JP2884950B2 - 投影露光装置、露光方法および半導体集積回路の製造方法 - Google Patents

投影露光装置、露光方法および半導体集積回路の製造方法

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JP2884950B2 JP4271723A JP27172392A JP2884950B2 JP 2884950 B2 JP2884950 B2 JP 2884950B2 JP 4271723 A JP4271723 A JP 4271723A JP 27172392 A JP27172392 A JP 27172392A JP 2884950 B2 JP2884950 B2 JP 2884950B2
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  • Exposure Of Semiconductors, Excluding Electron Or Ion Beam Exposure (AREA)
  • Exposure And Positioning Against Photoresist Photosensitive Materials (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は半導体集積回路、液晶デ
ィスプレイ等の微細パターンの形成に用いる投影型露光
装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】この種の投影型露光装置に使われている
投影光学系は、高度な光学設計、硝材の厳選、硝材の超
精密加工、及び精密な組立て調整をへて装置内に組み込
まれる。現在、半導体製造工程では水銀ランプのi線
(波長365nm)を照明光としてレチクル(マスク)
を照射し、そのレチクル上の回路パターンの透過光を投
影光学系を介して感光基板(ウェハ等)上に結像するス
テッパーが主に使われている。また評価用、あるいは研
究用としてエキシマレーザ(波長248nmのKrFレ
ーザ)を照明光とするエキシマステッパーも使われてい
る。エキシマステッパー用の投影光学系は屈折レンズの
みで構成した場合、使用できる硝材が石英やホタル石等
に限定される。
【0003】一般に、投影光学系を用いた露光によって
微細なレチクルパターンを感光基板へ忠実に転写するた
めには、投影光学系の解像力と焦点深度(DOF:デプ
スオブフォーカス)とが重要なファクタとなっている。
現在実用化されている投影光学系のうち、i線用のもの
で開口数(NA)として0.6程度のものが得られてい
る。使用する照明光の波長が同じであるとき、投影光学
系の開口数を大きくすると、それに応じて解像力も向上
する。しかしながら焦点深度(DOF)は開口数NAの
増大に伴って減少する。焦点深度は照明光の波長をλと
したとき、DOF=±λ/NA2 によって定義される。
【0004】図1は従来の投影光学系の結像光路を模式
的に表したものであり、投影光学系は前群のレンズ系G
Aと後群のレンズ系GBとによって構成される。この種
の投影光学系はレチクルR側とウェハW側との両方をテ
レセントリックにしたもの、あるいはウェハW側のみを
テレセントリックにしたものが一般的である。さて、図
1においてレチクルRのパターン面(投影光学系の物体
面)上に任意の3つの点A、B、Cを想定する。点Aか
ら様々の方向に進む光線L1 、L2 、L3 、La、L
a’、La”のうち、光線L1 は投影光学系のレンズ系
GAに入射できないような角度で発生する。また、前群
のレンズ系GAに入射した光線のうち、光線L2 、L3
は投影光学系内のフーリエ変換面FTPに位置する瞳e
pを通過することができない。そして他の光線La、L
a’、La”は瞳epを通過して後群のレンズ系GBに
入射し、ウェハWの表面(投影光学系の瞳面)上の点
A’に収斂する。従って、レチクルR上の点Aから発生
した光線のうち、投影光学系の瞳ep(光軸AXを中心
とする円形領域)を通過した光線が点A’に点像を結像
するのに寄与する。ここで点Aから点A’に向う光線の
うち瞳epの中心点CC(光軸AXの位置)を通る光線
Laを主光線と呼び、この主光線Laは両側がテレセン
トリックな投影光学系の場合、物体面側、像面側の夫々
の空間で光軸AXと平行になっている。
【0005】またレチクルR上の他の点B、Cの夫々か
ら発生した光線についても全く同じであり、瞳epを通
過する光線のみが点像B’、C’の結像に寄与する。同
様に点B、Cの夫々から光軸AXと平行に進んでレンズ
系GAに入射する光線Lb、Lcは、いずれも瞳epの
中心点CCを通る主光線となる。このように瞳epはレ
チクルRのパターン面とウェハWの表面との夫々に対し
てフーリエ変換、及び逆フーリエ変換の関係にあり、レ
チクル上のパターンからの光線のうち結像に寄与する光
線は全て瞳epを重畳して通ることになる。
【0006】このような投影光学系の開口数は一般にウ
ェハ側の値として表されている。図1において、点像
A’の結像に寄与する光線のうち、瞳ep内の最外部を
通る光線La’、La”がウェハW上で主光線Laと成
す角度θwが、この投影光学系のウェハ(像面)側での
開口数NAW に相当し、NAw=sinθwで表され
る。従って光線La’、La”がレチクルR側で主光線
Laと成す角度θrは、レチクル(物体面)側での開口
数NArと呼ばれ、NAr=sinθrで表される。さ
らに投影光学系の結像倍率をM(1/5縮小の場合はM
=0.2)とすると、NAr=M・NAwの関係にあ
る。
【0007】ところで解像力を高めるためには、開口数
NAw(NAr)を大きくする訳であるが、このことは
換言すれば瞳epの径を大きくすること、さらにレンズ
系GA、GBの有効径を大きくすることに他ならない。
ところが、焦点深度DOFの方は開口数NAwの2乗に
反比例して減少してしまうため、例え高開口数の投影光
学系が製造できたとしても、必要な焦点深度が得られな
いことになり、実用上の大きな障害となる。
【0008】照明光の波長をi線の365nmとし、開
口数NAwを0.6とすると、焦点深度DOFは幅で約
1μm(±0.5μm)になってしまい、ウェハW上の
1つのショット領域(20mm角〜30mm角程度)内
で表面の凹凸や湾曲がDOF以上の部分については解像
不良を起こすことになる。またステッパーのシステム上
でも、ウェハWのショット領域毎のフォーカス合わせ、
レベリング等を格段に高精度に行う必要が生じ、メカ
系、電気系、ソフトウェアの負担(計測分解能、サーボ
制御精度、設定時間等の向上努力)が増大することにな
る。
【0009】そこで本件出願人は、このような投影光学
系の諸問題を解決し、しかも特公昭62−50811号
公報に開示されているような位相シフトレチクルを使わ
なくとも、高い解像力と大きな焦点深度との両方を得る
ことができる新たな投影露光技術を、特開平4−101
148号公報、特開平4−225358号公報等で提案
した。この露光技術は、投影光学系は既存のままで、レ
チクルへの照明方法を特殊な形体に制御することで見か
け上の解像力と焦点深度とを増大させるものであり、S
HRINC(uper igh esoluti
on by llumiation ontro
l)法と呼んでいる。このSHRINC法は、レチクル
R上のライン・アンド・スペースパターン(L&Sパタ
ーン)のピッチ方向に対称的に傾斜した2つの照明光
(又は4つの照明光)をレチクルへ照射し、L&Sパタ
ーンから発生する0次回折光成分と±1次回折光成分の
一方とを、投影光学系の瞳ep内で中心点CCに関して
対称的に通し、2光束干渉(一方の1次回折光と0次回
折光との干渉)の原理を利用して、L&Sパターンの投
影像(干渉縞)を生成するものである。
【0010】このように2光束干渉を利用した結像によ
ると、デフォーカス時の波面収差の発生が従来の方法
(通常の垂直照明)の場合よりも押さえられるため、見
かけ上焦点深度が大きくなるのである。ところが、この
SHRINC法はレチクルR上に形成されるパターンが
L&Sパターン(格子)のように、周期構造を持つとき
に所期の効果が得られるのであり、コンタクトホール等
の孤立したパターンに対してはその効果が得られない。
一般に、孤立した微小パターンの場合、そこからの回折
光はほとんどフランフォーファ回折として発生するた
め、投影光学系の瞳ep内では0次回折光と高次回折光
とに明確に分離しないためである。
【0011】そこでコンタクトホール等の孤立パターン
に対して見かけ上の焦点深度を拡大させる露光方法とし
て、ウェハWの1つのショット領域に対する露光を複数
回に分け、各露光の間にウェハWを光軸方向に一定量だ
け移動させる方法が、例えば特開昭63−42122号
公報で提案された。この露光方法はFLEX(ocu
atitude enhancement EX
posure)法と呼ばれ、コンタクトホール等の孤立
パターンに対しては十分な焦点深度拡大効果を得ること
ができる。ただしFLEX法は、わずかにデフォーカス
したコンタクトホール像を多重露光することを必須とす
るため、現像後に得られるレジスト像は必然的に鮮鋭度
が低下したものとなる。この鮮鋭度低下(プロファイル
悪化)の問題は、ガンマ値が高いレジストを用いたり、
多層レジストを用いたり、あるいはCEL(Contr
ast Enhancement Layer)を用い
たりすることで補うことができる。
【0012】またFLEX法のように露光動作中にウェ
ハWを光軸方向に移動させなくても、コンタクトホール
パターンの投影時の焦点深度を拡大する試みとして、1
991年春季応用物理学会の予稿集29a−ZC−8,
9で発表されたSuper−FLEX法も知られてい
る。このSuper FLEX法は、投影光学系の瞳e
pに透明な位相板を設け、この位相板によって結像光に
与えられる複素振幅透過率が光軸AXから周辺に向かっ
て順次変化するような特性を持たせたものである。この
ようにすると、投影光学系によって結像された像はベス
トフォーカス面(レチクルRと共役な面)を中心に光軸
方向に一定の幅(従来よりは広い)でシャープさを保つ
ことになり、焦点深度が増大するのである。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】以上で述べた各種従来
技術のうち、FLEX法、及びSuper FLEX法
では、孤立的なコンタクトホールパターンに対して十分
な焦点深度の増大効果を得ることができる。しかしなが
ら、ある程度接近した複数のコンタクトホールパターン
では、両方法共にホール間のフォトレジストに不要な膜
べりを生じさせてしまい、事実上使用することが困難に
なることがわかった。
【0014】さらに、FLEX法では、孤立的なコンタ
クトホールパターンについてもその像(多重露光で得ら
れる合成光学像)のシャープネスを必然的に悪化させる
ために、焦点深度は増大しても露光量裕度が減少すると
いう問題もある。また露光作業中にウェハを光軸方向に
連続的に移動又は振動する方式のFLEX法では走査露
光方式の露光装置への適用が難しく、また露光を第1の
露光と第2の露光に分割し、各露光間にウェハを光軸方
向に移動する方式では処理能力の低下が大きく、スルー
プットが著しく低下するという問題がある。
【0015】そこで本発明は、コンタクトホール等の孤
立したパターンの投影露光の際に、焦点深度を拡大した
投影露光装置を得ることを目的とし、特に比較的接近し
た複数の孤立パターンに対しても忠実な転写を可能と
し、同時に焦点深度拡大効果が得られる装置及び露光方
法を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記問題点の解決の為に
本発明では、パターンが形成されたマスクを照明光で照
明し、前記パターンからの光を基板上に導く投影露光装
置において、前記マスクと前記基板との間に設けられ、
前記パターンからの光を前記照明光の波長範囲より定ま
る可干渉距離以上の光路差を有する複数の光に変換する
変換手段を備えるようにした。
【0017】
【作用】本発明の作用を実施例の記載に基づいて説明す
る。レチクルパターン面に対して、光学的にフーリエ変
換の関係となる投影光学系内の面(以後瞳面と略す)、
又はその近傍面に干渉性低減部材を設け、その瞳面内で
円形または輪帯状に分布する結像光の一部と、それ以外
の部分に分布する結像光とを互いに干渉し合わない状態
とする。この結果レチクルパターン中の、特にコンタク
トホールパターンを透過、回折した露光光束(結像光)
は瞳面内で干渉し合わない2つの光束に空間的に分割さ
れ、ウェハ等の被露光体に到達する。ウェハ上でも2つ
の光束は干渉し合わない(インコヒーレントである)た
めに、それぞれの光束が作り出す像(コンタクトホール
の像)の光量上での強度合成像が得られる。従来の露光
方式ではレチクル上の微小コンタクトホールパターンを
透過、回折した光束は投影光学系を経てウェハ面に達す
ると、ここですべて振幅的に合成(コヒーレント加算)
されてレチクルパターンの像(光学像)を形成してい
た。従来のSuper−FLEX法においても、瞳面に
分布する結像光を部分的に位相シフトさせているだけな
ので、コヒーレント加算であることに変わりはない。
【0018】さて、投影光学系の瞳面に位相シフト板等
がないものとすると、ベストフォーカス(合焦状態)で
は、レチクル上の任意の1点からウェハ上の対応する像
点までの光路長は投影光学系中のどこの光線路を通るか
にかかわらずすべて等しく(フェルマーの原理)、従っ
てウェハ上の振幅合成は位相差のない光の合成となり、
すべてコンタクトホールパターンの強度を増大する方向
に作用する。
【0019】ところがウェハがデフォーカス(ウェハ表
面とベストフォーカス面との光軸方向のずれ)すると、
上記の光路長は投影光学系内の光線路によって異なった
長さとなる。この結果上記の振幅合成は光路差(位相
差)を有する光の加算となり、一部で相殺効果が生じ、
コンタクトホールパターンの中心強度を弱めることにな
る。このとき生じる光路差はウェハ上の1つの像点に入
射する任意の光線の入射角をθとし、かつウェハに垂直
に入射する光線(主光線)の光路長を基準(=0)とす
ると、ほぼ1/2(ΔF・sin2 θ)と表される。こ
こでΔFはデフォーカス量を表す。sinθの最大値は
投影光学系のウェハ側の開口数NAwであるから、従来
の如く微小ホールパターンからの回折光のうち瞳epを
通過したすべての光がウェハ上で振幅合成される場合、
最大で1/2(ΔF・NAw2 )の光路差を生じてしま
うことになる。このとき焦点深度としてλ/4の光路差
までを許容すると仮定すれば、以下の関係が成り立つ。
【0020】1/2(ΔF・NAw2 )=λ/4 この式をまとめ直すと、ΔF=λ/(2NAw2 )とな
って一般に言われる焦点深度幅と一致する。例えば露光
用照明光波長として現在使われているi線(波長0.3
65μm)を前提とし、開口数としてNAw=0.50
を想定すると、焦点深度±ΔF/2は±0.73μmと
なり、ウェハ上のプロセス段差1μm程度に対してほと
んど余裕のない値となっている。
【0021】一方、本発明では図2に示すように、投影
光学系の瞳面(FTP)に干渉性低減部材CCMを設け
る。このとき、レチクルRのパターン面に形成された孤
立パターンPrで回折した結像光束(主光線はLLp)
は投影光学系PLの前群レンズ系GAに入射した後、フ
ーリエ変換面FTPに達する。そしてフーリエ変換面F
TPにおいて、瞳面ep内の中心部の円形状透過部分F
Aと輪帯状の透過部FBとの夫々を透過する光束が互い
に干渉し合わない状態に制御(変換)される。このため
ウェハW上では干渉性低減部材CCMの円形状の透過部
FAを透過した光束LFaと周辺の透過部FBを通過し
た光束LFbは干渉を起こさない。その結果、円形の透
過部FAからの光束LFaと周辺部FBからの光束LF
bはそれぞれ独立して自分自身のみで干渉し合い、それ
ぞれホールパターンの像(強度分布)Pr’を形成す
る。すなわち光束LFaのみの干渉によってウェハW上
に生成される像と、光束LFbのみの干渉によって生成
される像とを、単純に強度的に加算したものが、本発明
によって得られるコンタクトホール等の孤立パターンの
像Pr’となる。
【0022】尚、レチクルRへの照明光ILBは従来と
同様に一定の開口数sinψ/2をもつものとする。た
だし投影光学系PLのレチクル側の開口数NArに対し
ては、NAr>sinψ/2の条件に設定される。そこ
で、本発明における結像原理を、さらに図3を参照して
説明する。図3は干渉性低減部材CCMの構造と、コン
タクトホールの像Pr’を生成する結像光束の様子と、
デフォーカス時の各光束の光路差ΔZとの各関係を模式
的に示したものである。
【0023】図3(A)の如く中心部を通る光束LFa
内での振幅合成では、光束LFaが垂直入射光線(主光
線LLp)から入射角度θ1 までの角度範囲の光線を含
むから、デフォーカス量がΔFの時の光路差の最大値Δ
1 は ΔZ1 =1/2(ΔF・sin2 θ1 )となる。尚、図
3の最下段のグラフの横軸は入射角の正弦を表し、si
nθ1 =NA1 とする。一方、図3(B)の如く周辺部
を通る光束LFb内での振幅合成では、光束LFbが入
射角度θ1 から開口数NAw(sinθw)までの入射
角度範囲の光線を有するので、デフォーカス量がΔFの
時の最大光路長差ΔZ2 は、 ΔZ2 =1/2(ΔF)(NAw2 −sin2 θ1 )と
なる。
【0024】第1の光束LFaと第2の光束LFbは互
いには干渉し合わないので、光束LFaのみの干渉によ
る像Pr'1と、光束LFbのみの干渉による像Pr'2
劣化は、各光束内での光路長差ΔZ1 、ΔZ2 のみに起
因する。例えば、sin2 θ1 =1/2(NAw2 )で
あるようにsinθ1 を設定する、すなわちこの関係式
をほぼ満たすように第1の透過部FAの半径を設定する
と、第1の光束LFaによる最大光路差ΔZ1 と、第2
の光束LFbによる最大光路差ΔZ2 はそれぞれ以下の
ようになる。
【0025】ΔZ1 =1/2(ΔF・sin2 θ1 )=
1/4(ΔF・NAw2 ) ΔZ2 =1/2(ΔF)(NAw2−sin2θ1 )=1/4
(ΔF・NAw2) このように、2つのインコヒーレントな光束LFa、L
Fbの夫々は、いずれもΔFのデフォーカス時にほぼ同
一の最大光路差、1/4(ΔF・NAw2 )をもつこと
になり、この値は従来の場合の半分である。換言する
と、従来の2倍のデフォーカス量(2ΔF)でも、従来
の投影方式でのデフォーカス量ΔFのときと同じ最大光
路長差で済むこととなり、その結果、孤立パターンPr
の結像時の焦点深度は約2倍に増大することになる。こ
のように投影光学系PLの瞳面epにおいて、結像光束
を互いに干渉しない複数の光束に交換する手法を、以後
SFINCS(patial ilter for
INCoherent tream)法と呼ぶこと
にする。
【0026】
【実施例】図4は本発明の実施例による投影露光装置の
全体的な構成を示す。図4において、水銀ランプ1から
放射された高輝度光は楕円鏡2によって第2焦点に収斂
した後、発散光となってコリメータレンズ4に入射す
る。その第2焦点の位置にはロータリーシャッター3が
配置され、照明光の通過、遮断を制御する。コリメータ
レンズ4によってほぼ平行光束に変換された照明光は、
干渉フィルター5に入射し、ここで露光に必要とされる
所望のスペクトル、例えばi線のみが抽出される。干渉
フィルター5を射出した照明光(i線)は、オプチカル
インテグレータとしてのフライアイレンズ7に入射す
る。
【0027】さて、フライアイレンズ7に入射した照明
光(ほぼ平行光束)は、フライアイレンズ7の複数のレ
ンズエレメントによって分割され、各レンズエレメント
の夫々の射出側には2次光源像(水銀ランプ1の発光点
の像)が形成される。従ってフライアイレンズ7の射出
側にはレンズエレメントの数と同じ数の点光源像が分布
し、面光源像が作られる。フライアイレンズ7の射出側
には、面光源像の大きさを調整するための可変絞り8が
設けられる。この絞り8を通った照明光(発散光)はミ
ラー9で反射され、集光レンズ系10に入射した後、レ
チクルブラインド11の矩形の開口部を均一な照度分布
で照射する。図4では、フライアイレンズ7の射出側に
形成される複数の2次光源像(点光源)のうち、光軸A
X上に位置する1つの2次光源像からの照明光のみを代
表的に図示してある。また集光レンズ系10によって、
フライアイレンズ7の射出側(2次光源像が形成される
面)はレチクルブラインド11の矩形開口面に対するフ
ーリエ変換面になっている。従ってフライアイレンズ7
の複数の2次光源像の夫々から発散して集光レンズ系1
0に入射した各照明光は、レチクルブラインド11上で
互いにわずかずつ入射角が異なる平行光束となって重畳
される。
【0028】レチクルブラインド11の矩形開口を通過
した照明光はレンズ系12、ミラー13を介してコンデ
ンサーレンズ14に入射し、コンデンサーレンズ14を
射出する光が照明光ILBとなってレチクルRに達す
る。ここでレチクルブラインド11の矩形開口面とレチ
クルRのパターン面とは、レンズ系12とコンデンサー
レンズ14との合成系によって互いに共役に配置され、
レチクルブラインド11の矩形開口の像が、レチクルR
のパターン面内に形成された矩形のパターン形成領域を
含むように結像される。図4に示すように、フライアイ
レンズ7の2次光源像のうち光軸AX上に位置する1つ
の2次光源像からの照明光ILBは、レチクルR上では
光軸AXに対して傾きのない平行光束になっているが、
これは投影光学系PLのレチクル側がテレセントリック
だからである。もちろん、フライアイレンズ7の射出側
には光軸AX上からずれて位置する多数の2次光源像
(軸外の点光源)が形成されるから、それらからの照明
光はいずれもレチクルR上では光軸AXに対して傾いた
平行光束となってパターン形成領域内で重畳される。
尚、レチクルRのパターン面とフライアイレンズ7の射
出側面とが、集光レンズ系10、レンズ系12、コンデ
ンサーレンズ14の合成系によって光学的にフーリエ変
換の関係になっていることは言うまでもない。またレチ
クルRへの照明光ILBの入射角度範囲ψ(図2参照)
は絞り8の開口径によって変化し、絞り8の開口径を小
さくして面光源の実質的な面積を小さくすると、入射角
度範囲ψも小さくなる。そのため絞り8は、照明光の空
間的コヒーレンシィを調整することになる。その空間的
コヒーレンシィの度合いを表すファクタとして、照明光
ILBの最大入射角ψ/2の正弦と投影光学系PLのレ
チクル側の開口数NArとの比(σ値)が用いられてい
る。このσ値は通常、σ=sin(ψ/2)/NArで
定義され、現在稼働中のステッパーの多くは、σ=0.
5〜0.7程度の範囲で使われている。本発明では、そ
のσ値がどのような値であってもよく、極端な場合σ=
0.1〜0.3程度であってもよい。
【0029】さて、レチクルRのパターン面にはクロム
層によって所定のレチクルパターンが形成されている
が、ここではクロム層が全面に蒸着され、その内に微小
な矩形開口部(クロム層のない透明部)で形成された複
数のコンタクトホールパターンが存在するものとする。
コンタクトホールパターンはウェハW上に投影したと
き、0.5μm角(又は径)以下の寸法になるように設
計されていることもあり、投影光学系PLの投影倍率M
を考慮してレチクルR上での寸法が決められている。ま
た互いに隣接するコンタクトホールパターン間の寸法
は、通常1つのコンタクトホールパターンの開口部寸法
に対してかなり大きくなっているため、孤立的な微小パ
ターンとして存在する。すなわち、隣接する2つのコン
タクトホールパターンは、それぞれから発生した光(回
折、散乱光)が、回折格子のように互いに強く影響し合
うことがない程度に離れていることが多い。ところが後
で詳しく述べるが、かなり接近した配置でコンタクトホ
ールパターンを形成したレチクルも存在する。
【0030】図4において、レチクルRはレチクルステ
ージRSTに保持され、レチクルRのコンタクトホール
パターンの光学像(光強度分布)は投影光学系PLを介
してウェハWの表面のフォトレジスト層に結像される。
ここで、図4中のレチクルRからウェハWまでの光路
は、結像光束の主光線のみで示す。そして投影光学系P
L内のフーリエ変換面FTPには、先の図2、図3で説
明した干渉性低減部材CCMが設けられる。この干渉性
低減部材CCMは、瞳epの最大径をカバーする直径を
有し、スライダー機構20によって光路外へ退出した
り、光路内に進入したりすることができる。仮りにその
ステッパーが専らコンタクトホールパターンを露光する
ために使われるのであれば、干渉性低減部材CCMは投
影光学系PL内に固定しておいてもよい。しかしなが
ら、複数台のステッパーによってリソグラフィ工程の露
光作業を行う場合、各ステッパーのもっとも効率的な運
用を考えると、特定の一台のステッパーをコンタクトホ
ールパターン専用の露光に割り当てることは躊躇され
る。そのため、干渉性低減部材CCMは投影光学系PL
の瞳epに対して挿脱可能に設け、コンタクトホールパ
ターン以外のレチクルパターンの露光時にも、そのステ
ッパーが使えるようにしておくことが望ましい。尚、投
影光学系によっては、その瞳位置(フーリエ変換面FT
P)に実効的な瞳径を変えるための円形開口絞り(NA
可変絞り)を設けることもある。この場合、その開口絞
りと干渉性低減部材CCMは機械的に干渉しないよう
に、かつできるだけ接近して配置される。
【0031】さて、ウェハWは、光軸AXと垂直な面内
で2次元移動(以下、XY移動とする)するとともに、
光軸AXと平行な方向に微動(以下、Z移動とする)す
るウェハステージWST上に保持される。ウェハステー
ジWSTのXY移動、Z移動は、ステージ駆動ユニット
22によって行われ、XY移動に関してはレーザ干渉計
23による座標計測値に従って制御され、Z移動に関し
てはオートフォーカス用のフォーカスセンサー24の検
出値に基づいて制御される。ステージ駆動ユニット2
2、スライダー機構20等は、主制御ユニット25から
の指令で動作する。この主制御ユニット25は、さらに
シャッタ駆動ユニット26へ指令を送り、シャッター3
の開閉を制御するとともに、開口制御ユニット27へ指
令を送り、絞り8、又はレチクルブラインド11の各開
口の大きさを制御する。また主制御ユニット25は、レ
チクルステージRSTへのレチクルの搬送路中に設けら
れたバーコードリーダー28が読み取ったレチクル名を
入力できるようになっている。従って主制御ユニット2
5は、入力したレチクル名に応じてスライダー機構20
の動作、開口駆動ユニット27の動作等を統括的に制御
し、絞り8、レチクルブラインド11の各開口寸法、及
び干渉性低減部材CCMの要、不要を、そのレチクルに
合わせて自動的に調整することができる。
【0032】ここで図4中の投影光学系PLの一部分の
構造を、図5を参照して説明する。図5は全て屈折性硝
材で作られた投影光学系PLの部分的な断面を示し、前
群のレンズ系GAの最下部のレンズGA1 と後群のレン
ズ系GBの最上部のレンズGB1 との間の空間中にフー
リエ変換面FTPが存在する。投影光学系PLは複数枚
のレンズを鏡筒で保持しているが、干渉性低減部材CC
Mの挿脱のために、鏡筒の一部に開口部を設ける。また
干渉性低減部材CCM、及びスライダー機構20の全
部、又は一部を、外気に直接露出させないようなカバー
20Bを、鏡筒の開口部から延設する。このカバー20
Bは外気に浮遊する微小なダストが投影光学系PLの瞳
空間内に進入するのを防ぐ。スライダー機構20には、
回転モータ、ペンシリンダー、ソレノイド等のアクチュ
エータ20Aが結合されている。さらに、鏡筒の一部に
瞳空間に連通する流路Afを設け、パイプ29を介して
温度制御されたクリーンエアを瞳空間へ供給すること
で、干渉性低減部材CCMの露光光の一部吸収による温
度上昇、及び瞳空間全体の温度上昇を押さえるようにす
る。尚、瞳空間へ強制的に供給されたクリーンエアを、
スライダー機構20、アクチュエータ20Aを介して強
制的に排出するようにすれば、スライダー機構20等で
発生した埃塵が瞳空間内に進入することを防止すること
ができる。図6は干渉性低減部材CCMの第1の実施例
による構造を示し、図6(A)は光軸AXを通る点での
断面図、図6(B)は平面図である。先に図3とともに
説明した通り、瞳の中心に位置する円形透過部FAの半
径r1 は瞳epの実効的な最大半径r2 に対して、r2
2 =2r1 2 の関係に設定されるが、実際はそれよりも
数%程度大きい方がよい。この式から明らかなように、
円形透過部FAの面積πr1 2は実効的な瞳開口の面積π
2 2に対して約半分になっている。
【0033】さて、図4中の光源(水銀ランプ1)から
の光はランダムな偏光状態(種々の偏光状態の光の合成
された光であり、かつその偏光状態が時間と共に変化す
る)であるとともに、そのコヒーレント長ΔLcは極め
て短い。今、照明光をi線として、中心波長λ0 =36
5nm、波長幅Δλ=5nmであると、コヒーレント長
ΔLcは以下のように求まる。
【0034】ΔLc=λ0 2 /Δλ≒26μm 図6に示す干渉性低減部材CCMは中心点CCから半径
1 の円形透過部FA内を、屈折率がn1 で厚みtの平
行平板ガラス、又は平行平板状の結晶素子で構成し、中
心点CCと同軸の輪帯状の周辺透過部FBを、屈折率が
2 で厚みがtの平行平板ガラス、又は結晶素子で構成
する。このような構成で、円形透過部FAを透過した結
像光束LFaと、周辺の輪帯透過部FBを透過した結像
光束LFbとの間の光路差が、その光のコヒーレント長
ΔLc以上であれば、2つの光束LFa、LFbは時間
的にインコヒーレントな光束となる。すなわち、|(n
2−n1 )t|≧ΔLcの関係を満たすように、2つの
硝材(屈折率n1 、n2 )と厚みtを決めればよい。こ
こで、円形透過部FAを屈折率n1 =1.50のガラス
とし、輪帯透過部FBを屈折率n2 =1.60のガラス
とすると、水銀ランプのi線(Δλ=5nm)の場合、
|(1.60−1.50)t|≧26μmより、厚みt
は260μm以上となる。尚、この厚みtの上限は特に
存在せず、数mmの厚みのガラス板でよいことになる。
ただし、光源からの照明光が極紫外光(例えばキセノン
水銀ランプによる240nm〜250nmの波長帯)で
ある場合、一般の光学ガラスでは吸収が大きくなるた
め、必要以上に厚みtを大きくすることは得策ではな
い。いずれにしろ、円形透過部FAと輪帯透過部FBと
の夫々を通過した結像光束は、互いに干渉し合わない光
束(LFa、LFb)となる。これら互いに干渉し合わ
ない中心部と周辺部の両光束がウェハWに達し、それぞ
れが自分自身とのみ振幅合成し、別々に像(強度分布)
Pr1 ’、Pr2 ’を作ることで、その合成像(合成強
度分布)の焦点深度が増大する原理は作用の項で述べた
通りである。
【0035】図7は干渉性低減部材CCMの第2の実施
例による構造を示す。本実施例では、図6と同様に、中
心の円形透過部FAと周辺の輪帯状透過部FBとは厚み
tでそれぞれ屈折率n1 、n2 の光学ガラスとなってい
る点は全く同じであるが、その射出側(入射側でもよ
い)の全面にさらに均一な厚みの透明板FCを設けた点
が異なる。この透明板FCの材質は、極紫外光を透過す
る石英ガラスやホタル石を用い、図7(A)に示すよう
に透過部FA、FBを構成する光学ガラスと貼り合わせ
た状態、又は一定のギャップを保った状態で配置され
る。本実施例でも、円形透過部FAと透明板FCを透過
した光束と、輪帯透過部FBと透明帯FCを通過した光
束とは、時間的にインコヒーレントな関係になってい
る。
【0036】さて、図8は本発明の各実施例に使われる
干渉性低減部材(光路長差制御部材)CCMの他の変形
例のいくつかの断面構造をまとめて示したものである。
図8(A)は、瞳epの実効的な最大半径r2 よりも若
干大きな径を有する均一な厚みの透明円形基板(ガラ
ス、石英など)OP1 に、微小な厚みtaでガラス、又
は樹脂の薄板OP2 を載置、あるいは貼り合わせたもの
である。この薄板OP2は半径r1 の円形透過部FAを
構成し、その屈折率をn1 とすると、薄板OP2と基板
OP1 の両方を通った光束と基板OP1 のみを通った光
束(輪帯透過部FBの透過光)との間の光路長差は(n
1 −1)taで与えられる。従って光束(照明光)のコ
ヒーレント長ΔLcとの関係から、(n1 −1)ta≧
ΔLcを満たすように薄板OP2 の厚みtaを決定すれ
ばよい。
【0037】この薄板OP2 の材質としては、ガラス、
結晶、あるいは紫外光(露光光)に対して透過率が高い
樹脂、例えば旭硝子株式会社で製造、販売されているC
YTOP(商品名)等が利用できる。また図8(A)の
干渉性低減部材CCMの製造方法としては、基板OP1
上に薄板OP2 を貼り付けた後、薄板OP2 の表面を研
磨して平面性や部材CCMの全厚みの一様性等を所望の
ものに仕上げてもよい。あるいは基板OP1 上にスパッ
タ法、蒸着法、又はCVD法により、薄板OP 2 を成膜
してもよい。さらに薄板OP2 を樹脂にするときは、そ
の樹脂を液状にしてスピンコート法(基板OP1 を回転
させてその中心に液状樹脂を滴下し、遠心力で所望の厚
みまで引き延ばす方法)によって形成してもよい。
【0038】図8(B)は、単一の円形透明平行基板
(石英等)の少なくとも一方の表面の中心部を半径r1
の円形透過部FAとするように、周辺の輪帯部分を段差
tb分だけエッチングしたものを示す。この円形透明基
板の屈折率をn2 とすると、ここでも(n2 −1)tb
≧ΔLcの関係を満たすように段差tbが決定される。
一般に、溶解石英の屈折率は紫外域で1.5程度あるた
め、水銀ランプのi線のコヒーレント長ΔLcを26μ
mとすると、段差tbは52μm以上であればよい。ま
たホタル石を用いる場合は、その屈折率が1.46程度
であるため、段差tbは57μm以上であればよい。
【0039】さて、図8(C)は、円形透明平行基板
(石英等)OP1 の中心部に半径r1で深さtcの円形
凹部を形成し、そこにガラス、又は樹脂による薄板OP
2 を載置、又は貼り合わせたものを示す。この図8
(C)の構成は、図8(A)のものと相補的な関係にな
っているだけである。ここでは薄板OP2 の屈折率をn
1 、基板OP1 の屈折率をn2 としたとき、(n1 −n
2 )tc≧ΔLcを満たすように深さtcが決定され
る。尚、薄板OP2 の表面は基板OP1 の表面と同一に
なるように示されているが、これは必ずしも必要なこと
ではない。
【0040】図8(D)は円形透明基板OP1 の中心部
の半径r1 の円形領域内に、イオン打ち込み、あるいは
不純物イオンの熱拡散等の手法により、屈折率が異なる
領域OP3 を形成したものを示す。この場合、基板OP
1 の屈折率をn2 、領域OP 3 の屈折率をn3 、そして
領域OP3 の厚みをtdとすると、|(n3 −n2 )t
d|≧ΔLcを満たすように屈折率の変化量(n3 −n
2 )、あるいは厚みtdを制御する。
【0041】図8(E)は、図8(B)と同様に屈折率
は同一であるが、厚みが異なる円形透明基板OP4 と輪
帯透明基板OP5 とを別々に製作し、後で組み合わせた
ものである。円形透明基板OP4 は半径r1 であり、円
形透過部FAを構成する。また、円形基板OP4 の厚み
をte、輪帯基板OP5 の厚みをtfとし、両基板の屈
折率をn2 とすると、|(te−tf)(n2 −1)|
≧ΔLcを満たすように各厚みの関係が決定される。さ
らに円形基板OP4 の屈折率をne、輪帯基板OP5
屈折率をnfとして異ならせる場合は、|(ne−1)
te−(nf−1)tf|≧ΔLcの関係を満たすよう
にすればよい。従って2つの基板OP4、OP5 の各屈
折率ne、nfが異なれば、2つの基板OP4 、OP5
の各厚みte、tfを同一にすることもでき、その場合
は先の図6の干渉性低減部材CCMの構造と同じにな
る。さらに、図8(E)の構造の場合、te、ne、t
f、nfの関係をte(1−1/ne)=tf(1−1
/nf)程度にすると、投影系の光学収差に与える影響
を最も小さく押さえることができる。
【0042】図8(F)は、周辺の輪帯透過部FBに相
当する部分のみに厚みtgの輪帯状薄板(石英等)を設
ける場合を示す。このとき厚みtgは先の図8(A)の
薄板OP2 の厚みtaと同じ条件で考えてよい。さて、
図9は干渉性低減部材CCMの第3の実施例による構成
を示し、図9(A)は光軸AXを通る点での断面を示
し、図9(B)は平面を示す。本実施例では、光軸AX
が通る瞳epの中心点CCを中心として半径r1 の円形
透過部FA 1 と、その外側の外径r3 の第1の輪帯状透
過部FB2 と、さらにその外側の外径r2 (瞳の実効的
な最大径)の第2の輪帯状透過部FB3 との3つの領域
に分割し、各透過部FA1 、FB2 、FB3 を通る結像
光束の夫々に、時間的コヒーレント長ΔLc以上の光路
長差を与える。その具体的な構造としては、先の図6、
図8に示したものが適宜応用できる。本実施例の場合、
3つの透過部FA1 、FB2 、FB3 の夫々を通った後
の結像光束同士が互いに干渉しないようにする必要があ
る。ただし、先の第1、第2実施例でもそうであるが、
干渉性を完全に零にする必要はなく、十分に低減できて
いればよい。また図9では中心の円形透過部FA1 に物
質が存在するように示したが、先の図8(F)の手法を
適用する場合、円形透過部FA1 を半径r1 の開口部
(空間)とすることができる。
【0043】さらに図9に示した干渉性低減部材CCM
の変形例として、中心の円形透過部FA1 と最外の輪帯
透過部FB3 とのいずれか一方の領域に透明薄膜(位相
シフター)を設け、円形透過部FA1 の透過光束と輪帯
透過部FB3 の透過光束との間にλ/2の位相差(すな
わち逆位相)を与えてもよい。ただしこの場合でも、中
間の輪帯透過部FB2 の透過光束に対して、他の2つの
透過部FA1 、FB3の夫々の透過光束にはコヒーレン
ト長ΔLc以上の光路長差が与えられている。
【0044】従って透過部FA1 、FB3 の厚みや材質
を等しいものとしたときは、透過部FA1 、FB3 の各
透過光束同士は干渉を起こすことになるが、それら2つ
の光束は互いに逆位相の関係になっているため、ある種
の2焦点フィルターとして作用し、焦点深度拡大効果が
得られる。このようなフーリエ変換面(瞳)で結像光束
をいくつかの部分に分割し、それら分割された光束の夫
々に所定の位相差を与える多重焦点フィルタの手法は、
昭和36年1月23日付で発行された。機械試験所報告
第40号の「光学系における結像性能とその改良方法に
関する研究」と題する論文中の第41頁〜第55頁に詳
しく述べられている。
【0045】ところで、図9の実施例の場合、ウェハW
上に達する結像光束(点像)は、図11(A)に示すよ
うに円形透過部FA1 を通った主光線LLpを含む光束
LFaと輪帯透過部FB2 、FB3 の夫々を通った光束
LFb2 、LFb3 との3つに分割される。先に述べた
ような位相シフターを設けない構成では、これら3つの
光束LFa、LFb2 、LFb3 は互いに極めて干渉性
が低いものとなっている。
【0046】この図11(A)において、瞳epの実効
的な最外径(半径r2 )の位置を通る光線の入射角θw
が、その投影光学系PLのウェハW側の開口数NAwに
対応している。さて、光束LFaは垂直入射光線(主光
線)LLpから入射角θ1 までの角度範囲に分布し、光
束LFb2 は入射角θ1 からθ3 までの角度範囲に分布
し、光束LFb3 は入射角θ3 からθwまでの角度範囲
に分布する。投影光学系PLの後側のレンズ群GBの焦
点距離をfとすると、瞳ep上での各透過部FA1 、F
2 の半径r1 、r3 は、r1 =fsinθ1 、r3
fsinθ3 の関係にある。
【0047】図11(B)は図11(A)のときに生じ
る光路長差ΔZのグラフを表したもので、デフォーカス
量をΔFとし、縦軸と横軸は図3と同じである。そこで
デフォーカス量ΔFに対して、光束LFaにおいて生じ
る最大の光路長差をΔZ1 、光束LFb2 において生じ
る最大の光路長差をΔZ2 、そして光束LFb3 におい
て生じる最大の光路長差をΔZ3 とすると、それぞれ以
下のように表わされる。
【0048】ΔZ1 =(ΔF・sin2 θ1 )/2=
(ΔF・NA1 2 )/2 ΔZ2 =(ΔF(sin2θ3 −sin2θ1)/2=(ΔF(NA3 2
NA1 2))/2 ΔZ3 =(ΔF(sin2θw −sin2θ3)/2=(ΔF(NAw 2
NA3 2))/2 そこで次のような入射角θ1 、θ3 の関係になるように
半径r1 ,r3 を定めたとする。
【0049】 sin2 θ1 =NA1 2 = 1/3(NAw2 ) sin2 θ3 =NA3 2 = 2/3(NAw2 ) すると、3つの光束LFa、LFb2 、LFb3 の夫々
での光路長差は以下のように全て等しくなる。 ΔZ1 =ΔZ2 =ΔZ3 =(ΔF・NAw2 /3)/2 この条件は、透過部FA1 の面積πr1 2 、透過部FB
2 の面積π(r3 2 −r 1 2 )、及び透過部FB3 の実
効的な面積π(r2 2 −r3 2 )の3つを全て等しくす
ると言うことに他ならない。
【0050】先に述べたように、従来の通常の投影露光
では、デフォーカス量ΔFにおける光路長差ΔZは、Δ
Z=(ΔF・NAw2 )/2で表されていた。ところが
本実施例においては、光路長差の許容値をλ/4とする
と、従来の場合にくらべて3倍のデフォーカス量3ΔF
まで良像として許容されることになる。すなわち、従来
に比べて焦点深度が3倍に増大することになる。
【0051】以上、図9の実施例では、結像光束を瞳e
pで3つの光束に分割するように干渉性低減部材CCM
を構成したが、その分割数は4以上のm(自然数)個と
し、そのm個の分割光束が互いに干渉しないように、円
形透過部や輪帯透過部を構成してもよい。この場合、瞳
epの実効的な最大径(NA絞りで制限される場合はそ
の絞りの開口径)で決まる全面積をm等分するように中
心の円形透過部と(m−1)個の輪帯透過部との各面積
(半径)を決定すれば、焦点深度は従来の場合に比べて
m倍に増大させることができる。
【0052】すなわち、1つの透過部を通る光束のうち
最大径の位置を通る光線の入射角をθout 、最小径の位
置を通る光線の入射角をθin(主光線LLpについては
θin=0)としたとき、 sin2 θout −sin2 θin=NAw2 /m となるようにすると、分割された各光束内でのデフォー
カスによる光路長差ΔZの夫々が、従来の場合の1/m
になり、最大の焦点深度が得られるのである。
【0053】次に本発明の第4の実施例による干渉性低
減部材CCMの構造を図10を参照して説明する。本実
施例では図9に示した干渉性低減部材CCMに近接(又
は密着)して中心部に半径r4 の円形遮光部FDを設け
る。図10(A)は本実施例の干渉性低減部材CCMの
断面を示し、図10(B)は平面を示す。本実施例の場
合、瞳epに入射する結像光束は図10(B)に示すよ
うに、半径r4 の中心の円形遮光部FD、内径r4 、外
径r1 の輪帯状透過部FA1 、内径r1 、外径r3 の輪
帯状透過部FB2 、及び内径r3 の輪帯状透過部FB3
の夫々によって4分割されていると考え、そのうち遮光
部FD以外の3分割されている光束のみがウェハWへ達
する。
【0054】図12は図10の実施例における結像光束
の分割の様子と光路長差ΔZとの関係を示したものであ
る。ここで中心の円形遮光部FDとその周辺の各輪帯状
透過部FA1 、FB2 、FB3 の半径の関係は、図12
(A)に示すように、r4 <r1 <r3 <r2 に定めら
れているものとする。本実施例では、中心の遮光部FD
のために主光線LLpは実際の光束中には存在しない。
また各透過部を通った光束LFa、LFb2 、LFb3
の夫々の最大入射角は、θ1 、θ3 、θwとし、光束L
Faの最小入射角はθ4 とする。
【0055】図12(A)のような光束分割によって、
各光束LFa、LFb2 、LFb3の夫々におけるデフ
ォーカス時の光路長差ΔZ1 、ΔZ2 、ΔZ3 は、図1
2(B)のように表される。この場合もΔZ1 =ΔZ2
=ΔZ3 の条件を満たすように、すなわち輪帯透過部F
1 の面積π(r1 2 −r4 2 )、輪帯透過部FB2
面積π(r3 2 −r1 2 )、及び輪帯透過部FB3 の面
積π(r2 2 −r3 2)をほぼ等しくするように各半径
4 、r1 、r3 を決定すれば、焦点深度拡大効果が最
大限に得られる。
【0056】ところで図10のように中心に円形遮光部
FDを設けた場合、デフォーカス量ΔFによる光路長差
ΔZ1 ,ΔZ2 ,ΔZ3 は、円形遮光部FDの面積、す
なわち半径r4 に応じて変化することとなる。そこで図
12(B)のように光路長差ΔZ1 ,ΔZ2 ,ΔZ3
等しくするように3つの透過部FA1 、FB2 、FB 3
の面積を設定することを前提とすると、円形遮光部FD
の半径r4 と瞳epの実効的な半径r2 との比r4 /r
2 をkとして、 ΔZ1 =ΔZ2 =ΔZ3 =(NAw2 −k2 ・NA
2 )/3 の関係にある。この式でk2 ・NAw2 は遮光部FDの
面積に対応するものであり、その値はNA4 2 =sin
2 θ4 に他ならない。従って遮光部FDを所定の面積
(半径r4 )で設けることにより、先の図9の実施例の
場合と比べて、光路長差ΔZ1 ,ΔZ2 ,ΔZ3 の値を
小さくできるため、さらに焦点深度が増大することにな
る。
【0057】以上、図10の実施例では円形遮光部FD
を光軸AXを中心として設けたが、輪帯状遮光部として
設けても、その面積に応じて焦点深度の増大効果が得ら
れる。その一例として図13のような構成のものが考え
られる。図13(A)は平面図、図13(B)は断面図
であり、本実施例では内径r1 、外形r3 の輪帯状遮光
部FDを設ける。さらに遮光部FDの内側は半径r1
円形透過部FAとし、外側は内径r3 の輪帯透過部FB
とし、透過部FAとFBの夫々を通る光束には、コヒー
レント長ΔLc以上の光路差が与えられている。
【0058】本実施例の場合でも、図13(C)に示す
ように、透明部FAを通った光束のデフォーカス時の光
路長差ΔZ1 と、透明部FBを通った光束のデフォーカ
ス時の光路長差ΔZ2 とをほぼ等しくするように、瞳の
実効的な径r2 に対する各透過部FA,FB、遮光部F
Dの半径r1 、r3 を決定すれば、焦点深度の拡大効果
が最も大きくなる。
【0059】以上、本発明の各実施例による干渉性低減
部材CCMの構成を示したが、それらはレチクルR上の
コンタクトホールパターンからの結像光束が投影光学系
の瞳epで、ほぼ一様に分布することを前提としたから
である。すなわち、瞳epに分布する結像光束が実効的
な最大半径r2 まで存在することを前提として、各透過
部FA、FA1 、FB、FB2 、FB3 や遮光部FDの
径を決めていた。このような条件が成り立つのは、投影
光学系PLのレチクル側開口数NAr、照明光ILBの
波長λ、そしてコンタクトホールパターンPrのサイズ
によっておおむね決まってくる。従って、露光装置とし
てはコンタクトホールパターンPrのサイズがある値以
下になったときに、干渉性低減部材CCMを結像光束中
に挿入するようにした方が実用的である。
【0060】次に本発明の第5の実施例による干渉性低
減部材CCMの構成を図14を参照して説明する。今ま
で説明してきた各実施例では、瞳epで円形、及び輪帯
状に分割した光束の夫々に、時間的コヒーレント長ΔL
c以上の光路長差を与えることとしたが、別の方法によ
り干渉性を低減させることも可能である。例えば反射ミ
ラーのみ、又は反射ミラーと屈折素子(レンズ)の組合
せで構成された投影光学系を備えた露光装置では、その
投影光学系自体の色収差がもともと少ないために、照明
光として波長幅の広い光、あるいは接近した複数の輝線
成分(例えば水銀ランプのg線とh線等)を使用するこ
とがある。
【0061】このような装置に本発明を適用する別の方
法として、図14に示すように干渉性低減部材CCMの
中心の半径r1 の円形透過部FAと、その周辺の輪帯透
過部FBとの夫々に、透過光の波長域を異ならしめるバ
ンドパスフィルターを形成してもよい。このバンドパス
フィルターは、例えば多層誘電体薄膜で形成し、それを
透明な円形基板上に蒸着することで構成される。本実施
例では、中心の円形透過部FAとしての誘電体薄膜を基
板の一方の面に蒸着し、輪帯透過部FB(内径r1 )と
しての誘電体薄膜を基板の他方の面に蒸着し、円形透過
部FAは例えば波長405nmのh線のみを通すように
し、輪帯透過部FBは波長436nmのg線のみを通す
ようにする。尚、ここでは瞳epを通る光束を中心部と
周辺部とを通る2つの光束LFa、LFbに分割してい
るので、瞳epの実効的な半径r 2 に対して、透過部F
Aの半径r1 はr2 2 =2r1 2 の関係に設定されてい
る。
【0062】このように円形透過部FAの透過光LFa
と輪帯透過部FBの透過光LFbとを、バンドパスフィ
ルターによって波長域で分割してやると、それら2つの
光束LFa、LFbは互いに干渉性のない光に変換さ
れ、今までの実施例と同様に焦点深度が拡大される。
尚、バンドパスフィルターは吸収性の色ガラスで構成し
てもよい。
【0063】また別の方法として瞳に分布する光束を偏
光によって分割して干渉性を消失させることも考えられ
る。その場合の方法を第6の実施例として図15により
説明する。本実施例では、2枚の透明円形基板CCM
a、CCMbを1組として干渉性低減部材CCMが構成
され、基板CCMaは光軸AXを中心とする半径r1
円形透過部PCaと、内径がr1 で外径がr2 (実効的
な瞳径)の輪帯透過部PCbとで構成される。そして透
過部PCaとPCbとの両方、又はいずれか一方は、そ
こを通る光束間の偏光状態を互いに干渉しないように変
換する偏光板、1/4波長板、1/2波長板等のいずれ
かで作られる。一方、基板CCMbは光軸AXを中心と
する半径r4 の円形開口部を持つ環状石英板で作られ、
そこに内径をr4 、外径をr3 とした第1の厚みの輪帯
状透過部と、内径をr3 、外径をr 2 以上とした第2の
厚みの輪帯状透過部とが形成される。
【0064】ここで半径r1 〜r4 はr4 <r1 <r3
<r2 に定められ、かつ、r4 2 =(r1 2 −r4 2
=(r3 2 −r1 2 )=(r2 2 −r3 2 )に設定され
ているものとする。また2枚の基板CCMa、CCMb
はフーリエ変換面FTPを挟んで近接して配置してもよ
いし、貼り合わせておいてもよい。このような構成の場
合、半径r4 の円形透過部FAを通った光束LFaと半
径r4 〜r1 の輪帯透過部FB1 を通った光束LFb1
とは、偏光状態は同一であるが光路長差がコヒーレント
長ΔLc以上であるために互いに干渉しない。また半径
1 〜r3 の輪帯透過部FB2 を通った光束LFb2
光束LFb1 、LFaとは、偏光状態が異なるため互い
に干渉することはない。さらに半径r3 〜r2 の輪帯透
過部FB 3 を通った光束LFb3 と光束LFb2 とは光
路長差がコヒーレント長ΔLc以上であるために互いに
干渉せず、同時に光束LFb3 と光束LFb1 、LFa
とは偏光状態が異なるために互いに干渉しない。
【0065】結局、4分割された光束LFa、LF
1 、LFb2 、LFb3 の夫々はいずれも相互に干渉
性のない光に変換され、本実施例の場合、理論上の焦点
深度は従来の4倍に拡大されることになる。ところで、
図10、13中の遮光部FDは、例えば透明基板上に金
属膜等を蒸着した遮光膜でもよく、さらには干渉性低減
部材CCMとは離して設けられた金属板等でもよい。
【0066】また、遮光部FD、あるいはそれと均等の
遮光板は、露光波長についてのみ遮光すればよいので、
誘電体薄膜等による光学的なシャープカットフィルター
等を用いて、露光波長(紫外光)等の短波長域を吸収し
てしまうものでもよい。このようにすると、例えばHe
−Neレーザーを光源としてウェハW上のアライメント
マークを照射し、その反射光等を投影光学系PLを介し
て検出するTTL方式のアライメント系を使う場合、瞳
面に位置する遮光部FD、又は遮光板がマークからの反
射光に対して悪影響(遮光)を与えるなどの問題はなく
なる。あるいはウェハマーク照明用のレーザビームやマ
ークからの反射光が通る上述の金属等の遮光板又は遮光
部FD上の位置だけ透過領域としてもよく、その面積が
小さければ本発明の効果を特に損なうものとはならな
い。
【0067】図16は、第7の実施例としてのTTLア
ライメント系の一例を示し、ウェハW上に格子マークG
Rが形成され、このマークGRの格子ピッチ方向の位置
ずれを検出するものとする。ここで図16(A)は紙面
上の左右方向がピッチ方向となるような方向からアライ
メント系を見たもので、図16(B)は図16(A)の
系を90°回転した方向から見たものである。レチクル
Rの上方に設けられたアライメント光学系の対物レンズ
OBJからはコヒーレントなレーザビーム(He−N
e)ALB1 、ALB2 の2本が、ミラーMRで反射さ
れて面CFで交差した後、レチクルRの周辺の窓RMを
介して投影光学系PLに入射する。まず図16(A)に
示すように、2本のビームALB1 、ALB2 は、瞳に
位置する干渉性低減部材CCMに形成された屈曲性補正
素子PG1 、PG2 の夫々に入射し、ここで投影光学系
PLの軸上色収差分に対応した量で2本のビームALB
1 、ALB2 の進行方向を変える。これによって2本の
ビームALB1 、ALB2 はウェハW上の格子マークG
Rを、そのピッチ方向に関して対称的に傾いた角度で照
射する。このとき、格子マークGRのピッチPg、ビー
ムALB1 、ALB2の波長λa、及びビームAL
1 、ALB2 の入射角θaが、sinθa=λa/P
gを満たしていると、ビームALB1 の照射によって格
子マークGRから発生した+1次回折光と、ビームAL
2 の照射によってマークGRから発生した−1次回折
光とは、図16(A)のように2本のビームALB1
ALB2 の丁度中間の光路を同軸となって干渉ビームA
DLとして逆進する。この干渉ビームADLは干渉性低
減部材CCMに形成された屈曲性補正素子PG3 で進行
方向を変えられ、レチクルRの窓RMを通ってアライメ
ント光学系の方へ戻っていく。このとき、図16(B)
にも示すように、ウェハWのマークGRに達する2本の
ビームALB1 、ALB2 はピッチ方向と直交する方向
(非計測方向)に関して傾斜しているため、干渉ビーム
ADLも傾斜して発生する。また図16(A)に示すよ
うに、2本のビームALB1 、ALB2 は面CFで交差
するとしたが、実際は面CFを窓RMの位置に一致させ
ることができる。すなわち2本のビームALB1 、AL
2 に対して生ずる軸上色収差分をほぼ完全に補償する
ことができる。さらに図16(B)のように2本のビー
ムALB1 、ALB2 を非計測方向に関してテレセント
リックな条件からずらして窓RMに入射させることによ
って、倍率色収差分を補償することができる。尚、対物
レンズOBJの光軸AXaはレチクルRに対して垂直に
設定される。
【0068】マークGRの位置ずれ計測にあたっては、
2つの方法がある。その1つは、2本のビームAL
1 、ALB2 の交差によってマークGR上に形成され
る干渉縞を基準にしてマークGRのピッチ方向の位置ず
れを検出するものである。そのためには、アライメント
光学系内に、戻ってきた干渉ビームADLを光電検出す
る光電センサーを設け、その出力信号レベルを計ればよ
い。もつ1つの方法は、2本のビームALB1 、ALB
2 の間にわずかな周波数差(例えば20〜100KHz
程度)を与え、マークGR上に生成された干渉縞をその
周波数差に応じた速度で走らせるヘテロダイン法であ
る。この場合、2本のビームALB1 、ALB 2 の周波
数差をもつ基準交流信号を作り、光電センサーからの出
力信号(ヘテロダインの場合、干渉ビームADLはビー
ト周波数で強度変化しているため、交流信号となる)と
の間で位相差を求めることで、マークGRの位置ずれが
計測できる。
【0069】このように、投影光学系PLの瞳面に、色
収差補償用の屈曲補正素子PG1 、PG2 、PG3 を設
ける場合、それらの配置によっては図10、13で示し
た遮光部FD(又は遮光板)の形状と位置的に干渉して
しまうこともある。しかしながら、この種のアライメン
ト方式のビームALB1 、ALB2 、又は干渉ビームA
DLは極めて小さなスポット径であるため、補正素子P
1 、PG2 、PG3の夫々の寸法も極めて小さくてよ
い。通常、補正素子PG1 〜PG3 は透明な硝材の表面
にエッチング等によって位相格子として作り込まれる。
そのため先にも述べたように、遮光部FDが位置的に干
渉するときは、その位置の遮光部のみを透明部にしてお
けばよい。
【0070】また図16では、補正素子PG1 〜PG3
を干渉性低減部材CCM上に直接形成するように示した
が、補正素子PG1 〜PG3 を形成した通常の石英板を
瞳面に固定的に配置し、干渉性低減部材CCMはその石
英板の極近傍に挿脱可能に配置するようにしてもよい。
尚、投影光学系PLの瞳面内の中心部に小さな径の補正
レンズ(凸レンズ)を設け、それによってアライメント
ビームの色収差分を補償する方式が、例えばUSP.
5,100,237に提案されている。この場合、その
補正レンズの部分に露光波長に対する透過率が小さく、
アライメントビームの波長に対する透過率が極めて高い
ダイクロイック膜を蒸着しておくと、図10に示した干
渉性低減部材CCMの中心遮光部FDと実質等価なもの
が容易に構成できる。ただし、上記USP.5,10
0,237には、図10のような透過部FA1 、F
2 、FB3 も同時に設けておくことについては全く示
唆されていない。
【0071】また図4に示したウェハステージWSTの
駆動ユニット22のうち、ウェハWを光軸方向に微動さ
せる制御の中に、従来のFLEX法の機能を持たせても
よい。FLEX法の併用により本発明による焦点深度の
増大効果を飛躍的に増大させることができる。本発明は
投影型露光装置であればどのタイプのものにも適用でき
る。例えば投影レンズを用いたステッパータイプのもの
でもよく、あるいは反射屈折光学系を用いたステップア
ンドスキャン型のものであっても1:1のミラープロジ
ェクションタイプのものであってもよい。特にスキャン
タイプ(ステップアンドスキャン)やミラープロジェク
ション方式では、レチクルやウェハを投影光学系の光軸
と垂直な面内で走査移動させながら露光するため、従来
のFLEX法の適用が難しいとされていたが、本発明は
そのような走査型の露光方式の装置に極めて簡単に適用
できるといった利点がある。
【0072】そこで等倍のミラープロジェクション方式
のアライナーに本発明を適用した場合を第8の実施例と
して図17、18を参照して説明する。図17におい
て、水銀ランプ(Xe−Hg)ランプ1からの照明光は
照明光学系ILSを介してレチクル(マスク)R上で円
弧スリット状の照明領域内に投射される。レチクルRは
1次元走査可能なレチクルステージRSTに保持され、
ウェハステージWSTと同期して同一速度で移動する。
投影光学系はレチクル側とウェハ側の夫々に反射面MR
1 、MR4 を有する台形状の光学ブロックと、大きな凹
面ミラーMR2 と小さな凸面ミラーMR3 とで構成さ
れ、凸面ミラーMR3 の曲率半径に対して凹面ミラーM
2 の曲率半径は約2倍に設定されている。この図21
のような系の場合、凸面ミラーMR3 の表面がレチクル
パターン面(又はウェハ面)に対するフーリエ変換面F
TPに一致していることが多い。
【0073】このとき、レチクルR上の点Prから発生
した結像光束は主光線LLPに沿って、反射面MR1
凹面ミラーMR2 の上側、凸面ミラーMR3 の全面、凹
面ミラーMR2 の下側、及び反射面MR4 の順に進み、
ウェハW上の点Pr’に収斂する。このように凸面ミラ
ーMR3 の表面が系の瞳面となっているときでも、今ま
で述べてきた各実施例で使用した干渉性低減部材CCM
がそのまま、あるいは若干の変形によって同様に用いる
ことができる。
【0074】具体的には図18(A)に示すように干渉
性低減部材CCMを凸面ミラーMR 3 の直近に配置し、
凹面ミラーMR2 から凸面ミラーMR3 へ入射してくる
ときと、凸面ミラーMR3 から凹面ミラーMR2 へ射出
していくときとの2回(往復)の光路で、中心の円形
(又は輪帯)透過部FAを通った光束と周辺の輪帯透過
部FBを通った光束とがコヒーレント長ΔLc以上の光
路長差をもつように構成すればよい。
【0075】あるいは図18(B)に示すように、フー
リエ変換面となっいる凸面ミラーMR3 ’の表面に所定
の半径(面積)で微小な段差を設け、その段差の上面部
と下面部とが反射光束に対してコヒーレント長ΔLc以
上の光路長差(段差量の2倍)を与えるようにしてもよ
い。この場合、その段差はミラーMR3 ’と一体に形成
されることもあるが、いずれにしろその段差部分が干渉
性低減部材CCMに相当する。尚、図18(B)に示し
た凸面ミラーMR'3の表面に形成する段差部は、透過物
体(薄膜)としてもよい。その場合、凸面ミラーMRの
表面とその透過物体(透過部FAに相当)の表面との段
差、すなわち透過物体の厚みdは、屈折率nの透過物体
中を光束が往復することにより生じる光路長差2(n−
1)dがコヒーレント長ΔLcより大きくなるように定
められる。
【0076】また透過部FA,FBの一部に1/2波長
板や1/4波長板を組み合わせた図15の場合は往復の
光路で2倍の偏光作用を受けることを考慮して1/2波
長板は1/4波長板に、1/4波長板は1/8波長板に
それぞれ変更する必要がある。またエキシマレーザを光
源とする投影露光装置では、投影光学系の瞳面に、フラ
イアイレンズ等の射出側に形成される2次光源面(多数
の点光源)が再結像されるため、その瞳面に光学素子
(レンズ、反射面、開口絞り、CCM等)を配置すると
長期間の使用によって、その光学素子が収斂した光源像
のために劣化する可能性がある。そのため干渉性低減部
材CCM等は瞳面に厳密に配置するのではなく、むしろ
若干ずらして配置した方が好ましい。
【0077】以上、本発明の各実施例で説明した干渉性
低減部材CCMによって分割された結像光束間の光路長
差は、その光束(照明光ILB)の時間的なコヒーレン
ト長ΔLc以上になるが、その値は従来のSuper
FLEX法で与えられる光路長差(波長1/2〜数波長
分)と比べて格段に大きなものとなる。さらにSupe
r FLEX法では、投影光学系の瞳面に配置されたフ
ィルター(複素振幅透過率)を通った結像光束の全てが
ウェハW上で干渉(振幅合成)することにより変わりは
なく、本発明とSuper FLEX法とは原理的に全
く異なるものである。その原理的な違いによって、本発
明においてはSuper FLEX法で得られなかった
新たな効果が得られる。このことについては以下で述べ
るシミュレーションを参考にして説明する。
【0078】尚、本発明で用いる干渉性低減部材CCM
は、瞳面を通る結像光束(コンタクトホールパターンの
場合、ほぼ一様に分布する)を瞳の径方向で複数部分に
分割し、各部分光束間の干渉性を低減させる目的のため
のみに作用する。従って各実施例で用いた干渉性低減部
材CCMには、各部分光束によって互いに独立に結像し
た複数の像(Pr'1、Pr'2等)の夫々のベストフォー
カス位置(焦点位置)を、投影光学系の光軸AX方向に
相互にずらす効果、すなわちある種の球面収差を与える
効果は全くない。
【0079】以上の各実施例において、投影光学系の瞳
面epを円形領域又は輪帯領域とのm個に分割する際、
各分割領域の面積を等しくするとしたが、これは必ずし
も必須の条件ではない。特に1対の円形領域と輪帯領
域、あるいは1対の輪帯領域と輪帯領域との間に、時間
的コヒーレント長ΔLc以上の光路差を与えず、かつ、
1/2波長分の光路差を与える構成(位相シフター等を
用いた例)とする場合には、上記の1対の領域の各面積
は異ならせた方がよい。なぜなら、1/2波長分の光路
長を有する両光束(それぞれが上記両領域の透過光に対
応する)の光量(各面積に対応)がほぼ等しいと、両光
束はウェハ上(像位置)で相殺し、強度が零となってし
まうためである。あるいは、両領域の面積を異ならせる
代わりに、どちらか一方の領域の透過率を下げてもよ
い。もちろん、面積と透過率の両者を変化させてもよ
い。また、以上の各実施例において、干渉性低減部材C
CMを透過部材として使用する場合には、その界面(表
面)に反射防止コートを施しておくとよい。
【0080】次に本発明の各実施例によって得られる作
用、効果について、シミュレーション結果をもとに説明
する。図19(A)は以下のシミュレーションに用いた
1辺がウェハ上で0.3μmに相当する正方形のコンタ
クトホールパターンPAであり、以下のシミュレーショ
ンでは図19(A)中のA−A’断面でのウェハ上での
像強度分布を扱うものとする。図19(B)は先の図6
(又は図7、8)に示した干渉性低減部材CCMを示す
もので、中心の円形透過部FAの半径r1 と瞳epの実
効的な最大半径r2 との比r1 /r2 (NA1 /NA
w)は、原理説明のところで述べたように0.707に
なるように定められている。すなわち、透過部FAを通
った結像光束の最大入射角をθ1 とすると、sin2 θ
1 =1/2(NAw2 )を満たすように決められてい
る。尚、以下のシミュレーションは、全てNAw=0.
57、露光波長はi線(波長0.365μm)という条
件のもとで行った。また照明光束のコヒーレンスファク
ターであるσ値は0.6とした。さて図19(C)、
(D)、(E)はパターンPAのウェハ上での像強度分
布を示し、それぞれベストフォーカス位置での強度分布
1 、1μmのデフォーカス位置での強度分布I2 、2
μmのデフォーカス位置での強度分布I3 である。また
図19(C)、(D)、(E)中のEthはウェハ上の
ポジ型フォトレジストを完全に除去(感光)させるに必
要な強度を示し、Ecはポジレジストが溶解(膜ベリ)
し始める強度を示す。各強度分布の縦方向の倍率(露光
量)はベストフォーカスでのコンタクトホール径(Et
hを横切るスライス部の幅)が0.3μmとなるように
設定した。比較のために図20(A)、(B)、(C)
にそれぞれ通常の露光装置(低減部材CCMを取り除い
たもの)によるベストフォーカス位置での強度分布
7 、1μmのデフォーカス位置での強度分布I8 、2
μmのデフォーカス位置での強度分布I9 を示す。この
ときのシミュレーション条件も同様にNAw=0.5
7、波長λ=0.365μm、σ=0.6である。
【0081】この図20(A)〜(C)と先の図19
(D)〜(F)とを比較すると、本発明によるSFIN
CS法ではデフォーカス時の像強度の変化(コントラス
ト低下)が減少し、焦点深度が増大することがわかる。
一方、図21は通常の投影露光装置にFLEX法を組み
合わせたときの像強度分布I10、I11、I12の変化を表
したものである。FLEX法の露光条件はベストフォー
カス位置と、±1.25μmだけデフォーカスした位置
の夫々とで各1回の計3回の分割露光とした。この図2
1のシミュレーション結果と図19(C)〜(E)のシ
ミュレーション結果とを比較すると、本発明での焦点深
度の増大効果はFLEX法と同程度に得られることがわ
かる。図22は本発明の実施例中の図10に示した干渉
性低減部材CCMと同様の考え方で図6の構成に遮光部
FDを持たせた場合のシミュレーション結果を示す。こ
のとき図26(B)に示すように干渉性低減部材CCM
の中心の円形遮光部FDの半径r4 は0.31r2 (す
なわちsinθ4 =0.31NAw)の関係に決定さ
れ、その外側の内径r4 、外径r1 の輪帯状透過部FA
の外径r1 は0.74r2 (すなわちsinθ1 =0.
74NAw)の関係に設定されているものとする。すな
わち(r1 2 −r4 2 )=(r2 2 −r1 2 )を満たす
ように設定されている。もちろん露光条件として、NA
w=0.57、σ=0.6、λ=0.365μmはその
ままである。この図22(B)のような低減部材CCM
でも、図22(C)、(D)、(E)に示す通りベスト
フォーカス位置での強度分布I4 、1μmのデフォーカ
ス位置での強度分布I5 、2μmのデフォーカス位置で
の強度分布I6 の如く、十分な焦点深度増大効果が得ら
れる。
【0082】図23は比較のために従来のSuper
FLEX法でのシミュレーション結果を示したものであ
る。図23(A)、(B)、(C)は開口数NAwが
0.57で、瞳中心点から0.548NAwの半径内の
部分の複素振幅透過率を−0.3にしたフィルターを瞳
に設けたときに得られるベストフォーカス位置での強度
分布I13、1μmのデフォーカス位置での強度分布
14、2μmのデフォーカス位置での強度分布I15を示
す。Super FLEX法では図23のようにベスト
フォーカス位置での中央強度が高く、プロファイルがシ
ャープであるが、デフォーカス量による中心強度低下
は、ある量から急峻に起こっている。しかしながら焦点
深度の拡大効果としては、図19、図22に示した本発
明による効果と同程度である。ただし、Super F
LEX法では本来の像(中心強度)の周辺に、図23
(A)に示すようなサブピーク(リンギング)が発生す
る。これは、図23でシミュレーションのモデルとなっ
た孤立したコンタクトホールパターンPAでは問題ない
が、後述する近接した複数のコンタクトホールパターン
への適用時に大きな問題となる。
【0083】図24(A)、(B)、(C)はそのよう
なリンギングを防止するために、図23でシミュレーシ
ョンモデルとしたSuper FLEX法の瞳フィルタ
ーよりも作用を弱めたフィルターを用いた場合のシミュ
レ−ション結果を示す。この場合、投影光学系の開口数
NAwは0.57とし、瞳中心部の半径0.447NA
wに相当する部分内の複素振幅透過率を−0.3とした
フィルターを用いる。図24(A)〜(C)はそれぞれ
ベストフォーカス位置での強度分布I16、1μmのデフ
ォーカス位置での強度分布I17、2μmのデフォーカス
位置での強度分布I18を示し、確かに図23の場合に比
べてリンギングは弱くなるが、同時に焦点深度の増大効
果も低減してしまう。
【0084】図25(A)〜(D)は、近接した2つの
コンタクトホールパターンPA1 、PA2 が例えば図2
5(E)のように中心間距離0.66μm(ウェハ上換
算)だけ離れて並ぶ場合に、各種露光方法で得られる像
強度分布をシミュレーションした結果を示す。図25
(A)は、図22と同じシミュレーション条件によるS
FINCS法(本発明)によって得られた像強度分布を
示し、図25(B)は従来のFLEX法によって得られ
た像強度分布を示し、図25(C)は図23と同じ条件
でのSuper FLEX法(1)で得られた像強度分
布を示し、そして図25(D)は図24と同じ条件での
Super FLEX法(2)で得られた像強度分布を
示し、いずれの強度分布もベストフォーカス位置でのも
のである。このシミュレーション結果からわかるよう
に、図25(A)、(C)、(D)で得られる像は、2
つのホール像の間の強度が膜ベリ強度Ecより低いた
め、両ホール間のレジスト(ポジ型)は完全に残膜し、
両ホールのレジスト像は分離して良好に形成される。と
ころが、図25(B)に示したFLEX法では、2つの
ホール像の間の強度が十分に低くなく、両ホール間のレ
ジストが膜ベリし、良好なパターンは形成できない。す
なわち、わずかな露光量のちがいによって、2つのコン
タクトホールの像がつながってしまうこともある。この
ように孤立的なコンタクトホールパターンの投影時の焦
点深度は本発明のSFINCS法と従来のFLEX法と
では同程度の拡大効果が得られたが、近接したホールパ
ターンの解像度(忠実度)の点では本発明のSFINC
S法の方がFLEX法より優れていることがわかる。
【0085】尚、図25(C)、(D)のシミュレーシ
ョンでは一方のホールパターンによるリンギングのピー
ク部が他方のホールパターンの中心強度部と重なるよう
な条件で2つのホールパターンPA1 、PA2 の中心間
距離を定めたので、2つのホールパターン像の間にはリ
ンギングの影響が現れない。このことは逆に、2つのホ
ールパターンPA1 、PA2 の中心間距離が先の条件
(ウェハ上で0.66μm)と異なってくると、リンギ
ングの影響が現れることを意味する。
【0086】図26は中心間距離が0.96μm(ウェ
ハ上換算)で並んだ2つのコンタクトホール像のベスト
フォーカス位置での強度分布のシミュレーション結果で
ある。図22に示した条件でのSFINCS法(本発
明)による像強度分布I23は、図26(A)のように2
つのホール像の間が十分に暗く、良好なレジストパター
ンが形成できる。ところが、図23に示した条件でのS
uper FLEX法(1)では、図26(B)の強度
分布I24のように、2つのホールパターンの夫々による
リンギングが合成(加算)されてしまい、2つのホール
像の中間に明るいサブピーク(膜ベリ強度Ec以上)が
生じ、この部分のレジストが膜ベリしてしまう。このた
め、良好なレジスト像を得ることができない。一方、図
24に示した条件でのSuper FLEX法(2)に
よって中心間距離が0.96μmの2つのホールパター
ンを投影すると、その像強度分布I25は図26(C)に
示すようになる。このように比較的効果の弱いSupe
r FLEX法(2)の場合は、リンギングが少なく膜
ベリもないため、良好なレジスト像を得ることができ
る。ところが、この条件では図24で説明した通り、本
発明でのSFINCS法に比べて十分な焦点深度拡大効
果を得ることができない。
【0087】図27は、その他の投影露光法として、投
影光学系の瞳面に瞳の実効的な半径r2 に対して0.7
07倍の半径(NAw×0.707)、すなわち瞳の実
効的な面積の約半分の面積をもつ円形遮光板のみを瞳中
心に配置したときに得られる孤立したホールパターンの
像強度分布I26を示したものである。この場合も、やは
り本来の像の周囲にリンギングが生じることになり、近
接したコンタクトホールパターンの投影露光への適用は
難しい。
【0088】図28は近接した複数のコンタクトホール
の例として、DRAM中のメモリーセル部に使われるコ
ンタクトホールパターンPA1 、PA2 、PA3 、PA
4 の2次元的な配列の一例を示すものである。このよう
なホールパターン群に対してSuper FLEX法を
使うと、各ホールの周囲にはリンギング(サブピーク)
Ra、Rb、Rc、Rdが生じ、それらが重なる領域R
oでは4つのリンギングの夫々のピーク強度が重なり合
うことになる。このような場合には2個のホールパター
ン(2つのリンギングが重なる)のみの場合には膜ベリ
の発生しなかった比較的効果の弱いSuper FLE
X法(2)であっても、サブピークの大きさが図26
(C)に示す状態の約2倍となり、やはり膜ベリ強度E
c以上となるため、良好なパターン転写ができなくな
る。すなわち、ウェハ上の領域Roの位置に本来レチク
ル上には存在しないホールの像(ゴースト像)を形成し
てしまうことになる。
【0089】一方、本発明によるSFINCS法であれ
ば図26(A)に示すように、2つのホールパターンの
中間の光強度分布は膜ベリ強度Ecの1/2以下である
ので、図28に示した領域Ro内では、その加算強度が
図26(A)の状態からさらに2倍となっても膜ベリ強
度Ec以下にすることができる。以上、本発明の各実施
例とその作用について説明したが、レチクルRへの照明
光ILBに特定の偏光方向を持たせるとき、その偏光方
向の適、不適を判断したり、あるいは干渉性低減部材C
CMを通過した後の結像光束の偏光状態の良否を判断す
るために、投影光学系を通った光束の一部を光電検出す
る手段をウェハステージWST上に設けてもよい。ま
た、ラインアンドスペースをもつレチクルを使用すると
きは、干渉性低減部材CCMを投影光学系PL外へ退出
させ、照明系の一部をSHRINC法に適するように交
換可能としてもよい。尚、コンタクトホールパターンの
投影露光時に干渉性低減部材CCMを用いるとともに、
SHRINC法又は輪帯照明光源等の変形照明系を併用
するようにしてもよい。その場合、露光すべきレチクル
をコンタクトホール用からラインアンドスペース用に交
換するときは、干渉性低減部材CCMのみを退出させれ
ばよい。
【0090】また本発明の各実施例に示した干渉性低減
部材CCMは、円形状、あるいは輪帯状の透過部又は遮
光部で構成したが、これは文字通りの形状に限られるも
のではない。例えば円形状の透過部又は遮光部は矩形を
含む多角形に、輪帯状の透過部又は遮光部はその多角形
を環状に取り囲む形状に、それぞれ変形してもよい。
【0091】
【発明の効果】以上、本発明によれば、コンタクトホー
ル等の孤立的なパターンの投影露光時の焦点深度を、F
LEX法、あるいはSuper FLEX法と同程度に
拡大させることができるとともに、FLEX法のように
感光基板を光軸方向に移動、又は振動させることなく、
またSuper FLEX法のように複雑な複素振幅透
過率の関数をもつ空間フィルターを作成する必要もない
と言った利点がある。特に本発明では、投影光学系の瞳
面(フーリエ変換面)での空間的フィルタリングにとも
なって発生しやすいリンギング自体が十分に小さく押さ
えられるため、複数個のコンタクトホールパターンが比
較的接近して配置される場合であっても、Super
FLEX法のようにリンギングのサブピーク部の重畳に
よって生じる悪影響(ゴースト像の発生等)は皆無にな
るといった大きな効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の投影露光方法を説明する図。
【図2】本発明の投影露光方法を実施するための原理的
な構成を示す図。
【図3】本発明の露光方法により焦点深度が増大する原
理を説明する図。
【図4】本発明の実施に好適な投影露光装置の全体的な
構成を示す図。
【図5】投影光学系の部分的な構造を示す部分断面図。
【図6】本発明の第1の実施例による干渉性低減部材C
CMの構成を示す図。
【図7】本発明の第2の実施例による干渉性低減部材C
CMの構成を示す図。
【図8】本発明の第1、第2の実施例による干渉性低減
部材CCMのいくつかの変形例を示す図。
【図9】本発明の第3の実施例による干渉性低減部材C
CMの構成を示す図。
【図10】本発明の第4の実施例による干渉性低減部材
CCMの構成を示す図。
【図11】図9に示した干渉性低減部材CCMによる結
像作用を説明する図。
【図12】図10に示した干渉性低減部材CCMによる
結像作用を説明する図。
【図13】本発明の第5の実施例による干渉性低減部材
CCMの構成とその結像作用を説明する図。
【図14】本発明の第6の実施例による干渉性低減部材
CCMの構成を示す図。
【図15】本発明の第7の実施例による干渉性低減部材
CCMの構成を示す図。
【図16】本発明の第8の実施例による構成を示し、ア
ライメント系を用いたときの投影光学系の構成を示す
図。
【図17】本発明の第9の実施例によるミラープロジェ
クション方式のアライナーの構成を示す図。
【図18】図17のアライナーに、本発明の各実施例に
よる干渉性低減部材CCMを適用した様子を示す図。
【図19】単独のホールパターンに対する本発明のSF
INCS法による効果を像強度分布としてシュミレーシ
ョンしたグラフ。
【図20】単独のホールパターンに対する従来の通常露
光法による効果を像強度分布としてシュミレーションし
たグラフ。
【図21】単独のホールパターンに対する従来のFLE
X法による効果を像強度分布としてシュミレーションし
たグラフ。
【図22】単独のホールパターンに対する本発明のSF
INCS法による効果を像強度分布としてシュミレーシ
ョンしたグラフ。
【図23】単独のホールパターンに対する従来のSup
er FLEX法(1)による効果を像強度分布として
シュミレーションしたグラフ。
【図24】単独のホールパターンに対する従来のSup
er FLEX法(2)による効果を像強度分布として
シュミレーションしたグラフ。
【図25】2個の接近したホールパターンに対する各種
露光法による効果を像強度分布としてシュミレーション
したグラフ。
【図26】接近した2個のホールパターンの間隔を図2
5の場合と変えたときの各種露光法による効果を像強度
分布としてシュミレーションしたグラフ。
【図27】瞳の中心に円形遮光部のみを設けたときに、
単独のホールパターンの像強度分布にリンギングが生じ
ることを示すグラフ。
【図28】2次元的に分布したコンタクトホールパター
ンとリンギングの発生位置との関係を示す図。
【符号の説明】
R・・・レチクル W・・・ウェハ PL・・・投影光学系 AX・・・光軸 PA、PA1 、PA2 ・・・ホールパターン CCM・・・干渉性低減部材 FA・・・円形状透過部 FB・・・輪帯状透過部 ILB・・・照明光
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01L 21/027

Claims (18)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】パターンが形成されたマスクを照明光で照
    明し、前記パターンからの光を基板上に導く投影露光装
    置において、 前記マスクと前記基板との間に設けられ、前記パターン
    からの光を前記照明光の波長範囲より定まる可干渉距離
    以上の光路差を有する複数の光に変換する変換手段を備
    えることを特徴とする投影露光装置。
  2. 【請求項2】前記変換手段は、前記パターンからの光が
    通過する第1領域と第2領域とを有し、前記第1領域を
    通過する光と、前記第2領域を通過する光とを、前記照
    明光の波長範囲より定まる可干渉距離以上の光路差を有
    する光に変換することを特徴とする請求項1に記載の投
    影露光装置。
  3. 【請求項3】前記パターンからの光を前記基板上に結像
    する投影光学系を備え、 前記変換手段は、前記投影光学系内の前記マスクパター
    ン面に対する光学的なフーリエ変換面又はその近傍に配
    置されることを特徴とする請求項1または2に記載の投
    影露光装置。
  4. 【請求項4】前記変換手段は、前記第1領域と前記第2
    領域との間で、屈折率が異なる光学素子を有することを
    特徴とする請求項2または3に記載の投影露光装置。
  5. 【請求項5】前記変換手段は、前記第1領域と前記第2
    領域との間で、前記投影光学系の光軸方向への厚みが異
    なる光学素子を有することを特徴とする請求項2または
    3に記載の投影露光装置。
  6. 【請求項6】前記第1領域は、前記投影光学系の光軸を
    中心とする領域であり、 前記第2領域は、前記第1領域の外側の領域であること
    を特徴とする請求項2から5のいずれかに記載の投影露
    光装置。
  7. 【請求項7】前記第1領域は、前記投影光学系の光軸を
    中心とする円形領域であり、 前記第2領域は、前記円形領域の外側の領域であること
    を特徴とする請求項6に記載の投影露光装置。
  8. 【請求項8】前記円形領域の面積は、前記投影光学系内
    の前記フーリエ変換面の実効的な開口面積のほぼ半分で
    あることを特徴とする請求項7記載の投影露光装置。
  9. 【請求項9】前記第1領域は、前記投影光学系の光軸を
    中心とする輪帯領域であり、 前記第2領域は、前記輪帯領域の内側又は外側であるこ
    とを特徴とする請求項2から5のいずれかに記載の投影
    露光装置。
  10. 【請求項10】前記第1領域は、前記投影光学系の光軸
    を中心とする円形領域であり、 前記第2領域は、前記円形領域の外側を少なくとも2重
    に取り囲む輪帯領域であり、前記輪帯領域のそれぞれ
    は、互いに屈折率又は前記投影光学系の光軸方向への厚
    みが異なる光学素子を有することを特徴とする請求項2
    から5のいずれかに記載の投影露光装置。
  11. 【請求項11】前記フーリエ変換面又はその近傍に前記
    投影光学系の光軸を中心とする円形状又は輪帯状の遮光
    部材が設けられることを特徴とする請求項3から10の
    いずれかに記載の投影露光装置。
  12. 【請求項12】前記変換手段又は前記遮光部材の少なく
    とも一つを、前記マスクと前記基板との間に挿脱可能に
    する駆動機構を有することを特徴とする請求項11に記
    載の投影露光装置。
  13. 【請求項13】前記基板と前記投影光学系とを、前記投
    影光学系の光軸方向に相対的に移動させる移動機構を有
    することを特徴とする請求項1から12のいずれかに記
    載の投影露光装置。
  14. 【請求項14】パターンが形成されたマスクを照明光で
    照明し、前記パターンからの光を基板上に導く投影露光
    方法において、 前記マスクと前記基板との間で、前記パターンからの光
    を前記照明光の波長範囲より定まる可干渉距離以上の光
    路差を有する複数の光に変換し、 変換された前記複数の光を前記基板上に導くことを特徴
    とする投影露光方法。
  15. 【請求項15】前記複数の光を前記基板上に結像する
    際、前記基板と前記投影光学系とを、前記投影光学系の
    光軸方向に相対移動させることを特徴とする請求項14
    に記載の投影露光方法。
  16. 【請求項16】請求項1から13のいずれかの装置で半
    導体集積回路を製造する方法。
  17. 【請求項17】請求項14から15のいずれかの方法で
    半導体集積回路を製造する方法。
  18. 【請求項18】パターンが形成されたマスクを照明光で
    照明し、前記パターンからの光を基板上に導く投影露光
    装置において、 前記マスクと前記基板との間に設けられ、前記パターン
    からの光を互いの波長が異なる複数の光に変換する変換
    手段を有することを特徴とする投影露光装置。
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