JP2876390B2 - 高速プレス用トランスファ装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】高速プレスのトランスファ装置に
利用する。

【０００２】

【従来の技術】従来の高速プレスのトランスファ装置で
は、フィードバーの左右方向の駆動は、円盤カムにより
行うものとか、遊星歯車機構により行っている。また、
フィードバーのクランプ・アンクランプの駆動は、円盤
カム、あるいは板カムとラック・ピニオン等による歯車
機構により行っている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】円盤カム、あるいは板
カムを駆動源に使用して、高速プレスのトランスファ装
置のフィードバーのアドバンス・リターン動作となる左
右方向の駆動、またはクランプ・アンクランプ動作とな
る前後方向の駆動を、それぞれ１個の円盤カムで駆動す
る場合は、 イ）フィードバーの駆動のために、カムとカムフォロア
に大きな力が作用する。 ロ）カムの谷に追従させるために、カムフォロア追従用
にシリンダ、またはばね等により大きな力を作用させて
いる。 ハ）その結果、カムの山に昇るときには前記のイ）と
ロ）の力の和が、カムとカムフォロアの間に作用し、大
きなカム装置を必要とする。

【０００４】あるいは、それぞれ２個の円盤カムで駆動
する場合は、カムに作用する力は、前記のイ）に相当す
る値となるが、カムを２個使用するため、複雑になって
いる。また、間欠往復駆動機構を得るために、遊星歯車
機構を用いて駆動する場合も、機構が複雑になってい
る。

【０００５】さらに、駆動源からフィードバーに至る、
特にクランプ・アンクランプの駆動機構が、ラック・ピ
ニオンで構成した歯車機構を使用して複雑になっている
ため、プレスを高速で運転することが困難となってい
る。

【０００６】

【課題を解決するための手段】高速プレスの左側か、右
側かのいずれか片側に、ドライブユニットと第１クラン
プ装置を、他の側に第２クランプ装置を設ける。高速プ
レスのスライドに同期して回転駆動するドライブユニッ
トに設けた第１ドラムカムにより第１スライダを駆動
し、この第１スライダとフィードバーはリンクにより接
続して、フィードバーを左右に間欠往復動作、すなわ
ち、アドバンス・リターン動作させる。

【０００７】第１ドラムカムに固設した第２ドラムカム
により、左右に間欠往復駆動される第２スライダを設
け、この第２スライダに固設したロッドから、リンク、
レバーを介して、第１クランプ装置、第２クランプ装置
を揺動回転駆動し、この揺動回転によりフィードバーガ
イド機構を駆動して、フィードバーをクランプ・アンク
ランプ動作させ、歯車機構のラック・ピニオン等を使用
しない機構とする。以上の機構にすることにより、小型
で構造の簡素な装置となり、高速プレスに使用出来るト
ランスファ装置となる。

【０００８】

【作用】高速プレスのスライドに同期回転する第１ドラ
ムカムと第２ドラムカムを駆動源として、トランスファ
装置のフィードバーをクランプ・アンクランプ、アドバ
ンス・リターンの動作をさせる。フィードバーに部品に
応じて設けたフィンガーを取り付けて、フィードバーで
部品をクランプし、部品を保持してアドバンスし、アン
クランプして部品を下型に置き、部品をプレス加工し、
リターンして１サイクルが完了する。このサイクルを繰
り返して、順次部品を搬送しながらプレス加工する。

【０００９】

【実施例】本発明の第１実施例を図１、図２、図３、図
４、図５、図６、図７により説明する。高速プレス１の
左右いずれかの側に、ドライブユニット４と第１クラン
プ装置５が、反対側に第２クランプ装置６が設けられて
いる。ドライブユニット４のドライブケース１１に回転
自在に支持されたカム軸１２は、高速プレス１の駆動軸
２から図１に示すタイミングベルト機構（他の駆動機構
でもよい）等を介して、高速プレス１のスライド３に同
期して回転駆動される。

【００１０】フィードバー７のアドバンス・リターン動
作を駆動する第１ドラムカム１３と、フィードバー７の
クランプ・アンクランプ動作を駆動する第２ドラムカム
１４は、カム軸１２に固設され、ドライブケース１１内
に回転自在に設けられている。ドライブケース１１内
に、第１スライダ１５と第２スライダ１６が設けられ、
それぞれ第１ドラムカム１３と第２ドラムカム１４によ
り駆動され、ドライブケース１１内で左右方向に往復運
動する。

【００１１】第１スライダ１５の前後に固設されたピン
１７に、それぞれ一端を回転可能に連結された前後の第
１リンク１８は、他端を前後のフィードバー７に回転可
能に連結され、第１スライダ１５の左右方向の運動を、
前後のフィードバー７に伝え、フィードバー７のアドバ
ンス・リターン動作となす。第２スライダ１６の後面に
固設されたロッド１９は、ドライブケース１１から突出
し、この突出した先端に第２リンク２０が、回転可能に
連結されている。

【００１２】第１クランプ装置５と第２クランプ装置６
には、後側に後フィードバーガイド機構２１と前側に前
フィードバーガイド機構２２がそれぞれ設けられ、高速
プレス１に固設された後支柱２５と前支柱２６とによ
り、それぞれ支柱を回転中心にして回転可能に支持され
ている。

【００１３】後フィードバーガイド機構２１には、それ
ぞれ後レバー２７が、前フィードバーガイド機構２２に
は、それぞれ前レバー２８が固設され、さらに、後フィ
ードバーガイド機構２１には後フィードバーガイド２９
が、前フィードバーガイド機構２２には前フィードバー
ガイド３０が、後支柱２５と前支柱２６と偏心した位置
に、それぞれ回転可能に設けられている。

【００１４】前記の第２リンク２０の他端は、ドライブ
ユニット４側に設けられた第１クランプ装置５の後レバ
ー２７に回転可能に連結されている。第１クランプ装置
５と第２クランプ装置６の、後フィードバーガイド機構
２１の後レバー２７は、第３リンク３１で連結されてい
る。この第３リンク３１は、高速プレス１に設けられて
いるボルスタ８の後側下部の切り欠き部を通している。

【００１５】第１クランプ装置５と第２クランプ装置６
の、それぞれの後レバー２７と前レバー２８は、第４リ
ンク３２でそれぞれ連結されて、後フィードバーガイド
機構２１と前フィードバーガイド機構２２間の回転駆動
機構を構成している。後フィードバーガイド機構２１の
後フィードバーガイド２９は、後側のフィードバー７
を、前フィードバーガイド機構２２の前フィードバーガ
イド３０は、前側のフィードバー７を左右に摺動可能に
支持している。

【００１６】第１ドラムカム１３の回転で、第１スライ
ダ１５が左右動作し、前記の機構で、フィードバー７は
左右動作、すなわちアドバンス・リターン動作を行い、
第２ドラムカム１４の回転で、第２スライダ１６が左右
動作し、前記の機構で後フィードバーガイド機構２１と
前フィードバーガイド機構２２は、後支柱２５と前支柱
２６を中心としてそれぞれ揺動回転し、後フィードバー
ガイド２９と前フィードバーガイド３０の間隔が増減す
る動作をし、この増減は後フィードバーガイド２９と前
フィードバーガイド３０でフィードバー７に伝えられ、
クランプ・アンクランプの動作を行う。

【００１７】後フィードバーガイド機構２１と前フィー
ドバーガイド機構２２間の回転駆動機構の上記の実施例
は、図７（ａ）のリンク機構に該当するが、図７（ｂ）
のリンク機構、図７（ｃ）の扇形歯車機構、図７（ｄ）
のタイミングベルト機構等に置き換えても、何ら差し支
えない。

【００１８】本発明の第２実施例を図８、図９、図１０
により説明する。カム軸１２に固設された第２ドラムカ
ム１４により、回転自在のカムフォロアを設けたロッド
５１が左右方向に駆動される。ロッド５１から第２リン
ク５２を介して第１クランプ装置５のレバー５３を駆動
し、さらにレバー５３から第３リンク５４を介して第２
クランプ装置６の後レバー５５を駆動する。

【００１９】後レバー５５には、シリンダ装置５６のピ
ストンロッド５６Ａが接続され、このシリンダ装置５６
は高速プレス１に回転可能に保持され、シリンダ装置５
６に供給される圧縮空気により、前記機構を介してロッ
ド５１を第２ドラムカム１４に押し付けている。第１ク
ランプ装置５と第２クランプ装置６の支柱５７、５７
は、高速プレス１に固設され、それぞれ第１フィードバ
ーガイド機構５８と第２フィードバーガイド機構５９を
回転自在に保持している。

【００２０】この第１フィードバーガイド機構５８と第
２フィードバーガイド機構５９の下部には、レバー５３
と後レバー５５が、上部には第１レバー６０と第２レバ
ー６１が固設されている。第１レバー６０と第２レバー
６１には、それぞれ前フィードバーガイド６２と後フィ
ードバーガイド６３が、フィードバーガイド機構５８の
回転中心から離れた位置で、回転中心から等距離の位置
に、回転可能に保持されている。左右の前フィードバー
ガイド６２と後フィードバーガイド６３で、それぞれフ
ィードバー７を左右移動可能に保持している。

【００２１】ロッド５１の左右方向の往復動作により、
前記のリンク・レバー等の機構により、第１レバー６０
と第２レバー６１が揺動回転運動を行い、この運動によ
り、前後のフィードバー７、７の間隔が広がったり、狭
まったりし、これによりフィードバー７のアンクランプ
・クランプ動作としている。この機構は、アンクランプ
・クランプの動作量の小さい場合に利用される。

【００２２】

【発明の効果】ドラムカムを駆動源に使用し、リンクで
接続して駆動力を伝達するトランスファ装置を構成する
ことにより、機構が簡素で、かつ各構成要素を小型軽量
に出来ることにより、高速プレス用のトランスファ装置
とすることが出来る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施例の全体側面図

【図２】図１の全体平面図

【図３】図１の全体正面図

【図４】図１の主要部分の正面断面図

【図５】図１の主要部分の平面断面図

【図６】図１の回転駆動機構の実施例

【図７】（ａ）リンク機構の場合を示す回転機構の説明
図 （ｂ）リンク機構の場合を示す回転機構の説明図 （ｃ）扇形歯車機構の場合を示す回転機構の説明図 （ｄ）タイミングベルト機構の場合を示す回転機構の説
明図

【図８】本発明の第２実施例の全体正面断面図

【図９】図８の主要部分の正面断面図

【図１０】図８の主要部分の平面断面図

【符号の説明】

１は高速プレス、２は駆動軸、３はスライド、４はドラ
イブユニット、５は第１クランプ装置、６は第２クラン
プ装置、７はフィードバー、８はボルスタ、１１はドラ
イブケース、１２はカム軸、１３は第１ドラムカム、１
４は第２ドラムカム、１５は第１スライダ、１６は第２
スライダ、１７はピン、１８は第１リンク、１９はロッ
ド、２０は第２リンク、２１は後フィードバーガイド機
構、２２は前フィードバーガイド機構、２５は後支柱、
２６は前支柱、２７は後レバー、２８は前レバー、２９
は後フィードバーガイド、３０は前フィードバーガイ
ド、３１は第３リンク、３２は第４リンク、５１はロッ
ド、５２は第２リンク、５３はレバー、５４は第３リン
ク、５５は後レバー、５６はシリンダ装置、５６Ａはピ
ストンロッド、５７は支柱、５８は第１フィードバーガ
イド機構、５９は第２フィードバーガイド機構、６０は
第１レバー、６１は第２レバー、６２は前フィードバー
ガイド、６３は後フィードバーガイド、である。

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】前後２本のフィードバーを使用して、加工
   部品を順次搬送する高速プレス用のトランスファ装置に
   おいて、 前記高速プレスの左側または右側のいずれか一方の側
   に、ドライブユニットと第１クランプ装置を、他方の側
   に第２クランプ装置を設け、 前記ドライブユニット内に、前記高速プレスのスライド
   に同期して回転駆動され前記フィードバーを駆動する第
   １ドラムカムと第２ドラムカムとを収納し、前記第１ド
   ラムカムの上部には、前記第１ドラムカムにより駆動さ
   れ、左右に往復動作する第１スライダを設け、前記第１
   スライダの上面に、前記ドライブユニットの上面から突
   出したピンを前後に２本固設し、このピンと前記ドライ
   ブユニットの上部の前後２本のフィードバーとを、第１
   リンクを介してそれぞれ連結するとともに、前記第２ド
   ラムカムの後部には前記第２ドラムカムにより駆動さ
   れ、左右に往復動作する第２スライダを設け、前記第２
   スライダの後面に、前記ドライブユニットから前記第１
   クランプ装置側に突出するロッドを固設し、 前記第１クランプ装置と前記第２クランプ装置とには、
   いずれも前後に２本の支柱を前記高速プレスに固設し、
   後側の支柱に後フィードバーガイド機構と前側の支柱に
   前フィードバーガイド機構とを、前記支柱を回転中心に
   して揺動回転自在に支持して設け、後フィードバーガイ
   ド機構の下部には、それぞれ後レバーが固設され、前記
   ロッドの突出部先端と、前記第１クランプ装置の前記後
   レバーとを、第２リンクにより連結し、さらに前記高速
   プレスのボルスタ後側下部の左右方向の切り欠き部を通
   る第３リンクで前記第１クランプ装置と前記第２クラン
   プ装置の後レバーを連結し、 前記第１クランプ装置と前記第２クランプ装置の、前記
   後フィードバーガイド機構と前記前フィードバーガイド
   機構は、第２スライダの左右の往復動作により、それぞ
   れ同一角度揺動回転し、前記後フィードバーガイド機構
   と前記前フィードバーガイド機構の上部には、それぞれ
   後フィードバーガイドと前フィードバーガイドを、各フ
   ィードバーガイド機構の回転中心から偏心した位置に、
   それぞれ回転可能に設け、前記第２スライダの左右動作
   により、前記機構により、前記後フィードバーガイド
   と、前記前フィードバーガイドは揺動回転し、開閉動作
   をし、前記後フィードバーガイドは後フィードバーを、
   前記前フィードバーガイドは前フィードバー保持し、左
   右方向に摺動可能に案内することを特徴とする高速プレ
   ス用トランスファ装置。
2. 【請求項２】請求項１において、 ドライブユニット内の前部に、第２ドラムカムとシリン
   ダ装置により駆動され、左右に往復動作するカムフォロ
   ア付のロッドを前記ドライフユニットから前記第１クラ
   ンプ装置側に突出して設け、 第１クランプ装置と第２クランプ装置とは、それぞれ１
   本の支柱を高速プレスに固設し、この１本の支柱にフィ
   ードバーガイド機構をそれぞれ設け、前記支柱を回転中
   心にして揺動回転自在に支持し、前記第１クランプ装置
   と前記第２クランプ装置の、フィードバーガイド機構の
   下部には、第１クランプ装置側には前側と後側とに支点
   を有するレバーが、第２クランプ装置側には後側に支点
   を有する後レバーがそれぞれ固設され、 前記ロッドの突出部先端と、前記第１クランプ装置の前
   記レバーの前側の支点と第２リンクにより連結し、後側
   の支点と、前記第２クランプ装置の後レバーとを、前記
   高速プレスのボルスタ後側下部の左右方向の切り欠き部
   を通る第３リンクで連結し、前記ロッドの往復動作によ
   り前記フィードバーガイド機構を揺動回転し、この後レ
   バーと前記シリンダ装置のピストン並びに前記高速プレ
   スとシリンダが回転可能に接合して設けられ、 前記第１クランプ装置と前記第２クランプ装置の、前記
   フィードバーガイド機構は、回転駆動機構により、それ
   ぞれ同一角度揺動回転し、前記第１クランプ装置と前記
   第２クランプ装置の、前記フィードバーガイド機構と前
   記前フィードバーガイド機構の上部には、それぞれ後フ
   ィードバーガイドと前フィードバーガイドを、各フィー
   ドバーガイド機構の回転中心から偏心した位置に、それ
   ぞれ回転可能に設け、前記第２スライダの左右動作か
   ら、前記機構により、前記後フィードバーガイドと、前
   フィードバーガイドとは開閉動作をし、前記後フィード
   バーガイドは後フィードバーを、前記前フィードバーガ
   イドは前フィードバーを保持し、左右方向に揺動可能に
   案内することを特徴とする高速プレス用トランスファ装
   置。