JP2910726B2 - 多層プリント配線板およびその製造方法 - Google Patents

多層プリント配線板およびその製造方法

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JP2910726B2
JP2910726B2 JP9105865A JP10586597A JP2910726B2 JP 2910726 B2 JP2910726 B2 JP 2910726B2 JP 9105865 A JP9105865 A JP 9105865A JP 10586597 A JP10586597 A JP 10586597A JP 2910726 B2 JP2910726 B2 JP 2910726B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、多層プリント配線
板およびその製造方法に関する。特に、本発明は、トラ
ンジスタ、集積回路(IC)、大規模集積回路(LS
I)などの回路素子が搭載され、電磁ノイズの制御を必
要とする多層プリント配線板およびその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】トランジスタ、集積回路(IC)、大規
模集積回路(LSI)などの回路素子が搭載された多層
プリント配線板は電磁ノイズを発生するため、その多層
プリント配線板の電磁ノイズが、多層プリント配線板を
有する電子機器自身、あるいは他の電子機器の誤動作を
引き起こすという問題があることがよく知られている。
【0003】しかしながら従来では、電磁ノイズの発生
機構が複雑なため、プリント配線板を有する電子機器全
体を金属筺体で囲って電磁遮蔽する方法や、高周波の電
源電流発生源の近傍にデカップリングコンデンサを並列
に接続する方法、および、放射ノイズを低減する方法と
してフェライトビーズを電子部品のリード部分に装着す
る方法が電磁ノイズの対策として採られていた。ところ
が、電子機器の小型化に伴い、フェライトビーズと同等
の効果をもった磁性体をプリント配線板内に埋め込むこ
とで放射ノイズを低減する方法が提案されている。例え
ば特開平3−273699号公報には、高周波成分を含
むクロック信号から放射される高周波ノイズの低減を目
的としてプリント配線板の内部に、磁性体の層となるフ
ェライト薄板を形成する方法が用いられている。
【0004】図8および9は、従来の技術による多層プ
リント配線板の断面図である。
【0005】図8における多層プリント配線板は、シー
ト状の絶縁材料105の両面に銅などの回路パターン1
11が形成された2枚の基板と、その2枚の基板の間に
挟まれるフェライト薄板の磁性体層106とを有してい
る。すなわち、多層プリント配線板は、回路パターン1
11が形成された4つのパターン層を有しており、回路
パターン111の電気回路からのノイズ放射を減衰させ
るために、多層プリント配線板の内部に電磁遮蔽層とし
ての磁性体層106が備えられている。多層プリント配
線板の表層に形成された回路パターン111には、IC
113が接続されている。
【0006】また、多層プリント配線板には、多層プリ
ント配線板の一面から他面に貫通するスルーホール10
7が形成され、スルーホール107内部の壁面および、
スルーホール107の両端の開口部の周囲に形成された
導電体112によって、各パターン層の回路パターン1
11が電気的に接続されている。以下の説明で用いられ
るスルーホールは全て、内部の壁面に導体のめっきが施
された孔である。
【0007】図9における多層プリント配線基板では、
図8に示したものと比較して、電磁遮蔽層である磁性体
層206が、回路パターン211の間でなく、シート状
の絶縁材料205の間に挟まれていることが異なってい
る。この多層プリント配線基板では、3枚の絶縁材料2
05が用いられることによって、回路パターン211が
形成された3つのパターン層と、1つの磁性体層206
とを有する多層プリント配線板が構成されている。な
お、磁性体206は絶縁材料205の一面に対して、磁
性材料を印刷して定着させる方法、めっき法によって形
成する方法、あるいは、メタルテープのように磁性材料
を蒸着する方法などのプロセスを施すことにより形成さ
れる。
【0008】この多層プリント配線板でも、多層プリン
ト配線板の一面から他面に貫通するスルーホール207
が形成され、スルーホール207内部の壁面および、ス
ルーホール207の両端の開口部の周囲に形成された導
電体212によって、各パターン層の回路パターン21
1が電気的に接続されている。
【0009】また、多層プリント配線板の内部に磁性体
を形成する方法としては、ペースト状の磁性体を、ノイ
ズの発生源となる電源層などの表面に直接印刷して塗布
する方法が一般的になっている。次では、ペースト状の
磁性体を印刷で塗布する、従来の多層プリント配線板の
製造方法について説明する。従来の多層プリント配線板
は、図10に示される図(a)から図(d)の工程を経
て製造される。
【0010】まず、図10の(a)において、多層プリ
ント配線板の内層回路をサブトラクティブ法により形成
するために、板状の内層コア材料314の両面に導体層
310aを形成する。
【0011】次に、図10の(b)において、導体層3
10aの不要な部分を除去することにより、内層コア材
料314の両面に内層回路パターン311aを形成す
る。
【0012】次に、図10の(c)において、内層回路
パターン311a表面の、電磁ノイズの遮蔽が必要な部
分や、その部分の周囲に、電磁遮蔽層となるペースト状
の磁性体306を印刷により塗布する。
【0013】次に、図10の(d)において、一面に内
層回路パターン311bが形成され、他面に、外層回路
パターンを形成するための導体層310が形成された2
枚の絶縁板311を、絶縁板311の内層回路パターン
311b側の面を内層コア材料314に向けて、絶縁層
となる絶縁材料305を介して内層コア材料314の両
面に接合する。
【0014】その後、積層された多層プリント配線板に
孔をあけ、孔内部の壁面に、一般の基板と同様の工法で
めっきを行いスルーホールを形成する。次に、多層プリ
ント配線板の両面に形成されていた導体層310の不要
な部分を除去して外層回路パターンを形成する。そし
て、仕上げ、外形加工を行うことによって多層プリント
配線板が製造される。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、電子機
器全体を金属筺体に収納することにより電磁遮蔽を行う
方法では、電子機器の操作部などを設ける必要上、金属
筺体に開口部を設けなければならないため、電磁ノイズ
の外部への漏れを完全に防止することが困難であるとい
う問題点がある。
【0016】また、電磁ノイズの発生を防ぐために、プ
リント配線基板の回路設計によって高周波の電源電流を
制御することは、回路の配置が複雑になるにつれて複雑
になり困難である。
【0017】多層プリント配線板に形成された電源層の
表面に、電磁遮蔽層として磁性体層を形成する方法は、
金属筺体を用いる方法や、回路設計で電源電流を制御す
る方法に比べて容易で効果的である。しかし、電磁遮蔽
層が形成された多層プリント配線板では、それぞれの層
の回路を電気的に接続するためのスルーホールを形成す
る際に、以下で説明する問題点が生じる。この問題点
を、図11を参照して説明する。
【0018】図11の(a)は、従来の多層プリント配
線板のスルーホールが形成されていない部分の断面図で
あり、図11の(b)は、(a)で示した多層プリント
配線板の、スルーホールが形成された部分の断面図であ
る。従来の多層プリント配線板では、図11の(a)に
示すように、回路パターンを有するグランド層403お
よび電源層404の間に、電磁遮蔽層である磁性体層4
06と、磁性体層406を挟む2つの絶縁層405とが
積層されている。グランド層403および電源層404
の、磁性体層406と反対側のそれぞれの面には、絶縁
層405を介して信号層402が積層されている。
【0019】このように多層プリント配線板の内層の一
面全体に、電磁遮蔽層である磁性体層406が形成され
ていると、図11の(b)に示すように、多層プリント
配線板にスルーホール407を形成したとき、スルーホ
ール407の内壁に磁性体層406が露出してしまう。
従って、スルーホール407の内壁に銅めっき処理を施
す際に、磁性体露出部分408に銅めっきを行うことに
なる。電磁遮蔽層としての電磁体層が形成されていない
従来の多層プリント配線板と同様に、この多層プリント
配線板をめっき槽内のめっき液に浸して、スルーホール
内部の壁面に銅めっきを施す工法では、めっき液に磁性
体露出部分408から磁性体が溶け出し、めっき液の組
成変化が生じてめっき液の劣化を早めてしまう。また、
従来のめっき処理は、磁性体の特性に適した処理ではな
いために、磁性体層406そのものに悪影響を与えてし
まう。従って、多層プリント配線板の磁性体層に適した
めっき処理を行うためには、新たなめっき処理や装置、
薬品などが必要となり、コストが増加してしまう。
【0020】また、上述のように、電磁遮蔽層の一面全
体に同じ厚みで同じ材質の磁性体層406が形成される
と、電磁遮蔽層内の透磁率の分布が一様になってしま
う。これでは、回路パターンを構成する配線のうち特定
の配線に対して、磁性体で最適なインダクタンスを調整
することができなくなる。
【0021】さらに、回路パターンに対応して備えられ
た電磁遮蔽層の磁性体の磁化容易軸(磁性体における結
晶軸の、磁化されやすい軸)を、その回路パターンに流
れる電流から発生する磁界の向きと平行な方向に合わせ
ることにより、磁性体に、回路パターンのインダクタン
スを効率よく増加させる効果を持たせることができる。
ところが、実際の回路パターンでは、配線が様々な方向
に走っているため電流が基板上を様々な方向に流れてい
る。従って、電磁遮蔽層の一面全体に磁性体が形成され
た多層プリント配線板では、回路パターンを多方向に流
れる電流に合わせて磁性体の磁化容易軸を揃えることが
困難である。この場合、回路パターンの配線のインダク
タンスを変えるには、配線の長さを変えることか、配線
パターンの形状を変えることによるしかない。
【0022】また、従来の電磁遮蔽層の形成方法として
は、従来の技術で説明したように、電磁遮蔽効果のある
金属などから成る磁性体を含むペーストを、例えば、ノ
イズの発生源となる電源層の表面に直接印刷することが
一般的となっている。ところが、磁性体を含むペースト
を印刷することにより電磁遮蔽層を形成する方法では、
電磁遮蔽層の厚みを制御することが難しく、形成された
電磁遮蔽層の厚みにばらつきが生じてしまうという問題
点がある。また、電磁遮蔽層の表面に、例えば絶縁層な
どを積層する場合、磁性体が流動してしまい、電磁遮蔽
層の形状が変化してしまうという問題点がある。電磁遮
蔽層に、厚みのばらつきや、形状の変化が生じると、電
磁遮蔽層の、放射ノイズの発生を抑制する効果が充分に
発揮できなくなる。さらに、このような電磁遮蔽層の形
成方法では、電磁遮蔽層の表面に積層される絶縁層と、
電磁遮蔽層との密着性が不十分であるという問題点が生
じてしまう。
【0023】本発明の目的は、上述した従来技術の問題
点に鑑み、電磁ノイズの発生を低減する目的として、磁
性体からなる電磁遮蔽層が内層に形成された多層プリン
ト配線板において、多層プリント配線板を構成する複数
のパターン層を電気的に接続するために、スルーホール
の内壁にめっき処理を施す際、電磁遮蔽層の磁性体がめ
っき液に溶出したりせず、めっき液の劣化が少ない多層
プリント配線板を提供することにある。
【0024】また、上記に加え、電磁遮蔽層によって、
回路パターンを構成する配線のうち特定の配線に対して
最適なインダクタンスにコントロールすることができ、
その上、電磁遮蔽層の電磁体が、配線のインダクタンス
を効率よく増加させる効果を有する多層プリント配線板
を提供することにある。
【0025】さらに、上記に加え、スルーホールの内壁
にめっき処理を施す際に、電磁遮蔽層の磁性体がめっき
液に溶出したりせず、めっき液の劣化が少ない多層プリ
ント配線板の製造方法を提供することにある。
【0026】さらに、上記に加え、前記電磁遮蔽層を形
成する際に、電磁遮蔽層に厚みのばらつきや、形状の変
化が生じず、電磁遮蔽層の、配線へのインダクタンス効
果が損なわれなく、その上、電磁遮蔽層と、電磁遮蔽層
の表面に形成される絶縁層などとの密着性がよい多層プ
リント配線板の製造方法を提供することにある。
【0027】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明は、回路パターンを有し、絶縁層を介して積層
された複数のパターン層と、前記複数のパターン層のう
ち所望のパターン層の一面または両面に、絶縁層を介し
てまたは直接形成された電磁遮蔽層と、少なくとも前記
電磁遮蔽層を貫通し、前記複数のパターン層のうち任意
のパターン層の回路パターンと電気的に接続されている
スルーホールとを有する多層プリント配線板において、
前記電磁遮蔽層の厚みのばらつきを低減して、前記電磁
遮蔽層に積層される絶縁層と前記電磁遮蔽層との密着性
を向上するために、前記電磁遮蔽層は、針状粉末の磁性
体が混合された液状の絶縁材料を固化してなるシート状
の絶縁材料であり、前記絶縁材料の内部に前記針状粉末
の磁性体の高密度部分と、前記針状粉末の磁性体が存在
しない部分とが形成されることにより前記電磁遮蔽層に
磁性体部分と絶縁体部分とが形成され、かつ、前記電磁
遮蔽層の、前記スルーホールが貫通した部分は前記絶縁
体部分であることを特徴とする。
【0028】また、前記磁性体部分は前記電磁遮蔽層内
で部分的に形成され、前記磁性体部分の各々は、磁性体
部分ごとに異なる透磁率を有していることが好ましい。
【0029】さらに、前記磁性体部分の磁化容易軸は、
前記所望のパターン層における回路パターンの、前記磁
性体部分に対応する部分から発生する磁界の向きと略平
行となっていることが好ましい。
【0030】
【0031】また、本発明は、回路パターンを有する、
絶縁層を介して積層された複数のパターン層のうち所望
のパターン層の一面または両面に絶縁層を介してまたは
直接、電磁遮蔽層が形成された多層プリント配線板の製
造方法であって、液状の絶縁材料に針状粉末の磁性体を
混合する工程と、前記針状粉末の磁性体が混合された前
記液状の絶縁材料の特定の部分に磁界を与えて前記液状
の絶縁材料に前記針状の磁性体の高密度部分が形成され
た状態で前記液状の絶縁材料を固化することにより、前
記針状の磁性体の高密度部分である磁性体部分、および
前記針状の磁性体が存在しない部分である絶縁体部分を
有する前記電磁遮蔽層を形成する工程と、前記所望のパ
ターン層の一面または両面に絶縁層を介してまたは直
接、前記電磁遮蔽層を重ね、絶縁層を介して前記複数の
パターン層を積層する工程と、前記電磁遮蔽層の前記絶
縁体部分を貫通し、前記複数のパターン層のうち任意の
パターン層の回路パターンと電気的に接続するスルーホ
ールを形成する工程とを有する。
【0032】
【0033】さらに、前記針状の磁性体の材質としてフ
ェライトを用いることが好ましい。
【0034】上記のとおりの発明では、複数のパターン
層が絶縁層を介して積層され、前記複数のパターン層の
うち所望のパターン層の一面または両面に電磁遮蔽層が
絶縁層を介してまたは直接形成され、前記複数のパター
ン層のうち任意のパターン層の回路パターンと電気的に
接続しているスルーホールが少なくとも前記電磁遮蔽層
を貫通している多層プリント配線板において、前記電磁
遮蔽層は磁性体部分と絶縁体部分とで構成され、前記電
磁遮蔽層の、前記スルーホールが貫通した部分が、前記
絶縁体部分である。このことにより、任意のパターン層
の回路パターンと電気的に接続されるスルーホールを形
成するために、多層プリント配線板にあけられた孔の内
壁に磁性体が露出することがない。従って、スルーホー
ルの内壁に銅などの導電体のめっき処理を施す際に、多
層プリント配線板をめっき槽内のめっき液に浸しても、
スルーホールの内壁に磁性体が露出していないので、多
層プリント配線板内層の磁性体がめっき液に溶出するこ
とを防ぐことができる。その結果、めっき液への磁性体
の溶出による、めっき液の劣化をなくすことができる。
また、スルーホールの内壁に露出した磁性体に適しため
っき処理を施すために、特別な処理や装置、薬品などが
必要になることがない。
【0035】また、前記磁性体部分は前記電磁遮蔽層内
で部分的に形成され、前記磁性体部分の各々が磁性体部
分ごとに異なる透磁率を有したことにより、前記所望の
パターン層に形成された回路パターンの任意の配線のイ
ンダクタンスを磁性体部分の透磁率によって調整するこ
とができる。
【0036】さらに、前記磁性体部分の磁化容易軸が、
前記所望のパターン層における回路パターンの、前記磁
性体部分に対応する部分から発生する磁界の向きと略平
行となったことにより、前記磁性体部分が、前記回路パ
ターンの、磁性体部分に対応する部分に対して効率よく
インダクタンスを増加させることができる。
【0037】さらに、前記電磁遮蔽層は、針状粉末の磁
性体が混合された液状の絶縁体を固化してなるシート状
の絶縁材料であり、該絶縁材料の内部に前記針状粉末の
磁性体の高密度部分と、前記針状粉末の磁性体が存在し
ない部分とが形成されることにより前記電磁遮蔽層に磁
性体部分と絶縁体部分とが形成された。このことによ
り、従来のように電磁遮蔽層を形成するために磁性体の
ペーストを印刷する方法と異なって、電磁遮蔽層の厚み
にばらつきが生じず、電磁遮蔽層と絶縁層との密着性も
向上する。
【0038】また本発明では、上記構成の多層プリント
配線板の製造方法において、前記電磁遮蔽層に磁性体部
分と絶縁体部分とを形成し、前記電磁遮蔽層の、前記ス
ルーホールが貫通する部分を前記絶縁体部分にしたこと
により、スルーホールを形成するために多層プリント配
線板にあけられた孔の内壁に磁性体が露出することがな
い。その結果、孔の内壁にめっき処理を施す際に、前述
したことと同様に、めっき液への磁性体の溶出による、
めっき液の劣化をなくすことができる。また、スルーホ
ールの内壁に露出した磁性体に適しためっき処理を施す
ために、特別な処理や装置、薬品などが必要になること
もない。
【0039】さらに、上記の多層プリント配線板の製造
方法において、前記電磁遮蔽層は、液状の絶縁材料に針
状粉末の磁性体を混合し、前記液状の絶縁材料の所望の
位置に磁界を与えて前記針状の磁性体の高密度部分が形
成された状態で前記液状の絶縁材料を固化してなるシー
ト状の絶縁材料とした。このような電磁遮蔽層の製造方
法では、針状粉末の磁性体を混合した液状の絶縁材料に
複数の磁界を与えることにより、電磁遮蔽層内に複数の
磁性体部分を容易に形成することができる。また、磁界
を与えることで針状の磁性体の磁極を整列させることが
できるので、形成された磁性体部分の、回路パターンへ
のインダクタンス効果が高くなる。さらに、前述したよ
うに、電磁遮蔽層の厚みにばらつきが生じず、電磁遮蔽
層と絶縁層との密着性も向上する。
【0040】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して説明する。
【0041】(第1の実施の形態)図1は、本発明の多
層プリント配線板の第1の実施形態を示す断面図であ
る。図1の(a)が、多層プリント配線板の、スルーホ
ールが形成されていない部分の断面図であり、図1の
(b)が、多層プリント配線板の、スルーホールが形成
されている部分の断面図である。本実施形態の多層プリ
ント配線板の内層には、図1の(a)および(b)に示
すように、回路パターンを有するパターン層であるグラ
ンド層3および電源層4が形成されている。グランド層
3と電源層4との間には、電磁遮蔽層1と、電磁遮蔽層
1を挟む2つの絶縁層となる絶縁体部分5とが形成され
ている。電磁遮蔽層1には、磁性体部分である磁性体6
と、絶縁体部分5とが形成されている。グランド層3お
よび電源層4の、電磁遮蔽層1側と反対側の面には、絶
縁層となる絶縁体部分5を介して、回路パターンを有す
るパターン層である信号層2が形成されている。
【0042】このような多層プリント配線板の具体的な
構造としては、回路パターンが形成されたコア材料(不
図示)が、絶縁材料(不図示)を介して接合されてい
る。多層プリント配線板の内部に磁性体6が形成された
ことによって、多層プリント配線板からの電磁ノイズの
発生が低減されている。
【0043】また、図1の(b)に示すように、本実施
形態の多層プリント配線板には、多層プリント配線板の
一面から他面に貫通するスルーホール7が形成されてい
て、スルーホール7内部の壁面全体に形成された導電体
12により任意のパターン層の回路パターンが電気的に
接続される。電磁遮蔽層1の、スルーホール7が貫通し
た部分は、絶縁体部分5となっている。
【0044】このように、電磁遮蔽層1では、スルーホ
ール7が貫通する部分に絶縁体部分5を形成することに
よって、スルーホール7を形成するためにあけた孔の内
壁に磁性体6が露出することを防ぐことができる。従っ
て、スルーホール7の内壁に導電体12を銅めっきの処
理により形成する際に、多層プリント配線板をめっき液
に浸しても磁性体6がめっき槽に溶け出すことがない。
その結果、磁性体6がめっき液に溶出することによる、
めっき液の劣化がなくなる。また、銅めっき処理をする
際に、磁性体6の特性に合わせた特殊な工程や薬品を必
要とせず、通常の多層プリント配線板と同様な銅めっき
処理を行うことができる。
【0045】(第2の実施の形態)図2は、本発明の多
層プリント配線板の第2の実施形態を示す上面図および
断面図である。図2の(a)が多層プリント配線板の上
面図であり、図2の(b)が(a)のA−A’線断面図
である。
【0046】本実施形態の多層プリント配線板では、図
2の(a)および(b)に示すように、多層プリント配
線板の内層における、多層プリント配線板の縁部に低イ
ンピーダンス電源配線9が形成されている。低インピー
ダンス電源配線9と同じ層には、一端が低インピーダン
ス電源配線9と電気的に接続した、高インピーダンス電
源配線10aおよび10bが形成されている。高インピ
ーダンス電源配線10aおよび10bの他端はそれぞ
れ、多層プリント配線板の一面から他面に貫通している
スルーホール27aおよび27b内壁に形成された、そ
れぞれの導電体(不図示)に接続している。低インピー
ダンス電源配線9や、高インピーダンス電源配線10a
および10bを含む回路パターンが1つのパターン層を
構成していて、このパターン層と異なるパターン層が、
図2では示されていないが、絶縁層を介して積層されて
いる。
【0047】スルーホール27aおよび27bは、多層
プリント配線板の一面から他面に貫通していて、それぞ
れのスルーホールの内壁に形成された導電体によって高
インピーダンス電源配線10aおよび10bが他のパタ
ーン層の回路パターンに接続される。
【0048】また、高インピーダンス電源配線10aお
よび10bを有するパターン層の一面には、絶縁層とな
る絶縁体部分25を介して、磁性体26aおよび26b
を有する電磁遮蔽層21が形成されている。磁性体26
aは、電磁遮蔽層21の、高インピーダンス電源は緯線
10aに対応する部分に形成され、高インピーダンス電
源配線10aの形状に応じて矩形の形状をしている。磁
性体26bは、電磁遮蔽層21の、高インピーダンス電
源配線10bに対応する部分に形成され、高インピーダ
ンス電源配線10bの形状に応じて円形の形状をしてい
る。この磁性体26bの中央部である、スルーホール2
7bが貫通する部分には、円形の絶縁体部分25が形成
されている。また、電磁遮蔽層21の、磁性体26aお
よび26b以外の部分も絶縁体部分25となっている。
従って、電磁遮蔽層21は、磁性体26aおよび26b
の磁性体部分と、絶縁体部分25とを有していて、電磁
遮蔽層21の、スルーホール27aおよび27bが貫通
する部分は絶縁体部分25となっている。
【0049】このような多層プリント配線板では、高イ
ンピーダンス電源配線10aに、図2の(a)で示され
る電流Iが流れると、磁性体26aに、図2の(b)で
示される磁界Bが発生する。このことより、高インピー
ダンス電源配線10aに流れる電流の向きから、磁性体
26aに発生する磁界の向きが分かる。従って、高イン
ピーダンス電源配線10aを電流Iが流れることによっ
て発生する磁界の向きと、磁性体26aの磁化容易軸と
を平行にすることによって、高インピーダンス電源配線
10aのインダクタンス成分を効率よく増加させること
ができる。このとき、低インピーダンス電源配線9で
は、インダクタンスが高インピーダンス電源配線10a
よりも低くなる。高インピーダンス電源配線10bで
も、磁性体26bが備えられたことにより、インダクタ
ンス成分が増加されている。
【0050】なお、図2の(b)で示した一点鎖線で囲
まれる高インピーダンス電源配線10aは銅箔であり、
この銅箔の配線は、電源層のみでなく、信号層またはグ
ランド層のいずれの層にも適用できる。次では、本実施
形態の多層プリント配線板の製造方法を説明するにあた
り、電磁遮蔽層21の製造方法を、図3を参照して説明
する。
【0051】図3は、図2の(b)に示した電磁遮蔽層
21の製造方法を説明するための図である。電磁遮蔽層
21は、図3に示される図(a)から図(d)の工程を
経て製造される。
【0052】まず、図3の(a)は、電源層の回路パタ
ーンを有する内層コア材料と、グランド層の回路パター
ンを有する内層コア材料とを接着する絶縁材料のプリプ
レグ25aである。
【0053】次に、図3の(b)において、プリプレグ
25aの、図2の(a)で示した高インピーダンス電源
配線10aに対応する部分に、高インピーダンス電源配
線10aの形状に応じて矩形の型抜きを行う。同様に、
プリプレグ25aの、高インピーダンス電源配線10b
に対応する部分にも、高インピーダンス電源配線10b
の形状に応じて円形の型抜きを行う。
【0054】次に、図3の(c)において、プリプレグ
25aの、図3の(b)で型抜きしたそれぞれの部分に
嵌合する長方形の磁性体26aおよび、円形の磁性体2
6bを形成する。
【0055】次に、図3の(d)において、プリプレグ
25aの、型抜きしたそれぞれの部分に磁性体26aお
よび磁性体26bを嵌合して、電磁遮蔽層21が作製さ
れる。
【0056】このようにして磁性体26aおよび26b
がはめ込まれた電磁遮蔽層21と、図2で示した高イン
ピーダンス電源配線10aおよび10b、並びに低イン
ピーダンス電源配線9を有する内層コア材料(不図示)
とをシート状の絶縁材料(不図示)を介して接合する。
さらに、電磁遮蔽層21および内層コア材料の表面に、
絶縁層、外層導体などを積層する。そして、従来の方法
と同様に、スルーホールを形成するための孔あけを行
い、そのスルーホールの内壁などに銅めっき処理を施し
てから外層導体に外層回路を形成する。その後、仕上げ
と外形加工を行い、図2に示した多層プリント配線板が
製造される。
【0057】上述した多層プリント配線板の製造方法で
は、電磁遮蔽層21に磁性体部分と絶縁体部分とを形成
するので、電磁遮蔽層の、スルーホールが貫通する部分
に絶縁体部分を形成することにより、スルーホールを形
成するためにあけた孔の内壁に磁性体が露出することを
防ぐことができる。磁性体がスルーホール用の孔の内壁
に露出しないので、スルーホール用の孔の内壁に銅めっ
き処理を施す際に、多層プリント配線板をめっき槽内の
めっき液に浸しても磁性体がめっき液に溶出することが
なく、めっき槽内のめっき液が劣化することを抑制する
ことができる。
【0058】本実施形態の多層プリント配線板におい
て、磁性体26aおよび26bはそれぞれ、高インピー
ダンス電源配線10aおよび10bの一方の面に絶縁材
を介して接合されたが、高インピーダンス電源配線10
aおよび10bの他方の面に絶縁材を介して接合されて
いてもよい。また、高インピーダンス電源配線10aお
よび10bの両面に絶縁材を介して磁性体が接合されて
もよい。
【0059】(第3の実施の形態)図4は、本発明の多
層プリント配線板の第3の実施形態を示す上面図および
断面図である。図4の(a)が多層プリント配線板の上
面図であり、図4の(b)が(a)のA−A’線断面図
である。
【0060】本実施形態の多層プリント配線板では、図
4の(a)および(b)に示すように、多層プリント配
線板の内層における、多層プリント配線板の縁部に低イ
ンピーダンス配線29が形成されている。低インピーダ
ンス配線29と同じ層には、配線パターンの長さおよび
形状が同じである、銅箔の高インピーダンス配線30が
3つ並列に形成されている。高インピーダンス配線30
のそれぞれの一端は、低インピーダンス配線30と接続
している。3つの高インピーダンス配線30のそれぞれ
の他端は、各高インピーダンス配線30に対応するスル
ーホール47内壁の導電体32に接続している。低イン
ピーダンス電源配線29および高インピーダンス電源配
線30を含む回路パターンが1つのパターン層を構成し
ていて、このパターン層と異なるパターン層が、図4で
は示されていないが、絶縁層を介して積層されている。
【0061】スルーホール47は、多層プリント配線板
の一面から他面に貫通していて、それぞれのスルーホー
ルの内壁に形成された導電体32によって各高インピー
ダンス電源配線30が他のパターン層の回路パターンに
接続される。
【0062】また、低インピーダンス配線29および高
インピーダンス配線30を有するパターン層の両面に
は、絶縁層となる絶縁体部分45を介して電磁遮蔽層4
1aおよび41bが積層されている。電磁遮蔽層41a
の、それぞれの高インピーダンス配線30に対応する部
分には、高インピーダンス配線30の形状に応じて、磁
性体部分としての矩形の磁性体46a,46b,46c
が形成されている。この磁性体46a,46b,46c
はそれぞれ、異なる透磁率を有している。そして、電磁
遮蔽層41bの、それぞれの高インピーダンス配線30
に対応する部分にも、高インピーダンス配線30の形状
に応じて、磁性体部分としての矩形の磁性体(不図示)
が形成されている。電磁遮蔽層41aおよび41bの、
スルーホール47が貫通する部分は絶縁体部分45であ
る。例えば、図4の(b)に示すように中央の高インピ
ーダンス配線30の両側には、磁性体46bおよび46
dが配置されている。
【0063】従って、電磁遮蔽層41aおよび41bに
は、磁性体部分と絶縁体部分45とが形成されていて、
それぞれの電磁遮蔽層の、スルーホールが貫通する部分
が絶縁体部分46となっている。このことにより、第1
および第2の実施形態と同様に、磁性体がスルーホール
用の孔の内壁に露出しないので、スルーホール用の孔の
内壁に銅めっき処理を施す際に、多層プリント配線板を
めっき槽内のめっき液に浸しても磁性体がめっき液に溶
出することがなく、めっき槽内のめっき液が劣化するこ
とを抑制することができる。
【0064】また上述のように、配線パターンの長さお
よび形状が同じである複数の配線に対しても、電磁遮蔽
層に、異なる透磁率を有する複数の磁性体を部分的に形
成することによって、それぞれの配線に異なったインダ
クタンスの値を持たせることができる。
【0065】次では、図4の(a)で示した中央の高イ
ンピーダンス配線30に流れる電流Iと、図4の(b)
で示した磁性体46bおよび46d内部に発生する、そ
れぞれの磁界BおよびB’との関係を、図5を参照して
説明する。
【0066】図5は、図4で示した多層プリント配線板
の、磁性体46bおよび46dの部分を分解した斜視図
であり、磁性体46bおよび46dと、磁性体46bお
よび46dの間に位置する配線部分とを示している。図
5に示すように、シート状の磁性体46bおよび46d
の間に挟まれた高インピーダンス配線30は、一端が低
インピーダンス配線29と接続し、他端が導電体32と
接続している。高インピーダンス配線30に、低インピ
ーダンス配線29から導電体32に向かって電流Iが流
れると、磁性体46bでは磁界Bが生じ、磁性体46d
では、磁界Bと正反対の向きの磁界B’が生じる。すな
わち図4の(b)において、磁性体46b内部では磁界
Bの向きが図面の手前に向かう方向であり、磁性体46
d内部では磁界B’の向きが図面の奥に向かう方向であ
る。
【0067】本実施形態でも第2の実施形態と同様に、
高インピーダンス配線30に電流が流れることにより発
生する磁界の向きと、磁性体46bおよび46dのそれ
ぞれの磁化容易軸と平行にすることによって、高インピ
ーダンス配線30のインダクタンス成分を効率よく増加
させることができる。
【0068】(第4の実施の形態)本発明の多層プリン
ト配線板の第4の実施形態では、上述した第1〜第3の
実施形態と比較して、多層プリント配線板の製造方法が
異なっていて、特に、電磁遮蔽層の製造方法が異なって
いる。以下では、多層プリント配線板の製造方法を中心
に説明する。
【0069】図6は、本実施形態の多層プリント配線板
の内層で電磁遮蔽層となる、磁性体を有する絶縁樹脂シ
ートの製造方法について説明するための図である。本実
施形態の多層プリント配線板を構成する電磁遮蔽層とし
ての絶縁樹脂シートは、図6に示される図(a)から図
(c)の工程を経て製造される。
【0070】まず、図6の(a)において、絶縁樹脂シ
ートの型となる容器81内で、液状のエポキシ樹脂など
の絶縁材料である液状絶縁樹脂65aに、電磁遮蔽効果
を有するフェライトなどからなる、針状粉末の磁性体6
6aを混合する。このとき、液状絶縁樹脂65a内の磁
性体66aの分布に特別な制限はない。
【0071】次に、図6の(b)において、液状絶縁樹
脂65aの特定の部分に一定の磁界82を与えて、液状
絶縁樹脂65a内に分散した針状の磁性体66aを集
め、磁性体66aの高密度部分を形成する。このとき、
液状絶縁樹脂65a内の磁性体66の高密度部分が、後
に製造される多層プリント配線板において、回路パター
ンの、電磁遮蔽が必要となる部分に対応している。ま
た、液状絶縁樹脂65aに磁界82を与えるときに、針
状の磁性体66aの磁極を所望の方向に整列させる。
【0072】次に、図6の(c)において、液状絶縁樹
脂65a内に磁性体66の高密度部分が形成された状態
で、液状絶縁樹脂65aを硬化して容器81から取り出
し、磁性体66aを有する絶縁樹脂シート83を作製す
る。
【0073】図6の(d)は、図6の(c)で示した絶
縁樹脂シート83の斜視図である。図6の(d)に示す
ように、絶縁樹脂シート83の所望の位置に磁性体66
aの高密度部分が形成されている。次では、絶縁樹脂シ
ート83を用いて多層プリント配線板を製造する方法に
ついて説明する。
【0074】図7は、絶縁樹脂シート83を用いて多層
プリント配線板を製造する方法について説明するための
図である。本実施形態における多層プリント配線板の製
造方法では、図7に示される図(a)から図(d)の工
程を経て多層プリント配線板が製造される。
【0075】まず、図7の(a)において、従来の製造
方法と同様に、内層回路となる回路パターンをサブトラ
クティブ法により形成するために、板状の内層コア材料
74の両面全体に導体層70aを形成する。
【0076】次に、図7の(b)において、それぞれの
導体層70aの不要な部分を除去することにより、内層
コア材料74の両面に内層回路パターン71aを形成す
る。
【0077】次に、図7の(c)において、一面に内層
回路パターン71bが形成され、他面全体に、外層回路
パターンを形成するための導体層70bが形成された2
枚の絶縁板73を、絶縁板73の内層回路パターン71
b側の面を内層コア材料に向けて、前述した絶縁樹脂シ
ート83を介して内層コア材料74の両面に接合する。
このとき、絶縁樹脂シート83内に形成された磁性体6
6aの高密度部分の位置が、内層回路パターン71a
の、電磁ノイズの遮蔽を必要とする部分に重なるように
する。
【0078】次に、図7の(d)において、スルーホー
ル67となる孔をあけ、孔内部の壁面や、孔の開口部の
周囲に銅めっき処理を施して導電体72を形成する。そ
の後、多層プリント配線板の両面に形成されていた導体
層70bの不要な部分を除去して外層回路パターン75
を形成する。外層回路パターン75をソルダーレジスト
76で被覆した後、仕上げ処理を行い、外形加工を行う
ことによって多層プリント配線板が製造される。製造さ
れた多層プリント配線板では絶縁樹脂シート83が電磁
遮蔽層となり、図7の(d)では、図7の(c)に示し
た磁性体66aの高密度部分が電磁遮蔽層内の磁性体部
分66を構成している。
【0079】このような多層プリント配線板の製造方法
では、電磁遮蔽層となる絶縁樹脂シート83に磁性体部
分66と絶縁体部分65とが形成され、絶縁樹脂シート
83の、スルーホール67が貫通した部分が、絶縁体部
分65である。このことにより、スルーホール67とな
る孔をあけたときに孔の内壁に磁性体部分66が露出す
ることがない。従って、スルーホール67の内壁に銅め
っき処理を施して導電体72を形成する際に、銅めっき
処理のめっき液の劣化を抑制することができる。
【0080】さらに、本実施形態の多層プリント配線板
の製造方法において、電磁遮蔽層としての絶縁樹脂シー
ト83は、針状粉末の磁性体66aを混合した液状絶縁
樹脂65aが固化されることによって作製された。液状
絶縁樹脂65aが固化されるときに、液状絶縁樹脂65
aの特定の位置に磁界を与えることにより、絶縁樹脂シ
ート83に、針状の磁性体66aの高密度部分となった
磁性体部分66を形成した。このようにして磁性体部分
66と絶縁体部分65とを有する絶縁樹脂シート83が
作製されたので、従来の技術のように電磁遮蔽層を形成
するために磁性体のペーストを印刷により塗布する工程
を省くことができる。電磁遮蔽層を、磁性体のペースト
を塗布することにより形成した場合、電磁遮蔽層の表面
に絶縁層などを積層するときに、磁性体が流動して変形
することがあるが、本実施形態ではそのようなことがな
い。従って、磁性体部分を電磁遮蔽層の所望の位置に確
実に形成することができ、スルーホールが形成される部
分に磁性体が流動することを防止することができる。
【0081】さらに、絶縁樹脂シート83の内部に磁性
体部分66が形成され、多層プリント配線板が、絶縁樹
脂シート83を用いて積層された構成であるので、従来
のように磁性体層と絶縁体層との密着性が不十分になる
という問題がない。
【0082】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、多層プリ
ント配線板の内層に形成される電磁遮蔽層に、電磁ノイ
ズを遮蔽する効果がある磁性体部分と、絶縁体部分とが
形成され、電磁遮蔽層の、スルーホールが貫通する部分
は、絶縁体部分であることにより、多層プリント配線板
に、スルーホールとしての孔をあけたときに孔内部の壁
面に磁性体が露出することがない。そのため、スルーホ
ールの内壁に銅めっきの処理を施すために多層プリント
配線板をめっき液に浸しても、磁性体がめっき液に溶出
することがなく、めっき液の劣化を抑制することができ
る。さらに、磁性体の表面にめっきを施すために特殊な
工程も必要としないので、電磁遮蔽層を有する多層プリ
ント配線板を低コストで製造できるという効果がある。
【0083】また、前記磁性体部分が電磁遮蔽層内で部
分的に形成され、磁性体部分の各々が磁性体部分ごとに
異なる透磁率を有したことにより、インダクタンスを増
加させたい複数の配線に対して、異なるインダクタンス
効果を与えることができる。従って、電磁遮蔽層内の複
数の磁性体部分によって、複数の配線のインダクタンス
を効率よく増加させることができるという効果がある。
【0084】さらに、前記磁性体部分の磁化容易軸が、
回路パターンの、磁性体部分に対応する部分から発生す
る磁界の向きと平行になっていることによっても、磁性
体部分が、回路パターンの、磁性体に対応する部分に対
して効率よくインダクタンスを増加させることができる
という効果がある。
【0085】さらに、前記電磁遮蔽層が、針状粉末の磁
性体が混合された液状の絶縁材料を固化してなるシート
状の絶縁材料であることにより、電磁遮蔽層の厚みにば
らつきが生じず、電磁遮蔽層と、電磁遮蔽層の表面に積
層される絶縁層との密着性が向上するという効果があ
る。
【0086】また本発明は、電磁遮蔽層を有する多層プ
リント配線板の製造方法において、電磁遮蔽層に磁性体
部分と絶縁体部分とを形成し、電磁遮蔽層の、スルーホ
ールが貫通する部分が絶縁体部分であることにより、上
述したように、スルーホールをあけたときにスルーホー
ルの内壁に磁性体が露出することがない。従って、スル
ーホールの内壁にめっき処理を施す際に、めっき液に磁
性体が溶出せず、めっき液の劣化が抑制される。その結
果、コストが低い多層プリント配線板の製造方法を実現
できるという効果がある。
【0087】さらに、上記の多層プリント配線板の製造
方法において、電磁遮蔽層を形成する際に、液状の絶縁
材料に針状粉末の磁性体を混合し、液状の絶縁材料の所
望の位置に磁界を与えて針状粉末の磁性体の高密度部分
が形成された状態で液状の絶縁材料を固化することによ
り、磁性体部分と絶縁体部分とを有するシート状の絶縁
材料を形成するので、電磁遮蔽層の特定の位置に磁性体
部分を容易に形成することができる。また、針状の磁性
体に磁界を与えるので針状の磁性体の磁極を整列させる
ことができ、磁性体部分が、回路パターンを構成する配
線のインダクタンスを効率よく増加させることができる
という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の多層プリント配線板の第1の実施形態
を示す断面図である。
【図2】本発明の多層プリント配線板の第2の実施形態
を示す上面図および断面図である。
【図3】図2で示した電磁遮蔽層の製造方法について説
明するための図である。
【図4】本発明の多層プリント配線板の第3の実施形態
を示す上面図および断面図である。
【図5】図4で示した多層プリント配線板を部分分解し
た斜視図である。
【図6】本発明の多層プリント配線板を構成する電磁遮
蔽層の、第4の実施形態による製造方法を説明するため
の図である。
【図7】図6で説明した電磁遮蔽層を用いた多層プリン
ト配線板の製造方法を説明するための図である。
【図8】従来の技術による多層プリント配線板を示す断
面図である。
【図9】従来の技術による多層プリント配線板を示す断
面図である。
【図10】従来の技術による多層プリント配線板の製造
方法を説明するための図である。
【図11】従来の技術による多層プリント配線板の問題
点を説明するための断面図である。
【符号の説明】
1、21、41a、41b 電磁遮蔽層 2、402 信号層 3、403 グランド層 4、404 電源層 5、25、45、65 絶縁体部分 6、26a、26b、46a、46b、46c、46
d、66a、306磁性体 7、27a、27b、47、67、107、207、4
07 スルーホール 9 低インピーダンス電源配線 10a、10b 高インピーダンス電源配線 11、111、211 回路パターン 12、32、72、112、212 導電体 25a プリプレグ 29 低インピーダンス配線 30 高インピーダンス配線 65a 液状絶縁樹脂 66 磁性体部分 70a、70b、310a、310b 導体層 71a、71b、111、211、311a、311b
内層回路パターン 73、313 絶縁板 74、314 内層コア材料 75 外層回路パターン 76 ソルダーレジスト 81 容器 82 磁界 83 絶縁樹脂シート 105、205、305 絶縁材料 106、206、406 磁性体層 113 IC 405 絶縁層 408 磁性体露出部分
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 冥加 修 東京都港区芝五丁目7番1号 日本電気 株式会社内 (72)発明者 金子 俊之 東京都港区芝五丁目7番1号 日本電気 株式会社内 (72)発明者 服部 真由美 東京都港区芝五丁目7番1号 日本電気 株式会社内 (56)参考文献 特開 平5−327271(JP,A) 特開 平3−273699(JP,A) 特開 平8−186378(JP,A) 実開 平4−109596(JP,U) 実開 平3−17700(JP,U) 実開 平2−108400(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H05K 3/46

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回路パターンを有し、絶縁層を介して積
    層された複数のパターン層と、 前記複数のパターン層のうち所望のパターン層の一面ま
    たは両面に、絶縁層を介してまたは直接形成された電磁
    遮蔽層と、 少なくとも前記電磁遮蔽層を貫通し、前記複数のパター
    ン層のうち任意のパターン層の回路パターンと電気的に
    接続されているスルーホールとを有する多層プリント配
    線板において、 前記電磁遮蔽層の厚みのばらつきを低減して、前記電磁
    遮蔽層に積層される絶縁層と前記電磁遮蔽層との密着性
    を向上するために、前記電磁遮蔽層は、針状粉末の磁性
    体が混合された液状の絶縁材料を固化してなるシート状
    の絶縁材料であり、 前記絶縁材料の内部に前記針状粉末の磁性体の高密度部
    分と、前記針状粉末の磁性体が存在しない部分とが形成
    されることにより前記電磁遮蔽層に磁性体部分と絶縁体
    部分とが形成され、かつ、前記電磁遮蔽層の、前記スル
    ーホールが貫通した部分は前記絶縁体部分であることを
    特徴とする多層プリント配線板。
  2. 【請求項2】 前記磁性体部分は前記電磁遮蔽層内で部
    分的に形成され、前記磁性体部分の各々は、磁性体部分
    ごとに異なる透磁率を有している請求項1に記載の多層
    プリント配線板。
  3. 【請求項3】 前記磁性体部分の磁化容易軸は、前記所
    望のパターン層における回路パターンの、前記磁性体部
    分に対応する部分から発生する磁界の向きと略平行とな
    っている請求項1または2に記載の多層プリント配線
    板。
  4. 【請求項4】 前記磁性体の材質はフェライトである請
    求項1〜3のいずれか1項に記載の多層プリント配線
    板。
  5. 【請求項5】 回路パターンを有する、絶縁層を介して
    積層された複数のパターン層のうち所望のパターン層の
    一面または両面に絶縁層を介してまたは直接、電磁遮蔽
    層が形成された多層プリント配線板の製造方法であっ
    て、 液状の絶縁材料に針状粉末の磁性体を混合する工程と、 前記針状粉末の磁性体が混合された前記液状の絶縁材料
    の特定の部分に磁界を与えて前記液状の絶縁材料に前記
    針状の磁性体の高密度部分が形成された状態で前記液状
    の絶縁材料を固化することにより、前記針状の磁性体の
    高密度部分である磁性体部分、および前記針状の磁性体
    が存在しない部分である絶縁体部分を有する前記電磁遮
    蔽層を形成する工程と、 前記所望のパターン層の一面または両面に絶縁層を介し
    てまたは直接、前記電磁遮蔽層を重ね、絶縁層を介して
    前記複数のパターン層を積層する工程と、 前記電磁遮蔽層の前記絶縁体部分を貫通し、前記複数の
    パターン層のうち任意のパターン層の回路パターンと電
    気的に接続するスルーホールを形成する工程とを有する
    多層プリント配線板の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記針状の磁性体の材質としてフェライ
    トを用いる請求項5に記載の多層プリント配線板の製造
    方法。
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