JP2920129B1 - 油脂分解能を有する微生物 - Google Patents

油脂分解能を有する微生物

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  • Purification Treatments By Anaerobic Or Anaerobic And Aerobic Bacteria Or Animals (AREA)
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Abstract

【要約】 【課題】油脂分解能を有する新種の細菌と、該細菌を用
いた油脂の分解処理方法を提供すること。 【解決手段】米糠に由来するアシネトバクター(Acineto
bacter))属の新種、即ち、アシネトバクターYU−1(A
cinetobacter sp. YU-1)が提供される。この菌は油脂分
解酵素(リパーゼ)活性を有する。そのリパーゼは菌体
内酵素であり、酵素活性の安定性が高い。この菌を食肉
加工工場で使用したところ、牛油脂効率よく分解し、排
水溝の汚れを除去できる等の効果が確認された。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は米糠から単離された
新規微生物に関し、特に、油脂分解能を有する新種の細
菌種に関する。
【0002】
【従来の技術】昨今、環境保護に対する関心が高まる中
で、種々の環境汚染物質を抑制するための技術が開発さ
れている。食品工場および家庭から排出される油脂もま
た、河川、湖沼および海洋を汚染する原因の一つであ
り、その抑制が望まれている。
【0003】このような環境保護の観点に沿った油脂の
廃棄技術としては、従来、固化剤を用いて油脂を固め、
通常の固形ゴミと同様の焼却処理を行う技術が知られて
いる。しかし、この方法は廃棄コストが嵩む問題があ
り、また水と混ざった油脂に対しては適用できない。そ
のため、食品工場等の事業所で実施するのは困難であ
り、また家庭でもそれほど普及していないのが実状であ
る。従って、生物学的または化学的に廃棄油脂を分解
し、低コストで、油脂を環境に適合した排出可能な状態
に処理する技術が求められている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記事情に鑑
みてなされたもので、その目的は、油脂の分解処理に有
用な、米糠由来の油脂分解能を有する新種の細菌を提供
することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】発明者は、米糠について
の研究の途上で、油脂分解能を有する細菌の新種を発見
し、本発明に到達したものである。米糠は従来肥料とし
て用いられており、特に、施肥時の窒素飢餓を防止する
ために、米糠を発酵させた所謂「ボカシ」として使用さ
れている。このボカシから微生物を検出したところ、1
種類の酵母に加えて、1種類のバクテリアが分離検出さ
れた。このバクテリアは、分類学的性質および共通保存
遺伝子(16SrRNA)の塩基配列から、アシネトバク
ター(Acinetobacter))属の細菌と同定された。従来、ア
シネトバクター属の細菌としては一種類のみ(A. calcoa
ceticus)が知られているが、今回同定された菌は、この
従来の種とは異なっていた。従って、今回同定された菌
を新種と認定し、アシネトバクターYU−1(Acinetoba
cter sp. YU-1)と命名した。この菌については、特許手
続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブダペスト条
約に従って、1998年1月12日に、茨城県つくば市
東1丁目1番3号の工業技術院生命工学工業技術研究所
特許微生物寄託センターに寄託された(寄託番号FERM B
P- 6222 )。
【0006】このアシネトバクターYU−1菌は油脂分
解酵素(リパーゼ)活性を有することが分かった。注目
すべき事実として、この菌は周囲に油脂(例えばオリー
ブ油)が存在するときにリパーゼを蓄積する。このこと
は、起源として用いた米糠がアシネトバクターYU−1
に適した環境であることを示している。また、この菌の
培養は、オリーブ油1〜5%含む液体培地を用い、37℃
で48時間行うのが好ましい。もう一つの注目すべき事実
として、微生物リパーゼの多くは菌体外に分泌されるの
に対して、アシネトバクターYU−1菌のリパーゼは菌
体内酵素であり、菌体外に分泌されないことが分かっ
た。このことは、酵素活性の安定性が高いことを意味し
ており、廃水処理等で使用するためには有利である。実
際に、この菌を食肉加工工場で使用したところ、牛油脂
を効率よく分解し、排水溝の汚れを除去できる等の効果
が確認された。
【0007】
【実施例】以下、実施例に従って、本発明を更に詳細に
説明する。 実施例1: アシネトバクターYU−1の単離 米糠94kgとモミガラ6kgを混合し、廃糖蜜を培地
にして乳酸菌および酵母を添加し、温度35〜50℃程
度にまで発酵させ、3日に1度切り返しを行いながら7
日間かけてボカシを調製した。
【0008】このボカシ0.1 gを秤量し、滅菌生理食塩
水(無菌水でも可)1.0 〜2.0 mlに懸濁してよく振
り、4〜5分間静置した後に、上清液を無菌水で10〜10
0 倍に希釈した。次いで、クリーンベンチ内において、
この希釈液50μlを寒天培地(Nutrient ager 、pH6.
8 )に塗布し、37℃の恒温槽内で24〜48時間培養し
た。なお、酵母を単離する場合には、寒天培地としてモ
ルト抽出寒天(Malt extract agar) を用い、培養温度は
30℃とする。
【0009】クリーンベンチ内において、寒天培地に形
成されたコロニーの数をカウントして総菌数を計算し、
コロニーの種類を観察した後、独立コロニーから釣菌し
て寒天培地に移植した。これを、37℃で48時間培養
した後、1種類のバクテリアが単離された。これを、ク
リーンベンチ内においてスラント寒天培地に保存して、
菌種の同定を行った。なお、保存には冷凍保存法(20〜
50%グリセロール、-20 ℃または-80 ℃)または凍結乾
燥法を用いてもよい。
【0010】次に、保存された菌を同定するために、常
法に従って分類学的性質を調べたところ、下記に示すよ
うな結果が得られた。 1.形態 グラム陰性、通性嫌気性、ブドウ糖非発酵性、ペニシリ
ン耐性の短桿菌 2.生化学的性質 酵素産生 カタラーゼ:+ オキシダーゼ:− ウレアーゼ:− β−ガラクトシダーゼ:− 生化学反応 VP反応 :− インドール生成 :− 硫化水素生成:− クエン酸の利用性:+ 硝酸塩還元 :− マロン酸塩利用性:+ 加水分解活性 澱粉 :− カゼイン :− ゼラチン :− トリブチリン:+ オリーブ油:+ オルニチン :− リジン :− アルギニン :− 3.染色体DNAのGC含有量 42.4% 4.16S rRNA塩基配列 公知のアシネトバクター菌であるA. calcoaceticusにつ
いて知られている塩基配列と完全に一致した。
【0011】5.糖の利用性 ・グルコース、マンノース、アラビノース、キシロース
から酸を生成する。
【0012】・マルトース、シュークロース、フルクト
ース、ラムノース、マンニトール、アドニット、イノシ
トール、ソルビトールから酸を生成しない。
【0013】6.生育条件 温度範囲: 20〜30℃、最高52℃(耐熱性あり) pH範囲: 6〜8 上記の性質に加えて、エステラーゼ活性およびリパーゼ
活性を有することが確認された。
【0014】以上の分類学的性質および特性により、こ
の単離された菌はアシネトバクター(Acinetobacter))属
の新種と認定され、アシネトバクターYU−1(Acineto
bacter sp. YU-1)と命名された。この菌については、特
許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブダペス
ト条約に従って、1998年1月12日に、茨城県つく
ば市東1丁目1番3号の工業技術院生命工学工業技術研
究所特許微生物寄託センターに寄託された(寄託番号FE
RM BP- 6222 )。
【0015】なお、この実施例で用いたボカシからは、
アシネトバクターYU−1の外に、1種類の酵母が検出
された。この酵母およびアシネトバクターYU−1のボ
カシ中における存在量は下記の通りである。
【0016】 アシネトバクターYU−1: 7.5 ×103 細胞/g 酵母 : (4±1)×105 細胞/g 実施例2: 培養例 アシネトバクターYU−1を大量培養するために、37
℃の培地1リットルにオリーブ油1%を加え、エアレー
ションを行い、その数分後に実施例1で単離した種菌を
接種した。温度を37℃に保ち、48時間かけて106
〜108 /mlまで培養した。
【0017】実施例3: 水処理用組成物の調製 実施例1で用いたボカシ100 kgに、実施例2で得たア
シネトバクターYU−1の強化培養液15リットルを万
遍なく混合した。これを、水分が12〜13%になるま
で乾燥させて、水処理用組成物を得た。
【0018】実施例4: 使用例 実施例3で得た水処理用組成物1kgを、45℃〜50℃の
お湯30リットルに入れて20〜30分間静置し、これを水処
理用の菌体液として使用した。
【0019】食肉加工場の作業所床を清掃した後に、上
記の菌体液を万遍なく散布した。この作業を1週間続け
たところ、作業所の床、排水溝出口の油分癒着がとれ始
め、排水溝の下面の汚れおよび側面の汚れが浮き上がっ
て除去され始めた。
【0020】上記と同様にして15リットルの菌体液を作
成し、2週間に亘って繰り返し散布したところ、排水溝
の下面の汚れがとれ、側面の汚れは泡状になって取れて
きた。また、グリストラップの手前および排水溝の出口
において、メッシュ網にたまる牛脂の塊が徐々に小さく
なった。この塊は当初1cm角程度の大きさであったが、
泡状に分解されて、2〜3mm角程度にまで小さくなっ
た。
【0021】次に、同様の作業により15リットルの菌体
液を作成し、3週間に亘って毎日繰り返して散布した。
その結果、グリストラップに牛油脂の小さな塊が多く浮
いていたのが、1週間後の段階で殆どなくなり、一部が
泡状に残っているに過ぎなかった。その結果、グリスト
ラップの水も澄んできた。
【0022】更に、同様の作業により15リットルの菌体
液を作成し、これを4週間に亘って毎日散布したとこ
ろ、4週間目には牛油脂が完全に分解し、グリストラッ
プおよび排水溝もきれいになった。
【0023】実施例5: 使用例 肉のスライス、加工肉のパック詰め等を行っている工場
において、本発明の効果を試験した。この工場の排水
は、動物性脂肪がSSの殆どを占めている。また、工場
からの排水は、容量80t程度の地下槽に一旦貯留されて
沈殿処理を施された後、中水が放流される。更に、工場
の外では簡易スクリーン(網)を通された後、水はその
まま農業用水路に流されている。今回の試験前には、槽
の表面に動物性脂肪が厚く浮いており、臭気もかなりひ
どかった。
【0024】実施例4の場合と同じ作業工程で、800 リ
ットルのお湯に20kgだけ溶いて濾過することにより菌
体溶液を調製し、該溶液をマンホールから地下貯留槽に
直接投入した。
【0025】試験開始1日目の午前中に菌体溶液を投入
したが、その日の夕方に槽の中を観察したところ、浮い
ていた油分が溶けており、色は黒っぽかったが水は分離
しており、臭気も殆どなくなっていた。
【0026】菌体液の投入方法を変更し、工場の作業終
了後に工場内の排水溝から投入するようにしたところ、
1週間後には、工場から貯留槽までのパイプの内側にこ
びりついていた油状の汚れが流し落とされ、乾燥した状
態に変わった。更に8ヶ月継続した結果、臭気の著しい
減少が確認された外、濾過層の閉塞が無くなったことに
よりバキュームの回数が減少する等の効果が確認され
た。
【0027】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明は油脂分解
能を有する新規微生物を提供するものであり、この新規
微生物を使用すれば、食品工場からの排水に含まれる油
脂を分解して環境汚染を防止できる等、顕著な効果を得
ることができる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C12R 1:01) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C12N 1/00 - 7/08 C11D 1/00 - 19/00 C02F 3/34 C12N 9/00 - 9/99 BIOSIS(DIALOG)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 脂肪分解能を有するアシネトバクター属
    の新規微生物種であるアシネトバクターYU−1(Acin
    etobacter sp. YU-1;寄託番号FERM BP-6222)。
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