JP2908472B2 - パイプに接続金具を溶接する自動溶接機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、ストレートな溶接用丸パイプの両端に互い
に方向性を必要とするフランジ，エルボ等の接続金具を
溶接する自動溶接機に関する。

（従来の技術） 従来、任意な長さで、ストレートな溶接用丸パイプに
対し、その両端に互いに方向性を必要とするフランジ，
エルボ等の接続金具を溶接する方法としては、接続金具
相互の円周方向に対する位置関係を割り出した型合せ治
具を使用し、その治具に接続金具をそれぞれ取り付け、
相互の位置を決定してパイプと接続金具の継なぎ部を数
個所仮溶接し、次いで全周を本溶接しており、接続金具
の位置関係の割り出し及び溶接を自動的に行う溶接機は
なかった。

（発明が解決しようとする問題点） この従来の方法による溶接では接続金具相互の方向性
を決める型合せ治具を必要とし、接続金具が異る都度、
それに合せた治具を用意することにより、溶接加工費全
体が嵩むと共に多種類の治具の管理も経費と労力を要
し、且つ、仮付けと本溶接との作業が別々なため作業性
が悪く人的工数が大きい等の問題点があった。

そこで本発明は、前記従来の問題点を除くために、互
いの接続金具の方向性の割り出し、仮溶接、本溶接をす
べて自動的に行い、治具を必要とせず作業性の向上と溶
接加工費の低減を図ることを目的とする。

（問題点を解決するための手段） 上記の目的を達成するために本発明の構成を実施例に
対応する図を用いて説明すると、本発明は長尺な機体
（１）の上部長手方向の一方に金具割り出し機構（21）
を備えた回転駆動用金具クランプ装置（２）と、他方に
長手方向に移動可能な従属回転用金具クランプ装置
（３）とを配置し、それらの内側近くには、面合せ手段
（８），（８′）と、溶接トーチ（６），（６′）とを
互いに直角方向にずらして配装し、更に、前記溶接トー
チ（６），（６′）間にはパイプ支持部材（７），
（７′）を別個に前記機体（１）及び突合せ用移動台
（44）に立設させ、且つ前記回転駆動用金具クランプ装
置（２）及び従属回転用金具クランプ装置（３）には回
転角度を原点復帰させる原点復帰手段（５）を具備した
ものである。

（作 用） 先ず、可動クランプ爪（28），（37）及び固定クラン
プ爪（29），（38）に接続金具（10），（10′）を衡え
た時に、それらの溶接端面間がストレートの溶接用丸パ
イプ（９）よりも適宜に長くなるように、送りサーボモ
ーター（45）でネジ棒（46）を回転駆動させ、そのネジ
棒（46）と歯合する調節用移動台（42）が長レール（4
1）上を移動し調節させる（第６図ａ参照）。次いでフ
ランジ，エルボ等の接続金具（10），（10′）を、開い
た状態の回転駆動用金具クランプ装置（２）及び従属回
転用金具クランプ装置（３）の可動及び固定クランプ爪
（28），（29），（37），（38）内にそれぞれ方向性を
同じくして押入し、クランプ駆動シリンダー（26），
（35）を駆動させると、駆動レバー（25），（34）を介
して押し体（24），（33）が押し出され、そのテーパー
部によって可動クランプ爪（28），（37）が閉じて接続
金具（10），（10′）を確実に衡えられる（第６図ｂ参
照）。そしてストレートの溶接用丸パイプ（９）をパイ
プ支持部材（７），（７′）上に置く。次に金具割り出
し機構（21）と接続したシーケンス制御装置に接続金具
（10），（10′）相互に対する必要な方向角度を入力
し、それに伴ってパルスモーター（211）が駆動し、そ
れと伝導された主軸（23）が設定した入力角度に回さ
れ、それに伴って押し体（24），爪保持体（27），可動
クランプ爪（28），固定クランプ爪（29）も回転し、接
続金具（10），（10′）相互間における角度の割り出し
を完了する（第６図ｃ参照）。しかる後に、従属回転用
金具クランプ装置（３）の駆動用シリンダー（48）を駆
動させて、短レール（43）上の突合せ用移動台（44）及
びその上の従属回転用金具クランプ装置（３）を回転駆
動用金具クランプ装置（２）側に押し出し溶接用丸パイ
プ（９）と接続金具（10），（10′）とを突合せる（第
６図ｄ参照）。そして、突合せた位置で面合せ手段
（８），（８′）の駆動シリンダー（81），（81′）を
駆動させ、合せ板（82），（82′）を前後から押し付け
溶接用丸パイプ（９）と接続金具（10），（10′）の穴
中心を合せ溶接トーチ（６），（６′）で接続箇所を最
低２箇所仮溶接する（第６図e,f参照）。そして仮溶接
が終了したら駆動シリンダー（81），（81′）を元に戻
し、合せ板（82），（82′）の押し付けを解除すると共
に原点復帰シリンダー（51）のエアーを抜き無負荷状態
にさせる。そしてパルスモーター（211）を回転駆動さ
せ回転駆動用金具クランプ装置（２）を回転させると、
溶接用丸パイプ（９）と接続金具（10），（10′）とは
仮溶接されているため従属回転用金具クランプ装置
（３）側も回転され、よって溶接用溶接用丸パイプ
（９）及び接続金具（10），（10′）は一体で回転さ
れ、その回転する接続部を溶接トーチ（６），（６′）
で円周全域にわたって本溶接する（第６図ｇ参照）。本
溶接が完了した後に従属回転用金具クランプ装置（３）
側のシリンダー（35）を戻し可動クランプ爪（37）を開
きクランプ状態を解除し、次に伸長した駆動用シリンダ
ー（48）を縮め突合せ用移動台（44）を戻し従属回転用
金具クランプ装置（３）を元の位置に復帰させ、更に、
原点復帰手段（５）が作動し、それは原点復帰シリンダ
ー（51）の戻りにより、主軸（32）が、原点位置検出セ
ンサー（53）と電気的に接続するパルスモーター（21
1）の回転により主軸（23）が、それぞれ始めの原点位
置まで回転され復帰する。尚、これら一連の工程はプロ
グラムされたシーケンス制御装置により自動的に行って
いる。

（実施例） 以下本発明の実施例を図面に基づき説明する。（１）
は長尺な機体であり、（２）は機体（１）の上部長手方
向一方に金具割り出し機構（21）を備えた回転駆動用金
具クランプ装置である。該回転駆動用金具クランプ装置
（２）は、機体（１）の上部に固定した取り付枠（22）
と、該取り付枠（22）に支持された回転自在な主軸（2
3）と、取り付枠（22）から機体（１）内側方向に伸長
した主軸（23）一端に、フェザーキー（231）やスプラ
イン等で軸方向のみ移動可能に嵌合し、先端テーパー状
で中間外周に溝（241）を形成した押し体（24）と、下
方内横に回動自在なローラー（251）を有し、そのロー
ラー（251）が押し体（24）の溝（241）に挿入され、中
間を揺動可能に軸支した門形状の駆動レバー（25）と、
該駆動レバー（25）の上端と連結したシリンダー（26）
と、主軸（23）の先端にナット（271）で固定した爪保
持体（27）と、その上部で中間を揺動自在に軸支され、
一端に設けた回転自在なローラー（281）が押し体（2
4）と当接する可動クランプ爪（28）と、該可動クラン
プ爪（28）と対向して爪保持体（27）に設けた固定クラ
ンプ爪（29）と、そして金具割り出し機構（21）とから
構成されている。金具割り出し機構（21）は、機体
（１）内のパルスモーター（211）と、主軸（23）の他
端とをそれぞれのプーリー（212），（213）間に掛けわ
たしたベルト（214）とから成り、パルスモーター（21
1）の回転制御は一般的なシーケンス制御装置で行う。
（３）は回転駆動用金具クランプ装置（２）に対向し
て、機体（１）の他方に設けた従属回転用金具クランプ
装置である。該従属回転用金具クランプ装置（３）は、
機体（１）の長手方向に移動可能な取り付枠（31）と、
該取り付枠（31）に回転自在に軸支した主軸（32）と、
その他前記回転駆動用金具クランプ装置（２）に設けた
ものと同様な、テーパー状の可動クランプ爪（33），駆
動レバー（34），シリンダー（35），爪保持体（36），
可動クランプ爪（37），そして固定クランプ爪（38）と
から構成されている。（４）は従属回転用金具クランプ
装置（３）の移動手段で、それは、機体（１）上面の長
手方向に、２本並列に敷設した長レール（41）と、この
長レール（41）上を移動可能な長さ調節用移動台（42）
と、該長さ調節用移動台（42）上に長レール（41）と同
方向に２本並列で敷設した短レール（43）と、短レール
（43）上を移動可能な突合せ用移動台（44）と、長さ調
節用移動台（42）を駆動させるための機体（１）内に設
けた送りサーボモーター（45）と、長さ調節用移動台
（42）の下方を通り機体（１）の長手方向に回転自在に
設けたネジ棒（46）と、該ネジ棒（46）と螺合し長さ調
節用移動台（42）の下面に固定した移動ブロック（46
2）と、送りサーボモーター（45）のプーリー（451）と
ネジ棒（46）のプーリー（461）との間に掛けたベルト
（47）と、突合せ用移動台（44）を移動させる駆動用シ
リンダー（48）とから構成している。（５）は回転駆動
用金具クランプ装置（２）及び従属回転用金具クランプ
装置（３）に設けた原点復帰手段であり、この回転駆動
用金具クランプ装置（２）側は金具割り出し機構（21）
のプーリー（213）の側面一点に設けた回転角度の原点
位置を示す突起（52）と、該突起（52）に接近して取り
付枠（22）に設けた接近スイッチ等の原点位置検出セン
サー（53）とから成り、該原点位置検出センサー（53）
はパルスモーター（211）と電気的に接続されている。
他方、従属回転用金具クランプ装置（３）側は突合せ用
移動台（44）に固定され、直交する主軸（32）とラック
・ピニオンで歯合した原点復帰シリンダー（51）とによ
り構成されている。原点復帰シリンダー（51）はエアー
で作動し、本溶接時にはエアーを抜き無負荷状態にさせ
る。又、突合せ用移動台（44）の上面に前記取り付枠
（31）が固定されている。（６），（６′）は可動クラ
ンプ爪（28），（37）の近辺上下方向で溶接用丸パイプ
（９）と接続金具（10），（10′）の接続位置に機体
（１）上から支持して設けた溶接トーチである。
（７），（７′）はパイプ支持部材であり、支持部材
（７）は機体（１）の上面から立設させ、支持部材
（７′）は突合せ用移動台（44）から立設させている。
（８），（８′）は溶接トーチ（６），（６′）の位置
でそれと直角方向にずらして配置した前後移動可能な面
合せ手段であり、それは駆動シリンダー（81），（8
1′）とその先に固定したＶ又はＵ溝を形成した合せ板
（82），（82′）とから成る。（９）はストレートな溶
接用丸パイプ、（10），（10′）は接続金具である。

（発明の効果） このように本発明は、回転駆動用金具クランプ装置
（２）と割り出し機構（21）を備えた従属回転用金具ク
ランプ装置（３）を有するので、接続金具（10），（1
0′）が溶接用丸パイプ（９）の両端位置に簡単にセッ
トされると共に両接続金具（10），（10′）相互円周方
向に対する向きの割り出しが行え、しかも従属回転用金
具クランプ装置（３）は機体（１）の長手方向に移動可
能なため、種々の長さの溶接用丸パイプ（９）に対応で
きると共に溶接用丸パイプ（９）と接続金具（10），
（10′）の突合せができる。更に、面合せ手段（８），
（８′）と、溶接トーチ（６），（６′）とを互いに直
角方向にずらして配装したことにより、突合せ後に溶接
用丸パイプ（９）と接続金具（10），（10′）の中心の
ずれを修正して仮溶接をすることができ、本溶接後にお
いては溶接用丸パイプ（９）と接続金具（10），（1
0′）との芯合せや設定された接続金具（10），（1
0′）相互の向き等の位置関係も極めて正確なものとな
る。これら接続金具（10），（10′）のクランプ及び角
度割り出し、突合せ、仮溶接、本溶接等の一連の工程を
全自動的に行えるものであるからして、従来のように型
合せ治具を用意したり溶接と本溶接との作業分断もな
く、その作業性の向上と加工費の大幅な低減を成しうる
ものである。

【図面の簡単な説明】 第１図は本発明の実施例を示す正面図、第２図は平面
図、第３図はクランプ部分の部分図、第４図は調節用移
動台の移動手段を示す構造図、第５図は駆動レバーの斜
視図、第６図は加工状態の説明図である。 （１）……機体、（21）……金具割り出し機構 （２）……回転駆動用金具クランプ装置 （３）……従属回転用金具クランプ装置 （23），（32）……主軸、（24），（33）……押し体 （25），（34）……駆動レバー （26），（35）……シリンダー （28），（37）……可動クランプ爪 （29），（38）……固定クランプ爪 （44）……突合せ用移動台、（５）……原点復帰手段 （６），（６′）……溶接トーチ （７），（７′）……パイプ支持部材 （８），（８′）……面合せ手段

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】長尺な機体（１）の上部長手方向には、一
   方に金具割り出し機構（21）を備えた回転駆動用金具ク
   ランプ装置（２）と、他方に長手方向に移動可能な従属
   回転用金具クランプ装置（３）とを配置し、それらの内
   側近くには、面合せ手段（８），（８′）と、溶接トー
   チ（６），（６′）とを互いに直角方向にずらして配装
   し、更に、前記溶接トーチ（６），（６′）間にはパイ
   プ支持部材（７），（７′）を別個に前記機体（１）及
   び突合せ用移動台（44）に立設させ、且つ前記回転駆動
   用金具クランプ装置（２）及び従属回転用金具クランプ
   装置（３）には回転角度を原点復帰させる原点復帰手段
   （５）を具備したことを特徴とするパイプに接続金具を
   溶接する自動溶接機。
2. 【請求項２】前記回転駆動用金具クランプ装置（２）及
   び前記従属回転用金具クランプ装置（３）が、少なくと
   も回転自在な主軸（23），（32）と、該主軸（23），
   （32）と軸方向のみ移動可能に嵌合し、先端テーパー状
   の押し体（24），（33）と、該押し体（24），（33）を
   駆動レバー（25），（34）を介して移動させるシリンダ
   ー（26），（35）と、前記押し体（24），（33）に一端
   が当接し揺動可能な可動クランプ爪（28），（37）と、
   その可動クランプ爪（28），（37）に対向して設けた固
   定クランプ爪（29），（38）とから成る特許請求の範囲
   第１項記載のパイプに接続金具を溶接する自動溶接機