JP2883676B2 - 散乱光式煙感知器 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、散乱式煙感知器に関し、より詳しくは、全
体形状の薄形化を図るとともに煙感知動作の確実性の向
上を図った散乱光式煙感知器に関する。

［従来の技術と発明が解決しようとする課題］ 一般に、散乱光式煙感知器（以下単に「煙感知器」と
いう。）は、光を発する光源とこの光源からの光を後述
するような煙粒子を介して受光する受光部とを例えば円
板状の支持体に配置するとともに、この支持体に対し、
暗箱とも称される検煙部材を装着し、検煙部材の側壁片
の間の隙間から内部に侵入する煙の粒子に前記光源から
の光を当て、反射した光を前記受光部により受光して煙
の存在を電気信号として検知するようになっている。

ところで、近年煙感知器の薄形化の要請が高まり、こ
れに対処するために、支持体及び検煙部材双方の薄形化
が試みられているが、支持体については光源及び受光部
を配置する関係上一定の限界がある。

このため、検煙部材の薄形化が主な改良課題となる。

このような検煙部材の薄形化を図った従来例を第６図
に示す。

同図に示す煙感知器50は、円板状の支持体51上に光源
52と受光部53とを所定の角度配置に取付けるとともに、
支持体51の周辺部に略く字状の側壁片54を略円形配置に
列設し、各側壁片54の間に煙の流路としての隙間55を形
成したものである。尚、各側壁片54の上端側は図示しな
い頂板により覆われ、この頂板と各側壁片54とにより囲
まれる空間が検煙空間として機能するようになってい
る。

上述した各側壁片54によりいわゆるラビリンス構造を
構成している。

しかしながら、前記煙感知器50の場合、各側壁片54間
の隙間55がく字状に折曲するものであるため、検煙空間
の薄形化の目的はある程度達成できるものの前記隙間55
の形状に起因して煙の検煙空間内への侵入状態が必ずし
も十分でなく、この煙感知器50による煙感知動作の確実
性に欠けるという問題がある。

本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、検煙
部材の薄形化を図れるとともに煙感知動作の確実性を向
上し得る煙感知器を提供することを目的とするものであ
る。

［課題を解決するための手段］ 本発明は、光を発する光源とこの光源からの光が直接
入射しない状態に配置した受光部とを備えた支持体と、
この支持体に装着された略筒状で、煙が通過可能な隙間
を有する側壁片群及びその側壁片群の突出端部側を閉塞
する頂板部からなる検煙部材とを有する散乱光式煙感知
器において、 前記側壁片群は、頂板部の周辺に沿って、かつ、内方
に至るに従い隙間が挟まる状態に列設されるとともに内
方端部に検煙部材の略中心方向に向けた折曲部を具備す
る周辺側壁片群と、各周辺側壁片の各折曲部の近傍に各
々折曲部と交叉する方向に列設され各折曲部との間に煙
の分岐流路を形成するとともに前記光源からの光を前記
分岐流路側に導く内側側壁片群とを具備するものであ
る。

［作 用］ 上記構成の煙感知器によれば、検煙部材の外部からの
光は周辺側壁片群間の内方に至るに従い挟間隔となる隙
間に侵入した際各周辺側壁片により反射、吸収され検煙
部材内の受光部への侵入が阻止される。

また、光源からの光又は光源から頂板部に当って反射
する光は、各内側側壁片に当って分岐流路側に反射する
ので、やはり受光部への侵入が阻止される。

一方、検煙部材外部からの煙は、周辺側壁片間の隙間
から侵入し、内側側壁片により分流されて速やかに光源
からの光の照射領域へと導かれ煙感知に供される。

［実施例］ 以下に本発明の実施例を詳細に説明する。

第１図に示す煙感知器１は、円板状で、かつ、外周か
ら側方へ煙のガイド板３を突設した支持体２と、この支
持体２の第１図において上面側に密着する状態に装着し
た略円筒状で、かつ、頂板部５を具備した検煙部材４と
を具備している。

前記支持体２には、略ハ字状を呈する第１、第２の収
容孔６、７が穿設してあり、第１の収容孔６には光を放
射する光源８が、第２の収容光７にはレンズ９及び光電
変換素子10からなる受光部11が各々配置されている。

前記検煙部材４は、第２図、第３図にも示すように、
比較的薄い円板状の頂板部５と、この頂板部５と一体的
な側癖片群12とを具備する略円筒状に形成されている。

前記頂板部５の中央部には、第１図、第２図に示すよ
うに、凹状湾曲面16を連ねて全体として略円錐状で支持
体２側に突出する反射部15が設けられている。この反射
部15の頂点17は、前記光源８、レンズ９の略中間位置に
対応している。また、反射部15の凹状湾曲面16はつや出
し状態となっている。

前記側壁片群12は、第２図、第３図にも示すように、
頂板部５の外周部に沿って列設配置した多数の周辺側壁
片13からなる周辺側壁片群12Aと、各周辺側壁片13の内
側に円形を呈するように列設配置した多数の内側側壁片
14からなる内側側壁片群12Bとを具備している。

前記周辺側壁片13は頂板部５の周辺に沿う外辺部13a
と、直線状の案内片部13bと、この案内片部13bの内方端
部に設けた前記頂板部５の略中心方向を指向する折曲部
13cとを一体成形したものであり、隣り合う案内片部13b
同士の間隔が頂板部５の内方に至るにしたがい狭くなる
ように列設配置され、各案内片部13b間に煙侵入用の隙
間19を形成している。

また、前記各内側側壁片14は、隣り合う折曲部13cの
間の位置において各折曲部13cとの間に微少な隙間20a、
20bを形成する状態に配置されている。

各内側側壁片14の配置方向は、第３図に示すようにそ
の延長戦の方向が一方の隙間20bを隔てて案内片部13bに
交叉し、また、隣りの案内片部13bの延長線が他方の隙
間20bを隔てて内側側壁片14に交叉する方向となってい
る。

そして、前記両隙間20a、20bにより前記隙間19から侵
入する煙の分岐流路（第３図に点線で示す）Ｒを形成す
るようになっている。

尚、第１図中、18Aは光源８用のリード線、18Bは光源
変換素子10用のリード線である。

次に上記構成の煙感知器１の作用を前記検煙部材４の
光に対する作用及び煙に対する作用を主にして説明す
る。

検煙部材４の外部から前記隙間19に侵入する煙は、第
３図に示すように内側側壁片14が形成する分岐流路Ｒに
至り、ここで各隙間20a、20bに分れて前記凹状湾曲面16
の下方に速やかに侵入していき、光源８、受光部11によ
る煙感知に供される。

これにより、従来のラビリンス構造に比べ煙の侵入状
態がより確実になり、煙感知動作の確実性を向上でき
る。

また、検煙部材４の外部から前記隙間19に侵入する光
は、第４図に示すように例えば周辺側壁片13の案内片部
13b、隣りの案内片部13b、内側側壁片14、折曲部13cと
いう順序で次々と反射しつつ減衰していき、この結果、
外部からの光の散乱光が受光部11の受光領域に至ること
はなく、側壁片群12の寸法Ｌを小さくしても煙感知動作
に何等の影響を及ぼすことはない。

一方、光源８からの光は反射部15のつや出しした凹状
湾曲面16に当って反射するが、このとき、頂点17を境に
光源８に近い凹状湾曲面16に当った光はこの凹状湾曲面
16に対する入射角が比較的小さいのでその反射光は殆ん
ど光源８又はその近傍へ戻る方向になり、内側側壁片14
や折曲部13cに当る。

また、頂点17を境にレンズ９に近い凹状湾曲面16に当
った光は、第１図に示すように凹状湾曲面16に対する入
射角が比較的大きいのでその反射光はレンズ９とは大き
く離れた方向となり内側側壁片14や折曲部13cに当る。

このようにして、内側側壁片14や折曲部13cに当った
反射光は、第４図に点線の経路で示すように、隣りの内
側側壁片14、案内片部13b、折曲部13cというように反射
を繰り返し隙間19側へ導かれるので、受光部11の受光領
域へ至ることはなく、やはり側壁片群12の寸法Ｌを小さ
くしても煙感知動作に何等の影響を及ぼすことはない。

第５図は、本発明の実施例の他例を示すものである。
尚、同図に示す煙感知器1Aにおいて第１図に示すものと
同一の機能を有するものには同一の符号を付し、その詳
細な説明は省略する。

この煙感知器1Aが第１図に示すものと相違する点は、
頂板部５の反射部15を円錐状としたことである。

このような、構成を採用することによっても上述した
場合と同様な作用を発揮させることができる。

本発明は上述した実施例に限定されるものではなくそ
の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。

［発明の効果］ 以上詳述した本発明によれば、上記構成としたことに
より、検煙部材内外の散乱光がいずれも側壁片群の作用
で受光部の受光領域へ至ることがなく、これにより検煙
部材の薄型化を図れる。

また、周辺側壁片群と内側側壁片群とにより煙の分岐
流路を形成したものであるから、外部から検煙部材内へ
の煙の侵入が速やかに支障なく行われることになり、こ
れにより、煙感知動作の確実性を向上し得る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の実施例である煙感知器の縦断面図、第
２図は同煙感知器の検煙部材の部分切欠断面図、第３図
は同上の底面図、第４図は同上の光反射動作の説明図、
第５図は本発明の他の実施例の縦断面図、第６図は従来
例の概略平面図である。 １……煙感知器、２……支持体、４……検煙部材、５…
…頂板部、８……光源、11……受光部、15……側壁片
群、12A……周辺側壁片群、12B……内側側壁片群、13…
…周辺側壁片、14……内側側壁片、13c……折曲部、1
9、20a、20b……隙間。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】光を発する光源とこの光源からの光が直接
   入射しない状態に配置した受光部とを備えた支持体と、
   この支持体に装着された略筒状で、煙が通過可能な隙間
   を有する側壁片群及びその側壁片群の突出端部側を閉塞
   する頂板部からなる検煙部材とを有する散乱光式煙感知
   器において、 前記側壁片群は、頂板部の周辺に沿って、かつ、内方に
   至るに従い隙間が挟まる状態に列設されるとともに内方
   端部に検煙部材の略中心方向に向けた折曲部を具備する
   周辺側壁片群と、各周辺側壁片の各折曲部の近傍に各々
   折曲部と交叉する方向に列設され各折曲部との間に煙の
   分岐流路を形成するとともに前記光源からの光を前記分
   岐流路側に導く内側側壁片群とを具備することを特徴と
   する散乱式煙感知器。