JP2930535B2 - 乳クリーム及びその製造方法 - Google Patents

乳クリーム及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ミネラル分を低減した
乳クリーム及びその製造方法に関する。さらに詳しく言
うと、本発明は、原料乳を分離して得られたクリームを
脱塩して得られるミネラル分を低減した乳クリーム、原
料乳を脱塩して得られるミネラル分が低減された乳を分
離して得られるミネラル分を低減した乳クリーム及びそ
れらの製造方法に関する。本発明の乳クリームは、ホイ
ップクリーム及びコーヒークリームとして、工業用及び
家庭用に使用することができる。
【0002】
【従来の技術】従来、乳クリームは、原料乳からクリー
ム分離機を用いて遠心分離して脂肪を分離したり、これ
を加熱殺菌、冷却、充填することにより得られる。加熱
殺菌処理は、クリームの長期保存を可能にするが、一方
で、加熱による乳クリームの脂肪球皮膜物質の変性が引
き起こされるため、経時的に脂肪球が凝集し、粘度が増
加するという現象が生じる。粘度が上昇すると、乳クリ
ームの外観が損われ、ホイップ組織が劣化し、固化しや
すくなり、コーヒー適性が低下する。乳クリームは、ホ
イップ用クリーム、コーヒー用クリームのいずれにも使
用されるが、一般的にはホイップ時の特性を重視するた
めに、脂肪率を高く設定してある。このようにして得ら
れた乳クリームは、コクがあり、風味は良好であるが、
ホイップした時にホイップ終点付近におけるホイップ速
度が大きく、オーバーホイップになることが多いため、
ホイップ操作には熟練が必要とされた。また、その時ホ
イップされた組織は荒れやすく、ホイップした時にオー
バーランが低く、100%に満たないクリームも多く存
在した。
【0003】従って、これらの欠点を改良するために、
従来より、乳化安定剤等を使用しながら再構成した乳脂
肪ホイップクリームや植物脂肪ホイップクリーム等が調
製されている。このようなクリームの調製方法や組成、
乳化安定剤の使用方法に関しては多くの特許出願及び特
許(特公昭51−6161号公報、特公昭54−394
59号公報、特公昭55−43739号公報、特公昭5
6−32896号公報、特公昭58−44347号公報
及び特開昭59−51739号公報)があり、上記した
乳製品の改良すべき点を補う特性を有するものも多かっ
た。しかし、そのような再構成ホイップクリームや合成
ホイップクリームに共通の悩みは、乳クリームが有する
良好な風味が出しにくいことであり、近年では、その傾
向がとみに顕著になって、市場では普及品と高級品に二
極化されている。そのため、乳を分離して得られる乳ク
リームのホイップ特性やコーヒー適性が、再構成ホイッ
プクリームや合成ホイップクリームに匹敵するように改
善されて、乳クリームが有する上記の欠点を補うことが
できれば、乳クリームの優位性は再構成ホイップクリー
ムや合成ホイップクリームに比して確実なものとなると
考えられる。
【0004】尚、乳クリームのホイップ特性及びコーヒ
ー適性に及ぼすミネラルの効果に関する報告はないが、
個々のミネラル成分の影響に関しては、ナトリウム塩が
ホイップ時間を遅らせ、オーバーランを高くする性質を
有すること、また、カルシウム塩がホイップ時間を短く
し、オーバーランを低くする性質があることが報告され
ている(Kieseker F.G.et al., The Australian Journa
l of Dairy Tech., 165 (1973)及びHugh L.T.et al.,Jo
urnal of Dairy Sci., 329 (1932))。一般的に、ホイ
ップ時間は短く、オーバーランは高いほうが好まれるの
で、個々のミネラル成分の性質には一長一短があり、単
一のミネラル成分の減量では、ホイップ適性及びコーヒ
ー適性の両方を満足させる効果は得られない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の課題を解決し、(1)乳クリームの脂肪球凝集、(2)ホ
イップクリームの終点制御、(3)ホイップクリームのオ
ーバーラン向上及び(4)乳クリームのコーヒー適性の向
上の全て点において改良された乳クリーム及びその製造
方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するために、ミネラル成分を減量した乳クリーム
について鋭意検討した結果、特定のミネラルのみを減量
することなくミネラル全体を減量することで、ホイップ
特性及びコーヒー特性が良好となり、しかも風味が良好
な乳クリームを調製することができることを見出し、さ
らに検討を加え、本発明を完成させた。
【0007】従って、本発明は、脂肪率が30〜50重
量%で、ミネラル分が0.4重量%以下であることを特
徴とするミネラル分を低減した乳クリームからなる。本
発明はまた、原料乳を分離して得られたクリームを、脱
塩して得られる前記ミネラル分を低減した乳クリームか
らなる。本発明はまた、原料乳を脱塩して得られるミネ
ラル分を低減した乳を分離して得られる前記ミネラル分
を低減した乳クリームからなる。本発明はまた、原料乳
を分離してクリームを得て、次いで、前記クリームを脱
塩することを特徴とする脂肪率が30〜50重量%でミ
ネラル分が0.4重量%以下であるミネラル分を低減し
た乳クリームの製造方法からなる。本発明はまた、原料
乳を脱塩してミネラル分を低減した乳を得て、次いで、
前記乳を分離して得ることを特徴とする脂肪率が30〜
50重量%でミネラル分が0.4重量%以下であるミネ
ラル分を低減した乳クリームの製造方法である。
【0008】以下、本発明について、詳しく説明する。
本発明で原料とする乳(原料乳)は、牛、山羊、羊、水
牛、馬等の動物から得られる乳及びこれらの乳を加工し
た全脂粉乳、無糖練乳、クリーム、生クリーム、バター
脂またはこれらを粉末にしたものから再構成して得られ
たものが用いられる。本発明の乳クリームは、原料乳を
分離して乳クリームを得て、次いで、その乳クリームを
脱塩して得ることもできるが、原料乳を脱塩してミネラ
ル分を低減した乳を得て、次いで、前記乳を分離して得
ることもできる。
【0009】原料乳の分離、または最初に脱塩してミネ
ラル分を低減した乳の分離は、いかなる公知の方法によ
っても行うことができるが、一般的には、30〜50℃
に加温した乳を、クリーム分離機を用いて分離すること
ができる。本発明において、乳を分離して得られる乳ク
リームは、脂肪率が30〜50重量%のものである。脂
肪率が30重量%未満であると、安定性やコーヒー適性
は良好になるが、ホイップ特性が極度に低下し、乳クリ
ームとして使用できなくなり、50%を超えると、ホイ
ップ特性は良好になるが、安定性やコーヒー適性が極度
に低下し、乳クリームとしてとして使用できなくなるか
らである。
【0010】また、乳クリームの脱塩及び原料乳の脱塩
は、いかなる公知の方法によっても行うことができる。
例えば、電気透析、イオン交換樹脂或いはイオン交換
膜、逆浸透膜及び限外濾過膜から選ばれる膜及びこれら
二つ以上を組み合わせて用いることもできる。本発明の
方法により脱塩され、ミネラル分(灰分)を低減された
乳クリームのミネラル分は、0.4重量%以下であり、
特に、0.35〜0.3重量%以下とすることが好まし
い。0.4重量%以下のミネラル分を有する乳クリーム
を製造するためには、脱塩率を20%以上50重量%未
満とすることが好ましい。50重量%以上脱塩すると、
下記実験例(E)に示すように、ホイップ特性中のホイ
ップ時間及び風味の評価が低下し、脱塩処理の効果が減
少するので望ましくない。また、20%未満となると、
脂肪球凝集等の安定性及びコーヒー適性が劣るようにな
る。
【0011】次に、脱塩率を変えて調製した乳クリーム
の特性を評価した実験例を示す。 実験例 (乳クリームの調製)原料牛乳を分離して得られた脂肪
率約40%の乳クリームを電気透析によりミネラルを低
減し、脱塩率を、それぞれ、0、20、30及び50%
とした後、殺菌して乳クリームを調製した。 (A)乳クリームの組成 上記のようにして調製された乳クリームの組成を表1に
示す。
【0012】
【表1】 (脱塩された乳クリームの組成) 脱塩率(%) 全固形(%) 脂肪(%) 蛋白質(%) 乳糖(%) ミネラル(%) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 0 44.30 38.21 2.00 3.66 0.43 20 43.95 38.11 1.95 3.55 0.34 30 44.21 38.45 2.01 3.44 0.30 50 43.85 38.17 1.99 3.47 0.22 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0013】表1に示される結果から、脱塩率を0から
50%まで上昇させてミネラル分を低減させても、脂
肪、蛋白質及び乳糖の各含量の変動は少ないことが明ら
かとなった。従って、脱塩しても、乳クリームのホイッ
プ特性やコーヒー適性へのミネラル以外の成分の影響は
ないことが明らかとなった。
【0014】(B)乳クリームの安定性 上記のようにして調製された乳クリームの冷蔵保存中の
脂肪球凝集度及び粘度を測定した結果を下記表2に示
す。
【0015】
【表2】 (脱塩された乳クリームの安定性) 保存日数 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 0日目 7日目 14日目 21日目 脱塩率 凝集度 粘度 凝集度 粘度 凝集度 粘度 凝集度 粘度 総合評価 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 0% − 315 ± 372 + 453 + 476 7 20% − 176 ± 286 ± 144 ± 169 8 30% − 92 − 110 − 84 ± 90 9 50% − 105 − 156 − 100 − 114 9 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0016】(1)凝集度は、クリームを目視し、−、
±、+、++及び+++の5段階で評価した。+が多い
ほど凝集度が高くなり不安定になる。本発明において
は、+、++及び+++は不適とした。 (2)粘度は、粘度計(東京計器製;B型粘度計)を用い
て、ローターNo.2、回転数30rpm、10℃にて測定し
た。単位は(cP)である。 (3)総合評価は、凝集度と粘度を総合して10点法で評
価した。点数の多いほうが良好である。本発明において
は、総合評価が7点以下を不適とした。評価基準は、下
記の通りとした。 10点:すべての点において優れている。 9点:殆どの点において優れている。 8点:かなりの点において優れている。 7点:普通である。 6点:やや劣る点が多い。 5点以下:劣り、商品として不適である。
【0017】表2に示されるように、脱塩率が0から5
0%へ増加するとともに、凝集度と粘度は減少し、安定
性は増加した。即ち、脂肪球の安定性は脱塩率が高いほ
うが安定性が良好であることが明らかとなった。
【0018】(C)乳クリームのコーヒー適性 次に、得られた乳クリームのコーヒー適性を試験した。
結果を下記表3に示す。
【0019】
【表3】 (脱塩された乳クリームのコーヒー適性) 評価項目 脱塩率 フェザリング オイルオフ カード 白濁性 総合評価 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 0% 3 2 3 2 7 20% 3 3 3 2 8 30% 4 4 3 3 9 50% 4 4 3 3 9 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0020】コーヒー適性の評価方法は下記の通りとし
た。 (1)コーヒー液は、ネスカフェエクセラ(ネスレ日本社
製)の3.5%溶液、85℃とした。 (2)コーヒー液100mlに、各脱塩率の乳クリーム5ml
を添加した。 (3)コーヒー適性:上記(2)で乳クリームを添加した後、
コーヒー液をティースプーンで10回円周沿いに廻しな
がら撹拌し、静かにスプーンを抜いて、1分間静置す
る。その後、フェザリング、オイルオフ、カード及び白
濁性を下記の基準で官能的に目視により評価した。尚、
5段階評価の点数が高いほうが良好であることを示す。 (a)フェザリング:コーヒー液中の羽毛状の浮遊物の量
の5段階評価 (b)オイルオフ:コーヒー液中のオイル状浮遊物の量の
5段階評価 (c)カード:コーヒー液中の凝集物の量の5段階評価 (d)白濁性:コーヒー液の白濁度の5段階評価 (a)〜(c)の評価基準は下記の通りとした。 4点:全く認められない。 3点:認められるほどではない。 2点:やや認められる。 1点:かなり認められる。 0点:非常に多く認められる。 (d)の評価基準は下記の通りとした。 4点:非常に白濁している。 3点:かなり白濁している。 2点:白濁している。 1点:わずかに白濁している。 0点:白濁しない。 (4)総合評価は、フェザリング、オイルオフ、カード及
び白濁性を総合して10点法で評価した。点数の多いほ
うが良好である。本発明においては、7点以下を不適と
した。
【0021】表3に示されるように、脱塩率が0から5
0%へ高くなるとともに、フェザリングとオイルオフが
減少し、白濁性が増加した。その結果、総合的に評価す
ると、脱塩率が高い方がコーヒー適性は良好であること
が判った。
【0022】(D)乳クリームのホイップ特性 次に、脱塩した乳クリームのホイップ特性を試験した。
結果を下記表4に示す。
【0023】
【表4】 (脱塩乳クリームのホイップ特性) 評価項目 ホイップ Δホイップ オーバーラン 保型性 組織 風味 総合評価 脱塩率 時間(分) 時間(分) (%) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 0% 5.65 2.00 82 21.8 7 7 8 20% 6.85 2.35 98 35.3 8 8 9 30% 7.40 2.50 104 26.5 8 7 8 50% 7.35 2.60 102 20.5 9 5 6 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0024】(1)乳クリームのホイップ方法とホイップ
終了時間の設定は、下記のようにした。各乳クリームに
GEミキサー(ゼネラルエレクトリック社製)のホイッ
プ部を組み入れ、自転するボール中のホイップドクリー
ムの硬さの変化を荷重として検出するホイップ試験機を
用いた。別の試験で、最適造花性を示す荷重を設定し、
終点とした。ホイップは20℃の恒温室で行い、ホイッ
プ終了時のクリーム品温は、6〜12℃であった。ホイ
ップ時間は、設定終点までに要する時間である。また、
Δホイップ時間は、設定終点の5%荷重点から設定終点
の100%荷重点、即ち設定終点までに要する時間と定
義した。従って、Δホイップ時間は、ホイップ速度、即
ち,設定終点付近の仕上りの早さを示し、この数字が小
さいと仕上りが早くなり、ホイップの終点が見つけにく
く、ホイップ過剰となりやすい。逆に、この数値が大き
いほど、仕上り状態が穏やかになって、ホイップの判断
がしやすくなり、ホイップ操作が容易であることを示し
ている。従って、この数値は大きいほうがよい。 (2)オーバーランは次式で算出した。
【0025】
【数1】オーバーラン(%)={(定容積のクリームの
重量−定容積のホイップドクリームの重量)/(定容積
のホイップドクリームの重量)}×100(%)
【0026】(3)保型性は下記のようにして算出した。
まず、ホイップドクリームの硬さをレオナー(山電製、
RE−3305 型) を用い、貫入試験結果から求め
た。即ち、ホイップドクリームを、58mmφ×45mmの
容器に密充填し、16mmφのプランジャーを、速度5mm
/sで深さ10mmまで貫入させたときのプランジャーにか
かる負荷を硬さ(g)とした。この貫入試験をホイップ
直後及びホイップ後1夜冷蔵保存した翌日に測定し、ホ
イップ直後の硬さに対する1夜冷蔵保存後の硬さの割合
を保型性とした。従って、数値の大きい方が、硬さが保
持され保型性が良好であることを示す。 (4)組織及び風味は、訓練した6名のパネルによって、
前記した評価基準と同様に官能的に10点法で評価し
た。 (5)総合評価は、ホイップ時間、Δホイップ時間、オー
バーラン、保型性、組織及び風味を総合して、10点法
で評価した。点数の多いほうが良好であって、本発明に
おいては、7点を超えるものを合格とした。
【0027】表4に示される結果から明らかであるよう
に、ホイップ時間は、脱塩率が低くなるほど短く、良好
であった。Δホイップ時間は、脱塩率が高くなるととも
に長くなり、またホイップ終点付近の仕上がりが緩やか
になり、ホイップ操作が容易になった。オーバーランは
脱塩率が高くなるとともに増加した。保型性は脱塩率が
20%の時が最大であった。ホイップしたクリームの組
織は、脱塩率の増加とともに向上した。風味の評価は、
脱塩率20%が最良であった。これらを総合的に評価す
ると、脱塩率20%の場合が、特性が最も良好で、次い
で、30%、0%、50%と続いた。従って、本発明の
脱塩率は、20%以上50%未満とすることが好まし
い。
【0028】(E)乳クリームの総合評価 次いで、脱塩乳クリームを、上記(B)〜(D)で行っ
た安定性、コーヒー適性及びホイップ特性の評価から総
合的に評価した結果を表5に示した。
【0029】
【表5】 (脱塩乳クリームの総合評価) 評価項目 コーヒー ホイップ 脱塩率 安定性 適性 特性 総合順位 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 0% 7 7 8 4 20% 8 8 9 1 30% 9 9 8 2 50% 9 9 6 3 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− (1)総合順位は、各評価項目の合計得点の多い順とし
た。
【0030】その結果、脱塩率20%が最も好ましく、
30%、50%、0%の順となった。脱塩率を50%を
超えると、ホイップ特性の中のホイップ時間及び風味の
評価が低下し、脱塩処理の効果が減少する。従って、脱
塩率を50%より高くすることは効果的でない。脱塩率
を0〜50%にするためには、ミネラル分(灰分)を、
脱塩開始前の原料乳のミネラル分の値から、ミネラル分
が、50%量になるように脱塩すればよい。例えば、上
記表1では、ミネラル分を0.43重量%〜0.22重量
%になるようにすればよい。
【0031】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳しく説
明する。 実施例1 原料乳200kgをクリーム分離機を用いて40℃で分離
して、脂肪率45%、ミネラル分0.44%の乳クリー
ム20kgを得た。これを、電気透析膜を用いて30%脱
塩処理し、ミネラル分0.31%の乳クリーム20kgを
得た。脱塩後の乳クリームの脂肪率、蛋白質、乳糖の濃
度は殆ど変化していなかった。次いで、脱塩された乳ク
リームを、120℃、5秒でUHT殺菌処理した。この
ようにして得られたミネラル分が低減された乳クリーム
を、コーヒーテスト及びホイップ試験に供したところ、
いずれも良好な特性を示した。
【0032】実施例2 原料乳200kgを電気透析膜を用いて50%脱塩処理
し、脂肪率4.0%、ミネラル分0.40%の脱塩乳20
0kgを得た。この脱塩乳を、クリーム分離機を用いて4
0℃で分離して、脂肪率35%、ミネラル分0.25%
の乳クリーム20kgを得た。次いで、脱塩された乳クリ
ームを、120℃、5秒でUHT殺菌処理した。このよ
うにして得られたミネラル分が低減された乳クリーム
を、コーヒーテスト及びホイップ試験に供したところ、
若干風味は劣るものの、コーヒー適性及びホイップ特性
はいずれも良好であった。
【0033】
【発明の効果】本発明のミネラル分が低減された乳クリ
ームは、乳を分離して得られる乳クリームが従来有して
いた欠点を有さず、しかも、乳クリーム独特の長所も有
している。即ち、本発明のミネラル分が低減された乳ク
リームは、長期間保存しても脂肪球凝集に由来する粘度
の増加がなく、ホイップクリームとしてはオーバーラン
が高くホイッピング後の組織が良好であり、コーヒーク
リームとしてはコーヒー適性が良好であり、しかも、乳
クリーム独特のコク及び良好な風味を有している。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−179440(JP,A) 特開 昭62−220144(JP,A) 特開 昭62−220147(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A23C 13/00 - 13/16 JICSTファイル(JOIS) JAFICファイル(JOIS)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 脂肪率が30〜50重量%で、ミネラル
    分が0.4重量%以下であることを特徴とするミネラル
    分を低減した乳クリーム。
  2. 【請求項2】 原料乳を分離して得られたクリームを、
    脱塩して得られる請求項1記載のミネラル分を低減した
    乳クリーム。
  3. 【請求項3】 原料乳を脱塩して得られるミネラル分を
    低減した乳を分離して得られる請求項1記載のミネラル
    分を低減した乳クリーム。
  4. 【請求項4】 原料乳を分離してクリームを得て、次い
    で、前記クリームを脱塩することを特徴とする脂肪率が
    30〜50重量%でミネラル分が0.4重量%以下であ
    ミネラル分を低減した乳クリームの製造方法。
  5. 【請求項5】 原料乳を脱塩してミネラル分を低減した
    乳を得て、次いで、前記乳を分離して得ることを特徴と
    する脂肪率が30〜50重量%でミネラル分が0.4重
    量%以下であるミネラル分を低減した乳クリームの製造
    方法。
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