドロップ22を飛翔させることで、ドットの
面積を可変にして階調再現を得る方法がある。この方法
を用いることで、記録素子の高密度化を避け、高速に印
字させることができる。すなわち図11の例において従
来技術では最小画素を印字するのに最大9つのドットを
印字する必要があったが、この方法では、1回のインク
ドロップ飛翔でよいので、時刻T1で印字が完了する。
また、隣接する記録素子との間隔を最小画素単位分だけ
離すことができるので、高速、高信頼、低コストの記録
技術を提供できる。
【0017】ところで、一つの記録画素から大きさのこ
となるインクドロップを飛翔させる記録技術は、霧化器
などに用いられる技術を応用した例が多い。例えば、特
開平5−184993号公報には圧電体の両振動面にそ
れぞれ片持ち梁を設置し、その片持ち梁の先端に開けた
多孔穴の穴の径を変化させることによって飛翔する液滴
の大きさを変える霧化器が開示されている。また、特開
平5−277413号公報には圧電体とこれに接した多
孔板による霧化器で、駆動するバースト波の繰り返し周
波数を上げることで液滴を大きくする技術が開示されて
いる。
【0018】このような霧化器の技術を応用し液滴の大
きさを変える印字装置としては特開平2−141250
号公報に、駆動周波数を上げて霧径を小さくすることに
より霧を拡がらせてドット径を大きくする技術が開示さ
れている。しかし、この方法では霧の拡がりによるドッ
トは濃度が低くなり画質のコントラストを下げるので高
画質が困難であるし、駆動周波数を下げても多数のイン
ク滴が飛翔するので小さいドット径の形成は困難であ
る。つまり、この例のように霧化器の構成をそのまま記
録装置に用いても、インク滴は霧状に無数に発生し、ド
ロップ数もドロップが飛翔する方向性も制御が難しく、
小さいインクドロップを1滴づつ制御して印字する記録
技術に用いるのは困難である。
【0019】インクドロップ径を変化させる技術は、他
にも前述した米国特許第4308547号明細書で開示
されている振動子で発生した振動を音響レンズで収束さ
せインク自由表面の一点に集束させてインクドロップを
吐出させる記録装置や、静電吸引式による記録装置があ
るが、先程も述べたようにそれぞれ、高エネルギーが必
要であったり、環境安定性が悪い欠点がある。
【0020】そこで、吐出する大きさの異なる記録素子
を1画素に対し複数割当てる記録装置が容易に考えられ
るが、やはり記録素子の配列密度がさらに高くなり、歩
留りが悪くなったり、クロストークによる画質の劣化が
生じたり、駆動のスイッチングが煩雑になったりする等
の欠点がある。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、目づ
まりによる画質の劣化や信頼性の低下といった欠点や、
高密度化による画質や記録速度の劣化といった欠点を解
消したインクジェット記録ヘッドを提供することであ
る。また、本発明の目的は、高画質化、高速化、小型
化、省エネルギー化、低コスト化を図ることのできるイ
ンクジェット記録ヘッドを提供することである。
【0022】
【課題を解決するための手段】上記目的は、画素信号に
対応して振動する振動発生手段と、振動発生手段の発生
する複数の励振周波数のいずれかに応じて曲げ振動する
片持ち梁構造を有し、励振周波数に対応してインクの表
面にキャピラリ波を発生させインクをそれぞれ異なるド
ロップ径で飛翔させて記録媒体に付着させる弾性部材と
を備えたことを特徴とするインクジェット記録ヘッドに
よって達成することができる。
【0023】ここで、弾性部材は、2以上の異なる実効
共振周波数のいずれかで駆動されるようにしてもよい。
さらに、弾性部材は、実効共振周波数が異なる複数の片
持ち梁構造を有しているようにしてもよい。
【0024】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の第1の実施の形
態によるインクジェット記録ヘッドの基本的構成の一例
を示す。図1(a)は本実施の形態によるインクジェッ
ト記録ヘッドの正面図を、図1(b)は同側面図を示し
ている。また、図1(c)は、図1(b)の破線で示し
たブロックcを拡大した弾性部材7先端部近傍の側面図
であり、インク飛翔の動作を示している。本実施の形態
によるインクジェット記録ヘッドは、基板1、振動子2
からなる振動発生機構および外部駆動機構12、弾性部
材7を有している。振動子2は圧電体3を二つの電極
4、5で挟んだ形状となっている。
【0025】この例では、基板1上に振動子2を形成し
た振動発生機構上に弾性部材7を接続して、インク8を
弾性部材7が接するように装填し、振動発生機構を外部
駆動機構12によって弾性部材7が曲げ振動で共振する
周波数で励振駆動するものである。なお、振動発生機構
としては、振動子2を担持可能な構成とすれば基板1を
用いなくてよい。
【0026】次に本実施の形態によるインクジェット記
録装置の基本的な動作を説明する。弾性部材7はその一
端が振動発生機構に接続され、他方が自由端である片持
ち梁を構成しており、弾性部材7にはインク8が接する
ように充填されている。外部駆動機構12により発生す
る信号は振動発生機構で振動子2により機械的振動に変
換され、弾性部材7に振動エネルギーを伝える。この振
動エネルギーにより弾性部材7は曲げ振動を起こすが、
外部駆動機構12は弾性部材7が曲げ振動で共振する周
波数で励振駆動しているので、この共振により弾性部材
の先端近傍は大きな振幅を有することになる。一方、図
1(c)に示すように弾性部材7に接しているインク8
の曲げ振動の振動方向のインク厚は、弾性部材7の先端
近傍において、インク8と弾性部材7の濡れと重力の効
果により、数μm〜数百μmに形成されているので、弾
性部材7からの振動を受けて、インク表面8aにキャピ
ラリ波が生じる。このキャピラリ波の作用により、微小
滴の生成が可能となり、振動発生機構は、その駆動条件
を所定の値に設定することによって、1インク滴9の飛
翔が可能となる。
【0027】また弾性部材7は、弾性部材7の片持ち梁
構造の自由端の先端部近傍における曲げ振動の振動方向
に対して垂直な面の幅W(図1(a)参照)が、ほぼ2
λの長さとなる領域を有している。但し、λは以下の式
1で与えられる。 λ={8πσ/(ρfe2)}1/3×104(μm) ・・・式1 ここで、σは、インク表面張力(mN/m) ρは、インク密度(g/cm3) feは、励振周波数(Hz) である。こうすることにより、幅Wにおいて2山のキャ
ピラリ波を生成でき、その後1山のインク***部が形成
されて次の瞬間これが分離して正確に1インク滴を飛翔
させることができるようになる。
【0028】図2に振動発生機構を励振するために電極
4、5に付与する電圧のパターンを示す。振動発生機構
の励振は1画素信号に応じて1インク滴の飛翔を実現す
るように、1インク滴の飛翔に必要な励振数を終了する
ごとに間欠的に励振を区切るものである。これらによ
り、ノズルなしで微小滴が生成され、インク目詰まりの
ない記録ができる。
【0029】このようにインク8をドロップ化し弾性部
材7から飛翔させるためには、外部駆動機構12によっ
て印加される駆動周波数は、弾性部材7の共振周波数に
等しいか極近傍でなければならないが、インク8の物性
やインク8と弾性部材7の関係により、しばしば、イン
ク8を含む弾性部材7の共振周波数が弾性部材7のみの
共振周波数からずれる場合があるので、好ましくは、弾
性部材7のみならず弾性部材7に接したインク8を含ん
だ共振周波数を用いたほうがよい。このような共振周波
数をここでは実効共振周波数と呼ぶことにする。また、
システムによっては基板1、振動子2など振動発生機構
を含んだ系での共振周波数を実効共振周波数として用い
る場合がより好ましい場合がある。
【0030】図3に本発明の第1の実施の形態によるイ
ンクジェット記録ヘッドを複数組み込んだ記録装置の一
例を示す。弾性部材71、72、73は、2つ以上のド
ロップ飛翔可能な実効共振周波数をもつ単独の突起で構
成されている。駆動周波数fAは弾性部材71、72、
73の実効共振周波数の一つであるが、この周波数によ
りインク8はあるドロップ径を持つインクドロップ9a
で飛翔する。また、前記駆動周波数1と異なる駆動周波
数fBも弾性部材7の実効共振周波数であり、この周波
数により記録部材は駆動周波数1印加時のドロップ径よ
りも小さいドロップ9bで飛翔する。
【0031】このような構成により、印字する画像情報
により濃度が高い部分では、外部駆動機構12は駆動周
波数fAを振動発生機構に送ることで、弾性部材7は大
きいインクドロップ9aを飛翔させ、また、印字する画
像情報により濃度が低い部分では、外部駆動機構12は
駆動周波数fAより高い駆動周波数fBを振動発生機構
に送ることによって、弾性部材7は小さいインクドロッ
プ9bを飛翔させることができ、ドット面積階調による
階調再現により高画質な画像を得ることができる。
【0032】また、このような構成をとることにより、
図11のような印字を行うときを例にとると、従来の2
値の印字しかできない印字方法と比較して、記録素子の
数も少なく、時刻T1で一度に印字できるので、印字時
間も少なくできる。よって、高画質で高速な記録装置を
安価に提供できる。
【0033】以下、各構成部材の材料と具体例について
述べる。基板1に用いられる材料としては黄銅、銅、N
i、ステンレスを初め各種金属が使用できる。つまり剛
性が高く、振動を弾性部材7に伝えられるものであれば
よく、金属を用いない場合はセラミックなどでもよい
し、それらを合わせたものでもよい。
【0034】振動子2で最も重要な圧電体3は、圧電基
板で構成しても、圧電薄膜で構成してもよい。また、圧
電体は単層で構成されても、多層で構成されてもよい。
圧電体3としては、水晶、PZT、チタン酸バリウムB
aTiO3、ニオブ酸鉛PbNb26、ビスマスゲルマ
ネイトBi12GeO20、ニオブ酸リチウムLiNb
3、タンタル酸リチウムLiTaO3などの多結晶体や
単結晶体、またはZnOやAlNなどの圧電薄膜、また
はポリ尿素、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)やPV
DFの共重合体などの圧電性高分子、またはPZTなど
の無機圧電物質と圧電性高分子との複合体などを用いる
ことができる。もちろん、インクジェット記録ヘッドを
設計する際に設定する駆動周波数に応じて、最適な圧電
材料を選択しなければならない。印加する交流の周波数
が数10kHzから1MHzの間であれば、PZTのよ
うなセラミックでもよいが、より高い周波数で駆動する
場合にはZnOなどのように高周波に対応する圧電薄膜
などを選択しなければならない。いずれにしろ、安定
し、かつ十分な振動を振動子2にもたせられる振動特性
を持つものである必要がある。なお、振動子2を構成す
る圧電材料自体で弾性部材7を形成してもよい。また、
振動子2がインク8に接し、ショートする可能性がある
場合は、各種絶縁材料による絶縁保護膜10をつけると
よい。
【0035】この振動子2を振動させるために外部駆動
機構12から振動子2に印加される信号は、図2に示す
ように実効共振周波数を1周期とする波形が少なくとも
1つ以上連なった波形信号を持ち、これらを印字周波数
の周期で断続的に印加するバースト波を用いる。ただ
し、バースト波は、図示した矩形波に限らず、サイン波
や三角波でもよい。
【0036】弾性部材7の材料としてはシアノアクリレ
ート系樹脂やエポキシ系樹脂、またはフッ素系樹脂など
の各種樹脂を用いることができる。また、SiO2,S
iONまたはSiNや、AlNや、Al23などといっ
た各種無機材料で弾性体部材7を形成してもよい。ま
た、Al、Fe、Ti、Cr、Au、Mo、TiWな
ど、またはそれらの各種合金で弾性体部材7を形成して
もよい。ただし、各種樹脂や金属と異なり、インク8と
接する間に腐食しないように、SiO2などの無機膜
で、それらの表面を保護することが望ましい。もちろ
ん、樹脂、無機材料および金属のうち、2つ以上の材料
を用いてもよい。また、振動エネルギーが効率的に伝搬
できるなら、弾性部材7の先端部と底部を別な材料で構
成してもよい。
【0037】また、本実施の形態によるインクジェット
記録ヘッドでは、単一の微小インクドロップを安定的に
吐出させる上で、弾性部材7の形状と、弾性体部材7の
先端7aとインク表面8aとの相対的な位置関係が重要
である。以下に、これらを詳細に示す。
【0038】弾性部材7の形状について図4を用いて説
明する。図4(a)〜(g)は弾性部材として適するも
のを側面から見た断面形状の例である。図4(h)は弾
性部材として適するものを斜視図として示したものであ
る。弾性部材7は、先端7aを含む先端部の曲げこわさ
を固定端部(基端部)より小さくすることが好ましい。
これにより、弾性部材7の先端近傍でより効率よく曲げ
振動の振幅を得ることができる。曲げこわさは、弾性部
材7の(断面2次モーメント)×(ヤング率)で表され
る。従って、曲げ振動が生じる振幅方向の幅が基端部か
ら先端部まで一様な図4(a)を基本として、基端部よ
り先端部の方の曲げこわさを小さくするために図4
(b)、(c)、(e)、(f)、(g)、(h)のよ
うに、弾性部材7の基端部の曲げ振動が生じる振幅方向
の幅よりも、先端部の曲げ振動が生じる振幅方向の幅を
小さくする、または、基端部の曲げ振動が生じる振幅方
向と垂直な方向の幅よりも、先端部の曲げ振動が生じる
振幅方向と垂直な方向の幅を小さくすることが望まし
い。同様に、弾性部材7の基端部に使用する材質よりも
柔らかい材質を先端部に使用することによってもこれを
実現できる。
【0039】また、弾性部材7の先端部は曲げ振動が生
じる振幅方向と垂直な方向の形状が先鋭状に形成される
のが好ましい。これにより、キャピラリ波が生成される
領域を限定することができ、1滴ドロップをより安定に
吐出することが可能になる。さらに、弾性部材7は、図
4(d)、(e)、(f)、(g)、(h)のように、
弾性部材7の基端部側と先端7aを別部材あるいは別材
料で構成してもよい。これにより、上記曲げこわさを所
定の値に形成したり、先鋭状の先端7aを高精度に形成
する上で、設計の自由度が広がり、作製方法の選択範囲
を拡大することもできる。その結果、より高精度のデバ
イスをより低価格で作製することが可能になる。
【0040】さらに、弾性部材7は、図4(g)に示す
ように、先端7aが複数の部材7b、7cで構成されて
もよい。部材7b、7cは共振周波数が異なるよう形成
されており、駆動周波数を切り替えることによって、大
きさの異なるドロップを吐出することができるものであ
る。この場合、図4(h)に示すように、先端7b、7
cを弾性部材7の奥行き方向に1列に配置してもよい。
【0041】弾性部材7とインク表面8aとの相対的な
位置関係については、本実施の形態によってインク表面
8a上にキャピラリ波を発生させ単一の微小インクドロ
ップを吐出させる上で、図5(a)に示すように少なく
とも弾性部材7の曲げ振動の振動方向のインク厚が、イ
ンク8と弾性部材7の濡れと重力の効果により、数μm
〜数百μmに形成されるように、インク8を弾性部材7
に配置させることが重要である。なぜなら、図5
(b)、(c)のように弾性体部材7がインク8に埋没
するような構成にすると、液厚が厚すぎてキャピラリ波
を発生させることが困難となる。また、吐出可能なエネ
ルギーを与えるとインクの供給過多でドロップが大きく
なってしまい望ましくない。
【0042】なお、弾性体部材7の表面が、インクと適
度なヌレ性を有することも、安定したキャピラリ波を形
成させ、安定したインクドロップを吐出させる上で重要
である。弾性体部材7の表面がインクとヌレにくいと、
供給方法によってはその先端7aへのインク供給が困難
になりやすいからである。インクとのヌレ性に関して
は、弾性体部材7の表面状態をインクに対応するように
制御してもよいし、弾性体部材7の表面に合わせてイン
ク物性を制御してもよい。
【0043】また、図1、3に示した構成例は、弾性部
材7の両側にインクが充填およびインク表面が形成され
ているが、これに限らず図6(a)に示すように弾性部
材7の片側だけにインク8の充填およびインク8の表面
が形成されていてもよい。
【0044】更に、図6(b)、(c)、(d)に示す
ように、重力が作用している方向に直交する角度もしく
は任意の角度に傾けてもよく、さらに、図6(e)に示
すように弾性部材7は振動子2の面方向に垂直以外の角
度をもって接続されていてもよい。
【0045】また、この実施の形態では、ドロップ径を
規定するためにノズルを用いる必要はないが、インク液
面を安定化させたり、インクの乾燥を抑制するために、
吐出ドロップ径より大きな開口を持つものであれば、な
んらかの部材がインク表面8aの一部に配置されていて
もよい。
【0046】そして、本実施の形態では実際に使用する
駆動周波数域内に実効共振周波数を少なくとも2つ以上
持つように、弾性部材7の材料、物性、サイズを選ぶこ
とが重要である。
【0047】ここで、実際に使用する駆動周波数域は、
インクジェット記録ヘッドの仕様や振動子の性能によ
り、駆動周波数の下限はドロップ飛翔のバースト波の長
さやドロップ飛翔の間隔である印字周波数によって決ま
り、上限は振動子2の共振周波数や性能限界、駆動周波
数が高周波数になると大きくなるエネルギーロス等を鑑
みて決定されるものである。
【0048】その駆動周波数域の中で弾性部材7自体の
共振周波数を所望の値になるようにするには、適切な材
料、サイズ、形状を選択する。すなわち、複数の異なる
次数iに対して所望の共振周波数を持つように、弾性
率、断面2次モーメント、密度、梁の長さ、幅、厚さ、
形を調整する。もちろん、インク8を充填することによ
って実効共振周波数が共振周波数とずれる場合は、この
実効共振周波数に一致するように作成することが重要で
ある。
【0049】この例では、振動子2にセラミック圧電素
子を使用した。使用した圧電素子は20Hzから500
KHzがエネルギーロスが少なく実用的な周波数域をも
つ。この実用周波数域のなかに、振動子2はそれぞれ、
90.5kHz、162.3kHz、195.6kH
z、302.0kHz、440.3kHz、540.8
kHzで共振周波数を有することが測定によりわかっ
た。
【0050】弾性部材に厚さ7μmのSUSを1052
μm×486μmに成型した箔を用い、インク8を含め
た実効共振周波数を測定した結果、5.2kHz、2
4.1kHz、32.6kHz、77.8kHz、9
0.5kHz、147.3kHz、162.3kHz、
182.1kHz、195.6kHz、215.5kH
z、240.2kHz、295.3kHz、302.0
kHz、309.2kHz、340.0kHz、40
6.2kHz、442.2kHzの共振周波数を持つこ
とがわかった。
【0051】よって、振動子2の共振周波数とインク8
を含んだ弾性部材7の持つ実効共振周波数が一致してい
る90.5kHz、162.3kHz、195.6kH
z、302.0kHzの周波数を用いて、印字した所、
それぞれ、被記録体上で103μm、82μm、43μ
m、21μmの大きさが異なる印字を行うことができ
た。
【0052】このように駆動周波数により、大きさの異
なるドロップを飛翔させることができ、階調表現が可能
となり、従来の1種類の大きさのドロップしか飛翔させ
ることができなかったインクジェット記録ヘッドに比べ
て階調再現性に優れた高画質な画像を提供できる。
【0053】次に、本発明の第2の実施の形態によるイ
ンクジェット記録ヘッドを図7を用いて説明する。第1
の実施の形態によるインクジェット記録ヘッドと共通す
る構成要素は同一の符号で示している。本実施の形態で
は1画素を形成するために少なくとも2つ以上の弾性部
材が割当てられる。お互いの弾性部材はそれぞれの異な
る実効共振周波数をもつ駆動周波数で駆動され、形成さ
れるドロップ径も異なる。印字する画像情報により濃度
が高い部分では、外部駆動機構12は駆動周波数faを
振動発生機構に送ることで、弾性部材7aは大きいイン
クドロップ9aを飛翔させ、また、印字する画像情報に
より濃度が低い部分では、外部駆動機構12は駆動周波
数fbを振動発生機構に送ることによって、弾性部材7
aと異なる弾性部材7bは小さいインクドロップ9bを
飛翔させることができ、ドットの面積階調による階調再
現により高画質な画像を得ることができる。
【0054】本実施の形態でも、振動発生機構、弾性部
材7a、7bには先の例と同じ材料が使用できる。この
例の特徴は、画像を構成する最小単位の1画素に対し異
なる弾性部材を割当てていることである。すなわち、基
板1上に配置された異なる弾性部材7aおよび弾性部材
7bはそれぞれ異なる実効共振周波数faおよび実効共
振周波数fbをもつ。実効共振周波数faに等しい駆動
周波数が与えられたとき、弾性部材7aはある大きさの
ドロップを飛翔させることができる。また、実効共振周
波数fbに等しい駆動周波数が与えられたとき、弾性部
材7bは異なる大きさのドロップを飛翔させることがで
きる。よって、先の例でも説明したように従来の印字記
録装置と比べて、少ない記録素子数、短い記録時間で印
字することができる。
【0055】更には、先に示したような弾性部材が1つ
で構成されている例では、異なるインクドロップを吐出
させるために一つの駆動周波数を与えた後、次の駆動周
波数を与えるには、弾性部材の残振動が収まるまで待つ
必要がある。しかし、本実施の形態では複数の異なる弾
性部材を持つので、一つの弾性部材から吐出させた後、
別の弾性部材を用いればよい。従って、すぐに駆動周波
数を与えることができ、結果として印字速度を早くでき
る。
【0056】本実施の形態の弾性部材は互いに、材料や
サイズ、形状すなわち弾性率、断面2次モーメント、密
度、梁の長さ、幅、厚さ、形のうちのどれかもしくは複
数の組合せを異ならせることにより実現できる。
【0057】このとき、それぞれの弾性部材はそれぞれ
各次数の共振周波数をもつが、複数で構成される弾性部
材において、その中の少なくとも1組の弾性部材が共通
した共振周波数をもち、その共振周波数が一つの弾性部
材を実際に駆動する共振周波数であっても、その駆動共
振周波数を与えられたときに他の弾性部材からインクが
飛ばない範囲であれば同じ共振周波数を共有してもかま
わない。ただし、クロストークなどを少なくするため、
一つの弾性部材の実効共振周波数のいずれの一つも残り
の弾性部材の実効共振周波数と等しくないことが望まし
い。さらに、異なる実効共振周波数が整数倍の関係であ
ると共振を起こしやすくなるので一つの弾性部材の実効
共振周波数の中でいずれの一つの周波数の整数倍の周波
数に残りの弾性部材の実効共振周波数が等しくないこと
がより望ましい。
【0058】図7に示す例は、1画素に対応した2種類
の弾性部材7a、7bの例を示しているが、上述した条
件を満たせば図8に示すように2種類のみならず、3種
類以上の組合せでもよい。また、それぞれの弾性部材7
の形状は、先の例で示したように図4の形状がすべて使
用できる。また、図7に示す例では、1画素に対応した
2種類の弾性部材7a、7bは隣接されているが、これ
らは1画素に割当てられていれば離れて設置されていて
もよい。
【0059】以上、主な2つの実施の形態を示したが、
もちろんこの2つの実施の形態を組み合せたものでもよ
い。すなわち、1画素に対応して、実効共振周波数のこ
となる複数種の弾性部材を持ち、更に、その1つ1つの
弾性部材が、異なる実効共振周波数で大きさの異なるイ
ンクドロップを吐出させることができる構成にすると、
インクドロップの大きさをより広く振ることができるの
で、より高階調の印字を行うことができる。
【0060】次に上記2つの実施の形態によるインクジ
ェット記録ヘッドを組み込んだ記録装置について説明す
る。図9は異なる共振周波数で、異なる大きさのドロッ
プを吐出する単独の突起を用いた記録装置33の一例を
示す図である。
【0061】この例では、500μmの厚さの黄銅から
なる基板1上に、1μmの厚さのAg電極4を堆積後、
パターンニングし、続いて、100μmの厚さのPZT
(ジルコン酸・チタン酸鉛)からなる圧電セラミック薄
膜3を堆積後、パターンニングし、さらに、0.05μ
mの厚さのCrと1μmの厚さのAuの2層からなる電
極5を堆積後、パターンニングして、振動子2を形成す
る。
【0062】PZTからなる圧電セラミック薄膜3は、
分極処理して、電極4,5間に電圧が印加されたとき、
その膜面に垂直な方向に振動するようにする。電極4
は、各振動子2に共通するコモン電極であり、電極5
は、特定の振動子のみを振動させるためのアドレス電極
である。
【0063】さらに、圧電セラミック薄膜3および電極
4,5からなる振動子2を、1μmの厚さのSiO2
どからなる保護膜10で被覆した。作成した基板を含む
圧電セラミック薄膜をインピーダンスアナライザにより
測定した結果、20Hzから500KHzがエネルギー
ロスが少なく実用的な周波数域をもち、その駆動周波数
域の中に90.5kHz、162.3kHz、195.
6kHz、302.0kHz、440.3kHz、54
0.8kHzの共振周波数を持つことが分かった。
【0064】続いて、各振動子2上に、弾性体部材7と
して厚さ7μmのSUSを高さ1052μm×幅486
μmの三角形状にレーザー切断して、エポキシ接着剤を
用い設置した。作製されたインクジェット記録ヘッド
は、支持部21により筐体100内に固定され、信号接
続コネクタ103と振動子2とが電気的に接続される。
また筐体100のインク吐出側面は、インク室構成部材
28が取り付けられている。
【0065】筐体100下方には、インク供給室6が設
けられ、インク供給口104から供給されたインクは、
インク供給室6からフィルタ102を介してインク室側
に供給される。そして、弾性体部材7の先端7aをぬら
すインク8の厚みが50μmとなるように図示しない圧
力供給機構をつかってインク供給口104から加圧し
た。
【0066】ここでインピーダンスアナライザによりイ
ンク8を含んだ弾性部材7の実効共振周波数を測定し
た。すると、弾性部材7は5.2kHz、24.1kH
z、32.6kHz、77.8kHz、90.5kH
z、147.3kHz、162.3kHz、182.1
kHz、195.6kHz、215.5kHz、24
0.2kHz、295.3kHz、302.0kHz、
309.2kHz、340.0kHz、406.2kH
z、442.2kHzの実効共振周波数を持つことが分
かった。
【0067】そこで、外部駆動機構12を用いて、基板
1を含む振動子2の共振周波数とインク8を含んだ弾性
部材7の持つ実効共振周波数が一致している90.5k
Hzの周波数を持ちこの波が5回繰りかえされるバース
ト波を振動子2に印加したところ、弾性部材7からイン
ク8がドロップとなって吐出し被記録体36上で直径1
03μmのドットを形成した。次にやはり共通の周波数
である162.3kHzの周波数を持ちこの波が5回繰
りかえされるバースト波を振動子2に印加したところ、
弾性部材7からインク8がドロップとなって吐出し被記
録体36上で直径82μmのドットを形成した。同様
に、195.6kHz、302.0kHzの周波数を用
いて印字した所、それぞれ被記録体36上で43μm、
21μmの大きさが異なるドットを印字することができ
た。
【0068】そこで、画像情報により濃度を4段階にわ
け、濃度が最も高いところでは90.5kHzのバース
ト波を、そして薄くなるに従って162.3kHz、1
95.6kHz、302.0kHz、のバースト波を発
生するように、外部駆動機構12をプログラミングし、
実際に印字させたところ、従来のように1つの駆動周波
数で2値で印字した画像に比べ階調再現性が豊かな高画
質の印字画像を得ることができた。
【0069】さらに、同じ数の記録素子をもち同じ解像
度の印字ができ被記録体上で20μmのドット径のみ印
字できるインクジェット記録ヘッドと比較してみると、
印字速度が2から3倍早くなった。これは濃度の高い領
域の印字に必要なドロップ吐出回数が、20μmのドッ
ト径のみしか印字できない従来の装置に比べ、一吐出で
103μmのドット径を形成できる本実施の形態のイン
クジェット記録ヘッドでは格段に少なくなるからであ
る。
【0070】また、この例では、ノズルをインク表面に
配置していないため、ノズル内およびその周辺へのイン
クの固着はもちろんなく、微小ドロップを安定して吐出
させることができた。また、駆動周波数も低いので、発
熱もなく、インク8の粘度変化や固化といった問題も生
じなかった。なお、以下の例でも同様であるが、弾性体
部材7が先鋭状ではなく、板状または針状の先端部を有
するものについても、同様の結果が得られた。
【0071】図10に本発明の実施の形態によるインク
ジェット記録ヘッドを組み込んだ記録装置の別の例を示
す。この例では、500μmの厚さの黄銅からなる基板
1上に、1μmの厚さのAg電極4を堆積後、パターン
ニングし、続いて、100μmの厚さのPZT(ジルコ
ン酸チタン酸鉛)からなる圧電セラミック薄膜3を堆積
後、パターンニングし、さらに、0.05μmの厚さの
Crと1μmの厚さのAuの2層からなる電極5を堆積
後、パターンニングして、振動子2を形成する。
【0072】PZTからなる圧電セラミック薄膜3は、
分極処理して、電極4,5間に電圧が印加されたとき、
その膜面に垂直な方向に振動するようにする。電極4
は、各振動子2に共通するコモン電極であり、電極5
は、特定の振動子のみを振動させるためのアドレス電極
である。
【0073】さらに、圧電セラミック薄膜3および電極
4,5からなる振動子2を、1μmの厚さのSiO2
どからなる保護膜6で被覆した。作成した基板を含む圧
電セラミック薄膜をインピーダンスアナライザにより測
定した結果、20Hzから300KHzがエネルギーロ
スが少なく実用的な周波数域をもち、その駆動周波数域
の中に90.5kHz、163.3kHz、195.6
kHz、207.3kHzの共振周波数を持つことが分
かった。
【0074】そして、シアノアクリレート樹脂により作
成した厚さ7μm、幅486μm、高さ1052μmと
した弾性部材7aと、厚さ7μm、幅486μm、高さ
1152μmとした弾性部材7bを隣接して、基板1上
に設置した。
【0075】弾性体部材7は、シアノアクリレート系樹
脂とはヌレ性が悪く、接着しにくいフッ素樹脂に凹状部
を形成し、これを型にして形成する。ただし、弾性体部
材7の形成方法は、これに限らず、半導体プロセスで利
用されているリソグラフィー技術を利用した加工技術、
厚膜印刷技術、またはマイクロマシーンの作製プロセス
に利用されている各種形成技術(放電加工やメッキ技術
など)を、樹脂に限らず、無機材や金属材からなる弾性
体部材7の形成の際に用いることができる。
【0076】このようにして作成した弾性部材7aの実
効共振周波数は、147.1kHz、163.3kH
z、181.8kHz、215.5kHz、240.0
kHzであった。また、同様に弾性部材7bの実効共振
周波数は129.1kHz、147.5kHz、16
5.3kHz、205.6kHz、207.3kHzで
あった。
【0077】これらの中から、基板1を含む振動子2の
共振周波数の中の一つと同値で、かつお互い異なる実効
共振周波数として、弾性部材7aは163.3kHzを
弾性部材7bは207.3kHzをそれぞれの駆動周波
数として選択し、実際印加したところ、駆動周波数16
3.3kHzでは弾性部材7aからインクドロップが飛
翔し、被記録体36上に60μmのドットを形成し、駆
動周波数207.3kHzでは弾性部材7bからインク
ドロップが飛翔し、被記録体36上に20μmのドット
を形成することができた。
【0078】そこで、画像情報のうち濃度が高い領域で
は、163.3kHzのバースト波を画像情報のうち濃
度が低い領域では207.3kHzのバースト波を発生
するように外部駆動機構12をプログラミングし、印字
させたところ階調再現が豊かな高画質の印字サンプルを
作成できた。また、従来のインクジェット記録ヘッドに
比べ高速に印字することができた。
【0079】
【発明の効果】本発明によれば、一つの画素に対し大き
さのことなるドットを簡易に飛翔させることができるた
め、階調再現性に優れ、2値で記録を行う他の技術と比
べて、安価で小型にできかつ高速に印字することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態によるインクジェッ
ト記録ヘッドを示す図である。
【図2】本発明のインクジェット記録ヘッドを駆動する
信号波形を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態によるインクジェッ
ト記録ヘッドを組み込んだ記録装置の一例を示す図であ
る。
【図4】本発明のインクジェット記録ヘッドの弾性部材
を示す図である。
【図5】本発明のインクジェット記録ヘッドの弾性部材
とインク液面の関係を示す図である。
【図6】本発明のインクジェット記録ヘッドの弾性部材
とインクの分布の関係を示す図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態によるインクジェッ
ト記録ヘッドを示す図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態によるインクジェッ
ト記録ヘッドを示す図である。
【図9】本発明のインクジェット記録ヘッドを組み込ん
だ記録装置を示す図である。
【図10】本発明のインクジェット記録ヘッドを組み込
んだ記録装置を示す図である。
【図11】本発明と従来例の印字を比較するための模式
図である。
【符号の説明】
1 基板 2 振動子 3 圧電体 4、5 電極 7 弾性部材 8 インク 9 インクドロップ 10 絶縁保護膜 12 外部駆動機構 22 インクドロップ 28 バッファ壁 33 インクジェット記録ヘッド 36 被記録体 71、72、73 弾性部材
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−106723(JP,A) 特開 平5−57892(JP,A) 特開 平10−34916(JP,A) 特開 平11−34327(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41J 2/015 B41J 2/045 B41J 2/055

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】画素信号に対応して振動する振動発生手段
    と、 前記振動発生手段の発生する複数の励振周波数のいずれ
    かに応じて曲げ振動する片持ち梁構造を有し、前記励振
    周波数に対応してインクの表面にキャピラリ波を発生さ
    せ前記インクをそれぞれ異なるドロップ径で飛翔させて
    記録媒体に付着させる弾性部材とを備えたことを特徴と
    するインクジェット記録ヘッド。
  2. 【請求項2】請求項1記載のインクジェット記録ヘッド
    において、 前記弾性部材は、2以上の異なる実効共振周波数のいず
    れかで駆動されることを特徴とするインクジェット記録
    ヘッド。
  3. 【請求項3】請求項2記載のインクジェット記録ヘッド
    において、 前記弾性部材は、実効共振周波数が異なる複数の前記片
    持ち梁構造を有していることを特徴とするインクジェッ
    ト記録ヘッド。
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