JP2896235B2 - 局所フィブリノーゲン複合体 - Google Patents

局所フィブリノーゲン複合体

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Description

【発明の詳細な説明】 本発明の背景 発明の分野 本発明は、フィブリノーゲン組成物及びその製造方法
に関し、その化合物はトロンビン及びカルシウムと組み
合わせて傷の閉鎖のために使用することができる。
関連技術 局所的止血を達成するためのフィブリノーゲンの使用
の試みは、止血のためのフィブリノーゲンパッチが脳外
科において使用された20世紀初期というはるか昔に研究
された。後に、皮膚移植及び結核の治療における空洞内
注射のために、血漿とトロンビンとの混合物が使用され
た。しかしながら、これらの初期の試みは、2つの主な
欠点を有していた。すなわち、フィブリノーゲンの源が
血漿であったことから、フィブリノーゲンの濃度が低く
不十分な強さのフィブリンフィルムしかもたらさず、そ
して、フィブリンフィルムが比較的素早く分解されてし
まうような線溶の正常の生理学的過程を阻害することが
できなかった。
効果的なフィブリンシール剤を開発しようという従来
の試みはまた、これらの調製物の大半が、フィブリンシ
ールの早期分解を防止するためにはこれらの組成物が更
に抗線溶剤を含有することを必要ならしめる高レベルの
プラスミノーゲンを含有しているという事実によって、
妨害されてきた。抗線溶剤は典型的には非ヒト源から導
かれることから、特にこれらの薬剤に多数回暴露された
とき、患者がそのような外来のタンパク質に対する有害
反応を有する可能性が重要である。Rose,et al.,(米国
特許第4,627,879号)は、必ずしも抗線溶添加剤の存在
を必要としないフィブリン接着剤の製造を報告している
が、この参照文献に開示された組成物は、これら従来の
フィブリンシール組成物のもう一つの主要な欠点、すな
わち血漿中のB型肝炎又はHIV等のような感染性因子の
存在の可能性、に対処していない。その結果、Rose文献
は、プールされた血漿に関連付け得る感染性因子の伝染
を避けるために、そこに記述された組成物が単一の提供
者から導かれるべきことを必要とする。
従って、プールされた血漿から導くことのできる、そ
して抗線溶化合物、動物タンパク質、及びウイルス等の
感染性因子を含まないフィブリンシール剤に対する相当
な需要がある。本発明は、そのような組成物を提供する
ことによってこれらの需要に対処する。
発明の要約 本発明は、プールした血漿が、第VIII因子が実質的に
枯渇されている場合ですら、トロンビン及びカルシウム
と反応させたとき止血を促進するのに使用できるフィブ
リンシール剤を作り出すものであるフィブリノーゲン調
製物を製造するために処理できる、ということの発見に
基づく。
詳細には、本発明は、本質的に第VIII因子及びプラス
ミノーゲン不含であることに加えて、抗線溶剤の使用を
必要とせず且つ脂質エンベロープウイルスのような感染
性因子の存在を排除するよう処理されたフィブリノーゲ
ン組成物を提供する。該組成物の更なる利点は、組成物
中に存在する本質的に全てのタンパク質がヒト起源のも
のだということである。
図面の簡単な記述 図1 局所フィブリノーゲン複合体の製造のための概
念的表現。
図2 フィブリンポリマー形成に対するカルシウムイ
オン濃度の影響。フィブリノーゲン(90mg総タンパク質
/ml)及びトロンビン(500単位/ml)を混合しそして10
分間インキュベートした。レーンA:分子量マーカー、レ
ーンB:対照フィブリノーゲン、レーンC:0mM Ca++、レー
ンD:1mMCa++、レーンE:3mMCa++、レーンF:6mMCa++、レ
ーンG:10mMCa++、レーンH:20mMCa++、レーンI:30mMC
a++、レーンJ:分子量マーカー 図3 フィブリンポリマー形成に対するカルシウムイ
オン濃度の影響。フィブリノーゲン(130mg総タンパク
質/ml)及びトロンビン(500単位/ml)を混合しそして1
0分間インキュベートした。レーンA:分子量マーカー、
レーンB:対照フィブリノーゲン、レーンC:0mMCa++、レ
ーンD:1mMCa++、レーンE:3mMCa++、レーンF:6mMCa++
レーンG:10mMCa++、レーンH:20mMCa++、レーンI:30mMCa
++、レーンJ:分子量マーカー 図4 フィブリン重合の速度。フィブリノーゲン(13
0mg総タンパク質/ml)及びトロンビン(500単位/ml)を
カルシウムイオン(40mM CaCl2)の存在下に混合した。
レーンA:分子量マーカー、レーンB:0分、レーンC:1分、
レーンD:3分、レーンE:5分、レーンF:10分、レーンG:30
分、レーンH:60分、レーン1:2時間、レーンJ:4時間、レ
ーンK:8時間、レーンL:24時間、レーンM:フィブリノー
ゲン対照、レーンN:分子量マーカー 好ましい具体例の詳細な記述 本発明者は、トロンビンと反応させたときフィブリン
シール剤を作り出すものである、先行技術の組成物に対
して有意な改善を示すものである、この効果を意図した
組成物を考案した。これらの組成物(集合的に「局所フ
ィブリノーゲン複合体(TFC)」という)は、先行技術
の組成物と同様に、ヒト組織において効果的に止血を誘
導するがしかし先行技術の組成物と異なり治療された人
に非ヒトタンパク質に対する免疫学的有害応答を引き起
こすことなく且つウイルス感染の実質的危険を伴うこと
なく、そうすることができることから、有利である。
本発明の組成物を製造するための好ましい血液画分
は、血漿、寒性沈殿物、及び/又は第VIII因子枯渇冷沈
殿物である。出発材料として使用するに好ましい血液画
分はヒト血漿であるからー、出発材料を、以下「血漿」
というであろが、当業者は、フィブリノーゲンを有意に
枯渇させていない如何なるヒト血液由来画分から出発し
ても本発明の組成物が製造できると、いうことを理解す
るであろう。一般に、該方法は、第XIII因子(F XIII)
及びフィブリノーゲンの濃度の高い血漿から寒性沈殿物
を形成することを伴う。このステップに、該寒性沈殿物
からのタンパク質の冷沈殿が続いてよい(そして好まし
くは続く)。該当する場合、この冷沈殿処理からの産生
物(すなわち、冷沈殿物)は、典型的には抗濃度のフィ
ブリノーゲン及び非常に低レベルのF VIIIを含有する。
より具体的には、本発明のTFC組成物を製造するため
の該好ましい方法は、一人又はより多くの提供者からの
凍結したヒト血漿を出発材料として使用する。好ましく
は、使用されるべき血漿は、出発材料として使用するた
め、検出可能なレベルのそのような汚染因子を含有する
材料を排除するために、B型肝炎及びヒト免疫不全症ウ
イルス(HIV)等のような感染性ウイルス汚染因子の存
在について、慣用のアッセイ技術を用いてスクリーンさ
れたものであろう。
血漿が以前にスクリーンされいてもいなくても、本発
明の組成物において使用する寒性沈殿又は冷沈殿産物
は、その中のウイルス活性を検出不能レベルにまで減少
させるために、下に更に記述されているように処理され
る。この開示の目的のためには、句「検出不能レベル」
は、感染させた組織又は細胞におけるプラーク形成単位
の検出のような、当業者に周知のウイルスアッセイプロ
トコールによって検出できるウイルス活性レベルについ
ていう(例えば、実施例5を参照)。与えられた組成物
中の既知のウイルス活性レベルの減少は、慣用的に、こ
こに「log10減少率」として記述されるであろう。一般
には、タンパク質含有組成物中のウイルス活性を減少さ
せるための、当該分野において既知の及び/又はここに
記述する、利用可能な技術(例えば、実施例5を参照)
を用いて、本発明の組成物は、脂質エンベロープウイル
スについては少なくとも4対数(好ましくは少なくとも
6対数)のlog10減少率及び他のウイルス性病原因子に
ついては一層低い減少率を有するであろうと予測でき
る。
実施例1に記述されているように、凍結血漿を寒性沈
殿物へと加工するために、血漿は、制御された環境中に
おいて解凍される。得られた寒性沈殿物は、最初に冷沈
殿物へと変換することなく更にTFCへと加工してもよ
い。しかしながら、フィブリノーゲンに対する本発明の
組成物中の総タンパク質含量、残存量のフィブロネクチ
ン及び如何なる添加されたタンパク質成分(アルブミン
等)をも制限するために、該寒性沈殿物は、好ましくは
冷沈殿物へと更に加工される。
その目的にむけて、血液画分(例えば血漿)を凍結し
その後約+6℃を超えない温度まで加温することによっ
て、寒性沈殿物を製造することができる。この寒性沈殿
物を、約20℃〜35℃において蒸留水に溶解させる。塩化
カルシウムを約1μM乃至約1000μMの濃度に加える。
好ましくは、塩化カルシウムは、このステップにおいて
約40μMの濃度に加えられ、フィブリノーゲンの沈殿を
促進するためにpHは6.8±0.3に調節される。
溶解したこの寒性沈殿物を次いで、攪拌しつつ約10℃
まで冷却し、それにより冷沈殿物が生ずる。この沈殿物
を、例えば5600×g乃至7200×gの遠心によって溶液か
ら除去する。この沈殿物は、望むならば、−60℃又はそ
れより下で貯蔵してよい。冷沈殿を用いる場合には、工
程中におけるカルシウムイオン源の添加は、フィブリノ
ーゲン並びにフィブロネクチンの沈殿を促進し、それに
よって冷沈殿物中におけるこれらの物質の濃度を増大さ
せるであろう。フィブリノーゲンはまた、この冷沈殿へ
のポリエチレングリコール(PEG)の添加によって更に
濃縮することもできる。
寒性沈殿物又は冷沈殿物は、通常、緩衝液中に攪拌し
て溶解され、該冷沈殿物のpHは約7.2、好ましくは7.2±
0.1に調節される。寒性沈殿物又は冷沈殿物のフィブリ
ノーゲンと、そこの存在している可能性のある如何なる
トロンビンとの間の相互反応をも阻止するために、この
寒性又は冷沈殿物は、好ましくは、存在しているかも知
れないトロンビンを阻害するために、PPACK(D−Phe−
L−Pro−L−Arg−クロロメチルケトン)、ヘパリン補
因子II、ヒルジン又は抗トロンビンIII(ATIII)等のよ
うなプロテアーゼ阻害剤の存在下に再懸濁される。トロ
ンビン阻害剤として最も好ましいのは、約0.75μM乃至
約1.75μMの濃度のPPACKである。有効量のトロンビン
阻害剤で処理された本発明の組成物よりなる製品は、本
質的に活性トロンビン不含と見なされるであろう。使用
された場合には、このトロンビン阻害剤は、凍結乾燥前
に、好ましくはPEG沈殿により及び所望にDEADカラム段
階をも用いて、本発明の組成物から除去されるであろう
(図1及び実施例1を参照)。当業者は、トロンビンの
ための、本発明の組成物中において使用するのに適した
他のプロテアーゼ阻害剤及びそれらの有効濃度を知るで
あろう。
寒性又は冷沈殿物中に存在するかも知れない如何なる
プロトロンビン複合体をも除去するために、沈殿物懸濁
液が、リン酸三カルシウムのような塩を含有する緩衝液
へ移される。この塩含有緩衝液への暴露は、仮に起こっ
たならフィブリノーゲンのフィブリンへの変換をもたら
すことになるプロトロンビンのトロンビンへの変換の可
能性を、最小にするであろう。この状態において、得ら
れる組成物は本質的にプロトロンビン複合体不含と考え
られる。このリン酸カルシウムは、今度は、遠心及び/
又は濾過によって工程から除去される。プロトロンビン
の除去のための更なる技術が、Murano(Prothrombin an
d Other Vitamin K Proteins,Vol.II,Seegers and Wal
z,eds.,CRC Press,Inc.Boca Raton,Fl.,1986);Heyste
k,et al.,(Vox SAng.,25:113,1973);Banowcliffe,et
al.,(Vox Sang,25:426,1973);Chandra,et al.,(Vox
Sang.,41:256,1981)及びChanas,et al.,(米国特許第
4,465,623号)によって記述されており、参照によりこ
こに導入する。こうして、本発明の組成物中のプロトロ
ンビンの除去及びトロンビンの阻害によって、最終の組
成物は、本質的にフィブリン分子不含であろう。すなわ
ち、フィブリンシール剤を作り出すよう別途トロンビン
に(好ましくはin vivoで)暴露されるまでは、その中
に存在するフィブリノーゲンの全ては未反応であろう。
好ましい一具体例においては、溶解した寒性又は冷沈
殿物は、約23〜27℃まで加温されそして、lysine−Seph
arose 4Bの商品名で商業的に販売されているマトリクス
カラム製品等のようなリジン親和性カラムと接触させら
れる。寒性又は冷沈殿物中に存在する残存のプラスミノ
ーゲンは、該マトリクスに吸着されるが、フィブリノー
ゲンは吸着されず、それにより、得られる溶液を本質的
にプラスミノーゲン不含にする。例えば、上述のlysine
−Sepharose材料を用いると、得られる最終のTFC組成物
は、FTCの1ml当たり10μgを超えるプラスミノーゲン/m
lTFCは含まないであろう。
プラスミノーゲンの除去は、2つの理由から重要であ
る。第1にプラスミノーゲンは、プラスミンへと変換さ
れると、フィブリノーゲン及びフィブリン分子を分解す
る。フィブリンは、本発明の組成物から作り出されるフ
ィブリンシール剤中においてフィブリノーゲンとトロン
ビンとの間の相互作用によって形成される。第2に、当
該分野において相当に効果のあるプラスミノーゲン阻害
剤が知られてはいるものの、それらの使用は、(存在す
るプラスミノーゲンの濃度及び必要な阻害剤の濃度を決
定するために)更なる製造ステップを必要とする。より
重要なことに、現在商業的に入手可能なプラスミノーゲ
ン阻害剤は、非ヒト起源のものであり、従って、それら
を含有する組成物に、特にそれらの反復適用の時に、免
疫学的に有害な反応の危険性を与える。この危険性は、
本発明の組成物からプラスミノーゲンを除去することに
よって回避される。
このリジン・マトリクスから回収された溶液は、例え
ばポリエチレングリコール(PEG)の添加によって、好
ましくは濃縮される。人において使用するためには、溶
出液を濃縮するのに使用されるPEGは、人に毒性のない
範囲の分子量を有し(例えば、3000〜6000)、約3%乃
至約7%、好ましくは約4%(W/W)の最終濃度に加え
られる。最も好ましくは、得られるPEG沈殿物は緩衝液
に溶解され、濾過されそしてpHをアルカリ性レベル、例
えば約8.6、好ましくは8.6±0.1に調節される。本発明
の代わりの具体例においては、リジン・マトリクスによ
る吸着に先立ってPEG沈殿ステップを実施することも可
能である。
全ての具体例において、該組成物(好ましくは濃縮溶
液)は、典型的にはB型肝炎ウイルス、HIV及びHTLV等
の様なウイルスの脂質エンベロープを破壊することによ
って作用する界面活性剤等のような有効量のウイルス活
性減少剤で処理される。術語「有効量のウイルス活性減
少」剤は、組成物に加えられるウイルス活性減少剤の濃
度が、本発明の組成物中のウイルス活性を検出不能なレ
ベルまでに減少させるのに十分であることを意味する。
勿論、ウイルス活性減少剤の濃度は、トロンビンの存在
下にフィブリンシール剤を形成する該組成物の能力を有
意に阻害してはならない。すなわち、この使用されるウ
イルス活性減少剤は、フィブリノーゲンを変性させな
い。
ウイルス汚染因子は、組成物へのウイルス活性減少剤
の添加を伴わない工程ステップによって、本発明の組成
物からある程度までは除去できる。ウイルス活性減少剤
は典型的には(脂質エンベロープの完全性を破壊するこ
とによって)脂質エンベロープウイルスにのみ影響を及
ぼすことから、現在の技術状態に照らせば、この工程ス
テップは、脂質エンベロープを欠いた存在する如何なる
ウイルスをも本発明の組成物から除去するものである主
要な手段であるようである。そのような工程ステップ
は、当業者に知られ又は容易に確認でき、そしてそれら
はウイルス分配及びリン酸カルシウムよる吸着/濾過を
含む。
そのような薬剤として有用である非変性性の界面活性
剤は、当業者により、陰イオン性、陽イオン性、及び非
イオン性界面活性剤のような認識されている群から選ぶ
ことができる。例としては、硫酸化オキシエチル化アル
キルフェノールのような硫酸化アルコール及び酸ナトリ
ウム塩(「Triton W−30」及び「Triton X−100」の商
品名で市販されている)、ドデシルベンゼンスルホン酸
ナトリウム(「Nacconol NR」の商品名で市販されてい
る)、2−スルホエチルオレエートナトリウム(「Igep
on A」の商品名で市販されている)、コール酸ナトリウ
ム、デヒドロコール酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリ
ウム、塩化ドデシルジメチルベンジルアンモニウム
(「Triton K−60」の商品名で市販されている)、オキ
シエチル化アミン類(「Ethomeen」の商品名で市販され
ている)、N−ドデシルアミノエタンスルホン酸、エチ
レンオキシド−プロピレンオキシド縮合物(「Pluroni
c」コポリマー類)、エステルのポリオキシエチレン誘
導体(「Tween 80」及び「Polysorbate 80」の商品名で
市販されている)、ポリオキシエチレン脂肪アルコール
エーテル(「Brij 35」の商品名で市販されている)、
ポリエチレングリコールのテトラメチルブチルフェニル
エーテル(「octoxynols」として市販されている)、並
びに「nonidet P−40」及び「Lubrox PX」の商品名で市
販されている界面活性剤が含まれる。当業者は、ウイル
ス活性減少剤の全部又は一部として使用するための他の
適当な非イオン性界面活性剤について知るであろうし、
また例えば米国特許第4,481,189号、第4,540,573号、第
4,591,505号、第4,314,997号及び第4,315,919号を参照
しようと思うであろう。
該好ましい具体例において、ウイルス活性減少剤は、
有機溶媒、好ましくは、非イオン性界面活性剤(好まし
くはポリソルベート80及びオクトキシノール(octoxyno
l))9と混合されたリン酸トリ−n−ブチル(TNBP)
よりなるであろう。実施例1及び5に記述されているよ
うに、ウイルス活性が検出不能のレベルにある本発明の
無変性の組成物は、TNBP(濃度0.03〜0.3%)、ポリソ
ルベート80(濃度0.03〜0.3%)及びオクトキシノール
9(濃度0.1〜1.0%)よりなる好ましいウイルス活性減
少剤を用いて製造することができる。加えて、ウイルス
を不活性化させるためにカオトロピック(chaotropic)
剤も、その薬剤がフィブリノーゲンの変性させない限
り、利用してよい。
代わりとして、本発明の該好ましい具体例の実施にお
いて使用される有機溶媒及び界面活性剤の濃度は、処理
すべき組成物に応じて及び選んだ溶媒又は界面活性剤に
応じて、変化させることができる。アルキルホスフェー
トは、約0.10mg/ml被処理混合物乃至約1.0mg/ml、好ま
しくは約0.1mg/ml乃至約10mg/mlの範囲の濃度で使用す
ることができる。利用される界面活性剤又は潤滑剤の量
は決定的ではない。その機能は、溶媒とウイルスとの間
の接触を改善することだからである。有用である大半の
非イオン性材料について、湿潤剤は、処理される水性混
合物中の脂肪材料の量に応じて、約0.001%乃至10%、
好ましくは約0.01%乃至約2%の範囲で変化させること
ができる。
どのウイルス活性減少剤が使用されても、それは、組
成物中のウイルス活性を検出不能レベルまで減少させる
のに十分な時間(少なくとも1分)本発明の組成物を接
触させた後、除去される。好ましい具体例においては、
DEAEジエチルアミノエチルセルロース(「DE52」の商品
名で市販されている)は、本フィブリノーゲン組成物か
ら溶媒/界面活性剤を除去するのに利用されるマトリク
スである。フィブリノーゲンはジエチルアミノエチルセ
ルロースに結合し、そして未結合の材料及び界面活性剤
の除去のための徹底した洗浄の後に、例えば0.3MのNaCl
で溶出される。溶媒/界面活性剤の除去に利用できる他
のイオン交換材料としては、セルロース及びアガロース
マトリクスを含むがそれらに限定されない商業的に入手
できる陰イオン交換マトリクスの実質的にあらゆるもの
が含まれる。これら種々のイオン交換材料への結合及び
そこからの溶離についての個々のパラメータは、当業者
に既知であるか、又は不相応な実験なしに容易に確認す
ることができる。
本発明のTFC組成物の安定性は、ヒト血清アルブミン
(HSA)、ヒドロキシエチルデンプン、デキストラン、
又はこれらの組み合わせのような補助薬の使用によっ
て、高めることができる。本組成物の溶解性は、ポリソ
ルベート80等のような非変性性の非イオン性界面活性剤
の添加によって高めることもできる。本発明の組成物中
において使用するためのこれらの化合物の適切な濃度
は、当業者に既知であるか、又は不相応な実験なしに容
易に確認することができる。本発明の組成物は、しかし
ながら、安定化剤の使用なしに貯蔵しそして使用するに
十分安定である。従って、該組成物の非フィブリノーゲ
ンタンパク質含量を最小にするため、本組成物の最も好
ましい具体例は、更なる安定化剤を含まないか、又は非
タンパク質性の安定化剤を含むであろう。
典型的には、調合の後、バルクを、最初の溶出液量の
約20%乃至約50%まで濃縮し、次いで濃縮前溶出液量ま
で希釈する。このバルクを、次いで、無菌処理及び凍結
乾燥の前に、約4g±1g/dl組成物(W/V)の最終の総タン
パク質濃度へと濃縮してよい。上述のように、本発明の
好ましい組成物は、復元したときに本質的にフィブリノ
ーゲンよりなるもの、すなわち、該組成物中のタンパク
質がフィブリノーゲンであり、フィブロネクチンは残存
量以下(すなわち20mg/ml以下、好ましくは10μg/ml以
下)、プラスミノーゲンは残存量以下(10μg/ml以下、
好ましくは5μg/ml以下)、そして第XIII因子は約1乃
至40単位/ml(好ましくはは、10単位/mlより大)であ
る。しかしながら本発明の代わりの具体例においては、
本組成物はまた、タンパク質安定化剤、例えばヒト血清
アルブミンのような成分を含んでもよい。従って、本組
成物のフィブリノーゲン成分は、本発明のTFC組成物中
の総タンパク質のうちの約50%乃至100%(W/V)を構成
してよく、好ましくは本組成物のうちの少なくとも75%
(W/V)を構成するであろう。
好ましい該具体例において、組成物中のタンパク質濃
度は、NaClを除去するに十分大きいが然しタンパク質分
子を保持するに十分小さいものである分子量排除を有す
る膜を用いた限外濾過によって、達成される。この濾過
は、最も好ましくは30,000分子量排除を有する膜を用い
て行われる。本発明の該TFC組成物が凍結乾燥される場
合、凍結乾燥前液量は、通常、使用時における凍結乾燥
物の復元液量より大きい。
望むならば、本発明の組成物は、非タンパク質性並び
にタンパク質性の薬物を含むように修正することができ
る。術語「非タンパク質性薬物」は、マイトマイシン
C、ダウノルビシン、及びビンブラスチンのような古典
的に薬物と呼ばれている化合物並びに抗生物質を包含す
る。
本発明のフィブリノーゲン組成物を添加することので
きるタンパク質性薬物としては、免疫調節剤及び他の生
物学的応答調節剤が含まれる。術語「生物学的応答調節
剤」は、例えば細菌細胞の細胞溶解又は上皮細胞の増殖
等の特定の所望の治療効果を高める仕方で、免疫応答又
は組織増殖及び修復のような生物学的応答を調節するの
に関わる物質を包含することを意図したものである。応
答調節剤の例としては、リンホカインのような化合物が
含まれる。リンホカインの例としては、腫瘍壊死因子、
インターロイキン類、リンホトキシン、マクロファージ
活性化因子、遊走阻止因子、コロニー刺激因子、及びイ
ンターフェロンが含まれる。加えて、これらのタンパク
質性薬物から誘導された又は独立して作られたペプチド
又は多糖類フラグメントも、本発明のフィブリノーゲン
組成物中に組み込むことができる。当業者は、タンパク
質性又は非タンパク質性薬物として作用する他の物質を
知り、又は容易に確認できるであろう。
本発明の組成物はまた、造影剤のような診断剤を組み
込むよう修正することができる。そのような薬剤の存在
は、肝臓、胆嚢、尿路、気管枝、肺、心臓、血管、及び
脊柱管等のような内部で起こっている傷治癒を医者がモ
ニターすることを可能にする。そのような化合物として
は、硫酸バリウム並びに、ヨウ素を含んだ種々の有機化
合物が含まれる。これら後者の化合物の例としては、イ
オセタミン酸(iocetamic acid)、イオジパミド(iodi
pamide)、メグルミンイオドキサメート(iodoxamate m
eglumine)、イオパノイック酸(iopanoic acid)、並
びにジアトリゾエート・ナトリウムのようなジアトリゾ
エート誘導体が含まれる。本発明の組成物において利用
することのできる他の造影剤は、当業者に容易に確認で
きる。
本組成物中の薬物又は診断剤の濃度は、当該化合物の
性質、その生理学的役割、及び所望の治療又は診断効果
に応じて、変わるであろう。術語「治療的有効量」は、
毒性を最小にするがしかし望みの効果を表すに十分な濃
度に治療剤が存在することを意味する。従って、例え
ば、細胞溶解性の治療効果を提供するのに使用される抗
生物質濃度は、治療効果がフィブリノーゲン複合体の適
用部位における免疫細胞の増殖を刺激することである場
合の免疫応答調節剤の濃度とは、おそらく異なるであろ
う。術語「診断的有効量」は、潜在的な毒性を最小にし
つつフィブリン膠をモニターすることを可能にするのに
有効な診断剤の濃度を表す。いずれにしても、特定の化
合物についての特定の場合における望ましい濃度は、当
業者が容易に確認できる。
上記開示は、本発明を一般的に記述している。更なる
理解は、専ら説明のために提示されており特記しない限
り限定を意図していないものである以下の特定の具体例
を参照することによって、得ることができる。
実施例1 局所フィブリノーゲン複合体の製造 局所フィブリノーゲン複合体(TFC)が、血漿の寒性
沈殿物を最初に調製することによって製造された。その
ような用途のための寒性沈殿物は、血漿の物理的形態に
応じて2つの異なった技術によって調製した。
一つの技術においては、シールされたプラスチック瓶
の凍結血漿を、空気又は水等のような熱交換媒体と接触
させることによって制御された環境中において解凍し
た。解凍は、血漿の最高温度が+6℃を超えないよう温
度及び熱交換媒体をプログラミングすることによって制
御した。容器を次いで開き、そして内容物をジャケット
付きステンレス鋼解凍タンク内へプールした。該解凍タ
ンク内において、血漿を(攪拌しつつ)穏やかに加温し
て残りの氷を融解させた。解凍した血漿を、次いで、直
接に遠心機へポンプ移送し又はジャケット付きステンレ
ス鋼保持タンク内へポンプ移送してそこで2.5℃±3.5℃
に維持した。該血漿を遠心して寒性沈殿物を取り出し
た。このようにして調製された寒性沈殿物は、−25℃以
下で貯蔵してもよく又は抗血友病因子へと直ちに加工し
てもよい。寒性貧化血漿は、ジャケット付きステンレス
鋼反応タンクから回収した。
代わりとして、シールしたプラスチックバックの凍結
血漿を液体窒素浴中に数秒間入れることによって、寒性
沈殿物を調製した。バッグを該浴から取り出して、パリ
パリしたひび割れたバッグを血漿から剥いだ。次いで血
漿をジャケット付きステンレス鋼解凍タンク内に入れ
た。代わりとして、凍結血漿のシールされたプラスチッ
クバッグを、凍結血漿が該プラスチックから剥がれるよ
うにバッグを温めるように配列した。次いで容器を開
け、内容物をジャケット付きステンレス鋼解凍タンク内
へプールした。解凍タンク内において、混合しつつ血漿
を穏やかに加温して残りの氷を融解させた。解凍した血
漿を、遠心機に直接ポンプ移送するか又はステンレス鋼
保持タンク内へ移送しそこで2.5℃±3.5℃に維持した。
寒性沈殿物を除去するためにこの血漿を遠心した。こう
して調製された寒性沈殿物は、−25℃以下で貯蔵しても
よく又は抗血友病因子へと直ちに処理してもよい。寒性
貧化血漿は、ジャケット付きステンレス鋼反応タンクに
回収した。
寒性沈殿物を調製した後、それを20℃乃至35℃にて蒸
留水に溶解させた。このプロトコールの一部が、図1に
図式的に図解されている。最低約40μMのカルシウム濃
度を得るに十分な塩化カルシウムを添加し、そしてpHを
6.8±0.3に調節した。この溶液を混合しつつ10℃±2℃
まで冷却した。生じる沈殿物を遠心(5600×g〜7200×
g)によって除去した。この沈殿物は−60℃以下で貯蔵
してもよく又はTFCへと直ちに加工してもよい。この沈
殿物を次いで処理溶液I中に、沈殿物の1kg当たり4lの
処理溶液Iの比率で懸濁させた。処理溶液Iは、(a)
0.5Mのグリシン、0.5Mの塩化ナトリウム、及び0.1Mのク
エン酸ナトリウムを含み、NaOHでpHを7.2±0.1に調節さ
れており、(b)プロテアーゼ阻害剤:0.75〜1.75μM
のPPACK(D−Phe−L−Pro−L−Arg−クロロメチルケ
トン)又は等価物、及び(c)0.6±0.1単位/mlのヘパ
リンを含む。温度を24〜32℃に調節し、該懸濁液を約1
時間攪拌した。
沈殿を処理溶液I中に懸濁させた後、懸濁液を、10〜
15℃にて200lの処理溶液IIを収容したタンク内へ移し、
そして少なくとも30分間攪拌した。処理溶液IIは、7±
1mMのリン酸一ナトリウム・1水和物、18±2mMのリン酸
二ナトリウム・7水和物、リン酸三カルシウム0.25%
(W/V)を含む。懸濁液を次いで少なくとも30分間静置
した。この懸濁液は、幾らかの沈殿物を除去するために
このステップで遠心(5600×g〜7200×g)してよい。
次いでこの懸濁液を、先ず0.45μmのフィルターを通し
次いで少なくとも0.2μmのポアサイズのフィルターを
通して濾過することによって澄明にした。
濾液を23〜27℃まで加温し、そしてLysine Sepharose
4Bカラムまたは同等物にかけた。ゲルをクロマトグラ
フィーカラムに充填して5カラム体積の処理溶液III(2
5mMのリン酸緩衝液、7±1mMのリン酸一ナトリウム・1
水和物、18±2mMのリン酸二ナトリウム・7水和物)で
平衡化させた。
未結合の材料をタンク内に集めた。カラムを少なくと
もゲル体積の2倍の処理溶液IIIで洗浄した。未結合の
画分をプールした。次いで、プールした未結合の画分を
含んだバルクの温度を、14+4℃に調節した。ポリエチ
レングリコール3350を、4%(W/W)の最終濃度になる
ように加えた。懸濁液を少なくとも30分間混合し、10〜
18℃において遠心(8700×g)することにより、沈殿物
を除去した。得られたPEG沈殿物を、処理溶液IV(リン
酸でpH8.6±0.1に調節した39mMのトリスリン酸)中に約
15l/kg沈殿物に溶解させた。該懸濁液のタンパク質濃度
を0.6±0.2g%(W/V)に調節し、ついで濾過して澄明に
した。Triton X−100、トリ(N−ブチル)リン酸(TNB
P)及びポリソルベート80を、最終濃度がそれぞれ1.0%
(V/V)、0.3%(V/V)及び0.3%(V/V)になるよう、
この溶液に加えた。このタンパク質・界面活性剤溶液
を、1時間混合した。
次いでバルク溶液を、DE52イオン交換セルロース樹脂
または同等物を含んだクロマトグラフィーカラムにかけ
た。樹脂をクロマトグラフィーカラムに詰め、3カラム
体積の1.0M塩化ナトリウム、次いで3カラム体積の0.5M
塩酸、3カラム体積の0.9%食塩水、次いで3カラム体
積の0.5M水酸化ナトリウムで再生し、そして3カラム体
積の0.5Mトリスリン酸緩衝液(pHは8.6に調節)及び3
カラム体積の処理溶液IVで平衡化した。
このイオン交換カラムを、次いで、最少20カラム体積
の処理溶液V(0.02Mヒスチジン、0.01M塩化ナトリウ
ム、pHは6N塩酸で7.0±0.1に調節)で洗浄した。フィブ
リノーゲンは、処理溶液VI(0.02ヒスチジン、0.3M塩化
ナトリウム、pHは6N塩酸で7.0±0.1に調節)で溶出させ
た。
次いでフィブリノーゲンを、ヒト血清アルブミン(治
療用途に提供されている5%又は25%ヒトアルブミン)
を、タンパク質1g当たり約80mg以下の濃度になるよう補
充した。ポリソルベート80を、タンパク質1g当たり最終
濃度15mgになるように加えた。最終に、30,000分子量カ
ット膜を用いた限外濾過によって、フィブリノーゲン
を、最初の液量の約25%にまで濃縮し、次いで処理溶液
VII(0.02Mヒスチジン、pHは7.0±0.1に調節)で濃縮前
液量まで希釈した。最終のタンパク質濃度4±1g%(W/
V)を達成するために、このバルクを再び限外濾過によ
って濃縮した。該バルクを滅菌濾過(0.2μm)し、滅
菌最終容器内へと無菌的に充填し、無菌条件下に凍結乾
燥し、そして滅菌蓋で閉鎖した。
実施例2 TFC in vitro試験 A.凝固評価 トロンビンの存在下に急速な凝固を提供するTFC組成
物(すなわち、フィブリンシール剤(FS)を決定するた
めにの形成に関して)試験を行った。急速な凝固は、1
〜2秒と任意に定義した。より短い時間間隔は、一般
に、放出装置内における凝固をもたらし、そして、より
長い時間は、成分の、十分規定されない方向に流れる緩
い混合物をもたらす。
実験を行うに際して、清浄なパイレックスガラス・プ
レートを、水平軸から約30°に配置した、FS適用の領域
を規定するために、2インチの線を下側に書いた。
ヒトフィブリノーゲンを、Ca++を含めることなく、10
0〜1000NIH単位/mlの牛トロンビン(Armour Pharmaceut
ical Co.)を含む50〜130mg/mlの総タンパク質で試験し
た。残存量のフィブロネクチンも存在している可能性が
あったが、この試験の目的のためには、TFC組成物中の
フィブリノーゲンの濃度は総タンパク質の濃度に等しい
と見なした。フィブリノーゲンシール剤〔FS、TFC、ト
ロンビン及びカルシウム塩〕への〔Ca++〕の添加の効果
を、10、20、40、及び60mMにて試験した。
FSを実験用二重シリンジ装置(Fenwal)を用いて、上
述の2インチの線に従って、上端から開始して下方へ移
動させつつ放出した。
表1は、カルシウムの不存在下における100〜1000NIH
単位/mlのトロンビンを含んだ50〜130mg/mlのフィブリ
ノーゲンを試験することによってえられたデータであ
る。各データ点は、4つの測定の平均である。
表1が示しているように、下方のトロンビン濃度(例
えば、100NIH単位/ml)及び低いタンパク質含量(例え
ば、50mg/ml)においては、凝固時間が長かった。該混
合物はまた、「流れやすい」ことが観察された。より高
濃度のトロンビン(例えば、1000NIH単位/ml)は、一般
に放出装置内で凝固し、従って使用不能と考えられた。
CaCl2の添加は、凝塊の外観を改善し、且つ一般に凝固
時間を短縮した。
表2は、0〜60mMの範囲の〔Ca++〕の効果を示してい
る。トロンビンを復元するのにCaCl2溶液が使用され、
従ってFSの1:1混合物中の最終〔Ca++〕は、表に報告さ
れている値の半分である。
上記の結果に基づいて、90〜130mg/mlのタンパク質範
囲及び250〜500NIH単位/mlのトロンビン濃度が、更なる
試験に適していると結論した。凝固を促進させるために
追加のカルシウムイオンが必要であることもまた明らか
である。従って、後の評価においてはCa++濃度を変数と
して含めた。
B.架橋速度 これらの試験は、Caイオンの役割を判定すること及び
フィブリンの重合の程度並びにフィブリン重合による経
時的な架橋の速度に対する〔Ca++〕の効果に焦点を当て
たものである。
フィブリンの架橋反応を、SDS/PAGEを利用した還元性
条件下の系において試験した。7.5%の分離ゲル及び3.7
5%の積み重ねゲルを、Schwartz,et al.,(Journal of
Clinical Investigation,50:1506,1971)によって記述
されているようにして注いだ。
トロンビン(Armour Pharmaceutical)を、望ましい
濃度、すなわち、0、2、6、12、20、40、又は60mM
の、CaCl2を含んだ又は含まない溶液により復元した。
フィブリノーゲンを水で復元し、12×75mmの試験管中で
トロンビンと素早く混合し、そして適当な時間間隔で試
験のためにサンプリングした。凝塊を0.15MのNaClで濯
ぎ、次いで、凝塊の3倍の体積の9Mの尿素(3%SDS及
び3%のβ−メルカプトエタノールを含有)に、95±5
℃の水浴中で沸騰させることによって溶解させた。溶解
した凝塊を、次いで、ゲル電気泳動を実施するまで5℃
に貯蔵した。
CaCl2の濃度の効果を、500NIH単位/mlのトロンビン及
び90mg/ml及び130mg/mlのフィブリノーゲンで、10分の
凝固時間の後に試験した。γバンドの消失によるγ−γ
バンドの形成の速度に対するCa++濃度の効果は、図2及
び3に示されている。
図2及び3に図解されているように、Ca++の存在は完
全なフィブリン重合のために必要である。20〜60mMの範
囲のカルシウムイオンが同等の結果を与えることから、
中点の濃度である40mMを、至適重合を保証するために選
択した。また、試験した時間点(10分)において測定し
た場合には、2つのフィブリノーゲン濃度(90mg/ml及
び130mg/ml)の間においてフィブリン重合には有意差が
なかった。
成分の濃度を変化させることの効果を研究するため
に、40mMのCaCl2中トロンビン250NHI単位/ml又は500NIH
単位/ml及びフィブリノーゲン90mg/ml又は130mg/mlとい
う4通りの組み合わせを、試験した。10分の凝固時間の
後、ゲル電気泳動のためにサンプルを採取した。この試
験した時間点(10分)においては、トロンビン(40mMの
CaCl2中)及びフィブリノーゲンのこれら4通りの組み
合わせのゲル電気泳動は、如何なる有意差も反映しなか
った。
時間的試験を実施しそして24時間にわたってサンプリ
ングした。図4は、24時間という時間をかけて進行して
いるフィブリン重合反応を示している。図4に示されて
いるように、γ−γ二量体の形成は、Ca++の存在下にお
いては非常に迅速に起こる(1分以内)。αポリマー
は、この系では、10分のインキュベーション時間までは
検出できない。インキュベーション時間(24時間まで)
の増大と共にαポリマーが増加するとき、αモノマーの
バンドの強度が対応して減少する。要約すると、この時
間的試験は、重合(γ−γ二量体)は、反応体が混合さ
れると殆ど即時におこり、αポリマーは一層緩やかに形
成されることを示している。この研究から、Caイオンの
存在が重合に必要であると、及び、結果が文献に先に報
告されている(T.Seelich,J.Head & Neck Pathol.,3:6
5−69,1982:M,Schwartz,et al.,J.Clinical Inv.,50:15
06−1513,1971)ものに近いと結論することができる。
C.引っ張り強さ バルク材料の破断が観察されるまで凝塊に歪みを加
え、必要とした力を引っ張り応力−歪み系において測定
することによって、フィブリンシール剤の引張り強さを
評価した。加えて、シール剤を製造するのに使用した重
合混合物中の諸成分を変化させることの関数としての破
断応力の変化を研究した。
引っ張り強さを検討するために、Nowotny,et al.,(B
iomaterials,2:55,1981)に記述されているのに基づい
て、幾らかの修正を加えて型を設計した。新たに設計し
た型は、凝塊の形成を視覚的に検査し易いように、透明
なプラスチックで製造した。清浄化を容易にするため
に、凝固は、使い捨ての凝塊保持器中において進行させ
た。
この凝塊保持器は、プラスチックの使い捨ての移し替
えピペット(SAMCO,San Fernando Mfg.,コロラド州)を
切断することによって得た。湿らせたスポンジの小片2
つを、凝固混合物を両端で固定するのに使用した。スポ
ンジを所定位置に備えた使い捨ての凝塊保持器を、末端
保持器を通して型内へ挿入した(末端保持器は型に含ま
れる)。張力計(T10,Monsanto)を、凝塊の最大破断応
力を測定し記録するために使用した。T10把持器のため
のアダプターは、末端保持器を保持するように製造し
た。
二重シリンジ投与装置(Fenwal)及び3インチの22ゲ
ージ針を用いて、等量のフィブリノーゲン及びトロンビ
ン(CaCl2を含む又は含まない)を注入することによっ
て、凝塊を形成させた。保持器内にシリンジを入れるに
先立って、全ての気泡を除去した。針は、一方のスポン
ジの「頂部」を通し、型を通しそして他のスポンジの
「底部」内へ挿入した。型全体の下に置かれたパラフィ
ルム(American Can Co.)が、過剰の混合物の漏出を防
止した。凝固混合物が型を満たしたとき、針を抜き取っ
た。
試験前の2乃至5分に、凝塊を型から取り出してT10
把持器内に入れた。試験時間に、凝塊を100mm/分の速度
で引っ張った。ゲージ長さは、(幾分任意的に)6.0cm
と設定し、そして凝塊の断面積は0.049cm2であった。T1
0は、応力値をKgf/cm2の単位で報告した。
フィブリノーゲンロットNo.2830R129 引っ張り強さ(ピーク応力)の測定は、凝固混合物の
注入の10分後に行った。表3の結果は、トロンビンが25
0NIH単位/ml又は500NIH単位/mlの場合においてCaCl2
度を変化させることの影響を示している。3濃度のフィ
ブリノーゲン(90,110及び130mg総タンパク質/ml)を試
験した。ピーク応力の各測定値は、N回の測定の平均で
ある。各点当たり最低8回の読み取りを行った。
表3に示されているように、Ca++の不存在下では、両
方のトロンビン濃度及び全てのフィブリノーゲンレベル
において、凝塊は最低のピーク強度を有していた。10〜
60mMのカルシウムイオンの添加は、全てのトロンビン/
フィブリノーゲン濃度について、引っ張り強度を増大さ
せた。一般的に、比較的高いトロンビン濃度、すなわち
トロンビン500NIH単位/mlにおいて比較的大きな値が観
察され、それはまた〔Ca++〕については20〜60mMの範囲
のカルシウムイオンにおいて幾分近似の値を与えた。最
少の標準偏差(SD)値は40mMCaCl2において観察され
た。
ヒトフィブリノーゲンの第2のロットを、これらの知
見を確認するために試験し、データを40及び60mMCaCl2
及び500NIH単位/mlトロンビンにおいて比較した。第2
ロットのフィブリノーゲンを試験した結果は、特に110
及び130mgという比較的高濃度において一般的に近似の
ピーク応力値を与え、そしてまた90mg/mlにおいて一層
高い値を与えた。
凝塊の引っ張り強さの時間的試験は、フィブリノーゲ
ン90mg/ml及び130mg/みmlを、トロンビン濃度500NIH単
位/ml及びCaCl240mMを用いて、24時間かけて行った。24
時間にわたって、引張り強さの値は何ら有意な低下を示
さなかったピーク応力のゆっくりした上昇が、時間と共
に架橋が続くときに起こると予想された。
D.凝塊溶解試験 プラスミノーゲン活性化因子と共に又はこれを含まず
に、37℃にて無菌の、湿潤した条件下にインキュベート
したときにフィブリン凝塊が固形のままである時間の長
さを測定した。また、反応混合物へのプロテアーゼ阻害
剤(アプロチニン(Aprotinin))の添加が凝塊の寿命
に与える影響についても試験した。
90、110、又は130mg/mlの総タンパク質という3通り
の濃度のうちの何れかを得るために、次の希釈剤のうち
の一つを用いて滅菌ヒトフィブリノーゲン溶液を調製し
た。
a.滅菌水(すなわち、ゼロKIU/mlのアプロチニン) b.1000KIU/mlのアプロチニン溶液 c.3000KIU/mlのアプロチニン溶液 トロンビンは、250又は500NIH単位/mlとするよう、40
mMのCaCl2溶液で復元した。こうして、トロンビンとフ
ィブリノーゲンの6通りの組み合わせを試験した。ウロ
キナーゼ(Abbott)は、通常の食塩水中に5単位/mlに
調製した。
フィブリン凝塊は、円筒状のシリコンチューブ(内径
5mm)中において等しい液量のフィブリノーゲン(水又
はアプロチニン中)及びトロンビン(CaCl2溶液中)を
混合することによって、調製した。この混合物を、二重
シリンジ投与装置(Fenwal)を用いて放出した。この放
出装置及びシリコンチューブの全ては、オートクレーブ
により滅菌した。
10cmのシリコンチューブを、パラフィルムを用いて一
端においてシールした。ごく僅かにパラフィルムを刺通
して、(22G)の針先でチューブ内に迅速にフィブリノ
ーゲン及びトロンビンを注入するために、チューブを垂
直から約10°に保持し、Fenwal装置を使用した。凝塊を
20分間固化させた後、この10cmのシリコンチューブを3c
mの長さに切断して、590μlの凝塊体積を得た。各3cm
の部分を半分に切断し、そしてこれら2つの半分を、24
ウェルプレート(Corning)の1つのウェル内に入れ
た。気泡を含んでいることの見出された如何なる部分も
廃棄した。チューブの一端を穏やかに絞ることによって
凝塊をチューブから押出した。それを1mlの滅菌食塩水
で濯ぎ、次いで、ウェル内に1mlのウロキナーゼ又は食
塩水を加え、そしてプレートを無菌の湿った37℃のイン
キュベータに入れた。Fibrin(ogen)Degradation Prdu
cts膠着キット(Baxter Dade)を用いて試験するため
に、24時間毎に、各ウェルから上澄を採取した。
37℃のインキュベータにプレートを戻す前に、ウロキ
ナーゼ及び食塩溶液を新鮮な試薬で毎日置き換えた。全
ての調製及び上澄のサンプル採取は、滅菌条件下に実施
した。凝塊を目で検査し、それらの外観を記録した。14
日後、実験を終了した。試験した条件数は36であり、い
ずれの条件も二重に実施した。
表4は、アプロチニンを含まない場合のウロキナーゼ
の存在下における凝塊溶解時間(凝塊がその円柱形状を
失う時間と定義される)を要約している。観察された範
囲は7〜11日であり、平均は8.66±1.5日であった。Fib
rin(ogen)Degradation Prducts(FDP)の測定は、凝
塊がその十分規定された形状を失ったときに一般に対応
する又は直ぐそれに続く活性ピークを示した。
ウロキナーゼを除去して、アプロチニンの存在下又は
不存在下に凝塊を通常の食塩水中でインキュベートする
のみである場合には、凝塊は、全観察期間(すなわち14
日)の間、その完全な形状を維持した。FDP測定は、凝
結の有意な溶解がないことを確認した。
この試験は、凝塊が元々在る如何なるプラスミノーゲ
ン活性化因子によっても影響を受けない場合には、それ
は少なくとも14日間は維持されると予想されることを示
している。ウロキナーゼが存在する場合には、凝塊は最
短7日持続する。治癒機構がその天然の役割を演じるの
に、これらの期間は十分であろう。従って、これらの結
果に基づいて、フィブリノーゲン調製物中の痕跡量のプ
ラスミノーゲンは凝塊の寿命に有害な影響を与えないと
いうこと及びアプロチニン等のようなプロテアーゼ阻害
剤の添加は必要ないということが結論できる。
実施例3 TFC in vivo試験 TFCの至適濃度を推定するために、in vivoモデルを用
いて試験を行った。Swiss Websterマウス(20〜25g)
を、試験のために5匹ずつの10の群に振り分けた。利用
したプロトコールにおいて、各動物を麻酔し、体重測定
し、そして該動物の背中から皮膚の小片を採取した。こ
の皮膚標本を食塩液に浸し、Gottlob装置に取り付け
た。次いで、種々の濃度(表2)の等しい量のTFC及び
トロンビンを傷に同時に加え、皮膚を該動物に置き直
し、その位置に約2分間保持した。
麻酔した動物を台上にうつ伏せに置き、次いでそれを
張力計(Monsanto Company)上に配置し、Gottlob装置
を把持器に取り付けた。張力計のパラメータを次のよう
に設定した。(1)面積:1.76cm2、(2)速度:10.0mm/
分、(3)ゲージ:1.0cm、(4)応力範囲:500.0%。ピ
ストン(皮膚標本を備えた)を動物の背から分離するの
に要する力をg/cm2の単位で記録した。これらの実験か
らのデータを、RS1/Discoverソフトウェア(BBN Softwa
re Corp.,Cambridge,マサチューセッツ州)を用いて統
計的に評価した。この試験の結果の解析は、120〜130mg
/mlのTFC及び250単位/mlのトロンビンが、最大接着応答
を与えるということを示した。
in vivoにおいて組織に接着する凝塊のこの能力は、
止血を維持するのに重要である。この実験において、最
大接着応答は試験した試薬範囲内において起こり、実施
例2のin vitroでの知見が確認された。
実施例4 TFCの特徴 TFC組成物を、実施例1に記述した工程ステップに一
般的に従って製造した。以下に特定したTFCの特徴を解
析し、次の結果を得た。
実施例5 TFC工程中間体中のウイルス活性の検出不能レベルまで
の減少 TFC工程中間体(実施例1を参照)を、5種の脂質エ
ンベロープウイルスの活性についてアッセイした。アッ
セイした脂質エンベロープは、Pseudorabies(「PR
V」、ヘルペスウイルスのモデルとして)、HIVタイプ1
及び2、Sindbis(「SIN」、C型肝炎ウイルスのモデル
として)、及びVesicular Stomatis Virus(「VSV」、R
NAウイルスについてのモデルとして)である。工程中間
体は、PEG沈殿物のトリスリン酸緩衝液(pH8.6±0.3)
(緩衝剤を含まないなら、ウイルス活性減少剤の殺ウイ
ルス活性が低下し、一層高濃度の薬剤が用いられよう)
への再懸濁の後に得られた。
アッセイの目的のために、サンプルを、次のウイルス
活性減少剤の存在下に4種のエンベロープウイルスで別
々にスパイクした。すなわち、TNBP、オクトキシノール
9及びポリソルベート80の混合物。それぞれの比率は、
0.3%:1%:0.3%(V/V)。
PRV,VSV及びSINは、ウイルス活性減少剤による処理の
前後におけるプラーク形成単位(「pfu」)を測定する
ために、適当な細胞系(それぞれ、ブタ腎臓13(「PK−
13」)、バッファローグリーンモンキー腎臓(「BGM
K」)及びVero)と共にインキュベートすることにより
アッセイした。HIV−1は、ウイルス活性減少剤による
処理の前後におけるウイルスの50%組織培養感染投与量
終点(TCID50)を決定するために、感受性のあるT細胞
(H9)とのインキュベーションによってアッセイした。
これらのアッセイの結果は下に表にしてあり、それは、
TFCの製造中におけるウイルス活性減少剤の使用が、そ
こに存在する脂質エンベロープウイルスの活性を減少さ
せるのに非常に有効である、ということを明らかにして
いる。
プラークは検出されなかった。ウイルス回収を計算す
るために、アッセイの理論的検出点を使用した。これら
の計算のためには、溶媒/界面活性剤混合物(すなわ
ち、ウイルス活性減少剤)による試薬の細胞毒性を考慮
した。
実施例6 TFCのパイロージェン性 周知のウサギパイロージェン試験を用いて、実施例4
のTFC組成物のパイロージェン性を試験した。3羽の家
兎に0.5ml/kgの投与量を注射し、注射後3時間にわたっ
てその体温を測定した。この試験の結果を下に表にして
示す。それは、TFCが無パイロージェン性であることを
強く示している。
上記の実施例及び記述は、本発明の理解を助けるため
に提供されたものであり、そして、そのようなものとし
て、模範的であることのみを意図しており、限定的であ
ることを意図したものではない。当業者は、状況に応じ
て他の材料及び方法も使用できること及びそれらがやは
り本発明の精神及び範囲に含まれるということを認識す
るであろう。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 リウ,シュ・レン アメリカ合衆国90703カリフォルニア、 セリトス、リールアベニュー 17149 (72)発明者 トーマス,ウィリアム,アール アメリカ合衆国92629―4443カリフォル ニア、モナークビーチ、ブリガンティン ドライブ 33571 (72)発明者 アルパーン,メレーヌ アメリカ合衆国90808カリフォルニア、 ロングビーチ、ジュリアンアベニュー 3270 (72)発明者 エノモト,スタンレー,ティー アメリカ合衆国91324カリフォルニア、 ノースリッジ、ステアストリート 18736 (72)発明者 ガランチョン,キャタリーヌ,エム アメリカ合衆国91324カリフォルニア、 ノースリッジ、パソロブレスアベニュー 9151 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A61K 38/36,38/37 A61K 35/14,35/16 CA(STN) MEDLINE(STN) BIOTECHABS(STN)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ヒト血漿又は血漿画分から導かれる止血促
    進組成物であって、 (a)総タンパク質濃度の少なくとも50%の量でフィブ
    リノーゲンを有し、 (b)約10〜約40単位/mlの第XIII因子を有し、 (c)検出可能レベルの脂質エンベロープウイルス活性
    を含まず、 (d)実質的に無パイロージェン性であり、 (e)5μg/ml以下のプラスミノーゲンを有し、 (f)本質的にプロトロンビン複合体及び活性トロンビ
    ンを含まず、そして (g)線溶阻害剤を含まない、 ことを特徴とする、組成物。
  2. 【請求項2】前記組成物が凍結乾燥されたものである、
    請求項1の組成物。
  3. 【請求項3】安定化剤及び/又は可溶剤を更に含むもの
    である、請求項1の組成物。
  4. 【請求項4】治療上有効量の薬物を更に含む、請求項1
    の組成物。
  5. 【請求項5】診断上有効量の診断剤を更に含む、請求項
    1の組成物。
  6. 【請求項6】フィブリンシール剤であって、 i.ヒト血漿又は血漿画分より導かれた止血促進組成物で
    あって、 (a)総タンパク質の濃度の少なくとも50%の量でフィ
    ブリノーゲンを有し、 (b)約10〜約40単位/mlの第XIII因子を有し、 (c)検出可能レベルの脂質エンベロープウイルス活性
    を含まず、 (d)実質的に無パイロージェン性であり、 (e)5μg/ml以下のプラスミノーゲンを有し、 (f)実質的にプロトロンビン複合体及び活性トロンビ
    ンを含まず、そして (g)線溶阻害剤を含まない ことを特徴とする、組成物と、 ii.触媒有効量のトロンビンと、そして iii.カルシウムイオン との混合物を含む、シール剤。
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