JPH0757992A - 投影露光装置 - Google Patents

投影露光装置

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JPH0757992A
JPH0757992A JP5201649A JP20164993A JPH0757992A JP H0757992 A JPH0757992 A JP H0757992A JP 5201649 A JP5201649 A JP 5201649A JP 20164993 A JP20164993 A JP 20164993A JP H0757992 A JPH0757992 A JP H0757992A
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coherence
region
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pattern
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JP5201649A
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Inventor
Naomasa Shiraishi
直正 白石
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Nikon Corp
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Nikon Corp
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    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03FPHOTOMECHANICAL PRODUCTION OF TEXTURED OR PATTERNED SURFACES, e.g. FOR PRINTING, FOR PROCESSING OF SEMICONDUCTOR DEVICES; MATERIALS THEREFOR; ORIGINALS THEREFOR; APPARATUS SPECIALLY ADAPTED THEREFOR
    • G03F7/00Photomechanical, e.g. photolithographic, production of textured or patterned surfaces, e.g. printing surfaces; Materials therefor, e.g. comprising photoresists; Apparatus specially adapted therefor
    • G03F7/70Microphotolithographic exposure; Apparatus therefor
    • G03F7/70216Mask projection systems
    • G03F7/70308Optical correction elements, filters or phase plates for manipulating imaging light, e.g. intensity, wavelength, polarisation, phase or image shift
    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03FPHOTOMECHANICAL PRODUCTION OF TEXTURED OR PATTERNED SURFACES, e.g. FOR PRINTING, FOR PROCESSING OF SEMICONDUCTOR DEVICES; MATERIALS THEREFOR; ORIGINALS THEREFOR; APPARATUS SPECIALLY ADAPTED THEREFOR
    • G03F7/00Photomechanical, e.g. photolithographic, production of textured or patterned surfaces, e.g. printing surfaces; Materials therefor, e.g. comprising photoresists; Apparatus specially adapted therefor
    • G03F7/70Microphotolithographic exposure; Apparatus therefor
    • G03F7/708Construction of apparatus, e.g. environment aspects, hygiene aspects or materials
    • G03F7/70858Environment aspects, e.g. pressure of beam-path gas, temperature
    • G03F7/70883Environment aspects, e.g. pressure of beam-path gas, temperature of optical system

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  • Exposure And Positioning Against Photoresist Photosensitive Materials (AREA)
  • Exposure Of Semiconductors, Excluding Electron Or Ion Beam Exposure (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 比較的接近した複数の孤立パターンに対して
も転写忠実度を損なうことなく深い焦点深度で投影露光
を行う。 【構成】 投影光学系の瞳面(フーリエ変換面)又はこ
の近傍の面上を、半径r 1 の円形の透過部FA、半径r
1 〜r2 の輪帯状の透過部FB、及び半径r2 〜r3
輪帯状の透過部FCに分割し、透過部FA及びFCを透
過する光束と透過部FBを透過する光束との間の可干渉
性を低減すると共に、透過部FAの光束と透過部FCの
光束との間に(2m+1)π(mは整数)の位相差を与
える干渉性低減部材CCMを設ける。半径r1,r2,r3
の間に所定の関係を持たせる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば半導体集積回
路、又は液晶ディスプレイ等の微細パターンを形成する
際に用いられる投影露光装置に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の投影型露光装置に使われている
投影光学系は、高度な光学設計、硝材の厳選、硝材の超
精密加工、及び精密な組立て調整を経て装置内に組み込
まれる。現在、半導体製造工程では、水銀ランプのi線
(波長365nm)を照明光としてレチクル(マスク)
を照射し、そのレチクル上の回路パターンの透過光を投
影光学系を介して感光基板(フォトレジストが塗布され
たウエハ等)上に結像するステッパーが主に使われてい
る。また、評価用あるいは研究用として、エキシマレー
ザ(波長248nmのKrFレーザ等)を照明光とする
所謂エキシマステッパーも使われている。エキシマステ
ッパー用の投影光学系は屈折レンズのみで構成した場
合、使用できる硝材が石英や蛍石等に限定される。
【0003】一般に、投影光学系を用いた露光によって
微細なレチクルパターンを感光基板へ忠実に転写するた
めには、投影光学系の解像力と焦点深度(DOF:デプ
スオブフォーカス)とが重要なファクタとなっている。
現在実用化されている投影光学系のうち、i線用のもの
で開口数(NA)として0.6程度のものが得られてい
る。使用する照明光の波長が同じであるとき、投影光学
系の開口数を大きくすると、それに応じて解像力も向上
する。しかしながら、焦点深度(DOF)は開口数NA
の増大に伴って減少する。焦点深度は照明光の波長をλ
としたとき、DOF=±λ/NA2 によって定義され
る。
【0004】図1は従来の投影光学系の結像光路を模式
的に表したものであり、投影光学系は前群のレンズ系G
Aと後群のレンズ系GBとによって構成される。この種
の投影光学系としてはレチクルR側とウエハW側との両
方をテレセントリックにしたもの、あるいはウエハW側
のみをテレセントリックにしたものが一般的である。さ
て、図1においてレチクルRのパターン面(投影光学系
の物体面)上に任意の3つの点A、B、Cを想定する。
点Aから様々の方向に進む光線L1 、L2 、L3 、L
a、La’、La”のうち、光線L1 は投影光学系のレ
ンズ系GAに入射できないような角度で発生する。ま
た、前群のレンズ系GAに入射した光線のうち、光線L
2 、L3 は投影光学系のフーリエ変換面FTPに位置す
る瞳epを通過することができない。一方、他の光線L
a、La’、La”は瞳epを通過して後群のレンズ系
GBに入射し、ウエハWの表面(投影光学系の像面)上
の点A’に収斂する。従って、レチクルR上の点Aから
発生した光線のうち、投影光学系の瞳ep(光軸AXを
中心とする円形領域)を通過した光線が点A’に点像を
結像するのに寄与する。ここで点Aから点A’に向かう
光線のうち、瞳epの中心点CC(光軸AX上の位置)
を通る光線Laを主光線と呼び、この主光線Laは両側
がテレセントリックな投影光学系の場合、物体面側、像
面側の夫々の空間で光軸AXと平行になっている。
【0005】また、レチクルR上の他の点B、Cの夫々
から発生した光線についても全く同じであり、瞳epを
通過する光線のみが点像B’、C’の結像に寄与する。
同様に点B、Cの夫々から光軸AXと平行に進んでレン
ズ系GAに入射する光線Lb、Lcは、何れも瞳epの
中心点CCを通る主光線となる。このように瞳epはレ
チクルRのパターン面とウエハWの表面との夫々に対し
てフーリエ変換、及び逆フーリエ変換の関係にあり、レ
チクル上のパターンからの光線のうち結像に寄与する光
線は全て瞳epを重畳して通ることになる。
【0006】このような投影光学系の開口数は一般にウ
エハ側の値として表されている。図1において、点像
A’の結像に寄与する光線のうち、瞳ep内の最外部を
通る光線La’、La”がウエハW上で主光線Laと成
す角度θwが、この投影光学系のウエハ(像面)側での
開口数NAwに相当し、NAw=sinθwで表され
る。従って、光線La’、La”がレチクルR側で主光
線Laと成す角度θrの正弦は、レチクル(物体面)側
での開口数NArと呼ばれ、NAr=sinθrで表さ
れる。更に投影光学系の結像倍率をM(1/5縮小の場
合はM=0.2)とすると、NAr=M・NAwの関係
にある。
【0007】ところで、解像力を高めるためには、開口
数NAw(NAr)を大きくする訳であるが、このこと
は換言すれば瞳epの径を大きくすること、更にレンズ
系GA、GBの有効径を大きくすることに他ならない。
ところが、焦点深度DOFの方は開口数NAwの2乗に
反比例して減少してしまうため、たとえ高開口数の投影
光学系が製造できたとしても、必要な焦点深度が得られ
ないことにより、実用上の大きな障害となる。
【0008】例えば、照明光の波長をi線の365nm
とし、開口数NAwを0.6とすると、焦点深度DOF
は幅で約1μm(±0.5μm)になってしまい、ウエ
ハW上の1つのショット領域(20mm角〜30mm角
程度)内で表面の凹凸や湾曲が焦点深度DOF以上の部
分については解像不良を起こすことになる。また、ステ
ッパーのシステム上でも、ウエハWのショット領域毎の
フォーカス合わせ、及びレベリング等を格段に高精度に
行う必要が生じ、機械系、電気系、及びソフトウエアの
負担(計測分解能、サーボ制御精度、設定時間等の向上
努力)が増大することになる。
【0009】そこで本件出願人は、このような投影光学
系の諸問題を解決し、しかも特開昭62−50811号
公報に開示されているような位相シフトレチクルを使わ
なくとも、高い解像力と大きな焦点深度との両方を得る
ことができる新たな投影露光技術を、特開平4−101
148号公報、特開平4−225358号公報等で提案
した。この露光技術は、投影光学系は既存のままで、レ
チクルへの照明方法を特殊な形態に制御することで解像
力と焦点深度とを増大させるものであり、SHRINC
(Super High Resolution by IllumiNation Control) 法
と呼んでいる。このSHRINC法は、レチクルR上の
ライン・アンド・スペースパターン(L&Sパターン)
のピッチ方向に対称的に傾斜した2つの照明光(又は4
つの照明光)をレチクルへ照射し、L&Sパターンから
発生する0次回折光成分と±1次回折光成分の一方と
を、投影光学系の瞳ep内で中心点CCに関して対称的
に通し、2光束干渉(一方の1次回折光と0次回折光と
の干渉)の原理を利用して、L&Sパターンの投影像
(干渉縞)を生成するものである。
【0010】このように2光束干渉を利用した結像によ
ると、デフォーカス時の波面収差の発生が従来の方法
(通常の垂直照明)の場合よりも抑えられるため、焦点
深度が大きくなるのである。ところが、このSHRIN
C法はレチクルR上に形成されるパターンがL&Sパタ
ーン(格子)のように、周期構造を持つときに所期の効
果が得られるのであり、コンタクトホールパターン等の
孤立したパターンに対してはその効果が得られない。一
般に、孤立した微小パターンの場合、そこからの回折光
は回折角方向にほとんど一様なフラウンホーファ回折と
して発生するため、投影光学系の瞳ep内では0次回折
光と高次回折光とに明確に分離しないためである。
【0011】そこで、コンタクトホールパターン等の孤
立パターンに対して見かけ上の焦点深度を拡大させる露
光方法として、ウエハWの1つのショット領域に対する
露光を複数回に分け、各露光の間にウエハWを光軸方向
に一定量だけ移動させる方法が、例えば特開昭63−4
2122号公報で提案された。この露光方法はFLEX
(Focus Latitude enhancement EXposure) 法と呼ばれ、
コンタクトホールパターン等の孤立パターンに対しては
十分な焦点深度拡大効果を得ることができる。但し、F
LEX法は、僅かにデフォーカスしたコンタクトホール
パターン像を多重露光することを必須とするため、現像
後に得られるレジスト像は必然的に鮮鋭度が低下したも
のとなる。この鮮鋭度低下(プロファイル悪化)の問題
は、ガンマ値が高いフォトレジストを用いたり、多層レ
ジストを用いたり、あるいはCEL(Contrast Enhancem
ent Layer)を用いたりすることで補うことができる。
【0012】また、FLEX法のように露光動作中にウ
エハWを光軸方向に移動させなくても、コンタクトホー
ルパターンの投影時の焦点深度を拡大する試みとして、
1991年春季応用物理学会の予稿集29a−ZC−
8、9で発表されたSuper−FLEX法も知られて
いる。このSuper−FLEX法は、投影光学系の瞳
epに透明な位相板を設け、この位相板によって結像光
に与えられる複素振幅透過率が光軸AXから周辺に向か
って順次変化するような特性を持つものである。このよ
うにすると、投影光学系によって結像された像はベスト
フォーカス面(レチクルRと共役な面)を中心に光軸方
向に一定の幅(従来よりは広い)でシャープさを保つこ
とになり、焦点深度が増大するのである。
【0013】なお、上記のSuper−FLEX法の如
く投影光学系の瞳面でのフィルタリングにより透過率分
布や位相差を変化させて焦点深度を向上する方法は、多
重焦点フィルター法として一般に知られている。多重焦
点フィルターについては、昭和36年1月23日付で発
行された機械試験所報告第40号の「光学系における結
像性能とその改良方法に関する研究」と題する論文中の
第41頁〜第55頁に詳しく述べられている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】以上で述べた各種従来
技術のうち、FLEX法、及びSuper−FLEX法
では、孤立的なコンタクトホールパターンに対して十分
な焦点深度の増大効果を得ることができる。しかしなが
ら、露光作業中にウエハを光軸方向に連続的に移動又は
振動する方式のFLEX法では走査露光方式の露光装置
への適用が難しく、また、露光を第1の露光と第2の露
光とに分割し、各露光間にウエハを光軸方向に移動する
方式では処理能力の低下が大きく、スループットが著し
く低下するという不都合がある。
【0015】本発明は斯かる点に鑑み、コンタクトホー
ルパターン等の孤立したパターンの投影露光の際に、焦
点深度を拡大した投影露光装置を提供することを目的と
し、特に比較的接近した複数の孤立パターンに対しても
忠実な転写を可能とし、同時に焦点深度拡大効果が得ら
れる投影露光装置を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明による投影露光装
置は、例えば図8及び図10に示すように、転写用のパ
ターンが形成されたマスク(R)を露光用の照明光で照
射する照明手段(1〜14)と、その照明光のもとでマ
スク(R)のパターンの像を感光性の基板(W)上に結
像投影する投影光学系(PL)とを備えた投影露光装置
において、投影光学系(PL)内のマスク(R)のパタ
ーン形成面に対する光学的フーリエ変換面(FTP)又
はその近傍の結像光の通過面上の、投影光学系(PL)
の光軸(AX)を中心とする投影光学系(PL)の開口
数に相当する半径r3 の領域を、光軸(AX)を中心と
して半径r1 の第1の領域(FA)と、光軸(AX)を
中心として半径がr1 からr2 までの輪帯状の第2の領
域(FB)と、光軸(AX)を中心として半径がr2
らr3 までの輪帯状の第3の領域(FC)とに分割する
(但し、r1 <r2 <r3)。
【0017】そして、第1の領域(FA)及び第3の領
域(FC)に分布する結像光と第2の領域(FB)に分
布する結像光との間の可干渉性を低減すると共に、第1
の領域(FA)に分布する結像光と第3の領域(FC)
に分布する結像光との間に(2m+1)πの位相差(m
は整数)を与える干渉性低減部材(CCM)を設け、半
径r1 及びr2 を、半径r3 及び所定の係数α及びβを
用いてそれぞれ次のように表す。
【0018】r1 =α・r3 、r2 =β・r3 (1) この場合、本発明においては、それら係数α及びβにつ
いて次の2つの関係が同時に成立する。 β=0.85・α+0.58 (2) 0.2≦α≦0.4 (3) この場合、干渉性低減部材(CCM)の一例は、第1の
領域(FA)及び第3の領域(FC)に分布する結像光
と第2の領域(FB)に分布する結像光との間に、その
照明光の波長域に応じて定まる可干渉距離以上の光路差
を与える時間的コヒーレンシィ低減部材である。
【0019】また、干渉性低減部材(CCM)の他の例
は、第1の領域(FA)及び第3の領域(FC)に分布
する結像光の偏光状態と第2の領域(FB)に分布する
結像光の偏光状態とを互いに干渉しない状態とする偏光
制御部材である。また、照明手段(1〜14)として、
輪帯照明系、又は変形光源系を使用してもよい。
【0020】
【作用】斯かる本発明においては、マスク(以下、「レ
チクル」とする)のパターン面に対して、光学的にフー
リエ変換の関係となる投影光学系内の面(以下、「瞳
面」と略称する)、又はその近傍の面に干渉性低減部材
(CCM)を設け、その瞳面内で円形又は輪帯状の領域
(FA,FC)に分布する結像光の一部と、それ以外の
領域(FB)に分布する結像光とを互いに干渉し合わな
い状態とする。この結果、レチクルパターン中の、特に
コンタクトホールパターンを透過、回折した露光用の照
明光(結像光)は瞳面内で干渉し合わない2種類の光束
に空間的に分割され、被露光体としての感光性の基板
(以下、「ウエハ」とする)に到達する。
【0021】ウエハ上でも2種類の光束は干渉し合わな
い(インコヒーレントである)ために、それぞれの光束
が作りだす像(コンタクトホールパターンの像)の光量
上での強度合成像が得られる。従来の露光方式ではレチ
クル上の微小コンタクトホールパターンを透過、回折し
た光束は投影光学系を経てウエハ面に達すると、ここで
全て振幅的に合成(コヒーレント加算)されてレチクル
パターンの像(光学像)を形成していた。従来のSup
er−FLEX法においても、瞳面に分布する結像光を
部分的に位相シフトさせているだけなので、コヒーレン
ト加算であることに変わりはない。
【0022】さて、投影光学系の瞳面に位相シフト板等
が無いものとすると、ベストフォーカス状態(合焦状
態)では、レチクル上の任意の1点からウエハ上の対応
する像点までの光路長は投影光学系中のどの光線路を通
るかに拘らず全て等しく(フェルマーの原理)、従って
ウエハ上の振幅合成は位相差のない光の合成となり、全
てコンタクトホールパターンの強度を増大する方向に作
用する。
【0023】ところが、ウエハにデフォーカス(ウエハ
表面とベストフォーカス面との光軸方向のずれ)が生ず
ると、上記の光路長は投影光学系内の光線路によって異
なった長さとなる。この結果、上記の振幅合成は光路差
(位相差)を有する光の加算となり、一部で相殺効果が
生じ、コンタクトホールパターンの中心強度を弱めるこ
とになる。このとき生じる光路差はウエハ上の1つの像
点に入射する任意の光線の入射角をθとし、且つウエハ
に垂直に入射する光線(主光線)の光路長を基準(=
0)とすると、ほぼ(1/2)(△F・sin2 θ)と
表される。ここで△Fはデフォーカス量を表す。sin
θの最大値は投影光学系のウエハ側の開口数NAwであ
るから、従来の如く微小コンタクトホールパターンから
の回折光のうち瞳epを通過した全ての光がウエハ上で
振幅合成される場合、最大で(1/2)(△F・NAw
2)の光路差を生じてしまうことになる。このとき焦点深
度としてλ/4の光路差までを許容すると仮定すれば、
以下の関係が成り立つ。
【0024】(1/2)(△F・NAw2 )=λ/4 (4) この式をまとめ直すと、△F=λ/(2NAw2)となっ
て、一般に言われる焦点深度幅と一致する。例えば露光
用照明光の波長として現在使われているi線(波長0.
365μm)を前提とし、開口数NAwとして0.50
を想定すると、焦点深度±△F/2は±0.73μmと
なり、ウエハ上のプロセス段差1μm程度に対してほと
んど余裕のない値となっている。
【0025】以上の原理を模式的に表したものが図6で
ある。図6の横軸は光軸を中心(0)とした瞳の径方向
の距離を表す。図6(A)中の矩形の分布曲線tcは瞳
の振幅透過率を表すが、通常の結像では瞳面には位相シ
フト板や、吸光物質を置かないので、コンスタントに+
1の振幅透過率となっている。図6(B)はウエハに入
射する光束の角度範囲を表し、sinθn=NA(ウエ
ハ側開口数)であり、角度θn、及び開口数NAの最大
値はそれぞれθw、及びNAwである。
【0026】さて、瞳面に位相板等がなく、且つ−θn
から+θnの入射角度範囲の光がウエハに達するとき、
即ちベストフォーカス(△F=0)状態のときは、図6
(C)に示すように、レチクル上の一点とウエハ上の像
点との光路長差△LCOはウエハへの入射角度又はその
正弦(sin)に依らず等しくなる(△LCO=0)。
一方、ウエハWがFだけデフォーカスすると(ΔF=
F)、上記の光路長差は入射角度(θ)の正弦に応じて
(1/2)△Fsin2 θだけ異なってくる。これを図
6(D)に示す。θ=0からsinθ=NAwの間には
△LCFだけの光路差(デフォーカスによる波面収差)
が生じる。この光路差(波面収差)が像のプロファイル
を悪化させる。これが即ちデフォーカスによる像の劣化
である。
【0027】一方、図7は所謂多重焦点フィルターの一
例として2重焦点フィルターによる結像の原理を模式的
に示すものである。ここでは図7(A)のように二重焦
点フィルターとして瞳面の中心部と周辺部とで透過光の
位相をπ[rad]だけ異ならしめるフィルターを用い
る。即ち、フィルターの振幅透過率は中心(円形領域)
で負、周辺(輪帯領域)で正となるが、この符号関係は
相対的なものであり、正負を反対にしても無論構わな
い。
【0028】振幅透過率が負である領域は、図7(B)
のようにウエハへの入射角として、−θ1 <θ<θ1
あり、振幅透過率率が正である領域はウエハへの入射角
θの範囲が、−θw<θ<θ1 及びθ1 <θ<θwとな
る(sinθ1 =NA1 とする)。さて、レチクル上の
一点からウエハ上の像点までの光路長差は、図7(C)
のように使用する二重焦点フィルタのためにベストフォ
ーカス(△F=0)においても、△LF0=λ/2だけ
の光路差を含んでいる。このためベストフォーカス(△
F=0)における像は、通常の(二重焦点フィルタを用
いない)場合の像よりもむしろ劣化したものとなる。と
ころが、△F=Fのデフォーカス状態においては、図7
(D)のように二重焦点フィルターの位相シフト効果に
より発生する位相差△LFFを、図6(D)の通常の光
路長差△LCFよりも少なくすることができる。従っ
て、二重焦点フィルターにより或る程度デフォーカスし
た位置での像を改善できることとなり、焦点深度を増大
することができる。
【0029】なお、上記の説明では片側(正方向)のみ
のデフォーカスを考えたが、逆側(負方向)のデフォー
カスに対しても同様に二重焦点フィルターの効果は表れ
る。逆側のデフォーカスでは、図6(D)、図7(D)
共に放物線が上に凸となるが、このとき図6(D)中で
−NAw〜−NA1 、及びNA1 〜NAwの間に相当す
る光束は、図7(D)に示した−NA1 〜NA1 の間の
光束より1波長ずれた(−側の)光束と干渉し、従って
△F=−Fの場合も光路差は同様に△LFFとなる。
【0030】一方、本発明では図2に示すように、投影
光学系の瞳面(FTP)に干渉性低減部材CCMを設け
る。このとき、レチクルRのパターン面に形成された孤
立パターンPrで回折した結像光束(主光線はLLp)
は投影光学系PLの前群レンズ系GAに入射した後、フ
ーリエ変換面FTPに達する。そしてフーリエ変換面F
TPにおいて、瞳内の中心部の円形状透過部FA及び周
辺部の輪帯状透過部FCを透過する光束(それぞれLF
a及びLFc)と、中間部の輪帯状透過部FBを透過す
る光束(LFb)とが互いに干渉し合わない状態に制御
(変換)される。このため、ウエハW上では干渉性低減
部材CCMの円形状の透過部FA及び周辺の輪帯状透過
部FCを透過した光束LFa、LFcと、中間の透過部
FBを通過した光束LFbとは干渉を起こさない。その
結果、中心透過部FA及び周辺透過部FCからの光束L
Fa、LFcと中間の透過部FBからの光束LFbとは
それぞれ独立して自分自身のみで干渉し合い、それぞれ
コンタクトホールパターンの像(強度分布)Pr’を形
成する。即ち、光束LFa、LFcのみの干渉によって
ウエハW上に生成される像と、光束LFbのみの干渉に
よって生成される像とを、単純に強度的に加算したもの
が、本発明によって得られるコンタクトホール等の孤立
パターンの像Pr’となる。
【0031】なお、レチクルRへの照明光ILBは従来
と同様に一定の開口数sinψ/2を持つものとする。
但し、投影光学系PLのレチクル側の開口数NArに対
しては、NAr>sinψ/2の条件に設定される。そ
こで、本発明における結像原理を、更に図3、図4、及
び図5を参照して説明する。図3は本発明で用いる瞳フ
ィルターとしての干渉性低減部材CCMの平面図及び振
幅透過率を表す。
【0032】前述の如く中心の半径r1 の円形透過部F
A、及び周辺の内半径r2 の輪帯状透過部FCに対し
て、中間部の内半径r1 、外半径r2 の輪帯状透過部F
Bには、上記透過部FA、FCの各透過光との可干渉性
を低減する部材が設けられている。従って、透過部F
A、FCと透過部FBとの振幅透過率を同一の座標上に
表すことはあまり意味がない。なぜなら、2つの透過部
FA、FCの各透過光(LFa、LFc)と透過部FB
の透過光(LFb)とは、振幅的に合成(干渉)し合う
ことがないからである。従って図3では、図3(B)、
(C)のように夫々の振幅透過率を別々に、|a〉(ケ
ットa)、及び|b〉(ケットb)として表した。これ
ら|a〉、|b〉は互いに干渉しない光を意味する。
【0033】この場合、|a〉(透過部FA及びFCの
振幅透過率)については、本発明では両部の透過光に
(2m+1)π[rad]の位相差を与える位相シフト
手段を用いるので、中央部(FA)と周辺部(FC)と
では逆符号となる。図3(B)では中心を負とし、外周
を正としたが、この符号関係は相対的なものなので、正
負を逆の関係にしても構わない。また図3(C)に示す
ように、中間の輪帯透過部FBの振幅透過率はここでは
正としたが、この値はその絶対値が1であればどのよう
なものであっても良い。また、図3(C)の振幅透過率
と図3(B)の振幅透過率とは全く無関係なものであ
る。
【0034】図4の如く、中間の輪帯透過部FBを通る
光束LFb内での振幅合成では、光束LFbのウエハへ
の入射角度θは輪帯透過部FBの半径r1 、r2 に対応
してθ1 <θ<θ2 の範囲となるので、△F=Fのとき
の光路長差△LBFは図4(D)で示すように次のよう
になる。 △LBF=(1/2)F(sin2 θ2-sin2 θ1) (5) 勿論、△F=0では、図4(C)のように光路長差△L
B0は0である。
【0035】一方、図5の如く中心透過部FA、及び周
辺透過部FCの透過光LFa、LFbによる像(振幅合
成)は、透過率分布|a〉が前述の二重焦点フィルター
と同様になっている。従って、ベストフォーカス状態
(△F=0)においても、図5(C)のように△LA0
=λ/2の光路長差を生じるが、△F=Fのデフォーカ
ス時には光路長差が図5(D)のように△LAF程度と
なり、デフォーカス時(△F=±F)の方が波面収差が
少ない、即ちプロファイルの良い像が得られることにな
る。第1の光束LFa及びLFcと第2の光束LFbと
は互いには干渉し合わないので、光束LFa、LFcの
みの干渉による像Pr'1、及び光束LFbのみの干渉に
よる像Pr'2の劣化は、各光束内での光路長差△LB
F、△LAO、△LAFのみに起因する。
【0036】これらの光路長差のうち、△LBF、△L
AFについては、図4、図5より明明かなように、従来
の△F=Fのデフォーカス時の光路長差△LCF(=
(1/2)F・NAw2)より小さい。また、△LA0=
λ/2については二重焦点フィルター用の光路長差であ
り、一概に像を悪化させるものではない。この結果、本
発明では同一量のデフォーカス時において、従来の結像
より光路長差を少なくすることができ、即ちより大きな
焦点深度を得ることができるようになる。このように投
影光学系PLの瞳面FTP又はこの近傍の面において、
結像光束を互いに干渉しない複数の光束に変換する手法
を、以下、SFINCS(Spatial Filter for INCohere
nt Stream)法と呼ぶことにする。
【0037】また、本発明によると、前述のような従来
の二重焦点フィルター、あるいは三重焦点フィルターの
みの使用時に問題となるリンギングも、全く問題がなく
なるが、この作用については実施例中で詳しく述べる。
また、本発明では、投影光学系の瞳面又はこの近傍の面
上の第1の領域(FA)、第2の領域(FB)及び第3
の領域(FC)の形状について、(1)式〜(3)式の
条件を課しているが、この条件を満たすときに特に焦点
深度の拡大幅が大きくなる。
【0038】更に、照明手段(1〜14)として、輪帯
照明系、又は変形光源系を使用すると、輪帯照明系、又
は変形光源系の使用による焦点深度拡大作用が付加され
るため、全体として焦点深度幅が更に拡大する。
【0039】
【実施例】以下、本発明による投影露光装置の実施例に
つき図面を参照して説明する。図8は本発明の実施例に
よる投影露光装置の全体的な構成を示す。図8におい
て、水銀ランプ1から放射された光輝度光は楕円鏡2に
よって第2焦点に収斂した後、発散光となってコリメー
タレンズ4に入射する。その第2焦点の位置にはロータ
リーシャッター3が配置され、ロータリーシャッター3
により照明光の通過、遮断を制御する。コリメータレン
ズ4によってほぼ平行光束に変換された照明光は、干渉
フィルター5に入射し、ここで露光に必要とされる所望
のスペクトル、例えばi線のみが抽出される。干渉フィ
ルター5を射出した照明光(i線)は、オプティカルイ
ンテグレータとしてのフライアイレンズ7に入射する。
勿論、i線以外の波長、あるいは複数の波長を使用して
もよく、また光源自体もレーザー光源等でもよい。図8
中で、干渉フィルター5とフライアイレンズ7との間の
偏光制御部材6は本発明の実施形態によって使用する場
合があるものであり、詳しくは後述する。
【0040】さて、フライアイレンズ7に入射した照明
光(ほぼ平行光束)は、フライアイレンズ7の複数のレ
ンズエレメントによって分割され、各レンズエレメント
の夫々の射出側には2次光源像(水銀ランプ1の発光点
の像)が形成される。従ってフライアイレンズ7の射出
側にはレンズエレメントの数と同じ数の点光源像が分布
し、面光源像が作られる。フライアイレンズ7の射出側
には、面光源像の大きさを調整するための可変絞り8が
設けられている。この絞り8を通った照明光(発散光)
はミラー9で反射され、集光レンズ系10に入射した
後、レチクルブラインド11の矩形の開口部を均一な照
度分布で照射する。図8では、フライアイレンズ7の射
出側に形成される複数の2次光源像(点光源)のうち、
光軸AX上に位置する1つの2次光源像からの照明光の
みを代表的に図示してある。また集光レンズ系10によ
って、フライアイレンズ7の射出側(2次光源像が形成
される面)はレチクルブラインド11の矩形開口面に対
するフーリエ変換面になっている。従って、フライアイ
レンズ7の複数の2次光源像の夫々から発散して集光レ
ンズ系10に入射した各照明光は、レチクルブラインド
11上で互いに僅かずつ入射角が異なる平行光束となっ
て重畳される。
【0041】レチクルブラインド11の矩形開口を通過
した照明光はレンズ系12、ミラー13を介してコンデ
ンサーレンズ14に入射し、コンデンサーレンズ14を
射出する光が照明光ILBとなってレチクルRに達す
る。ここでレチクルブラインド11の矩形開口面とレチ
クルRのパターン面とは、レンズ系12とコンデンサー
レンズ14との合成系によって互いに共役に配置され、
レチクルブラインド11の矩形開口の像が、レチクルR
のパターン面内に形成された矩形のパターン形成領域を
含むように結像される。図8に示すように、フライアイ
レンズ7の2次光源像のうち光軸AX上に位置する1つ
の2次光源像側からの照明光ILBは、レチクルR上で
は光軸AXに対して傾きのない平行光束になっている
が、これは投影光学系PLのレチクル側がテレセントリ
ックだからである。勿論、フライアイレンズ7の射出側
には光軸AX上からずれて位置する多数の2次光源像
(軸外の点光源)が形成されるから、それらからの照明
光は何れもレチクルR上では光軸AXに対して傾いた平
行光束となってパターン形成領域内で重畳される。
【0042】なお、レチクルRのパターン面とフライア
イレンズ7の射出側面とが、集光レンズ系10、レンズ
系12、及びコンデンサーレンズ14よりなる合成系に
よって光学的にフーリエ変換の関係になっていることは
言うまでもない。また、レチクルRへの照明光ILBの
入射角度範囲ψ(図2参照)は絞り8の開口径によって
変化し、絞り8の開口径を小さくして面光源の実質的な
面積を小さくすると、入射角度範囲ψも小さくなる。そ
のため絞り8は、照明光の空間的コヒーレンシィを調整
することになる。その空間的コヒーレンシィの度合いを
表すファクタとして、照明光ILBの最大入射角ψ/2
の正弦と投影光学系PLのレチクル側の開口数NArと
の比(σ値)が用いられている。このσ値は通常、σ=
sin(ψ/2)/NArで定義され、現在稼働中のス
テッパーの多くは、σ=0.5〜0.7程度の範囲で使
われている。本発明では、そのσ値がどのような値であ
ってもよく、極端な場合σ=0.1〜0.3程度であっ
てもよい。
【0043】さて、レチクルRのパターン面にはクロム
層によって所定のレチクルパターンが形成されている
が、ここではクロム層が全面に蒸着され、その内に微小
な矩形開口部(クロム層のない透明部)で形成された複
数のコンタクトホールパターンが存在するものとする。
コンタクトホールパターンはウエハW上に投影したと
き、0.5μm角(又は径)以下の寸法になるように設
計されていることもあり、投影光学系PLの投影倍率M
を考慮してレチクルRでの寸法が決められている。また
互いに隣接するコンタクトホールパターン間の寸法は、
通常1つのコンタクトホールパターンの開口部寸法に対
してかなり大きくなっているため、各コンタクトホール
パターンはそれぞれ孤立的な微小パターンとして存在す
る。即ち、隣接する2つのコンタクトホールパターン
は、それぞれから発生した光(回折、散乱光)が、回折
格子のように互いに強く影響し合うことが無い程度に離
れていることが多い。ところが後で詳しく述べるが、か
なり接近した配置でコンタクトホールパターンを形成し
たレチクルも存在する。
【0044】図8において、レチクルRはレチクルステ
ージRST上に保持され、レチクルRのコンタクトホー
ルパターンの光学像(光強度分布)は投影光学系PLを
介してウエハWの表面のフォトレジスト層に結像され
る。ここで、図8中のレチクルRからウエハWまでの光
路は、結像光束の主光線のみで示す。そして投影光学系
PL内のフーリエ変換面FTPには、先の図2、及び図
3で説明した干渉性低減部材CCMが設けられる。この
干渉性低減部材CCMは、瞳epの最大径をカバーする
直径を有し、スライダー機構20によって光路外へ退出
したり、光路内に進入したりできる。仮にそのステッパ
ーが専らコンタクトホールパターンを露光するために使
われるのであれば、干渉性低減部材CCMは投影光学系
PL内に固定しておいてもよい。
【0045】しかしながら、複数台のステッパーによっ
てリソグラフィ工程の露光作業を行う場合、各ステッパ
ーの最も効率的な運用を考えると、特定の一台のステッ
パーをコンタクトホールパターン専用の露光に割り当て
ることは躊躇される。そのため、干渉性低減部材CCM
は投影光学系PLの瞳epに対して挿脱自在に設け、コ
ンタクトホールパターン以外のレチクルパターンの露光
時にも、そのステッパーが使えるようにしておくことが
望ましい。なお、投影露光系によっては、その瞳位置
(フーリエ変換面ETP)に実効的な瞳径を変えるため
の円形開口絞り(NA可変絞り)を設けることもある。
この場合、その開口絞りと干渉性低減部材CCMとは機
械的に干渉しないように、且つできるだけ接近して配置
される。
【0046】さて、ウエハWは、光軸AXと垂直な面内
で2次元移動(以下、「XY移動」とする)すると共
に、光軸AXと平行な方向に微動(以下、「Z移動」と
する)するウエハステージWST上に保持される。ウエ
ハステージWSTのXY移動、Z移動は、ステージ駆動
ユニット22によって制御され、XY移動に関してはレ
ーザ干渉計23による座標計測値に従って制御され、Z
移動に関してはオートフォーカス用のフォーカスセンサ
ー24の検出値に基づいて制御される。ステージ駆動ユ
ニット22、スライダー機構20等は、主制御ユニット
25からの指令で動作する。この主制御ユニット25
は、更にシャッタ駆動ユニット26へ指令を送り、シャ
ッター3の開閉を制御すると共に、開口制御ユニット2
7へ指令を送り、絞り8、又はレチクルブラインド11
の各開口の大きさを制御する。また、主制御ユニット2
5は、レチクルステージRSTへのレチクルの搬送路中
に設けられたバーコードリーダー28が読み取ったレチ
クル名を入力できるようになっている。従って主制御ユ
ニット25は、入力したレチクル名に応じてスライダー
機構20の動作、開口駆動ユニット27の動作等を統括
的に制御し、絞り8、レチクルブラインド11の各開口
寸法、及び干渉性低減部材CCMの要、不要を、そのレ
チクルに合わせて自動的に調整することができる。
【0047】ここで図8中の投影光学系PLの一部分の
構造を、図9を参照して説明する。図9は全て屈折性硝
材で作られた投影光学系PLの部分的な断面を示し、前
群のレンズ系GAの最下部のレンズGA1 と後群のレン
ズ系GBの最上部のレンズGB1 との間の空間中にフー
リエ変換面FTPが存在する。投影光学系PLは複数枚
のレンズを鏡筒で保持しているが、干渉性低減部材CC
Mの挿脱のために、鏡筒の一部に開口部を設ける。ま
た、干渉性低減部材CCM、及びスライダー機構20の
全部、又は一部を、外気に直接露出させないようなカバ
ー20Bを、鏡筒の開口部から延設する。このカバー2
0Bは外気に浮遊する微小なダストが投影光学系PLの
瞳空間内に進入するのを防ぐ。スライダー機構20に
は、回転モータ、ペンシリンダー、ソレノイド等のアク
チュエータ20Aが結合されている。更に、鏡筒の一部
に瞳空間に連通する流路Afを設け、パイプ29を介し
て温度制御されたクリーンエアを瞳空間へ供給すること
で、干渉性低減部材CCMの露光光の一部吸収による温
度上昇、及び瞳空間全体の温度上昇を抑えるようにす
る。なお、瞳空間へ強制的に供給されたクリーンエア
を、スライダー機構20、アクチュエータ20Aを介し
て強制的に排出するようにすれば、スライダー機構20
等で発生した塵埃が瞳空間内に進入することを防止でき
る。
【0048】図10は干渉性低減部材CCMの第1実施
例による構造を示し、図10(A)は光軸AXを通る点
での断面図、図10(B)は平面図である。さて、図8
中の光源(水源ランプ1)からのランダムな偏光状態
(種々の偏光状態の光を合成した光であり、且つその偏
光状態が時間と共に変化する状態)であると共に、その
コヒーレント長△Lcは極めて短い。今、照明光をi線
として、中心波長λ0 =365nm、波長幅△λ=5n
mであると、コヒーレント長△Lcは以下のように求ま
る。
【0049】 △Lc=λ0 2/△λ≒26[μm] (6) 図10に示す干渉性低減部材CCMは、紫外線に対して
高い透過率を有する透明平行平板上に、中心CCに対し
て半径r1 から半径r2 の輪帯状の透過部FBに厚さh
1 の平行平板状の透過物体を貼り付けたものである。こ
のとき、貼り付ける透過物体の屈折率をn1 とすると、
厚さh1 は、次式を満たすようにする。
【0050】 (n1 −1)h1 ≧△Lc(コヒーレント長) (7) すると、透過部FA、FCの各透過光と、透過部FBの
透過光との間には(n 1 −1)h1 、即ちコヒーレント
長△Lc以上の光路差が与えられ、両光束相互間の可干
渉性が消失する。透過物体はガラス、石英、又は蛍石等
であり、屈折率n1 は1.5程度なので、厚さh1 は5
2μm以上であれば良い。
【0051】また、中心透過部FAには、中心透過部F
Aの透過光と周辺透過部FCの透過光との間に(2m+
1)π[rad]の位相差を与える位相シフターを被着
する(mは整数である)。この位相シフターは、SiO
2 等の薄膜を蒸着、スパッタリング、CVD(化学気相
堆積)等で形成したものである。位相シフターの屈折率
をn2 とすれば、位相シフターの厚さdは次式を満たす
ように設定すればよい。
【0052】 (n2 −1)d=(m+1/2)λ0 (8) 本実施例ではλ0 は0.365μmである。屈折率n2
が1.5程度であれば、例えばm=0としたとき、
(8)式より厚さdは0.365μmとすればよい。厚
さdは、m=1、2、3、…に対応してより厚くするこ
とも可能であるが、位相シフターとしての薄膜の材質に
よる光の吸収の問題が生じたり、厚くすることによって
透過部FBの透過光と透過部FAの透過光との間に可干
渉性が残留してしまう等の問題が生じたりするので、実
用上はm=0、1、2程度に対応した厚さとする方が良
い。同様に、透過部FBに被着する透過平行平板の厚さ
1 も、あまり厚いと吸収や幾何光学的な収差への悪影
響を生じるので、必要以上に厚くすることは得策ではな
い。
【0053】また図10に示した例の変形として、平行
平板状である基板自体を加工して、輪帯透過部FBに凸
部又は凹部の段差を与えてもよい。この場合も段差h1'
(即ち透過部FA、FCと透過部FBとの厚さの段差)
は、基板の屈折率をn0 として、(n0 −1)h1'≧△
Lcを満たすようにする。図11は干渉性低減部材の第
2実施例を示す。図11の例では、中間の輪帯透過部F
Bに別の平行平板を貼り付ける代わりに、その透過部F
Bにイオン打ち込み法等によって部分的に他より屈折率
の高い領域を作る。この部分の屈折率をn 3 、他の部分
の屈折率をn0 とし、且つ深さをh2 とすれば、(n3
−n0 )h 2 ≧△Lcであれば、透過部FBの透過光と
他の透過部FA、FCの透過光との間の可干渉性は消失
する。この例でも、中心の透過部FAには厚さdの位相
シフターを設けた。厚さdの条件は図10の例と同様で
ある。
【0054】図12に干渉性低減部材CCMの第3実施
例による構成を示す。これは、顕微鏡による試料観察用
のプレパラートのカバーガラス、高分子による薄膜(ペ
リクル)、又はアクリル薄板等のような薄い透明基板
(厚さh3 )の一部を図12(B)に示す如くくり抜い
たものであり、くり抜き部が中間の透過部FBに相当す
る。中心の透過部FAを周辺の透過部FCと分離させな
いために、何本かの支柱eによって両者を結合させてお
く。薄い透明基板の厚さをh3 、屈折率をn5 としたと
き、(n5 −1)h3 ≧△Lcであれば、透過部FA、
FCの各透過光と透過部FBの透過光との間の可干渉性
は消失する。なお、この例でも中心の透過部FAには厚
さdの位相シフターを付加する。支柱eは遮光性である
のが望ましいが、透過性であってもその支柱部の面積は
小さいため、結像性能への悪影響はほとんどなく、金属
膜等を付けて遮光部にしてしまうこともできる。
【0055】なお、図12の例では干渉性低減部材CC
Mの厚さh3 を薄くする(≒52μm程度)ことができ
るので、干渉性低減部材CCM等の平行平板を瞳面に設
けることを前提にせずに設計、製造されている従来の投
影光学系に挿入しても、干渉性低減部材CCMにより発
生する幾何光学的な諸収差を小さく抑えることができ
る。一方、図10、図11に示したように、或る程度厚
さ(基板の厚さ)のある干渉性低減部材CCMでは、投
影光学系として瞳面に平行平板を備えて使用することを
前提として、設計、製造されたものを用いることとな
る。この場合には逆に、瞳面から干渉性低減部材CCM
を除いた状態では幾何光学的な諸収差が悪化するので、
コンタクトホールパターン等以外の工程で使用する場合
には干渉性低減部材CCMを光学系から取り除き、代わ
りにほぼ同様の厚さの平行平板を挿入するとよい。
【0056】以上の各実施例では、干渉性低減部材とし
て光束間に時間的なコヒーレント長以上の光路差をつけ
る部材を用いたが、他の方式の部材を用いてもよい。図
13は別の方式による干渉性低減部材の構成を示す第4
実施例であって、図13(A)、(B)は夫々干渉性低
減部材CCMの断面図及び平面図を示す。中心透過部F
Aと周辺透過部FCとは、図13(C)に示すように中
間透過部FBに対して直交する方向の直線偏光のみを透
過する偏光板で構成し、透過部FBの透過光の偏光方向
は透過部FA、FCの透過光の直線偏光方向と直交す
る。偏光方向の直交する直線偏光同士は互いに干渉し合
わないので、このように偏光特性を制御することでも、
両光束の可干渉性を解消(低減)することができる。
【0057】なお、図13(A)に示す如く、この場合
も中心透過部FAには厚さdの位相シフターを設ける。
これによって、透過部FAと透過部FCとが二重焦点フ
ィルターを形成することは、これまでの実施例と全く同
様である。また、厚さdの条件も前述と同様である。あ
るいは、図13(A)の位相シフターを廃止し、その代
わりに透過部FA、FCの各偏光板の厚さ自体を異なら
せて、(2m+1)π[rad]の位相差を与えてもよ
い。
【0058】また、図13の例の偏光板による干渉性低
減部材CCMよりもウエハ側に1/4波長板(λ/4
板)を設けて、上記2つの直交する直線偏光を、互いに
逆回転の円偏光に変えてしまってもよい。この場合に
も、互いに逆回転の円偏光は干渉し合わないので、偏光
板と1/4波長板とを組み合わせた干渉性低減部材とし
て用いることができる。このとき、1/4波長板の軸方
向(屈折率の高い方向)は、上記の直交する2偏光の両
者の偏光方向に対して45゜ずれた方向としておく。
【0059】以上の偏光板を用いる実施例では、投影光
学系PL中の干渉性低減部材CCMが偏光板で構成され
ているため、投影光学系PLを透過すべき本来の光量の
うち半分の光量は干渉性低減部材CCMとしての偏光板
に吸収されることになる。これは露光パワーの低下も意
味するが、投影光学系内に熱(吸収した露光光のエネル
ギー)が蓄積することとなり、光学系や硝材の安定性と
いう点で問題となる。
【0060】そこで、この熱の問題(露光パワーの損
失)を解決する実施例を図14、図15、図16、図1
7を参照して説明する。本実施例では、照明光ILBの
偏光特性が重要になるので、先ずそのことから説明す
る。図14は照明光学系中に設ける偏光制御部材6(図
8参照)の幾つかの実施例を示したものである。図14
(A)は偏光制御部材6として偏光板6Aを用いる例で
あり、ランダム偏光である水銀ランプ1からの入射光は
特定の直線偏光となって射出される。図14(B)は偏
光制御部材6として偏光板6Aと1/4波長板6Bとを
組み合わせた例を示す。このときも、ランダム偏光であ
る入射光は、偏光板6Aによって先ず直線偏光にされ、
次に1/4波長板6Bにより、右回り又は左回りの何れ
か一方の円偏光となって射出される。このときも1/4
波長板6Bの軸方向は偏光板6Aからの直線偏光を円偏
光に変換する軸方向としておく。
【0061】また、光源からの光束(入射光束)自体
が、直線偏光の場合、例えばレーザ光源を使用した場合
には、レチクルRに達する照明光ILBは偏光制御部材
6を設けなくても直線偏光となっている。しかしなが
ら、後述する投影光学系内の偏光状態制御部材の構成に
よっては、図14(C)に示す如く、1/4波長板6B
のみを偏光制御部材6として設けて、円偏光にしておく
とよい。この場合の1/4波長板6Bの軸方向も上述し
た通りに設定される。
【0062】さて、図14に示したような偏光制御部材
6を用いてレチクルRへの照明光ILBの偏光特性を揃
えておくと、コンタクトホールパターンを透過、回折し
て、投影光学系PL中の干渉性低減部材CCMに達する
結像光束も特性の直線偏光、又は円偏光に揃った状態と
なっている。そこで照明光ILBが、例えば図14
(A)のように直線偏光に揃っている場合に好適な干渉
性低減部材CCMの構造を第5の実施例として図15に
示す。図15(A)は干渉性低減部材CCMとして1/
2波長板を使用する例である。図15(A)は干渉性低
減部材CCMに入射する直前の光(照明光ILB)の偏
光状態を示し、ここでは同図中で上下方向に電場の振動
面をもつ直線偏光であるものとする。図15(B)は干
渉性低減部材CCMの平面構造を示し、半径r1 〜r2
の輪帯状透過部FBは1/2波長板(λ/2板)で構成
され、中心透過部FA、周辺の輪帯状透過部FCは中間
の透過部FB(1/2波長板)とほぼ同等の厚さ(光学
的厚さ)を持った通常の透明板(例えば石英)である。
【0063】この図15の干渉性低減部材CCMを通過
した直後の光の偏光状態は、図15(C)に示すよう
に、中間の輪帯状透過部FBの部分の偏光状態が左右方
向の直線偏光に変換され、中心透過部FA及び周辺の輪
帯状透過部FCの部分では偏光状態は何ら変化しない。
このため、先の第1実施例と同様に結像光束を互いに干
渉し合わない偏光状態に分けることができる。ここで、
透過部FBとしての1/2波長板の軸方向(面内の回
転)は、入射する直線偏光の方向をそれと直交する方向
に変換する軸方向に設定されるが、1/2波長板の軸方
向と照明光ILBの偏光方向とを最適化するように、干
渉性低減部材CCMと偏光制御部材6とを面内で回転方
向に相対的に調整できるようにしてもよい。
【0064】あるいは干渉性低減部材CCMとして、半
径r1 〜r2 の輪帯状透過部FBと中心の円形透過部F
A、周辺の輪帯状透過部FCとを共に1/4波長板(ほ
ぼ同一の厚さ)で構成してもよい。この場合も入射する
光束は図15(A)のように全て直線偏光なので、各透
過部FA、FBの1/4波長板の軸方向を入射光束の偏
光状態に対して互いに逆方向の円偏光となるように最適
化することにより、輪帯状透過部FBを通過した光束は
右回りの円偏光に、中心の円形透過部FA及び周辺の輪
帯状透過部FCを通過した光束は左回りの円偏光に変換
でき、互いに偏光状態の異なる(干渉し合わない)光束
を得ることができる。この場合も、上述の実施例と同様
に干渉性低減部材CCMとしての1/4波長板の軸方向
に合わせて、照明光ILBの偏光方向を偏光制御部材6
により調整できるようにしておくとよい。なお、図15
(B)に示した中間の輪帯状透過部FBとしての1/2
波長板は、水晶等の旋光物質に代えてもよく、その場合
でも全く同様に直線偏光の方向を変換することができ
る。
【0065】また、上記の1/2波長板又は1/4波長
板を用いる実施例に対しては、照明光は直線偏光ではな
くて、図14(B)、(C)のような円偏光を用いるこ
ともできる。即ち、円偏光は図15(B)の如き干渉性
低減部材によって輪帯透過部FBの透過光は逆回りの円
偏光に変換され、他の透過部FA、FCの透過光は元の
円偏光のままである。
【0066】あるいは透過部FA、FCと透過部FBと
を軸方向の異なる1/4波長板とする例でも、入射する
円偏光は夫々直交する直線偏光に変換され、やはり互い
に干渉し合わない2つの光束に分割される。また、入射
光束(照明光ILB)が円偏光であると、1/2波長板
や1/4波長板の軸方向を照明光の偏光特性に合わせて
回転調整する必要がなくなるので好都合である。
【0067】以上のように図14に示した偏光制御部材
6と図15に示した干渉性低減部材CCMとを用いる
と、先に述べたような偏光板を用いた干渉性低減部材C
CMでの露光エネルギーの吸収の問題がなくなり、投影
光学系PL内での熱蓄積が抑えられる点で極めて好都合
である。しかしながら、今度は照明光学系中で照明光I
LBを1つの偏光状態に揃えることに伴う光量損失(半
分以上)が問題点として残る。そこで照明光の光量損失
を低減させた照明系の一例を、図16を参照して説明す
る。図16の系は図14中の偏光制御部材6の代わりに
設けられるものである。先ず、図16(A)において入
射光束は2つの偏光ビームスプリッター6C、6Dによ
り分割、合成される。即ち、1番目の偏光ビームスプリ
ッター6CではP偏光(上下方向の偏光)成分が透過し
て2番目の偏光ビームスプリッター6Dも透過して直進
する。一方、ビームスプリッター6Cで分割されたS偏
光(図16(A)の紙面に垂直な方向の偏光)成分は間
隔d1 だけ離れたミラー6E、6Fを介してビームスプ
リッター6Dで合成され、P偏光成分と同軸になって進
む。このとき、ミラー6E、6Fの光路によってP偏光
とS偏光とに光路差2×d1 を与える。従って入射光束
の時間的コヒーレント長△Lcが2d1 より短かけれ
ば、合成後のP編成成分とS偏光成分とは、偏光方向が
相補的であることの他に時間的にもインコヒーレント
(非可干渉)になる。
【0068】これら2つの偏光成分を持った照明光が使
われ、干渉性低減部材CCMとして図15(B)のもの
が使われると、図17(A)に示す通り、干渉性低減部
材CCMに入射するP偏光成分(例えば白抜きの矢印方
向)とS偏光成分(例えば黒塗りの矢印方向)とは、そ
れぞれ図17(C)のように干渉性低減部材CCMを透
過した後では互いに干渉し合わない4つの光束となる。
即ち、中間の輪帯状透過部FB(1/2波長板)では元
の偏光方向が90°だけ回転させられる。この4つの光
束はそれぞれ偏光方向が異なると共に、透過部FA、F
Cと透過部FBとで偏光方向が同一であっても時間的に
インコヒーレントであるために干渉し合うことはない。
即ち、透過部FBを通過したS偏光成分はP偏光成分に
変換され、透過部FA、FCを透過したP偏光成分と同
一偏光方向となるが、その2つの光は時間的にインコヒ
ーレントであるので干渉しない。仮に、図16(A)の
ような構成の偏光制御部材からの照明光を用いないと、
図17中のP偏光とS偏光とは時間的にはコヒーレント
のままであるため、干渉性低減部材CCMを透過した後
の各光束も偏光方向が同じであれば互いに干渉し合うこ
ととなり、本発明の効果は薄らぐ。図16(A)に示し
た系は合成すべき2つの偏光成分の光路長差を大きく取
ることができるので、比較的時間的コヒーレント長の長
い光源、例えば狭帯化したレーザ光源等に適している。
【0069】なお、レーザ光源として直線偏光を使用す
る場合は、あえて図16(A)の構成の偏光制御手段を
用いなくても、本発明の効果を得ることができる。但
し、直線偏光のレーザ光源に対して図16(A)の如き
偏光制御手段を用いると、照明光を時間的にインコヒー
レントな2つの光束とすることができるため、レーザ光
源使用時に問題となるスペックルや干渉縞(照度むら)
を低減することができるという効果がある。この場合、
図16(A)の1段目のビームスプリッター6Cに入射
する直線偏光の偏光方向は、偏光ビームスプリッター6
Cに対して図16(A)に示すように、P偏光方向とS
偏光方向との中間(両者から45°方向)の偏光方向L
PLとするとよい。
【0070】ところで、光源が水銀ランプのように比較
的大きなスペクトル幅を有する光源の場合にはその時間
的コヒーレント長は短いので、図16(B)のような簡
単な部材を図8中の偏光制御部材6として用いることが
できる。この部材は石英等の透明平行平板6Gの表面に
偏光反射膜6Hを付け、裏面に金属等で全反射膜6Jを
付けたもので、水銀ランプからのコリメートされた光束
を所定角度で反射するように配置される。このとき、水
銀ランプからのランダム偏光の入射光のうち、S偏光成
分(図16(B)の紙面に垂直な方向)は表面の膜6H
で反射され、P偏光成分は表面の膜6H、平行平板6G
を透過して裏面の膜6Jで反射され、S偏光成分とP偏
光成分との間には平行平板6Gの厚さ(光学的厚さ)の
ほぼ2倍に相当する光路差が与えられる。例えば水銀ラ
ンプからのi線の場合、前述の如くコヒーレント長△L
cは26μm程度となる。従って、十分に薄い平行平板
6G(例えば1mm厚程度)であっても、時間的コヒー
レンスを消すために十分な光路長差を与えることができ
る。
【0071】また、別の実施例として図16(A)、又
は(B)の系の射出側に1/4波長板を設けて、2つの
直線偏光を互いに逆方向の円偏光に変換してもよい。こ
のとき、図17(B)の干渉性低減部材CCMを透過し
た後の光束は、同様に4つの互いに干渉し合わない光束
に分割される。そして、それらは違いに時間的に干渉し
合わないか、逆回りの円偏光であるために干渉し合わな
いかの何れかになっている。
【0072】なお、以上の1/2波長板、又は1/4波
長板を用いる干渉性低減部材の実施例中での説明を省略
したが、ここでも当然に中心透過部FAと周辺透過部F
Cとの透過光の間に(2m+1)π[rad]の位相差
を与える位相シフターを設ける。また、以上の何れの実
施例でも位相シフターは中心透過部FAに設けるとした
が、位相差は相対的なものなので、位相シフターを周辺
透過部FCに設けても全く同様の効果が得られる。
【0073】また、1/2波長板、1/4波長板を用い
る実施例については、図15、図17の構成のように輪
帯状透過部FBのみに、あるいは透過部FA、FCにも
1/2波長板ないし1/4波長板を基板となる透明板に
貼り付ける構成としてもよい。また、以上の全ての実施
例において中心の円形透過部FAの外半径及び中間部の
輪帯状透過部FBの内半径をr1 、中間部の輪帯状透過
部FBの外半径及び周辺部の輪帯状透過部FCの内半径
をr2 としたが、このとき、半径r1 及びr2の値は、
投影光学系の開口数(N.A.)に相当する瞳面の半径r3
に対して所定の係数α及びβを用いて次のように設定す
る。
【0074】r1 =α×r3 ,r2 =β×r3 (9) この場合、係数βは係数αを用いて次のように表され
る。 β=0.85・α+0.58 (10) また、係数αの値はほぼ次の範囲内に設定される。 0.2≦α≦0.4 (11) この理由については後述する。また、半径r3 は投影光
学系の実効的な最大開口数(NAw)に相当する値とな
る。
【0075】ところで、図8に示したウエハステージW
STの駆動ユニット22のうち、ウエハWを光軸方向に
微動させる制御の中に、従来のFLEX法の機能を持た
せてもよい。FLEX法の併用により本発明による焦点
深度の増大効果を更に増大させることができる。更に本
発明は投影型露光装置であればどのタイプのものにも適
用できる。例えば投影レンズを用いたステッパータイプ
のものでもよく、あるいは反射屈折光学系を用いたステ
ップアンドスキャン型のものであっても、1:1のミラ
ープロジェクションタイプのものであってもよい。特に
スキャンタイプ(ステップアンドスキャン)やミラープ
ロジェクション方式では、レチクルやウエハを投影光学
系の光軸と垂直な面内で走査移動させながら露光するた
め、従来のFLEX法の適用が難しいとされていたが、
本発明はそのような走査型の露光方式の装置に極めて簡
単に適用できるといった利点がある。
【0076】そこで等倍のミラープロジェクション方式
のアライナーに本発明を適用した場合につき図18、図
19を参照して説明する。図18において、水銀ランプ
(Xe−Hg)ランプ1からの照明光は照明光学系IL
Sを介してレチクル(マスク)R上で円弧スリット状の
照明領域内に投射される。レチクルRは1次元走査可能
なレチクルステージRSTに保持され、ウエハステージ
WSTと同期して同一速度で移動する。投影光学系はレ
チクル側とウエハ側との夫々に反射面MR1 、MR4
有する台形状の光学ブロックと、大きな凹面ミラーMR
2 と小さな凸面ミラーMR3 とで構成され、凸面ミラー
MR3 の曲率半径に対して凹面ミラーMR2 の曲率半径
は約2倍に設定されている。この図18のような系の場
合、凸面ミラーMR3 の表面がレチクルパターン面(又
はウエハ面)に対するフーリエ変換面FTPに一致して
いることが多い。
【0077】このとき、レチクルR上の点Prから発生
した結像光束は主光線LLPに沿って、反射面MR1
凹面ミラーMR2 の上側、凸面ミラーMR3 の全面、凹
面ミラーMR2 の下側、及び反射面MR4 の順に進み、
ウエハW上の点Pr’に収斂する。このように凹面ミラ
ーMR3 の表面が系の瞳面となっているときでも、今ま
で述べてきた各実施例で使用した干渉性低減部材CCM
がそのまま、あるいは若干の変形によって同様に用いる
ことができる。
【0078】具体的には図19(A)に示すように干渉
性低減部材CCMを凸面ミラーMR 3 の直近に配置し、
凹面ミラーMR2 から凸面ミラーMR3 へ入射してくる
ときと、凸面ミラーMR3 から凹面ミラーMR2 へ射出
していくときとの2回(往復)の光路で、中心の円形透
過部FA及び周辺透過部FCを通った光束と中間の輪帯
透過部FBを通った光束とがコヒーレント長△Lc以上
の光路長差を持つように構成すればよい。
【0079】あるいは図19(B)に示すように、フー
リエ変換面となってる凸面ミラーMR3'の表面に所定の
半径(面積)で微小な段差を設け、その段差の上面部と
下面部とが反射光束に対してコヒーレント長△Lc以上
の光路長差(段差量の2倍)を与えるようにしてもよ
い。この場合、その段差はミラーMR3'と一体に形成さ
れることもあるが、何れにしろその段差部分が干渉性低
減部材CCMに相当する。なお、図19(B)に示した
凸面ミラーMR3'の表面に形成する段差部は、透過物体
(薄膜)としてもよい。その場合、凸面ミラーMR3'の
表面とその透過物体(透過部FAに相当)の表面との段
差、即ち透過物体の厚さdは、屈折率nの透過物体中を
光束が往復することにより生じる光路長差2(n−1)
dがコヒーレント長△Lcより大きくなるように定めら
れる。
【0080】また、透過部FA、FB、FCの何れかに
1/2波長板や1/4波長板を組み合わせて偏光状態を
制御する場合は、往復の光路で2倍の偏光作用を受ける
ことを考慮して1/2波長板は1/4波長板に、1/4
波長板は1/8波長板にそれぞれ変更する必要がある。
またエキシマレーザを光源とする投影露光装置では、投
影光学系の瞳面に、フライアイレンズ等の射出側に形成
される2次光源面(多数の点光源)が再結像されるた
め、その瞳面に光学素子(レンズ、反射面、開口絞り、
干渉性低減部材CCM等)を配置すると、長期間の使用
によってその光学素子が収斂した光源像のために劣化す
る可能性がある。そのため干渉性低減部材CCM等を瞳
面に厳密に配置するのではなく、むしろ若干ずらして配
置した方が好ましい。
【0081】また、以上の各実施例において、干渉性低
減部材CCMを透過部材として使用する場合には、その
界面(表面)に反射防止コートを施しておくとよい。以
上、本発明の各実施例のうち、光束(照明光ILB)の
時間的なコヒーレント長△Lc以上の光路差を与える方
式の干渉性低減部材CCMによって分割された結像光束
間の光路長差は、従来のSuper−FLEX法で与え
られる光路長差(波長の1/2〜数波長分)と比べて格
段に大きなものとなる。更にSuper−FLEX法で
は、投影光学系の瞳面に配置されたフィルター(複素振
幅透過率)を通った結像光束の全てがウエハW上で干渉
(振幅合成)することに変わりはなく、本発明とSup
er−FLEX法とは原理的に全く異なるものである。
その原理的な違いによって、本発明においてはSupe
r−FLEX法で得られなかった新たな効果が得られ
る。このことについては以下で述べるシミュレーション
を参考にして説明する。
【0082】なお、本発明で用いる干渉性低減部材CC
Mは、瞳面を通る結像光束(コンタクトホールパターン
の場合、ほぼ一様に分布する)を瞳の径方向で複数部分
に分割し、各部分光束間の可干渉性を低減させる目的の
ためにのみに作用する。従って各実施例で用いた干渉性
低減部材CCMには、各部分光束によって互いに独立に
結像した複数の像(Pr'1、Pr'2等)の夫々のベスト
フォーカス位置(焦点位置)を、投影光学系の光軸AX
方向に相互にずらす効果、すなわち或る種の球面収差を
与える効果は全くない。
【0083】次に本発明の各実施例によって得られる作
用、効果について、シミュレーション結果をもとに説明
する。図20(A)は以下のシミュレーションに用いた
1辺がウエハ上で0.3μmに相当する正方形のコンタ
クトホールパターンPAであり、以下のシミュレーショ
ンでは図20(A)中のAA’線に沿う断面のウエハ上
での像強度分布を扱うものとする。図20(B)は先の
図3等に示した干渉性低減部材CCMを示すもので、中
心の円形透過部FAの半径r1 と中間の輪帯状透過部F
Bの外半径r2 と、投影光学系の開口数NAwに相当す
る瞳面の半径r 3 とは、前述の(9)式〜(11)式の
如く、r1 =αr3 、r2 =βr3 、β=0.85・α
+0.58(0.2≦α≦0.4)、の関係を満たすも
のとした。なお、以下のシミュレーションは全て、NA
w=0.57、露光用照明光はi線(波長λは0.36
5μm)という条件のもとで行った。また、照明光束の
コヒーレンスファクターであるσ値は0.6とした。
【0084】さて、図20(C)は、α=0.3、β=
0.835の条件下でのパターンPAのウエハ上での像
強度分布を示し、実線の曲線はベストフォーカス位置で
の強度分布、一点鎖線の曲線は1μmのデフォーカス位
置での強度分布(ほとんど実線と重なっている)、2点
鎖線の曲線は2μmのデフォーカス位置での強度分布で
ある。また、図20(C)中のEthはウエハ上のポジ
型フォトレジストを完全に除去(感光)させるに必要な
強度(露光量)を示し、Ecはポジ型フォトレジストが
溶解(膜減り)し始める強度(露光量)を示す。各強度
分布の縦方向の倍率(露光量)はベストフォーカス状態
でのコンタクトホールパターン像の径(Ethを横切る
スライス部の幅)が0.3μmとなるように設定した。
比較のため、図21に通常の露光装置(干渉性低減部材
CCMを取り除いたもの)によるベストフォーカス位置
での強度分布(実線の曲線)、1μmのデフォーカス位
置での強度分布(一点鎖線の曲線)、及び2μmのデフ
ォーカス位置での強度分布(2点鎖線の曲線)を示す。
このときのシミュレーション条件も同様に、NAw=
0.57、波長λ=0.365μm、σ=0.6であ
る。図21と先の図20(C)とを比較すると、本発明
によるSFINCS法ではデフォーカス時の像強度の変
化(コントラスト低下)が減少し、焦点深度が増大する
ことが分かる。
【0085】一方、図22は、通常の投影露光装置にF
LEX法を組合わせたときの像強度分布の変化を表した
ものである。FLEX法の露光条件はベストフォーカス
位置と、±1.25μmだけデフォーカスした位置との
夫々で各1回の計3回の分割露光を行うものとした。こ
の図22のシミュレーション結果と図20(C)のシミ
ュレーション結果とを比較すると、本発明での焦点深度
の増大効果はFLEX法と同程度に得られることが分か
る。
【0086】次に、本実施例による別の条件下でのシミ
ュレーション結果を図23及び24に示す。図23に示
したシミュレーション結果は、α=0.20、β=0.
75の条件であり、図24は、α=0.40、β=0.
92の条件のものである。他の条件は、図20(C)に
示した場合と同様である。これらの条件であっても、前
述の条件の場合と同様に十分な焦点深度を持ったコンタ
クトホールパターンの像を得ることができる。
【0087】また、以上の3通りの条件以外にも、(1
0)式、及び(11)式を満たす係数α及びβを用い
て、r1 =α・r3 、r2 =β・r3 の関係で定まる半
径r1、r2 について、何通りものシミュレーションを
行ったが、半径r1 、r2 が上記の関係式を満たす限
り、何れも良好な焦点深度を得ることができた。なお、
上記の(10)式、即ち(β=0.85・α+0.5
8)の関係式は、必ずしも厳密に成立しなければならな
いわけではなく、係数βの値がその関係式で定まる値に
対して±5%程度以内の範囲であれば、本発明の効果を
十分に発揮することができる。しかし、係数α及びβの
値が上記の(10)式から大きく外れると、本発明の効
果は薄らぐ。
【0088】因に、図25、及び図26は、上記の(1
0)式を満たさない条件でのシミュレーション結果を示
し、図25はα=0.3、β=0.75(β<0.85
・α+0.58)の条件での結果であり、図26はα=
0.3、β=0.92(β>0.85・α+0.58)
の条件での結果である。図25の場合、瞳フィルターに
よる二重焦点効果(透過部FA、FC間のコヒーレント
加算の効果)が強過ぎ、ベストフォーカス状態(実線の
曲線)よりも、±1μmデフォーカス状態(1点鎖線の
曲線)の方が、像のピーク強度が強く、且つレベルEt
hでのスライス幅も広くなってしまう。従って±1μm
デフォーカス時には、転写されるコンタクトホールパタ
ーンの大きさが、設計値(0.3μm)よりも大きくな
り過ぎてしまい、所望のパターンが得られないことにな
る。
【0089】一方、図26の場合は、ベストフォーカス
状態(実線の曲線)に比べ、±1μmデフォーカス状態
(一点鎖線の曲線)での像の劣化が大きく、焦点深度の
増大が十分でないことが分かる。また、図27、及び図
28は、上記の(10)式の関係を満たすが、それぞれ
α=0.1、及びα=0.94の場合のシミュレーショ
ン結果であり、何れも(11)式の関係、即ち(0.2
≦α≦0.4)を満たさない場合である。このような場
合にも、やはりベストフォーカス状態(実線の曲線)に
比べて、±1μmデフォーカス状態(一点鎖線の曲線)
の像の劣化が大きく、十分な焦点深度は、得られないこ
とが分かる。
【0090】図29は、比較のために従来のSuper
−FLEX法でのシミュレーション結果を示したもの
で、瞳フィルターの条件は、瞳の半径r3 に対して、r
4 =0.38×r3 で定まる半径r4 以内の円形領域の
透過光の位相を、その円形以外の領域の透過光の位相に
対してπ[rad]ずらす位相型フィルターとした。透
過率は、半径r1 以内の領域及び半径r1 以外の領域共
に100%である。上記の半径r4 の値は各種シミュレ
ーションに基づいてSuper−FLEX型フィルター
として最適化したものなので、本実施例による投影像と
同程度に良好な焦点深度を得ることができる。しかし、
図29から分かるように、コンタクトホールパターンの
像が周囲に強いサブピーク(リンギング)を有するとい
う問題がある。但し、そのシミュレーションで用いたよ
うな孤立したコンタクトホールパターンでは、そのリン
ギングは特に問題とならない。しかしながら、或る程度
近接して2つのコンタクトホールパターンが存在する場
合には、両コンタクトホールパターンの像のリンギング
が重なり合い、リンギングによる露光量が膜減りするレ
ベルEcを越えて、フォトレジストに不要な膜減りを生
じさせてしまう。
【0091】図30は、そのようなパターンの一例を示
し、それぞれ0.30μm角の2個のコンタクトホール
パターンが、中心間距離1.05μmで近接して配列さ
れている。この場合の寸法もウエハ上での値に換算した
ものである。図31は、図29の場合と同じSuper
−FLEX型の瞳フィルターを用いた場合の図30のパ
ターンの投影像のシミュレーション結果であり、図30
中のAA’線に沿う断面での像強度分布(ベストフォー
カス状態)を表す。図31から分かるように、Supe
r−FLEX型の瞳フィルターによるリンギングが両コ
ンタクトホールパターンの像の中間で重なり合い、リン
ギングの強度はレベルEcを越えてしまっている。従っ
て、フォトレジスト上への転写像にも不要な部分に不要
な膜減りが生じることとなり、LSI等の配線中にショ
ートを生じさせてしまう等の虞がある。従って、実際に
Super−FLEX型の瞳フィルターを使用するため
には、隣接した複数の孤立的なパターンに対する何等か
の対策が必要である。
【0092】一方、図32は、図20の場合と同一の本
実施例による瞳フィルターを用いた場合に、図30の2
個並びのコンタクトホールパターンの投影像をシミュレ
ーションしたものであり、図30中のAA’線に沿う断
面での像強度分布(ベストフォーカス状態)を表す。図
32から分かるように、本実施例の瞳フィルターでは従
来のSuper−FLEX型の瞳フィルターとは異な
り、本来の像の周囲のリンギングが小さいため、両コン
タクトホールパターン像の間の像強度も十分に暗く、不
要な誤転写が生じる虞は全くない。
【0093】以上、本発明の各実施例とその作用につい
て説明したが、レチクルRへの照明光ILBに特定の偏
光方向を持たせるとき、その偏光方向の適、不適を判断
したり、あるいは干渉性低減部材CCMを通過した後の
結像光束の偏光状態の良否を判断するために、投影光学
系を通った光束の一部を光電検出する手段を図8のウエ
ハステージWST上に設けてもよい。また、ライン・ア
ンド・スペースパターンを持つレチクルを使用するとき
は、干渉性低減部材CCMを投影光学系PL外へ退出さ
せ、照明系の一部をSHRINC法に適するように交換
可能としてもよい。なお、コンタクトホールパターンの
投影露光時に干渉性低減部材CCMを用いると共に、S
HRINC法又は輪帯照明光源等の変形照明系を併用す
るようにしてもよい。その場合、露光すべきレチクルを
コンタクトホールパターン用からライン・アンド・スペ
ースパターン用に交換するときは、干渉性低減部材CC
Mのみを退出させればよい。
【0094】また、本発明の各実施例に示した干渉性低
減部材CCMは、円形状、あるいは輪帯状の透過部又は
遮光部で構成したが、これは文字通りの形状に限られる
ものではない。例えば円形状の透過部又は遮光部は矩形
を含む多角形に、輪帯状の透過部又は遮光部はその多角
形を環状に取り囲む形状に、それぞれ変形してもよい。
【0095】更に、以上の各実施例において中心の円形
透過部FA、中間の輪帯状透過部FB、及び周辺の輪帯
状透過部FCの各境界はそれぞれ半径r1 及びr2 の位
置で一致しているものとしたが、例えば干渉性低減部材
の製造上の都合等により各領域の境界に遮光部(輪帯
状)を設けても良い。この場合には、図4、図5中に示
したデフォーカスによる波面収差が遮光部により更に減
少するので、本発明による焦点深度の増大効果を更に増
すことができる。なお、この場合、半径r1 、r 2 は夫
々の遮光部(輪帯状)の中間として考えると良い。ま
た、中心透過部FA中の光軸近傍部を遮光することによ
り、上記と同様に焦点深度の増大効果を更に増すことも
可能である。
【0096】また、本発明に、更にFLEX法を併用し
て、更に焦点深度を拡大することも可能である。このよ
うに本発明は上述実施例に限定されず、本発明の要旨を
逸脱しない範囲で種々の構成を取り得る。
【0097】
【発明の効果】本発明によれば、コンタクトホールパタ
ーン等の孤立的なパターンの投影露光時の焦点深度を、
FLEX法、あるいはSuper−FLEX法と同程度
に拡大させることができると共に、FLEX法のように
感光性の基板を光軸方向に移動、又は振動させることな
く、且つSuper−FLEX法のように複雑な複素振
幅透過率の関数をもつ空間フィルターを作成する必要も
ないといった利点がある。
【0098】特に本発明では、投影光学系の瞳面(フー
リエ変換面)又はこの近傍の面を所定の条件を満たす3
個の領域に分割し、干渉性低減部材によりそれら3個の
領域を通過する照明光の間の可干渉性を所定の状態に設
定しているため、空間的フィルタリングに伴って発生し
易いリンギング自体が十分に小さく抑えられる。従っ
て、複数個のコンタクトホールパターンが比較的接近し
て配置される場合であっても、Super−FLEX法
のようにリンギングのサブピーク部の重畳によって生じ
る悪影響(ゴースト像の発生等)は皆無になるといった
大きな効果が得られる。
【0099】また、照明手段が輪帯照明系、又は変形光
源系である場合には、更に焦点深度の拡大効果が大きく
なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】通常の投影露光方法の説明に供する図である。
【図2】本発明による投影露光装置の原理的な説明に供
する光路図である。
【図3】本発明による投影露光装置に使用する干渉性低
減部材の原理的な構成の説明に供する図である。
【図4】図3の干渉性低減部材による焦点深度増大の原
理の説明に供する図である。
【図5】図3の干渉性低減部材による焦点深度増大の原
理の説明に供する図である。
【図6】従来の投影露光法における焦点深度の考え方の
説明に供する図である。
【図7】従来の二重焦点フィルターにおける焦点深度の
考え方の説明に供する図である。
【図8】本発明による投影露光装置の実施例の全体を示
す構成図である。
【図9】図8の投影光学系PLの一部の構造を詳細に示
す断面図である。
【図10】本発明の第1実施例の干渉性低減部材CCM
の構成を示す図である。
【図11】本発明の第2実施例の干渉性低減部材CCM
の構成を示す断面図である。
【図12】本発明の第3実施例の干渉性低減部材CCM
の構成を示す図である。
【図13】本発明の第4実施例の干渉性低減部材CCM
の構成及び作用の説明に供する図である。
【図14】本発明の実施例に適用される照明光学系の一
部の部材の変形例を示す図である。
【図15】本発明の第5実施例の干渉性低減部材CCM
の構成及びその作用の説明に供する図である。
【図16】偏光方向を制御した照明光学系内の一部の部
材の構成例を示す図である。
【図17】図15の第5実施例による干渉性低減部材C
CMと図16の照明光学系とを組み合わせたときの状態
の説明に供する図である。
【図18】本発明の各実施例が適用されるミラープロジ
ェクション方式のアライナーを示す構成図である。
【図19】図18のアライナーに、本発明の各実施例の
干渉性低減部材CCMを適用した場合の要部を示す図で
ある。
【図20】単一のコンタクトホールパターンを本実施例
のSFINCS法(α=0.3、β=0.835)で投
影して得られる光学像の強度分布のシミュレーション結
果を示す図である。
【図21】単一のコンタクトホールパターンを従来の通
常の露光法により投影して得られる光学像の強度分布の
シミュレーション結果を示す図である。
【図22】単一のコンタクトホールパターンを従来のF
LEX法により投影して得られる光学像の強度分布のシ
ミュレーション結果を示す図である。
【図23】単一のコンタクトホールパターンを本実施例
のSFINCS法(α=0.20、β=0.75)で投
影して得られる光学像の強度分布のシミュレーション結
果を示す図である。
【図24】単一のコンタクトホールパターンを本実施例
のSFINCS法(α=0.40、β=0.75)で投
影して得られる光学像の強度分布のシミュレーション結
果を示す図である。
【図25】単一のコンタクトホールパターンを本実施例
のSFINCS法(α=0.3、β=0.75)で投影
して得られる光学像の強度分布のシミュレーション結果
を示す図である。
【図26】単一のコンタクトホールパターンを本実施例
のSFINCS法(α=0.3、β=0.92)で投影
して得られる光学像の強度分布のシミュレーション結果
を示す図である。
【図27】単一のコンタクトホールパターンを本実施例
のSFINCS法(α=0.1、β=0.85・α+
0.58)で投影して得られる光学像の強度分布のシミ
ュレーション結果を示す図である。
【図28】単一のコンタクトホールパターンを本実施例
のSFINCS法(α=0.494、β=0.85・α
+0.58)で投影して得られる光学像の強度分布のシ
ミュレーション結果を示す図である。
【図29】単一のコンタクトホールパターンを従来のS
uper−FLEX法(r4 =0.38・r3)により投
影して得られる光学像の強度分布のシミュレーション結
果を示す図である。
【図30】近接して配列された2個のコンタクトホール
パターンを示す拡大図である。
【図31】2個の近接したコンタクトホールパターン
を、図29の場合と同じ従来のSuper−FLEX法
により投影して得られる光学像の強度分布のシミュレー
ション結果を示す図である。
【図32】2個の近接したコンタクトホールパターン
を、図20の場合と同じ本実施例のSFINCS法によ
り投影して得られる光学像の強度分布のシミュレーショ
ン結果を示す図である。
【符号の説明】 R レチクル W ウエハ PL 投影光学系 FTP フーリエ変換面(瞳面) AX 光軸 PA コンタクトホールパターン CCM 干渉性低減部材 FA 円形の透過部 FB,FC 輪帯状の透過部 ILB 照明光 1 水銀ランプ 5 干渉フィルター 6 偏光制御部材 7 フライアイレンズ 8 可変絞り 11 レチクルブラインド 20 スライダー機構 25 主制御ユニット

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 転写用のパターンが形成されたマスクを
    露光用の照明光で照明する照明手段と、前記照明光のも
    とで前記マスクのパターンの像を感光性の基板上に結像
    投影する投影光学系とを備えた投影露光装置において、 前記投影光学系内の前記マスクのパターン形成面に対す
    る光学的フーリエ変換面又はその近傍の結像光の通過面
    上の、前記投影光学系の光軸を中心とする前記投影光学
    系の開口数に相当する半径r3 の領域を、前記光軸を中
    心として半径r 1 の第1の領域と、前記光軸を中心とし
    て半径がr1 からr2 までの輪帯状の第2の領域と、前
    記光軸を中心として半径がr2 からr3 までの輪帯状の
    第3の領域とに分割し(但し、r1 <r2 <r3)、 前記第1の領域及び前記第3の領域に分布する結像光と
    前記第2の領域に分布する結像光との間の可干渉性を低
    減すると共に、前記第1の領域に分布する結像光と前記
    第3の領域に分布する結像光との間に(2m+1)πの
    位相差(mは整数)を与える干渉性低減部材を設け、 前記半径r1 及びr2 を、前記半径r3 及び所定の係数
    α及びβを用いてそれぞれ r1 =α・r3 、r2 =β・r3 と表した場合、前記係数α及びβについて β=0.85・α+0.58 且つ 0.2≦α≦0.
    4の関係が成立することを特徴とする投影露光装置。
  2. 【請求項2】 前記干渉性低減部材として、前記第1の
    領域及び前記第3の領域に分布する結像光と前記第2の
    領域に分布する結像光との間に、前記照明光の波長域に
    応じて定まる可干渉距離以上の光路差を与える時間的コ
    ヒーレンシィ低減部材を用いることを特徴とする請求項
    1記載の投影露光装置。
  3. 【請求項3】 前記干渉性低減部材として、前記第1の
    領域及び前記第3の領域に分布する結像光の偏光状態と
    前記第2の領域に分布する結像光の偏光状態とを互いに
    干渉しない状態とする偏光制御部材を用いることを特徴
    とする請求項1記載の投影露光装置。
  4. 【請求項4】 前記照明手段は、輪帯照明系、又は変形
    光源系であることを特徴とする請求項1、2、又は3記
    載の投影露光装置。
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