JP2925522B2 - ガス状炭化水素を含む廃棄ガスから炭化水素を液状で回収する方法 - Google Patents

ガス状炭化水素を含む廃棄ガスから炭化水素を液状で回収する方法

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JP2925522B2 JP9245318A JP24531897A JP2925522B2 JP 2925522 B2 JP2925522 B2 JP 2925522B2 JP 9245318 A JP9245318 A JP 9245318A JP 24531897 A JP24531897 A JP 24531897A JP 2925522 B2 JP2925522 B2 JP 2925522B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガス状炭化水素を
含む廃棄ガスから炭化水素を液状で回収する方法に関
し、特に、発がん性があり、大気公害の原因物質の一つ
であるベンゼンやトリクロロエチレン等のガス状炭化水
素の濃度を100ppm以下にして大気中に排出するため
の上記方法に関する。
【0002】
【従来の技術】大気公害の元凶物質の一つであるベンゼ
ンやトリクロロエチレン,メチルエチルケトン等のガス
状炭化水素については、米国,欧州,日本をはじめとす
る先進国では、大気中に放散する濃度を法的に厳しく規
制している。規制値の水準は、各国の事情によつて異な
るが、日本を除く先進諸国では、例えばベンゼンについ
ては「5ppm以下」であり、日本に於いても環境庁告
示第5号(平成9年2月6日)によれば「30ppm以下」
に規制されるようになつた。
【0003】ところで、かかるガス状炭化水素の発生源
として特に問題視されているのは、印刷工場やクリーニ
ング工場,塗装工場等で発生する大量でしかも約3000p
pm以下の希薄な廃棄ガスであり、工場のみならず、そ
れ等を貯蔵するタンクから荷揚げする時や積み卸しする
時に発生する廃棄ガスである。
【0004】このようなガス状炭化水素を含む廃棄ガス
の処理・回収方法として、従来から広く用いられている
方法は、 (1) ガス分離膜法+吸着法 (2) 活性炭やゼオライト,疎水性シリカゲル等を用いる
吸着法 などである。
【0005】上記方法のうち(1)の方法は、欧州では主
流の技術であつて、主として廃棄ガスが大量の場合に適
用する方法であり、ガス分離膜法による後処理手段とし
て吸着法を用いるものである。日本においても、特開平
7-284623号公報にみられるように、この分野に属する技
術が開示されている。一方、米国でもっとも広く採用さ
れている方法は、前記(2)の吸着法であって、特に活性
炭を用いる吸着法である。この方法については、特開昭
57-14687号公報,特開昭57-42319号公報,特公昭59-507
15号公報,特公昭59-50716号公報,特公平2-46630号公
報に開示されている。
【0006】現在の技術水準では、ガス状炭化水素を含
む廃棄ガスを処理して、大気中に放散するクリーンなガ
ス中の炭化水素濃度を100ppm以下にするには、上記
した活性炭を用いる吸着法が最もすぐれた工業的手段で
ある。
【0007】ところで、前記吸着法によるガス状炭化水
素を含む廃棄ガスの処理・回収方法において、吸着と脱
着の切換えは、電磁弁を介して時間制御で操作されてい
る。しかし、時間制御で切り換える場合、吸着塔が破過
するに至る時間を予め実験や経験で把握しておく必要が
ある。また、時間制御による切換えは、吸着塔入口のガ
ス状炭化水素の量と濃度が絶えず大きく変動する場合、
吸着剤を必要量以上に多量充填し、そして、早めに切り
換えることが余儀なくされる。そのため、吸着剤が有効
に使用されないという問題が生じることもあった。
【0008】上記問題点を解消するため、吸着塔の「破
過の検知」を種々の測定器を用いて行い、破過が検知し
うる濃度になつた時に脱着に切り換える方法が以前から
行われてきた。また、上記検知方法についても古くから
種々提案がなされてきた。例えば、特開昭55-35996号公
報には、「吸着,脱着の二塔式PSA精製装置を用い、
真空ポンプを使わずに吸着塔を5〜10kg/cm2に加圧
した状態で湿つたガスの吸着を行い、塔頂から乾いたガ
スを放散させ、一方、脱着は、塔の圧力を常圧に戻すこ
とによって、吸着ガスを吐き出させて再生する脱湿方法
において、刻々に変わる吸着塔を通るガス流量,吸着塔
の入口及び出口温度,吸着塔の入口及び出口圧力,脱着
塔の再生圧力を含む各部位の運転状態をデータとしてマ
イクロコンピューターに記憶させ、物質収支と熱収支の
計算を瞬時に行わしめ、その結果に基づいて、脱着時間
を制御し、間接的に吸着と脱着の切り換え時期を自動制
御する方法。」が開示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】前掲の特開昭55-35996
号公報に開示されている方法は、吸着,脱着の切り換え
を、時間制御ではなく、装置の運転状況を記憶させたマ
イクロコンピューターの指示に任せるという点で画期的
な提案ではあるが、当時は、現在のように優れた吸着モ
デルが無かったため、シミュレーシヨン手法を用いるこ
とができなかった。即ち、「破過濃度を吸着モデルのシ
ミュレーションによって予測する」という発想には至ら
なかった。
【0010】その後、破過に至る前に、吸着剤層内に埋
め込んだ測定ポートからガス中の被吸着成分の濃度をい
ち早く検知し、或るレベルの濃度に達した時に自動的に
電磁弁を切り換える方法が提案されている。しかしなが
ら、吸着剤が粒状活性炭やシリカゲルのように、吸着孔
径が5Åから100Åの広がりを持つ場合、局所的に濃度
も温度も変動するので、「吸着帯層がガスの流れに沿つ
て片寄らず、一様な巾で出口に向かつて上昇する」とい
う保証はなく、そのため、測定する位置を特定すること
が困難であるという欠点を有している。(頂部から余り
深い位置に測定ポートを差し込むのであれば、時間制御
に勝る方法とは言い難い。)
【0011】本発明は、従来技術の更なる改良を試みた
もので、その目的は、ガス状炭化水素を含む廃棄ガスを
処理し、ガス状炭化水素を回収・リサイクルする方法に
おいて、疎水性シリカゲルや活性炭,合成ゼオライト等
の固体吸着剤を用いて、該ガスから安全に、しかも容易
に、かつ効率よく炭化水素を液状で回収すると共に、処
理後に、大気中に放出するガス中の残存炭化水素濃度を
100ppm以下にし得る「ガス状炭化水素を含む廃棄ガ
スから炭化水素を回収する方法」を提供することにあ
る。また、本発明の他の目的は、上記方法を装置化する
際に、システムを一体化してスキツドに載せられるよう
に、可搬可能なように成し得る方法を提供することにあ
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明に係る方法は、
「吸着と脱着を交互に行う“吸着剤層を有する吸着装
置”を用い、一方の側の吸着装置にガス状炭化水素を含
む廃棄ガスを通過せしめ、該吸着装置内の吸着剤層にガ
ス状炭化水素を吸着させ、実質的にガス状炭化水素を含
まない廃棄ガスを大気中に放出し、その間に、他方の側
の吸着装置を脱着に切り換え、該吸着装置内の吸着剤層
に吸着したガス状炭化水素を、パージガスを併用しなが
ら、真空ポンプで吸引して離脱せしめ、この離脱したパ
ージ排ガスを冷却処理し、ガス状炭化水素を液体として
回収する方法において、・前記冷却処理後の未凝縮炭化
水素を含むパージ排ガスの全量を、前記廃棄ガスを通過
せしめる吸着装置に戻し、該吸着剤層内の炭化水素濃度
を高め、この吸着剤層が破過する前に脱着に切り換え
る、ことを特徴とするガス状炭化水素を含む廃棄ガスか
ら炭化水素を液状で回収する方法。」(請求項1)を要旨
とする。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明するが、それに先だって、本発明を従来の技術と
の対比してより詳細に説明する。
【0014】前記「従来の技術」の項で説明したよう
に、現在の技術水準では、ガス状炭化水素を含む廃棄ガ
スを処理して、大気中に放散するクリーンなガス中の炭
化水素濃度を100ppm以下にするには、活性炭による
吸着法が最もすぐれた工業的手段である。(なお、触媒
燃焼法も簡便で有効な手段であるが、廃棄ガス中のガス
状炭化水素濃度の如何によっては、爆発の危険性も危惧
され、居住地付近での設置には拒否反応が強い。)
【0015】しかし、従来の上記活性炭による吸着法で
は、脱着時のパージガスに通常“スチーム”を使用する
ため、厳しい水質基準をクリヤーするには、排水処理設
備にかなりの負担がかかるという欠点があった。このた
め、パージガスに窒素を用い、循環使用する方法も提案
されているが、循環窒素に蓄積される希薄なガス状炭化
水素の分離には大型の冷凍機を必要とし、0℃以下の低
温に冷却しなければならないという問題がある。
【0016】この問題を解決する手段として、パージ排
ガスからガス状炭化水素を回収するに先立って、カスケ
ード方式による濃縮吸着塔(アダプター)を介して、パー
ジ排ガス中の希薄なガス状炭化水素を濃縮する方法が考
えられるが、この方法では、別途アダプターを準備しな
ければならないという問題がある。
【0017】本発明の第1の特徴点は、上記問題点に鑑
みなされたものであって、 ・冷却処理後の未凝縮炭化水素を含むパージ排ガスの全
量を、廃棄ガスを処理する吸着装置に戻し、該吸着装置
内の吸着剤層中の炭化水素濃度を高めること、にあり、
これにより、パージ排ガス中の炭化水素濃度を高め、こ
れを常温程度まで冷却するだけで容易に炭化水素を液体
として回収し得るものであり、しかも、冷却処理後のパ
ージ排ガスの処理を容易にしたものである。
【0018】次に、本発明の第2の特徴点である「吸着
装置が破過する前に脱着に切り換える」点について説明
すると、本発明における破過の検知手段は、基本的に
は、装置に組み込んだ回路チツプによるものであるが、
最近めざましく進歩してきた超小型のチツプを用いるた
め、前記公知技術(前掲の特開昭55-35996号公報に開示
されている技術)に記載されているような演算を目的と
する大型マイクロプロセッサーを必要としない。そのう
え、本発明は、運転時に得られたデータを拾ってきて、
物質収支と熱収支の計算だけをさせるのではなく、吸着
モデルのシミュレーシヨンによつて破過濃度を予測しよ
うとする点で、上記従来技術とは全く異なる。つまり、
本発明の好ましい実施の形態である「破過濃度を吸着モ
デルのシミュレーションによって予測する」という発想
と明らかに相違する。
【0019】また、上記従来技術以外に、吸着剤層の破
過を検知する手段として種々の測定器を用いて行い、破
過が検知しうる濃度になつた時に脱着に切り換える方法
が以前から行われてきている。しかし、破過する時の濃
度は、昨今の厳しい大気汚染防止法に従えば、数10p
pm以下という微量濃度が問題になるので、それ以前に
検知を必要とする濃度は1〜2ppm以下のオーダーに
なり、相当に大がかりで精密な測定器を必要とする。こ
れに対して、本発明の好ましい実施の形態では、前記し
たとおり、最近めざましく進歩してきた超小型のチツプ
を用いるため、大がかりで精密な測定器を必要としない
利点を有する。
【0020】本発明の上記第2の特徴点について、その
好ましい実施形態を含めて更に詳細に説明すると、本発
明者等は、ガス状炭化水素を含む大量の廃棄ガスを処理
する手段の開発に当たって、データを取り込む手段であ
る“データロガ信号”というハード面における要素技術
をこのシステムに巧みに組み込み、さらに、吸着装置に
対して「吸着モデル」のシミュレーションという、いわ
ゆるソフト面における新規な手段を併用することによつ
て、廃棄ガス中の炭化水素濃度が刻々変化するに関わら
ず、吸着剤層内の温度を容易に、かつ速やかに、常温近
くに一定させることに成功した。
【0021】その結果、本発明によれば、吸着から脱着
えの切り替え時期を単に時間のサイクルで設定するので
はなく、組み込んだソフトの判断に任せることによっ
て、吸着剤の性能を無駄なくフルに発揮させることがで
き、このため、パージ排ガスを約10〜30℃位の常温付近
の温度に冷却するだけで、ガス状炭化水素を液状で回収
することが可能になる、という作用効果が生じる。な
お、破過の検出時期を誤ると、吸着剤層から排出される
クリーンであるべき排出ガス中にガス状炭化水素が漏洩
し、本発明の目的が失はれる結果になる。
【0022】「吸着モデル」としては、種々提案されて
いるが、その中でも、 ・吸着剤の物性、即ち、“吸着等温曲線および吸着塔内
部の吸着圧力,真空ポンプの真空度,塔内ガス流速,吸
着剤層の高さ,パージ係数”を固定(frozen)し、そし
て、時々刻々に変化する“入口ガス流量と濃度”を変数
にして、切り換え時間か、若しくは、吸着剤層の出口濃
度(破過濃度)を仮定値としてチツプに入力して演算させ
る、いわゆる“Frozen Model”が著名である。本発明で
用いる「吸着モデル」としては、この“Frozen Model”
の利用が好ましいが、特にこれに限定するものではな
い。
【0023】本発明の第2の特徴点である「吸着装置が
破過する前に脱着に切り換える」点を必須の構成要件と
する理由は、前記本発明の第1の特徴点である“パージ
排ガス中の炭化水素濃度を高め、これを常温程度まで冷
却するだけで容易に炭化水素を液体として回収し、かつ
冷却処理後のパージ排ガスの処理を容易にする”ため
に、「未凝縮パージ排ガス(冷却処理後の未凝縮炭化水
素を含むパージ排ガス)の全量を、廃棄ガスを処理する
吸着装置に戻す」手段との関連による。つまり、吸着装
置に供給される廃棄ガスに上記未凝縮パージ排ガスを混
入することにより、吸着装置入口ガスの炭化水素濃度が
より一層変化し、この吸着装置内の吸着剤層中の炭化水
素濃度が刻々に変化することになり、そのため、破過す
る迄の時間を予め想定することが困難であるからであ
る。
【0024】従って、本発明において、上記第1の特徴
点を必須構成とするためには、第2の特徴点である「吸
着装置が破過する前に脱着に切り換える」点を必須の構
成要件とする必要がある。もつとも、本発明は、従前か
ら行われている時間制御による切り換え手段を排除する
ものではない。何故ならば、吸着装置の入口ガス(廃棄
ガス+前記未凝縮パージ排ガス)中に含まれるガス状炭
化水素の濃度が時間の経過においてほぼ一定の場合は、
吸着装置の運転を開始して破過する迄を時間を予め求め
ておき、次回の吸着操作では、この時間を目安にして切
り換えることも便法の一つであるからである。
【0025】前述のように、入口ガスの流量と濃度とが
刻々変動する場合、前記した本発明の好ましい実施形態
によれば、吸着剤層に吸着されるガス状炭化水素の濃度
を破過寸前にまで自動的に高濃度に濃縮することがで
き、その結果として、パージ排ガスを常温付近に冷却す
るだけで、ガス状炭化水素を液体として凝縮し、取り出
すこと(回収すること)が可能になる。ただし、このよう
な利点がある反面、欠点としては、吸着に要する時間と
脱着に要する時間が交互に余りにも違い過ぎる場合、作
業を管理する者の立場からすれば、吸・脱着の切り換え
を自動化しないとすれば、必ずしも好ましいとは言い難
い。
【0026】ところで、適正な吸着剤が適正に充填され
ている場合には、吸着剤層の頂部付近では、吸着すべき
ガス状炭化水素の量が極端に少なくなつており、このた
めに発生する吸着熱量が極端に少なくなり、しかも、そ
れを上回る熱量が吸着装置から大気中に放散されるよう
になる。その結果、チツプに取り込むために頂上付近に
差し込んだ測定ポートからの信号、即ち、指示温度が停
止し、そのうちに次第に落ちてくる。この時点を見計ら
つて自動的に吸・脱着の切り換え弁(電磁弁)を切り換え
る手段を併用すれば、前述の欠点は解消でき、これも本
発明に包含されるものである。
【0027】「適正な吸着剤」とは、吸着孔径が或る大
きさにコントロールされ、局部的に吸着量にムラが生じ
難い、例えば合成ゼオライトのような吸着剤を指してい
る。そこで、本発明の好ましい実施形態の一例として
は、後に詳記するが、吸着剤層の頂部に合成ゼオライト
層を配することであり、そして、この合成ゼオライトか
らなる吸着剤層内に温度検知ポートを配設し、該温度検
知ポートからの温度がその上昇を停止した時点をもっ
て、自動的に電磁弁を切り換える手段を採用することで
ある。
【0028】本発明において使用する吸着剤としては、
素材が可燃性,不燃性を問わず、廃棄ガスと親和性のあ
る固体吸着剤であればいずれも使用可能であるが、廃棄
ガス中の炭化水素の濃度が2000ppm程度と希薄な
場合は、望ましくは、安価で入手が容易な粒状活性炭を
用いるのが望ましい。上記粒状活性炭以外に不燃性のシ
リカゲルを用いることができ、この場合、トリメチルク
ロロシラン等のシランカップリング剤で疎水化処理した
シリカゲル、或いは、高温で長時間処理して疎水性,親
油性を持たせたシリカゲルが好適である。
【0029】ところで、吸着剤として用いられる活性
炭,合成ゼオライト,シリカゲル,活性アルミナ等の固
体吸着剤は、ガス状炭化水素と強い親和性を持つ一方、
断熱剤としても重用されているものである。また、合成
ゼオライトは別として、それ以外の吸着剤は、吸着孔径
の分布が広いため、吸着箇所の濃度が一様ではなく、ロ
ーカルヒーテイングを起こし易い。
【0030】一般的に云つて、疎水性シリカゲルや粒状
活性炭の場合は、粒径や上昇温度にもよるが、約4イン
チ以上の厚みでは、吸着熱を冷却水層にまで短期間に移
動させることができないとされている。したがって、4
インチ以上の厚みでは、円周方向の熱移動にそれ程期待
できず、縦方向に流れるガスが持ち出す熱移動に頼るこ
とになる。このため、吸着装置内の温度分布に影響さ
れ、或る幅をもつ吸着帯層が均一に、かつ一様に吸着装
置出口に向かつて移動するかどうかが問題になる。即
ち、破過時点の濃度を吸着装置の出口で検知する場合は
問題にならないが、吸着剤層の中に埋め込んだ位置に配
した検知ポートの場合は問題になる。
【0031】これを避けるため、本発明の好ましい実施
形態としては、吸着剤層の最上段、即ち廃棄ガスの出口
に最も近い位置に合成ゼオライトを載せることである。
合成ゼオライトとしては、例えば「Y型ゼオライト“3
60HUD”」(東ソ−社製の製品名)が好ましい。その
理由は、このY型ゼオライトは、疎水性シリカゲルや粒
状活性炭と異なり、孔径が或る大きさに厳密にコントロ
ールされており、また、選択する素材によっては、廃棄
ガス中のガス状炭化水素の分子径のほぼ全部をカバーし
ている品種も市販されている。しかも、ガス状炭化水素
を吸着する割合は、重量比で15〜20%である。このた
め、この層を移動する或る巾を持つた吸着帯には、片寄
りが生じないからである。なお、本発明において、この
合成ゼオライトとしては、SiO2/Al2O3が20以上で、
約8Åの孔径をもつものが望ましい。
【0032】そして、本発明の好ましい実施形態として
は、データロガ信号として取り込む濃度並びに温度検知
用ポートは、上記合成ゼオライト層の中心部に配するの
が望ましい。このようにすれば、破過時点を検出する上
記手段に併せて、その部分の温度の指示(吸着熱による
温度の上昇を停止した時点の温度の指示)により、吸・
脱着の切り換えの目安にすることができる。
【0033】また、本発明好ましい実施形態としては、
吸着剤層の温度と吸着された炭化水素濃度とを局所的に
均一化すべく、上記吸着剤層中で発生した吸着熱を横方
向に吸着剤層から速やかに移動させ、除去する手段とし
て、吸着剤層とこの吸着剤層を冷却するための冷却水層
とが、隣接して構成される2重円筒又は多重円筒型の吸
着塔を用いることが好ましい。そして、吸着剤層内に発
生する静電気が該層の中心部に集まる傾向を考慮して、
冷却を兼ねて静電気を逃がすために、金属製の円筒を中
心部に配した吸着塔が望ましい。
【0034】本発明において、脱着時に使用する真空ポ
ンプとしては、完全ドライ型のものが望ましい。例え
ば、堀技研工業社製の「高真空(到達真空度7mmHg)で大
容量(50m3/分)の完全ドライ型の真空ポンプ」は、特
に好適である。液封式真空ポンプでは、そのシール液が
例えば水の場合、水の蒸気圧以上に真空度を下げること
ができず、商業的には約60mmHgが限度である。このため
に、ガスエジェクターの併用が必要とされる。
【0035】また、シール液として、ガス状炭化水素と
親和性がなく、かつ蒸気圧が非常に低いエチレングライ
コールのような液体を使用した液封式真空ポンプでは、
このシール液がパ−ジ排ガス中に混入し、このパ−ジ排
ガス中の炭化水素とシール液とを分離させる際、界面に
おけるエマルジョンの生成が懸念される。その理由は、
分離したシール液は冷却して循環使用しなければならな
いからである。
【0036】本発明において、真空ポンプを用いて脱着
する際に併用するパージガスとしては、吸着剤層から大
気中に排出されるクリーンなガスの一部を用いるのが好
ましいが、このパージガスを多く用いると、パージ排ガ
ス中のガス状炭化水素濃度が所定以上に希薄になり、常
温以下のかなり低い温度に冷却しななければ液化しない
という事態が生じる。即ち、このような希薄なガスは、
容易に露点(Dew Point)に達しないことが自明の事実で
あり、例えばn−ペンタンを12.95VOL%含むパージ排ガ
スを冷却して液化させようとした場合、パージ排ガス中
の該成分の露点は約−15℃であり、この温度以下でない
と、該成分は露を結ばない(凝縮しない)ということにな
る。(なお、凝縮する割合は、冷却温度に依存する。)
【0037】この問題を解決する手段として、真空ポン
プの吐出ガスの圧力を常圧以上2気圧までに高めて吐出
せしめると共に、同質の炭化水素液体を別途に設けた容
器で蒸発させた後、この炭化水素ベ−パ−を脱着層に直
接連結する出口管に戻し、または、同質の液体炭化水素
を出口管に注入し、いわゆる置換パージを行うことによ
り解消することができる。このように、置換パージを行
うことによって、パージ排ガス中の炭化水素濃度を高
め、凝縮液化を促進する方法が既に提案されている。
【0038】上記既提案の方法において、パージ排ガス
の圧力を2気圧に高めると、前記したn−ペンタンを1
2.95VOL%含むパージ排ガスを例にとれば、該成分の濃
度が25VOL%に高められ、該成分の露点が約18℃にな
る。この18℃までのガス冷却は、極めて容易に達成でき
る温度水準である。しかし、この既提案の方法は、設備
的にも、また、シーケンスのシステムを構築するにして
も煩瑳であるという問題点を有している。
【0039】ところで、吸着剤層にガス状炭化水素が濃
縮される程度は、理論的には、真空度が25mmHgの場合、
炭化水素だけが吸着されるのであれば“760/25”、す
なわち“約25倍”の濃さになるが、通常、多量の空気
が共存しており、そして、この空気中の窒素ガスや酸素
ガスの分子径は、炭化水素の分子径よりも極めて小さ
く、このため、窒素ガスや酸素ガスが炭化水素ガスに優
先して吸着されることになる。その結果として、入口の
炭化水素濃度の4倍の濃さにしか濃縮できないことが経
験的に知られるている。
【0040】そこで、本発明者等は、処理すべき廃棄ガ
スに液状炭化水素を滴下すること(具体的には、処理す
べき廃棄ガスの導管に液状炭化水素をスプレーするこ
と)によって、吸着剤層をプレコートし、併せて未凝縮
のパージ排ガス(冷却処理後の未凝縮炭化水素を含むパ
ージ排ガス)の全量を絶えず吸着装置に戻すことによっ
て、順繰りに炭化水素の濃度を4の整数倍に濃くするこ
とができるという事実を見いだした。例えば、廃棄ガス
中の炭化水素濃度が最初2000ppmの場合は、吸着装置
での濃縮割合は8000ppm、次の循環で8000ppmが32
000ppm、即ち、3.2%と言う風に段々に濃縮される。
これは、吸着剤層を前記液状炭化水素や前記未凝縮炭化
水素でプレコートすることにより、本来優先的に吸着さ
れる空気中の窒素ガスや酸素ガスの吸着を妨げるためで
ある。
【0041】また、本発明で使用する活性炭や合成ゼオ
ライト,疎水性シリカゲル等の固体吸着剤では、全く水
分を吸着しないという吸着剤ではなく、図4に示すよう
に、被吸着ガス中の水分の相対的濃度によって、吸水率
は大きく変化する。被吸着ガスが湿った空気の場合、関
係湿度が約40%以下では殆ど水分を吸着しないが、5
0%を超えると急激に水を吸着するようになる(図4参
照)。なお、図4は、活性炭の水分吸着等温線を示した
が、他の疎水性の吸着剤についても同様なことが言え
る。
【0042】上述のような現象が実用上問題になるケー
スは、被吸着ガス中に炭化水素ガスと水分とが共存する
場合であって、該ガス中の水分の相対濃度が40%を超
える場合、吸着剤層の中では、炭化水素と水との間で
“共吸着現象”が生ずる。
【0043】本発明を実施する場合の具体例として、特
に被吸着ガス中の炭化水素濃度が約5000ppm以下
と希薄な場合、相対的に水分濃度(関係湿度)が高くな
り、この“共吸着現象”が起き易い。この“共吸着現
象”は、前記した「プレコート」と密接な関係があり、
プレコートされる成分が炭化水素ガスではなく水分であ
る場合、炭化水素ガスの吸着が著しく阻害されると言う
ことである。しかも、脱着時には先に押し出されて(パ
ージガスを併用する真空ポンプの吸引による)、取り出
した液体成分中に多量の水が含まれる結果になる。
【0044】しかしながら、吸着時に炭化水素ガスの吸
着が阻害されることの方が問題であって、本発明者が行
つた実験例では、約3000ppmの希薄な酢酸エチル
を疎水性シリカゲルに吸着させ、脱着後のパージ排ガス
を全量吸着塔入口に戻す操作を繰り返しても、出口濃度
が1500ppm以下にならなかつた。(この値は、1
00ppm以下の期待値に対して殆ど吸着されなかった
と言って過言ではない。この事実は、吸着塔の中に酢酸
エチルが濃縮されず、素通りした結果に外ならない。)
【0045】このような“共吸着現象”を回避する手段
としては、次の(1)〜(3)の方法が考えられる。 (1) 吸着水分によって破過した吸着剤を所望の操作圧力
(真空状態)下で、時間をかけて充分に脱着,再生させた
後、正常な吸脱着操作を行わしめる方法。(この際、脱
着されずに残つた水分は「プレコート剤」とみなすこと
が出来る。) (2) 水と親和性があって、且つ、沸点が水より高い炭化
水素、例えばエチレングリコールのような物質を、吸着
操作に先き立って「プレコート剤」として使用する方
法。 (3) 低濃度の炭化水素を含み且つ高湿度の被吸着ガスを
吸着させる前に、予め高濃度の炭化水素を吸着させる方
法。(この高濃度の炭化水素は、同様に「プレコート
剤」として使用するものである。)
【0046】以上の三つの方法が考えられるが、そのう
ち、前記(1)及び(2)の方法によれば、大気に排出するガ
ス中の炭化水素を約100ppm以下に抑制することが
できても、被吸着成分の回収には難点がある。但し、ベ
ンゼンやトルエンのような芳香族化合物に対しては、不
溶であるために回収液体とは混和せず、有効なプレコー
ト手段になる。
【0047】そして、本発明では、特に限定するもので
はないが、前記(2)の方法のように、水と親和性があっ
て沸点が水より高い炭化水素のような物質を「プレコー
ト剤」として使用するのが好ましい。このように、プレ
コート剤が水系であることは、懸念される疎水性シリカ
ゲルの帯電による火花の発生に対して有効であるのみな
らず、プレコート剤の重合に起因する吸着剤の劣化の対
策にも寄与する効果が得られる。
【0048】以上の理由から、本発明では、前記“共吸
着現象”を回避するため、前記(1)〜(3)の方法のいずれ
の方法も包含するものであり、これら(1)〜(3)の方法を
適宜選択して、または、併用して実施することができ
る。
【0049】ところで、吸着装置内の炭化水素濃度が濃
いということは、ひいては、パージ排ガス中の炭化水素
濃度が濃くなることであり、その結果、パージ排ガス中
の炭化水素の凝縮に好ましい結果をもたらす。つまり、
常温付近まで冷却することで容易に液化するという効果
をもたらす。但し、この手段を運転開始時に限つて行う
場合は別として、継続して行う場合には、刻々と入口濃
度やガス量(注)が変動するので、破過濃度を事前に検知
するか、または、前述の合成ゼオライトを吸着装置の最
上段に配し、そのほぼ中心部の温度上昇が停止したこと
を確認して、操作することが不可欠な要件になる。 (注):吸着装置に供給する廃棄ガス中の炭化水素濃度と
前記パージ排ガス中の未凝縮炭化水素濃度の合計の炭化
水素濃度,廃棄ガスとパージ排ガスの合計のガス量
【0050】そこで、簡便なより好ましい方法として、
本発明者等は、パージ排ガスを冷却することによって得
た液体炭化水素を系外に取り出す前に、これをパージ排
ガスの冷却器に再度還流させて、元のガスと向流接触さ
せ、さきに凝縮した比較的に重い液にパージ排ガス中の
凝縮しにくい軽質成分を吸収させ、液化を促進させる方
法を開発した。
【0051】また、本発明者等は、本発明で提案した装
置をシステムとして一体化し、スキツドに載せられるよ
うな可搬性をもたせた装置にするべく鋭意研究の結果、
本発明に至つたものである。即ち、本発明者等が以前に
出願した特願平7−270754号や特願平8−86878号明細書
に開示したアダプター方式や置換パージ方式によるので
はなく、また、パージ排ガスのガス状炭化水素を回収す
るに当たって、同質の炭化水素液体で洗浄する方法を用
いることなく、単にパージ排ガスを常温付近の温度に冷
却するだけで、該ガスからガス状炭化水素を液状で回収
する手段を提供したものであり、これによって、可搬性
をもたせた装置とすることができるものである。
【0052】以上、本発明の実施の形態についてそれぞ
れ具体的に記述したが、これらをまとめて、本発明の好
ましい実施態様を挙げれば、固体吸着剤を充填し、吸着
と脱着を交互に行う吸着装置を用いて、 ・一方の側の吸着装置に希薄なガス状炭化水素を含む廃
棄ガスを通過せしめて吸着剤層にガス状炭化水素を吸着
させ、実質的にガス状炭化水素を含まないクリーンな廃
棄ガスを大気中に放出し、 ・吸着・脱着の切り換え時点は、吸着装置が破過する前
に行い、この際、破過の検知手段としては、 ・パソコンに取り込んだ運転数値のシミュレーションの
結果に併せて、吸着剤層の頂部付近(合成ゼオライトか
らなる吸着剤層)に配した温度計の指示が停止した時点
をもつて電磁弁を切り換え、 ・脱着時には、パージガスを併用しながら真空ポンプ
(完全ドライ型の真空ポンプ)を用いて吸引し、吸引さ
れたパージ排ガスを常温付近の温度に冷却して、ガス状
炭化水素を凝縮液化せしめ、 ・未凝縮ガスの全量を吸着装置の入口に戻して吸着装置
内の炭化水素濃度を高め、また、必要に応じ処理すべき
廃棄ガス中に少量の液体炭化水素を滴下、ないしは、噴
霧し、廃棄ガス中の炭化水素濃度を濃くせしめると共に
前記吸着剤層を炭化水素でプレコートし、 ・液化した炭化水素を再度パージ排ガスの冷却器に還流
してガスと向流接触させて非凝縮ガスの吸収を行はせる
ことにより、パージ排ガスの凝縮液化の効果を高める、
方法である。
【0053】本発明に係る実施の形態は、以上に詳述し
たとおりであるが、なお、本発明に係る方法は、公知の
PSA法やPTSA法を適用することができ、その他V
SA法,VTSA法などにも適用することができ、これ
らの適用も本発明に包含されるものである。また、本発
明は、ガス状炭化水素を含む廃棄ガスから炭化水素を液
状にて回収する方法を提供したものであり、塗装時に発
生する希薄な多成分系のガスに限らず、ベンゼンやトル
エン、トリクロロエチレン、メチルエチルケトンのよう
な単一成分の希薄なガスに対しても広く適用されるもの
である。
【0054】
【実施例】次に、本発明の一実施例について、図1〜図
3に基づいて説明する。なお、図1は、本発明の一実施
例である希薄なガス状炭化水素を含む廃棄ガスの処理・
回収方法のフローシートを示す図であり、図2は、図1
に示すフローシートにおける「運転状況を把握し制御す
るための制御盤」を示す図である。また、図3は、図1
に示すフローシートにおいて使用した吸着塔の構造の一
例を示す縦断面図である。
【0055】本実施例では、図3に示すように、冷却水
5が循環する内筒4a(4b)及びその外側に吸着剤層3
a(3b)を充填した外筒2a(2b)の二重円筒で構成さ
れる吸着塔1a(1b)を用いた。なお、内筒4a(4b)
を流れる冷却水5は、乱流にして吸着剤層3a(3b)を
流れる廃棄ガスと向流に流すようにした。また、吸着剤
として粒状活性炭(武田薬品工業社製の“粒状白鷺一
号”)及びY型合成ゼオライト(東ソ−社製の“360 HU
D”)を用いた。そして、図3に示すように、粒状活性炭
3-1a(3-1b)の上部にY型合成ゼオライト3-2a(3-
2b)を吸着塔1a(1b)に充填し、吸着剤層3a(3b)
として実施に供した。
【0056】以下、本実施例を図1に基づいて詳細に説
明すると、廃棄ガス発生源(図示せず)から発生した廃棄
ガス(約2,000ppmのベンゼンを含む廃棄ガス)をブロ
アー(図示せず)または自圧で廃棄ガス送気管11より吸
着塔1aに送気する。吸着工程を終えた処理済み廃棄ガ
スは、吸着塔1a(脱着工程に切り換えた後は吸着塔1
b)の頂部から、排出管12を介して、20ppm以下
のベンゼンベーパーを含む空気(クリーンなガス)として
大気中に放出する。
【0057】また、吸着塔1a,1bは、上記の吸着工
程と後記する脱着工程とを交互に切り換えながら運転す
るが、この切り換え時点は、吸着塔1a,1b内の吸着
剤層が破過する前に行い、そして、図1に示す弁(ホ),
(ホ)を自動的に開閉することにより行う。即ち、吸・脱
着の切り換え用弁(ホ),(ホ)の開閉は、 ・吸着塔1a,1bの「入口ガス流量」“I”と「入口
ガス濃度」“J”とを図2に示すメモリー21に読み込
ませ、予めメモリー(吸着モデル)23に記入した吸着モ
デルのCPU(演算)22による演算結果を示す“破過予
想時間”と、 ・吸着剤層の上部に配した温度検知ボ−ド(図示せず)に
よって、Y型合成ゼオライト3-2a(3-2b)[前掲の図
3参照]から取りだした吸着剤層内の「温度」“F”,
“G”がその上昇を停止した時点と、 を併用して自動的に切り換える。
【0058】一方、吸着工程を終えた後の吸着塔1a
(脱着工程に切り換えた後は吸着塔1b)には、パージ
用ガス送気管13を介して、パージ用ガスを吸着塔1a
(脱着に切り換えた塔)に送気し、併せて完全ドライ型
真空ポンプ14(堀技研工業社製“揺動式”)を用い
て、吸引することにより脱着させる。本実施例では、パ
ージ用ガスとして、吸着運転時に頂部から排出されるク
リーンなガスの一部を使用し、そして、完全ドライ型真
空ポンプ14は約25Torrで運転した。
【0059】パージ排ガスは、パージ排ガス送気管15
から完全ドライ型真空ポンプ14を経て、気液分離器1
6に送気される。気液分離器16は、内部に配した冷却
水用蛇管16a内を流れる水(10〜35℃の水)によつて冷
却される。この際、ベンゼンベーパーは、気液分離器1
6の下部に連結した回収器17内に凝縮液化し、未凝縮
ガスと分けられる。凝縮液化したベンゼンは、ベンゼン
送液管18を経て元の気液分離器16に戻し、ここで未
凝縮パージ排ガスと向流接触させた後、回収器17に溜
まる。溜まったベンゼンは、回収器17の液面をレベル
コントロールすることにより、ポンプPで系外に取り出
す。
【0060】この回収器17で凝縮しなかった排気ガス
には、ベンゼンベーパーが残存するので、その全量を、
リターンガス送気管19を介して、再度廃棄ガス送気管
11に戻し、廃棄ガスと一緒にして吸着処理を行う。こ
のように、冷却処理後のパージ排ガスには、高濃度の残
存ベンゼンが含まれており、この全量を吸着塔に繰り返
し戻すことによって、吸着塔内のベンゼン濃度が益々濃
くなる。そして、前記手段を用いて、この吸着塔内の吸
着剤層が破過する時点を予測して弁(ホ)の切り換え時期
を設定し、脱着操作に自動的に切り換える。
【0061】なお、図1中に示したA〜Jは、運転状況
を把握するために設けた計器の位置を示したものであ
り、一方、(イ)〜(ト)は、運転制御のために設けた弁の
位置を示したものである。また、図2は、図1に示した
フローにおいて、運転状況を把握し制御するための制御
盤20を示したものであり、メモリ21,メモリ(吸着
モデル)23およびCPU(演算)22から構成されてい
るものである。なお、図2において、メモリ21に読み
込ませるデ−タ信号として、吸・脱着切り換え時に必要
なものだけを“X”として挙げた。(その他のデ−タ信
号の読み込みを省略した。)
【0062】本実施例では、前記したように、吸着・脱
着の切り換えを吸着塔が破過する前にデータロガ信号で
検知して行うため、ガス状炭化水素が希薄な場合は、そ
の濃度を吸着塔で数倍に濃縮することができ、且つ吸着
剤層の発熱を除去する冷却手段を工夫したことにより
(前掲の図3参照)、局部加熱が避けられており、運転期
間中の吸着剤層の温度はほぼ常温であつた。また、排出
管12から大気中に放出されるガス中のベンゼン濃度
は、実質的に20ppm以下であつた。
【0063】以上、本発明の実施例として、前掲の図3
に示した2重円筒の吸着塔1a,1bを用いたが、本発
明は、このような2重円筒に限定されるものではなく、
例えば吸着剤を内筒に充填し、その外側に吸着剤層を冷
却するための水を循環するようにした二重円筒、また
は、多重円筒型の吸着塔を用いることもできる。その他
の要件についても、本発明は、上記実施例に限定される
ものではなく、前記した本発明の要旨の範囲内で種々の
態様が可能である。
【0064】
【発明の効果】本発明は、以上詳記したとおり、 ・冷却処理後の未凝縮炭化水素を含むパージ排ガスの全
量を、廃棄ガスを通過せしめる吸着装置に戻し、該吸着
剤層内の炭化水素濃度を高め(第1の特徴点)、 ・この吸着剤層が破過する前に脱着に切り換える(第2
の特徴点)、ことを特徴とし、これによって、廃棄ガス
から安全に、しかも容易に、かつ効率よく炭化水素を液
状で回収すると共に、処理後に、大気中に放出するガス
中の残存炭化水素濃度を100ppm以下、特に「20pp
m以下」にすることができる。
【0065】従って、本発明によれば、大気汚染物質で
あるガス状炭化水素の除去処理において、大気汚染防止
法の改正で定められた(平成9年2月6日に官報告示)ベン
ゼン濃度の排出基準「30ppm以下」を完全にクリヤ
ーできるのみならず、更にこの数値が半分以下の厳しさ
になつても充分対応できるものである。また、本発明
は、本発明に係る方法を装置化する際、システムを一体
化してスキツドに載せられるように、可搬可能なように
成し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である希薄なガス状炭化水素
を含む廃棄ガスの処理・回収方法のフローシートを示す
図である。
【図2】図1に示すフローシートにおける「運転状況を
把握し制御するための制御盤」を示す図である。
【図3】図1に示すフローシートにおいて使用した吸着
塔の構造の一例を示す縦断面図である。
【図4】「活性炭の水分吸着等温線」を示す図である。
【符号の説明】
1a,1b 吸着塔 2a,2b 外筒 3a,3b 吸着剤層 3-1a,3-1b 活性炭 3-2a,3-2b Y型合成ゼオライト 4a,4b 内筒 5 冷却水 10 廃棄ガス発生源 11 廃棄ガス送気管 12 排出管 13 パージ用ガス送気管 14 完全ドライ型真空ポンプ 15 パージ排ガス送気管 16 気液分離器 16a 冷却水用蛇管 17 回収器 18 ベンゼン送液管 19 リターンガス送気管 20 制御盤 21 メモリ 22 CPU(演算) 23 メモリ(吸着モデル)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C10G 5/02 B01D 53/34

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 吸着と脱着を交互に行う“吸着剤層を有
    する吸着装置”を用い、一方の側の吸着装置にガス状炭
    化水素を含む廃棄ガスを通過せしめ、該吸着装置内の吸
    着剤層にガス状炭化水素を吸着させ、実質的にガス状炭
    化水素を含まない廃棄ガスを大気中に放出し、その間
    に、他方の側の吸着装置を脱着に切り換え、該吸着装置
    内の吸着剤層に吸着したガス状炭化水素を、パージガス
    を併用しながら、真空ポンプで吸引して離脱せしめ、こ
    の離脱したパージ排ガスを冷却処理し、ガス状炭化水素
    を液体として回収する方法において、前記冷却処理後の
    未凝縮炭化水素を含むパージ排ガスの全量を、前記廃棄
    ガスを通過せしめる吸着装置に戻し、該吸着剤層内の炭
    化水素濃度を高め、この吸着剤層が破過する前に脱着に
    切り換えることを特徴とするガス状炭化水素を含む廃棄
    ガスから炭化水素を液状で回収する方法。
  2. 【請求項2】 前記“吸着剤層を有する吸着装置”が、
    該吸着剤層の頂部に合成ゼオライト層を配することを特
    徴とする請求項1に記載のガス状炭化水素を含む廃棄ガ
    スから炭化水素を液状で回収する方法。
  3. 【請求項3】 前記吸着剤層が破過する前に脱着に切り
    換える手段として、前記吸着剤層内の頂部に温度検知ポ
    ートを配設し、該温度検知ポートからの温度がその上昇
    を停止した時点をもって、自動的に電磁弁を切り換える
    ことを特徴とする請求項1に記載のガス状炭化水素を含
    む廃棄ガスから炭化水素を液状で回収する方法。
  4. 【請求項4】 前記吸着剤層の頂部が、合成ゼオライト
    層であることを特徴とする請求項3に記載のガス状炭化
    水素を含む廃棄ガスから炭化水素を液状で回収する方
    法。
  5. 【請求項5】 前記吸着剤層が破過する前に脱着に切り
    換える手段として、吸着運転時に得られる吸着装置の
    「入口のガス流量」,「入口ガス中の炭化水素濃度」及
    び「出口ガス中の所望の炭化水素濃度(仮定値)」を数値
    データとしてチップに読み込ませ、該チップ内に組み込
    んだシミュレーションモデルを用いて切り換え時間を予
    め設定することを特徴とする請求項1に記載のガス状炭
    化水素を含む廃棄ガスから炭化水素を液状で回収する方
    法。
  6. 【請求項6】 前記ガス状炭化水素を液体として回収し
    た液化炭化水素を、パージ排ガスの冷却器に還流させ、
    パージ排ガス中の未凝縮ガスと接触させることを特徴と
    する請求項1に記載のガス状炭化水素を含む廃棄ガスか
    ら炭化水素を液状で回収する方法。
  7. 【請求項7】 前記廃棄ガス中に液体炭化水素を滴下、
    ないしは、噴霧し、廃棄ガス中の炭化水素濃度を濃くせ
    しめると共に、前記吸着剤層を炭化水素でプレコートす
    ることを特徴とする請求項1に記載のガス状炭化水素を
    含む廃棄ガスから炭化水素を液状で回収する方法。
  8. 【請求項8】 前記廃棄ガスが、3000ppm以下の希薄
    なガス状炭化水素を含む廃棄ガスであることを特徴とす
    る請求項1〜7のいずれかに記載のガス状炭化水素を含
    む廃棄ガスから炭化水素を液状で回収する方法。
  9. 【請求項9】 前記吸着装置から大気に排出されるクリ
    ーンなガス中の炭化水素濃度を100ppm以下にするこ
    とを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のガス状
    炭化水素を含 む廃棄ガスから炭化水素を液状で回収す
    る方法。
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