JP2891257B2 - Dvdの保護コート兼接着用樹脂組成物 - Google Patents

Dvdの保護コート兼接着用樹脂組成物

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JP2891257B2
JP2891257B2 JP10151235A JP15123598A JP2891257B2 JP 2891257 B2 JP2891257 B2 JP 2891257B2 JP 10151235 A JP10151235 A JP 10151235A JP 15123598 A JP15123598 A JP 15123598A JP 2891257 B2 JP2891257 B2 JP 2891257B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光情報記録媒体の
一種であって、ポリカーボネート系の樹脂からなる2枚
の基板を貼り合わせた構造のDVD(digital video di
sk 又は digitalversatile disk)において、2枚の基
板のうち少なくとも一方の基板の表面に設けられた反射
膜の保護コート剤兼基板間の接着剤として用いられる光
硬化性の樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】DVDに類似した光情報記録媒体とし
て、CD(compact disk)がよく知られている。CDに
も、基板上に形成されたアルミニウムの蒸着膜からなる
反射膜を保護する目的で、光硬化性樹脂による保護コー
トが施されるのが一般的である。CDの場合、基板はポ
リカーボネートの単板で構成され、保護コートは構造上
最も外側に位置することになる。そのため、この保護コ
ート用樹脂組成物には、反射膜の保護機能とともに、傷
がつきにくいなどのハードコート的な機能が要求され、
その樹脂組成物は、アクリレート等の重合性不飽和基の
架橋密度が比較的高く、硬化収縮は比較的大きいが、硬
度の高い塗膜の得られるものが使用されている。
【0003】一方、DVDはCDと異なり、薄いディス
ク基板を2枚貼り合わせた構造となり、反射膜は、基板
の貼り合わせ面(基板ハンドリング時に手が触れない内
側の面)に位置することになる。このようなDVDの一
例を、その概略断面図を示す図3及び図4に基づいて説
明すると、このDVDは、第1のディスク基板1と第2
のディスク基板2を貼り合わせた構造になっている。デ
ィスク基板1及び2は通常、ポリカーボネート系の樹脂
で構成される。そして、情報記録のためのピットが形成
されたディスク基板1の表面には、反射膜3が設けられ
ている。反射膜3は通常、アルミニウムの蒸着によって
形成される。反射膜3の表面には保護コート5が形成さ
れ、さらに接着剤層6を介して、第2のディスク基板2
と貼り合わされている。
【0004】図3に示すものは、「SD−5」と呼ばれ
る片面読み取り1層記録タイプのものであって、第2の
ディスク基板2には、情報記録のためのピットが形成さ
れておらず、第1のディスク基板1の表面に設けられた
反射膜3が第2のディスク基板2に向かい合って配置さ
れている。そして、反射膜3の表面には保護コート5が
形成され、さらに接着剤層6を介して、第2のディスク
基板2と貼り合わされている。
【0005】図4に示すものは、「SD−9」と呼ばれ
る片面読み取り2層記録タイプのものであって、2枚の
ディスク基板1,2の両方に情報記録のためのピットが
形成されている。そして、一方のディスク基板2のピッ
ト面には、半透明膜4が設けられ、その上に、基板1側
と同様に保護コート5が形成され、保護コート5,5同
士が接着剤層6で接着されている。半透明膜4は、金な
どの蒸着膜で構成される。また図4に示す構造には、基
板2上の膜4も反射膜とした「SD−10」と呼ばれる
両面記録両面読み取りタイプのものもある。
【0006】以上のように構成されるDVDでは、CD
に比べて情報の記録密度が約8倍に高められており、ま
た情報を記録するピットのトラックピッチがCDの約2
分の1に狭められている。このことは、ディスク基板1
又は2がなんらかの原因で変形すると、ピットへのダメ
ージが大きく、記録されている情報を正確に読み出せな
くなる可能性が高いことを意味する。これらのことから
すれば、DVDに使用される反射膜の保護コート剤に
は、ハードコート的な機能よりもむしろ、硬化時の収縮
が少なく、ディスク基板を変形させにくいといった機能
が望まれることになる。しかしながら従来は、CD用保
護コート剤をベースとしたものがDVD用の保護コート
剤として使用されるのが一般的であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】CD用保護コート剤を
ベースにDVD用の保護コート剤として使用する場合、
その保護コート剤とは別に、2枚のディスク基板を貼り
合わせるための接着剤が必要となる。この接着剤として
は、ホットメルトタイプや光硬化タイプ等、種々の材料
が使用されている。このように、保護コート剤と接着剤
を別個の材料とする場合、当然のことながら、保護コー
トの形成と基板の貼り合わせを別工程で行う必要があ
り、DVDを作成する工程が煩雑になるという問題が生
ずる。
【0008】本発明の目的は、1種類の光硬化性樹脂組
成物で、ディスク基板上に形成されている反射膜の保護
コート機能と、2枚のディスク基板を貼り合わせる接着
機能とを併せ持つDVDの保護コート兼接着用樹脂組成
物を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は、このような
機能を持つ光硬化性の樹脂組成物を開発すべく、鋭意研
究を行った結果、以下の組成物により上記の目的が達成
できることを見出し、本発明に至った。
【0010】すなわち本発明は、DVDを構成する2枚
のディスク基板を貼り合わせ、かつそれら2枚の基板の
うち少なくとも一方の基板の表面に設けられた反射膜を
保護するための樹脂組成物であって、不飽和基の重合反
応により硬化する光硬化性成分、光重合開始剤及びフェ
ノール系一次酸化防止剤を必須成分とし、この光硬化性
成分が、(i) 2官能ウレタンアクリレート、(ii) ビ
スフェノールA骨格を有するエポキシアクリレート、及
び(iii) 下式(I)
【0011】
【0012】(式中、mは3〜5の整数を表す)で示さ
れるN−ビニルラクタム化合物を含有し、上記の光重合
開始剤が、上記の光硬化性成分全体の量に対して0.1重
量%以上5.0重量%未満の量の下式(II)
【0013】
【0014】(式中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6
は互いに独立に、水素、炭素数1〜4のアルキル、炭素
数1〜4のアルコキシ又はハロゲンを表し、Xは、炭素
数1〜10のアルキル又は、無置換の若しくは、炭素数
1〜4のアルキル、炭素数1〜4のアルコキシ及びハロ
ゲンから選ばれる基で置換されたフェニルを表し、nは
0又は1を表す)で示されるベンゾイルフォスフィンオ
キシド化合物を含有し、そしてこの樹脂組成物の25℃
における粘度が350〜700mPa・s の範囲にある、D
VDの保護コート兼接着用樹脂組成物を提供するもので
ある。
【0015】この組成物を、2枚のディスク基板の間に
配置し、光硬化させることにより、2枚のディスク基板
がこの組成物の硬化物で接着され、かつ反射膜が保護さ
れたDVDが得られる。
【0016】
【発明の実施の形態】光硬化型の樹脂組成物は一般に、
不飽和基の重合反応により硬化する光硬化性成分を含有
する。かかる光硬化性成分は、ビニル重合型の各種モノ
マーやオリゴマーでありうる。
【0017】ビニル重合型モノマーの具体例としては、
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、分岐脂肪酸ビニルの
ようなビニルエステル、(メタ)アクリル酸アルキルエ
ステル、(メタ)アクリル酸グリシジルエステル、ジエ
チレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチ
ルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロール
プロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリト
ールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリト
ールヘキサ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフ
リル(メタ)アクリレートのような(メタ)アクリル酸
エステル、 スチレン、アルキルスチレン、ジビニルベ
ンゼンのようなビニル芳香族炭化水素、クロロスチレ
ン、クロロ(メタ)アクリル酸エステルのような含塩素
不飽和化合物、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプ
ロラクタム、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル
アクリレート、イソボルニルアクリレート、ジシクロペ
ンテニルオキシエチルアクリレートなどが挙げられる。
【0018】またビニル重合型オリゴマーの具体例とし
ては、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル
(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレ
ート、ウレタン(メタ)アクリレート、シリコーン(メ
タ)アクリレートなどが挙げられる。
【0019】これらのうち、本発明の組成物は、(i)
2官能ウレタンアクリレート、(ii) ビスフェノールA
骨格を有するエポキシアクリレート、及び(iii) 前記式
(I)で示されるN−ビニルラクタム化合物の少なくと
も三成分を必須に含有する。もちろん、これら三成分以
外に、上記した各種の光硬化性成分を1種又は複数種含
有することは差し支えない。本発明で必須とする上記三
成分について、さらに詳細に説明する。
【0020】2官能ウレタンアクリレートは通常、ジイ
ソシアネート、ポリオール及び2−ヒドロキシアルキル
アクリレートの付加反応により生成するオリゴマーであ
る。この2官能ウレタンアクリレートは、骨格中のウレ
タン基−NHCOO−が、芳香族環に直接結合していな
いものが好ましく、このような脂肪族系の2官能ウレタ
ンアクリレートを用いた場合は、それを含む樹脂組成物
を硬化させた後の経時変化(特に黄変)が起きにくい。
すなわち、ウレタンアクリレートについては近年、芳香
族ジイソシアネートを起源とし、ウレタン基が芳香族環
に直接結合するものを黄変型と呼び、一方、脂肪族ジイ
ソシアネートを起源とし、芳香族環を有しないか、又は
芳香族環を有してもそこにウレタン基が直接結合しない
ものを無黄変型と呼んで区別することが多いが、本発明
では後者のものが好ましい。したがって、2官能ウレタ
ンアクリレートが分子内に芳香族環を有することは構わ
ないが、上記のとおり、その芳香族環に直接ウレタン基
が結合しない構造のものが有利である。このようなウレ
タン基に直接結合しない芳香族環は通常、ポリオール成
分から持ち込まれることになる。
【0021】そこで、2官能ウレタンアクリレートの原
料となる好ましいジイソシアネートとしては、イソホロ
ンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソ
シアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、水添ジ
フェニルメタンジイソシアネートのような脂肪族ジイソ
シアネートが例示される。好ましいポリオールとして
は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコー
ル、ポリテトラメチレングリコールのようなポリエーテ
ルポリオール、さらにポリエステルポリオール、カプロ
ラクトン変性ジオール、カーボネートジオール、ポリシ
ロキサンポリオール、ビスフェノールAのポリエーテル
ポリオール又はポリエステルポリオール付加物などが例
示される。また、2−ヒドロキシアルキルアクリレート
としては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒ
ドロキシプロピルアクリレートなどが例示される。
【0022】2官能ウレタンアクリレートは、その重量
平均分子量が 1,000〜10,000の範囲にあるのが好まし
い。2官能ウレタンアクリレートの含有量は、樹脂組成
物中に含まれる光硬化性成分全体の量を基準に、すなわ
ち、組成物中のビニル重合型モノマー及びオリゴマーの
合計量を基準に、5〜75重量%の範囲が好ましく、さ
らには15重量%以上、また60重量%以下がより好ま
しい。
【0023】ビスフェノールA骨格を有するエポキシア
クリレートは、分子内に、ビスフェノールA骨格及び、
エポキシ基にアクリル酸又はメタクリル酸が付加してエ
ポキシ基が開環した構造を有するモノマー又はオリゴマ
ーである。ビスフェノールA骨格を有するエポキシアク
リレートとして具体的には、ビスフェノールAのジグリ
シジルエーテルにアクリル酸の付加したもの、ビスフェ
ノールAのジグリシジルエーテルにビスフェノールAを
重付加し、その末端にアクリル酸を付加したものなどが
例示できる。ビスフェノールA骨格を有するエポキシア
クリレートの含有量は、光硬化性成分全体の量を基準
に、1〜50重量%の範囲が好ましく、さらには5重量
%以上、また30重量%以下がより好ましい。
【0024】式(I)で示されるN−ビニルラクタム化
合物は、単官能光重合性モノマーの1種として用いられ
る。この化合物は、基板であるポリカーボネート系樹脂
の溶解度が比較的高く、樹脂成分にこの化合物を含有さ
せることで、塗布膜の基板への密着力を向上させ、結果
として塗布膜の環境試験耐性を向上させる。式(I)で
示されるN−ビニルラクタム化合物として、具体的には
N−ビニル−2−ピロリドンやN−ビニルカプロラクタ
ムなどが挙げられる。この化合物は、光硬化性成分全体
の量を基準に、10〜40重量%の範囲で用いるのが好
ましく、さらには15重量%以上、また30重量%以下
とするのがより好ましい。
【0025】本発明の樹脂組成物は、光硬化性成分とし
て、以上説明した2官能ウレタンアクリレート、ビスフ
ェノールA骨格を有するエポキシアクリレート及び式
(I)で示されるN−ビニルラクタム化合物の少なくと
も三成分を必須に含有し、さらに、光硬化のための光重
合開始剤として、前記式(II)で示されるベンゾイルフ
ォスフィンオキシド化合物を、また酸化防止剤として、
フェノール系一次酸化防止剤を含有する。2官能ウレタ
ンアクリレートとビスフェノールA骨格を有するエポキ
シアクリレートを併用することにより、硬化後の収縮が
少なく、ディスク基板が変形しにくくなり、また硬化後
の経時変化も少なくなる。さらにベンゾイルフォスフィ
ンオキシド化合物を用いることにより、2枚のディスク
基板及びその少なくとも一方の表面に設けられた反射膜
に対する接着力が向上する。またフェノール系一次酸化
防止剤を用いることにより、硬化物の環境耐性、特に耐
熱性が向上する。
【0026】ベンゾイルフォスフィンオキシド化合物を
表す式(II)において、R1、R2、R3、R4、R5及び
6は互いに同一でも異なってもよく、水素、炭素数1
〜4のアルキル、炭素数1〜4のアルコキシ又はハロゲ
ンである。ここで、アルキルの例としては、メチル、エ
チル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、
tert−ブチルなどが挙げられ、アルコキシの例として
は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシなどが
挙げられ、ハロゲンの例としては、フッ素、塩素、臭素
などが挙げられる。また、Xはフェニル又は炭素数1〜
10のアルキルを表し、ここでフェニルは、炭素数1〜
4のアルキル、炭素数1〜4のアルコキシ及びハロゲン
から選ばれる基で置換されていてもよい。フェニルに置
換しうるアルキル、アルコキシ及びハロゲンの例には、
先にR1〜R6の例として挙げたものが包含され、Xで表
されるフェニルには、これらの基が1〜3個置換しう
る。Xで表されるアルキルの例としては、メチル、エチ
ル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert−ブチル、
ペンチル、tert−ペンチル、ヘキシル、オクチル、2−
エチルヘキシル、2,4,4−トリメチルペンチル、ノ
ニル、デシルなどが挙げられ、これらの例から明らかな
ように、炭素数3以上の場合は、直鎖でも分岐していて
もよい。
【0027】式(II)に相当するベンゾイルフォスフィ
ンオキシド系光重合開始剤として、現在市販されている
ものの例を示せば、2,4,6−トリメチルベンゾイル
ジフェニルフォスフィンオキシド(BASF社が販売す
る“ルシリン TPO”)、ビス(2,4,6−トリメチル
ベンゾイル)フェニルフォスフィンオキシド(チバ・ス
ペシャルティ・ケミカルズ社が販売する“イルガキュア
819”)などがある。さらに、ビス(2,6−ジメトキ
シベンゾイル)(2,4,4−トリメチルペンチル)フ
ォスフィンオキシドは、2−ヒドロキシ−2−メチルプ
ロピオフェノンとの重量比1:3の混合開始剤の形でチ
バ・スペシャルティ・ケミカルズ社より“イルガキュア
1700 ”として、また別に1−ヒドロキシシクロヘキシ
ルフェニルケトンとの重量比1:3の混合開始剤の形で
同社より“イルガキュア 1800 ”として、それぞれ販売
されている。
【0028】その他に、ベンゾイルジフェニルフォスフ
ィンオキシド、o−又はp−トルオイルジフェニルフォ
スフィンオキシド、4−tert−ブチルベンゾイルジフェ
ニルフォスフィンオキシド、2,6−ジメチルベンゾイ
ルジフェニルフォスフィンオキシド、2,6−ジメトキ
シベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、2,
4,6−トリメトキシベンゾイルジフェニルフォスフィ
ンオキシド、2,6−ジクロロベンゾイルジフェニルフ
ォスフィンオキシド、2,6−ジブロモベンゾイルジフ
ェニルフォスフィンオキシド、2,3,4,6−テトラ
メチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドなど
も、式(II)のベンゾイルフォスフィンオキシド化合物
に包含される。
【0029】式(II)のベンゾイルフォスフィンオキシ
ド化合物は、前記した光硬化性成分全体の量に対して、
0.1重量%以上5重量%未満の範囲で含有させる。この
量が少なすぎると、他の光重合開始剤を併用した場合で
も、接着力の向上に十分な効果が得られず、またその量
があまり多くなると、光硬化後の接着剤層が経時変化に
より不透明化(白化)したり、反射膜に腐食が生じたり
する傾向が出てくる。式(II)のベンゾイルフォスフィ
ンオキシド化合物の好ましい含有量は、光硬化性成分全
体の量に対して、1重量%以上、また4重量%以下であ
る。
【0030】本発明においては、光重合開始剤として式
(II)のベンゾイルフォスフィンオキシド化合物を用い
ることが必須であるが、その他の光重合開始剤を混合し
て使用することもできる。このような併用される光重合
開始剤としては、ベンゾフェノン、ベンジル、ミヒラー
ズケトン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチ
ルチオキサントン、ベンゾインエチルエーテル、ジエト
キシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、2−
ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、1−ヒドロ
キシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−
〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノプロ
パン−1−オン、ジメチルアミノアセトフェノン、2,
4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシフ
ェニル)−1,3,5−トリアジンのような、紫外域に
吸収を有する化合物、及び、カンファーキノン、3−ケ
トクマリンのような、可視域に吸収を有する化合物が挙
げられる。これらの化合物は、それぞれ単独で式(II)
のベンゾイルフォスフィンオキシド化合物と組み合わせ
て使用してもよいし、2種又はそれ以上を式(II)のベ
ンゾイルフォスフィンオキシド化合物と組み合わせて使
用することも可能である。また、必要に応じて増感剤な
どを併用することもできる。式(II)のベンゾイルフォ
スフィンオキシド化合物以外の光重合開始剤を併用する
場合でも、光重合開始剤は総量で、光硬化性成分全体の
量に対して、0.5〜20重量%の範囲で用いるのが好ま
しく、さらには1重量%以上、また10重量%以下がよ
り好ましい。
【0031】さらに本発明の樹脂組成物は、その硬化物
の環境耐性(特に耐熱性)を高め、かつ光ラジカル重合
による硬化反応の阻害効果の少ないフェノール系一次酸
化防止剤を必須成分として含有する。ここでいうフェノ
ール系一次酸化防止剤とは、フェノール骨格を有し、そ
のフェノール性水酸基に対する二つのo−位のうち少な
くとも一方にtert−ブチルのような4級炭素で結合する
アルキルを有し、各種の樹脂に対して酸化防止能を発揮
するヒンダードフェノール又は片ヒンダードフェノール
化合物である。その具体例としては、2,6−ジ−tert
−ブチル−4−メチルフェノール、n−オクタデシル
3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロピオネート、2,2′−メチレンビス(6−
tert−ブチル−4−メチルフェノール)、2−tert−ブ
チル−6−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−
メチルベンジル)−4−メチルフェニル アクリレー
ト、2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−
ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−tert−ペン
チルフェニル アクリレート、4,4′−ブチリデンビ
ス(2−tert−ブチル−5−メチルフェノール)、4,
4′−チオビス(2−tert−ブチル−5−メチルフェノ
ール)、テトラキス〔メチレン 3−(3,5−ジ−te
rt−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト〕メタン、3,9−ビス〔2−{3−(3−tert−ブ
チル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオ
ニロキシ}−1,1−ジメチルエチル〕−2,4,8,
10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカンなどが
挙げられる。フェノール系一次酸化防止剤は、光硬化性
成分全体の量に対して、0.005〜5重量%の範囲で用
いるのが好ましく、さらには0.01重量%以上、また3
重量%以下がより好ましい。
【0032】本発明の樹脂組成物は、その他の添加成分
として、シリカやアルミナのような充填剤、ポリメタク
リル酸メチルやポリメタクリル酸エチル、メタクリル酸
メチル−ヒドロキシエチルアクリレート共重合体のよう
なポリマー、弗素含有化合物やシリコン含有化合物のよ
うなフローコントロール剤ないしレベリング剤、さらに
は、フェノール系一次酸化防止剤以外の酸化防止剤、光
安定剤、重合禁止剤などを含有することもできる。
【0033】この樹脂組成物は、20〜60μm 程度の
厚さの均一な塗布膜を形成するために、その25℃にお
ける粘度が350〜700mPa・s の範囲となるよう調整
する必要がある。この粘度は、400mPa・s 以上、また
650mPa・s 以下であるのがより好ましい。特に、スピ
ンコートにより均一な塗布膜を形成する場合、樹脂液の
粘度の管理は非常に重要である。粘度が低すぎると、所
定の膜厚に到達することができず、また粘度が高すぎる
と、樹脂への気泡のかみ混み等の問題が発生する。樹脂
液の粘度が高い場合、樹脂液の温度を上げて低粘度化す
ることにより、使用できる粘度範囲を広げることも当然
可能であるが、このように温度を上げた場合には、樹脂
液の経時変化の促進、基板であるポリカーボネートの溶
解量増大などの問題が生ずる。
【0034】次に、本発明の樹脂組成物の使用態様及
び、それを用いて得られるDVDの具体例について、図
1及び図2を参照しながら説明する。図1は、本発明の
樹脂組成物を、先に説明した従来例を示す図3の構造に
対応する片面読み取り1層記録タイプのSD−5に適用
した例を示すDVDの概略断面図である。ポリカーボネ
ート系樹脂からなる第1のディスク基板1には、情報記
録のためのピットが形成され、そのピット表面は、反射
膜3で覆われている。この反射膜3は通常、アルミニウ
ムの蒸着によって形成される。そして、ポリカーボネー
ト系樹脂からなる第2のディスク基板2が、第1の基板
1のピット面に対向しており、基板1上の反射膜3と基
板2の間に、保護コート兼接着剤層7が設けられる。
【0035】図2は、本発明の樹脂組成物を、先に説明
した従来例を示す図4の構造に対応する片面読み取り2
層記録タイプのSD−9に適用した例を示すDVDの概
略断面図である。この例では、2枚のディスク基板1,
2の両方に、情報記録のためのピットが形成され、ディ
スク基板1上のピット表面は反射膜3で覆われ、ディス
ク基板2上のピット表面は半透明膜4で覆われている。
反射膜3は通常、アルミニウムの蒸着によって、また半
透明膜4は金などの蒸着によって、それぞれ形成され
る。そして、ディスク基板1,2のピット面が内側で対
向しており、そこに保護コート兼接着剤層7が設けられ
る。
【0036】本発明の樹脂組成物は、図1及び図2にお
ける保護コート兼接着剤層7として用いられるものであ
る。この保護コート兼接着剤層7は、例えば、以下のよ
うにして形成することができる。まず、ディスク基板1
及び2のうち一方の基板(反射膜3が設けられた基板1
の場合はその反射膜3の上、また半透明膜4が設けられ
た基板2の場合はその半透明膜4の上)に、上記樹脂組
成物をスピンコート法などにより均一に塗布し、そこに
もう一方のディスク基板を、上記樹脂組成物で構成され
る保護コート兼接着剤層7の厚みが均一に20〜60μ
m となるように貼り合わせる。あるいはまた、2枚のデ
ィスク基板1及び2の間に上記樹脂組成物を流し込み、
その状態でディスク基板1及び2を回転させてスピンコ
ートすることにより、樹脂組成物を塗り広げ、その樹脂
組成物で構成される保護コート兼接着剤層7の厚みが均
一に20〜60μm となるようにしてもよい。
【0037】そして、図1のような片面読み取り1層記
録タイプの場合は、情報記録のためのピット及び反射膜
が設けられていない第2のディスク基板2側から光を所
定量照射し、保護コート兼接着剤層7を形成する樹脂組
成物を硬化させる。一方、図2のような片面読み取り2
層記録タイプの場合には、半透明膜4が設けられた第2
のディスク基板2側から光を照射し、保護コート兼接着
剤層7を形成する樹脂組成物を硬化させる。さらに図示
はしていないが、両面記録両面読み取りタイプのDVD
に対しても、本発明の樹脂組成物を適用することができ
る。この場合、2枚のディスク基板の対向面には、それ
ぞれ反射膜が設けられているが、反射膜とはいえ若干の
光は透過するので、少なくとも一方の反射膜を比較的光
の透過しやすいものとしたり、あるいは透過性の強い光
を用いることによって、本発明の樹脂組成物を適用し、
上記のような方法で保護コート兼接着剤層を形成するこ
とができる。
【0038】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はこれらの実施例によって限定される
ものではない。例中、粘度は、B型粘度計、ローター N
o.2を用い、25℃、30rpm で測定した値である。な
お、以下の例では、組成物を構成する成分として次のも
の(すべて市販品であり、商品名で示す)を使用した。
【0039】(A)光硬化性成分 (A1)2官能ウレタンアクリレート EBECRYL 270 (ダイセルユーシービー社製):芳香族環
を有しない脂肪族ポリエーテルポリオールタイプの2官
能ウレタンアクリレート UX-6101 (日本化薬社製):ベンゼン環を有するが、ウ
レタン基がそのベンゼン環に直接結合していない無黄変
型ポリエステルポリオールタイプの2官能ウレタンアク
リレート UX-4101 (日本化薬社製):ベンゼン環を有するが、ウ
レタン基がそのベンゼン環に直接結合していない無黄変
型ポリエステルポリオールタイプの2官能ウレタンアク
リレート アロニックス M-1310 (東亞合成社製):ベンゼン環を
有し、ウレタン基がそのベンゼン環に直接結合している
黄変型ポリエステルポリオールタイプの2官能ウレタン
アクリレート UX-2301 (日本化薬社製):ベンゼン環を有し、ウレタ
ン基がそのベンゼン環に直接結合している黄変型ポリエ
ーテルポリオールタイプの2官能ウレタンアクリレート
【0040】(A2)ビスフェノールA骨格を有するエポ
キシアクリレート リポキシ SP-1519(昭和高分子社製):ビスフェノール
Aジグリシジルエーテルジアクリレート
【0041】(A3)その他の単官能光重合性モノマー N-V-2P/RC (ISPインベストメント社製):N−ビニ
ル−2−ピロリドン V-Cap/RC(ISPインベストメント社製):N−ビニル
カプロラクタム ビスコート 150(大阪有機化学社製):テトラヒドロフ
ルフリルアクリレート アロニックス M-5700 (東亞合成社製):2−ヒドロキ
シ−3−フェノキシプロピルアクリレート QM-589(ローム・アンド・ハース社製):イソボルニル
アクリレート FA-513A(日立化成社製):トリシクロデカンアクリレ
ート HO(共栄社化学製):2−ヒドロキシエチルメタクリレ
ート MANDA(日本化薬社製):ヒドロキシピバリン酸ネオペ
ンチルグリコールジアクリレート
【0042】 (B)光重合開始剤 (B1)式(II)のベンゾイルフォスフィンオキシド化合
物 ルシリン TPO(BASF社製):2,4,6−トリメチ
ルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド イルガキュア 1800 (チバ・スペシャルティ・ケミカル
ズ社製):ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)
(2,4,4−トリメチルペンチル)フォスフィンオキ
シドと1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンと
の重量比1:3の混合物
【0043】(B2)その他の光重合開始剤 イルガキュア 184(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ
社製):1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン イルガキュア 907(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ
社製):2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニ
ル〕−2−モルホリノプロパン−1−オン
【0044】(C)フェノール系一次酸化防止剤 スミライザー BHT(住友化学社製):2,6−ジ−tert
−ブチル−4−メチルフェノール
【0045】実施例1〜4及び比較例1〜6 〈評価用試料の作成〉表1に示した各樹脂組成物を、D
VD用の0.6mm 厚ポリカーボネート基板の上に滴下
し、その上に別の基板を重ね合わせた状態で回転させて
スピンコートすることにより、樹脂組成物を2枚の基板
の間に均一に塗り広げた。スピンコートの回転数は、樹
脂温度約25℃で基板の間に挟まれた組成物の硬化後の
膜厚が約40μm となるように調節した。ここで用いた
DVD用の0.6mm 厚ポリカーボネート基板は、直径1
2cmの円盤で、1枚が信号を記録し、アルミニウム蒸着
膜を形成させたもの、残りの1枚が信号記録及びアルミ
ニウム蒸着膜のないダミーのものである。2枚の基板間
に均一に樹脂組成物をコートした試料に対し、高圧水銀
ランプを用いてダミーのポリカーボネート基板側から約
300mJ/cm2 の紫外線を照射し、樹脂組成物を硬化さ
せた。
【0046】
【表1】 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 例 No. 実 施 例 比 較 例 1 2 3 4 1 2 3 4 5 6 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 樹脂組成(重量部) (A1)EBECRYL 270 41.0 45.0 − − 41.0 41.0 41.0 − 45.0 50.0 UX-6101 − − 36.2 31.9 − − − − − − アロニックス M-1310 − − − − − − − 41.0 − − ───────────────────────────────── (A2)リホ゜キシ SP-1519 20.8 7.9 12.2 17.5 20.8 20.8 20.8 20.8 7.9 − ───────────────────────────────── (A3)N-V-2P/RC 19.1 23.5 − − 19.1 19.1 − 19.1 23.5 25.0 V-Cap/RC − − 25.8 25.3 − − − − − − ヒ゛スコート 150 19.1 − 25.8 25.3 19.1 19.1 38.2 19.1 − − アロニックス M-5700 − 15.7 − − − − − − 15.7 16.7 QM-589 − 7.9 − − − − − − 7.9 8.3 ───────────────────────────────── (B1)ルシリン TPO 2.5 1.0 2.5 2.5 5.0 − 2.5 2.5 − 1.0 ───────────────────────────────── (B2)イルカ゛キュア 184 2.5 1.0 2.5 2.5 5.0 2.5 2.5 2.5 2.5 1.0 イルカ゛キュア 907 − − − − − 1.0 − − 1.0 − ───────────────────────────────── (C)スミライサ゛ー BHT 0.05 0.05 0.05 0.05 0.05 0.05 0.05 0.05 0.05 0.05 ──────────────────────────────────── 25℃での粘度(mPa・s) 500 530 480 490 530 560 520 950 610 410 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【0047】〈試料の評価〉まず、スピンコートにより
塗布膜を形成したので、装置の使用可能条件範囲内で所
定の膜厚が得られるかどうかを、次の基準で判定した。 ○ 装置の使用条件を調節することにより、40μmの
膜厚が得られる。 × 装置の使用条件を調節しても、40μmの膜厚が得
られない。
【0048】また、得られた塗布膜に気泡がかみ込んで
いないかどうかを目視観察し、次の基準で評価した。 ○ 気泡のかみ込みが認められない。 △ 複数回の試験でときどき気泡のかみ込みが認められ
る。 × 常に気泡のかみ込みが認められる。
【0049】DVD用樹脂組成物は、硬化後、ポリカー
ボネートやアルミニウム蒸着膜への高い密着力、基板の
反りを発生させにくい低硬化収縮性、適切なヤング率特
性とガラス転移温度、低吸水率等の物性を発現すること
が要求される。加えて、これらの物性を、例えば温度8
0℃、相対湿度85%で96時間の環境試験後も維持し
続けることも要求される。そのためここでは、これらの
諸物性を簡便に、かつ合理的に評価する方法として、温
度105℃、相対湿度100%で48時間の環境試験法
を採用した。この環境試験実施後に剥離や反りなどの外
観不良を生じなかったものは、温度80℃、相対湿度8
5%で96時間の環境試験においても、同様に不具合を
生じないと考えられる。
【0050】具体的な試験方法は、上記のとおりに作成
した試料を、温度105℃、相対湿度100%で運転す
るプレッシャークッカー装置に入れて48時間保持す
る。その後試料を取り出し、基板同士の剥がれ、接着剤
層の不透明化(白化)、接着剤層の黄変、アルミニウム
蒸着膜の腐蝕、基板の反りなどの外観変化がないかどう
かを目視により判定する。その後、基板の間の樹脂層に
軽くナイフをあてて基板同士の剥離を試み、十分な密着
力が維持できているかどうかを確認する。なお、この試
験に用いた樹脂組成物は、実施例及び比較例とも、試験
前においては、ポリカーボネート及びアルミニウム蒸着
膜のいずれに対しても十分な密着力を示したものを選択
した。
【0051】〈結 果〉表2に、各組成物の評価結果を
まとめた。実施例1、3及び4の組成は、接着剤として
の機能のみならず、反射膜(アルミニウム蒸着膜)の保
護コート剤としての機能も十分に有していることが判明
した。実施例2の組成では、基板同士の剥離は認められ
ないものの、密着力はやや低いが、それ以外の性能は良
好であった。この組成で光重合開始剤の量を増やせば、
あるいは場合によりさらに他の光重合開始剤、例えばイ
ルガキュア907 を併用すれば、密着力はより向上する。
【0052】一方、比較例の各組成は、スピンコート適
性の不良、基板同士の剥離や接着剤層の不透明化又は黄
変、アルミニウム蒸着膜の腐蝕などの外観不良を生じ、
接着剤としての機能と反射膜(アルミニウム蒸着膜)の
保護膜としての機能のバランスにおいて良好とはいえな
かった。
【0053】
【表2】 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 例 No. 実 施 例 比 較 例 1 2 3 4 1 2 3 4 5 6 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ スピンコート適性 膜厚調整特性(40μm)○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 気泡抜け性 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ × ○ ○ ──────────────────────────────────── 環境試験後の評価結果 基板同士の剥がれ 無し 無し 無し 無し 無し 無し 有り 有り 無し 有り 接着剤層の不透明化 無し 無し 無し 無し 有り 無し 無し 有り 有り 有り 接着剤層の黄変 無し 無し 無し 無し 無し 無し 無し 有り 無し 無し アルミニウム蒸着膜の腐食 無し 無し 無し 無し 有り 無し 無し 有り 無し 無し 基板の反り 無し 無し 無し 無し 無し 有り 有り 無し 無し 無し 基板同士の密着力 維持 低下 維持 維持 低下 低下 剥離 剥離 低下 剥離 ──────────────────────────────────── 総合判定 ◎ ○ ◎ ◎ × × × × × × ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【0054】なお、実施例の各組成は、金蒸着膜の付い
たポリカーボネート基板との密着力も良好であり、かつ
両面アルミニウム蒸着膜の付いたポリカーボネート基板
の間に塗布したものも光硬化可能である。したがって本
発明の組成物は、SD−9やSD−10用としても十分
使用できる。
【0055】比較例7〜10 表3に示した各樹脂組成物(いずれも、フェノール系一
次酸化防止剤を含まないもの)を用いて、実施例1と同
様の方法で2枚のポリカーボネート基板の間にスピンコ
ートし、スピンコートの際の膜厚調整特性及び気泡抜け
性を評価した。結果を併せて表3に示す。
【0056】
【表3】
【0057】表3からわかるように、比較例7〜9のも
のは、スピンコート時の気泡の抜けが十分でない。一
方、比較例10のものは、膜厚調整特性及び気泡抜け性
を含めてスピンコート特性には優れるが、フォスフィン
オキシド系の光重合開始剤であるルシリンTPO の量が多
くなっているため、前記比較例1の結果なども合わせて
考慮すると、アルミニウム蒸着膜の腐食が起こりやすい
ものと想定される。
【0058】 参考例1及び2 フェノール系一次酸化防止剤の有無により、耐熱性がど
のように変化するかを評価した例を示す。表4に示した
各樹脂組成物を用いて、実施例1と同様の方法で2枚の
ポリカーボネート基板間にスピンコートし、スピンコー
トの際の膜厚調整特性及び気泡抜け性を評価したとこ
ろ、両組成とも、40μm の膜厚調整特性及び気泡抜け
性は良好であった。また、得られたポリカーボネート貼
り合わせ基板を煮沸水中で保持したところ、参考例1の
ものは16時間の煮沸で基板が剥離したが、参考例2の
ものは40時間煮沸後も2枚の基板が剥離せず、密着力
を保っていた。この例では、フォスフィンオキシド系の
光重合開始剤が配合されていないものの、フェノール系
一次酸化防止剤の存在により、耐熱性の改良が確認され
た。
【0059】
【表4】
【0060】
【発明の効果】本発明の樹脂組成物をDVDの製造に適
用することにより、保護コートの形成と2枚の基板の接
着を同時に行うことができ、そして得られるDVDは、
環境試験耐性に優れ、かつ基板同士の接着力に優れたも
のとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】片面読み取り1層記録タイプのDVDに本発明
の樹脂組成物を適用した例を示す概略断面図である。
【図2】片面読み取り2層記録タイプのDVDに本発明
の樹脂組成物を適用した例を示す概略断面図である。
【図3】片面読み取り1層記録タイプのDVDの従来例
を示す概略断面図である。
【図4】片面読み取り2層記録タイプのDVDの従来例
を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1,2……ディスク基板、 3…………反射膜、 4…………半透明膜、 7…………保護コート兼接着剤層。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // C09D 5/00 C09D 5/00 C 163/10 163/10 175/16 175/16 (C08F 290/06 226:06) (56)参考文献 特開 平10−287718(JP,A) 特開 平10−46109(JP,A) 特開 平10−279832(JP,A) 特開 平10−1659(JP,A) 特開 平6−73146(JP,A) 特開 昭57−109813(JP,A) 特開 平2−296879(JP,A) 特開 平7−62267(JP,A) 特開 平5−303770(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08F 290/00 - 290/14 C08F 2/00 - 2/60 C09D 1/00 - 201/10 C09J 1/00 - 201/10 G11B 7/00 - 7/28

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】DVDを構成する2枚のディスク基板を貼
    り合わせ、かつ該2枚の基板のうち少なくとも一方の基
    板の表面に設けられた反射膜を保護するための樹脂組成
    物であって、不飽和基の重合反応により硬化する光硬化
    性成分、光重合開始剤及びフェノール系一次酸化防止剤
    を必須成分とし、該光硬化性成分が、2官能ウレタンア
    クリレート、ビスフェノールA骨格を有するエポキシア
    クリレート、及び下式(I) (式中、mは3〜5の整数を表す)で示されるN−ビニ
    ルラクタム化合物を含有し、該光重合開始剤が、該光硬
    化性成分全体の量に対して0.1重量%以上5.0重量%未
    満の量の下式(II) (式中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は互いに独立
    に、水素、炭素数1〜4のアルキル、炭素数1〜4のア
    ルコキシ又はハロゲンを表し、Xは、炭素数1〜10の
    アルキル又は、無置換の若しくは、炭素数1〜4のアル
    キル、炭素数1〜4のアルコキシ及びハロゲンから選ば
    れる基で置換されたフェニルを表し、nは0又は1を表
    す)で示されるベンゾイルフォスフィンオキシド化合物
    を含有し、 そして該組成物の25℃における粘度が3
    50〜700mPa・s の範囲にあることを特徴とする、D
    VDの保護コート兼接着用樹脂組成物。
  2. 【請求項2】2官能ウレタンアクリレートの骨格中のウ
    レタン基が、芳香族環に直接結合していない請求項1記
    載の組成物。
  3. 【請求項3】2官能ウレタンアクリレートが、光硬化性
    成分全体の量を基準に5〜75重量%の範囲で存在する
    請求項1又は2記載の組成物。
  4. 【請求項4】ビスフェノールA骨格を有するエポキシア
    クリレートが、光硬化性成分全体の量を基準に1〜50
    重量%の範囲で存在する請求項1〜3のいずれかに記載
    の組成物。
  5. 【請求項5】N−ビニルラクタム化合物が、N−ビニル
    −2−ピロリドンである請求項1〜4のいずれかに記載
    の組成物。
  6. 【請求項6】N−ビニルラクタム化合物が、N−ビニル
    カプロラクタムである請求項1〜4のいずれかに記載の
    組成物。
  7. 【請求項7】N−ビニルラクタム化合物が、光硬化性成
    分全体の量を基準に10〜40重量%の範囲で存在する
    請求項1〜6のいずれかに記載の組成物。
  8. 【請求項8】ベンゾイフォスフィンオキシド化合物
    が、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォ
    スフィンオキシドである請求項1〜7のいずれかに記載
    の組成物。
  9. 【請求項9】光重合開始剤が、式(II)で示されるベン
    ゾイルフォスフィンオキシド化合物以外の化合物を含有
    し、これら光重合開始剤の総量が、光硬化性成分全体の
    量に対して0.5〜20重量%の範囲である請求項1〜8
    のいずれかに記載の組成物。
  10. 【請求項10】フェノール系一次酸化防止剤が、光硬化
    性成分全体の量に対して0.005〜5重量%の範囲で存
    在する請求項1〜9のいずれかに記載の組成物。
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